車載用レーダ装置
【課題】前回の物標データと今回の物標データとの連続性を判定して物標データのペアリングを行い、正確に物標を捕捉できる車載用レーダ装置を提供する。
【解決手段】車載用の周波数変調連続波(FM−CW)レーダ装置であって、検出した過去の物標データと今回の物標データとの連続性の判定を、物標との距離差、相対速度差、及び横位置差の条件で行う連続性判定手段を有する車載用レーダ装置において、連続性判定手段が物標の連続性を判定する際に、物標との距離差と相対速度差の判定条件に加えて、前回と今回の物標が横位置差を満足するか、或いは、角度差を満足する条件から連続性を判断するようにさせた車載用レーダ装置である。この場合、物標までの距離が、所定値未満の場合には横位置差で物標の連続性を判定し、所定値以上の場合には角度差で連続性を判定するようにしても良い。
【解決手段】車載用の周波数変調連続波(FM−CW)レーダ装置であって、検出した過去の物標データと今回の物標データとの連続性の判定を、物標との距離差、相対速度差、及び横位置差の条件で行う連続性判定手段を有する車載用レーダ装置において、連続性判定手段が物標の連続性を判定する際に、物標との距離差と相対速度差の判定条件に加えて、前回と今回の物標が横位置差を満足するか、或いは、角度差を満足する条件から連続性を判断するようにさせた車載用レーダ装置である。この場合、物標までの距離が、所定値未満の場合には横位置差で物標の連続性を判定し、所定値以上の場合には角度差で連続性を判定するようにしても良い。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車載用レーダ装置に関し、特に、周波数を変調した送信信号と車両の前方を走行する物標で反射して戻った受信信号とを混合して得たビート信号から車両前方の物標を検出する車載用レーダ装置において、前回検出した物標データと今回検出した物標データとの連続性を判定して物標データのペアリングを行うことにより、正確に物標を捕捉することができる車載用レーダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、単調な高速道路走行や、長時間運転の機会の増大により、運転者の注意力が散漫になって自動車の衝突事故が増大する傾向にある。また、定速走行装置による自動定速走行に加えて、高速道路で先行する自動車を追尾しながら自動走行をしたいという要望もある。
【0003】
このような状況の下で、先行する自動車と自分が運転する自動車との間の距離を常時測定し、この距離の減少度合いが大きい時に自動的に自分が運転する自動車の走行速度を減速したり、ブレーキをかけたりして、衝突を未然に防止する車載用レーダ装置や、前方を走行する複数の自動車の位置を常時監視しながら自動走行を行うようにした車載用レーダ装置が実用段階にある。
【0004】
このような車載用レーダ装置には、一般に、FM−CW(周波数変調連続波)レーダや、パルスドライブレーダ等の方式がある。この中で、FM−CWレーダ装置は、送信用電圧制御発振器(VCO)に三角波のベースバンド信号を加え、周波数変調を行ってアンテナから自動車の前方に送信し、先行する自動車等の物標にあたって反射した信号をアンテナで受信する一方、これら送信信号と受信信号とを混合して得たビート信号から、前方の物標を検出している。
【0005】
この場合、送信信号は自動車の前方の所定の角度範囲でアンテナをスキャンさせることにより、複数本のビームが所定の角度間隔で送信される。このようなスキャン式の車載式レーダ装置で自車の前方の物標を検出する場合、過去に検出した物標データと今回検出した物標データとの連続性を判定することにより、物標を検出していた。検出する物標データは、距離、相対速度、横位置、及び角度であり、物標データの連続性の判定条件としては、距離差、相対速度差、及び横位置差が使用されていた。そして、この連続性条件の範囲内であれば、過去の物標データと今回の物標データが示す物標が連続していると判定していた。
【0006】
また、このようなスキャン式の車載式レーダ装置の中には、ビームの同角度、距離の変化率を加味して物標の予測位置を求め、予測位置に近似のものを物標と同一物と判断するもの(例えば、特許文献1)が知られている。
【0007】
【特許文献1】特開平9−264955号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前述のようなスキャン式の車載用レーダ装置には、以下のような問題点があった。
(1)物標の横位置の値は、物標の角度値より算出しているため、レーダ装置から照射されるビーム間隔分のばらつきが発生する可能性があり、このばらつきは物標の距離が車両から遠方であるほど大きくなるため、遠方物標の連続性を誤判定してしまうことがあった。
【0009】
(2)二輪車のような検出ビーム数の少ない物標の場合、物標データにビーム間隔分のばらつきが発生する可能性があり、ペアリングできない場合があった。
(3)また、特許文献1に記載のレーダ装置では、前回と今回の検知物を予測位置で比較し、角度、距離を基に同一物の判断をしているが、同時に角度と距離の両面の閾値を設けて判断していないので、誤判定の虞があった。
【0010】
そこで、本発明は、前記従来の車載用レーダ装置の有する課題を解消し、スキャン式の車載用レーダ装置において、物標の過去の検出データと今回の検出データの連続性判定の条件を変更することにより、物標の車両からの距離に係わらず正常な物標データの連続性の判定が行えると共に、物標の種類に係わらず正常なペアリングが行える、車載用レーダ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成する本発明の第1の形態は、周波数変調信号を送信し、車両前方の物標で反射して戻ってきた信号を受信し、これら送信信号と受信信号とを混合して得たビート信号から車両前方の物標を検出する車載用レーダ装置であって、検出した過去の物標データと今回の物標データとの連続性の判定を、物標との距離差、相対速度差、及び横位置差の条件で行う連続性判定手段を有する車載用レーダ装置において、連続性判定手段は、車両と物標との距離が所定以上である場合は、横位置差に替えて角度差を判定条件とすることを特徴としている。
【0012】
前記目的を達成する本発明の第2の形態は、周波数変調信号を送信し、車両前方の物標で反射して戻ってきた信号を受信し、これら送信信号と受信信号とを混合して得たビート信号から車両前方の物標を検出する車載用レーダ装置であって、検出した過去の物標データと今回の物標データとの連続性の判定を、物標との距離差、相対速度差、及び横位置差の条件で行う連続性判定手段を有する車載用レーダ装置において、連続性判定手段の判定条件を、物標との距離差、相対速度差、及び横位置差又は角度差の何れか一方の満足としたことを特徴としている。
【0013】
この場合、連続性判定手段は、物標までの距離が所定値未満の場合に判定条件として横位置差を使用し、物標までの距離が所定値以上の場合に判定条件として角度差を使用するようにしても良い。
【0014】
前記目的を達成する本発明の第3の形態は、周波数変調信号を送信し、車両前方の物標で反射して戻ってきた信号を受信し、これら送信信号と受信信号とを混合して得たビート信号から車両前方の物標を検出する車載用レーダ装置であって、検出した過去の物標データから今回の物標の位置を予測し、今回検出した物標データにおける物標の位置が、予測位置データにおける物標の所定横位置範囲内にあるか否かで物標の連続性の判定を行う連続性判定手段を有する車載用レーダ装置において、連続性判定手段を、今回検出した物標の横位置が、物標の予測位置における所定横位置範囲内にあるか否か、或いは、物標の予測位置における所定角度範囲内にあるか否かの何れか一方で物標の連続性の判定を行うように構成したことを特徴としている。
【0015】
この場合、連続性判定手段は、物標までの距離が所定値未満の場合に、今回検出した物標の横位置が、物標の予測位置における所定横位置範囲内にあるか否かで物標の連続性の判定を行い、物標までの距離が所定値以上の場合に、今回検出した物標の横位置が、物標の予測位置における所定角度範囲内にあるか否かで物標の連続性の判定を行うようにすることができる。
【0016】
本発明の第1から第3の形態の車載用レーダ装置によれば、過去の物標データと現在の物標データの連続性の判定に、物標の横位置条件に加えて角度条件を加えたので、物標の車両からの距離に係わらず、正常な物標の連続性判断ができるようになる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明の第1から第3の形態の車載用レーダ装置によれば、過去の物標データと現在の物標データの連続性の判定に、物標の横位置条件に加えて角度条件を加えたので、物標の車両からの距離に係わらず、正常な物標の連続性判断ができるようになるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下添付図面を用いて本発明の実施形態を具体的な実施例に基づいて詳細に説明する。
【0019】
図1は本発明の車載用レーダ装置であるミリ波レーダ装置10の全体構成を示すものである。ミリ波レーダ装置10では、アナログ回路3に内蔵されている送信機制御回路3Tからの信号により、ミリ波RFユニット2内の回路において送信信号が三角波、又はそれに近い形で変調周波数Δfを与えて変調され、ミリ波に変換されてアンテナ1を通じて車両の前方に放射される。車両の前方の物標で反射して戻ってきたミリ波はアンテナ1で受信され、ミリ波RFユニット2においてミキサ(図示せず)に供給される。ミキサには送信信号の一部が入力されているので、物標からの距離や相対速度に応じた信号がビート信号として得られる。このビート信号はアナログ回路3に内蔵されている受信回路3Rを通じてDSP(ディジタル信号プロセッサ)4に送られる。
【0020】
DSP4ではビート信号をFFT(高速フーリエ変換)解析してどの周波数帯に成分があるかを抽出する周波数分析を行う。周波数分析されたビート信号は物標に対してパワーが大きくなるピークが生じるが、このピークに対応する周波数はピーク周波数と呼ばれる。このピーク周波数はピークデータとしてマイクロプロセッサ5に送られる。ピーク周波数は距離に関する情報を有し、前方の物標との相対速度によるドップラー効果のために、送信波の周波数が上昇する時と下降する時ではピーク周波数は異なる。マイクロプロセッサ5は、この送信波の周波数の上昇時と下降時のピーク周波数から、前方の物標との距離及び速度を演算して求める。
【0021】
アンテナ1が正面しか向いていないと、車両の正面を走行する車両しか検出できないので、アンテナ1は駆動回路6によって駆動されるモータ7により、左右に振られる(スキャンされる)。アンテナ1がモータ7によって左右に振られる角度は、車両の正面を0°として、左右にそれぞれ10°前後、例えば、8°ずつである。そして、アンテナ1から放射されるミリ波は、この16°の範囲内でビームとして所定角度毎に複数本放射される。
【0022】
マイクロプロセッサ5には、車間距離制御ECU(エレクトロニックコントロールユニット)20が接続されている。車間距離制御ECU20には、警報器11、ブレーキ12、及びスロットル弁13が接続されており、マイクロプロセッサ5から得られる物標(先行車両)との相対速度と距離に応じて、これらの動作が制御される。例えば、先行車両との距離が所定値以下になった時には、安全性の確保のために、警報器11を鳴動させて運転者に注意を促したり、ブレーキ12を作動させたり、スロットル弁13を絞ってエンジンの回転を低下させる。
【0023】
また、マイクロプロセッサ5には、後述する道路のカーブ情報を得るために、ステアリングホイールの操舵角を検出するステアリングセンサ14、ヨーレートセンサ15、及び車速センサ16が接続されている。なお、ステアリングセンサ14とヨーレートセンサ15とは、両方が必須ではなく、どちらか一方だけあっても良いものである。
【0024】
図2は、物標が相対速度Vで近づく場合の、ミリ波レーダ装置10の原理を示すものである。送信波は(a)に実線で示すように周波数が変化する三角波である。送信波の中心周波数はfo、FM変調幅はΔf、繰り返し周期はTmである。この送信波は物標で反射されてアンテナ1で受信され、破線で示すような受信波が受信信号として得られる。この受信波は物標との間の距離に応じて送信信号との周波数のずれ(ビート)を起こす。この場合、物標との間に相対速度Vがあるので、ドップラー効果によりビート信号とその周波数は(b),(c)に示すようになる。即ち、送信波の周波数が上昇していく時のアップビートとの周波数差fbuの方が、送信波の周波数が下降していく時のダウンビートとの周波数差fbdよりも小さくなる。なお、物標との相対速度が0の場合は、ビート信号の周波数は、アップビートとダウンビートとで同じになる。
【0025】
なお、車両の前方に物標が複数個存在する場合は、それぞれの物標が複数本のビームを反射するので、1つの物標に対して、アップビートとダウンビートによるピーク周波数がそれぞれ複数個存在する。マイクロプロセッサ5は、アップビートとダウンビートのそれぞれにおいて、複数のピーク周波数の中から、同じ周波数をもったピークのうち最も高いピークを中心にグルーピングを行う。例えば、車両の前方に3つの物標が存在する場合は、ビームの反射波によって、図3に示すようなビート信号の検出角度−周波数特性を示すグラフが得られる。このビート信号のうち、最もパワーの大きいビート信号(ビート信号でできる山の頂点)はピークと呼ばれ、マイクロプロセッサ5は、同一周波数faを持ったピークのうち、ピークP1を持ったグループg1、ピークP2を持ったグループg2、ピークP3を持ったグループg3をグルーピングする。ピーク周波数は正確に同一でなくても、ほぼ同一の周波数であればよい。
【0026】
マイクロプロセッサ5はグルーピングを行った後に、アップビートにおけるグルーピングから得られた物標と、ダウンビートにおけるグルーピングから得られた物標の1対1のペアリング処理を行う。ペアリング処理された2つのピークの周波数の、和から物標との距離が算出され、差から物標との相対速度が算出される。また、マイクロプロセッサ5は、所定時間毎に得られる各物標の位置及び相対速度のデータに基づいて、各物標の連続性を判断し、次の物標の位置(距離)の予測も行う。
【0027】
ここで、本発明のマイクロプロセッサ5による、車両の前方を走行する物標の認識処理方法の第1の形態の概略を、図4に示す処理の流れに基づいて説明する。図4に示す処理は、アンテナが車両の前方を1回スキャンする毎に行われる。
【0028】
この処理では、図4のステップ401に示すように、まず、ピークデータの抽出処理を行う。ピークデータは、例えば、車両の正面を0°として左右にそれぞれ8°ずつ、16°の範囲内でアンテナを左から右、または右から左に振り、この範囲内でビームを均一の角度毎に合計16本放射し、各ビームの反射波によるアップビート信号とダウンビート信号から得ることができる。続くステップ402においては、ビート信号のピークデータをまとめ、代表周波数と角度を算出してこれらのピークデータをグループ化し、物標の存在を検出するグルーピング処理を行う。
【0029】
ステップ403では、ペアリング処理でペアリングを行う。このようにしてペアリングを行った後はステップ404で物標の連続性判定処理を行う。この物標の連続性処理は、ペアリングした結果について、前回の内部データとの連続性を見るものである。連続性の判定は、例えば、距離差、速度差、物標の横方向の位置の差(横位置差)等を使って行う。次に、ステップ405では、静止物としてグルーピングされたデータのペアリングを行ってこのルーチンを終了する。
【0030】
ここで、このようなスキャン式の車載式レーダ装置における本発明の物標の連続性の判定方法の第1の形態について、従来の物標の連続性の判定方法と比較しながら説明する。
【0031】
図5(a)は従来の物標の連続性の判定を説明する図である。レーダ装置で車両の前方の物標を検出する場合、過去に検出した物標データと今回検出した物標データとの連続性を判定することにより、物標を検出している。この図においては、(t)で示す物標データが今回検出した物標データであり、(t−1)で示す物標データが前回検出した物標データを示している。従って、(t−2)で示す物標データが前々回検出した物標データを示しており、(t−3)で示す物標データが前々回の前に検出した物標データを示している。
【0032】
物標データとして検出するデータは、距離、相対速度、横位置、及び角度であり、従来の物標データの連続性の判定条件としては、距離差、相対速度差、及び横位置差が使用されていた。そして、この連続性条件の範囲内であれば、過去の物標データと今回の物標データが示す物標が連続していると判定していた。
【0033】
ところが、このような従来の物標の連続性の判定では、レーダ装置からは送信ビームをあるビーム間隔で放射しているが、遠い位置の物標は横位置で見ると変動量が大きくなり、この変動量を考慮しないと、単純に車の挙動だけでは連続性がとれなかった。例えば、図6(a)に示すように、前回の物標の位置を白い丸で表し、今回の物標の位置をハッチング付きの丸で表すと、物標が車両Cから近距離にある場合は、前回の物標位置が今回の物標位置に対して連続性判定条件である横位置差の範囲内に入るので、この物標の連続性を得ることができる。
【0034】
しかしながら、物標が車両Cから遠い距離にある場合は、物標が前述の近距離の場合と同様の角度(ビーム間隔)だけ移動したとしても、前回の物標位置が今回の物標位置に対して連続性判定条件である横位置差の範囲内に入らなくなるので、この物標の連続性を得ることができなかった。
【0035】
そこで、本発明の第1の形態では、図5(b)に示すように、(t−1)で示す前回の物標位置と、(t)で示す今回の物標位置との連続性を判定する条件として、従来の物標データの連続性の判定条件である、距離差、相対速度差、及び横位置差の条件に、角度差条件をOR条件として加えている。そして、これら4つの連続性判定条件を使用して、過去の物標データと今回の物標データが示す物標が連続していると判定するようにした。更に詳しく述べると、横位置差条件と角度差条件は、このどちらかを物標が満足していれば、連続性を満足していると判定するようにした。
【0036】
図6(b)は、本発明の第1の形態における物標の連続性を判定するマップを図示するものである。この図に示す範囲Aが物標の連続性を判定する従来の横位置差条件であり、例えば、その横位置差が1.8mの範囲を示している。また、範囲Bが今回加えた角度差条件であり、例えば、その角度差が今回の物標位置を中心にして左右に1.2°ずつ、合計2.4°の範囲を示している。この横位置差条件Aと角度差条件Bの重なる範囲が、本発明による前回の物標位置に対する連続性判定条件を示している。この条件によれば、図5(a)で連続性を否定された車両Cから遠い位置にある前回の物標位置は、この角度差条件Bの範囲内に入るので、今回の物標位置と前回の物標位置との連続性を得ることができる。
【0037】
以上のことより、本発明の第1の形態におけるこの実施例では、
|横位置差|<1.8m、または、|角度差|<1.2°
を満足するときに、物標が連続していると判定する。このとき、ビーム間隔は、例えば、1°である。
【0038】
一方、図6(b)から明らかなように、車両Cから物標までの距離が、距離Dまでは横位置条件Aの方が範囲が広く、距離D以遠では角度差条件Bの方が範囲が広い。よって、車両Cから物標までの距離が距離D以内では横位置条件Aで物標の連続性を判定し、距離D以遠では角度差条件Bで物標の連続性を判定するようにしても良い。
【0039】
なお、第1の形態における別の実施例として、
|角度差|<1 .2°または[(1.8m/距離(m))×(180/π)]°の大きい方
或いは、更に別の実施例として、
|横位置差|<1 .8mまたは[(1.2°×距離(m))/(180/π)]mの大きい方
を満足するときに、物標が連続していると判定することができる。
【0040】
なお、横位置差条件の1.8mと角度差条件の1.2°はあくまでも一例であり、第1の形態はこの数値に限定されるものではない。
【0041】
次に、本発明のマイクロプロセッサ5による、車両の前方を走行する物標の認識処理の方法の第2の形態の概略を、図7に示す処理の流れに基づいて説明する。図7に示す処理も、アンテナが車両の前方を1回スキャンする毎に行われる。なお、この処理では、図4で説明した処理と同じ処理には同じステップ番号を付して説明する。
【0042】
この例の処理では、ステップ401でピークデータの抽出処理を行う。ピークデータは、例えば、車両の正面を0°として左右にそれぞれ8°ずつ、16°の範囲内でアンテナを左から右、または右から左に振り、この範囲内でビームを均一の角度毎に合計16本放射し、各ビームの反射波によるアップビート信号とダウンビート信号から得ることができる。続くステップ701では物標の車両からの距離(位置)の予測処理を行う。即ち、物標の連続性を判定するために、物標の今回の車両からの距離の予測値(予測位置)を算出する。この算出では、物標の相対速度が一定として、前回算出した距離から今回の距離を算出する。物標の今回の予測周波数も算出する。
【0043】
次のステップ402においては、ビート信号のピークデータをまとめ、代表周波数と角度を算出してこれらのピークデータをグループ化し、物標の存在を検出するグルーピング処理を行う。ステップ403では、ペアリング処理でペアリングを行う。このようにしてペアリングを行った後はステップ404で物標の連続性判定処理を行う。この物標の連続性処理は、ペアリングした結果について、前回の内部データとの連続性を見るものである。連続性の判定は、例えば、ステップ701で予測した物標の今回の車両からの予測値から所定の範囲内において、距離差、速度差、物標の横方向の位置の差(横位置差)等を使って行う。次に、ステップ405では、静止物としてグルーピングされたデータのペアリングを行ってこのルーチンを終了する。
【0044】
ここで、このようなスキャン式の車載式レーダ装置における本発明の物標の連続性の判定方法の第2の形態について、従来の物標の連続性の判定方法と比較しながら説明する。
【0045】
図8(a)は従来の予測値に基づく物標の連続性の判定を説明する図である。予測値に基づく物標の連続性の判定方法では、物標の前回の位置から、今回の予測値を算出する。この予測値が図8(a)に星印で示される。そして、従来はこの予測位置を中心にして、横方向条件(横位置差)と距離方向条件(周波数差)に基づいて、物標の今回の位置の許容範囲E(ハッチングで示す)を定め、今回の物標の検出位置がこの許容範囲E内にあるか否かで物標の連続性を判定していた。
【0046】
この従来の判定方法では、物標の今回の検出位置TGが許容範囲E内にある時は物標に連続性があると判定し、許容範囲Eの外にある時は、物標に連続性がないと判定していた。
【0047】
ところが、このような従来の物標の連続性の判定では、レーダ装置からは送信ビームをあるビーム間隔で放射しているが、遠い位置の物標は横位置で見ると変動量が大きくなり、この変動量を考慮しないと、単純に車の挙動だけでは連続性がとれなかった。例えば、図8(b)に示すように、今回の物標の予測位置が車両Cから近距離にある場合は、今回の物標の検出位置TGが予測位置の許容範囲E内に入るので、この物標の連続性を得ることができる。
【0048】
一方、今回の物標の予測位置が車両Cから遠い距離にある場合は、物標が前述の近距離の場合と同様の角度(ビーム間隔)だけ移動したとしても、今回の物標の検出位置TGが予測位置の許容範囲E内に入らなくなるので、この物標の連続性を得ることができない。
【0049】
そこで、本発明の第2の形態では、図8(c)に示すように、従来の予測位置に基づく今回の位置の許容範囲Eを定める条件である、予測位置を中心にした横方向条件(横位置差)と距離方向条件(周波数差)に加えて、角度差条件をOR条件として加えている。このため、本発明では、今回の物標の予測位置が車両Cから遠い距離にある場合に、今回の物標の検出位置TGが予測位置の許容範囲Eの、角度差条件による拡張許容範囲EX内に入るので、この物標の連続性を得ることができる。更に詳しく述べると、横位置差条件と角度差条件は、このどちらかを物標が満足していれば、連続性を満足していると判定するようにした。
【0050】
図9は、本発明の第2の形態における物標の連続性を判定するマップを図示したものである。この図に示す範囲Aが物標の連続性を判定する従来の横位置差条件であり、例えば、その横位置差が1.5mの範囲を示している。また、範囲Bが今回加えた角度差条件であり、例えば、その角度差が今回の物標の予測位置を中心にして左右に1.5°ずつ、合計3.0°の範囲を示している。この横位置差条件Aと角度差条件Bの重なる範囲が、本発明による前回の物標位置に対する今回の物標の予測位置に対する許容範囲Eと許容範囲EXによる制限領域、即ち、連続性判定条件を示している。この条件によれば、図8(b)で連続性を否定された車両Cから遠い位置にある物標の位置TGは、この許容範囲EX(角度差条件B)の範囲内に入るので、この物標の連続性を得ることができる。
【0051】
以上のことより、本発明の第2の形態におけるこの実施例では、
|横位置差|<1.5m、または、|角度差|<1.5°
を満足するときに、物標が連続していると判定する。このとき、ビーム間隔は、例えば、1°である。
【0052】
一方、図9から明らかなように、車両Cから物標までの距離が、距離Dまでは横位置条件A(許容範囲E)の方が範囲が広く、距離D以遠では角度差条件Bの方が許容範囲EXだけ範囲が広い。よって、車両Cから物標までの距離が距離D以内では横位置条件Aで物標の連続性を判定し、距離D以遠では角度差条件Bで物標の連続性を判定するようにしても良い。
【0053】
なお、第2の形態における別の実施例として、
|角度差|<1 .5°または[(1.5m/距離(m))×(180/π)]°の大きい方
或いは、更に別の実施例として、
|横位置差|<1 .5mまたは[(1.2°×距離(m))/(180/π)]mの大きい方
を満足するときに、物標が連続していると判定することができる。
【0054】
なお、横位置差条件の1.5mと角度差条件の1.5°はあくまでも一例であり、第2の形態はこの数値に限定されるものではない。
【0055】
最後に、本発明のマイクロプロセッサ5による、車両の前方を走行する物標の認識処理の方法の第3の形態の概略を説明する。第3の形態は図4,図7で説明した手順におけるステップ403のペアリング処理の方法である。
ここで、このようなスキャン式の車載式レーダ装置における本発明の第3の形態のペアリング処理方法について、従来のペアリング方法と比較しながら説明する。
【0056】
図10はレーダ装置におけるアップビートで検出された物標とダウンビートで検出された物標とをペアリングするための従来の条件を説明する図である。左側の図がアップビートにおいて検出された或る物標のピークデータであり、右側の図がダウンビートにおいて検出された同じ物標のピークデータである。この図から分かるように、通常1つの物標をとらえると、アップビートに複数個のピークデータが検出され、時間遅れでダウンビートにも良く似た位置に同様のピークデータが検出される。ピークデータの形状は通常は山形となる。
【0057】
このようなアップビートとダウンビートにおけるピークデータに対して、従来はペアリング条件として角度差とパワー差を用いており、これらの条件が満足された時点でペアリングを行っていた。
【0058】
ところが、3本のピークデータで1つの物標を捕らえている場合、反射強度の関係から近似の曲線を引いて正確な角度が出せたが、反射強度が低い場合、1本のビームが欠落する場合があり、この場合は近似曲線が書けない。すると、計測の角度のばらつきがビームの間隔になってしまい、正確なペアリングが行えなかった。
【0059】
そこで、本発明の第3の形態では、物標から得られたピークデータ数に応じてペアリングの角度範囲条件を変化させ、3本以上のピークデータでペアリングを行うようにして、ペアリングを正確に行えるようにしている。即ち、検出されたピークデータ数が少ない場合は、反射波の検出の角度条件を広げることにより、検出範囲を広げてやって検出ピークデータ数を増やし、3本以上のピークデータでペアリングを行なうようにしている。
【0060】
図11は、レーダ装置におけるアップビートで検出された物標とダウンビートで検出された物標とをペアリングするための、本発明の第3の形態におけるペアリングの角度条件の変更の手順の一例を示すフローチャートである。図11の手順は、アンテナが車両の前方を1回スキャンし、アップビートとダウンビートで物標からの反射波がピークデータとして検出された後毎に行われる。
【0061】
ステップ101ではアップビートとダウンビートにおいてピークデータを検索する角度を角度θに設定する。続くステップ102ではアップビートにおける所定の物標のピークデータ数を計数する。
【0062】
そして、ステップ103においてアップビートで検出された所定の物標に対するピークデータ数が2以下か否かを判定する。ピークデータ数が2以下の場合はステップ104に進み、図13に示すように、検索する角度θを所定角度αだけ増やし、検索角度を広げる。そして、次のステップ105で増やした検索角度が最大許容検索角度θmaxを越えているか否かを判定する。増やした検索角度θが最大許容検索角度θmaxを越えていない場合はステップ102に戻り、ステップ102とステップ103を繰り返す。
【0063】
このように検索する角度θを所定角度αだけ増やしてピークデータ検索する処理は、ステップ103でアップビートのピークデータ数が3以上になった時、及び、ステップ105で増やした検索角度θが最大許容検索角度θmaxを越えてしまった時まで継続される。ステップ105で増やした検索角度θが最大許容検索角度θmaxを越えてしまった場合は、ステップ111に進み、この物標に対するペアリングを実行せずにこのルーチンを終了する。これは、ピークデータ数が2以下のグループは角度ばらつきが大きいためである。一方、ステップ103でアップビートのピークデータ数が3以上と判定され多時はステップ106に進む。
【0064】
ステップ106ではダウンビートにおける所定の物標のピークデータ数を計数する。そして、ステップ107においてダウンビートで検出された所定の物標に対するピークデータ数が2以下か否かを判定する。ピークデータ数が2以下の場合はステップ108に進み、検索する角度θを所定角度αだけ増やし、次のステップ109で増やした検索角度が最大許容検索角度θmaxを越えているか否かを判定する。増やした検索角度θが最大許容検索角度θmaxを越えていない場合はステップ106に戻り、ステップ106とステップ107を繰り返す。
【0065】
このように検索する角度θを所定角度αだけ増やしてピークデータ検索する処理は、ステップ107でダウンビートのピークデータ数が3以上になった時、及び、ステップ109で増やした検索角度θが最大許容検索角度θmaxを越えてしまった時まで継続される。ステップ109で増やした検索角度θが最大許容検索角度θmaxを越えてしまった場合は、ステップ111に進み、この物標に対するペアリングを実行せずにこのルーチンを終了する。一方、ステップ107でダウンビートのピークデータ数が3以上と判定された時はステップ110に進む。
【0066】
ステップ110では、アップビートで検索されたピークデータとダウンビートで検出されたピークデータとがパワー差条件を満たしているか否かを判定し、パワー差条件を満たしていない場合はステップ111に進み、この物標に対するペアリングを実行せずにこのルーチンを終了する。一方、ステップ110の判定がパワー差条件を満足している場合はステップ112に進んでペアリングを実行してこのルーチンを終了する。
【0067】
このように、第3の形態ではある物標に対するペアリングが必ずピークデータ数が3以上で行われるので、ペアリングを正確に行うことができる。
【0068】
図12は、レーダ装置におけるアップビートで検出された物標とダウンビートで検出された物標とをペアリングするための、本発明のペアリングの角度条件の変更の手順の別の例を示すフローチャートである。図12の手順も、アンテナが車両の前方を1回スキャンし、アップビートとダウンビートで物標からの反射波がピークデータとして検出された後毎に行われる。
【0069】
ステップ201ではアップビートにおいてピークデータを検索する角度を角度θuに設定し、ダウンビートにおいてピークデータを検索する角度を角度θdに設定する。続くステップ202ではアップビートとダウンビートにおける所定の物標のピークデータ数を計数する。
【0070】
そして、ステップ203においてアップビートで検出された所定の物標に対するピークデータ数が2以下か否かを判定する。ピークデータ数が3以上の場合はステップ203からステップ204に進み、アップビートのピークデータ数が3を越えたことを示すフラグUBPの値を1にしてステップ206に進む。一方、ピークデータ数が2以下の場合はステップ203からステップ204に進み、アップビートのピークデータ数が3を越えたことを示すフラグUBPの値を0にすると共に、検索する角度θuを所定角度αだけ増やしてステップ206に進む。
【0071】
ステップ206では、ダウンビートで検出された所定の物標に対するピークデータ数が2以下か否かを判定する。ピークデータ数が3以上の場合はステップ206からステップ207に進み、ダウンビートのピークデータ数が3を越えたことを示すフラグDBPの値を1にしてステップ209に進む。一方、ピークデータ数が2以下の場合はステップ206からステップ208に進み、ダウンビートのピークデータ数が3を越えたことを示すフラグDBPの値を0にすると共に、検索する角度θdを所定角度αだけ増やしてステップ209に進む。
【0072】
ステップ209では、アップビートのピークデータ数が3を越えたことを示すフラグUBPの値が1、かつ、ダウンビートのピークデータ数が3を越えたことを示すフラグDBPの値が1であるか否かを判定する。UBP=0又はDBP=0の場合はステップ210に進み、ステップ205で増やした検索角度θuが最大許容検索角度θmaxを越えてしまったか、或いはステップ208で増やした検索角度θdが最大許容検索角度θmaxを越えてしまったか否かを判定する。増やした検索角度θu又はθdが最大許容検索角度θmaxを越えていない場合は、ステップ202に戻り、ステップ202からステップ209の処理を繰り返す。
【0073】
このように検索する角度θu,θdを所定角度αだけ増やしながらピークデータを検索する処理は、ステップ209でUBP=1かつDBP=1になるまで継続する。この処理の途中で、ステップ210で増やした検索角度θu又はθdの何れか一方が最大許容検索角度θmaxを越えてしまった場合は、ステップ213に進み、この物標に対するペアリングを実行せずにこのルーチンを終了する。一方、ステップ209でUBP=1かつDBP=1になったと判定した時はステップ211に進む。
【0074】
ステップ211では、アップビートとダウンビートの角度差(θd−θu)の絶対値が所定角度、例えば、1.5°以内か否かを判定し、1.5°以内であればステップ212に進むが、1.5°を越えている場合はステップ213に進み、この物標に対するペアリングを実行せずにこのルーチンを終了する。ステップ212では、アップビートで検索されたピークデータとダウンビートで検出されたピークデータとがパワー差条件を満たしているか否かを判定し、パワー差条件を満たしていない場合はステップ213に進み、この物標に対するペアリングを実行せずにこのルーチンを終了する。一方、ステップ212の判定がパワー差条件を満足している場合はステップ214に進んでペアリングを実行してこのルーチンを終了する。
【0075】
このように、第3の形態の別の例でも、ある物標に対するペアリングが必ずピークデータ数が3以上で行われるので、ペアリングを正確に行うことができる。
【0076】
また、第3の形態において、アップビートとダウンビートにおけるピークデータ数を検出して比較し、少ない方のピークデータ数を、大きい方のピークデータ数(3以上)に合わせるようにし、アップビートとダウンビートにおける代表ピークを算出するピークデータ数を一致させるようにしても良い。
【0077】
なお、以上の実施例では、ミリ波レーダを例にとって車載用レーダ装置の実施例を説明したが、レーダの種類は特に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の車載用レーダ装置であるミリ波レーダ装置の全体構成を示す構成図である。
【図2】(a)は図1のミリ波レーダ装置における物標との相対速度がVである場合の送信波と受信波の変化を時間と共に示す波形図、(b)は(a)の送信波の周波数の変化を示す波形図、(c)は(a)の送信波と受信波との間の周波数のずれであるビートの発生状態を時間と共に示す波形図である。
【図3】車両の前方に3つの物標が存在する場合の、検出角度−周波数特性を示すグラフであり、マイクロプロセッサのグルーピングを説明する図である。
【図4】本発明のマイクロプロセッサの物標の認識処理の流れの一実施例を示すフローチャートである。
【図5】(a)は従来の物標の連続性の判定を説明する図、(b)は本発明の物標の連続性を説明する図である。
【図6】(a)は従来の物標の連続性判定における問題点を説明する図、(b)は本発明の物標の連続性判定を説明する図である。
【図7】本発明のマイクロプロセッサの物標の認識処理の流れの別の実施例を示すフローチャートである。
【図8】(a)は図7の処理手順における物標の予測位置を説明する図、(b)は図7の処理手順における従来の物標の連続性判定処理の問題点を説明する図、(c)は図7の処理手順における本発明の物標の連続性判定処理を説明する図である。
【図9】図7の処理手順における本発明の物標の連続性判定処理を説明する図である。
【図10】レーダ装置におけるアップビートで検出された物標とダウンビートで検出された物標とをペアリングするための従来の条件を説明する図である。
【図11】レーダ装置におけるアップビートで検出された物標とダウンビートで検出された物標とをペアリングするための、本発明のペアリングの角度条件の変更の手順の一例を示すフローチャートである。
【図12】レーダ装置におけるアップビートで検出された物標とダウンビートで検出された物標とをペアリングするための、本発明のペアリングの角度条件の変更の手順の別の例を示すフローチャートである。
【図13】ピークデータ数が2以下の場合に、検索角度を広げる処理を説明する図である。
【符号の説明】
【0079】
1 アンテナ
2 ミリ波RFユニット
3 アナログ回路
4 DSP
5 マイクロプロセッサ
6 駆動回路
7 モータ
10 ミリ波レーダ装置
20 車間距離制御ECU
【技術分野】
【0001】
本発明は車載用レーダ装置に関し、特に、周波数を変調した送信信号と車両の前方を走行する物標で反射して戻った受信信号とを混合して得たビート信号から車両前方の物標を検出する車載用レーダ装置において、前回検出した物標データと今回検出した物標データとの連続性を判定して物標データのペアリングを行うことにより、正確に物標を捕捉することができる車載用レーダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、単調な高速道路走行や、長時間運転の機会の増大により、運転者の注意力が散漫になって自動車の衝突事故が増大する傾向にある。また、定速走行装置による自動定速走行に加えて、高速道路で先行する自動車を追尾しながら自動走行をしたいという要望もある。
【0003】
このような状況の下で、先行する自動車と自分が運転する自動車との間の距離を常時測定し、この距離の減少度合いが大きい時に自動的に自分が運転する自動車の走行速度を減速したり、ブレーキをかけたりして、衝突を未然に防止する車載用レーダ装置や、前方を走行する複数の自動車の位置を常時監視しながら自動走行を行うようにした車載用レーダ装置が実用段階にある。
【0004】
このような車載用レーダ装置には、一般に、FM−CW(周波数変調連続波)レーダや、パルスドライブレーダ等の方式がある。この中で、FM−CWレーダ装置は、送信用電圧制御発振器(VCO)に三角波のベースバンド信号を加え、周波数変調を行ってアンテナから自動車の前方に送信し、先行する自動車等の物標にあたって反射した信号をアンテナで受信する一方、これら送信信号と受信信号とを混合して得たビート信号から、前方の物標を検出している。
【0005】
この場合、送信信号は自動車の前方の所定の角度範囲でアンテナをスキャンさせることにより、複数本のビームが所定の角度間隔で送信される。このようなスキャン式の車載式レーダ装置で自車の前方の物標を検出する場合、過去に検出した物標データと今回検出した物標データとの連続性を判定することにより、物標を検出していた。検出する物標データは、距離、相対速度、横位置、及び角度であり、物標データの連続性の判定条件としては、距離差、相対速度差、及び横位置差が使用されていた。そして、この連続性条件の範囲内であれば、過去の物標データと今回の物標データが示す物標が連続していると判定していた。
【0006】
また、このようなスキャン式の車載式レーダ装置の中には、ビームの同角度、距離の変化率を加味して物標の予測位置を求め、予測位置に近似のものを物標と同一物と判断するもの(例えば、特許文献1)が知られている。
【0007】
【特許文献1】特開平9−264955号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前述のようなスキャン式の車載用レーダ装置には、以下のような問題点があった。
(1)物標の横位置の値は、物標の角度値より算出しているため、レーダ装置から照射されるビーム間隔分のばらつきが発生する可能性があり、このばらつきは物標の距離が車両から遠方であるほど大きくなるため、遠方物標の連続性を誤判定してしまうことがあった。
【0009】
(2)二輪車のような検出ビーム数の少ない物標の場合、物標データにビーム間隔分のばらつきが発生する可能性があり、ペアリングできない場合があった。
(3)また、特許文献1に記載のレーダ装置では、前回と今回の検知物を予測位置で比較し、角度、距離を基に同一物の判断をしているが、同時に角度と距離の両面の閾値を設けて判断していないので、誤判定の虞があった。
【0010】
そこで、本発明は、前記従来の車載用レーダ装置の有する課題を解消し、スキャン式の車載用レーダ装置において、物標の過去の検出データと今回の検出データの連続性判定の条件を変更することにより、物標の車両からの距離に係わらず正常な物標データの連続性の判定が行えると共に、物標の種類に係わらず正常なペアリングが行える、車載用レーダ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成する本発明の第1の形態は、周波数変調信号を送信し、車両前方の物標で反射して戻ってきた信号を受信し、これら送信信号と受信信号とを混合して得たビート信号から車両前方の物標を検出する車載用レーダ装置であって、検出した過去の物標データと今回の物標データとの連続性の判定を、物標との距離差、相対速度差、及び横位置差の条件で行う連続性判定手段を有する車載用レーダ装置において、連続性判定手段は、車両と物標との距離が所定以上である場合は、横位置差に替えて角度差を判定条件とすることを特徴としている。
【0012】
前記目的を達成する本発明の第2の形態は、周波数変調信号を送信し、車両前方の物標で反射して戻ってきた信号を受信し、これら送信信号と受信信号とを混合して得たビート信号から車両前方の物標を検出する車載用レーダ装置であって、検出した過去の物標データと今回の物標データとの連続性の判定を、物標との距離差、相対速度差、及び横位置差の条件で行う連続性判定手段を有する車載用レーダ装置において、連続性判定手段の判定条件を、物標との距離差、相対速度差、及び横位置差又は角度差の何れか一方の満足としたことを特徴としている。
【0013】
この場合、連続性判定手段は、物標までの距離が所定値未満の場合に判定条件として横位置差を使用し、物標までの距離が所定値以上の場合に判定条件として角度差を使用するようにしても良い。
【0014】
前記目的を達成する本発明の第3の形態は、周波数変調信号を送信し、車両前方の物標で反射して戻ってきた信号を受信し、これら送信信号と受信信号とを混合して得たビート信号から車両前方の物標を検出する車載用レーダ装置であって、検出した過去の物標データから今回の物標の位置を予測し、今回検出した物標データにおける物標の位置が、予測位置データにおける物標の所定横位置範囲内にあるか否かで物標の連続性の判定を行う連続性判定手段を有する車載用レーダ装置において、連続性判定手段を、今回検出した物標の横位置が、物標の予測位置における所定横位置範囲内にあるか否か、或いは、物標の予測位置における所定角度範囲内にあるか否かの何れか一方で物標の連続性の判定を行うように構成したことを特徴としている。
【0015】
この場合、連続性判定手段は、物標までの距離が所定値未満の場合に、今回検出した物標の横位置が、物標の予測位置における所定横位置範囲内にあるか否かで物標の連続性の判定を行い、物標までの距離が所定値以上の場合に、今回検出した物標の横位置が、物標の予測位置における所定角度範囲内にあるか否かで物標の連続性の判定を行うようにすることができる。
【0016】
本発明の第1から第3の形態の車載用レーダ装置によれば、過去の物標データと現在の物標データの連続性の判定に、物標の横位置条件に加えて角度条件を加えたので、物標の車両からの距離に係わらず、正常な物標の連続性判断ができるようになる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明の第1から第3の形態の車載用レーダ装置によれば、過去の物標データと現在の物標データの連続性の判定に、物標の横位置条件に加えて角度条件を加えたので、物標の車両からの距離に係わらず、正常な物標の連続性判断ができるようになるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下添付図面を用いて本発明の実施形態を具体的な実施例に基づいて詳細に説明する。
【0019】
図1は本発明の車載用レーダ装置であるミリ波レーダ装置10の全体構成を示すものである。ミリ波レーダ装置10では、アナログ回路3に内蔵されている送信機制御回路3Tからの信号により、ミリ波RFユニット2内の回路において送信信号が三角波、又はそれに近い形で変調周波数Δfを与えて変調され、ミリ波に変換されてアンテナ1を通じて車両の前方に放射される。車両の前方の物標で反射して戻ってきたミリ波はアンテナ1で受信され、ミリ波RFユニット2においてミキサ(図示せず)に供給される。ミキサには送信信号の一部が入力されているので、物標からの距離や相対速度に応じた信号がビート信号として得られる。このビート信号はアナログ回路3に内蔵されている受信回路3Rを通じてDSP(ディジタル信号プロセッサ)4に送られる。
【0020】
DSP4ではビート信号をFFT(高速フーリエ変換)解析してどの周波数帯に成分があるかを抽出する周波数分析を行う。周波数分析されたビート信号は物標に対してパワーが大きくなるピークが生じるが、このピークに対応する周波数はピーク周波数と呼ばれる。このピーク周波数はピークデータとしてマイクロプロセッサ5に送られる。ピーク周波数は距離に関する情報を有し、前方の物標との相対速度によるドップラー効果のために、送信波の周波数が上昇する時と下降する時ではピーク周波数は異なる。マイクロプロセッサ5は、この送信波の周波数の上昇時と下降時のピーク周波数から、前方の物標との距離及び速度を演算して求める。
【0021】
アンテナ1が正面しか向いていないと、車両の正面を走行する車両しか検出できないので、アンテナ1は駆動回路6によって駆動されるモータ7により、左右に振られる(スキャンされる)。アンテナ1がモータ7によって左右に振られる角度は、車両の正面を0°として、左右にそれぞれ10°前後、例えば、8°ずつである。そして、アンテナ1から放射されるミリ波は、この16°の範囲内でビームとして所定角度毎に複数本放射される。
【0022】
マイクロプロセッサ5には、車間距離制御ECU(エレクトロニックコントロールユニット)20が接続されている。車間距離制御ECU20には、警報器11、ブレーキ12、及びスロットル弁13が接続されており、マイクロプロセッサ5から得られる物標(先行車両)との相対速度と距離に応じて、これらの動作が制御される。例えば、先行車両との距離が所定値以下になった時には、安全性の確保のために、警報器11を鳴動させて運転者に注意を促したり、ブレーキ12を作動させたり、スロットル弁13を絞ってエンジンの回転を低下させる。
【0023】
また、マイクロプロセッサ5には、後述する道路のカーブ情報を得るために、ステアリングホイールの操舵角を検出するステアリングセンサ14、ヨーレートセンサ15、及び車速センサ16が接続されている。なお、ステアリングセンサ14とヨーレートセンサ15とは、両方が必須ではなく、どちらか一方だけあっても良いものである。
【0024】
図2は、物標が相対速度Vで近づく場合の、ミリ波レーダ装置10の原理を示すものである。送信波は(a)に実線で示すように周波数が変化する三角波である。送信波の中心周波数はfo、FM変調幅はΔf、繰り返し周期はTmである。この送信波は物標で反射されてアンテナ1で受信され、破線で示すような受信波が受信信号として得られる。この受信波は物標との間の距離に応じて送信信号との周波数のずれ(ビート)を起こす。この場合、物標との間に相対速度Vがあるので、ドップラー効果によりビート信号とその周波数は(b),(c)に示すようになる。即ち、送信波の周波数が上昇していく時のアップビートとの周波数差fbuの方が、送信波の周波数が下降していく時のダウンビートとの周波数差fbdよりも小さくなる。なお、物標との相対速度が0の場合は、ビート信号の周波数は、アップビートとダウンビートとで同じになる。
【0025】
なお、車両の前方に物標が複数個存在する場合は、それぞれの物標が複数本のビームを反射するので、1つの物標に対して、アップビートとダウンビートによるピーク周波数がそれぞれ複数個存在する。マイクロプロセッサ5は、アップビートとダウンビートのそれぞれにおいて、複数のピーク周波数の中から、同じ周波数をもったピークのうち最も高いピークを中心にグルーピングを行う。例えば、車両の前方に3つの物標が存在する場合は、ビームの反射波によって、図3に示すようなビート信号の検出角度−周波数特性を示すグラフが得られる。このビート信号のうち、最もパワーの大きいビート信号(ビート信号でできる山の頂点)はピークと呼ばれ、マイクロプロセッサ5は、同一周波数faを持ったピークのうち、ピークP1を持ったグループg1、ピークP2を持ったグループg2、ピークP3を持ったグループg3をグルーピングする。ピーク周波数は正確に同一でなくても、ほぼ同一の周波数であればよい。
【0026】
マイクロプロセッサ5はグルーピングを行った後に、アップビートにおけるグルーピングから得られた物標と、ダウンビートにおけるグルーピングから得られた物標の1対1のペアリング処理を行う。ペアリング処理された2つのピークの周波数の、和から物標との距離が算出され、差から物標との相対速度が算出される。また、マイクロプロセッサ5は、所定時間毎に得られる各物標の位置及び相対速度のデータに基づいて、各物標の連続性を判断し、次の物標の位置(距離)の予測も行う。
【0027】
ここで、本発明のマイクロプロセッサ5による、車両の前方を走行する物標の認識処理方法の第1の形態の概略を、図4に示す処理の流れに基づいて説明する。図4に示す処理は、アンテナが車両の前方を1回スキャンする毎に行われる。
【0028】
この処理では、図4のステップ401に示すように、まず、ピークデータの抽出処理を行う。ピークデータは、例えば、車両の正面を0°として左右にそれぞれ8°ずつ、16°の範囲内でアンテナを左から右、または右から左に振り、この範囲内でビームを均一の角度毎に合計16本放射し、各ビームの反射波によるアップビート信号とダウンビート信号から得ることができる。続くステップ402においては、ビート信号のピークデータをまとめ、代表周波数と角度を算出してこれらのピークデータをグループ化し、物標の存在を検出するグルーピング処理を行う。
【0029】
ステップ403では、ペアリング処理でペアリングを行う。このようにしてペアリングを行った後はステップ404で物標の連続性判定処理を行う。この物標の連続性処理は、ペアリングした結果について、前回の内部データとの連続性を見るものである。連続性の判定は、例えば、距離差、速度差、物標の横方向の位置の差(横位置差)等を使って行う。次に、ステップ405では、静止物としてグルーピングされたデータのペアリングを行ってこのルーチンを終了する。
【0030】
ここで、このようなスキャン式の車載式レーダ装置における本発明の物標の連続性の判定方法の第1の形態について、従来の物標の連続性の判定方法と比較しながら説明する。
【0031】
図5(a)は従来の物標の連続性の判定を説明する図である。レーダ装置で車両の前方の物標を検出する場合、過去に検出した物標データと今回検出した物標データとの連続性を判定することにより、物標を検出している。この図においては、(t)で示す物標データが今回検出した物標データであり、(t−1)で示す物標データが前回検出した物標データを示している。従って、(t−2)で示す物標データが前々回検出した物標データを示しており、(t−3)で示す物標データが前々回の前に検出した物標データを示している。
【0032】
物標データとして検出するデータは、距離、相対速度、横位置、及び角度であり、従来の物標データの連続性の判定条件としては、距離差、相対速度差、及び横位置差が使用されていた。そして、この連続性条件の範囲内であれば、過去の物標データと今回の物標データが示す物標が連続していると判定していた。
【0033】
ところが、このような従来の物標の連続性の判定では、レーダ装置からは送信ビームをあるビーム間隔で放射しているが、遠い位置の物標は横位置で見ると変動量が大きくなり、この変動量を考慮しないと、単純に車の挙動だけでは連続性がとれなかった。例えば、図6(a)に示すように、前回の物標の位置を白い丸で表し、今回の物標の位置をハッチング付きの丸で表すと、物標が車両Cから近距離にある場合は、前回の物標位置が今回の物標位置に対して連続性判定条件である横位置差の範囲内に入るので、この物標の連続性を得ることができる。
【0034】
しかしながら、物標が車両Cから遠い距離にある場合は、物標が前述の近距離の場合と同様の角度(ビーム間隔)だけ移動したとしても、前回の物標位置が今回の物標位置に対して連続性判定条件である横位置差の範囲内に入らなくなるので、この物標の連続性を得ることができなかった。
【0035】
そこで、本発明の第1の形態では、図5(b)に示すように、(t−1)で示す前回の物標位置と、(t)で示す今回の物標位置との連続性を判定する条件として、従来の物標データの連続性の判定条件である、距離差、相対速度差、及び横位置差の条件に、角度差条件をOR条件として加えている。そして、これら4つの連続性判定条件を使用して、過去の物標データと今回の物標データが示す物標が連続していると判定するようにした。更に詳しく述べると、横位置差条件と角度差条件は、このどちらかを物標が満足していれば、連続性を満足していると判定するようにした。
【0036】
図6(b)は、本発明の第1の形態における物標の連続性を判定するマップを図示するものである。この図に示す範囲Aが物標の連続性を判定する従来の横位置差条件であり、例えば、その横位置差が1.8mの範囲を示している。また、範囲Bが今回加えた角度差条件であり、例えば、その角度差が今回の物標位置を中心にして左右に1.2°ずつ、合計2.4°の範囲を示している。この横位置差条件Aと角度差条件Bの重なる範囲が、本発明による前回の物標位置に対する連続性判定条件を示している。この条件によれば、図5(a)で連続性を否定された車両Cから遠い位置にある前回の物標位置は、この角度差条件Bの範囲内に入るので、今回の物標位置と前回の物標位置との連続性を得ることができる。
【0037】
以上のことより、本発明の第1の形態におけるこの実施例では、
|横位置差|<1.8m、または、|角度差|<1.2°
を満足するときに、物標が連続していると判定する。このとき、ビーム間隔は、例えば、1°である。
【0038】
一方、図6(b)から明らかなように、車両Cから物標までの距離が、距離Dまでは横位置条件Aの方が範囲が広く、距離D以遠では角度差条件Bの方が範囲が広い。よって、車両Cから物標までの距離が距離D以内では横位置条件Aで物標の連続性を判定し、距離D以遠では角度差条件Bで物標の連続性を判定するようにしても良い。
【0039】
なお、第1の形態における別の実施例として、
|角度差|<1 .2°または[(1.8m/距離(m))×(180/π)]°の大きい方
或いは、更に別の実施例として、
|横位置差|<1 .8mまたは[(1.2°×距離(m))/(180/π)]mの大きい方
を満足するときに、物標が連続していると判定することができる。
【0040】
なお、横位置差条件の1.8mと角度差条件の1.2°はあくまでも一例であり、第1の形態はこの数値に限定されるものではない。
【0041】
次に、本発明のマイクロプロセッサ5による、車両の前方を走行する物標の認識処理の方法の第2の形態の概略を、図7に示す処理の流れに基づいて説明する。図7に示す処理も、アンテナが車両の前方を1回スキャンする毎に行われる。なお、この処理では、図4で説明した処理と同じ処理には同じステップ番号を付して説明する。
【0042】
この例の処理では、ステップ401でピークデータの抽出処理を行う。ピークデータは、例えば、車両の正面を0°として左右にそれぞれ8°ずつ、16°の範囲内でアンテナを左から右、または右から左に振り、この範囲内でビームを均一の角度毎に合計16本放射し、各ビームの反射波によるアップビート信号とダウンビート信号から得ることができる。続くステップ701では物標の車両からの距離(位置)の予測処理を行う。即ち、物標の連続性を判定するために、物標の今回の車両からの距離の予測値(予測位置)を算出する。この算出では、物標の相対速度が一定として、前回算出した距離から今回の距離を算出する。物標の今回の予測周波数も算出する。
【0043】
次のステップ402においては、ビート信号のピークデータをまとめ、代表周波数と角度を算出してこれらのピークデータをグループ化し、物標の存在を検出するグルーピング処理を行う。ステップ403では、ペアリング処理でペアリングを行う。このようにしてペアリングを行った後はステップ404で物標の連続性判定処理を行う。この物標の連続性処理は、ペアリングした結果について、前回の内部データとの連続性を見るものである。連続性の判定は、例えば、ステップ701で予測した物標の今回の車両からの予測値から所定の範囲内において、距離差、速度差、物標の横方向の位置の差(横位置差)等を使って行う。次に、ステップ405では、静止物としてグルーピングされたデータのペアリングを行ってこのルーチンを終了する。
【0044】
ここで、このようなスキャン式の車載式レーダ装置における本発明の物標の連続性の判定方法の第2の形態について、従来の物標の連続性の判定方法と比較しながら説明する。
【0045】
図8(a)は従来の予測値に基づく物標の連続性の判定を説明する図である。予測値に基づく物標の連続性の判定方法では、物標の前回の位置から、今回の予測値を算出する。この予測値が図8(a)に星印で示される。そして、従来はこの予測位置を中心にして、横方向条件(横位置差)と距離方向条件(周波数差)に基づいて、物標の今回の位置の許容範囲E(ハッチングで示す)を定め、今回の物標の検出位置がこの許容範囲E内にあるか否かで物標の連続性を判定していた。
【0046】
この従来の判定方法では、物標の今回の検出位置TGが許容範囲E内にある時は物標に連続性があると判定し、許容範囲Eの外にある時は、物標に連続性がないと判定していた。
【0047】
ところが、このような従来の物標の連続性の判定では、レーダ装置からは送信ビームをあるビーム間隔で放射しているが、遠い位置の物標は横位置で見ると変動量が大きくなり、この変動量を考慮しないと、単純に車の挙動だけでは連続性がとれなかった。例えば、図8(b)に示すように、今回の物標の予測位置が車両Cから近距離にある場合は、今回の物標の検出位置TGが予測位置の許容範囲E内に入るので、この物標の連続性を得ることができる。
【0048】
一方、今回の物標の予測位置が車両Cから遠い距離にある場合は、物標が前述の近距離の場合と同様の角度(ビーム間隔)だけ移動したとしても、今回の物標の検出位置TGが予測位置の許容範囲E内に入らなくなるので、この物標の連続性を得ることができない。
【0049】
そこで、本発明の第2の形態では、図8(c)に示すように、従来の予測位置に基づく今回の位置の許容範囲Eを定める条件である、予測位置を中心にした横方向条件(横位置差)と距離方向条件(周波数差)に加えて、角度差条件をOR条件として加えている。このため、本発明では、今回の物標の予測位置が車両Cから遠い距離にある場合に、今回の物標の検出位置TGが予測位置の許容範囲Eの、角度差条件による拡張許容範囲EX内に入るので、この物標の連続性を得ることができる。更に詳しく述べると、横位置差条件と角度差条件は、このどちらかを物標が満足していれば、連続性を満足していると判定するようにした。
【0050】
図9は、本発明の第2の形態における物標の連続性を判定するマップを図示したものである。この図に示す範囲Aが物標の連続性を判定する従来の横位置差条件であり、例えば、その横位置差が1.5mの範囲を示している。また、範囲Bが今回加えた角度差条件であり、例えば、その角度差が今回の物標の予測位置を中心にして左右に1.5°ずつ、合計3.0°の範囲を示している。この横位置差条件Aと角度差条件Bの重なる範囲が、本発明による前回の物標位置に対する今回の物標の予測位置に対する許容範囲Eと許容範囲EXによる制限領域、即ち、連続性判定条件を示している。この条件によれば、図8(b)で連続性を否定された車両Cから遠い位置にある物標の位置TGは、この許容範囲EX(角度差条件B)の範囲内に入るので、この物標の連続性を得ることができる。
【0051】
以上のことより、本発明の第2の形態におけるこの実施例では、
|横位置差|<1.5m、または、|角度差|<1.5°
を満足するときに、物標が連続していると判定する。このとき、ビーム間隔は、例えば、1°である。
【0052】
一方、図9から明らかなように、車両Cから物標までの距離が、距離Dまでは横位置条件A(許容範囲E)の方が範囲が広く、距離D以遠では角度差条件Bの方が許容範囲EXだけ範囲が広い。よって、車両Cから物標までの距離が距離D以内では横位置条件Aで物標の連続性を判定し、距離D以遠では角度差条件Bで物標の連続性を判定するようにしても良い。
【0053】
なお、第2の形態における別の実施例として、
|角度差|<1 .5°または[(1.5m/距離(m))×(180/π)]°の大きい方
或いは、更に別の実施例として、
|横位置差|<1 .5mまたは[(1.2°×距離(m))/(180/π)]mの大きい方
を満足するときに、物標が連続していると判定することができる。
【0054】
なお、横位置差条件の1.5mと角度差条件の1.5°はあくまでも一例であり、第2の形態はこの数値に限定されるものではない。
【0055】
最後に、本発明のマイクロプロセッサ5による、車両の前方を走行する物標の認識処理の方法の第3の形態の概略を説明する。第3の形態は図4,図7で説明した手順におけるステップ403のペアリング処理の方法である。
ここで、このようなスキャン式の車載式レーダ装置における本発明の第3の形態のペアリング処理方法について、従来のペアリング方法と比較しながら説明する。
【0056】
図10はレーダ装置におけるアップビートで検出された物標とダウンビートで検出された物標とをペアリングするための従来の条件を説明する図である。左側の図がアップビートにおいて検出された或る物標のピークデータであり、右側の図がダウンビートにおいて検出された同じ物標のピークデータである。この図から分かるように、通常1つの物標をとらえると、アップビートに複数個のピークデータが検出され、時間遅れでダウンビートにも良く似た位置に同様のピークデータが検出される。ピークデータの形状は通常は山形となる。
【0057】
このようなアップビートとダウンビートにおけるピークデータに対して、従来はペアリング条件として角度差とパワー差を用いており、これらの条件が満足された時点でペアリングを行っていた。
【0058】
ところが、3本のピークデータで1つの物標を捕らえている場合、反射強度の関係から近似の曲線を引いて正確な角度が出せたが、反射強度が低い場合、1本のビームが欠落する場合があり、この場合は近似曲線が書けない。すると、計測の角度のばらつきがビームの間隔になってしまい、正確なペアリングが行えなかった。
【0059】
そこで、本発明の第3の形態では、物標から得られたピークデータ数に応じてペアリングの角度範囲条件を変化させ、3本以上のピークデータでペアリングを行うようにして、ペアリングを正確に行えるようにしている。即ち、検出されたピークデータ数が少ない場合は、反射波の検出の角度条件を広げることにより、検出範囲を広げてやって検出ピークデータ数を増やし、3本以上のピークデータでペアリングを行なうようにしている。
【0060】
図11は、レーダ装置におけるアップビートで検出された物標とダウンビートで検出された物標とをペアリングするための、本発明の第3の形態におけるペアリングの角度条件の変更の手順の一例を示すフローチャートである。図11の手順は、アンテナが車両の前方を1回スキャンし、アップビートとダウンビートで物標からの反射波がピークデータとして検出された後毎に行われる。
【0061】
ステップ101ではアップビートとダウンビートにおいてピークデータを検索する角度を角度θに設定する。続くステップ102ではアップビートにおける所定の物標のピークデータ数を計数する。
【0062】
そして、ステップ103においてアップビートで検出された所定の物標に対するピークデータ数が2以下か否かを判定する。ピークデータ数が2以下の場合はステップ104に進み、図13に示すように、検索する角度θを所定角度αだけ増やし、検索角度を広げる。そして、次のステップ105で増やした検索角度が最大許容検索角度θmaxを越えているか否かを判定する。増やした検索角度θが最大許容検索角度θmaxを越えていない場合はステップ102に戻り、ステップ102とステップ103を繰り返す。
【0063】
このように検索する角度θを所定角度αだけ増やしてピークデータ検索する処理は、ステップ103でアップビートのピークデータ数が3以上になった時、及び、ステップ105で増やした検索角度θが最大許容検索角度θmaxを越えてしまった時まで継続される。ステップ105で増やした検索角度θが最大許容検索角度θmaxを越えてしまった場合は、ステップ111に進み、この物標に対するペアリングを実行せずにこのルーチンを終了する。これは、ピークデータ数が2以下のグループは角度ばらつきが大きいためである。一方、ステップ103でアップビートのピークデータ数が3以上と判定され多時はステップ106に進む。
【0064】
ステップ106ではダウンビートにおける所定の物標のピークデータ数を計数する。そして、ステップ107においてダウンビートで検出された所定の物標に対するピークデータ数が2以下か否かを判定する。ピークデータ数が2以下の場合はステップ108に進み、検索する角度θを所定角度αだけ増やし、次のステップ109で増やした検索角度が最大許容検索角度θmaxを越えているか否かを判定する。増やした検索角度θが最大許容検索角度θmaxを越えていない場合はステップ106に戻り、ステップ106とステップ107を繰り返す。
【0065】
このように検索する角度θを所定角度αだけ増やしてピークデータ検索する処理は、ステップ107でダウンビートのピークデータ数が3以上になった時、及び、ステップ109で増やした検索角度θが最大許容検索角度θmaxを越えてしまった時まで継続される。ステップ109で増やした検索角度θが最大許容検索角度θmaxを越えてしまった場合は、ステップ111に進み、この物標に対するペアリングを実行せずにこのルーチンを終了する。一方、ステップ107でダウンビートのピークデータ数が3以上と判定された時はステップ110に進む。
【0066】
ステップ110では、アップビートで検索されたピークデータとダウンビートで検出されたピークデータとがパワー差条件を満たしているか否かを判定し、パワー差条件を満たしていない場合はステップ111に進み、この物標に対するペアリングを実行せずにこのルーチンを終了する。一方、ステップ110の判定がパワー差条件を満足している場合はステップ112に進んでペアリングを実行してこのルーチンを終了する。
【0067】
このように、第3の形態ではある物標に対するペアリングが必ずピークデータ数が3以上で行われるので、ペアリングを正確に行うことができる。
【0068】
図12は、レーダ装置におけるアップビートで検出された物標とダウンビートで検出された物標とをペアリングするための、本発明のペアリングの角度条件の変更の手順の別の例を示すフローチャートである。図12の手順も、アンテナが車両の前方を1回スキャンし、アップビートとダウンビートで物標からの反射波がピークデータとして検出された後毎に行われる。
【0069】
ステップ201ではアップビートにおいてピークデータを検索する角度を角度θuに設定し、ダウンビートにおいてピークデータを検索する角度を角度θdに設定する。続くステップ202ではアップビートとダウンビートにおける所定の物標のピークデータ数を計数する。
【0070】
そして、ステップ203においてアップビートで検出された所定の物標に対するピークデータ数が2以下か否かを判定する。ピークデータ数が3以上の場合はステップ203からステップ204に進み、アップビートのピークデータ数が3を越えたことを示すフラグUBPの値を1にしてステップ206に進む。一方、ピークデータ数が2以下の場合はステップ203からステップ204に進み、アップビートのピークデータ数が3を越えたことを示すフラグUBPの値を0にすると共に、検索する角度θuを所定角度αだけ増やしてステップ206に進む。
【0071】
ステップ206では、ダウンビートで検出された所定の物標に対するピークデータ数が2以下か否かを判定する。ピークデータ数が3以上の場合はステップ206からステップ207に進み、ダウンビートのピークデータ数が3を越えたことを示すフラグDBPの値を1にしてステップ209に進む。一方、ピークデータ数が2以下の場合はステップ206からステップ208に進み、ダウンビートのピークデータ数が3を越えたことを示すフラグDBPの値を0にすると共に、検索する角度θdを所定角度αだけ増やしてステップ209に進む。
【0072】
ステップ209では、アップビートのピークデータ数が3を越えたことを示すフラグUBPの値が1、かつ、ダウンビートのピークデータ数が3を越えたことを示すフラグDBPの値が1であるか否かを判定する。UBP=0又はDBP=0の場合はステップ210に進み、ステップ205で増やした検索角度θuが最大許容検索角度θmaxを越えてしまったか、或いはステップ208で増やした検索角度θdが最大許容検索角度θmaxを越えてしまったか否かを判定する。増やした検索角度θu又はθdが最大許容検索角度θmaxを越えていない場合は、ステップ202に戻り、ステップ202からステップ209の処理を繰り返す。
【0073】
このように検索する角度θu,θdを所定角度αだけ増やしながらピークデータを検索する処理は、ステップ209でUBP=1かつDBP=1になるまで継続する。この処理の途中で、ステップ210で増やした検索角度θu又はθdの何れか一方が最大許容検索角度θmaxを越えてしまった場合は、ステップ213に進み、この物標に対するペアリングを実行せずにこのルーチンを終了する。一方、ステップ209でUBP=1かつDBP=1になったと判定した時はステップ211に進む。
【0074】
ステップ211では、アップビートとダウンビートの角度差(θd−θu)の絶対値が所定角度、例えば、1.5°以内か否かを判定し、1.5°以内であればステップ212に進むが、1.5°を越えている場合はステップ213に進み、この物標に対するペアリングを実行せずにこのルーチンを終了する。ステップ212では、アップビートで検索されたピークデータとダウンビートで検出されたピークデータとがパワー差条件を満たしているか否かを判定し、パワー差条件を満たしていない場合はステップ213に進み、この物標に対するペアリングを実行せずにこのルーチンを終了する。一方、ステップ212の判定がパワー差条件を満足している場合はステップ214に進んでペアリングを実行してこのルーチンを終了する。
【0075】
このように、第3の形態の別の例でも、ある物標に対するペアリングが必ずピークデータ数が3以上で行われるので、ペアリングを正確に行うことができる。
【0076】
また、第3の形態において、アップビートとダウンビートにおけるピークデータ数を検出して比較し、少ない方のピークデータ数を、大きい方のピークデータ数(3以上)に合わせるようにし、アップビートとダウンビートにおける代表ピークを算出するピークデータ数を一致させるようにしても良い。
【0077】
なお、以上の実施例では、ミリ波レーダを例にとって車載用レーダ装置の実施例を説明したが、レーダの種類は特に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の車載用レーダ装置であるミリ波レーダ装置の全体構成を示す構成図である。
【図2】(a)は図1のミリ波レーダ装置における物標との相対速度がVである場合の送信波と受信波の変化を時間と共に示す波形図、(b)は(a)の送信波の周波数の変化を示す波形図、(c)は(a)の送信波と受信波との間の周波数のずれであるビートの発生状態を時間と共に示す波形図である。
【図3】車両の前方に3つの物標が存在する場合の、検出角度−周波数特性を示すグラフであり、マイクロプロセッサのグルーピングを説明する図である。
【図4】本発明のマイクロプロセッサの物標の認識処理の流れの一実施例を示すフローチャートである。
【図5】(a)は従来の物標の連続性の判定を説明する図、(b)は本発明の物標の連続性を説明する図である。
【図6】(a)は従来の物標の連続性判定における問題点を説明する図、(b)は本発明の物標の連続性判定を説明する図である。
【図7】本発明のマイクロプロセッサの物標の認識処理の流れの別の実施例を示すフローチャートである。
【図8】(a)は図7の処理手順における物標の予測位置を説明する図、(b)は図7の処理手順における従来の物標の連続性判定処理の問題点を説明する図、(c)は図7の処理手順における本発明の物標の連続性判定処理を説明する図である。
【図9】図7の処理手順における本発明の物標の連続性判定処理を説明する図である。
【図10】レーダ装置におけるアップビートで検出された物標とダウンビートで検出された物標とをペアリングするための従来の条件を説明する図である。
【図11】レーダ装置におけるアップビートで検出された物標とダウンビートで検出された物標とをペアリングするための、本発明のペアリングの角度条件の変更の手順の一例を示すフローチャートである。
【図12】レーダ装置におけるアップビートで検出された物標とダウンビートで検出された物標とをペアリングするための、本発明のペアリングの角度条件の変更の手順の別の例を示すフローチャートである。
【図13】ピークデータ数が2以下の場合に、検索角度を広げる処理を説明する図である。
【符号の説明】
【0079】
1 アンテナ
2 ミリ波RFユニット
3 アナログ回路
4 DSP
5 マイクロプロセッサ
6 駆動回路
7 モータ
10 ミリ波レーダ装置
20 車間距離制御ECU
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数変調信号を送信し、車両前方の物標で反射して戻ってきた信号を受信し、これら送信信号と受信信号とを混合して得たビート信号から車両前方の物標を検出する車載用レーダ装置であって、検出した過去の物標データと今回の物標データとの連続性の判定を、物標との距離差、相対速度差、及び横位置差の条件で行う連続性判定手段を有する車載用レーダ装置において、
前記連続性判定手段は、前記車両と前記物標との距離が所定以上である場合は、横位置差に替えて角度差を判定条件とすることを特徴とする車載用レーダ装置。
【請求項2】
周波数変調信号を送信し、車両前方の物標で反射して戻ってきた信号を受信し、これら送信信号と受信信号とを混合して得たビート信号から車両前方の物標を検出する車載用レーダ装置であって、検出した過去の物標データと今回の物標データとの連続性の判定を、物標との距離差、相対速度差、及び横位置差の条件で行う連続性判定手段を有する車載用レーダ装置において、
前記連続性判定手段の判定条件を、物標との距離差、相対速度差、及び横位置差又は角度差の何れか一方の満足、としたことを特徴とする車載用レーダ装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車載用レーダ装置であって、前記連続性判定手段が、前記物標までの距離が所定値未満の場合に、前記判定条件として横位置差を使用し、前記物標までの距離が所定値以上の場合に、前記判定条件として角度差を使用することを特徴とする車載用レーダ装置。
【請求項4】
周波数変調信号を送信し、車両前方の物標で反射して戻ってきた信号を受信し、これら送信信号と受信信号とを混合して得たビート信号から車両前方の物標を検出する車載用レーダ装置であって、検出した過去の物標データから今回の物標の位置を予測し、今回検出した物標データにおける物標の位置が、前記予測位置データにおける物標の所定横位置範囲内にあるか否かで物標の連続性の判定を行う連続性判定手段を有する車載用レーダ装置において、
前記連続性判定手段を、今回検出した物標の横位置が、前記物標の予測位置における所定横位置範囲内にあるか否か、或いは、前記物標の予測位置における所定角度範囲内にあるか否か、の何れか一方で物標の連続性の判定を行うように構成したことを特徴とする車載用レーダ装置。
【請求項5】
請求項2に記載の車載用レーダ装置であって、前記連続性判定手段は、前記物標までの距離が所定値未満の場合に、今回検出した物標の横位置が、前記物標の予測位置における所定横位置範囲内にあるか否かで物標の連続性の判定を行い、前記物標までの距離が所定値以上の場合に、今回検出した物標の横位置が、前記物標の予測位置における所定角度範囲内にあるか否かで物標の連続性の判定を行うことを特徴とする車載用レーダ装置。
【請求項1】
周波数変調信号を送信し、車両前方の物標で反射して戻ってきた信号を受信し、これら送信信号と受信信号とを混合して得たビート信号から車両前方の物標を検出する車載用レーダ装置であって、検出した過去の物標データと今回の物標データとの連続性の判定を、物標との距離差、相対速度差、及び横位置差の条件で行う連続性判定手段を有する車載用レーダ装置において、
前記連続性判定手段は、前記車両と前記物標との距離が所定以上である場合は、横位置差に替えて角度差を判定条件とすることを特徴とする車載用レーダ装置。
【請求項2】
周波数変調信号を送信し、車両前方の物標で反射して戻ってきた信号を受信し、これら送信信号と受信信号とを混合して得たビート信号から車両前方の物標を検出する車載用レーダ装置であって、検出した過去の物標データと今回の物標データとの連続性の判定を、物標との距離差、相対速度差、及び横位置差の条件で行う連続性判定手段を有する車載用レーダ装置において、
前記連続性判定手段の判定条件を、物標との距離差、相対速度差、及び横位置差又は角度差の何れか一方の満足、としたことを特徴とする車載用レーダ装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車載用レーダ装置であって、前記連続性判定手段が、前記物標までの距離が所定値未満の場合に、前記判定条件として横位置差を使用し、前記物標までの距離が所定値以上の場合に、前記判定条件として角度差を使用することを特徴とする車載用レーダ装置。
【請求項4】
周波数変調信号を送信し、車両前方の物標で反射して戻ってきた信号を受信し、これら送信信号と受信信号とを混合して得たビート信号から車両前方の物標を検出する車載用レーダ装置であって、検出した過去の物標データから今回の物標の位置を予測し、今回検出した物標データにおける物標の位置が、前記予測位置データにおける物標の所定横位置範囲内にあるか否かで物標の連続性の判定を行う連続性判定手段を有する車載用レーダ装置において、
前記連続性判定手段を、今回検出した物標の横位置が、前記物標の予測位置における所定横位置範囲内にあるか否か、或いは、前記物標の予測位置における所定角度範囲内にあるか否か、の何れか一方で物標の連続性の判定を行うように構成したことを特徴とする車載用レーダ装置。
【請求項5】
請求項2に記載の車載用レーダ装置であって、前記連続性判定手段は、前記物標までの距離が所定値未満の場合に、今回検出した物標の横位置が、前記物標の予測位置における所定横位置範囲内にあるか否かで物標の連続性の判定を行い、前記物標までの距離が所定値以上の場合に、今回検出した物標の横位置が、前記物標の予測位置における所定角度範囲内にあるか否かで物標の連続性の判定を行うことを特徴とする車載用レーダ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−232747(P2007−232747A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−164681(P2007−164681)
【出願日】平成19年6月22日(2007.6.22)
【分割の表示】特願2002−295079(P2002−295079)の分割
【原出願日】平成14年10月8日(2002.10.8)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月22日(2007.6.22)
【分割の表示】特願2002−295079(P2002−295079)の分割
【原出願日】平成14年10月8日(2002.10.8)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】
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