説明

車載用出力装置

【課題】搭乗者の煩雑な操作を要することなく車両の状況変化に応じてバリエーションに富んだコンテンツデータの出力を行うこと。
【解決手段】車両及び/または車両周辺の状況をシーン情報として取得し、その取得結果から複数項目の属性値を含んだ車両シーンを設定する車両シーン設定部10と、複数のコンテンツデータに対してそれぞれ車両シーンに関連した属性値を対応付けて管理するデータ管理部20と、車両シーン設定部10が設定した車両シーンに含まれる属性値との比較結果に基づいて適合する属性値が対応付けられたコンテンツデータを抽出するデータ抽出部30と、データ抽出部30が抽出したコンテンツデータを出力機器101に与える出力制御部40とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されて音源データや画像・映像データ等のコンテンツデータの出力を行う車載用出力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今では、車両に対するユーザの要求も多様化しており、加速性や操縦性等の運動性能のみならず、車室内の居住性にも重点がおかれるようになってきている。
【0003】
こうした居住性向上の要求に応えるべく従来においても、車両及び/または車両付近の状況に適合した音楽データを再生するようにした車載再生装置が提供されている。この車載再生装置によれば、例えば選択情報として走行位置、あるいは付近の天候を指定すれば、車両の搭乗者が音楽データを直接指示せずとも、現在の走行位置に相応しい音楽、あるいは現在の天候に相応しい音楽が順次再生されるようになり、車室内の居住性を向上させることが可能になる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2001−189969号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された車載再生装置では、例えば選択情報として走行位置を指定した場合、走行位置の変化によって音楽データが変更されるものの、同じ場所を通過する際には毎回同じ音楽が再生されることになる。これは指定した選択情報以外の状況が変化した場合、例えば通過する時間帯が朝昼晩と変化した場合であっても同じであり、また通過する際の天候が如何なる状況であろうとも再生される音楽が変更されることはない。逆に、選択情報として車両付近の天候を指定した場合には、如何なる時間帯に如何なる場所を走行しようとも、車両付近の天候に変化がない限り同じ音楽が繰り返し再生されることになる。結局、特許文献1に記載された車載再生装置にあっては、選択情報を指定した後に再生される音楽が著しくバリエーションに乏しいものとならざるを得ず、車室内の居住性を快適化するには至らない。
【0006】
因に、特許文献1には、搭乗者が指定する選択情報として走行位置や天候の他に、車両の走行速度、付近の交通情報、目的地情報、搭乗者の気分、搭乗者の情報等の項目が挙げられている。しかしながら、一旦指定した選択情報が車両の状況変化に伴って自動的に切り換わるわけでもなく、上述した問題を解消するためには搭乗者が選択情報を都度指定し直す必要がある。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みて、搭乗者の煩雑な操作を要することなく車両の状況変化に応じてバリエーションに富んだコンテンツデータの出力を行うことのできる車載用出力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明に係る車載用出力装置は、車両に搭載された出力機器を通じてコンテンツデータの出力を行う車載用出力装置であって、車両及び/または車両周辺の状況をシーン情報として取得し、その取得結果から複数項目の属性値を含んだ車両シーンを設定する車両シーン設定手段と、複数のコンテンツデータに対してそれぞれ車両シーンに関連した属性値を対応付けて管理するデータ管理手段と、車両シーン設定手段が設定した車両シーンに含まれる属性値との比較結果に基づいて適合する属性値が対応付けられたコンテンツデータを抽出するデータ抽出手段と、データ抽出手段が抽出したコンテンツデータを出力機器に与える出力制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
この請求項1の発明によれば、車両及び/または車両周辺の状況が複数項目の属性値を含んだ車両シーンとして設定され、この車両シーンに基づいてコンテンツデータの出力が行われる。
【0010】
また、請求項2の発明に係る車載用出力装置は、請求項1の発明において、データ抽出手段は車両シーンに含まれる属性値に対して予め優先度を設定した属性テーブルを有し、この属性テーブルに設定した優先度に従ってコンテンツデータの抽出を行うことを特徴とする。
【0011】
この請求項2の発明によれば、属性テーブルに設定した優先度に従ってコンテンツデータが抽出される。
【0012】
また、請求項3の発明に係る車載用出力装置は、請求項1の発明において、車両シーン設定手段は車両及び/または車両周辺から取得したシーン情報に基づいて次に訪れる車両シーンの変化点及びその到達距離の予測を行う機能を有し、出力制御手段は車両シーンの変化点に到達した際に、出力機器に与えるコンテンツデータの切り換えを行うことを特徴とする。
【0013】
この請求項3の発明によれば、車両シーンの変化点に到達した際に、これに適合するコンテンツデータが出力される。
【0014】
また、請求項4の発明に係る車載用出力装置は、請求項1の発明において、出力制御手段は車両シーン設定手段によって設定した車両シーンに含まれる属性値と、出力機器が現在出力しているコンテンツデータに対応付けられた属性値とを比較するとともに、両者の比較結果から相互の適合状況を報知するための報知データを生成し、これを出力機器に与えることを特徴とする。
【0015】
この請求項4の発明によれば、車両シーンと現在出力されているコンテンツデータとの適合状況が報知される。
【0016】
また、請求項5の発明に係る車載用出力装置は、請求項1の発明において、出力制御手段はデータ抽出手段が抽出したコンテンツデータの識別情報を一覧表示するためのインデックス用データを生成し、これを出力機器に与えることを特徴とする。
【0017】
この請求項5の発明によれば、データ抽出手段によって抽出されたコンテンツデータの識別情報が出力機器に一覧表示される。
【0018】
また、請求項6の発明に係る車載用出力装置は、請求項1の発明において、出力制御手段はデータ抽出手段が抽出したコンテンツデータが音源データである場合、それぞれの特徴部分を順次再生するためのインデックス用データを生成し、これを出力機器に与えることを特徴とする。
【0019】
この請求項6の発明によれば、データ抽出手段によって抽出されたコンテンツデータの特徴部分が出力機器から順次再生される。
【0020】
また、請求項7の発明に係る車載用出力装置は、請求項5または6の発明において、出力制御手段は出力機器から出力されたインデックス用データに基づいてコンテンツデータ選択情報が入力された場合、選択されたコンテンツデータを出力機器に与えることを特徴とする。
【0021】
この請求項7の発明によれば、出力機器から出力されたインデックス用データに基づいてコンテンツデータを選択すれば、そのコンテンツデータが出力機器から出力される。
【0022】
また、請求項8の発明に係る車載用出力装置は、請求項1〜7のいずれか一つに記載の発明において、車両シーン設定手段は、自車両周辺の景色、時刻、天候の項目を含んだ車両シーンを設定することを特徴とする。
【0023】
この請求項8の発明によれば車載用出力装置は、少なくとも景色、時刻、天候の項目を含んだ車両シーンを設定する。
【0024】
また、請求項9の発明に係る車載用出力装置は、請求項1〜8のいずれか一つに記載の発明において、データ抽出手段は、車両シーンに基づいて各項目に対する重み付けを設定し、コンテンツデータに対応付けられた属性値に重み付けを反映させて車両シーンとの比較を行なうことを特徴とする。
【0025】
この請求項9の発明によれば車載用出力装置は、車両シーンに基づいて各項目に対する重み付けを設定し、コンテンツデータに対応付けられた属性値に重み付けを反映させて車両シーンとの比較を行なう。
【0026】
また、請求項10の発明に係る車載用出力装置は、請求項1〜9のいずれか一つに記載の発明において、データ抽出手段は、所定時間以内に再生されたコンテンツデータを除外して抽出することを特徴とする。
【0027】
この請求項10の発明によれば車載用出力装置は、所定時間以内に再生されたコンテンツデータを除外してシーンに合致するコンテンツデータを抽出する。
【0028】
また、請求項11の発明に係る車載用出力装置は、請求項1〜10のいずれか一つに記載の発明において、コンテンツデータ抽出手段は、ユーザからの指示に基づいて、もしくは車両シーンの変化を自律的に検知した場合にコンテンツデータの抽出を行なうことを特徴とする。
【0029】
この請求項11の発明によれば車載用出力装置は、ユーザからの指示に基づいて、もしくは車両シーンの変化を自律的に検知した場合に、シーンに合致したコンテンツデータの抽出を行なう。
【0030】
また、請求項12の発明に係る車載用出力装置は、請求項1〜11のいずれか一つに記載の発明において、コンテンツデータの購入処理を行なう購入処理手段をさらに備え、データ抽出手段は、未購入のコンテンツデータを抽出し、ユーザからの指示に基づいて購入処理を行なうことを特徴とする。
【0031】
この請求項12の発明によれば車載用出力装置は、未購入のコンテンツデータをシーンに合わせて抽出し、購入処理を行なう。
【発明の効果】
【0032】
請求項1の発明によれば、車両及び/または車両周辺の状況が複数項目の属性値を含んだ車両シーンとして設定され、この車両シーンに基づいてコンテンツデータの出力が行われるため、搭乗者が煩雑な操作を行わなくとも、車両及び/または車両周辺に発生する細かな状況変化もが異なる車両シーンとして設定されることになり、バリエーションに富んだコンテンツデータの出力を行うことが可能になるという効果を奏する。
【0033】
請求項2の発明によれば、属性テーブルに設定した優先度に従ってコンテンツデータが抽出されるため、例えば印象の強い属性項目の優先度を高く設定すれば、そのときの状況に、より相応しいコンテンツデータの出力を行うことが可能になるという効果を奏する。
【0034】
請求項3の発明によれば、車両シーンの変化点に到達した際に、これに適合するコンテンツデータが出力されるため、搭乗者の臨場感を増大させることができるという効果を奏する。
【0035】
請求項4の発明によれば、車両シーンと現在出力されているコンテンツデータとの適合状況が報知されるため、搭乗者に現在の状況を認識させることができるという効果を奏する。
【0036】
請求項5の発明によれば、データ抽出手段によって抽出されたコンテンツデータの識別情報が出力機器に一覧表示されるため、状況に応じたコンテンツデータを容易に認識することができるという効果を奏する。
【0037】
請求項6の発明によれば、データ抽出手段によって抽出されたコンテンツデータの特徴部分が出力機器から順次再生されるため、状況に応じたコンテンツデータを容易に認識することができるという効果を奏する。
【0038】
請求項7の発明によれば、出力機器から出力されたインデックス用データに基づいてコンテンツデータを選択すれば、そのコンテンツデータが出力機器から出力されるため、コンテンツデータの出力操作を容易化することができるという効果を奏する。
【0039】
また、請求項8の発明によれば車載用出力装置は、少なくとも景色、時刻、天候の項目を含んだ車両シーンを設定するので、適切なコンテンツデータを自動的に選択する車両用出力装置を得ることができるという効果を奏する。
【0040】
また、請求項9の発明によれば車載用出力装置は、車両シーンに基づいて各項目に対する重み付けを設定し、コンテンツデータに対応付けられた属性値に重み付けを反映させて車両シーンとの比較を行なうので、シーンに高精度に適合したコンテンツデータを選択する車両用出力装置を得ることができるという効果を奏する。
【0041】
また、請求項10の発明によれば車載用出力装置は、所定時間以内に再生されたコンテンツデータを除外してシーンに合致するコンテンツデータを抽出するので、特定のコンテンツデータに再生頻度が偏ることを防止可能な車両用出力装置を得ることができるという効果を奏する。
【0042】
また、請求項11の発明によれば車載用出力装置は、ユーザからの指示に基づいて、もしくは車両シーンの変化を自律的に検知した場合に、シーンに合致したコンテンツデータの抽出を行なうので、任意のタイミングでコンテンツデータの抽出を実行可能な車両用出力装置を得ることができるという効果を奏する。
【0043】
また、請求項12の発明によれば車載用出力装置は、未購入のコンテンツデータをシーンに合わせて抽出し、購入処理を行なうので、シーンに合致したコンテンツデータの購入を支援する車両用出力装置を得ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る車載用出力装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0045】
図1は、本発明の実施の形態である車載用出力装置の概略構成を示すブロック図である。ここで例示する車載用出力装置は、車両に搭載されたスピーカや表示器等の出力機器101を通じて音源データや画像・映像データ等のコンテンツデータを出力するもので、車両シーン設定部10、データ管理部20、データ抽出部30、出力制御部40、主制御部50を備えている。
【0046】
車両シーン設定部10は、車両及び/または車両周辺の状況をシーン情報として取得し、その取得結果から車両シーンを設定するものである。
【0047】
車両シーン設定部10が取得するシーン情報としては、例えば車両情報、エリア情報、照度情報、気象情報、時間情報がある。車両情報は、走行速度や進行方向等の車両自身の状況を示す情報である。エリア情報は、「海岸線」、「山間部」、「市街地」、「農村」、「海」、「山」、「名所」等々、車両の現在位置や目的地等の場所に関する状況を示す情報である。照度情報は、「明るい」、「うす暗い」、「暗い」等々、車両周辺の明るさに関する状況を示す情報である。気象情報は、「晴れ」、「曇り」、「雨」、「雪」、「霧」、「強風」、「台風」、「吹雪」等々、車両周辺の気象に関する状況を示す情報である。時間情報は、「朝」、「昼」、「夕方」、「夜」等の現在の時刻・時間帯、あるいは「春」、「夏」、「秋」、「冬」等の季節に関する状況を示す情報である。
【0048】
これらのシーン情報は、搭乗者が操作する入力手段からの入力情報として、あるいは車両に搭載したカメラ、照度センサ、雨滴センサ、速度センサ等の各種検出機器による検出情報として、さらには各種情報サイトからの配信情報として、それぞれ適宜取得することが可能である。また、エリア情報に関しては、予め地図データに場所に関する種々のデータを設定しておき、GPS(GlobalPositioningSystem)等のシステムを利用して得られる位置情報との組み合わせから取得することも可能である。
【0049】
車両シーン設定部10が設定する車両シーンは、現在の車両の状況、あるいは次に予測される車両の状況を現すデータであり、少なくとも2つの属性値を含んで構成される。
【0050】
車両シーンに含まれる属性値は、シーン情報として取得した車両情報、エリア情報、照度情報、気象情報、時間情報のそれぞれの値である。具体的に説明すれば、例えばエリア情報として「海岸線」、時間情報として「真夏」及び「昼」、照度情報として「明るい」をそれぞれ取得した車両シーン設定部10は、車両シーンとして『真夏の昼の明るい海岸線』を設定する。また、エリア情報として「山間部」、時間情報として「夜」をそれぞれ取得した場合、車両シーン設定部10は、車両シーンとして『夜の山間部』を設定する。
【0051】
また、次に予測される車両シーンを設定した場合には、上述した属性値の他、車両シーンが変更される地点(変化点)までの到達距離を予測したデータが含まれる。
【0052】
データ管理部20は、複数のコンテンツデータに対してそれぞれ車両シーンに関連した属性値を対応付けた状態でハードディスク等のデータ記憶部102に管理・格納するものである。データ管理部20が格納するコンテンツデータは、CD(CompactDisc)、DVD(DigitalVersatileDisc)等の記憶媒体を介して取得したものやコンテンツサーバにアップロードされているものを予めダウンロードすることによって取得したものである。
【0053】
コンテンツデータに対応付ける属性値は、車両シーン設定部10がシーン情報として取得する車両情報、エリア情報、照度情報、気象情報、時間情報のうちの少なくとも1つを属性項目とし、コンテンツデータを出力した場合の印象に最も適合するものである。具体的に説明すれば、例えば「明るい海」を印象付けるコンテンツデータAには「明るい」、「海」という属性値が対応付けられ、また「山」を印象付ける別のコンテンツデータBには「山」という属性値が、「桜の咲いた農村」を印象付けるコンテンツデータCには「春」、「桜」、「農村」という属性値が対応付けられる。
【0054】
コンテンツデータと属性値との対応付けは、CD、DVDに記録する際やコンテンツサーバにアップロードする際に予め実行されていることが好ましいが、データ管理部20がコンテンツデータをデータ記憶部102に格納する際に都度行うようにしても良い。
【0055】
データ抽出部30は、車両シーンが与えられた場合、これに含まれる属性値との比較結果に基づいて、データ記憶部102に格納されたコンテンツデータの中から適合するものを抽出するものである。コンテンツデータを抽出する場合には、車両シーンに含まれる属性値に対して予め優先度を設定した属性テーブル31を適宜用いる。
【0056】
具体的に説明すると、『真夏の昼の明るい海岸線』という車両シーンが与えられた場合、データ抽出部30は、時間情報に関する属性値「真夏」及び「昼」、照度情報に関する属性値「明るい」、エリア情報に関する属性値「海岸線」を取得した後、データ記憶部102に格納されたコンテンツデータの中からこれらに関連する属性値が対応付けられたものを抽出対象として検索を行う。この場合、「真夏」、「昼」、「明るい」、「海岸線」の全てが対応付けられたコンテンツデータが存在すれば、これが最も適合するものとして抽出されることになる。
【0057】
全ての属性値が対応付けられたコンテンツデータが存在しない場合、あるいは複数のコンテンツデータを抽出する場合には、次に3つの属性値が対応付けられたコンテンツデータが抽出対象となる。このとき、データ抽出部30は、属性テーブル31に設定された優先度を参照し、上位3つの属性値が対応付けられたコンテンツデータを抽出対象として検索を行う。以下、同様の処理を実行することによって目的のコンテンツデータを抽出する。尚、与えられた車両シーンに変化点までの到達距離を予測したデータが含まれている場合、データ抽出部30は、この予測到達距離データを、抽出したコンテンツデータに対応付ける処理を行う。
【0058】
図2は、上述した属性テーブル31の一例を示したものである。ここで例示しているコンテンツデータとしては、音源データ、映像データ1、映像データ2である。映像データ1は、車両シーンに適合する映像を映し出すものであり、映像データ2は、エリアの特性を現すものである。例えば映像データ1には、一般的な山や海岸線等の映像が含まれ、映像データ2には、富士山、松島、兼六園等の映像が含まれる。
【0059】
図2からも明らかなように、音源データ及び映像データ1に関しては、エリア情報に比べて照度情報や気象情報の優先度が高く、逆に映像データ2に関しては、照度情報や気象情報に比べてエリア情報の優先度が高く設定してある。前者の場合には、例えば「土砂降りの日の海」であれば、「海」よりも「土砂降りの雨」のイメージが強くなるため、気象情報の優先度がエリア情報よりも高くなっている。後者の場合には、例えば実際の気象や照度にかかわらず、その場所特有の映像を出力するためのものであるから、エリア情報の優先度がその他の情報よりも高くなっている。
【0060】
図1に示すように、車載出力装置の出力制御部40は、スピーカや表示器等の出力機器101から出力される情報を制御するもので、アドバイス部41、サポート部42、介入部43及び出力選択部44を有する。
【0061】
アドバイス部41は、車両シーンを受信し、かつ現在出力機器101から出力されているコンテンツデータが存在する場合、このコンテンツデータに対応付けられた属性値と車両シーンに含まれる属性値とを比較し、その比較結果から両者の適合状況を報知するための報知データを生成してこれを出力機器101に与えるものである。
【0062】
サポート部42は、コンテンツデータを受信した場合、コンテンツデータの識別情報、例えばファイル名を一覧表示するためのインデックス用データを生成し、これを出力機器101に与えるものである。さらにサポート部42は、受信したコンテンツデータが音源データである場合、イントロ部分やサビ(盛り上がり)部分を順次再生するためのインデックス用データを生成し、これを出力機器101に与えるものである。
【0063】
またサポート部42は、インデックス用データを出力機器101に与えた後、予め設定した時間が経過するまでの間、コンテンツデータ選択情報の監視を行う。コンテンツデータ選択情報は、例えば予め用意した選択スイッチ103を適宜ON操作した場合に出力されるようにしておけば良い。インデックス用データの出力に基づいてコンテンツデータ選択情報が入力された場合、サポート部42は、そのコンテンツデータ選択情報を介入部43に対して与える処理も行う。
【0064】
介入部43は、コンテンツデータを受信した場合、これを出力機器101に与える処理を行う。コンテンツデータを出力機器101に与えるタイミングは、コンテンツデータのみを受信した場合と、予測到達距離データと共にコンテンツデータを受信した場合とで互いに異なる。すなわち、前者の場合には受信したコンテンツデータを直ちに出力機器101に与える一方、後者の場合には受信した予測到達距離データに基づいて特定される車両シーンの変化点に到達した時点で出力機器101に与える処理を行う。
【0065】
出力選択部44は、データ抽出部30によって抽出されたコンテンツデータを介入部43に与える場合にサポート部42を経由するか否かを設定するものである。この出力選択部44の設定に関しても、例えば予め用意した設定スイッチ104をON操作した場合にサポート部42を経由するとしておけば良い。
【0066】
主制御部50は、上述した車両シーン設定部10、データ管理部20、データ抽出部30及び出力制御部40を統括的に制御することにより、出力機器101を通じて車両シーンに適合したコンテンツデータの出力を具現化するものである。
【0067】
図3は、上述した車載用出力装置が稼働している場合に主制御部50が実行する処理内容を示したフローチャートである。以下、この図3を参照しながら車載用出力装置の動作について説明する。尚、以下においては便宜上、車両の搭乗者が「ランダムにコンテンツデータを再生する」という選択操作を行ったものとする。
【0068】
まず、車載用出力装置の主制御部50は、車両シーン設定部10を通じてシーン情報を取得する処理を行う(ステップS100)。シーン情報を取得するタイミングは、継続的に取得するようにしても良いし、車両の走行距離が予め設定した値となった場合、あるいは予め地図データに設定されたシーン情報取得地点に到達する毎に取得するようにしても良い。
【0069】
シーン情報を取得した主制御部50は、その取得結果から車両シーン設定部10を通じて車両シーンを設定し(ステップS200)、さらに設定した車両シーンに基づき、データ抽出部30を通じてコンテンツデータの抽出処理を行う(ステップS300)。
【0070】
車両シーンの設定処理及び/またはコンテンツデータの抽出処理は、必ずしもシーン情報を取得するたびに実行する必要はなく、例えば、取得したシーン情報に大きな変化があった場合にのみこれらの処理を行うようにしても構わない。尚、車両シーンに適合したコンテンツデータがデータ記憶部102に存在しなかった場合、主制御部50は、コンテンツサーバから適合するコンテンツデータを検索してダウンロードし、さらにデータ管理部20を介してデータ記憶部102に格納した上でこれを抽出するようにしても良い。
【0071】
コンテンツデータを抽出した主制御部50は、これを出力機器101から出力させるべく出力制御処理を実行する(ステップS400)。
【0072】
図4は、この出力制御処理の詳細を示すフローチャートである。出力制御処理において主制御部50は、まずステップS200で設定された車両シーンが出力制御部40に与えられたか否かを判断し(ステップS410)、さらに現在出力機器101においてコンテンツデータを出力しているか否かを判断する(ステップS420)。出力制御部40に車両シーンが与えられていない場合、あるいは現在出力機器101からコンテンツデータを出力していない場合、主制御部50は、後述のアドバイス処理を実行することなく手順をステップS440に進める。
【0073】
これに対して出力制御部40に車両シーンが与えられ、かつ出力機器101から現在コンテンツデータの出力を行っている場合、主制御部50は、アドバイス処理を実行する(ステップS430)。
【0074】
このアドバイス処理において主制御部50は、図5に示すように、データ管理部20を通じて現在出力されているコンテンツデータの属性値を取得する処理を行う(ステップS431)。さらに、主制御部50は、出力制御部40のアドバイス部41を通じてコンテンツデータの属性値と、車両シーンに含まれる属性値とを比較し(ステップS432)、両者の適合状況を報知するための報知データを生成する(ステップS433)。報知データは、例えば表示器を通じて適合状況を表示するための表示データ及び/またはスピーカを通じて適合状況を音声出力するための音声データである。
【0075】
従って、ステップS434において報知データを出力機器101へ送信すれば、表示器及び/またはスピーカから現在の車両シーンと現在出力されているコンテンツデータとの適合状況が報知されることになる。例えば車両が「真夏の海岸線」を走行しているにも関わらず、スピーカからクリスマスソングが再生されている場合には「現在再生されている楽曲は「冬の夜」に適合したものであり、現在の車両シーンには適合していません。」と報知されることになり、車両の搭乗者に現状を認識させることができる。この場合「現在の車両シーンに適合する曲は○○です。」と積極的にアドバイスするようにしても良い。逆に、ステップS432において実施した比較の結果、現在出力されているコンテンツデータと現在の車両シーンとが適合している場合には、報知データを生成しない、あるいは表示データのみを生成することが好ましい。
【0076】
図4に示すように、アドバイス処理を終了した主制御部50は、次にステップS300において抽出されたコンテンツデータが出力制御部40に与えられたか否かを判断する(ステップS440)。コンテンツデータが出力制御部40に与えられていない場合には、後述のサポート処理及び介入処理を行うことなく手順をリターンさせる。
【0077】
一方、コンテンツデータが出力制御部40に与えられた場合には、さらに設定スイッチ104がONされているか否かを判断する(ステップS450)。設定スイッチ104がONされている場合、つまりコンテンツデータがサポート部42に与えられた場合には、サポート処理を実施した後に介入処理を実施し、設定スイッチ104がONされていない場合、つまりコンテンツデータがサポート部42を経ることなく介入部43に与えられた場合には、サポート処理を行うことなく介入処理を実施する(ステップS460、ステップS470)。
【0078】
図6に示すように、サポート処理において主制御部50は、サポート部42を通じて与えられたコンテンツデータからインデックス用データを生成し(ステップS461)、これを出力機器101に与える処理を行う(ステップS462)。この結果、出力機器101においては、選択されたコンテンツデータのファイル名が表示器に一覧表示され、あるいは選択されたコンテンツデータが音源データである場合、それぞれの特徴部分がスピーカから順次再生されることになる。従って、車両の搭乗者は、出力機器101から出力されるインデックス用データにより、現在の状況に適合したコンテンツデータを容易に認識することができる。この場合、インデックス用データの出力は、車両シーンに適合するものから順に行うことが好ましい。
【0079】
出力機器101に対してインデックス用データを送信した後、主制御部50は、予め設定した時間が経過するまでの間、選択スイッチ103を監視し(ステップS463、ステップS464)、タイムアップ以前に選択スイッチ103がONされた場合、コンテンツ選択情報を介入部43に与え(ステップS465)、その後に手順をリターンさせる。尚、選択スイッチ103がONされずに設定時間が経過した場合には、ステップS465を実施することなく手順をリターンさせる。
【0080】
次に介入処理において主制御部50は、図7に示すように、まず与えられたコンテンツデータに選択情報が含まれているか否かを判断する(ステップS471)。コンテンツデータに選択情報が含まれている場合には、選択情報に対応したコンテンツデータのみを出力データとして設定し(ステップS472)、一方、コンテンツデータに選択情報が含まれていない場合には、ステップS300において抽出されたコンテンツデータを出力データとして設定する(ステップS473)。
【0081】
さらに主制御部50は、出力データとして設定したコンテンツデータに予測到達距離データが対応付けられているか否かを判断する(ステップS474)。出力データとして設定したコンテンツデータに予測到達距離データが対応付けられていない場合、主制御部50は、直ちに出力データを出力機器101に送信する処理を行う(ステップS476)。この結果、現在の車両シーンに適合したコンテンツデータが出力機器101から出力されるため、車室内が車両シーンに適合した雰囲気となり、搭乗者が心地よく感じるようになる。
【0082】
一方、予測到達距離データが対応付けられていた場合には、換言すれば、ステップS200で設定された車両シーンが次に訪れるものを予測するものであった場合には、変化点に到達するまで待機した後に出力データを出力機器101に与える処理を行う(ステップS475、ステップS476)。この結果、車両が変化点を通過するのと同時に、つまり車両シーンが変化するのと同時に出力機器101から出力されるコンテンツデータがこれに適合するものに変更されることになり、車両シーンに適合した雰囲気の変化がより臨場感をもったものとなる。コンテンツデータが音源データである場合には、フェードアウト、フェードインすることにより、つまり現在再生している音源データの音量を漸次減少し、変化点を通過するのと同時に大きな音量で音源データを再生すれば、より効果が増大するので好ましい。
【0083】
以下、上述した処理が繰り返し実行され、車両シーンに適合したコンテンツデータが車室内に出力されるようになる。従って、上記車載用出力装置によれば、車両の搭乗者が常に心地よい感情を抱くようになり、その居住性を向上させることが可能になる。
【0084】
しかも、車両及び/または車両周辺の状況を、複数項目の属性値を含んだ車両シーンとして設定し、この車両シーンに基づいてコンテンツデータの出力を行うようにしている。従って、仮に同じ場所を繰り返し走行した場合であっても、つまりエリア情報に変化がない場合であっても、朝昼晩と通過する時間帯が変化すれば、あるいは春夏秋冬と季節が変化すれば、あるいは気象状況が変化すれば、設定される車両シーンも互いに異なるものとなる。この結果、搭乗者が煩雑な操作を行わなくとも、車両及び/または車両周辺に発生する細かな状況変化もが異なる車両シーンとして設定されることになり、バリエーションに富んだコンテンツデータの出力を行うことが可能になる。
【0085】
尚、車両及び/または車両周辺の状況が短時間のうちに頻繁に変化する場合には、これに伴って出力機器から出力されるコンテンツデータの変更が頻繁となる虞れがある。特に音源データの場合には、演奏時間が設定されているため、変更が頻繁になると演奏が中断する虞れもある。従って、車両シーンを設定する場合には、これらの問題が発生しないように、例えば出発点から目的地までを一つのエリアとして車両シーンを設定する等、変化点が頻発しない範囲で設定することが好ましい。
【0086】
ところで、シーンや属性の設定、コンテンツデータの抽出などは、適宜変更して実施することができる。以下、本発明の変形例について説明する。
【0087】
まず、図8にシーンや属性の設定方法の一例を示す。同図では、「景色」、「時間帯」、「天気」の3つの属性によってシーンを特定している。さらに、シーンごとに各属性に重み付け(属性重要度比率)を設定し、この比率を用いてコンテンツデータを抽出することとしている。
【0088】
具体的には、「景色」の属性は、「1:海岸沿い」、「2:山間部」、「3:市街地」、「4:田園(農村)部」の4つの値のいずれかをとる。また、「時間帯」の属性は「1:早朝(5〜8時)」、「2:朝(8〜12時)」、「3:昼(12〜17時)」、「4:夜(17〜23時)」、「5:深夜(23〜5時)」の5つの値のいずれかをとる。同様に、「天気」の属性は、「1:晴れ」、「2:曇り」、「3:雨」、「4:雪」の4つの値のいずれかをとる。
【0089】
そして、例えば「海岸沿い」「昼」「雨」のシーンでは、属性重要度比率「景色:時間帯:天気」を「10:30:60」とし、「海岸沿い」「昼」「晴れ」のシーンでは、属性重要度比率「景色:時間帯:天気」を「50:40:10」としている。
【0090】
すなわち、天候が雨などの場合には、景色などの属性よりも天候のイメージがユーザに対して強く作用するので天候の属性重要度を高くし、天候が晴れの場合には、周辺の景色のイメージがユーザに対して強く作用するので、景色の属性重要度を高くしている。
【0091】
このように、シーンに応じて各属性に対する重み付けを変化させることで、それぞれの状況におけるユーザの印象に特に適合したコンテンツデータを選定することができる。
【0092】
この重み付けを利用する場合のコンテンツデータの選定について、図9を参照してさらに説明する。同図では、車両シーン設定部10が設定したシーンが「海岸沿い」「昼」「晴れ」であり、属性重要度比率は「50:40:10」である。
【0093】
そして、データ記憶部102が記憶する音楽データA〜Dは、その内容に対応して「景色」、「時間帯」、「天気」の各属性値を付与されている。なお、コンテンツデータに対して付与する属性値は、必ずしも全ての属性について設定する必要は無く、音楽データBの天気のように、「対象なし」の属性があってもよい。
【0094】
これらのデータから選定を行なう場合、シーンと一致する属性については、その属性の重要度分の点数を与え、各項目の点数を合計した結果を比較する。
【0095】
例えば、音楽データAの各属性値は、「1:海岸沿い」、「3:昼」、「1:晴れ」であり、全ての項目がシーンと一致するので、景色の重要度「50」、時間帯の重要度「40」、天気の重要度「10」を合計した「100」が採点結果となる。
【0096】
音楽データBは、景色の属性値が「1:海岸沿い」、時間帯の属性値が「3:昼」であり、天気については「対象なし」である。そこで、景色の重要度「50」と時間帯の重要度「40」を合計した「90」が採点結果となる。
【0097】
また、音楽データCの各属性値は、「1:海岸沿い」、「2:朝」、「1:晴れ」であり、景色と天気の属性値が一致し、時間帯の属性値は一致しない。そのため、景色の重要度「50」と天気の重要度「10」を合計した「60」が採点結果となる。
【0098】
同様に、音楽データDの各属性値は、「3:市街地」、「3:昼」、「4:雪」であり、時間帯の属性値のみが一致し、景色と天気の属性値は一致しない。そのため、時間帯の重要度「40」が採点結果となる。
【0099】
かかる採点をおこなったのち、所定の点数以上の音楽データや、高得点順に所定の数の音楽データなどを選定することで、シーンに合致した音楽データを選定することができる。
【0100】
つぎに、属性重要度比率を利用して音楽データをランダムに再生する場合の処理動作について、図10のフローチャートを参照して説明する。同図に示す処理フローは、ユーザによってシーン連動ランダム再生、すなわちシーンに合致した音楽データのランダム再生を指示された場合に、繰り返し実行する。
【0101】
同図では、まず、車載用出力装置は、シーン連動ランダム再生中であるか否かを判定し(ステップS1101)、シーン連動ランダム再生中でなければ(ステップS1101,No)、そのまま処理を終了する。
【0102】
一方、シーン連動ランダム再生中である場合(ステップS1101,Yes)、車載用出力装置は、再生中の音楽データ(再生中音源)の終了まで60秒未満になるまで待機する(ステップS1102)。
【0103】
そして、再生中音源終了まで60秒未満となったならば(ステップS1102,Yes)、現在地でのシーン特性、すなわち景色属性、時間帯属性、天気属性を取得する(ステップS1103)。
【0104】
つづいて、データ記憶部102(ここではハードディスクドライブ)に記憶した音楽データのシーン特性(各属性の属性値)を取得し(ステップS1104)、現在地のシーン特性と比較して音楽データを選定する(ステップS1105)。
【0105】
さらに、所定時間以内(ここでは24時間以内)に再生した音楽データを候補から削除する(ステップS1106)。このように所定時間以内に再生したデータを除外するのは、同一のシーンにおいて同じ音楽データが繰り返し再生されるのを防ぎ、再生曲目にバリエーションを持たせるためである。
【0106】
ステップ1106の後、残った音楽データがある場合(ステップS1107,Yes)には、その音楽データ(複数残っている場合には最も高得点のデータ)を次の再生音源として登録する(ステップS1108)。また、残った音楽データがない場合(ステップS1107,No)には、通常のランダム再生音源を選定して(例えば全ての音楽データからランダムに選択して)次の再生音源として登録する(ステップS1109)。
【0107】
その後、車載用出力装置は、再生中の音楽データ(再生中音源)の終了まで待機し(ステップS1110)、再生中音源終了後(ステップS1110,Yes)に次の再生音源の再生を開始して(ステップS1111)、処理を終了する。
【0108】
ところで、これまでの説明では、データ記憶部102に格納され、任意に再生可能なコンテンツデータについて説明を行なったが、例えばユーザが未購入のコンテンツデータをシーンに合わせて紹介することもできる。
【0109】
この場合、主制御部50はコンテンツデータの購入機能を有する。コンテンツデータの購入方法は、サーバからのダウンロードであってもよいし、データ記憶部102内に未購入データとして再生を制限したデータを格納し、購入処理によって制限を解除する構成としてもよい。また、未購入のコンテンツデータであっても、その一部をサンプルとして視聴可能とすることで、ユーザの購入を促すことが好適である。
【0110】
シーンに合わせた未購入コンテンツデータの紹介は、ユーザの要求に基づいて実行してもよいし、シーンの変化を検知した場合に自律的に実行してもよい。図11にユーザからの要求があった場合の未購入コンテンツデータの紹介処理について説明するフローチャートを示す。
【0111】
同図に示すように、ユーザから未購入音楽データの紹介要求があった(ステップS1201,Yes)場合、車載用出力装置は、現在地でのシーン特性、すなわち景色属性、時間帯属性、天気属性を取得する(ステップS1202)。
【0112】
つぎに、未購入音楽データのシーン特性(各属性の属性値)を取得し(ステップS1203)、現在地のシーン特性と比較して音楽データを選定する(ステップS1204)。そして、合致する未購入音楽データがない場合(ステップS1205,No)にはそのまま処理を終了し、合致する音楽データがある場合(ステップS1205,Yes)には、そのリストをサンプル再生スイッチと共に表示する(ステップS1206)。
【0113】
その後、サンプル再生スイッチがオンされたならば(ステップS1207,Yes)、サンプル音源を再生し(ステップS1210)、ユーザから購入指示があれば(ステップS1211,Yes)、指定された音楽データを購入(認証および課金)して再生する(ステップS1212)。一方、購入指示がない場合(ステップS1211,No)にはそのまま処理を終了する。
【0114】
また、サンプル再生スイッチがオンされない場合(ステップS1207,No)、表示から30秒間待機し(ステップS1208)、30秒経過後(ステップS1208,Yes)に未購入のシーン合致音楽データリストの表示を解除して(ステップS1209)、処理を終了する。
【0115】
つづいて、シーンの変化検知時に自律的に未購入コンテンツデータを紹介する場合の処理について図12のフローチャートを参照して説明する。
【0116】
同図に示すように、車載用出力装置は、自車両の現在位置が景色の変化点から700m以内となり、かつ次に変化した景色が1km以上の区間長を有する場合(ステップS1301,Yes)に、現在地でのシーン特性、すなわち景色属性、時間帯属性、天気属性を取得する(ステップS1302)。
【0117】
つぎに、未購入音楽データのシーン特性(各属性の属性値)を取得し(ステップS1303)、現在地のシーン特性と比較して音楽データを選定する(ステップS1304)。そして、合致する未購入音楽データがない場合(ステップS1305,No)にはそのまま処理を終了し、合致する音楽データがある場合(ステップS1305,Yes)には、そのリストをサンプル再生スイッチと共に表示する(ステップS1306)。
【0118】
その後、サンプル再生スイッチがオンされたならば(ステップS1307,Yes)、サンプル音源を再生し(ステップS1310)、ユーザから購入指示があれば(ステップS1311,Yes)、指定された音楽データを購入(認証および課金)して再生する(ステップS1312)。一方、購入指示がない場合(ステップS1311,No)にはそのまま処理を終了する。
【0119】
また、サンプル再生スイッチがオンされない場合(ステップS1307,No)、表示から30秒間待機し(ステップS1308)、30秒経過後(ステップS1308,Yes)に未購入のシーン合致音楽データリストの表示を解除して(ステップS1309)、処理を終了する。
【0120】
なお、本処理フローでは、同一の景色が1km以上継続する場合にそのシーンに対応するコンテンツデータを抽出することとしているが、これはシーンが頻繁に切換わることでシーンに合致する楽曲が短時間で変化することを避けるためである。同様の処理は、上述した他の判定においても採用することができ、またその区間長も1kmに限らず任意の値を使用可能である。
【0121】
さらに、図12および図11に示したフローチャートでは、コンテンツデータのサンプル再生を実施する場合を例に説明を行なったが、サンプル再生は必ずしも必要ではなく、例えばリスト表示などによって示してもよい。
【0122】
上述してきたように、本発明にかかる車載用出力装置では、車両のシーンに連動したコンテンツデータを自動的に選定して再生や紹介することができる。また、車両のシーンは地図データに格納した景色、GPSから取得した時刻情報、雨滴センサや情報サイトなどから取得した天候に基づいて判定し、各属性の重み付けを行なうことで、シーンに合致したコンテンツデータを高精度に選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明の実施の形態である車載用出力装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した属性テーブルの具体的な例を示す図表である。
【図3】図1に示した車載用出力装置の主制御部が実施する処理の内容を示すフローチャートである。
【図4】図3に示した出力制御処理の詳細を示すフローチャートである。
【図5】図4に示したアドバイス処理の詳細を示すフローチャートである。
【図6】図4に示したサポート処理の詳細を示すフローチャートである。
【図7】図4に示した介入処理の詳細を示すフローチャートである。
【図8−1】重み付けを用いたシーンと属性の設定方法を説明する説明図である(その1)。
【図8−2】重み付けを用いたシーンと属性の設定方法を説明する説明図である(その2)。
【図9】重み付けを利用したコンテンツデータの選定を説明する説明図である。
【図10】ユーザ指示に基づくシーン連動ランダム再生処理について説明するフローチャートである。
【図11】ユーザ指示に基づくシーン合致コンテンツデータ紹介処理について説明するフローチャートである。
【図12】自律的なシーン合致コンテンツデータ紹介処理について説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0124】
10 車両シーン設定部
20 データ管理部
30 データ抽出部
31 属性テーブル
40 出力制御部
41 アドバイス部
42 サポート部
43 介入部
44 出力選択部
50 主制御部
101 出力機器
102 データ記憶部
103 選択スイッチ
104 設定スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された出力機器を通じてコンテンツデータの出力を行う車載用出力装置であって、
車両及び/または車両周辺の状況をシーン情報として取得し、その取得結果から複数項目の属性値を含んだ車両シーンを設定する車両シーン設定手段と、
複数のコンテンツデータに対してそれぞれ車両シーンに関連した属性値を対応付けて管理するデータ管理手段と、
車両シーン設定手段が設定した車両シーンに含まれる属性値との比較結果に基づいて適合する属性値が対応付けられたコンテンツデータを抽出するデータ抽出手段と、
データ抽出手段が抽出したコンテンツデータを出力機器に与える出力制御手段と
を備えたことを特徴とする車載用出力装置。
【請求項2】
データ抽出手段は車両シーンに含まれる属性値に対して予め優先度を設定した属性テーブルを有し、この属性テーブルに設定した優先度に従ってコンテンツデータの抽出を行うことを特徴とする請求項1に記載の車載用出力装置。
【請求項3】
車両シーン設定手段は車両及び/または車両周辺から取得したシーン情報に基づいて次に訪れる車両シーンの変化点及びその到達距離の予測を行う機能を有し、
出力制御手段は車両シーンの変化点に到達した際に、出力機器に与えるコンテンツデータの切り換えを行うことを特徴とする請求項1に記載の車載用出力装置。
【請求項4】
出力制御手段は車両シーン設定手段によって設定した車両シーンに含まれる属性値と、出力機器が現在出力しているコンテンツデータに対応付けられた属性値とを比較するとともに、両者の比較結果から相互の適合状況を報知するための報知データを生成し、これを出力機器に与えることを特徴とする請求項1に記載の車載用出力装置。
【請求項5】
出力制御手段はデータ抽出手段が抽出したコンテンツデータの識別情報を一覧表示するためのインデックス用データを生成し、これを出力機器に与えることを特徴とする請求項1に記載の車載用出力装置。
【請求項6】
出力制御手段はデータ抽出手段が抽出したコンテンツデータが音源データである場合、それぞれの特徴部分を順次再生するためのインデックス用データを生成し、これを出力機器に与えることを特徴とする請求項1に記載の車載用出力装置。
【請求項7】
出力制御手段は出力機器から出力されたインデックス用データに基づいてコンテンツデータ選択情報が入力された場合、選択されたコンテンツデータを出力機器に与えることを特徴とする請求項5または6に記載の車載用出力装置。
【請求項8】
前記車両シーン設定手段は、自車両周辺の景色、時刻、天候の項目を含んだ車両シーンを設定することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の車載用出力装置。
【請求項9】
前記データ抽出手段は、前記車両シーンに基づいて各項目に対する重み付けを設定し、前記コンテンツデータに対応付けられた属性値に重み付けを反映させて前記車両シーンとの比較を行なうことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の車載用出力装置。
【請求項10】
前記データ抽出手段は、所定時間以内に再生されたコンテンツデータを除外して抽出することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の車載用出力装置。
【請求項11】
前記コンテンツデータ抽出手段は、ユーザからの指示に基づいて、もしくは前記車両シーンの変化を自律的に検知した場合に前記コンテンツデータの抽出を行なうことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載の車載用出力装置。
【請求項12】
前記コンテンツデータの購入処理を行なう購入処理手段をさらに備え、前記データ抽出手段は、未購入のコンテンツデータを抽出し、ユーザからの指示に基づいて購入処理を行なうことを特徴とする請求項1〜11のいずれか一つに記載の車載用出力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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