説明

車載用受信装置

【課題】 アンテナアンプと受信セット本体とを接続するケーブルを介して、アンテナアンプから受信セット本体に受信信号を伝送し、受信セット本体から電源を供給し、さらに、受信セット本体からアンテナアンプに対してアンテナアンプの利得を制御する。
【解決手段】 受信セット本体40からは高周波信号とは周波数が異なると共に高周波信号のレベルに対応して振幅が変化する第2の信号を発生してケーブル51に重畳し、アンテナアンプ30にはアンテナ31と高周波増幅器33との間に介挿された可変減衰器32と第2の信号を検波する検波器34とを設け、検波器34からの検波電圧によって可変減衰器32の減衰量を制御した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体に搭載する車載用受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図2を参照して従来の車載用受信装置を説明する。アンテナアンプからの増幅されたRF(高周波)信号はアンテナフィーダ2を介してRFアンプ21に入力され、RFアンプ21で増幅され、OSC(局部発振)部22からの出力とMIX(混合)部23で混合され、IF(中間周波)信号に変換される。その後、IFアンプ/検波部24へ入力され、コンポジット信号に変換されてMPX(マルチプレックス)復調部25へ加えられて、左右チャンネルへ分離される。左右チャンネル信号はAF(オーディオ周波数)アンプ26を介し、外部スピーカ31を駆動する。
【0003】
広帯域の電界強度を検出すべく、混合部23で入力RF信号レベルに応じて変化する電圧として検出された出力Aは、アンテナアンプ内のRFアッテネータ部11や、RFアンプ部12の信号を制御するための制御回路部27に入力される。狭帯域の電界強度を検出すべく、IFアンプ/検波部24のIF信号レベルが、内部の増幅部をAM検波することにより得られる出力Bとして制御回路部27に入力される。2つの入力A、Bを加えられた制御回路部27では、これらのレベルをもとに、 相互変調、混変調特性に対し最適な電圧を判断し、アンテナアンプ内部のRF−ATT部11及びRFアンプ12に対して制御する出力Cを送出する(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開平05−022174号(図1)
【0005】
制御部27から送出された制御電圧Cはアンテナフィーダ2を介してアンテナアンプのRFATT11及びRFアンプ12に供給される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
アンテナアンプにはアンテナフィーダ2を介して制御出力Cが供給されるので、受信セット本体側から電源を供給することが出来ない。従ってアンテナアンプ側にも専用の電源を備えなくてはならないという問題がある。
【0007】
本発明は、アンテナアンプと受信セット本体とを接続するケーブルを介して、アンテナアンプから受信セット本体に受信信号を伝送し、受信セット本体から電源を供給し、さらに、受信セット本体からアンテナアンプに対してアンテナアンプの利得を制御することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、アンテナと前記アンテナで受信した高周波信号を増幅する高周波増幅器とを少なくとも備えたアンテナアンプと、前記高周波信号を処理する受信セット本体と、前記アンテナアンプから出力された前記高周波信号を前記受信セット本体に伝送すると共に、前記受信セット本体から前記アンテナアンプに電源電圧を供給するケーブルとを備え、前記受信セット本体からは前記高周波信号とは周波数が異なると共に前記高周波信号のレベルに対応して振幅が変化する第2の信号を発生して前記ケーブルに重畳し、前記アンテナアンプには前記アンテナと前記高周波増幅器との間に介挿された可変減衰器と前記第2の信号を検波する検波器とを設け、前記検波器からの検波電圧によって前記可変減衰器の減衰量を制御した。
【0009】
また、前記受信セット本体には前記高周波信号を中間周波信号に変換するチューナ部と、前記中間周波信号を復調すると共にAGC電圧を出力する復調器と、前記中間周波信号を増幅すると共に前記AGC電圧によって利得が制御される可変利得増幅器とを設け、前記可変利得増幅器から前記第2の信号を出力した。
【0010】
また、前記受信セット本体には、前記チューナ部の入力側に前記高周波信号と前記第2の信号とを分離する分波回路を設け、前記電源電圧と前記第2の信号とを前記分波回路を介して前記ケーブルに重畳した。
【0011】
また、前記アンテナアンプには、前記ケーブルと前記検波器との間に前記第2の信号に同調する同調回路を介挿した。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、受信セット本体からは高周波信号とは周波数が異なると共に高周波信号のレベルに対応して振幅が変化する第2の信号を発生してケーブルに重畳し、アンテナアンプにはアンテナと高周波増幅器との間に介挿された可変減衰器と第2の信号を検波する検波器とを設け、検波器からの検波電圧によって可変減衰器の減衰量を制御したので、ケーブルを介して高周波信号の伝送と電源電圧の供給以外にもアンテナアンプの利得を制御できる。
【0013】
また、請求項2の発明によれば、受信セット本体には高周波信号を中間周波信号に変換するチューナ部と、中間周波信号を復調すると共にAGC電圧を出力する復調器と、中間周波信号を増幅すると共にAGC電圧によって利得が制御される可変利得増幅器とを設け、可変利得増幅器から第2の信号を出力したので、中間周波信号を利用してアンテナアンプの利得制御ができる。
【0014】
また、請求項3の発明によれば、受信セット本体には、チューナ部の入力側に高周波信号と前記第2の信号とを分離する分波回路を設け、電源電圧と第2の信号とを分波回路を介してケーブルに重畳したので、第2の信号がチューナ部に入力されることがない。
【0015】
また、請求項4の発明によれば、アンテナアンプには、ケーブルと検波器との間に第2の信号に同調する同調回路を介挿したので、アンテナアンプから出力される高周波信号が検波器に入力されることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1に本発明の車載用受信装置を示す。アンテナアンプ30にはアンテナ31と、アンテナ31で受信された受信信号を増幅する高周波増幅器33と、アンテナ31と高周波増幅器33との間に介挿されたた可変減衰器32とが設けられ、高周波増幅器33の出力端がケーブル51の一端に結合される。そして、ケーブル51の他端が受信セット本体40に接続され、高周波増幅器33から出力された受信信号はケーブル51を介して受信セット本体40に伝送される。受信セット本体40からはこのケーブル51を介してアンテナアンプ30へ電源電圧が供給されると共に、可変減衰器32の減衰量を制御するための第2の信号(高周波)が送られて来る(後述参照)。
【0017】
そして、アンテナアンプ30には第2の信号を検波する検波器34と検波電圧を増幅する直流増幅器35とが設けられる。ケーブル51と検波器34とは第2の信号に同調する同調回路36で結合される。また、ケーブル51に重畳された電源電圧はチョークコイル37を介して高周波増幅器33と直流増幅器35とに供給される。
【0018】
受信セット本体40は、高周波信号を選択すると共に、高周波信号よりも周波数が低い中間周波信号に変換するチューナ部41と、中間周波信号を通過し、隣接の不要な信号を除去するSAWフィルタ42と、SAWフィルタ42の出力側に設けられ、中間周波信号を復調して音声信号、AGC電圧等を出力する復調器43と、中間周波信号を増幅する可変利得増幅器44と、可変利得増幅器44の出力側に設けられたローパスフィルタ45、電源部46等を有する。また、チューナ部41には図示しないAGC増幅器と、高周波信号を中間周波信号に変換するための局部発振器及びミキサ等が設けられている。
【0019】
そして、可変利得増幅器44には抵抗47、48によって分圧された中間周波信号が入力され、AGC電圧はチューナ部41内のAGC増幅器と可変利得増幅器44とに供給される。可変利得増幅器44はAGC電圧のレベルに対応して中間周波信号を増幅する。即ち、アンテナアンプ30からチューナ部41に入力される高周波信号のレベルが大きくなれば可変利得増幅器45の利得が大きくなるように制御される。そして、可変利得増幅器45からは高周波信号のレベルに対応して振幅が変化する第2の信号が出力される。
【0020】
電源部46から出力される電圧は直列接続のチョークコイル49、50を介してケーブル51に重畳される。また、ケーブル51とチューナ41とはコンデンサ52によって結合される。よってチョークコイル49とコンデンサ52とによって分派回路53が構成され。可変利得増幅器44から出力された第2の信号はローパスフィルタ45を介してチョークコイル49、50の接続点に重畳される。よって、電源電圧と第2の信号とは分派回路53を介してケーブル51に重畳される。
【0021】
第2の信号は中間周波信号と同じ周波数であるので、ケーブル51に重畳されてもコンデンサ52によって阻止されるので、チューナ部41へは出力されない。
【0022】
また、アンテナアンプ30側では、高周波増幅器33から出力された高周波信号は同調回路36によって検波器34への入力が阻止されているので、高周波信号によって可変減衰器32はAGC電圧のみによって制御される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の車載用受信装置の構成を示す回路図である。
【図2】従来の車載用受信装置の構成を示す回路図である。
【符号の説明】
【0024】
30:アンテナアンプ
31:アンテナ
32:可変減衰器
33:高周波増幅器
34:検波器
35:直流増幅器
36:同調回路
37:チョークコイル
40:受信セット本体
41:チューナ部
42:SAWフィルタ
43:復調器
44:可変利得増幅器
45:ローパスフィルタ
46:電源部
47、48:抵抗
49、50:チョークコイル
51:ケーブル
52:コンデンサ
53:分波回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナと前記アンテナで受信した高周波信号を増幅する高周波増幅器とを少なくとも備えたアンテナアンプと、前記高周波信号を処理する受信セット本体と、前記アンテナアンプから出力された前記高周波信号を前記受信セット本体に伝送すると共に、前記受信セット本体から前記アンテナアンプに電源電圧を供給するケーブルとを備え、前記受信セット本体からは前記高周波信号とは周波数が異なると共に前記高周波信号のレベルに対応して振幅が変化する第2の信号を発生して前記ケーブルに重畳し、前記アンテナアンプには前記アンテナと前記高周波増幅器との間に介挿された可変減衰器と前記第2の信号を検波する検波器とを設け、前記検波器からの検波電圧によって前記可変減衰器の減衰量を制御したことを特徴とする車載用受信装置。
【請求項2】
前記受信セット本体には前記高周波信号を中間周波信号に変換するチューナ部と、前記中間周波信号を復調すると共にAGC電圧を出力する復調器と、前記中間周波信号を増幅すると共に前記AGC電圧によって利得が制御される可変利得増幅器とを設け、前記可変利得増幅器から前記第2の信号を出力したことを特徴とする請求項1に記載の車載用受信装置。
【請求項3】
前記受信セット本体には、前記チューナ部の入力側に前記高周波信号と前記第2の信号とを分離する分波回路を設け、前記電源電圧と前記第2の信号とを前記分波回路を介して前記ケーブルに重畳したことを特徴とする請求項2に記載の車載用受信装置。
【請求項4】
前記アンテナアンプには、前記ケーブルと前記検波器との間に前記第2の信号に同調する同調回路を介挿したことを特徴とする請求項1乃至第3の何れかに記載の車載用受信装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−5454(P2006−5454A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−177056(P2004−177056)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】