説明

車載用室内照明装置

【課題】給電部材の変形を防止し、この給電部材とバルブとの接触信頼性を高めることが可能な、車載用室内照明装置を提供する。
【解決手段】一対の円弧壁33の直径D1は、スリット30の開口幅Wよりも若干大きな寸法になっている(D1>W)ものの、直径D1及び開口幅Wは、他の機能部1′におけるスイッチ3のピン形状となる操作部16の直径D2よりも小さな寸法になっている(D2>D1>W)。スリット30及び円弧壁33は、他の機能部1′の操作部16が一対の略円弧形状屈曲部23に接触しないようにすることができるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能部を備える車載用室内照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図9及び図10を参照しながら従来の車載用室内照明装置について説明する。図9は従来の車載用室内照明装置を備えるワイヤハーネスモジュールの構成説明図、図10は従来の車載用室内照明装置を構成する機能部の斜視図である。
【0003】
図9において、引用符号101はワイヤハーネスモジュールを示している。このワイヤハーネスモジュール101は、自動車の天井トリム111に配索されている。ワイヤハーネスモジュール101は、図示しない意匠部及び機能部102を備える第一の車載用室内照明装置と、図示しない意匠部及び機能部103を備えるとともに車両本体側のワイヤハーネス107のコネクタ108が接続される第二の車載用室内照明装置と、図示しない意匠部を有する切替スイッチ104と、第一の車載用室内照明装置及び切替スイッチ104を電気的に繋ぐ複数の電線105と、第二の車載用室内照明装置及び切替スイッチ104を電気的に繋ぐ複数の電線106とを備えて構成されている(例えば下記特許文献1参照)。第二の車載用室内照明装置には、複数の電線110を介してLED照明ランプ109が接続されている。
【0004】
図10において、第一の車載用室内照明装置の機能部102は、バルブ112と、このバルブ112をオン・オフするスイッチ113と、合成樹脂製のハウジング114と、ハウジング114内に装着される図示しない給電部材と、電線105の接続部分及び図示しない給電部材を保護する保護カバー115とを備えて構成されている。ハウジング114には、バルブ装着部116、電線装着部117、及びスイッチ装着部118が形成されている。
【0005】
バルブ装着部116には、バルブ112が装着されている。バルブ112は、斜め姿勢で装着されるようになっている。バルブ装着部116は、略穴状に形成されている。バルブ装着部116の間口は、図示しない給電部材を装着するために広く形成されている。電線装着部117には、電線105が装着されている。スイッチ装着部118には、スイッチ113が装着されている。図示しない給電部材は、電線装着部117に装着された電線105からバルブ112へ給電を行うため、バスバーが用いられている。図示しない給電部材は、電線圧接部分を有している。保護カバー115は、電線105の装着・圧接の後、このロック部が電線装着部117のロック部に係合するようになっている。保護カバー115は、図示のようにハウジング114に固定されている。
【0006】
機能部102は、スイッチ113を押してこれを操作することにより、バルブ112が点灯/消灯するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−245795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
バルブ112は、通常、ワイヤハーネスモジュール101を自動車の天井トリム111へ配索する時までバルブ装着部116に装着されないことから、例えばカーメーカーへの搬送の最中では、バルブ装着部116の奥に図示しない給電部材が見えた状態となっている。仮に搬送状態が悪いと、例えば第一の車載用室内照明装置における機能部102の給電部材に対し、第二の車載用室内照明装置における機能部103のスイッチノブが接触する可能性があり、これによって給電部材が変形したりするという不具合が起こる虞を有している。給電部材の変形は、更にバルブ112との接点不良を引き起こし接触信頼性を損ねてしまうことから、この対策をする必要がある。
【0009】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、給電部材の変形を防止し、この給電部材とバルブとの接触信頼性を高めることが可能な、車載用室内照明装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の本発明の車載用室内照明装置は、機能部を備える車載用室内照明装置であって、前記機能部は、バルブ装着部、電線装着部、及びスイッチ装着部を有する合成樹脂製のハウジングと、前記バルブ装着部に装着される光源としてのバルブと、前記電線装着部に装着される電線から前記バルブへ給電を行う給電部材と、前記スイッチ装着部に装着されるスイッチとを備える、車載用室内照明装置において、前記機能部は、前記バルブ装着部に装着される合成樹脂製のスペーサを更に備え、且つ該スペーサを介在させて前記バルブが前記バルブ装着部に装着される構造とし、前記スペーサは、前記給電部材へ向けて前記バルブのベース部が挿入されるスリットを有し、該スリットは、この開口幅が前記スイッチにおける操作部のサイズよりも小さくなるように形成されることを特徴としている。
【0011】
このような特徴を有する本発明によれば、搬送時等のようなバルブを装着する前の状態において、バルブ装着部にスペーサを装着すると、バルブ装着部の奥に存在する給電部材はスペーサによって保護される。バルブと給電部材との接続部分の前方にスペーサが装着されることにより、例えば他の機能部のスイッチが給電部材に接触することはなく、変形が防止される。尚、スペーサを装着することによって、他の機能部のスイッチが損傷してしまうことも避けられる。
【0012】
請求項2記載の本発明の車載用室内照明装置は、請求項1に記載の車載用室内照明装置において、前記スペーサ及び前記ハウジングは、前記スペーサが前記バルブ装着部に対し仮係止状態から本係止状態へと移行して装着完となるロック部を有することを特徴としている。
【0013】
このような特徴を有する本発明によれば、バルブを装着する時までスペーサは仮係止状態であることから、容易に取り外しをすることが可能になる。スペーサは、バルブの押し込みによってバルブ装着部に本係止される。バルブは、このベース部がスペーサのスリットに挿入されて給電部材に接続される。本発明は、スペーサの自由な付け替えも可能になる。
【0014】
請求項3記載の本発明の車載用室内照明装置は、請求項1又は請求項2に記載の車載用室内照明装置において、前記スリットは、前記ベース部に形成される円柱状部分に対応する円弧壁を有し、該円弧壁は、この開口サイズが前記操作部のサイズよりも小さくなるように形成されることを特徴としている。
【0015】
このような特徴を有する本発明によれば、バルブのベース部に円柱状部分を有する場合でも、他の機能部のスイッチが給電部材に接触することはなく、給電部材の変形が防止される。
【0016】
請求項4記載の本発明の車載用室内照明装置は、請求項1ないし請求項3いずれか記載の車載用室内照明装置において、前記スリットは、前記ベース部に設けられ前記給電部材に接続される端子をガイド又は位置矯正するためのガイド兼矯正溝を有することを特徴としている。
【0017】
このような特徴を有する本発明によれば、バルブのベース部に設けられた端子の位置状態が仮に悪くても、この端子はスペーサのガイド兼矯正溝によって正規の位置に戻され、この後に給電部材と良好に接続される。また、本発明によれば、ベース部に設けられた端子は、バルブの装着時にガイド兼矯正溝によってガイドされる。従って、ベース部は、スリット内にスムーズに挿入される。
【0018】
請求項5記載の本発明の車載用室内照明装置は、請求項1ないし請求項4いずれか記載の車載用室内照明装置において、前記スリットは、前記ベース部を圧入状態にするためのリブを複数有することを特徴としている。
【0019】
このような特徴を有する本発明によれば、バルブの装着を行うと、バルブのベース部はスペーサのスリットに圧入される。バルブは、このガタ付きが抑えられて安定した状態になり、給電部材とも良好に接続される。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に記載された本発明によれば、スペーサを備えることによって、また、このスペーサの形状に特徴を持たせることよって、バルブを装着する時まで他から給電部材への接触等を避けることができるという効果を奏する。これにより、給電部材の変形を防止することができるという効果を奏する。本発明によれば、バルブと給電部材との接触信頼性を従来よりも高めることができるという効果を奏する。
【0021】
請求項2に記載された本発明によれば、スペーサのより良い形態を提供することができるという効果を奏する。
【0022】
請求項3に記載された本発明によれば、バルブのベース部に円柱状部分を有する場合であっても、他の機能部のスイッチが挿入されるのを確実に防止することができるという効果を奏する。これにより、バルブと給電部材との接触信頼性を更に高めることができるという効果を奏する。
【0023】
請求項4に記載された本発明によれば、バルブのベース部に設けられた端子の位置をガイド兼矯正溝によって矯正することができるという効果を奏する。これにより、端子の位置が正規の位置となり、バルブと給電部材との接触信頼性を更に高めることができるという効果を奏する。また、本発明によれば、バルブのベース部に設けられた端子をガイド兼矯正溝によってガイドし、これによってスリットに対するベース部の挿入をスムーズにすることができるという効果を奏する。
【0024】
請求項5に記載された本発明によれば、バルブのガタ付きを抑えることができるという効果を奏する。これにより、バルブと給電部材との接触信頼性を従来よりも高めることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の車載用室内照明装置を構成する機能部の分解斜視図である。
【図2】(a)はバルブ装着前の機能部を示す斜視図、(b)はバルブの斜視図である。
【図3】スペーサの正面図である。
【図4】スペーサの斜視図である。
【図5】(a)はバルブ装着前でスペーサ仮係止位置の機能部を示す斜視図、(b)はバルブ装着途中でスペーサ仮係止位置の機能部を示す斜視図、(c)はバルブ装着後でスペーサ本係止位置の機能部を示す斜視図である。
【図6】(a)はスペーサ仮係止位置の機能部を示す平面図、(b)は(a)のA−A線断面図で要部を拡大した状態の図である。
【図7】(a)はスペーサ仮係止位置で他との係合が生じている状態の機能部を示す図、(b)は(a)のB−B線断面図で要部を拡大した状態の図である。
【図8】(a)はバルブとスペーサの装着状態を示す底面図、(b)は(a)のC−C線断面図でバルブ装着開始時のガイド兼矯正溝の機能を示す図、(c)は(a)のC−C線断面図でバルブ装着途中のガイド兼矯正溝の機能を示す図、(d)は(a)のC−C線断面図でバルブ装着後の状態を示す図である。
【図9】従来の車載用室内照明装置を備えるワイヤハーネスモジュールの構成説明図である。
【図10】従来の車載用室内照明装置を構成する機能部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
車載用室内照明装置を構成する樹脂製のハウジングに、ウェッジベースバルブ(バルブ)を装着するためのバルブ装着穴(バルブ装着部)を設け、そのバルブ装着穴の内部に、前記ウェッジベースバルブの電球部の下側に配されたベース部を挿入した際に、該ベース部側の端子と接触導通する給電端子(給電部材)を装備した車載用室内照明装置の、特にバルブソケット構造において、
前記バルブ装着穴に、前記ウェッジベースバルブの電球部を外周から支持可能な支持筒部を有し、且つ、前記給電端子を保護しつつ前記ベース部側の端子に対して前記給電端子を接触させることの可能なスペーサを装着し、
該スペーサを前記バルブ装着穴の内部に着脱自在に装着すると共に、前記スペーサと前記ハウジングとに、前記スペーサを前記バルブ装着穴の内部に装着した際に、前記スペーサをロックする固定手段を設け、
前記支持筒部の内部に、前記ウェッジベースバルブのベース部を挿入する際に、該ベース部を、挿入に従って前記バルブ装着穴内の適正位置に導くガイド斜面を設け、
該ガイド斜面の底部の溝(スリット)の幅を、前記ハウジングに取り付けたスイッチのスイッチノブ(操作部)の直径よりも狭く形成する。
【実施例】
【0027】
以下、図面を参照しながら実施例を説明する。図1は本発明の車載用室内照明装置を構成する機能部の分解斜視図である。また、図2(a)はバルブ装着前の機能部を示す斜視図、図2(b)はバルブの斜視図である。さらに、図3はスペーサの正面図、図4はスペーサの斜視図、図5はバルブの装着とスペーサの係止状態を示す斜視図、図6はスペーサ仮係止位置での要部拡大断面図、図7はスペーサ仮係止位置で他との係合が生じている状態の機能部を示す要部拡大断面図、図8はバルブ装着時におけるガイド兼矯正溝の機能を示す断面図である。
【0028】
図1において、引用符号1は本発明の車載用室内照明装置を構成する機能部を示している。機能部1は、自動車の天井トリム111(図9参照)の室外側に設けられている(天井トリム111の室内側には、本発明の車載用室内照明装置を構成する図示しない意匠部が設けられている)。このような機能部1は、バルブ2(ウェッジベースバルブ)と、このバルブ2をオン・オフするスイッチ3(プッシュオルタSW)と、合成樹脂製のハウジング4と、ハウジング4内に装着される給電部材5と、電線6の接続部分(電線圧接部分)及び給電部材5を保護する合成樹脂製の保護カバー7と、ハウジング4に装着されバルブ2及び給電部材5の間に介在する合成樹脂製のスペーサ8と、を備えて構成されている。本実施例の機能部1は、プッシュオルタ機能部として用いることができるようになっている。先ず、上記各構成部材について説明する。
【0029】
図1及び図2において、上記バルブ2は、フィラメントが収容される電球部9と、この電球部9の下側に連成される傾斜部10と、傾斜部10の下側に一体に形成される扁平形状のベース部11とを有している。ベース部11には、凹部12が表裏対称位置、左右対称位置に形成されている。また、ベース部11には、端子13(バルブリード線)が複数設けられている。凹部12には、給電部材5の後述する一対の略円弧形状屈曲部23が係合するようになっている。この係合により、ベース部11の端子13と給電部材5の略円弧形状屈曲部23とが導通接続されるようになっている。ベース部11における引用符号14は、円柱状部分を示している。円柱状部分14は、円柱形状であって、ベース部11の中央位置に配置されている。
【0030】
上記スイッチ3は、スイッチ本体15にピン形状の操作部16(スイッチノブ)が没することにより、オン・オフを行うことができるような構成及び構造になっている。バルブ2は、操作部16を操作することにより、点灯/消灯するようになっている。
【0031】
上記ハウジング4は、バルブ装着部17と、電線装着部18と、スイッチ装着部19とを有している。これらの部分に関し概略説明すると、バルブ装着部17は、スペーサ8を仮係止(後述する)した後、バルブ2を斜め姿勢で装着する部分として形成されている。電線装着部18は、電線6を装着する部分として形成されている。スイッチ装着部19は、スイッチ3を装着する部分として形成されている。尚、電線装着部18及びスイッチ装着部19の機能は、図10に示す従来の電線装着部117及びスイッチ装着部118の機能と同様であるものとする。
【0032】
バルブ装着部17は、略穴状に形成されている。バルブ装着部17の間口は、ハウジング4内に給電部材5を装着するために広く形成されている。給電部材5を装着すると、バルブ装着部17の奥の見える位置に、給電部材5の後述する一対の略円弧形状屈曲部23が存在するようになっている。このようなバルブ装着部17は、ハウジング側ロック部20(ロック部)を有している。ハウジング側ロック部20は、四箇所の仮係止凹部21と、二箇所の本係止凹部22とで構成されている(図1参照。配置や数は一例であるものとする)。ハウジング側ロック部20は、スペーサ8をバルブ装着部17に対して仮係止・本係止させる部分として形成されている。
【0033】
バルブ装着部17の奥に見える略円弧形状屈曲部23は、スペーサ8がバルブ装着部17に対し仮係止・本係止されると、スペーサ8によって覆われた状態になり、外部からの不本意な接触が避けられるようになっている(これについては後述する)。
【0034】
電線装着部18及びスイッチ装着部19は、図10に示す従来の電線装着部117及びスイッチ装着部118と同様に形成されている。従って、ここでの説明は省略するものとする。
【0035】
図1及び図6において、上記給電部材5は、一対のバスバーからなるものであって、各バスバーは別系統で形成されている。各バスバーには、バルブ2におけるベース部11の端子13と導通接続を図る一対の略円弧形状屈曲部23が設けられている。また、各バスバーには、電線6を圧接するための圧接端子部24も設けられている。
【0036】
一対の略円弧形状屈曲部23は、ベース部11を挟持する拡開変形可能な形状に形成されている。一対の略円弧形状屈曲部23は、各先端側が自由端になっており、この自由端と基端側との間が互いに近接する方向に凸となる円弧形状に形成されている。
【0037】
図1及び図2において、上記保護カバー7は、カバー本体25と、一対のカバー側ロック部26とを有している。カバー本体25は、電線6の電線圧接部分を覆う部分として形成されている。このようなカバー本体25の電線配索方向(機能部1の幅方向)となる両側には、カバー側ロック部26がそれぞれ連成されている。各カバー側ロック部26は、対応するハウジング側ロック部27に係合する部分として形成されている。
【0038】
図1ないし図4において、上記スペーサ8は、バルブ2に係る部分として、支持筒部28と、一対の接点保護ガイド29と、スリット30とを有している。また、スペーサ8は、バルブ装着部17に係る部分として、外壁に設けられるスペーサ側ロック部31を有している。
【0039】
支持筒部28は、円筒形状であって、バルブ2の電球部9をこの外周から支持可能な形状に形成されている。支持筒部28には、等ピッチでリブ32が複数形成されている。一対の接点保護ガイド29は、スリット30を挟んで対向するように配置されており、スリット30に向けてバルブ2のベース部11を誘導することができる形状、すなわち傾斜する湾曲形状に形成されている。一対の接点保護ガイド29は、バルブ2の傾斜部10を支持可能な形状に形成されている。一対の接点保護ガイド29は、この上端が支持筒部28に連続するように配置形成されている。また、下端がスリット30に連続するように配置形成されている。一対の接点保護ガイド29は、斜め姿勢で装着されるバルブ2の傾斜する軸線の上下に位置するように配置されている。
【0040】
スリット30は、バルブ2のベース部11を挿入することができる形状に形成されている。バルブ2のベース部11は、図2に示すように扁平形状であることから、スリット30は、この扁平形状に合わせた形状で開口するように形成されている。このようなスリット30には、ベース部11の円柱状部分14に対応する円弧壁33が一対形成されている。また、スリット30には、ベース部11の端子13(バルブリード線)をガイドしたり位置を矯正したりするガイド兼矯正溝34が複数形成されている。ガイド兼矯正溝34は、スリット30の開口縁部を若干凹ませるような形状に形成されている(ガイド兼矯正溝34の作用については後述する)。
【0041】
図7において、一対の円弧壁33の直径D1は、スリット30の開口幅Wよりも若干大きな寸法になっている(D1>W)ものの、直径D1及び開口幅Wは、他の機能部1′におけるスイッチ3のピン形状となる操作部16(スイッチノブ)の直径D2よりも小さな寸法になっている(D2>D1>W)。スリット30及び円弧壁33は、他の機能部1′の操作部16が一対の略円弧形状屈曲部23に接触しないようにすることができるようになっている。
【0042】
図1及び図4において、スペーサ側ロック部31は、ハウジング4のハウジング側ロック部20に係止される部分であって、四箇所の仮係止アーム35と、二箇所の本係止アーム36とで構成されている。仮係止アーム35は、可撓性を有するアームの先端に、仮係止凹部21に引っ掛かる突起37を突出させて形成されている。一方、本係止アーム36は、仮係止アーム35よりも短い可撓性を有するアームの先端に、本係止凹部22に引っ掛かる突起38を突出させて形成されている。
【0043】
ここで、スペーサ8をバルブ装着部17に係止する(ロックする)こと、及び、バルブ2を装着することについて説明する。先ず、図5(a)に示すようにスペーサ8を仮係止状態にする(特に図示しないが、仮係止アーム35の突起37が仮係止凹部21に引っ掛かり、これによって仮係止状態が形成される)。次に、図5(a)及び(b)に示すようにバルブ2をスペーサ8に差し込んでバルブ2の装着を開始する。この時、バルブ2を押し込みながら装着を行うと、この押し込みの力によってスペーサ8も押し込まれ、スペーサ8は図5(c)に示すように本係止状態になる(特に図示しないが、本係止アーム36の突起38が本係止凹部22に引っ掛かり、これによって本係止状態が形成される)。バルブ2は、この端子13が給電部材5の略円弧形状屈曲部23に接触して導通接続される。バルブ2は、この装着時において、ベース部11が接点保護ガイド29によってスムーズにスリット30へ案内される。
【0044】
次に、ガイド兼矯正溝34の作用について、図8を参照しながら説明する。
【0045】
図8(b)において、バルブ2の端子13(バルブリード線)に仮に変形・振れがあった場合、この変形・振れのある端子13は、バルブ2の装着の過程でガイド兼矯正溝34に挿入され、図8(c)に示すようにガイド兼矯正溝34によって位置が矯正される(図中のバルーンBLや矢印参照。端子13は次第に正規の位置に戻される)。端子13は、ガイド兼矯正溝34によってガイドされ、また、保護されつつガイド兼矯正溝34内を移動する。バルブ2の装着が完了すると、図8(d)に示すように端子13はほぼ正規の位置まで戻っている。
【0046】
以上、図1ないし図8を参照しながら説明してきたように、本発明によれば、搬送時等のようなバルブ2を装着する前の状態において、バルブ装着部17にスペーサ8を装着すると、バルブ装着部17の奥に存在する給電部材5(一対の略円弧形状屈曲部23)をスペーサ8によって保護することができる。バルブ2と給電部材5との接続部分の前方にスペーサ8が存在することにより、例えば他の機能部1′におけるスイッチ3が給電部材に接触することはなく、従って給電部材5の変形を防止することができる。
【0047】
また、本発明によれば、バルブ2の端子13の位置状態が仮に悪くても、この端子13の位置をスペーサ8のガイド兼矯正溝34によって正規の位置に戻すことができ、この後に給電部材5と良好な接続を行うことができる。端子13は、バルブ2の装着時においてガイド兼矯正溝34によってガイドされることから、バルブ2のベース部11をスペーサ8のスリット30内にスムーズに挿入することができる。
【0048】
本発明は、スペーサ8を備えることによって、また、このスペーサ8の形状に特徴を持たせることよって、給電部材5の変形を防止し、この給電部材5とバルブ2との接触信頼性を従来よりも高めることができるという効果を奏する。
【0049】
尚、給電部材5とバルブ2との接触信頼性を高めることに関し、図3の仮想線で示すようなリブ39をスリット30及び円弧壁33に複数設けてバルブ2のベース部11の挿入を圧入にし、これによってバルブ2のガタ付きを抑え、給電部材5との良好な接続を図るようにしてもよいものとする。
【0050】
本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0051】
1…機能部
2…バルブ
3…スイッチ
4…ハウジング
5…給電部材
6…電線
7…保護カバー
8…スペーサ
9…電球部
10…傾斜部
11…ベース部
12…凹部
13…端子
14…円柱状部分
15…スイッチ本体
16…操作部
17…バルブ装着部
18…電線装着部
19…スイッチ装着部
20…ハウジング側ロック部(ロック部)
21…仮係止凹部
22…本係止凹部
23…略円弧形状屈曲部
24…圧接端子部
25…カバー本体
26…カバー側ロック部
27…ハウジング側ロック部
28…支持筒部
29…接点保護ガイド
30…スリット
31…スペーサ側ロック部(ロック部)
32…リブ
33…円弧壁
34…ガイド兼矯正溝
35…仮係止アーム
36…本係止アーム
37、38…突起
39…リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能部を備える車載用室内照明装置であって、
前記機能部は、バルブ装着部、電線装着部、及びスイッチ装着部を有する合成樹脂製のハウジングと、前記バルブ装着部に装着される光源としてのバルブと、前記電線装着部に装着される電線から前記バルブへ給電を行う給電部材と、前記スイッチ装着部に装着されるスイッチとを備える、車載用室内照明装置において、
前記機能部は、前記バルブ装着部に装着される合成樹脂製のスペーサを更に備え、且つ該スペーサを介在させて前記バルブが前記バルブ装着部に装着される構造とし、
前記スペーサは、前記給電部材へ向けて前記バルブのベース部が挿入されるスリットを有し、
該スリットは、この開口幅が前記スイッチにおける操作部のサイズよりも小さくなるように形成される
ことを特徴とする車載用室内照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車載用室内照明装置において、
前記スペーサ及び前記ハウジングは、前記スペーサが前記バルブ装着部に対し仮係止状態から本係止状態へと移行して装着完となるロック部を有する
ことを特徴とする車載用室内照明装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車載用室内照明装置において、
前記スリットは、前記ベース部に形成される円柱状部分に対応する円弧壁を有し、該円弧壁は、この開口サイズが前記操作部のサイズよりも小さくなるように形成される
ことを特徴とする車載用室内照明装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3いずれか記載の車載用室内照明装置において、
前記スリットは、前記ベース部に設けられ前記給電部材に接続される端子をガイド又は位置矯正するためのガイド兼矯正溝を有する
ことを特徴とする車載用室内照明装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4いずれか記載の車載用室内照明装置において、
前記スリットは、前記ベース部を圧入状態にするためのリブを複数有する
ことを特徴とする車載用室内照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−211974(P2010−211974A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−54391(P2009−54391)
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】