説明

車載用情報処理装置、車載用情報処理装置の制御方法および制御プログラム

【課題】実際の車両の乗員、積載物などの重量や、運転者の運転技量による燃費への影響を反映して、車両の燃費をより正確に算出し、経済的な運転を支援する。
【解決手段】カーナビゲーション装置12は、走行している道路の条件あるいは運転者の車両の操作状況を含む車両の走行状態を検出し、検出された走行状態および前記車両の搭載重量に対応づけて運転者毎に燃費を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用情報処理装置、車載用情報処理装置の制御方法および制御プログラムに係り、特に車両の燃費をより正確に算出し、経済的な運転を支援することが可能な車載用情報処理装置、車載用情報処理装置の制御方法および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両の車種ごとに対応した燃費情報を含む燃費データベースを有し当該燃費データベースに格納される情報を外部に送信可能な燃費情報サーバー装置と、車両の現在位置を取得する位置取得手段と、車両の燃料消費率を算出する燃費算出手段と、車両の車種および年式を含む車両情報を記憶する車両情報記憶手段とを有し車両に搭載される車載制御装置と、を備え、燃費情報サーバー装置および車載制御装置は通信ネットワークにより相互に通信が可能に接続され、燃費情報サーバー装置は、車載制御装置から送信される車両の現在位置、車両情報および燃料消費量に基づいて燃費データベースの内容を更新するデータベース更新手段を備える燃費情報提供システムが提案されている。
上記特許文献1には、車種別に道路種別などの道路状況に応じた燃費データベースを作成し、車両の実使用状況に合致した燃費情報を提供できる旨が開示されている。
【特許文献1】特開2005−163584号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、車両の燃費は積載される荷物の重量や乗員数によっても変動する。一般的なセダンタイプの乗用車を考えてみても、乗車定員は5名程度であるが、実際の乗員数が1名の場合と、5名の場合とでは燃費に差異が生じることは明らかである。さらに一般的な車両では、乗員の他に荷物を積載することも可能であり、ゴルフバッグなどをはじめとして重量物を積載した場合には、乗員1名分にも相当する燃費が変動することとなる。
また、実際の運転者の運転技量(操作状況)によっても燃費は大きく変動するものであり、同一の車両に乗った場合でも、アクセルの踏み込みや、ブレーキの踏み込みの方法、タイミングなどから大きく燃費が異なる。
【0004】
したがって、上記従来の技術においては、燃費の算出において、実際の車両の乗員、積載物などの重量や、運転者の運転技量による燃費への影響等を反映させることはできないという問題点があった。
ひいては、実効的かつ経済的な運転を把握することはできないという不具合が生じる。
そこで、本発明の目的は、実際の車両の乗員、積載物などの重量や、運転者の運転技量による燃費への影響を反映して、車両の燃費をより正確に算出し、経済的な運転を支援することが可能な車載用情報処理装置、車載用情報処理装置の制御方法および制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明の第1態様は、走行している道路の条件あるいは運転者の車両の操作状況を含む車両の走行状態を検出する走行状態検出部と、検出された前記走行状態および前記車両の搭載重量に対応づけて前記運転者毎に燃費を算出する燃費算出部と、を備えたことを特徴とする。
上記構成によれば、走行状態検出部は、走行している道路の条件あるいは運転者の車両の操作状況を含む車両の走行状態を検出する。
これにより、燃費算出部は、検出された前記走行状態および前記車両の搭載重量に対応づけて前記運転者毎に燃費を算出する。
【0006】
本発明の第2態様は、第1態様において、前記操作状況および算出した前記運転者毎の燃費に基づく前記車両の操作における改善支援情報を前記運転者毎に提示する改善情報提示部を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明の第3態様は、第2態様において、燃費情報を管理するサーバー装置に通信ネットワークを介して接続され、前記道路の条件および積載量に基づく標準燃費を取得する標準燃費情報取得部を備え、前記改善情報表示部は、算出した前記運転者毎の燃費および前記標準燃費を比較して前記改善支援情報を提示する、ことを特徴とする。
【0008】
本発明の第4態様は、第1態様ないし第3態様のいずれかにおいて、前記走行している道路の条件には、一般道、高速道、自動車専用道、未舗装道等の道路種別および道路勾配が含まれることを特徴とする。
【0009】
本発明の第5態様は、第1態様ないし第4態様のいずれかにおいて、前記搭載重量は、前記車両の架装物の重量、積載物の重量および乗員の重量であり、前記搭載重量を検出するための重量検出センサが設けられ、前記燃費算出部は、前記重量検出センサの検出した前記搭載重量に基づいて前記燃費を算出することを特徴とする。
【0010】
本発明の第6態様は、車両に搭載されて情報処理を行う車載用情報処理装置の制御方法において、前記車両が走行している道路の条件あるいは運転者の前記車両の操作状況を含む車両の走行状態を検出する走行状態検出過程と、検出された前記走行状態および前記車両の搭載重量に対応づけて前記運転者毎に燃費を算出する燃費算出過程と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明の第7態様は、車両に搭載されて情報処理を行う車載用情報処理装置をコンピュータにより制御するための制御プログラムにおいて、前記車両が走行している道路の条件あるいは運転者の前記車両の操作状況を含む車両の走行状態を検出させ走行状態検出機能と、検出された前記走行状態および前記車両の搭載重量に対応づけて前記運転者毎に燃費を算出させる燃費算出機能と、をコンピュータに実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、実際の車両の乗員数、積載物などの重量や、運転者の運転技量による燃費への影響を反映して、車両の燃費をより正確に算出し、経済的な運転を支援できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に本発明の好適な実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、燃費管理システムの概要構成図である。
燃費管理システム10は、大別すると、車両11に搭載される車載用情報処理装置としてのカーナビゲーション装置12と、カーナビゲーション装置12に無線基地局13、通信ネットワーク14を介して接続され、燃費管理を行う情報サーバー装置15と、を備えている。
【0014】
図2は、カーナビゲーション装置の概要構成ブロック図である。
カーナビゲーション装置12は、GPS(Global Positioning System)ユニット21と、ジャイロユニット22と、車速検出部23と、搭載重量検出部24と、FM受信部25と、表示部26と、指示入力部27と、ユーザインターフェース部28と、制御部30と、情報記憶部31と、記録媒体リードライト(R/W)部32と、通信制御部33と、音声再生部34とを備えている。
【0015】
GPSユニット21は、GPSアンテナ21Aを介してGPS衛星からのGPS電波を受信し、GPS電波に重畳されたGPS信号から、車両11の現在地を示す位置座標と進行方向とを演算により取得するとともに、GPS信号に含まれる日時情報と車両11の現在地の時差とから車両11の現在地における日時情報(年、月、日、時、分等)を演算により取得し、これら情報を制御部30に出力する。
ジャイロユニット22は、ジャイロセンサにより車両11の相対的な方位を検出して制御部30に出力するとともに、車両の傾きから道路勾配を検出して制御部30に出力する。
車速検出部23は、車両11の車速パルスPSに基づいて車両11の速度を演算により求め、制御部30に出力する。
搭載重量検出部24は、例えば、車軸に印加される重量を検出する重量センサを複数備え、乗員の重量、スキーキャリアなどの架装物の重量、積載物の重量などの搭載重量を検出して制御部30に出力する。
【0016】
FM受信部25は、FMアンテナ25Aを介してFM多重放送波を受信し、FM多重放送波に重畳された交通情報(VICS(登録商標)(Vehicle Information and Communication System)情報)を取得して制御部20に出力する。
ここで、FM多重放送波に重畳される交通情報は、例えば県単位の交通情報である。この交通情報は、道路交通情報通信システムセンター(VICSセンタ)が収集、処理、編集した現在の道路交通情報であり、現在の渋滞情報を含んでいる。
【0017】
表示部26は、例えば、タッチパネル付きの液晶表示装置が適用され、制御部30の制御の下、検索された案内経路もしくは施設を示した地図等の各種情報を表示する。
指示入力部27は、カーナビゲーション装置12が備える各種操作子やタッチパネルの操作を検出する操作検出部と、リモートコントローラ(図示せず)からの送信信号を受信する受信部等から構成され、ユーザーからの各種指示を制御部30に出力する。
ユーザインターフェース部28は、I/O制御回路やドライバ等であり、表示部26及び指示入力部27と、制御部30とを接続するインターフェースである。
【0018】
制御部30は、このカーナビゲーション装置12全体を制御するものであり、CPU及びその周辺回路から構成され、CPUがメモリ部35のROM40に記憶された制御プログラム等の各種データを読み出してプログラムを実行することにより、指示入力部27を介して入力されたユーザー指示に応じて、カーナビゲーション装置12の各部を制御する。
メモリ部35のDRAM41は、CPUのワークエリアに使用されるメモリである。また、SRAM42は、不揮発性メモリであり、車両11のアクセサリ電源等の本装置のメイン電源がオフの間も、電池等でバックアップされてメモリ内容を保持する。また、VRAM43は、表示部26の表示用データが格納されるメモリである。
【0019】
情報記憶部31は、地図データを記憶する記憶手段であり、具体的には、ハードディスク装置、CD−ROMやDVD−ROM等のディスク状記録媒体に記憶された上記各データを読み出し可能な読取装置等が適用される。この地図データは、ナビゲーション用の地図データであるため、いわゆる画像としての地図データに加え、現在地から目的地までの経路計算に利用可能な経路データを含んでいる。
【0020】
例えば、経路データは、主に交差点・分岐点を示すノード(点)、ノードを結ぶリンク(線)によって構成されている。各々のリンクには、リンクを特定するユニークな番号(リンクID)、リンク長、種別(国道、都道府県道…)、リンクの道路幅、有料・無料、通行規制等の属性が付与されている。各々のノードには、ノードを特定するユニークな番号(ノードID)、接続するリンク同士の通行規制やレーン情報等の属性が付与されている。また、適切に案内を行うために、各ノードに対応して、その地点で目印となる交差点の名称や、付近に有る施設の記号データ、交差点の画像データ等が格納されている。検索データとしては、住所や電話番号、ジャンルで検索するためのデータが考えられ、これにより検索されたデータを目的地として設定することができる。
【0021】
記録媒体リードライト部32は、制御部30の制御の下、このカーナビゲーション装置12に接続された外部記録媒体に対してデータの記録・読み出しを行うものであり、外部記録媒体には、例えば、メモリースティック(登録商標)、CFカード(登録商標)などのメモリーカードが適用される。
通信制御部33は、制御部30の制御の下、このカーナビゲーション装置12に接続された無線通信機器(例えば、携帯電話機)45、無線基地局13および通信ネットワーク14を介して情報サーバー装置15やインターネットにアクセスし、各種情報を受信する。なお、図2中、符号45Aは無線通信機器45の通信アンテナである。また、この無線通信機器45は、カーナビゲーション装置12に内蔵される構成でもよい。
【0022】
次に動作を説明する。
図3は、カーナビゲーション装置の処理フローチャートである。
まず、ユーザーは、カーナビゲーション装置12を介して目的地までの経路を設定する(ステップS11)。
続いて、カーナビゲーション装置12の制御部30は、経路情報あるいは車両情報を情報センターに設置された情報サーバー装置15に送信するタイミングであるか否か、若しくは経路変更がなされたか否かを判別する(ステップS12)。
【0023】
ステップS12の判別において、経路情報あるいは車両情報を情報センターに設置された情報サーバー装置15に送信するタイミングではなく、かつ、経路変更もなされていない場合には(ステップS12;No)、制御部30は、処理をステップS17に移行する。
ステップS12の判別において、経路情報あるいは車両情報を情報センターに設置された情報サーバー装置15に送信するタイミングであるか、若しくは、経路変更がなされた場合には(ステップS12;Yes)、カーナビゲーション装置12の制御部30は、無線基地局13および通信ネットワーク14を介して情報サーバー装置15に接続し、自己の経路情報を経路情報データとして、また、運転状況情報および車両情報を運転状況・車両情報データとして、情報サーバー装置15に送信する(ステップS13)。
【0024】
図4は、経路情報データのデータフォーマットである。
経路情報データ50は、大別すると、出発地データ51、目的地データ52、経路データ53、天候データ54、運転者データ55および運転技量データ56を備えている。
図4の例の場合、出発地データ51=X、目的地データ52=Y、経路データ53=X、p、q、r、Y、天候データ54=晴、運転者データ55=A、運転技量データ56=標準であるので、運転者Aが出発地である地点Xを出発して、地点p、地点qおよび地点rを経由して目的地である地点Yに至ること、および、運転者Aの運転技量は標準であることがわかることとなる。
【0025】
ここで、運転技量が標準であるとは、急ブレーキや急加速などの燃費により大きな影響を与える運転操作が運転距離、運転頻度などから統計的にみて標準的な回数範囲内にあることを表している。したがって、運転者Aは、同一の経路で運転を行った場合に予想される燃費は、運転者の標準的な値の範囲に収まることが予測されるような運転者である。
【0026】
図5は、運転状況・車両情報データのデータフォーマットである。
運転状況・車両情報データ60は、大別すると、車種データ61、年式データ62、エンジン形式データ63、変速機形式データ64、現在位置データ65、道路勾配データ66、搭載重量データ67および燃費データ68を備えている。
図5の例の場合、車種データ61=b、年式データ62=2000、エンジン形式データ63=E1、変速機形式データ64=T1、現在位置データ65=p、道路勾配データ66=5、搭載重量データ67=185、燃費データ68=8.05であるので、車種bの2000年式で、エンジンの形式がE1型、変速機の形式がT1型であり現在位置が地点pであり、当該地点の道路勾配が5%であり、搭載重量は185kgであり、当該時点において算出された実燃費は8.05km/lであることを示している。
【0027】
図6は、情報サーバー装置の処理フローチャートである。
カーナビゲーション装置12から経路情報データ50および運転状況・車両情報データ60により情報を受信すると(ステップS31)、受信したデータを燃費情報データベース16に登録する(ステップS32)。
次に情報サーバー装置15は、運転状況・車両情報データ60に基づいて、燃費データに対応する実燃費、エアコンの稼働状態(オンまたはオフ)、搭載重量および運転技量などの車両の走行状態に基づいて、エアコン係数、搭載係数および標準燃費を算出する(ステップS33)。
【0028】
ここで、エアコン係数とは、エアコンが使用されることにより燃費が低下する割合を示す係数であり、搭載係数とは、搭載重量に応じて燃費が低下する割合を示す係数であり、これらの係数と実燃費並びに同一車種における同一運転者における標準的な燃費である標準燃費を算出することとなる。
続いて、情報サーバー装置15は、カーナビゲーション装置12から送信された経路データ53に基づいて、経路を道路種別(一般道路、高速道路、自動車専用道路、未舗装路など)毎にN個の区間に分割する(Nは、正の整数)(ステップS34)。
続いて、情報サーバー装置15は、N個に分割した区間毎に、エアコン係数、搭載係数および標準燃費を算出するための区間特定パラメータmを1とする(ステップS35)。
これにより情報サーバー装置15は、送信された経路情報および車両情報に対応する標準燃費情報を運転者毎に燃費情報データベース16を参照して検索する(ステップS36)。
【0029】
次に情報サーバー装置15は、第m区間のデータが燃費情報データベース16に既に登録されているか否かを判別する(ステップS37)。
ステップS37の判別において、第m区間のデータが燃費情報データベース16に登録されていない場合には(ステップS37;No)、情報サーバー装置15は、当該区間と類似の走行条件にある類似のデータが存在するか否かを判別する(ステップS41)。
ステップS41の判別において、当該区間と類似の走行条件にある類似のデータが存在しない場合には(ステップS41;No)、情報サーバー装置15は、燃費情報データベース16にステップS33で算出したエアコン係数、搭載係数および標準燃費を新規に登録して(ステップS43)、処理をステップS39に移行する。
【0030】
図7は、燃費情報データベースの区間毎の登録データの説明図である。
区間データ70は、大別すると、実燃費データ71、エアコンデータ72、搭載重量データ73、運転技量データ74、エアコン係数データ75、搭載係数データ76、運転技量係数データ77および標準燃費データ78を備えている。
区間データ70は、運転者毎、かつ、区間毎に複数格納可能とされている。これは、様々な運転条件を加味した判断が行えるようにするためである。
【0031】
ステップS41の判別において、当該区間と類似の走行条件にある類似のデータが存在する場合には(ステップS41;Yes)、情報サーバー装置15は、当該区間と類似の走行条件にある類似のデータに基づくエアコン係数、搭載係数および標準燃費を燃費情報データベース16に追加し(ステップS42)、処理をステップS39に移行する。この場合において、当該区間と類似の走行条件にある類似のデータには、統計的な処理が施されている状態であるので、より正確なデータとして信頼がおけることとなる。
ステップS37の判別において、第m区間のデータが燃費情報データベース16に既に登録されている場合には(ステップS37;Yes)、算出したエアコン係数、搭載係数および標準燃費を燃費情報データベース16に追加登録し(ステップS38)、区間特定パラメータmが分割した区間数Nと等しいか否かを判別する(ステップS39)。
【0032】
ステップS39の判別において、区間特定パラメータmが分割した区間数Nと等しくない場合には(ステップS39;No)、区間特定パラメータmに1を加算して(ステップS40)、次の区間の処理を行うべくステップS36に処理を移行して、同様の処理を繰り返す。
ステップS39の判別において、区間特定パラメータmが分割した区間数Nと等しい場合には(ステップS39;Yes)、処理が終了したので、情報サーバー装置15は、車載用情報処理装置であるカーナビゲーション装置12側に経路データ53に対応する前経路の経路標準燃費、エアコン係数、搭載係数および後述する改善点情報等の情報を送信することとなる(ステップS44)
【0033】
これによりカーナビゲーション装置12の制御部30は、情報サーバー装置15から経路標準燃費、エアコン係数、搭載係数および後述する改善点情報等の情報を受信すると(ステップS14)、受信した標準燃費、エアコン係数および搭載係数などの情報に基づいて実際の経路を走行する際に想定される燃費(想定燃費)を算出する(ステップS15)。
そして、制御部30は、算出した想定燃費から現在設定されている運転者に対応する必要燃料量を表示部26に表示する(ステップS16)。
続いて制御部30は、現在の燃料量から目的地(上述の例では地点Y)までの燃料が不足するか否かを判別する(ステップS17)。この場合において、運転者毎に燃料が不足するか否かを判別しているため、同一の燃料量であっても、運転者によって、結果が異なることとなる。
【0034】
ステップS17の判別において、目的地までの燃料が十分である場合には(ステップS17;No)、制御部30は、処理をステップS19に移行する。
ステップS17の判別において、目的地までの燃料が不足する場合には(ステップS17;Yes)、制御部30は、燃料不足を通知する(ステップS18)。燃料不足の通知の方法としては、表示部26に表示したり、音声再生部34を介した音声出力を行ったりして行う。
続いて制御部30は、残燃料量が所定値以下であるか否かを判別する(ステップS19)。
【0035】
ステップS19の判別において、残燃料量が所定値を超えている場合には(ステップS19;No)、制御部30は処理をステップS21に移行する。
ステップS19の判別において、残燃料量が所定値以下である場合には(ステップS19;Yes)、制御部30は情報記憶部31を参照して、最寄りのガソリンスタンドを表示部26に表示している地図画面上に表示する(ステップS20)。
続いて制御部30は、情報サーバー装置15から改善点情報が送信されていたか否かを判別する(ステップS21)。
この改善点情報とは、急加速、急ブレーキなどの回数、アクセルの踏み込みすぎなどを抑制するように促す情報であり、この情報にしたがって運転を行えば、燃費の向上に寄与するようなアドバイス情報である。
【0036】
ステップS21の判別において、情報サーバー装置15から改善点情報が送信されていなかった場合には(ステップS21;No)、制御部30は処理をステップS23に移行する。
ステップS21の判別において、情報サーバー装置15から改善点情報が送信されていた場合には(ステップS21;Yes)、制御部30は、送信された改善点情報を表示部26に表示して、運転者に改善を促すこととなる(ステップS22)。
続いて制御部30は、車両11が案内経路外を走行しているか否かを判別する(ステップS23)。
【0037】
ステップS23の判別において、車両11が案内経路内を走行している場合には(ステップS23;No)、制御部30は、処理をステップS12に移行し、以下、同様の処理を繰り返すこととなる。
ステップS23の判別において、車両11が案内経路外を走行している場合には(ステップS23;Yes)、目的地までの経路を再設定する処理を行い(ステップS24)、処理をステップS12に移行し、以下、同様の処理を繰り返すこととなる。
【0038】
以上の説明のように、本実施形態によれば、道路種別、天候、エアコンの使用の有無、実際の車両の乗員数、積載物などの重量や、運転者の運転技量による燃費への影響を反映して、運転者毎に車両の燃費をより正確に算出し、経済的な運転を支援できる。
以上の説明においては、エアコン係数、搭載係数および標準燃費の算出を情報サーバー装置15側で行うように構成していたが、これらの機能を車載用情報処理装置であるカーナビゲーション装置12側に持たせることも可能である。
【0039】
以上の説明においては、運転者の設定は、ユーザーが手動で行うものとして説明したが、無線通信機器45として携帯電話などを用いる場合には、携帯電話のユーザを予め登録しておくことにより、当該携帯電話のユーザを運転者として自動的に判別するように構成することも可能である。同様に、キーレスエントリーシステムの場合には、各キー毎にID登録を行い、IDに予め対応づけられたユーザーを運転者として自動的に判別するように構成することも可能である。
【0040】
以上の説明においては、より正確な搭載重量を検出するために重量センサを有する搭載重量検出部24を設けていたが、乗員数および積載物の概略重量をユーザーが手入力するように構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】燃費管理システムの概要構成図である。
【図2】カーナビゲーション装置の概要構成ブロック図である。
【図3】カーナビゲーション装置の処理フローチャートである。
【図4】経路情報データのデータフォーマットである。
【図5】運転状況・車両情報データのデータフォーマットである。
【図6】情報サーバー装置の処理フローチャートである。
【図7】燃費情報データベースの区間毎の登録データの説明図である。
【符号の説明】
【0042】
10 燃費管理システム
11 車両
12 カーナビゲーション装置
13 無線基地局
14 通信ネットワーク
15 情報サーバー装置
16 燃費情報データベース
20 制御部
21 GPSユニット(走行状態検出部)
22 ジャイロユニット(走行状態検出部)
23 車速検出部(走行状態検出部)
24 搭載重量検出部
25 FM受信部
26 表示部
27 指示入力部
28 ユーザインターフェース部
30 制御部(燃費算出部)
31 情報記憶部
32 記録媒体リードライト部
33 通信制御部
34 音声再生部
35 メモリ部
50 経路情報データ
51 出発地データ
52 目的地データ
53 経路データ
54 天候データ
55 運転者データ
56 運転技量データ
60 運転状況・車両情報データ
61 車種データ
62 年式データ
63 エンジン形式データ
64 変速機形式データ
65 現在位置データ
66 道路勾配データ
67 搭載重量データ
68 燃費データ
70 区間データ
71 実燃費データ
72 エアコンデータ
73 搭載重量データ
74 運転技量データ
75 エアコン係数データ
76 搭載係数データ
77 運転技量係数データ
78 標準燃費データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行している道路の条件あるいは運転者の車両の操作状況を含む車両の走行状態を検出する走行状態検出部と、
検出された前記走行状態および前記車両の搭載重量に対応づけて前記運転者毎に燃費を算出する燃費算出部と、
を備えたことを特徴とする車載用情報処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の車載用情報処理装置において、
前記操作状況および算出した前記運転者毎の燃費に基づく前記車両の操作における改善支援情報を前記運転者毎に提示する改善情報提示部を備えたことを特徴とする車載用情報処理装置。
【請求項3】
請求項2記載の車載用情報処理装置において、
燃費情報を管理するサーバー装置に通信ネットワークを介して接続され、前記道路の条件および積載量に基づく標準燃費を取得する標準燃費情報取得部を備え、
前記改善情報表示部は、算出した前記運転者毎の燃費および前記標準燃費を比較して前記改善支援情報を提示する、
ことを特徴とする車載用情報処理装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の車載用情報処理装置において、
前記走行している道路の条件には、一般道、高速道、自動車専用道、未舗装道等の道路種別および道路勾配が含まれることを特徴とする車載用情報処理装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の車載用情報処理装置において、
前記搭載重量は、前記車両の架装物の重量、積載物の重量および乗員の重量であり、
前記搭載重量を検出するための重量検出センサが設けられ、
前記燃費算出部は、前記重量検出センサの検出した前記搭載重量に基づいて前記燃費を算出することを特徴とする車載用情報処理装置。
【請求項6】
車両に搭載されて情報処理を行う車載用情報処理装置の制御方法において、
前記車両が走行している道路の条件あるいは運転者の前記車両の操作状況を含む車両の走行状態を検出する走行状態検出過程と、
検出された前記走行状態および前記車両の搭載重量に対応づけて前記運転者毎に燃費を算出する燃費算出過程と、
を備えたことを特徴とする車載用情報処理装置の制御方法。
【請求項7】
車両に搭載されて情報処理を行う車載用情報処理装置をコンピュータにより制御するための制御プログラムにおいて、
前記車両が走行している道路の条件あるいは運転者の前記車両の操作状況を含む車両の走行状態を検出する走行状態検出機能と、
検出された前記走行状態および前記車両の搭載重量に対応づけて前記運転者毎に燃費を算出する燃費算出機能と、
をコンピュータに実現させることを特徴とする制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−185333(P2010−185333A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−29321(P2009−29321)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】