説明

車載用情報提示装置

【課題】推奨する行き先を紹介するコンテンツを表示装置に表示するものにあって、ユーザにとって印象深くアピールできるような形態でコンテンツを表示する。
【解決手段】CPU7は、おすすめ情報の表示が指示されると、通信部16を介して情報センタ15から推奨する各施設や店舗の複数のコンテンツを受信する。ライフログに基づいてユーザの嗜好を推定し、おすすめ情報に含まれる各コンテンツに対し優先度を付与する。表示装置6に、指定された地域の道路地図を二次元表示した画面に、推奨する車両の行き先の地図上の位置を表示すると共に、それら各行き先のコンテンツをポップアップ表示する。このとき、当初は、各コンテンツに付与された優先度に応じて表示の大きさを変化させた通常表示態様で表示し、操作部8の特定操作がなされたときに、優先度が高いコンテンツほど、より一層大きく表示するデフォルメ表示態様に切替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内の運転者が視認可能な位置に各種情報を表示可能な表示装置を備える車載用情報提示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車に搭載され、乗員(運転者)に情報、例えば目的地の候補を提示する情報提示システムとして、特許文献1に開示されたものが知られている。この情報提示システムでは、目的地(店舗、施設等)の選択候補をユーザに提示するにあたり、記憶されたユーザの行動履歴及び行動習慣から、ユーザの嗜好(選択傾向)を推定し、表示画面に、目的地情報(おすすめ情報)のリストを、ユーザの嗜好に応じたものを上位にしながら表示するようになっている。例えば、「食べる」のジャンルの場合には、Bラーメン店、Cうどん店、Aそば店、Dスパゲティ店、‥といった順序のリストが表示される(特許文献1の図19参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−139129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のものでは、表示装置に「おすすめ情報」を表示するに際し、ユーザによる選択可能性の高いものほどリストの上位になるような工夫はなされているものの、店舗の名称等のリストが文字によって表示されるだけである。そのため、ユーザに対してのアピールの度合が小さいものとなっていた。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、推奨する行き先を紹介するコンテンツを表示装置に表示するものにあって、ユーザにとって印象深くアピールできるような形態でコンテンツを表示することができる車載用情報提示装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の車載用情報提示装置は、車室内にユーザにより視認可能な表示装置を備えると共に、前記表示装置の情報表示を制御する制御手段を備えるものにあって、推奨する車両の行き先を前記表示装置における表示によって紹介するためのコンテンツを収集する情報取得手段と、前記表示装置の画面に表示される複数のコンテンツに対し優先度を付与する優先度決定手段と、ユーザにより操作可能な操作部とを具備し、前記制御手段は、前記表示装置の地図画面に、前記行き先の地図上の位置と関連付けて、前記複数のコンテンツを所定の大きさでポップアップ表示する第1の表示態様で表示すると共に、ユーザによって前記操作部の特定操作がされることに基づき、前記優先度決定手段によって付与された優先度が高いコンテンツほど、大きく表示する第2の表示態様に切替えるところに特徴を有する(請求項1の発明)。
【0007】
本発明の車載用情報提示装置においては、情報取得手段により、推奨する車両の行き先(店舗や施設等)を表示による紹介するためのコンテンツ(情報内容)が収集され、制御手段により、表示装置の地図画面に、それらコンテンツが行き先の地図上の位置と関連付けて表示される。各コンテンツは、ポップアップ表示(ウィンドウを開いてコンテンツを表示する方法)によって印象的な表示がなされ、ユーザは、表示装置に表示されたコンテンツを見て、それらを参考にして行き先を決めることができる。
【0008】
このとき、制御手段は、当初は、複数のコンテンツを所定(通常)の大きさでポップアップ表示する第1の表示態様で表示するが、ユーザによって操作部の特定操作がなされると、優先度決定手段によって付与された優先度に従って、優先度が高いコンテンツほど大きく表示する第2の表示態様に切替える。従って、各コンテンツのポップアップ表示に、優先度決定手段により付与された優先度が反映され、優先度の高いコンテンツを、より印象深くアピールすることができるようになる。
【0009】
本発明においては、前記制御手段は、前記第1の表示態様として、前記表示装置の地図画面に、前記行き先の地図上の位置と関連付けて、前記複数のコンテンツを、前記優先度決定手段によって付与された優先度が高いコンテンツほど大きくポップアップ表示する通常表示態様で表示すると共に、ユーザによって前記操作部の特定操作がされることに基づき、前記第2の表示態様として、前記優先度が高いコンテンツほど、より一層大きく表示するデフォルメ表示態様に切替えるように構成することができる(請求項2の発明)。これによれば、各コンテンツのポップアップ表示に、優先度決定手段により付与された優先度が反映され、優先度の高いコンテンツを、より一層印象深くアピールすることができるようになる。
【0010】
尚、請求項1に記載の第1の表示態様は、請求項2に記載の例だけでなく、例えば複数のコンテンツのポップアップ表示態様において、文字フォントや表示領域の大きさを統一した表示等としても良い。
【0011】
本発明においては、前記優先度決定手段を、記憶手段に記憶されたユーザのライフログに基づいて、ユーザの嗜好を推定すると共に、その嗜好に応じて各コンテンツに対し優先度を付与するように構成することができる(請求項3の発明)。これによれば、ユーザの嗜好を反映した優先度でコンテンツの表示がなされるので、ユーザの好みに合った行き先を、優先する形態で紹介することができ、より一層効果的となる。
【0012】
また本発明においては、前記情報収集手段を、外部の情報センタとの間で無線通信によりコンテンツを収集する通信手段を含んで構成することができる(請求項4の発明)。これによれば、外部の情報センタを介して、ネットワーク(クラウド)等から、広く最新の行き先の情報(コンテンツ)を収集することができ、より多様な情報のなかから、推奨する行き先を選んで紹介することが可能となる。
【0013】
ところで、本発明においては、表示装置の地図画面を二次元表示(俯瞰図)とすることができることは勿論であるが、前記制御手段を、表示装置の画面の下部に、遠近法を用いた三次元的に地図を表示すると共に、画面の上部に、行き先の地図上の位置から立上るPOP(point of purchase advertising)の如き形態で、コンテンツをポップアップ表示するように構成することもできる(請求項5の発明)。
【0014】
ここで、POPとは、「point of purchase advertising」の略で、近年、販売促進のためによく用いられている広告媒体であり、パネル(紙)等に、商品名や、キャッチコピー、説明文、イラスト等を記載したものである。従って、三次元的表示によって遠近感をもった判りやすい地図表示をすることができ、やはり、その画面の中で、各コンテンツを優先度に応じてアピールするようにポップアップ表示することができる。
【0015】
前記制御手段が、表示装置に上記コンテンツを表示するにあたっては、文字による表示に限らず映像により表示することができる(請求項6の発明)。ユーザに対してより判りやすく印象的に表示することができる。この場合、映像には、静止画だけでなく動画も含まれ、また、音声も合わせて出力するように構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施例を示すもので、要部の電気的構成を概略的に示すブロック図
【図2】車室内の運転席部分を示す斜視図
【図3】おすすめ情報の表示に関する処理手順を示すフローチャート
【図4】表示装置におすすめ情報画面を通常表示態様で表示した様子を示す図(a)及びデフォルメ表示態様に切替えた様子を示す図(b)
【図5】本発明の第2の実施例を示すもので、表示装置におすすめ情報画面を第1表示態様で表示した様子を示す図(a)及び第2表示態様に切替えた様子を示す図(b)
【図6】本発明の第3の実施例を示す図5相当図
【発明を実施するための形態】
【0017】
(1)第1の実施例
以下、本発明を具体化した第1の実施例について、図1ないし図4を参照しながら説明する。まず、図2は、車両(乗用車)の運転席1の前部の様子を概略的に示しており、ここで、運転席1の前部には、インストルメントパネル2(以下「インパネ2」と略称する)が設けられている。このインパネ2には、メータ部3が埋込まれるようにして設けられ、その手前側に位置してステアリングホイール4が設けられている。詳しく図示はしないが、前記メータ部3には、スピードメータ、タコメータ、水温計、バッテリ残量計、各種のワーニングランプ等が設けられている。
【0018】
そして、前記インパネ2の中央部(センタコンソール部分)に、本実施例に係る車載用情報提示装置5が組込まれる。この車載用情報提示装置5は、図1にも示すように、例えばカラー液晶ディスプレイからなる表示装置6と、その表示装置6の表示を制御する制御手段たるCPU(コンピュータ)7とを備えて構成される。図1に示すように、前記CPU7には、ユーザが各種の設定や入力操作を行うための操作部8が接続されている。この操作部8は、表示装置6の近傍に設けられたメカスイッチや、表示装置6の画面上に設けられたタッチパネル、更には音声認識装置を含んでいる。
【0019】
図1は、本実施例に係る車載用情報提示装置5(CPU7)及びその周辺部分の電気的構成を概略的に示している。CPU7には、前記表示装置6及び操作部8が接続されていると共に、自車両の現在位置を検出する位置検出手段たる位置検出部9が接続されている。詳しく図示はしないが、この位置検出部9は、GPS衛星からの電波を受信することに基づいて自車両の絶対位置を測位するGPS測位部と、自車両に搭載された方位センサや加速度センサ、車速(距離)センサ等の信号から自車両の走行軌跡(相対位置)を求める推測航法部とを備えて構成されている。
【0020】
CPU7には、地図データ取得部10が接続され、例えばハードディスク装置からなる地図データベース11から地図データを取得する。地図データベース11には、例えば日本全土の道路地図データや、それに付随する、各種施設や店舗等の施設データ、道路地図を表示装置6の画面上に再生(描画)するためのデータが含まれている。CPU7には、運転者(ユーザ)Dの状態(例えば、心拍数、血圧、発汗、体温など)を検出するための周知の生体センサ等からなる乗員状態検知部12が接続されている。
【0021】
さらに、CPU7には、車両情報(操作情報)を取得するための車両情報取得部13が接続されている。この車両情報取得部13は、例えばCANからなる車載ネットワーク14に接続されている。周知のように、この車載ネットワーク14は、車両に搭載された複数のシステム(各々の制御コンピュータ)間でのネットワークを形成するもので、図示はしないが、エンジンECU、トランスミッションECU、ブレーキECU、ナビゲーションECU等の複数の制御ユニットが相互に接続されている。尚、前記ナビゲーションECUは、ルートガイダンス等の周知のナビゲーション処理を実行する。
【0022】
そして、CPU7には、記憶手段としての履歴記憶部17が接続されている。この履歴記憶部17には、ユーザが自車両で立ち寄った施設(店舗)やその日時(曜日)等、過去の履歴情報(カーライフログ)が書込まれて、記憶・蓄積されるようになっている。車両での移動時に限らず、ユーザの生活全般に関しての行動記録(ライフログ)が記憶されていても良い。
【0023】
また、CPU7には、外部の情報センタ15のサーバとの間で無線通信を行う通信手段としての通信部16が接続されている。通信部16としては、DSRC、携帯電話機、無線LAN、DCMなど様々なものを採用することができる。後述するように、車載用情報提示装置5(CPU7)は、情報センタ15から、推奨する行き先(店舗や施設等)を紹介するための複数のコンテンツ(表示データ)を含むおすすめ情報を受信(取得)することが可能に構成されている。従って、CPU7は、通信部16と共に情報取得手段として機能する。
【0024】
このとき、詳しく図示はしないが、前記情報センタ15は、コンピュータを主体として構成されたサーバを備え、インターネット等のネットワーク(クラウド)と接続されている。この情報センタ15は、ネットワークを介して、日本全国の各地域における行き先(目的地)となり得る施設や店舗などに関する詳細な最新の情報(コンテンツ)を収集し、推奨する行き先を紹介するためのおすすめ情報として記憶するようになっている。
【0025】
このおすすめ情報には、推奨する各施設や店舗の位置情報と共に、それら各施設や店舗のジャンル(種類)、特色(メニュー等)、セールやイベント等の情報を表示により紹介するためのコンテンツ(表示データ)が含まれている。この場合、各コンテンツは、文字情報の他に、映像(静止画及び動画)情報を含ませることができる。情報センタ15は、各車両からおすすめ情報を要求するリクエスト信号を受信すると、リクエスト信号において指定されたPOI(特定の地域)におけるおすすめ情報を送信(返信)するようになっている。前記リクエスト信号には、POI指定データに加えて、施設や店舗のジャンルを指定するデータを含ませても良い。
【0026】
さて、後の作用説明(フローチャート説明)でも述べるように、前記CPU7は、そのソフトウエア的構成により、ユーザの操作部8の操作によって、おすすめ情報の表示が指示(及びPOIが指定)されると、通信部16を介して、情報センタ15に対してリクエスト信号を送信する。そして、それに応答して情報センタ15から送信される指定されたPOI(及びジャンル)のおすすめ情報のデータ(推奨する各施設や店舗の複数のコンテンツ)を受信(取得)する。
【0027】
おすすめ情報のデータを取得すると、CPU7は、おすすめ情報に含まれる各コンテンツに対し、優先度を付与する処理を実行する。従って、CPU7が優先度決定手段としても機能する。本実施例では、優先度を付与(決定)するにあたっては、履歴記憶部17に記憶されているユーザのライフログに基づいて、ユーザの嗜好(興味あるもの)を推定する。そして、収集された各コンテンツに関し、推定したユーザの嗜好や興味に合致するものについては、優先度を高く、ユーザが興味を示すことのない(少ない)のものについては優先度を低く付与する。このときの優先度は、例えば、高、中、低の3段階というように複数の段階に分類したり、n個のコンテンツに対し1番からn番までの優先順位を付けたりすることができる。
【0028】
この後、CPU7は、表示装置6に、POIで指定された地域の道路地図を二次元(俯瞰図)表示した画面に、推奨する車両の行き先(各施設や店舗)の地図上の位置を表示すると共に、それら各行き先のコンテンツをポップアップ表示(行き先の位置から引出される形態の四角形のウィンドウを、地図に重ねながら開いてコンテンツを表示する方法)するおすすめ情報画面(図4参照)を表示させる。本実施例では、このおすすめ情報画面には、図4(a)に示すような、第1の表示態様としての通常表示態様と、図4(b)に示すような、第2の表示態様としてのデフォルメ表示態様との、2つの表示態様がある。
【0029】
そのうち通常表示態様では、図4(a)に示すように、各施設や店舗のコンテンツをポップアップ表示するに際し、各コンテンツに付与された優先度に応じて、ポップアップ表示の大きさを変化させるものであり、例えば優先度が高、中、低の3段階に分類された場合に、ポップアップ表示の大きさを、夫々、大、中、小としている。図4(a)の例では、店舗A(優先度高)、店舗B(優先度低)、店舗C(優先度中)の3つのコンテンツが、夫々大、小、中の大きさで表示される。
【0030】
これに対し、デフォルメ表示態様は、図4(b)に示すように、優先度が高いコンテンツほど、より一層大きく表示するもので、店舗Aのコンテンツが更に拡大して表示される。店舗B及び店舗Cのコンテンツは、この場合縮小して表示される。尚、通常表示態様とデフォルメ表示態様との間では、地図表示の縮尺は一定に保たれたまま、コンテンツの表示の大きさのみが変更される。
【0031】
CPU7は、当初は、図4(a)に示す通常表示態様で、おすすめ情報画面を表示し、ユーザにより操作部8の特定の操作がなされたときに、図4(b)に示すデフォルメ表示態様に切替える。本実施例では、特定の操作として、表示装置6の画面上(タッチパネル)に、2本の指を置いた後それらを拡げる方向に移動させるいわゆるピンチアウト(ピンチオープン)の操作があったときに、通常表示態様からデフォルメ表示態様に切替えられる。また、本実施例では、おすすめ情報画面が、デフォルメ表示態様で表示されている状態において、2本の指を置いた後それらを狭める方向に移動させるいわゆるピンチイン(ピンチクローズ)の操作があったときに、通常表示態様に戻すようになっている。
【0032】
尚、おすすめ情報表示画面では、地図画面内に自車両の位置が含まれている場合には、自車両の位置を併せて表示することができる。操作部8を操作して、表示される道路地図の縮尺を変更することも可能である。例えば画面に表示されているコンテンツをタッチ操作することにより、そのコンテンツの示す施設や店舗を目的地として設定し、ルート探索、ルート案内を行うこともできる。
【0033】
次に、上記構成の車載用情報提示装置5の作用について、図3及び図4も参照して述べる。今、ユーザ(運転者D)が、特定の地域(POI)において、ショッピングを楽しみたい、あるいは食事をしたいといった場合に、操作部8を操作して、おすすめ情報の表示の指示をすると共に、地域(POI)を指定する。更に、必要があれば、行き先のジャンル(ショッピング、食事、遊び等)を指定する。図3のフローチャートは、CPU7が実行する、おすすめ情報の取得から表示までの処理の手順を示している。
【0034】
即ち、まずステップS1では、通信部16を介した無線通信により、情報センタ15に対してPOIやジャンルを指定したリクエスト信号を送信することに基づき、情報センタ15から、おすすめ情報のデータ(指定のPOIにおける推奨する施設や店舗を紹介するためのコンテンツ)が取得される。ステップS2では、履歴記憶部17に記憶されているユーザのライフログに基づいて、ユーザの嗜好(興味あるもの)が推定される。
【0035】
次のステップS3では、ステップS1で取得した各コンテンツに関し、優先度を付与する処理が行なわれる。この処理は、例えばユーザの嗜好や興味に合致するものについては優先度を高く、ユーザが興味を示すことのない(少ない)のものについては優先度を低くするように、優先度を高、中、低の3段階で付与する。
【0036】
そして、ステップS4では、表示装置6に、おすすめ情報画面を通常表示態様で表示することが行なわれる。このおすすめ情報画面では、図4(a)に示すように、表示装置6に、POIで指定された地域の道路地図を二次元(俯瞰図)表示した画面に、推奨する各施設や店舗の地図上の位置を表示すると共に、それら各行き先のコンテンツをポップアップ表示することによりなされる。このとき、優先度の高い店舗Aのコンテンツは大きく表示され、優先度の低い店舗Bのコンテンツは小さく表示され、優先度中である店舗Cのコンテンツは中間的な大きさで表示される。
【0037】
ステップS5では、ユーザによる操作部8の特定操作、この場合タッチパネルのピンチアウト操作がなされたかどうかが判断される。そして、特定操作がなされた場合には(ステップS5にてYes)、ステップS6にて、表示装置6のおすすめ情報画面が、デフォルメ表示態様に切替えられる。このデフォルメ表示態様では、地図表示の縮尺は変ることなく、優先度の高い店舗Aのコンテンツが更に拡大して表示される。優先度が低い或いは中くらいの店舗B或いは店舗Cのコンテンツは、この場合縮小して表示される。尚、図示はしていないが、このデフォルメ表示態様の画面において、ユーザによるタッチパネルのピンチイン操作がなされると、おすすめ情報画面は通常表示態様に戻される。
【0038】
このような本実施例によれば、推奨する行き先(店舗や施設等)を紹介するコンテンツ(おすすめ情報画面)を表示装置6に地図上の位置と関連付けて表示するものにあって、表示装置6のおすすめ情報画面において、各コンテンツはポップアップ表示されるので、ユーザにとって印象的なコンテンツの表示がなされ、それらコンテンツを見て行き先を決めることができる。このとき、優先度が高いコンテンツほど、つまりユーザにとってより重要と推測されるコンテンツほど、大きくポップアップ表示されるので、ユーザにとって判りやすく表示することができる。
【0039】
しかも、本実施例では、おすすめ情報画面は、当初は、複数のコンテンツを優先度に応じた大きさでポップアップ表示する通常表示態様で表示されるが、ユーザによる操作部8の特定操作がなされると、優先度が高いコンテンツほど、より一層大きく表示するデフォルメ表示態様に切替えられる。従って、優先度の高いコンテンツを、より一層印象深くアピールすることができる形態で表示することができるようになる。
【0040】
また、特に本実施例では、履歴記憶部17のライフログに基づいてユーザの嗜好を推定し、その嗜好に応じて各コンテンツに対し優先度を付与するようにしたので、ユーザの嗜好を反映した優先度が付与され、ユーザの好みに合ったコンテンツを優先する形態で紹介することができて効果的となる。更に本実施例では、外部の情報センタ15との間で無線通信によりコンテンツを収集する構成としたので、広く最新の行き先の情報(コンテンツ)を収集することができ、より多様な情報のなかから、推奨する行き先を選んで紹介することが可能となるといった利点も得ることができる。
【0041】
(2)第2、第3の実施例、その他の実施例
図5は、本発明の第2の実施例を示すものであり、表示装置6に表示されるおすすめ情報画面の例を示している。この第2の実施例が、上記第1の実施例と異なるところは、以下の点にある。即ち、制御手段としてのCPU7は、表示装置6に、POIで指定された地域の道路地図を二次元表示した画面に、推奨する車両の行き先(各施設や店舗)の地図上の位置を表示すると共に、それら各行き先のコンテンツをポップアップ表示するおすすめ情報画面(図5参照)を表示させる。
【0042】
このとき、図5(a)に示すように、当初は、複数のコンテンツを、所定(通常)の大きさ、この場合全て同じ大きさでポップアップ表示する第1の表示態様で表示する。そして、ユーザによって操作部8の特定操作(タッチパネルのピンチアウト操作)がなされると、図5(b)に示すように、付与されている優先度に従って、優先度が高いコンテンツほど大きく表示する第2の表示態様に切替える。
【0043】
従って、この第2の実施例によっても、推奨する行き先(施設や店舗)を紹介するコンテンツ(おすすめ情報画面)を表示装置6に表示するものにあって、各コンテンツをポップアップ表示することにより、印象深い表示を行うことができる。しかも、第2の表示態様において、優先度が高いコンテンツほど、つまりユーザにとってより重要と推測されるコンテンツほど大きくポップアップ表示されるので、優先度の高いコンテンツを、より一層印象深くアピールすることができるようになる。
【0044】
図6は、本発明の第3の実施例を示すもので、やはり、表示装置6に表示されるおすすめ情報画面の例を示している。即ち、制御手段としてのCPU7は、表示装置6に、おすすめ情報画面を表示させるにあたり、表示装置6の画面の下部に、遠近法を用いた三次元的に地図を表示すると共に、画面の上部に、行き先(施設や店舗)の地図上の位置から立上るPOPの如き形態で、コンテンツをポップアップ表示する。ここで、POPとは、「point of purchase advertising」の略で、近年、販売促進のためによく用いられている広告媒体であり、パネル(紙)等に、商品名や、キャッチコピー、説明文、イラスト等を記載したものである。
【0045】
このとき、図6(a)に示すように、当初は、複数のコンテンツを、所定(通常)の大きさ、この場合、近くにある施設や店舗は、やや大きく且つ高い位置に、遠いものは、やや小さく且つ低い位置に、ポップアップ表示する第1の表示態様で表示する。そして、ユーザによって操作部8の特定操作(タッチパネルのピンチアウト操作)がなされると、図6(b)に示すように、付与されている優先度に従って、優先度が高いコンテンツほど大きく且つ高い位置に表示する第2の表示態様に切替える。
【0046】
この第3の実施例によっても、推奨する行き先(施設や店舗)を紹介するコンテンツ(おすすめ情報画面)を表示装置6に表示するものにあって、三次元的表示によって遠近感をもった判りやすい地図表示をすることができ、やはり、その画面の中で、各コンテンツを印象深い形態でポップアップ表示することができる。しかも、第2の表示態様において、優先度が高いコンテンツほど、つまりユーザにとってより重要と推測されるコンテンツほど大きく且つ高い位置にポップアップ表示されるので、優先度の高いコンテンツを、より一層印象深くアピールすることができるようになる。
【0047】
また、この第3の実施例において、第2の表示態様としたとき、複数のコンテンツ間でのポップアップ表示に重複部分が生じた場合には、たとえ遠くにあったとしても優先度のより高いコンテンツの表示を手前側に表示するようにしてもよい。つまり、基本的には遠近法による三次元表示を提供するものの、コンテンツの表示が重なった場合には、たとえ遠くにあったとしても優先度のより高いコンテンツの表示を手前に表示するようにしてもよい。
【0048】
これにより、三次元的表示によりわかりやすい地図表示を提供しつつ、二つのコンテンツの表示が重なり合ったとしても、優先度の高いコンテンツをより一層印象深くアピールすることができるようになる。
【0049】
尚、上記した各実施例では説明しなかったが、本発明においては、複数の行き先(施設や店舗等)をユーザに対して提示する際に、それら複数の店舗を巡る場合の推奨する最適な順番(最も効率良く巡る順番)をも提示するように構成することもできる。コンテンツを表示する際に、音声(ナレーションや音楽)入りの動画にすれば、ユーザに対し、よりアピールするものとなる。この場合、音声の出力は優先度の最も高いコンテンツに関して行うことができる。
【0050】
また、行き先を紹介するためのコンテンツの収集は、自車両に設けられたデータベースに蓄積したものから必要なものを抽出する構成としたり、自車両の有するデータと、情報センタのデータとを併用したりすることもできる。先にユーザの嗜好を推定し、その後にその嗜好にあった情報のみを選択して情報センタ15から取得するように構成することも可能である。更に、優先度の決定についても、ライフログから推定することに代えて、ユーザに対し、嗜好を探るような質問に回答させることにより、嗜好を推定する構成としても良い。ユーザが、好みの(そのときに行きたい)行き先のジャンルを指定するようにしても良い。
【0051】
その他、本発明は、上記した各実施例に限定されるものではなく、例えば、特定操作は、特定のメカスイッチを操作するなどであっても良く、また、車載用情報表示装置(各車載機器)のハードウエア構成や、ポップアップ表示の形態などについても、様々な変更が可能である等、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得るものである。
【符号の説明】
【0052】
図面中、1は運転席、2はインストルメントパネル、5は情報提示装置、6は表示装置、7はCPU(制御手段、情報取得手段、優先度決定手段)、8は操作部、15は情報センタ、16は通信部(通信手段)、17は履歴記憶部(記憶手段)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内にユーザにより視認可能な表示装置を備えると共に、前記表示装置の情報表示を制御する制御手段を備える車載用情報提示装置において、
推奨する車両の行き先を前記表示装置における表示によって紹介するためのコンテンツを収集する情報取得手段と、
前記表示装置の画面に表示される複数のコンテンツに対し優先度を付与する優先度決定手段と、
ユーザにより操作可能な操作部とを具備し、
前記制御手段は、前記表示装置の地図画面に、前記行き先の地図上の位置と関連付けて、前記複数のコンテンツを所定の大きさでポップアップ表示する第1の表示態様で表示すると共に、
ユーザによって前記操作部の特定操作がされることに基づき、前記優先度決定手段によって付与された優先度が高いコンテンツほど、大きく表示する第2の表示態様に切替えることを特徴とする車載用情報提示装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第1の表示態様として、前記表示装置の地図画面に、前記行き先の地図上の位置と関連付けて、前記複数のコンテンツを、前記優先度決定手段によって付与された優先度が高いコンテンツほど大きくポップアップ表示する通常表示態様で表示すると共に、
ユーザによって前記操作部の特定操作がされることに基づき、前記第2の表示態様として、前記優先度が高いコンテンツほど、より一層大きく表示するデフォルメ表示態様に切替えることを特徴とする請求項1に記載の車載用情報提示装置。
【請求項3】
前記優先度決定手段は、記憶手段に記憶されたユーザのライフログに基づいて、ユーザの嗜好を推定すると共に、その嗜好に応じて前記各コンテンツに対し優先度を付与することを特徴とする請求項1又は2記載の車載用情報提示装置。
【請求項4】
前記情報収集手段は、外部の情報センタとの間で無線通信により前記コンテンツを収集する通信手段を含んでいることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の車載用情報提示装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記表示装置の画面の下部に、遠近法を用いた三次元的に地図を表示すると共に、
前記画面の上部に、前記行き先の地図上の位置から立上るPOP(point of purchase advertising)の如き形態で、前記コンテンツをポップアップ表示することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の車載用情報提示装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記コンテンツを映像により表示することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の車載用情報提示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−207940(P2012−207940A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−71797(P2011−71797)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】