説明

車載用携帯用兼用ナビゲーション装置

【課題】 紛失した場合に、拾得者による不正使用を防止するとともに、返却に関するメッセージを表示できるようにした車載用携帯用兼用ナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】 車載用携帯用兼用ナビゲーション装置10は、起動時に実行する所定の処理シーケンスを設定した起動シーケンス設定部18と、起動時に前記起動シーケンス設定部18に設定された所定の処理シーケンスが実行されたことを検出する起動確認手段19と、該ナビゲーション装置10の返却に関する返却依頼メッセージを記憶したメッセージメモリ20と、を備え、起動確認手段19が起動シーケンス設定部18に設定された所定の処理シーケンスが実行されたことを検出しなかった場合、該ナビゲーション装置10の起動を禁止するとともにメッセージメモリ20に記憶された返却依頼メッセージを表示手段16に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用携帯用兼用ナビゲーション装置に関するものであり、特に、車載用携帯用兼用ナビゲーション装置の起動にあたって予め設定した一定の起動シーケンスを設定しておき、携帯用ナビゲーション装置として使用中に紛失した場合に、前記一定の起動シーケンスが実行されたか否かをチェックし、一定の起動シーケンスが実行されない場合には当該車載用携帯用兼用ナビゲーション装置の起動を禁止してその不正使用を防止するとともに、返却依頼に関するメッセージを表示するようにした車載用携帯用兼用ナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、所望の出発地から目的地までの経路を探索して経路案内を行うナビゲーションシステムが広く利用されている。このようなナビゲーションシステムとしては、自動車に搭載する車載用のナビゲーションシステム、徒歩および交通機関を使用して移動する歩行者のためのナビゲーションシステムなどが知られている。また、現在位置に基づいて、近辺の地図を表示するシステムも知られている。最近ではこれらのシステムは、携帯電話などの携帯端末装置を使用し、所定の情報配信サーバ、経路探索サーバなどから案内経路や地図をダウンロードする通信型のシステムが広く用いられている。
【0003】
ナビゲーション装置は、地図データや経路探索用の道路ネットワークデータを備え、所望の出発地、目的地を経路探索条件として道路ネットワークデータを参照して出発地から目的地に至る最適経路を探索し、地図上に最適経路を案内経路として表示し、目的地までの経路を案内するものである。ナビゲーション装置の現在位置はGPS受信機を用いて衛星航法により測位する他、車載用のナビゲーション装置においては車速センサや舵角センサなど車両の移動を検出する各種センサの出力に基づいて自立航法により測位する。これらの測位手段で検出された現在位置を現在位置マークとして地図上に表示し時々刻々のナビゲーション装置の移動が地図上で確認できるようになっている。
【0004】
ナビゲーション装置において経路探索のために使用される道路ネットワークのデータは次のように構成されている。すなわち、地図データの道路(経路)をその結節点、屈曲点の位置をノードとし、各ノードを結ぶ経路をリンクとし、全てのリンクのコスト情報(距離や所要時間)とから構成される。経路探索手段は、この道路ネットワークデータを参照して、出発地のノードから目的地のノードに至るリンクを順次探索し、リンクのコスト情報が最小となるノード、リンクをたどって案内経路とすることによって最短の経路を案内することができる。このような経路探索の手法としてはラベル確定法あるいはダイクストラ法と言われる手法が用いられる。
【0005】
地図情報提供システムやナビゲーションシステムにおける地図データは、所定の緯度、経度の間隔でメッシュ状に区分された単位地図データ(メッシュ地図)から構成される。通信型の地図情報提供システムやナビゲーションシステムにおいては、地図情報配信サーバや経路探索サーバは、地図表示装置の現在位置や指定された特定の地点を含む所定数の単位地図データを地図表示装置に配信する。
【0006】
最近では電子装置の小型化が進んでおり車載用と携帯用に兼用できるナビゲーション装置も提供されている。車載専用のナビゲーション装置の場合には車両に強固に設置されるため盗難に遭うことも少ないが、車載用携帯用兼用ナビゲーション装置は、携帯用としても使用されるため、外出先で紛失した場合には拾得者によって不正に使用される危険もある。
【0007】
各種の携帯機器や車載機器において、盗難や紛失時の不正使用に対処するために種々の方法が提案されている。例えば、下記の特許文献1(実開平6−42470号公報)には、車載機器が設置された車両が盗難にあった場合に、車両の位置を送信し車両の発見を容易にした盗難車発見装置が開示されている。
【0008】
この盗難車発見装置は、メモリには予め定められた車両の操作手順を記憶しておき、車両が操作されたとき、判定部ではその操作が記憶された操作手順と合致しているか否かが判断される。判定部で操作手順に従っていないと判断されると、車両が盗難されたとみなされて、端末装置が自動的に発呼し、車両の現在位置がアンテナからセキュリティーセンターに送信される。一方、操作手順に従っていると判断されると、車両の現在位置は送信されない。このような構成によって、車両が盗難されたとき、車両の現在位置がセキュリティーセンターに送信されるので、盗難された後の車両を容易に発見することができるようにしたものである。
【0009】
また、下記の特許文献2(特開2000−286995号公報)には紛失した携帯電話装置が善意の他人に拾われた場合に簡単な操作により、その携帯電話装置の返却先を拾った人に適正に伝えることができるようにした携帯電話が開示されている。
【0010】
この特許文献2に開示された携帯電話においては、送信側の携帯電話装置では、他の携帯電話装置にメールを送信する場合に、送信メールを受信側で待受画面に表示することを指示する待受画面表示識別子を送信メールに付加して送信する。受信側の携帯電話装置では、他の携帯電話装置あるいは情報処理装置からのメールを受信した場合、その受信メールに待受画面表示識別子が付加されているか否かを検出する。
【0011】
そして、待受画面表示識別子が付加されている場合に、それ以降の待受画面に受信メールを表示するようにし、待受画面表示識別子を付加して送信するメールには、紛失した携帯電話装置の返却してもらいたい旨のメッセージと、返却先または連絡先の情報を含ませて送信するように構成したものである。また、この技術によれば、待ち受け画面にこのメッセージが表示される状態になった場合には、当該携帯電話を利用不能な状態にロックすることも可能であり、紛失時に拾得者による不正使用を防止することができる。
【特許文献1】実開平6−42470号公報(図1)
【特許文献2】特開2000−286995号公報(図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前述したように、携帯用の電子機器を紛失した場合には、その不正使用を防止するとともに、返却先の情報を拾得者に伝えられることが好ましい。しかしながら、上記特許文献2に開示された技術においては、携帯電話を紛失した場合、紛失した携帯電話に対して他のコンピュータ装置や携帯電話を用いて待ち受け画面に表示するメッセージを作成し、そのメッセージに待受け画面に当該メッセージを表示させる「待受画面表示識別子」を付加したメールを送信する処理が必要であるという問題点があった。
【0013】
本願の発明者は上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、車載用携帯用兼用ナビゲーション装置の起動にあたって予め設定した一定の起動シーケンスを設定しておき、携帯用ナビゲーション装置として使用中に紛失した場合に、前記一定の起動シーケンスが実行されたか否かをチェックし、一定の起動シーケンスが実行されない場合には当該車載用携帯用兼用ナビゲーション装置を起動禁止してその不正使用を防止するとともに、返却依頼に関するメッセージを表示するようになせば上記の問題点を解消し得ることに想到して本発明を完成するに至ったものである。
【0014】
すなわち、本発明は前記の問題点を解消することを課題とし、車載用携帯用兼用ナビゲーション装置を紛失した場合に、拾得者による不正使用を防止するとともに、返却に関するメッセージを表示できるようにした車載用携帯用兼用ナビゲーション装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、
地図データと経路探索手段と操作手段と表示手段を備え、操作手段で設定された出発地から目的地までの推奨経路を探索して地図データとともに前記推奨経路を前記表示手段に表示する車載用携帯用兼用ナビゲーション装置において、
前記車載用携帯用兼用ナビゲーション装置は、起動時に実行する所定の処理シーケンスを設定した起動シーケンス設定部と、起動時に前記起動シーケンス設定部に設定された所定の処理シーケンスが実行されたことを検出する起動確認手段と、該車載用携帯用兼用ナビゲーション装置の返却に関する返却依頼メッセージを記憶したメッセージメモリと、を備え、
前記起動確認手段が前記起動シーケンス設定部に設定された所定の処理シーケンスが実行されたことを検出しなかった場合、該車載用携帯用兼用ナビゲーション装置の起動を禁止するとともに、前記メッセージメモリに記憶された返却依頼メッセージを前記表示手段に表示することを特徴とする。
【0016】
本願の請求項2にかかる発明は、請求項1または請求項2にかかる車載用携帯用兼用ナビゲーション装置において、前記車載用携帯用兼用ナビゲーション装置は、入力電源電圧を所定の内部電源電圧に変換する電圧コンバータと入力電圧検出部とを含む電源制御部を備え、前記入力電圧検出部は複数の電源手段から入力されるそれぞれ異なる入力電源電圧を検出して、前記車載用携帯用兼用ナビゲーション装置を車載用または携帯用に切替えることを特徴とする。
【0017】
また、本願の請求項3にかかる発明は、請求項1または請求項2にかかる車載用携帯用兼用ナビゲーション装置において、前記車載用携帯用兼用ナビゲーション装置は更に、メッセージ選択部を備え、前記メッセージ選択部は、該メッセージ選択部に設定されたメッセージ選択情報に基づいて、前記メッセージメモリに記憶された複数の返却依頼メッセージから所定の返却依頼メッセージを選択して前記表示手段に表示することを特徴とする。
【0018】
更に、本願の請求項4にかかる発明は、請求項3にかかる車載用携帯用兼用ナビゲーション装置において、前記返却依頼メッセージは、前記車載用携帯用兼用ナビゲーション装置の提供元が開設するコールセンターまたは製造元または販売代理店の連絡先を示すメッセージであることを特徴とする。
【0019】
また、本願の請求項5にかかる発明は、請求項3にかかる車載用携帯用兼用ナビゲーション装置において、前記返却依頼メッセージは、前記車載用携帯用兼用ナビゲーション装置のユーザの連絡先を示すメッセージであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1にかかる発明においては、
車載用携帯用兼用ナビゲーション装置の返却に関する返却依頼メッセージを記憶したメッセージメモリを備え、起動シーケンス設定部に、起動時に実行する所定の処理シーケンスを設定しておき、起動確認手段が起動時に前記起動シーケンス設定部に設定された所定の処理シーケンスが実行されたことを検出しなかった場合、該車載用携帯用兼用ナビゲーション装置の起動を禁止するとともに、前記メッセージメモリに記憶された返却依頼メッセージを前記表示手段に表示する。
【0021】
このような構成によれば、車載用携帯用兼用ナビゲーション装置を携帯用として使用中に紛失したとしても、拾得者が所定の起動シーケンスで起動処理を実行しない限り当該車載用携帯用兼用ナビゲーション装置を起動することができず不正使用を防止することができ、また、返却依頼メッセージが表示されるから、拾得者に返却を促すことができるようになる。この場合、ユーザは不正使用防止や返却を依頼するための何らかの処理をする必要がない。
【0022】
また、請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかる発明において、車載用携帯用兼用ナビゲーション装置は、入力電源電圧を所定の内部電源電圧に変換する電圧コンバータと入力電圧検出部とを含む電源制御部を備え、前記入力電圧検出部は複数の電源手段から入力されるそれぞれ異なる入力電源電圧を検出して、前記車載用携帯用兼用ナビゲーション装置を車載用または携帯用に切替える。
【0023】
このような構成によれば、入力電源を内蔵バッテリー、車両に設けられたシガレットライタ電源、ACアダプタの複数とし、それぞれの入力電源電圧を異なる電圧、例えば、0.5ボルト単位で異なる電圧としておけば、携帯用、車載用、AC電源を用いた一般の建物内用に自動的に切替えて使用することができるようになる。
【0024】
更に、請求項3にかかる発明においては、請求項1または請求項2にかかる発明において、車載用携帯用兼用ナビゲーション装置は更に、メッセージ選択部を備え、前記メッセージ選択部は、該メッセージ選択部に設定されたメッセージ選択情報に基づいて、前記メッセージメモリに記憶された複数の返却依頼メッセージから所定の返却依頼メッセージを選択して前記表示手段に表示する。
【0025】
このような構成によれば、ユーザは複数の返却依頼メッセージをメッセージメモリに記憶しておき、紛失時に所望の返却依頼メッセージを表示するように設定することができるから、返却先としてユーザ自身の個人情報を表示させるか否かの選択をすることができるようになる。
【0026】
また、請求項4にかかる発明においては、請求項3にかかる発明において、返却依頼メッセージは、前記車載用携帯用兼用ナビゲーション装置の提供元が開設するコールセンターまたは製造元または販売代理店の連絡先を示すメッセージである。従って、返却依頼メッセージに個人情報を含まず、拾得者には、コールセンターや製造元あるいは販売代理店を通じて拾得した車載用携帯用兼用ナビゲーション装置の返却を行うように促すことができるようになる。
【0027】
また、請求項5にかかる発明においては、請求項3にかかる発明において、返却依頼メッセージは、前記車載用携帯用兼用ナビゲーション装置のユーザの連絡先を示すメッセージである。従って、個人情報の表示を容認するユーザは、拾得者に直接ユーザに対して返却を行うように促すことができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための車載用携帯用兼用ナビゲーション装置を例示するものであって、本発明をこの実施例の車載用携帯用兼用ナビゲーション装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の車載用携帯用兼用ナビゲーション装置にも等しく適用し得るものである。
【実施例】
【0029】
図1は、本発明の実施例1にかかる車載用携帯用兼用ナビゲーション装置10の構成を示すブロック図である。車載用携帯用兼用ナビゲーション装置10は、制御手段11、GPS受信手段12、自立航法手段13、地図データ14、経路探索手段15、表示手段16、操作手段17、起動シーケンス設定部18、起動確認手段19、メッセージメモリ20、メッセージ選択部21、電源制御部22などを備えて構成されている。
【0030】
制御手段11は、図示してはいないがRAM、ROM、プロセッサを有するマイクロプロセッサであり、ROMに格納された制御プログラムにより各部の動作を制御する。GPS受信手段12は一定の周期で複数のGPS衛星からの信号を受信して現在位置を測位する。自立航法手段13は車両に設けられた加速度センサや舵角センサなどの各種のセンサ出力を取得して現在位置を算出して推測航法を行うためのものである。
【0031】
表示手段16は液晶表示ユニットなどから構成される表示ユニットであり、地図画像や推奨経路を表示する。操作手段17は、操作ボタンやタッチパネルなどにより構成され、車載用携帯用兼用ナビゲーション装置10の各種機能を操作したり、所要の数値や文字を入力したりするものである。操作手段17から所望の出発地、目的地を設定してナビゲーションの要求があると、経路探索手段15は地図データ14を参照して2地点間を最短で結ぶ推奨経路を探索する。
【0032】
経路探索手段15が探索した推奨経路は、地図画像とともに表示手段16に表示される。地図画像は、GPS受信手段12または自立航法手段13で算出した現在位置を中心とした所定範囲の地図データに基づいて表示手段16に表示され、現在位置を示す現在位置マークが地図画像上に表示される。
【0033】
一方、起動シーケンス設定部18には、予めユーザが車載用携帯用兼用ナビゲーション装置10の起動時に実行する所定の処理シーケンスを設定しておく。所定の処理シーケンスとは、例えば、電源投入後にまずパスワード入力し、その後予め登録した暗証番号を入力する、あるいは、特定のキー操作をするなど、第3者が容易に推定できない処理内容と処理の順序を設定しておく。
【0034】
起動確認手段19は、電源投入後、起動シーケンス設定部18に設定された手順、内容に従ったシーケンスの処理が実行されたか否かを検出する。起動確認手段19が起動シーケンス設定部18に設定されたシーケンスの処理が実行されたことを検出すれば、車載用携帯用兼用ナビゲーション装置10は正常に起動され、ユーザの要求に従った処理を実行できるようになる。起動確認手段19が起動シーケンス設定部18に設定されたシーケンスの処理が実行されたことを検出できなければ、制御手段11は車載用携帯用兼用ナビゲーション装置10の起動を禁止する。この時、後述する返却依頼メッセージを表示手段16に表示するため、メッセージの表示に関する部分の動作は禁止されない。
【0035】
また、メッセージメモリ20には該車載用携帯用兼用ナビゲーション装置10の返却に関する返却依頼メッセージを予め記憶しておく。返却依頼メッセージは、例えば、前記車載用携帯用兼用ナビゲーション装置10の提供元が開設するコールセンターまたは製造元または販売代理店の連絡先を示すメッセージ、あるいは、ユーザが入力したユーザ自身の連絡先を示すメッセージである。通常ユーザが何も指定しない場合には前者の返却依頼メッセージがデフォルトで選択される。
【0036】
返却依頼メッセージを車載用携帯用兼用ナビゲーション装置10の提供元が開設するコールセンターまたは製造元または販売代理店の連絡先で示すようにしておけば、ユーザの名前、住所、電話番号なとの個人情報を提示することなく拾得者に返却時の連絡先を伝えることができる。この場合、連絡先の情報の他に、車載用携帯用兼用ナビゲーション装置10の製造番号、ユーザコードなどを表示することでコールセンターや製造元は製造番号、ユーザコードに基づいて紛失したユーザを特定することができる。
【0037】
ユーザが個人情報を提示することを選択する場合には、メッセージメモリ20に名前、電話番号などを含む返却依頼メッセージを記憶させておき、メッセージ選択部21にユーザ設定の返却依頼メッセージの選択を設定しておく。この設定によりデフォルト設定は無効となり、メッセージメモリ20から読み出す返却依頼メッセージはユーザが設定したメッセージとなる。
【0038】
また、車載用携帯用兼用ナビゲーション装置10は、図2に示すように入力電源電圧を所定の内部電源電圧に変換する電圧コンバータ221と入力電圧検出部222とを含む電源制御部22を備えている。車載用携帯用兼用ナビゲーション装置10が携帯用として使用される場合は内蔵バッテリーPW1から7.5Vの入力電源電圧が電圧コンバータ221に供給される。また、車載用携帯用兼用ナビゲーション装置10が車載用として使用される場合には電源ソースとしてシガレットライタ電源PW2を用い、シガレットライタ電源PW2から8.0Vの入力電源電圧が電圧コンバータ221に供給される。
【0039】
更に車載用携帯用兼用ナビゲーション装置10が家庭内において使用される場合には、電源ソースとしてACアダプタPW3を用いることができ、ACアダプタPW3から8.5Vの入力電源電圧が電圧コンバータ221に供給される。電圧コンバータ221は以上のような3種類の異なる電源ソースから供給されるそれぞれ異なる入力電源電圧を所定の内部電圧に変換して内部電圧出力OUT1を出力して各部に供給する。
【0040】
一方、入力電圧検出部222は3種類の異なる電源ソースから供給されるそれぞれ異なる入力電源電圧を検出して電源ソースを識別し、車載用携帯用兼用ナビゲーション装置10が車載用として使用されているか、携帯用として使用されているかを判別し切替え出力OUT2を出力し、車載用携帯用兼用ナビゲーション装置10の切替えを行う。車載用として使用されている場合と携帯用として使用されている場合とでは移動手段と速度が異なるのでそれに適した地図データを選択し、表示手段16に表示する地図の縮尺を選択する。
【0041】
例えば、車載用の場合、経路探索用の地図データとして自動車専用道路である高速道路のデータが含まれたデータを使用し、携帯用の場合には移動手段が徒歩および公共交通手段であるから、歩行者専用道路や歩道橋、公園内の歩行者通路と公共交通手段の路線および時刻表データが含まれた地図データを使用するなどの切替えを行う。
【0042】
次に、図3のフローチャートを参照して車載用携帯用兼用ナビゲーション装置10の起動処理時の動作手順を説明する。先ず、ステップS11の処理において車載用携帯用兼用ナビゲーション装置10の電源が投入される。この後、車載用携帯用兼用ナビゲーション装置10の正規のユーザであれば、起動シーケンス設定部18に設定した所定のシーケンスの処理が実行される。もし車載用携帯用兼用ナビゲーション装置10を拾得した第3者であれば通常は起動シーケンス設定部18に設定した所定のシーケンスの処理を実行することができない。
【0043】
そこで、ステップS12の処理において起動確認手段19は起動時シーケンスチェックを行い、起動シーケンス設定部18に設定した所定のシーケンスの処理が実行されたか否かをチェックする。ステップS13ではこのチェック結果が判定され、起動シーケンス設定部18に設定されている所定の手順の処理が実行されたと判定された場合には、ステップS14の処理に進み車載用携帯用兼用ナビゲーション装置10を正常に起動する。車載用携帯用兼用ナビゲーション装置10が正常に起動された場合ステップS15の処理においてナビゲーションが終了したかを判別し、終了していなければステップS15の処理を繰り返し、ナビゲーションが終了していれば全ての処理を終了する。
【0044】
一方、ステップS13の判定処理において、起動シーケンス設定部18に設定されている所定の手順の処理が実行されなかったと判定された場合には、ステップ16の処理に進み、車載用携帯用兼用ナビゲーション装置10の起動を禁止してステップS17の処理に進む。この時、電源は切断されず、表示手段16への表示機能は動作可能にされる。そしてステップS17の処理においてメッセージメモリ20に記憶されている返却依頼メッセージを読み出して表示手段16に表示する。
【0045】
ステップS17における返却依頼メッセージの読み出し、表示処理にあたって、メッセージ選択部21に何らかの設定がなければ、メッセージメモリ20に記憶されているデフォルトの返却依頼メッセージ(コールセンターまたは製造元または販売代理店の連絡先のメッセージ)が選択されて読み出される。メッセージメモリ20にユーザが返却依頼メッセージを入力し、メッセージ選択部21にユーザメッセージ選択の設定がされていれば、ユーザがメッセージメモリ20に入力した返却依頼メッセージが読み出される。
【0046】
以上、詳細に説明したように、本発明にかかる車載用携帯用兼用ナビゲーション装置10によれば、装置を携帯用として使用中に紛失したとしても、拾得者が所定の起動シーケンスで起動処理を実行しない限り当該車載用携帯用兼用ナビゲーション装置10を起動することができず不正使用を防止することができ、また、返却依頼メッセージが表示されるから、拾得者に返却を促すことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施例にかかる車載用携帯用兼用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例にかかる車載用携帯用兼用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施例にかかる車載用携帯用兼用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0048】
10・・・・車載用携帯用兼用ナビゲーション装置
11・・・・制御手段
12・・・・GPS受信手段
13・・・・自立航法手段
14・・・・地図データ
15・・・・経路探索手段
16・・・・表示手段
17・・・・操作手段
18・・・・起動シーケンス設定部
19・・・・起動確認手段
20・・・・メッセージメモリ
21・・・・メッセージ選択部
22・・・・電源制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データと経路探索手段と操作手段と表示手段を備え、操作手段で設定された出発地から目的地までの推奨経路を探索して地図データとともに前記推奨経路を前記表示手段に表示する車載用携帯用兼用ナビゲーション装置において、
前記車載用携帯用兼用ナビゲーション装置は、起動時に実行する所定の処理シーケンスを設定した起動シーケンス設定部と、起動時に前記起動シーケンス設定部に設定された所定の処理シーケンスが実行されたことを検出する起動確認手段と、該車載用携帯用兼用ナビゲーション装置の返却に関する返却依頼メッセージを記憶したメッセージメモリと、を備え、
前記起動確認手段が前記起動シーケンス設定部に設定された所定の処理シーケンスが実行されたことを検出しなかった場合、該車載用携帯用兼用ナビゲーション装置の起動を禁止するとともに、前記メッセージメモリに記憶された返却依頼メッセージを前記表示手段に表示することを特徴とする車載用携帯用兼用ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記車載用携帯用兼用ナビゲーション装置は、入力電源電圧を所定の内部電源電圧に変換する電圧コンバータと入力電圧検出部とを含む電源制御部を備え、前記入力電圧検出部は複数の電源手段から入力されるそれぞれ異なる入力電源電圧を検出して、前記車載用携帯用兼用ナビゲーション装置を車載用または携帯用に切替えることを特徴とする請求項1に記載の車載用携帯用兼用ナビゲーション装置。
【請求項3】
前記車載用携帯用兼用ナビゲーション装置は更に、メッセージ選択部を備え、前記メッセージ選択部は、該メッセージ選択部に設定されたメッセージ選択情報に基づいて、前記メッセージメモリに記憶された複数の返却依頼メッセージから所定の返却依頼メッセージを選択して前記表示手段に表示することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車載用携帯用兼用ナビゲーション装置。
【請求項4】
前記返却依頼メッセージは、前記車載用携帯用兼用ナビゲーション装置の提供元が開設するコールセンターまたは製造元または販売代理店の連絡先を示すメッセージであることを特徴とする請求項3に記載の車載用携帯用兼用ナビゲーション装置。
【請求項5】
前記返却依頼メッセージは、前記車載用携帯用兼用ナビゲーション装置のユーザの連絡先を示すメッセージであることを特徴とする請求項3に記載の車載用携帯用兼用ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−83909(P2008−83909A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−262064(P2006−262064)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】