説明

車載用映像装置

【課題】従来の発明では、停車中に緊急警報放送を受信した場合には緊急警報放送の映像に切換え、走行中であれば映像を切換えなかった。放送受信機に運転席用と後席用の2つのモニターが接続された場合には、走行中でも後席用モニターは緊急警報放送映像に切換えるべきであるが切り替わらない問題がある。
【解決手段】接続されているモニターが運転者用であるか否かを識別し、非運転者用モニターである場合には走行中であっても緊急警報放送の映像に切換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緊急警報放送を受信可能な放送受信装置と複数の入力映像から選択して映像を出力するモニターを備え、緊急警報放送を受信した場合に映像の切換を行う車載用映像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アナログTV放送や衛星デジタル放送や地上波デジタル放送では災害発生時などに起動制御信号などによって受信機が強制的に緊急警報放送を視聴できるようにする仕組みが運用されている。緊急警報放送は重要な災害情報を伝えるものであり、緊急警報放送を受信した場合には即座にモニターの映像を緊急警報放送の映像に切換えるべきである。しかし、車載用モニターにおいては走行中に運転席のモニターにTV映像を映すことは運転者の注意をそらすことになり危険であるため、無条件に緊急警報放送の映像に切換えることはできない。
【0003】
放送受信装置を備える車載用映像音響装置であり、緊急警報放送を受信した場合に、非走行状態で車内に人が居ると推定されるときには緊急警報放送の映像をモニターに映す車載用映像音響装置がある。(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−324361号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車載用モニターは運転席だけでなく後部座席にも設置されることがあり、後部座席用のモニターは非運転者用であるため走行中であってもTV映像を映すことは許容される。この場合、後部座席モニターにDVDプレイヤーなどの映像が出力されていても緊急警報放送を受信した場合には緊急警報放送の映像に切換えることが望まれる。従来の発明では、運転者用モニターと非運転者用モニターとを区別していなかった。そのため緊急警報放送を受信した場合に無条件に緊急警報放送の映像に切換える車載用映像装置では走行中でも運転席モニターにTV映像を表示してしまうという問題があり、特許文献1のように非走行状態で車内に人が居ると推定されるときに緊急警報放送の映像に切換える車載用映像装置では後部座席モニターの映像を緊急警報放送に切換えられないという問題があった。
【0005】
本発明は、接続されているモニターが運転者用であるか否かを識別し、運転者用モニターである場合には走行中には緊急警報放送の映像に切換えず、非運転者用モニターである場合には走行中であっても緊急警報放送の映像に切換えることを可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、本発明の車載用映像装置は、緊急警報放送を受信可能な放送受信装置と、前記放送受信装置から出力される映像または前記放送受信装置以外から出力される映像を出力するモニター装置と、前記モニター装置が運転者用であるか非運転者用であるかを識別する接続モニター識別手段と、前記モニター装置に入力される映像を選択する切換制御手段を有する切換制御装置を備える車載用映像装置であって、
前記切換制御装置は前記放送受信装置が緊急警報放送を受信した場合には、前記接続モニター識別手段の識別結果に応じて非運転者用のモニター装置の入力映像だけを前記放送受信装置の映像となるように選択することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、緊急警報放送受信時に運転者用モニターに対しても非運転者用モニターに対しても適切な映像の切換制御を行うことが可能となるためより安全な走行と車内空間を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る車載用映像装置の構成を示すブロック図である。図1において1は緊急警報放送を受信可能な放送受信装置、2は運転席に設置され、放送受信装置またはナビゲーション装置から入力される映像を出力する運転席モニター、3は後部座席に設置され、放送受信装置またはDVDプレイヤーから入力される映像を出力する後席モニター、4は接続されているモニター装置が運転者用であるかどうかを識別する接続モニター識別手段、5は運転席モニターおよび後席モニターに入力される映像を選択する切換制御手段、6は接続モニター識別手段4と切換制御手段5と運転席モニター2に入力される映像を切換える映像音声セレクタ1と後席モニター3に入力される映像を切換える映像音声セレクタ2とからなる切換制御装置である。
【0009】
放送受信装置1はアンテナで受信した信号から特定の周波数を取り出し復調し、トランスポートストリームに変換し、このトランスポートストリームからMPEG2のビデオストリームおよびオーディオストリームを取り出し、デコードし映像音声として出力する。また、TMCC(TransmissionandMultiplexingConfigurationControl)信号の中の緊急警報放送用起動フラグの値およびPMTの中の緊急情報記述子のstart_end_flagを常時監視する。緊急警報放送用起動フラグの値が1であり且つstart_end_flagの値が1となった場合には緊急警報放送が開始されたと判断し、切換制御装置6に対して通知信号を送るとともに、緊急情報記述子の中のservice_idで示される緊急警報放送サービスへの選局処理を行い、緊急警報放送の映像音声を出力する。
【0010】
ナビゲーション装置はGPSからの位置情報と内部に保持している地図情報を用いて道路地図上に自車位置を示した映像を出力するとともに、予め入力された目的地までの走行案内を音声または文字図形を映像に重畳することにより、映像音声出力する。また、ナビゲーション装置に対してユーザによる映像音声切換操作が行われた場合には切換制御装置5に対して制御信号を送り、切換制御装置5は運転席モニターの映像音声を放送受信装置から出力される放送映像音声またはナビゲーション装置から出力されるナビゲーション映像音声に切換える。
【0011】
DVDプレイヤーはDVDコンテンツのデコード再生を行い映像音声出力する。また、DVDプレイヤーに対してユーザによる再生開始操作が行われた場合には切換制御手段5に対して制御信号を送り、切換制御装置5は後席モニターの映像を放送受信装置から出力される放送映像音声またはDVDプレイヤーから出力されるDVD映像音声に切換える。
【0012】
切換制御装置6には図2のように出力端子ごと設定スイッチが備えられており、接続するモニターの設置場所に合わせて、ユーザが設定スイッチを運転席または後席に設定することとする。モニター識別手段4はこの設定スイッチの値を参照することにより接続されているモニター装置が運転者用であるかどうかを識別する。なお、出力端子ごとの設定は設定画面により設定することや車内用ローカルエリアネットワークを通じて情報を取得することも可能である。
【0013】
切換制御手段5は車両が走行中か否かの情報をパーキングブレーキ操作状態を用いて検知するものとする。すなわちパーキングブレーキが有効となるように操作されている状態は非走行中と判断する。切換制御手段5は放送受信装置1からの通知信号を検知すると非走行中であれば全ての映像音声セレクタの出力映像を放送受信装置1から出力される放送映像音声に切換える。走行中であれば運転者用モニターが接続されている映像音声セレクタに対してモニター識別手段4を用いて接続されているモニター装置が運転者用であるかどうかを識別し、非運転者用のモニター装置が接続されている映像音声セレクタについてのみ、出力映像を放送受信装置1から出力される放送映像音声に切換える。なお、切換制御装置がモニターと一体となっている構成でもよい。
【0014】
非走行中に運転席モニターはナビゲーション映像音声を出力しており、後席モニターはDVD映像音声を出力している状態で、放送受信装置1が緊急警報放送を受信した場合には、放送受信装置1から切換制御手段5に対して緊急警報放送を受信した旨の通知信号が送られる。切換制御手段5はこの通知信号を受信すると映像音声セレクタ1および映像音声セレクタ2の出力映像を放送受信装置1から出力される放送映像音声に切換える。
【0015】
走行中に運転席モニターはナビゲーション映像音声を出力しており、後席モニターはDVD映像音声を出力している状態で、放送受信装置1が緊急警報放送を受信した場合には、切換制御手段5は放送受信装置1からの通知信号を受信すると接続モニター識別手段4を用いて映像音声セレクタ1に接続されているモニターが運転者用であるかどうか識別する。本実施例では映像音声セレクタ1は運転者用モニターが接続されているため何も行わない。同様に、切換制御手段5は映像音声セレクタ2に接続されているモニターが運転者用であるかどうか識別する。本実施例では映像音声セレクタ2は非運転者用モニターが接続されているため、切換制御手段5は映像音声セレクタ2の出力映像を放送受信装置1から出力される放送映像音声に切換える。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明の車載用映像装置は、接続されているモニター装置が運転者用であるかどうかを識別し、緊急警報放送受信時の運転者用モニター装置に対する映像切換え処理と非運転者用モニター装置に対する映像切換え処理とを異なる処理とすることにより、運転者の運転操作を妨げることなく、非運転者には即時に緊急警報放送の提示を行うことが可能となり、複数のモニター装置を備える車載車載用映像装置や運転席や後部座席などのモニター装置の設置場所が可変である車載車載用映像装置に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態1における車載用映像装置のブロック図
【図2】本発明の実施の形態1における切換制御装置の出力端子の外観を示す図
【符号の説明】
【0018】
1 放送受信装置
2 運転席モニター
3 後席モニター
4 接続モニター識別手段
5 切換制御手段
6 切換制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
緊急警報放送を受信可能な放送受信装置と、
前記放送受信装置から出力される映像または前記放送受信装置以外から出力される映像を出力するモニター装置と、
前記モニター装置が運転者用であるか非運転者用であるかを識別する接続モニター識別手段と、
前記モニター装置に入力される映像を選択する切換制御手段を有する切換制御装置を備える車載用映像装置であって、
前記切換制御装置は前記放送受信装置が緊急警報放送を受信した場合には、前記接続モニター識別手段の識別結果に応じて非運転者用のモニター装置の入力映像だけを前記放送受信装置の映像となるように選択することを特徴とする車載用映像装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2007−201590(P2007−201590A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−14845(P2006−14845)
【出願日】平成18年1月24日(2006.1.24)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】