説明

車載用業務支援装置およびこれを使用したタクシー業務支援システム

【課題】運転日報として使用する情報を、都度集計可能とし、リアルタイムで取得される営業情報に基づいて、営業時間、残業勤務の有無を判断できるようにした車載用業務支援装置およびこれを使用したタクシー業務支援システムの提供。
【解決手段】 タクシーメータから料金データを含むタクシーメータ情報を取得するメータ情報取得手段と、取得したタクシーメータ情報に対する演算処理を実行する情報処理手段と、演算処理手段に対して任意の情報を入力する情報入力手段と、情報入力手段で入力可能な入力項目を表示する表示手段とを具備し、更に、前記タクシーメーターと連動して動作を開始した後に、乗務員情報の登録処理と、車両整備点検情報の確認処理とを実行する始業処理手段を具備することを特徴とする車載用業務支援装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タクシー車両による業務を支援する為の車載用業務支援装置に関し、特にタクシーメータ等と連動して各種データを入力管理処理することができるタクシーなどの車両に搭載される車載用業務支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タクシー車両において乗車料金等を算出する為の装置として、距離や時間などによって乗車料金等を算出する電子式タクシーメーターが公知である。かかる電子式タクシーメーターは、全走行距離・営業距離・迎車距離・営業回数・その後の回数・迎車回数・総合料金・消費税額・走行時間・営業走行時間及び営業時間等の情報を管理することができる。
【0003】
しかしながら、当該電子式タクシーメーターでは、タクシーメーター以外の料金、例えば観光地における貸切料金、高速道路通行料金などは演算しないことから、不明瞭な収受となるばかりでなく、営業記録も手書きで作成しなければならなかった。更に、このような電子式タクシーメーターが管理していない料金もあることから、一日の営業が終って乗務員が納金の際、営業収入を計算し売上金と照合しなければならなかった。
【0004】
そこでこの様な不都合を解消するべく、特許文献1(特開平6−52381号公報)が提案されている。即ち、この特許文献1では、マイクロコンピュータを主制御として、料金、及び各種管理データを表示するタクシーメーターと、該タクシーメーターによる料金及び各種管理データをプリントアウトするプリンタを有するタクシーデータ処理装置において、上記タクシーメーターによる管理データを記憶し、該管理データをホストコンピュータに移すことができるメモリカードと、前記メーター料金以外の料金さらには管理データを打込みかつ記録することができるキーパットを具備するタクシーのデータ処理装置が提案されている。
【0005】
また、特許文献2(特開平5−35951号公報)では、タクシー乗務員の運転日報作成を正確に、かつ自動的に作成する運転日報装置が提案されている。即ちこの特許文献2では、タクシー車両の現在位置を検出する位置検出手段と、乗客の乗降情報および料金情報を発生する乗客情報発生手段と、前記位置検出手段からの位置情報および前記乗客情報発生手段からの乗客情報とにより少なくとも乗客の乗車位置、降車位置および料金を検出する信号処理手段と、前記信号処理手段の出力を記録する手段とを有する運転日報装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−52381号公報
【特許文献2】特開平5−35951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、これまでにもタクシー業務における運転日報を簡易に作成するための支援装置は種々提案されている。しかしながら、従来から提供されている当該支援装置は、専ら売り上げに関する営業実績を保持するものであり、始業時における車両点検など、運行管理を行うものではなかった。
【0008】
そこで本発明は、車両点検を含む運行管理を行った上で、乗車料金の計算、精算などの運転日報に必要な項目を取得することにより、車両の運行管理を確実に実施できるようにした車載用業務支援装置およびこれを使用したタクシー業務支援システムを提供することを第1の課題とする。
【0009】
また、従前において提案されている運転日報の作成を支援する為の装置は、当該営業情報を一日の営業活動が終了した段階で取得するように構成されていることから、営業活動中における実績を把握することはできなかった。
【0010】
そこで本発明では、運転日報として使用する情報を、都度集計可能とし、リアルタイムで取得される営業情報に基づいて、営業時間、残業勤務の有無を判断できるようにした車載用業務支援装置およびこれを使用したタクシー業務支援システムを提供することを第2の課題とする。
【0011】
更に、タクシー運行会社においては、現在営業しているタクシーが何処を走行しているのかを把握することは、配車の要求に対して適格に応える上でも有効である。しかしながら、従前において普及しているタクシーメーターでは、別途特別な機器を設置しなければ、自車の存在場所をタクシー運行会社に知らせることは困難であった。また、別途特別な機器を設置して自社の存在場所をタクシー運行会社に通知した場合であっても、位置情報を知らせるだけであり、その他の情報、例えば営業実績などの情報を送信することは困難であった。
【0012】
そこで本発明は、運転日報として使用する情報の送信時に、位置情報も送信し、営業成績のみならず、各営業中のタクシーの場所をタクシー運行会社に知らせることのできるようにした車載用業務支援装置およびこれを使用したタクシー業務支援システムを提供することを第3の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題の少なくともいずれかを解決するべく、本発明ではタクシーメータと連動して動作する車載用の業務支援装置を提供するものであり、当該車載用業務支援装置は、運転日報の作成を支援すると共に、リアルタイムでタクシー運行会社に設置されたサーバ装置に営業実績を送信するようにしている。
【0014】
即ち本発明にかかる車載用業務支援装置は、タクシーの走行時間や走行距離に応じた料金データを求めるタクシーメータと連動して動作する車載用業務支援装置であって、前記タクシーメータから料金データを含むタクシーメータ情報を取得するメータ情報取得手段と、取得したタクシーメータ情報に対する演算処理を実行する情報処理手段と、演算処理手段に対して任意の情報を入力する情報入力手段と、情報入力手段で入力可能な入力項目を表示する表示手段とを具備し、更に前記タクシーメーターと連動して動作を開始した後に、乗務員情報の登録処理と、車両整備点検情報の確認処理とを実行する始業処理手段を具備する車載用業務支援装置である。
【0015】
かかる始業処理手段が実行する乗務員情報の登録処理と、車両整備点検情報の確認処理とは、売り上げなどを算出する営業実績との関係において必ずしも必要となる処理ではないが、タクシー業務を遂行する上では必要な処理である。また運転日報の作成にも必要な処理である。そこで、これらの処理、特に車両整備点検情報の確認処理を車載用業務支援装置において実行することにより、これら作業の確実な実行を担保し得るようにしている。
【0016】
また本発明では、タクシーの走行時間や走行距離に応じた料金データを求めるタクシーメータと連動して動作する車載用業務支援装置であって、前記タクシーメータから料金データを含むタクシーメータ情報を取得するメータ情報取得手段と、取得したタクシーメータ情報に対する演算処理を実行する情報処理手段と、演算処理手段に対して任意の情報を入力する情報入力手段と、情報入力手段で入力可能な入力項目を表示する表示手段とを具備し、更に情報を保持する記憶手段を具備すると共に、当該記憶手段には、タクシー業務における営業区分に関連付けられた料金データが記録されており、前記情報処理手段は、入力手段で指定された営業区分に基づいて料金データを読み出して、タクシー利用料金を算出する事を特徴とする車載用業務支援装置を提供する。
【0017】
かかる車載用業務支援装置では、記憶手段にタクシー業務における営業区分に関連付けられた料金データが記録されていることから、タクシーメータから取得した金額情報に対して、営業区分に応じた料金を演算処理することができ、タクシー乗務員がその場で演算計算する必要性をなくしている。即ち、タクシー業務における営業実績を詳細に設定することができ、これにより当該車載用業務支援装置を車載用のPOS端末として機能させることが可能になる。
【0018】
ここで、営業区分とは、タクシー車両における営業の種類に応じた分類であり、例えば通常の乗車地点から降車地点までの距離・時間に基づいて料金を算出する通常営業、予め定められた地点間を走行する時の料金を定めている定額営業、一定の時間を貸しきって営業を行うか仕切り営業、所定の契約により定められた条件で営業を行う契約営業(修学旅行などを含む)などが考えられる。即ち、営業区分により、料金の算出の仕方が異なっていることから、通常営業以外の営業区分において、従来提供されているタクシーメーターは有効に機能しないものとなっていた。そこで、本発明にかかる車載用業務支援装置では、通常営業による料金はタクシーメータから料金情報を取得し、その他の営業区分では、記憶手段に保持された料金データに基づいて算出するように構成している。
【0019】
そして上記前記記憶手段は、始業処理手段による乗務員情報の登録処理と車両整備点検情報の確認処理以降に算出したタクシー利用料金と当該利用料金の精算情報を保持する事が望ましい。保持したタクシー利用料金とその精算情報を使用して、簡易に営業日報を作成できるようにするためである。
【0020】
また、本発明では上記した車載用業務支援装置と、タクシーの走行時間や走行距離に応じた料金データを求めるタクシーメータと、当該車載用業務支援装置で処理演算した情報を無線送信する通信装置とを組み合わせてなるタクシー業務支援システムを提供する。かかるタクシー業務支援システムにおいて、通信装置は、前記車載用業務支援装置の情報処理手段による演算結果を取得して、これを、情報通信ネットワークを介して接続されている電子計算機に対してデータ送信する様に構成することが望ましい。
【0021】
このように構成することにより、営業中の各タクシー車両における営業実績を、例えばタクシー運行会社に設置されている電子計算機(サーバ装置)に対してリアルタイムで送信することができ、当該タクシー運行会社のサーバ装置は、各タクシー車両の営業実績をリアルタイムで確認することができる。その結果、例えば営業実績が十分でない車両に対して、休憩や車両整備を行うように等の指示情報を送信することもでき、タクシー乗務員の業務管理を適格に行うことが可能になる。
【0022】
更に、このようなデータ送信手段を具備するタクシー業務支援システムでは、前記車載用業務支援装置が、タクシーの位置を検出する位置検出手段を具備し、前記通信装置は、前記車載用業務支援装置の情報処理手段による演算結果と共に位置情報を取得して、これらを情報通信ネットワークを介して接続されている電子計算機にデータ送信するように構成することが望ましい。
【0023】
タクシーの位置情報を送信するタイミングとしては、営業実績を送信するタイミングで良いが、それ以外のタイミングで、随時、或いは常に位置情報を送信しても良い。更に、送信するタクシーの位置情報は、例えば乗車した地点の位置情報と、降車した地点の位置情報とすることができ、これらを1回の乗車実績情報として送信することができる。この乗車した地点の位置情報と、降車した地点の位置情報とは、その位置情報を取得したタイミングで送信することも考えられるが、乗車した地点の位置情報と、降車した地点の位置情報を記憶手段に保持しておき、降車して地点において、その乗車における料金などの営業実と共に送信することが望ましい。
【0024】
また、上記の車載用業務支援装置は、更にナビゲーション機能を伴うことも考えられる。即ち、当該車載用業務支援装置は、情報の記録手段や情報の処理手段などを伴い、更に位置情報検出手段を伴って構成されている場合には、保持する情報が地図情報であり、処理手段が地図上に自車の位置を表示することにより、ナビゲーションシステムとして機能させることができる。そして、このように車載用業務支援装置がナビゲーションシステムとして機能する場合には、更に、乗車客の希望する場所までのナビゲーションを実施でき、更にタクシーメータと連動して動作するPOS端末として機能する車載用業務支援装置が提供されることになる。
【0025】
更に、上記の車載用業務支援装置は、データ送信手段として、音声通話が可能な装置、例えば携帯電話を使用する場合には、当該音声通話をハンズフリーで行うためのターミナルとして機能させることもできる。即ち、携帯電話に着信した電話番号を、当該車載用業務支援装置が伴う情報表示部に表示し、また発信する場合には、当該車載用業務支援装置の操作により、発信可能に構成することが望ましい。
【0026】
そして上記車載用業務支援装置は、車両内に設置する際の設置場所や、乗務員における操作性、更には表示された情報の視認性などを考慮し、タッチパネルにより情報を入力できるように構成されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0027】
以上のように構成された車載用業務支援装置は、タクシーメーターと連動して動作する車載形式のPOS端末として機能することができ、これにより業務の効率化を図ることができる。
【0028】
特に車載用業務支援装置がm車両点検を含む運行管理を行った上で、乗車料金の計算、精算などの運転日報に必要な項目を取得する場合には、車両の運行管理を確実に実施できるようにした車載用業務支援装置およびこれを使用したタクシー業務支援システムが実現する。
【0029】
また、記憶手段にタクシー業務における営業区分に関連付けられた料金データを記録しておき、これを使用することにより、タクシーメータによる乗車料金の算定のみならず、予め取り決められた料金による業務による代金の精算についても、当該車載用業務支援装置を使用することができる。よって営業日報の作成に際しては、この車載用業務支援装置から取り込んだデータを使用して、簡易に作成することが可能になる。
【0030】
そして、この車載用業務支援装置とデータ送信手段を組み合わせることにより、運転日報として使用する情報を都度集計可能とし、リアルタイムで取得される営業情報に基づいて、営業時間、残業勤務の有無を判断できるようにしたタクシー業務支援システムを提供される。これにより、タクシー運行会社では、タクシー車両ごとの営業実績を帰庫前に知ることができ、よってその日の実績を考慮しながら、残業の有無などを判断することができる。
【0031】
更に本発明にかかる車載用業務支援装置は、運転日報として使用する情報の送信時に、位置情報も送信し、各営業中のタクシーの場所をタクシー運行会社に知らせることで、配車の要求に対して適格に応えることのできるタクシー業務支援システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本実施の形態にかかる車載用業務支援装置を用いて構成されたタクシー業務支援システムの構成略図
【図2】この車載用業務支援装置における始動開始時のフローチャート
【図3】乗車から売上が確定するまでの処理ブロック図
【図4】売上が確定した後の支払処理およびトレーディングポイントを付与するまでの処理ブロック図
【図5】レシートを印字した後における処理ブロック図
【図6】始動開始時(システム起動時)における画面遷移図
【図7】始動開始時(システム起動時)における画面遷移図
【図8】通常の営業時における売上確定処理の画面遷移図
【図9】通常の営業時における売上確定処理の画面遷移図
【図10】通常の営業時における売上確定処理の画面遷移図
【図11】貸切の営業時における売上確定処理の画面遷移図
【図12】貸切の営業時における売上確定処理の画面遷移図
【図13】定額での営業時における売上確定処理の画面遷移図
【図14】契約での営業時における売上確定処理の画面遷移図
【図15】修学旅行での営業時における売上確定処理の画面遷移図
【図16】タクシーチケット利用での営業時における売上確定処理の画面遷移図
【図17】タクシーチケット利用での営業時における売上確定処理の画面遷移図
【図18】売上確定後における分割払い処理の画面遷移図
【図19】勤務状況入力時の画面遷移図
【図20】営業終了時における終了処理の画面遷移図
【図21】図1のタクシー業務支援システムを用いて形成されたネットワークシステムの構成略図
【図22】車載用業務支援装置のハードウエアー構成図
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面に基づいて、本発明にかかる車載用業務支援装置12と此れを用いたタクシー業務支援システム10の1つの実施の形態を説明する。図1は、本実施の形態にかかる車載用業務支援装置12を用いて構成されたタクシー業務支援システム10の構成略図であり、図2はこの車載用業務支援装置12における始動開始時のフローチャートであり、図3は乗車から売上が確定するまでの処理ブロック図であり、図4は売上が確定した後の支払処理およびトレーディングポイントを付与するまでの処理ブロック図であり、図5はレシートを印字した後における処理ブロック図であり、図6〜7は始動開始時(システム起動時)における画面遷移図であり、図8〜10は通常の営業時における売上確定処理の画面遷移図であり、図11〜12は貸切の営業時における売上確定処理の画面遷移図であり、図13は定額での営業時における売上確定処理の画面遷移図であり、図14は契約での営業時における売上確定処理の画面遷移図であり、図15は修学旅行での営業時における売上確定処理の画面遷移図であり、図16〜17はタクシーチケット利用での営業時における売上確定処理の画面遷移図であり、図18は売上確定後における分割払い処理の画面遷移図であり、図19は勤務状況入力時の画面遷移図であり、図20は営業終了時における終了処理の画面遷移図であり、図21は図1のタクシー業務支援システム10を用いて形成されたネットワークシステムの構成略図、図22は車載用業務支援装置12のハードウエアー構成図である。
【0034】
先ず、図1及び図22を参照しながら、この車載用業務支援装置12と、此れを使用したタクシー業務支援システム10の構成を説明する。図1に示すタクシー業務支援システム10は、車載用業務支援装置12と、タクシーメータ15と、プリンター13と、カードリーダー14と、通信手段としての携帯電話器11とで構成されている。この内の車載用業務支援装置12とタクシーメータ15とは、プリンター13に接続されている。特に本実施の形態においては、このプリンター13は、ネットワーク上でプロトコルが異なるデータを相互に変換して通信を可能にするゲートウェイとしても機能し、タクシーメータ15から出力されるタクシーの乗車料金データや、タクシー車両の営業状態を示す「空車」「実車」「支払」「合計」などの信号を取得し、これを車載用業務支援装置12に出力するものとして機能する。このとき、車載用業務支援装置12を図22に示すようなコンピュータと略同様の構成で構成することにより、例えばシリアルケーブル等によって、このプリンター13からの信号や情報を取得することができる。
【0035】
車載用業務支援装置12は、プリンター13を介してタクシーメータ15から送信された信号や乗車料金データを使用して、乗車料金や営業実績を作成することができる。そのために、当該車載用業務支援装置12は、一般的なコンピュータと同様に、CPU801、メモリ802、音声出力装置803、ネットワークインタフェース804、ディスプレイコントローラ805、表示装置806、入力機器インタフェース807、入力装置808、外部記憶装置810、記録媒体インタフェース812、およびこれらの構成要素を互いに接続するバス813を含んで構成することができる。
【0036】
この内、CPU801は、コンピュータ800の各構成要素の動作を制御し、オペレーティングシステム(以下、「OS」)の制御下で、各プログラムの実行をコントロールし、本発明に係る車載用業務支援装置12を構成する各構成要素の動作を制御する。メモリ802は通常、不揮発性メモリであるROM(Read Only Memory)、および揮発性メモリであるRAM(Random Access Memory)から構成される。ROMには、コンピュータ800の起動時に実行されるプログラム等が格納される。RAMには、本実施の形態にかかる車載用業務支援装置12の各機能乃至は処理がCPU801で実行される際に、それを実現するためのプログラムが実行中に使用するデータが格納される。
【0037】
音声出力装置803は、たとえば、スピーカ等のように音声を出力する機器である。例えばこの車載用業務支援装置12と情報通信する携帯電話器11のハンズフリー時におけるスピーカーとして機能することができる。ネットワークインタフェース804は、インターネットやイーサーネットなどの各種のネットワーク820に接続するためのインタフェースである。携帯電話器11との接続もネットワークインタフェース804によって行われる。
【0038】
ディスプレイコントローラ805は、CPU801が発する描画命令を実際に処理するための専用コントローラである。ディスプレイコントローラ805で処理された描画データは、一旦グラフィックメモリに書き込まれ、その後、表示装置としてのLCDで構成されるディスプレイ806に出力される。
【0039】
入力機器インタフェース807は、例えばタッチパネルで構成される入力装置808から入力された信号パターンに応じた指令をCPU801に送信する。入力装置808は、CPUに対して所定の指令を与える為に必要となる。
【0040】
外部記憶装置810は、たとえば、ハードディスクドライブ(HDD)のような記憶装置であり、この装置内には後述の処理を実行するプログラムやデータが記録され、実行時に、必要に応じてそこからメモリ802のRAMにロードされる。車載用業務支援装置12における演算に使用される演算式や、処理を行う為のプログラム、および各種のデータなどが格納される記憶手段が、この外部記憶装置810に相当する。
【0041】
記録媒体インタフェース812は、USBメモリ、SDメモリ、メモリスティックといった、半導体メモリ(たとえば、フラッシュメモリ)を備える可搬型メモリタイプの記録媒体840と接続端子等で接続し、そこに記録されているデータを読み取る装置である。記録媒体840には、ディスクタイプの記録媒体830と同様に、本発明に係る車載用業務支援装置12を実現するためのプログラムを記録することが可能である。
【0042】
以上のように構成された車載用業務支援装置12では、例えばカーナビゲーションの為のプログラムを実行することにより、当該車載用業務支援装置12はカーナビゲーションとしても機能することができ、その際には自車の位置情報を取得する為のGPSアンテナが接続されることになる。また、GPSアンテナから取得した位置情報をメモリーに保持しておき、その保持した時間またはCPUで実行する処理、或いは各種指令に関連付けておけば、関連付けた情報を保持したときの位置を明確にすることも可能である。例えばタクシーメータ15から取得した実車および降車の信号に関連付けて、その信号を取得した時の車両の位置情報をメモリーに記録しておくことにより、タクシー業務における営業日報の作成時に使用することができる。
【0043】
また、この車載用業務支援装置12が、Wi−FiやBluetoothなどの無線通信手段を具備する場合には、この車載用業務支援装置12が取得した信号や情報、或いは車載用業務支援装置12で加工した信号や情報を無線通信手段で携帯電話器11などの通信手段に送信することができ、当該携帯電話器11などの通信手段から、当該信号や情報を、インターネットなどの広域通信網を介して外部のサーバ210などの情報処理装置に送信することができる。
【0044】
図21は、図1に示したタクシー業務支援システム10を用いて構成されたネットワークシステムの構成図を示している。特にこの実施の形態では構成を簡素化するために1つのタクシー業務支援システム10と1つのサーバ210とで構成した例を示しているが、実際の運用に当たっては、複数のタクシー業務支援システム10と、複数のサーバとで構成することができる。即ち、サーバ210は、タクシー業務における営業実績を保持するサーバと、クレジットカードを用いた決済時における信用照会などを行うサーバと、更にタクシーの乗車実績等に合わせてトレーディングポイントなどを付与する場合には、そのポイントを管理するサーバとに分けて構成することもできる。更にタクシー業務における営業実績を保持するサーバにあっては、タクシーの営業所ごとに設置された複数のサーバで構成数個ともできる。なお、この構成において、タクシー業務支援システム10は、各タクシー車両内に設置される事になる。なお、サーバ210は、受信したデータを保持するために、ハードディスクなどの外部記憶装置810を具備する必要があり、受信した各種のデータは、データベースやファイル211として外部記憶装置内に区画された一定の領域に保持されることになる。
【0045】
次に以上のように構成されたタクシー業務支援システム10における処理や動作の内容を、図2〜20を参照しながら説明する。
【0046】
図2は、このタクシー業務支援システム10を動作させたときの起動処理を示すフローチャートとであり、このときの画面の遷移図を図6及び7に示す。先ずこのタクシー業務支援システム10の動作に際して電源をONにすると、車載用業務支援装置12のシステムが起動してタクシーメータとの接続を確立し(S20)、機器IDに基づいてタクシーメータ15との接続を行う(S21)。このタクシーメータ15との接続が行われると、タクシーメータ15から空車を示す信号を受信し(S22)、前回精算時の履歴などを表示する(S23)。この履歴としては、前回精算時の日時及び乗務員を特定するコードと降車の生むとすることができる。そして、次に車載用業務支援装置12において乗務員登録要求を行う(S24)。この乗務員登録は、例えば各乗務員に付与されたIDカードの読み込みにより行う他、乗務員IDとパスワードの入力・照合によっても行うことができる。その後、タクシー車両の運行時における始業点検の実行要求を表示装置に出力し(S25、画面67・71)、点検項目を表示させて、車両の運行前点検の実行を促す(画面72)。
運行点検処理が終了すると、車載用業務支援装置12は、配車区分の入力処理(S26)と乗車区分の入力処理(S27)を実行する。図7における画面73は、乗車区分が選択されていない状態における営業区分の入力を要求する画面である。即ち、タクシーの待機場所等の配車区分入力(S26)を要求する営業モード選択画面であり、タッチパネルの操作により、自車が現在どこに居るかを特定することができる。この配車区分としての営業モードの選択項目としては、駅前などのタクシー乗降場所や、所謂「流し」とも称される市街地の走行状態などが考えられる。そして、乗車区分が選択されていない状態において、タクシーメータに設けられた実車ボタンが押下されることにより、車載用業務支援装置はこの信号を取得し(画面74)、乗車区分を通常に設定して実車モードを起動させる(画面75)。即ち、乗車区分の選択動作は、タクシーメータから取得する信号によっても動作するように形成されている。
ただし、この乗車区分の選択は、車載用業務支援装置の操作によっても実施することができる。即ち、この車載用業務支援装置12は、乗車した利用者の料金体系などを特定する乗車区分情報の特定を要求する様に構成することができる(S27)。かかる乗車区分の項目は、例えば「通常実車」「救援」「貸切」「定額」「契約「修学旅行」等の区分とすることができ、タッチパネルなどの操作か、あるいはタクシーメータ15からの信号を受信することによって入力可能とすることができる。ただし、これらの区分はタクシー運行会社等において任意に設定することができる。
【0047】
図3は、この起動動作における配車区分の入力(S26)と乗車区分の入力(S27)とを実施し、その後における処理をまとめたブロック図である。この図3にも示す様に、タクシーにおける乗車料金の特定の仕方は、各乗車区分ごとに設定されており、乗車区分の選択を契機として、車載用業務支援装置12は所定の処理を実行することになる。先ず、通常実車S31又は救援の乗車区分が選択された場合S32には、車載用業務支援装置12はタクシーメータ15から売上金額(乗車料金)を取得する。そして、車載用業務支援装置12は、取得した売上料金に対して、割引の有無、立替金の有無を確認しながら、最終的に乗車客が支払う売上領収額を確定する。この一連の処理における割引制度の反映以降の処理を、特に通常実車の乗車区分が選択された場合の例に従い、図8〜10の画面遷移図を参照しながら説明する。
【0048】
先ずタクシーメータ15における支払ボタンが押下されることにより、その売上にかかる料金情報が車載用業務支援装置12に送られる。そしてこの売上に対して割引が適用される場合には、何れかの割引制度が選択される(画面81)。本実施の形態では、利用者が着物を着用しているときに適用される着物割引、および障害があるときに適用される障害割引の選択項目が表示されており、着物割引が選択されている(画面82)。次に立替金がある場合には、画面に表示された「立替金」の項目を選択すると、予め設定されている立替金が発生する項目が画面上に出力される(画面83)。この実施の形態では、ETC、駐車場、その他の項目として、立替金が発生する項目を設定しており、ETCの立替金があった場合を選択している(画面84)。この立替項目の選択に依拠して立替金額の入力画面が読み出され(画面85)、タッチパネルなどにより実際の立替金額が入力される(画面86)。そして画面上の確定ボタンの押下により立替金額が確定し(画面91)、これが車載用業務支援装置12のメモリーに読み込まれて、画面に出力される(画面92)。そして割引制度の有無や立替金の入力が完了した時点で、画面上の実行を押下することで(画面93)、これにより乗車客が支払うべき金額が確定する。そしてこの確定した金額の支払方法が選択されると、各支払方法に応じた処理が成される事になる。
【0049】
本実施の形態では、この確定した支払い金額の精算方法(支払方法)として、図4に示すような「現金」「クレジットカード」「タクシーチケット」「未収」等の他、トレーディングポイントとして使用可能な「バリューポイント」「ポイント」による支払を想定した項目を選択できるように構成されている。各精算方法が特定された後の処理は、この図4に示すとおりであるが、特に、本実施の形態では、クレジットカードによる支払方法が選択された例について説明すると、画面93で「クレジット」の精算方法が選択されると、車載用業務支援装置は、プリンター13に接続されたカードリーダ14から、プリンター13を介してクレジットカード情報を取得し(画面94)、この情報に対して信用確認を行う。信用確認は、車載用業務支援装置12が取得したカード情報を、携帯電話器11を介したデータ通信によりクレジットカードの信用会社に送信し(画面95)、そして精算の可否を受信するように構成されている。データ通信によりクレジットカードによる決済が終了したことを契機として、車載用業務支援装置12はレシート印刷の指示をプリンター13に出力する(画面96)。なおこのレシートのプリントアウトに際しては、クレジットカードの信用確認の結果の承認・売上票のプリントアウトを行い、此れに署名を得た後に領収書を発行する動作とすることができる。また領収書の発行に際してはポイント利用表の発行も行うことが望ましい。
【0050】
そして図10に示す様に、レシートの印刷処理(画面101)が終了すると、プリンター13は印刷終了のコマンドを車載用業務支援装置12に送信し、車載用業務支援装置12は支払金額が確定時等に演算したポイントをメモリーから読み出し、これを支払い金額と共に画面に表示させる(画面102)。そして図4に示すような精算を行うことにより、一連の処理が終了する。この精算が完了した後、乗務員は利用者に関する情報を入力する。この利用者に関する情報としては、タクシー乗務員の業務日報(営業日報)に記載するような情報であることが望ましく、これは支払った金額情報と共にメモリー或いは外部記憶装置に記録される。本実施の形態では利用客の男女別人数と合計人数を入力できるように作成されている(画面103)。また、この支払時の金額情報および任意に入力される乗車人数などの情報と共に、実車地点の情報、および後者地点の情報を保持することも可能である。これらの位置情報は、車載用業務支援装置12にGPSアンテナを接続し位置情報を取得するように構成し、更にタクシーメータ15から実車の信号を受信した地点の情報、および支払の信号を受信した地点の情報を保持することにより実施可能である。
【0051】
そして、上記のように乗車人数の入力が完了した時点で一連の乗車業務は終了し、そのタクシーによる営業実績がメモリーまたは外部記憶手段に記録され、必要に応じて携帯電話器11を利用したデータ通信により、外部の業務日報(営業日報)を管理するサーバに送信される。またその乗車業務の終了により、車載用業務支援装置は、次の乗車業務の再開のために、タクシーメータ15からの空車信号の受信を待機する(画面104)。空車信号を受信すると営業モードの選択画面(画面105,73)に戻り、次の乗車業務に待機することができる。
【0052】
図5はレシート印字終了後に於けるタクシー業務支援システム10の処理の流れを示すブロック図である。この図に示す様に、プリンター13でレシートを印字処理を終了しS50、乗車人数や配車区分の入力により車載用業務支援装置がこれらの情報の取得処理S51が終了した後、当該タクシー業務支援システム10は空車の表示待ちを画面に出力することになるS52。その後の処理は、上記したように空車モードの表示を行って、新たに配車区分の入力などを求めて営業を続行する他S52b、休息S52c、給油S52d、修理S52eなどの勤務状態を特定する情報を選択可能であり、更に業務終了時における回送状態にすることも可能であるS53。特に回送状態となった場合には、帰庫した後に日時集計を画面に表示させる描画処理S54を行い、その日の営業で得た現金残高を画面に出力する描画処理S55を行い、そして車載用業務支援装置12が保持する情報を可搬式のデータ保持手段(SDカードやメモリースティックなど)に出力するか否かなどの処理S56を実行する。ここで、これらのモード選択時(「空車モード」「回送モード」「休息モード」「給油モード」「修理モード」)における時間や、各モードの実施時間をメモリーに保持することもでき、更に車載用業務支援装置12が位置情報を取得する場合には、その位置情報も各モードに関連付けて記録することができる。
【0053】
次に図11〜15の画面遷移図を参照しながら通常実車以外の乗車区分が選択された場合における売上金額の確定処理を説明する。
【0054】
先ず図11〜12は、乗車区分を「貸切」のモードに設定した状態であり、最初に前記図7に示した乗車区分の選択において「貸切」のモードを入力手段などの操作によって選択されることにより実行される。「貸切」のモードの選択により、先ずタクシー業務における貸切業務の条件を設定する貸切登録画面を表示させる(画面111)。この画面111の表示項目に対し、タッチパネルなどの入力手段による選択で、貸し切り時間を設定する(画面112)。この貸し切り時間の設定しに際しては、あらかじめ、無償で付加するサービス時間を設定しておくこともできる。そして、設定した貸し切り時間に応じて、車載用業務支援装置12は単位時間当たりの金額を読み出して演算し、その貸し切り金額を画面に表示させる(112)。このように貸し切り業務の条件を設定した後には、貸し切り時間の残り時間をカウントダウンしながら、画面に表示させることができる(画面113,114)。また、この様な貸し切り業務では、道路の混雑状態などとの関係で、任意に変更を要することから、乗客が乗っている状態でも貸し切り条件を参照し、更に変更することが可能になっている(画面115,116)。
【0055】
図12はこの貸切モードの乗車区分における貸し切り業務の終了処理を示す画面遷移図であり、貸し切り業務が終了した時点でタクシーメータ15における支払ボタンを押下することにより、車載用業務支援装置12は支払の信号を取得して、貸し切り時間を終了する(121)。そして貸し切り時間の終了時の画面上に表示されている貸切予定額表示を選択することにより、貸し切り超過時間による加算額が算出され、これを含めた合計金額が演算されて貸切登録画面上に出力される(画面122)。この超過時間に対しては、道路の混雑具合や案内コースの選択を考慮して、適宜加減演算し得る事が望ましく、そのために画面上に減算・加算を選択するボタンを表示させている(画面123)。例えば「減産」のボタンを謳歌することにより、画面124に示す様に加算金額が減じられ、よって合計金額も減じられることになる。そしてこの超過時間(加算金額)に対する調整が完了した後(画面124)、実行ボタンを押下することにより売上金額は確定する(画面125)。その後、車載用業務支援装置12は、前記したように売上金額に対する割引の適用や立替金の加算等を演算を実行して、最終的な支払金額である売上領収額を演算してこれを画面に表示させる(画面126)。
【0056】
図13は「定額」のモードに乗車区分を設定した場合における車載用業務支援装置12の処理を示す画面遷移図である。即ち、前記図7に示した乗車区分の選択において、入力手段などの操作により「定額」のモードが選択されると、車載用業務支援装置は、当該定額業務を実行する為の設定画面を読み出して此れを画面に表示させる(画面131)。この設定画面では、最初に乗車地点の表示を行い(画面131)、表示された地点からタッチパネルなどの入力手段による選択を行い(画面132)、次に降車地点を選択する画面を出力させ(画面133)、同じように表示された地点からタッチパネルなどの入力手段による選択を行う(画面134)。これにより、乗車地点と降車地点が車載用業務支援装置12のメモリーに読み込まれ、対応する区間に対して予め設定されている料金を読み出して此れを画面に表示させ(画面135)、「定額」のモードでの業務を実行することができる。この「定額」モードでの業務においても、精算時には各種の割引や立替金の加算を行うことができる。
【0057】
図14は、前記図7に示した乗車区分の選択において、入力手段などの操作により「契約」のモードを設定した場合における車載用業務支援装置12の処理を示す画面遷移図である。この契約のモードでは、予め利用時間または利用区間、および金額などが利用者との間で定められていることから、画面上における契約料金の押下により「契約」モードが実行されると(画面141)、当該モードにおける契約内容、特に金額の入力を要求する画面が描画され、画面上に表示されたテンキーからの選択により金額を確定し(画面142)、「契約」モードにおける業務を実行することができる(画面143)。この「契約」モードでの業務においても、精算時には各種の割引や立替金の加算を行うことができる。
【0058】
図15は、前記図7に示した乗車区分の選択において、入力手段などの操作により「修学旅行」のモードを設定した場合における車載用業務支援装置12の処理を示す画面遷移図である。この「修学旅行」のモードにおいても、予め乗車区間または乗車時間、及び料金が定まっていることから、前記「契約」のモードの場合と同様に料金を選択・入力することにより(画面152)、その結果が車載用業務支援装置に反映され(画面153)、当該業務を遂行することができる。
【0059】
次に、売上領収金額が確定した後における、精算時における車載用業務支援装置12の処理を、図16〜18を参照しながら説明する。
【0060】
図16は、タクシーチケットにより売上領収金額を精算する場合における精算処理時の画面遷移図である。即ち、割引の選択や立替金の加算など所要の演算を行って売上領収額が算出されると、その精算方法を選択する画面が車載用業務支援装置で読み出されて出力される(画面161)。この画面において支払方法として「チケット」を選択し、実行を押下することにより、チケット明細画面が表示される(画面162)。このチケット明細画面において、入力するチケットの欄(この画面162では「チケット1」)を押下することにより、当該チケットの明細を入力する画面が描画されて所要の情報の入力を待機する(画面163)。チケット明細入力画面で要求する入力情報は、チケットの発行会社を区分けする「チケット区分」、タクシーチケットによる支払の上限を規定する「上限金額」、および実際に利用する「利用金額」の項目が挙げられる(画面164)。そしてこのチケット1に対するチケット登録が完了した後、「登録」ボタンを選択・押下することにより、チケット明細画面に戻り(画面165)、同じようにして2つ目のチケットの利用を登録する(166,167)。特にこのチケット登録画面においては、表示領域の都合から、特定の1社を表示すると共に、それ以外を他社として表示し、チケット区分として「他社」が選択された場合には、同じ画面上に別のウィンドウとして選択し得るタクシーチケットの発行会社を表示することができる(画面172)。そして、このように選択した他者のタクシーチケットに対しても情報の登録を行い(画面173)、そして使用するチケットの明細を表示させ(画面174)、そして割引や立替金の加減項目を入力して、売上領収金額を演算している(画面175)。
【0061】
次に図18は、タクシーの乗車料金の精算方法として、複数の支払方法を選択して精算処理する場合の画面遷移図を示している。即ち、支払モードにおいて、最初に支払う支払方法を選択した後(画面181)、他の金種で分割して支払う場合には「分割」ボタンを選択・押下する(画面182)。分割ボタンを押下することにより、同じ画面上に別ウィンドウとして支払方法と金額の入力画面を展開させるように構成することが望ましい。例えば、バリューカードでの支払を選択した場合においては(画面184)、その方法での支払金額の入力画面が更に展開し(画面185)、現金での支払を選択した場合においては(画面186)、その方法での支払金額の入力画面が更に展開し(画面187)、金額情報の入力及び確定により(画面189)、その情報が支払い時の明細として分割明細画面に表示される(画面188)。このようにして精算方法を選択し、精算金額を入力し、そして割引や立替金の加減項目を入力して、売上領収金額を演算している(画面183)。
【0062】
そして図19は、図5に示したレシート印字後の処理を選択する画面遷移図であり、空車モード中に機能ボタンを選択・押下することにより(画面191)、「休息」「給油」「修理」「回送」「フリー領収」を選択可能な処理を実行する(画面192)。この機能選択画面において、タッチパネルの操作により「休息」ボタンが選択・押下されると、車載用業務支援装置12は休息の開始時間を読み取ってメモリーに書き込み(画面193a)、そして休息開始後の経過時間を演算して画面上に表示する(画面193b)。休息を終了する場合には、タッチパネルの操作により確定ボタンを選択・押下することにより、その時刻の情報がメモリーに書き込まれて、休息時間が演算され、これが業務日報の作成の為に使用される。なお、かかる休息開始時間や休息終了時間は、任意に訂正可能なように、タッチパネル上にはテンキーを表示するのも望ましい態様である。またこの機能選択画面192において「給油」ボタンが選択・押下されると、車載用業務支援装置12は、その給油場所と給油量の入力を待機し、入力手段からの選択・入力によりこれらの情報を取得することができる。機能選択画面192において「フリー領収書」ボタンが選択・押下されると、車載用業務支援装置12は、その金額の入力を待機し、入力手段からの選択・入力によりこれらの情報を取得することができる。そして機能選択画面192において「修理」ボタンが選択・押下されると、車載用業務支援装置12は、修理理由と開始時間の入力を待機し(画面196a,b)、入力手段からの選択・入力によりこれらの情報を取得することができる。なお、開始時間の入力は、前記の車載用業務支援装置12における時刻情報の取得と同じように、車載用業務支援装置12のシステムが保持する時刻情報を使用することができる。
【0063】
図20は、一連のタクシーによる営業が終了した時の終了処理における画面遷移図を示しており、この図に示す様に、機能選択画面192において、タッチパネルの操作により「回送」ボタンが選択・押下されると、車載用業務支援装置12は、その回送開始時刻を保持する(画面201)。そしてタクシー運行会社に車両が帰庫した段階で、画面上に表示されている「帰庫」ボタンを選択・押下し、その時刻をメモリーに保持する(画面202)。そして「帰庫」ボタンの選択・押下を契機として、精算処理が開始され、現金、クレジットなどの支払方法毎の売上金額と、その合計金額、およびその営業時間における乗車回数などを表示し(画面203)、その情報の確定を契機としてメモリースティックやSDカードなどへのデータの書き込みの選択を要求する(画面204)。
【0064】
以上のように構成されたタクシー業務支援システム10においては、車載用業務支援装置12に導入するプログラムによりGPS測位機能を発現させることができ、当該GPS測位機能から、実車、支払、空車などの各モードを選択した地点の位置情報を取得し、各モードの選択情報と共に保持することにより、営業日報を簡単に作成することができる。
【0065】
更に、上記のタクシー業務支援システム10では、携帯電話器11機を構成要素として、これをデータ通信の為のモデムとして使用することにより、各車両ごとの営業実績をすぐに把握することができる。また乗務員の勤務時間や休憩時間なども明確に把握することが可能であるから、例えば当該車両の乗務員に対する残業の要求の判断材料としても使用することが可能になる。
【符号の説明】
【0066】
10 タクシー業務支援システム
11 携帯電話器
12 車載用業務支援装置
13 プリンター
14 カードリーダー
15 タクシーメータ
210 サーバ
800 コンピュータ
802 メモリ
803 音声出力装置
804 ネットワークインタフェース
805 ディスプレイコントローラ
806 ディスプレイ
807 入力機器インタフェース
808 入力装置
810 外部記憶装置
812 記録媒体インタフェース


【特許請求の範囲】
【請求項1】
タクシーの走行時間や走行距離に応じた料金データを求めるタクシーメータと連動して動作する車載用業務支援装置であって、
前記タクシーメータから料金データを含むタクシーメータ情報を取得するメータ情報取得手段と、取得したタクシーメータ情報に対する演算処理を実行する情報処理手段と、演算処理手段に対して任意の情報を入力する情報入力手段と、情報入力手段で入力可能な入力項目を表示する表示手段とを具備し、
更に、前記タクシーメーターと連動して動作を開始した後に、乗務員情報の登録処理と、車両整備点検情報の確認処理とを実行する始業処理手段を具備することを特徴とする車載用業務支援装置。
【請求項2】
タクシーの走行時間や走行距離に応じた料金データを求めるタクシーメータと連動して動作する車載用業務支援装置であって、
前記タクシーメータから料金データを含むタクシーメータ情報を取得するメータ情報取得手段と、取得したタクシーメータ情報に対する演算処理を実行する情報処理手段と、演算処理手段に対して任意の情報を入力する情報入力手段と、情報入力手段で入力可能な入力項目を表示する表示手段とを具備し、
更に情報を保持する記憶手段を具備すると共に、当該記憶手段には、タクシー業務における営業区分に関連付けられた料金データが記録されており、
前記情報処理手段は、入力手段で指定された営業区分に基づいて料金データを読み出して、タクシー利用料金を算出する事を特徴とする車載用業務支援装置。
【請求項3】
前記記憶手段は、始業処理手段による乗務員情報の登録処理と車両整備点検情報の確認処理以降に算出したタクシー利用料金と当該利用料金の精算情報を保持する、請求項2に記載の車載用業務支援装置。
【請求項4】
タクシーの走行時間や走行距離に応じた料金データを求めるタクシーメータと、請求項1〜3の何れか一項に記載の車載用業務支援装置と、当該車載用業務支援装置で処理演算した情報を無線送信する通信装置とからなるタクシー業務支援システムであって、
当該通信装置は、前記車載用業務支援装置の情報処理手段による演算結果を取得して、これを情報通信ネットワークを介して接続されている電子計算機に対してデータ送信することを特徴とするタクシー業務支援システム。
【請求項5】
前記車載用業務支援装置は、タクシーの位置を検出する位置検出手段を具備し、
前記通信装置は、前記車載用業務支援装置の情報処理手段による演算結果と共に位置情報を取得して、これらを情報通信ネットワークを介して接続されている電子計算機にデータ送信する、請求項4に記載のタクシー業務支援システム。
【請求項6】
情報通信ネットワークを介して接続されている電子計算機に対するデータ送信は、前記車載用業務支援装置の情報処理手段によるタクシー利用料金の演算開始時および演算を開始した料金の演算終了時に実行される請求項4又は5に記載のタクシー業務支援システム。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−37943(P2012−37943A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−174828(P2010−174828)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(508160819)ITカーズ株式会社 (8)
【出願人】(510211952)エムケイ株式会社 (1)
【Fターム(参考)】