説明

車載用画像表示装置

【課題】 車両の周囲の状況を画像で正確に再現して車両の窓に表示することで、運転手が車両を安全に運転できるようにする。
【解決手段】 車両に備えられる車載用画像表示装置5において、検出ユニット80により、車両の周囲の状況として、周囲の風景や、周囲の人や車両、或いは障害物等の対象物の態様が検出される。そして、その検出結果を表す検出データが車載ユニット90に送信される。車載ユニット90では、その検出データに基づき、描画プロセッサ39により、車両の周囲の状況を表す画像が生成される。そして、この車両の周囲の状況を表す画像が、表示ガラスパネル40、すなわち、車両の窓全面に表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バス、タクシー、或いは自家用車等の車両の窓部に画像を表示する車載用画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両同士の事故や車両と通行人との事故等、車両に関係した事故が起こる原因として、例えば、天候(雨や雪など)により視界が悪化したり、或いは目の疲労等で運転手の視力が一時的に低下したりすることにより、運転手が、車両の周囲の通行人、他の車両、或いは障害物等を見落としてしまうことや、見間違えてしまうというようなことが考えられる。すなわち、運転手が車両の周囲の状況を正確に把握できず、危険回避が遅れて事故につながってしまうのである。逆に言うと、運転手が車両の周囲の状況を正確に把握できれば、事故の発生が防止される。
【0003】
ところで、従来より、車両の窓ガラスに、外の状況や風景を映写することのできる画像表示装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載の画像表示装置は、車両の状態(位置や速度等)を観測する観測装置と、外の風景の画像情報を予め蓄積しておく蓄積装置とを備えており、観測装置により観測された車両の位置を表す情報に基づき、その観測された位置において車両の外に見えるであろう風景の画像情報を蓄積装置より取得し、その画像情報が表す画像を、窓ガラスに表示させる。なお、地名や河川名、山岳名等の地図情報を表示させることもできる。また、車両の速度情報に基づいて、速度に合わせて表示させる画像を順次切り換えることもできる。このように、車両の周囲の風景画像を車両の窓ガラスに表示させることのできるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−20223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したような従来の画像表示装置においては、蓄積装置に予め蓄積された風景画像が車両の窓ガラスに表示されるのであり、走行中現在の車両の外の風景画像は表示させることができない。そして、前述したように、天候により視界が悪化したり、或いは運転手の視力が一時的に低下したりすると、運転手は周囲の状況を正確に把握できなくなり、運転の危険度、言い換えると、事故が生じる確率が増大する。よって、事故を防止するためには、走行中における車両の周囲の画像を、リアルタイムに表示させることが必要である。
【0006】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたもので、車両の周囲の状況を画像で正確に再現して車両の窓部に表示することで、運転手が安全に車両を運転できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる問題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、車両に用いられる車載用画像表示装置であって、
車両の周囲の状況を検出する状況検出手段と、
車両の少なくとも前方の窓部全体に設けられ、その窓部全域に情報を表示可能な表示手
段と、
前記状況検出手段の検出結果に基づき、車両の周囲の画像を前記表示手段に表示するための画像データを生成する画像生成手段と、
前記画像生成手段が生成した画像データが表す画像を、前記表示手段に表示させる表示制御手段と、
を備えていることを特徴としている。
【0008】
この請求項1に記載の車載用画像表示装置においては、車両の周囲の状況が状況検出手段により検出され、その検出結果に基づいて、車両の周囲の画像を表す画像データが画像生成手段により生成される。そして、車両の少なくとも前方の窓部全体に設けられた表示手段に、画像生成手段が生成した画像データにより表される画像が表示される。
【0009】
よって、この請求項1に記載の車載用画像表示装置によれば、車両の周囲の状況を表す画像が車両の窓部に表示されるため、運転手が車両の周囲の状況を確実に把握できるようになる。すなわち、状況検出手段の検出結果に基づいて、例えば移動物を強調表示するなど、運転手が見やすい画像を表示するように構成することができるため、運転手は、画像の内容、つまり周囲の状況を容易に認識できる。また、車両の遠方の状況であっても、運転手から近い窓部にその状況を表す画像が表示されることになるため、運転手にとって見やすいものとなり、その遠方の状況も容易に把握できるようになる。このように、運転手は車両の周囲の状況を確実に把握できるようになり、危険回避が遅れて事故の発生するということを確実に防止できるようになる。なお、少なくとも周囲に存在する物体が状況検出手段により検出されるように構成できる。
【0010】
また、請求項1に記載の車載用画像表示装置においては、請求項2に記載のように、前記表示手段は、車両の内部及び外部からの光を透過させることにより、当該表示手段を挟んで車両の内部及び外部の景色が視認可能となる窓状態と、車両の内部及び外部からの光を遮断するとともに、前記表示制御手段により画像が表示されるようになる表示状態と、に切り換え可能に構成され、前記表示制御手段は、前記表示手段の状態を前記表示状態に切り換えた後、前記画像生成手段が生成した画像データが表す画像をその表示手段に表示させることが好ましい。
【0011】
この請求項2に記載の車載用画像表示装置においては、車両の窓部の表示手段は、通常の窓のように対向側の景色が視認できるような窓状態と、画像が表示される表示状態とに切り換えられる。
【0012】
よって、この請求項2に記載の車載用画像表示装置によれば、車両の周囲の画像を表示させる時のみ、表示手段を表示状態に切り換え、また、画像を表示しない時には、通常の窓のような窓状態に切り換えるように構成することができる。したがって、運転手、或いは搭乗者にとって使いやすいものとなる。
【0013】
また、請求項1又は請求項2に記載の車載用画像表示装置においては、車両の側面及び後方の窓部にも表示手段が設けられることが考えられる。そして特に、請求項2に記載の車載用画像表示装置のように表示手段の状態が切り換えられる場合は、請求項3に記載のように、各窓部において、表示手段の状態を前記窓状態と前記表示状態とに切り換え可能に構成されることが好ましい。
【0014】
この請求項3に記載の車載用画像表示装置によれば、車両の全ての窓部に情報を表示させることができる。よって、車両の全ての窓部に車両の周囲の状況を表す画像を表示させることができるため、前述したような理由により、運転手はより安全に車両を運転できるようになる。しかも、その各窓部の表示手段は、通常の窓のような窓状態と、画像が表示
される表示状態とに切り換え可能になっている。よって、例えば搭乗者が本物の風景を楽しめるように窓部毎に表示手段の状態を通常の窓状態に切り換えることもでき、本物の風景を楽しみたいという搭乗者のニーズにも応えることができる。
【0015】
また、請求項2又は請求項3に記載の車載用画像表示装置においては、請求項4に記載のように、前記表示制御手段は、車両の搭乗者の入力に基づき、前記表示手段の状態を前記窓状態と前記表示状態とに切り換えることが好ましい。
【0016】
この請求項4に記載の車載用画像表示装置によれば、搭乗者は、車両の窓部の表示手段の状態を自由に表示状態と窓状態とに切り換ることができるため、搭乗者にとって使い勝手が良い。
【0017】
また、請求項5に記載のように、請求項2又は請求項3に記載の車載用画像表示装置において、車両の速度、進行方向、或いは制動状態の少なくとも何れかを検出する運転状態検出手段を備え、
前記表示制御手段は、前記運転状態検出手段の検出結果に基づき、前記表示手段の状態を前記窓状態と前記表示状態とに切り換えるように構成することもできる。
【0018】
この請求項5に記載の車載用画像表示装置によれば、運転手が意図しなくても、車両の運転状態に合わせて、表示手段の状態が切り換えられる。そして例えば、車両の速度が一定の速度以上となった時に、窓部の表示手段の状態が表示状態に切り換えられるとともに、その表示手段に周囲の画像が表示されるように構成することが考えられる。また、車両が停止した際に、窓部の表示手段の状態が通常の窓状態に切り換えられるように構成することが考えられる。
【0019】
すなわち、例えば前述したように車両の速度が一定速度以上になると運転手が周囲の状況を把握しにくくなることが考えられるが、その時に窓部に周囲の画像が表示されて運転手が周囲の状況を把握できるようにすることができる。よって、運転手はより安全に車両を運転できるようになる。また、車両が停止した時に窓部の状態が通常の窓状態に切り換えられるようにすれば、搭乗者は本物の風景を十分に楽しむことができるようになる。
【0020】
また、請求項1ないし請求項5の何れか1項に記載の車載用画像表示装置においては、請求項6に記載のように、前記表示制御手段は、車両がバックする際には、その車両における後方の周囲の画像を、前記表示手段に表示させることが好ましい。
【0021】
この請求項6に記載の車載用画像表示装置によれば、運転手が車両をその後方にバックさせる際には、窓部に車両の後方の画像が表示されるため、運転手はより安全に車両を運転できるようになる。なお、車両の後方の画像を表示させる窓部としては、車両の前方の窓部でもよいし、後方の窓部でもよい。さらには、側面の窓部でもよい。また、全ての窓部に表示させるようにしてもよい。
【0022】
また、請求項1ないし請求項6の何れか1項に記載の車載用画像表示装置においては、請求項7に記載のように、前記状況検出手段の検出結果に基づき、車両の周囲の音を出力する音出力手段を備えていることが好ましい。
【0023】
この請求項7に記載の車載用画像表示装置によれば、車両の周囲の画像に加えて音が音出力手段により出力されるので、よりリアルに車両の周囲の状況が再現され、運転手がより正確に車両の周囲の状況を把握できるようになる。
【0024】
また、請求項1ないし請求項7の何れか1項に記載の車載用画像表示装置においては、
請求項8に記載のように、前記画像生成手段が生成した画像データを記憶する記憶手段を備えていることが好ましい。
【0025】
この請求項8に記載の車載用画像表示装置によれば、記憶手段に画像データが記憶されるため、運転後においてもその画像データを読み出し、その画像データが表す画像を見ることができるようになる。よって、搭乗者にとっては使い勝手がよい。
【0026】
また、請求項1ないし請求項8の何れか1項に記載の車載用画像表示装置においては、請求項9に記載のように、前記画像生成手段は、車両の周囲の通行人或いは他の車両が前記表示手段にて強調表示されるように画像データを生成することが好ましい。
【0027】
この請求項9に記載の車載用画像表示装置によれば、車両の周囲の通行人や他の車両等については、運転手が容易にそれらを認識できるようにその画像が生成されるため、運転手はその通行人や他の車両に対して注意を促されるようになる。すなわち、運転手の注意力を喚起できるようになる。
【0028】
また、請求項1ないし請求項9の何れか1項に記載の車載用画像表示装置においては、請求項10に記載のように、前記表示手段は、車両の内側と外側とにおける両面に情報を表示可能であり、
前記表示制御手段は、前記表示手段の外側の面には、前記画像生成手段が生成した画像データが表す画像とは異なる画像を表示させることが好ましい。
【0029】
この請求項10に記載の車載用画像表示装置によれば、表示手段の両面に画像を表示することができるため、例えば内側面には、前述したように周囲の画像を表示させ、外側面には他の車両の運転者や通行人へのメッセージ等を表示させるようにすることができる。このようにメッセージを表示させて周囲とのコミュニケーションを図ることで、ひいては交通の円滑化も図ることができる。なお、外側面に広告を表示するように構成することも考えられる。
【0030】
また、請求項1ないし請求項10の何れか1項に記載の車載用画像表示装置においては、請求項11に記載のように、記録媒体に記録された画像データを読み取る読取手段を備え、
前記表示制御手段は、前記読取手段が前記記録媒体から読み取った画像データが表す画像を、前記表示手段に表示させるように構成されることが好ましい。
【0031】
この請求項11に記載の車載用画像表示装置によれば、記録媒体に記録された画像データが表す画像も窓部に表示させることができるため、搭乗者にとって使いやすいものとなる。
【0032】
また、請求項1ないし請求項11の何れか1項に記載の車載用画像表示装置においては、請求項12に記載のように、前記状況検出手段の検出結果に基づき、車両が他の車両との衝突を回避不能か否かを判定する衝突判定手段と、
前記衝突判定手段により、前記他の車両との衝突が回避不能と判定された場合に、前記状況検出手段の検出結果に基づき、前記他の車両以外の静止物のうち、衝突可能な静止物が有るか否かを判定する可能性判定手段と、
前記可能性判定手段により衝突可能な静止物が有ると判定されると、その静止物に衝突するように車両を制御する車両制御手段と、
を備えていることが好ましい。
【0033】
そして特に、車両制御手段は、請求項13に記載のように、車両のブレーキ、動力源(
例えば、内燃機関やモータ等)の出力、及び舵角を制御することが考えられる。
このような請求項12又は請求項13に記載の車載用画像表示装置が備えられた車両においては、仮に周囲の他の車両との衝突が避けられないという状況となった場合に、その他の車両の他に衝突の可能性のある対象物が検索され、もしそのような対象物があった場合には、その対象物に衝突するように車両が制御される。すなわち、他の車両以外の対象物に衝突してでも、他の車両との衝突を回避して被害を抑えるようにされる。よって、この車載用画像表示装置によれば、衝突の被害を最小限に抑えることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】車載用画像表示装置が備えられた車両の外観を表す外観図である。
【図2】車載用画像表示装置の構成を表すブロック図である。
【図3】車載用画像表示装置のCPUが実行する処理の流れを表すフローチャートである。
【図4】車載用画像表示装置の描画プロセッサが実行する処理の流れを表すフローチャートである。
【図5】車載用画像表示装置のCPUが実行する衝突軽減処理の流れを表すフローチャートである。
【図6】車両の窓部に画像が表示された状態を表す図である。
【図7】第2実施形態の車載用画像表示装置の構成を表すブロック図である。
【図8】車両の窓部に画像が表示された状態を表す図である(第2実施形態)。
【図9】第3実施形態の車載用画像表示装置の構成を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に、本発明の一実施形態を図面に基づき説明する。
[実施形態1]
図1は、本実施形態の車載用画像表示装置5(図2参照)が備えられた車両1の外観を表す外観図である。図1に示すように、車両1のボディーの外部における複数箇所に、車載用画像表示装置5のうち、車両1の周囲の状況を検出するための検出ユニット80が設けられている。この検出ユニット80により、車両1の周囲の状況として、周囲の景色や、周囲の人、他の車両(以下、他車両とも言う)、或いは障害物等の態様が検出される。また、図1には図示しないが、車載用画像表示装置5を構成する車載ユニット90(図2参照)が、検出ユニット80とは別に車両1内部に備えられている。そして、検出ユニット80の検出結果に基づいて、車載ユニット90により車両1の周囲の状況を表す画像が生成されるようになっている。
【0036】
そして特に、本実施形態においては、車両1の全ての窓部には、その窓部全体に画像を表示することのできる表示ガラスパネル40が設けられている。この表示ガラスパネル40は、液晶ディスプレイとして機能して画像が表示可能となる表示モードと、通常の窓のように透明な状態であって、窓を挟んだ対向側の景色が視認できる状態である通常モードとに切り換え可能に構成されている。そして、車載ユニット90により生成された車両1の周囲の画像は、表示ガラスパネル40に表示される。なお、車両1の周囲の画像は、車両1の内部から視認できるように、表示ガラスパネル40において車両1の内側に対応する面に表示されるようになっている。また、本実施形態では、車両1の外側に対応する面にも画像が表示可能なように構成されている。
【0037】
次に、図2は、車載用画像表示装置5の構成を表すブロック図である。
この図2に示すように、本実施形態の車載用画像表示装置5は、前述した検出ユニット80、車載ユニット90、及び表示ガラスパネル40を含む入出力部95から構成されている。以下、各構成要素について詳述する。
【0038】
まず、車載ユニット90は、車両1の内部に搭載されるものであり、各種処理を実行するCPU30と、この車載ユニット90の起動時にCPU30が行う起動処理のプログラム(BIOS)等を記憶したROM32と、CPU30が各種処理を行う際に記憶領域として用いるRAM34と、情報を記憶させるハードディスク(以下、HDD)36と、CD−ROM/RAM,DVD−ROM/RAM等の記録媒体に記録された情報を読み取る読取装置37と、検出ユニット80から送信されるデータに基づいて、車両1の周囲の状況を表す画像データを生成する描画プロセッサ39と、描画プロセッサ39により生成された画像データが記憶されるフレームメモリ38と、検出ユニット80とデータを送受信するための入出力インタフェース(以下、I/O)20と、入出力部95とデータを送受信するためのI/O22と、を備えており、それらがバス50を介して相互に接続されている。
【0039】
次に、検出ユニット80は、赤外線センサ10と、ミリ波レーダ12と、超音波センサ14と、マイクロフォン18とから構成されており、それぞれにおいて、後述する各種データが微小時間Δt毎に検出される。
【0040】
検出ユニット80において、赤外線センサ10は、対象物から放射される赤外線を検出するものである。なお、赤外線はあらゆる物体から放射される。そして、この赤外線センサ10を用いて赤外線の放射源の範囲を特定することで、対象物のおおよその外形が分かる。また、その放射されている赤外線の強弱(赤外線の強度は、対象物の温度、或いは熱伝導率等の物性値により異なる)から、その対象物のおおよその形状や素材等を推測することも可能である。そして、本実施形態においては、赤外線センサ10を構成する図示しないマイクロコンピュータにより、赤外線の強度から対象物の素材(例えば、金属であるかそうでないか)を予測する予測処理が実行される。なお、この予測処理は、赤外線センサにおいては従来より行われている処理であり、ここでは詳しい説明を省略する。そして、この予測結果を表すデータや、赤外線センサ10により検出された赤外線の放射源の範囲、及び赤外線の強度を表すデータは、車載ユニット90に送信される。
【0041】
ミリ波レーダ12は、ミリ波(周波数30〜300GHzの電波)を用いて、そのミリ波を照射する照射源(ここでは、車両1とする)と対象物との距離や、車両1と対象物との相対速度を検出するものである。すなわち、ミリ波を照射するとともに、その照射波が対象物に反射して返ってくるまでの時間から、対象物との距離を検出する。また、所定時間t毎(t<Δt)に対象物との距離を検出することで、対象物との相対速度も検出する。そして、このミリ波レーダ12により検出された対象物との距離、及び相対速度を表すデータは、車載ユニット90に送信される。
【0042】
超音波センサ14は、超音波を周囲に照射するとともに、その照射した超音波の反射波から、対象物の位置、大きさ、形状、及び体積を計測するものである。なお、本実施形態においては、超音波センサ14として、3次元計測のできるものが用いられている。つまり、対象物の形状を3次元で表すことができるようになっている。そして、この超音波センサ14により計測された対象物の位置、外形、形状、及び体積を表すデータは、車載ユニット90に送信される。
【0043】
マイクロフォン18は、車両1の周囲の音を検出する。例えば、人の話し声や動物の鳴き声、或いは他の車両の走行音等である。そして、その検出した音を表すデータは、車載ユニット90に送信される。
【0044】
そして、検出ユニット80において検出され車載ユニット90に送信された各検出データは、車載ユニット90において、I/O20を介して受信されるとともにRAM34に格納される。そしてこの時、CPU30は、描画プロセッサ39に対して、検出データに
基づいて画像データを生成するように指令する。すると、描画プロセッサ39は、RAM34から検出データを読み出して、その検出データに基づいて画像データを生成する。そして、その画像データにより表される画像は、表示ガラスパネル40に表示される。
【0045】
次に、入出力部95は、前述した表示ガラスパネル40と、音を出力するスピーカ42と、情報を入力するための操作部44と、から構成されている。
スピーカ42は、前述した検出データのうち、マイクロフォン18により検出された音を表すデータに基づいて、周囲の音をこのスピーカ42を介して出力するために設けられている。なお、車両1に通常設けられているオーディオ装置(図示せず)のスピーカを利用してもよい。
【0046】
また、操作部44は、車両1の搭乗者が操作するものであり、搭乗者は、この操作部44を操作することで、表示ガラスパネル40のモードを、前述した表示モードと通常モードとに切り換えたりすることができる。なお、この切換は、窓部毎に行うことができる。
【0047】
次に、車載ユニット90のCPU30が繰り返し実行する描画指令処理について、図3を用いて説明する。この処理は、描画プロセッサ39に画像データを生成させるために実行される処理である。
【0048】
この描画指令処理では、まずS310にて、検出ユニット80から検出データを受信したか否かを判定する。受信したと判定すると、次にS320へ移行し、その受信した検出データをRAM34に記憶させる。また、この時、検出データに含まれる音のデータに基づいて、車両1の周囲の音をスピーカ42から出力させる。なお、検出データが表す対象物から発せられる音を予測して、その予測した音がスピーカ42から発せられるようにしてもよい。例えば、他の車両が検出された場合には、その他車両から発せられると予測されるエンジン音やクラクションの音を、スピーカ42から出力させてもよい。この場合、エンジン音やクラクションの音などの音を表す音データを、予めROM32やHDD36に記憶させておき、他の車両が検出された場合に、それらの音を表す音データをROM32或いはHDD36から読み出すようにすると良い。
【0049】
そして、次にS330へ移行し、描画プロセッサ39に、画像データを生成させる指令である描画指令を送信する。そして、再びS310へ戻る。
なお、S310にて検出データを受信していないと判定した場合も、再びS310の判定処理を繰り返すことになる。
【0050】
次に、描画プロセッサ39が繰り返し実行する描画処理について、図4を用いて説明する。
この描画処理においては、まずS410にて、描画指令をCPU30より受信したか否かを判定する。前述したように、描画指令は、この描画プロセッサ39に画像データを生成させるための指令であり、図2のS330の処理にてCPU30より送信される。S410にて描画指令を受信していないと判定すると、再びS410の処理を実行することになる。
【0051】
一方、S410にて描画指令を受信したと判定すると、次にS420へ移行し、RAM34から検出データを読み込む。この検出データは、検出ユニット80から送信され、S320の処理でRAM34に記憶されるものである。
【0052】
そして、続くS430にて、S420でRAM34より読み出した検出データに基づいて、車両1の周囲の画像データを生成する。ここで、画像データを生成する方法について具体的に説明する。
【0053】
まず、前述したように、車載ユニット90には、ミリ波レーダ12から、車両1と対象物との距離(或いは対象物の位置)、及び相対速度を表す検出データが送信され、赤外線センサ10からは、対象物の外形、形状、及び素材を表す検出データが送信され、超音波センサ14からは、対象物の外形、形状、体積、及び位置を表す検出データが送信される。そして、それらの検出データはRAM34に記憶される。
【0054】
そして、描画プロセッサ39は、RAM34に記憶された前述したような検出データから、車両の周囲の画像データを生成するのであるが、その画像データを構成するデータのうち、対象物の外形及び形状を表すデータについては、赤外線センサ10及び超音波センサ14の両方から送信される検出データに基づいて生成する。すなわち、赤外線センサ10から送信される外形、或いは形状を表すデータと、超音波センサ14から送信される外形、或いは形状を表すデータとの平均をとり、その結果得られたデータを、対象物の外形、或いは形状を表すデータとする。また、対象物の位置のデータについても同様に、ミリ波レーダ12及び超音波センサ14の両方から送信される位置を表すデータの平均をとり、その結果得られたデータを、対象物の位置のデータとする。
【0055】
ところで、例えば天候の影響など、外乱によって一方のセンサ(ここでは、赤外線センサ10、超音波センサ14、或いはミリ波レーダ)の検出精度が低下してしまうような場合には、他方のセンサの検出データを採用する。なお、両方のセンサの検出精度が同時に低下する確率は小さくなっている。言い換えると、両方のセンサの検出精度が同時に低下するということは生じ難い。
【0056】
そして、少なくとも、このようにして生成された対象物の外形、形状、及び位置のデータがあれば、そのデータに基づき、車両の周囲の状況が表される。
そして特に、本実施形態においては、描画プロセッサ39は、対象物の外形、及び形状のデータに加え、対象物の素材や体積のデータに基づいて、対象物が何であるかを予測する。例えば、対象物が人であるとか、木であるとか、或いは車両であるということを予測する。本実施形態では、ROM32には、対象物として例えば木や人、或いは車両について、その外形、形状、素材、体積、色彩等を表すデータが、複数種類(或いは複数タイプ)の木、人、車両について記憶されており、描画プロセッサ39は、自身が生成した対象物のデータと、ROM32に記憶された対象物のデータとにおいて、データの要素を対応させて比較するようになっている。すなわち、外形、形状、素材、及び体積のデータについてそれぞれ、自身が生成したデータとROM32に記憶されたデータとを比較する。そして、比較した結果、生成したそれぞれのデータが、ROM32に記憶された対応するデータの何れに近いか、すなわち、生成した対象物のデータがどのようなもの(人、木、或いは車両、又はそれらのタイプ)を表しているかを結論付ける。なお、木や人、車両等の対象物を表すデータは、データベースとしてHDD36に記憶させておいてもよい。
【0057】
このようにして対象物を予測することで、色彩が施された画像を生成することができる。例えば、生成したデータにより表される対象物が木であると結論付た場合には、ROM32に記憶されている木についてのデータから色彩のデータを抽出し、その抽出した色彩のデータを生成した対象物のデータに付加することで、その対象物について、色彩を施した画像を表示させることができる。
【0058】
なお、本実施形態においては、対象物が人や車両等などの移動体の場合には、その対象物の画像について、表示ガラスパネル40にて強調表示されて運転手がより認識しやすくなる色彩を施すようになっている。強調表示されて運転手が認識しやすくなる色としては、蛍光色や原色が考えられる。
【0059】
また、本実施形態においては、検出された対象物について、ミリ波レーダ12により検出される相対速度を表すデータに基づき、その対象物の所定時間後の外形(言い換えると、大きさ)及び位置についての予測のデータを生成することもできる。そして、対象物の画像を表示ガラスパネル40に表示させる際には、その予測のデータに基づく対象物の画像を表示させるようにすることもできる。
【0060】
このように、検出ユニット80の検出データに基づき、車両1の周囲の状況について、いわゆるコンピュータグラフィック(CG)画像が生成される。
また、S430においては、前述したように画像データを生成するとともに、その画像データをフレームメモリ38に一時的に記憶させるようになっている。また、操作部44を介して車載ユニット90が所定の設定状態に設定されることにより、HDD36にも画像データが記憶される。
【0061】
HDD36に画像データを記憶させるように設定すれば、車両1の搭乗者は、そのHDD36に記憶された画像データを読み出して後から見ることもできるようになる。すなわち、例えばドライブ時の画像データを記憶させておくことにより、後からドライブ時の画像をみて楽しむことができる。また、走行経路が複雑で迷いやすいような目的地へいく時に周囲の画像を記憶しておけば、後から画像を見直して走行経路を確認することができる。そして、そのようにすれば次からはスムーズにその目的地に辿り着けるようになる。
【0062】
また、本実施形態においては、CD−ROM/RAM,DVD−ROM/RAM等の記録媒体に記録されたデータを読み取ることのできる読取装置37が設けられている。そして、この読取装置37により記録媒体に記録された画像データを読み出して、その画像データが表す画像を表示ガラスパネル40に表示できるようになっている。このため、地図データが記憶された記録媒体を利用して、表示ガラスパネル40に、周囲の画像とともに地図情報を表示できるようになる。よって、運転手にとって使い勝手がよい。また、映画やライブ映像が記録された記録媒体を利用して、その映画やライブ映像を表示ガラスパネル40に表示させることもできる。よって、搭乗者は、車両1において映画やライブ映像を楽しむことができる。
【0063】
ところで、本実施形態においては、車両1の表示ガラスパネル40について、その状態を表示モードと通常モードとに切り換え可能になっており、さらに、その切り換えのモードとしては、自動で切り換えを行う自動モードと、操作部44からの入力に基づいて切り換えを行う手動モードとがある。なお、自動モード或いは手動モードの何れにするかは、操作部44を介して予め設定することができる。
【0064】
そして、S430から続くS510では、切り換えのモードが自動モードであるか否かを判定する。自動モードであると判定すると、次にS520へ移行し、車両1は走行中であるか否かを判定する。具体的には、車両1に備えられた図示しない速度センサにより検出される検出結果に基づき、車両1の速度が0でないか否かを判定する。
【0065】
S520にて車両1が走行中であると判定すると、次にS530へ移行し、表示ガラスパネル40を表示モードに設定する。なお、本実施形態においては、車両1の全ての窓部の表示ガラスパネル40を表示モードに設定する。
【0066】
そして、続くS540にて、表示ガラスパネル40に、S430にて生成した画像データが表す画像を表示させる(図6参照)。なお、図示はしないが、車両1が後方へバックしている場合には、車両1の後方の画像が前面の表示ガラスパネル40に表示される。なお、この時、車両1の後方の画像を車両1の後方の窓部(表示ガラスパネル40)に表示させるようにしてもよいし、側面の窓部に表示させるようにしてもよい。或いは、全ての
窓部に表示させるようにしてもよい。
【0067】
一方、S520にて走行中でないと判定すると、次にS550へ移行し、表示ガラスパネル40を通常モードに設定する。そして再び、S410へ戻る。
また、S510にて、切り換えのモードが自動モードでない、つまり手動モードであると判定すると、次にS560へ移行し、操作部44の入力に基づいて、表示モードへの切り換えがあるか否かを判定する。表示モードへの切り換えがあると判定すると、次にS530へ移行して、表示ガラスパネル40を表示モードに設定する。
【0068】
一方、S560にて表示モードへの切り換えがないと判定すると、次にS570へ移行し、通常モードへの切り換えがあるか否かを判定する。
S570にて通常モードへの切り換えがあると判定すると、次にS550へ移行して、表示ガラスパネル40を通常モードに設定する。
【0069】
一方、S570にて通常モードへの切り換えがないと判定すると、次にS580へ移行し、現在のモードが表示モードであるか否かを判定する。表示モードであると判定すると、次にS540へ移行し、表示ガラスパネル40に画像を表示させる。
【0070】
一方、S580にて現在のモードが表示モードでない、つまり通常モードであると判定すると、再びS410へ戻る。
なお、この描画処理において、車両が走行中か否か(S520)、つまり車両の速度に基づいて表示ガラスパネル40のモードが設定されるようになっているが、車両の進行方向や制動状態等を加味するようにしてもよい。例えば、車両1の側面の表示ガラスパネル40については、車両1が右へ旋回中の場合に、右側面の表示ガラスパネル40が表示モードに設定され、車両1が左へ旋回中の場合には、左側面の表示ガラスパネル40が表示モードに設定されるようにしてもよい。
【0071】
また、前述したように、表示ガラスパネル40においては、その両面に画像を表示できるようになっている。そして、本実施形態においては、表示ガラスパネル40の外側の面には、例えば車両1に赤ちゃんが乗っていることを周囲に知らせるためのメッセージや、進路を譲ってもらった場合のお礼のメッセージ等が表示されるようになっている。このメッセージ等を表すデータは、ROM32に予め記憶されており、搭乗者により操作部44を介してメッセージの種類を表すメッセージ情報、及びメッセージを表示させる指令が入力されると、そのメッセージ情報に基づくメッセージが表示ガラスパネル40の外側の面に表示されるようになっている。なお、操作部44を介してメッセージの本文を入力できるようにしてもよい。
【0072】
このように他の車両の運転手等に対するメッセージを表示することで、互いにコミュニケーションが図られ、ひいては交通の円滑化も図ることができるため、事故の発生を防止できるようになる。なお、広告等を表示させるように構成することも考えられる。
【0073】
次に、図5は、CPU30において繰り返し実行される衝突軽減処理の流れを表すフローチャートである。
この衝突軽減処理においては、まずS610にて、車両1の状態が他の車両との衝突を避けられない状態であるか否かを判定する。具体的には、車両1に備えられた図示しない車載センサ(例えば速度センサ)により検出される車両1の速度、加速度や、検出ユニット80により検出される他の車両の位置、速度、或いは車両1との相対速度や、さらには、車両1の制動性能や旋回性能等の各種性能に基づき判定する。なお、車両1の性能を表す性能データは、ROM32に予め記憶されている。
【0074】
そして、S610にて衝突を避けられない状態であると判定すると、次にS620へ移行する。一方、衝突が避けられると判定すると、そのまま当該処理を終了する。
S620では、衝突が避けられない状態である他車両の他に、衝突可能な対象物が周囲にあるか否かを判定する。そして、このS620の処理においては、衝突可能な対象物として、例えばガードレール等の静止物が対象にされる。
【0075】
そして、衝突可能な静止物があると判定すると、次にS630へ移行する。一方、衝突可能な静止物がないと判定すると、そのまま当該処理を終了する。
S630では、衝突可能な静止物に衝突するように、車両1を制御する。具体的には、車両1のブレーキ及びスロットル開度(ひいては、エンジンの出力)を制御して車両1の速度を調整するとともに、舵角を制御して車両1の進行方向を調整する。そして、その静止物に車両1を衝突させるようにするのである。すなわち、この衝突軽減処理は、車両1を他の静止物に衝突させてでも、車両1と周囲の他の車両との衝突を回避させるべく実行される処理である。そして、このような処理により車両1と他の車両との衝突が回避されれば、仮に車両1が静止物と衝突したとしても、その被害は抑えられることになる。
【0076】
なお、本実施形態においては、検出ユニット80が状況検出手段に相当し、描画プロセッサ39が画像生成手段及び表示制御手段に相当し、表示ガラスパネル40が表示手段に相当し、CPU30が運転状態検出手段に相当し、スピーカ42が音出力手段に相当し、HDD36が記憶手段に相当し、読取装置37が読取手段に相当し、S610の処理が衝突判定手段に相当し、S620の処理が可能性判定手段に相当し、S630の処理が車両制御手段に相当している。
【0077】
以上説明したように、本実施形態の車載用画像表示装置5においては、検出ユニット80により車両1の周囲の状況が検出され、その検出結果に基づいて、車載ユニット90の描画プロセッサ39により車両1の周囲の画像データが生成される(図4のS430)。そして、その生成された画像データが表す画像(コンピュータグラフィック画像)は、車両1の窓部に設けられた表示ガラスパネル40に表示される(図4のS540、及び図6参照)。よって、車両1の運転手は、窓部の表示ガラスパネル40に表示される画像を見ることで、車両1の周囲の状況を容易かつ確実に把握することができるため、運転手が、天候が悪化したり自身の視力が低下したりすることにより車両1の周囲の状況を正確に把握できなくなって危険回避が遅れ、事故を起こしてしまうということを防止することができる。
【0078】
また、本実施形態においては、車両1の窓部全てが表示ガラスパネル40として構成されている。つまり、車両1の窓部全てに周囲の画像を表示させることができる。よって、運転手は周囲の状況をより正確に把握できるようになり、前述したような理由から、事故が生じることをより確実に防止することができる。
【0079】
また、本実施形態においては、表示ガラスパネル40の状態が、画像が表示可能な表示モードと、通常の窓のような状態である通常モードとに切り換えられるようになっている。そして、この切換は、車両1の運転状態により自動で行われる(自動モード)ようにすることもできるし、車両1の搭乗者の操作に基づいて行われる(手動モード)ようにすることもできる。自動モードにすれば、運転手が意図しなくても車両1の窓部に周囲の画像が表示されるようになり、運転手は周囲の状況を確実に把握できるようになる。また、手動モードにすれば、搭乗者は自由に本物の風景を楽しむことができるようになる。
【0080】
また、本実施形態においては、車両1にスピーカが設けられており、検出ユニット80のマイクロフォン18にて検出された車両1の周囲の音が、そのスピーカ42から出力されるようになっている。よって、車両1の周囲の状況がよりリアルに再現されるようにな
るため、運転手はより正確に周囲の状況を把握できるようになる。
[実施形態2]
次に、第2実施形態の車載用画像表示装置5について、図7及び図8を用いて説明する。
【0081】
本第2実施形態の車載用画像表示装置5は、第1実施形態と比較して、車両1の窓部の表示ガラスパネル40は、スクリーンとして機能するスクリーン表示モードと、通常の窓のような通常モードとに切り換え可能に構成されている。このスクリーン表示モードにおいては、車両1の内部及び外部からの光を遮断させるようになっている。すなわち、表示ガラスパネル40が曇ったような状態となり、スクリーンとして機能するようになるのである。そして、スクリーン表示モード状態である表示ガラスパネル40には、プロジェクタ45(図7参照)により画像が投影されるようになっている。
【0082】
そして特に、本第2実施形態においては、スクリーン表示モードの表示ガラスパネル40の他、車両1のAピラー2の内側(図1及び図2参照)もスクリーンに見立てて画像を表示させる。このように、車両1の窓部及びAピラー2に周囲の画像を表示させると、あたかも車両1内部からの死角がなくなったかのようにできる(図8参照)。よって、運転手はより正確に車両1の周囲の状況を把握できるようになるため、事故の発生をより確実に防止できる。
【0083】
なお、本第2実施形態においては、プロジェクタ45及び表示ガラスパネル40が表示手段に相当している。
ところで、Aピラーだけでなく、Bピラー及びCピラー、つまり、車両1内部の全ての柱に、画像が投影されるようにしてもよい。また、第1実施形態において、各ピラー部分に液晶ディスプレイ等の表示パネルを設けるようにすれば、同様の効果が得られる。
[実施形態3]
次に、第3実施形態の車載用画像表示装置5について、図9を用いて説明する。
【0084】
本第3実施形態の車載用画像表示装置5は、第1実施形態と比較して、検出ユニット80のかわりにCCDカメラ16が使用されている点が異なっている。また、車載ユニット90において、I/O20の代わりにCCDカメラ16とデータをやり取りするためのCCDインタフェース(以下、CCDI/F)24が設けられている。
【0085】
そして、CCDカメラ16により撮像された画像を表す撮像データ(言い換えると、検出データ)は車載ユニット90に送信され、車載ユニット90のRAM34に記憶される。また、描画プロセッサ39は、図4のS430の処理において、RAM34に記憶された撮像データ(検出データ)に色彩のデータを付加して、コンピュータグラフィック画像を生成する。なお、CCDカメラ16により撮像された画像が、直接表示ガラスパネル40に表示されるようにしてもよい。
【0086】
本第3実施形態の車載用画像表示装置5によれば、CCDカメラ16により実際の周囲の状況が撮像されるため、周囲の状況を表すコンピュータグラフィック画像を生成することが容易となる。また、周囲の状況について、より正確にコンピュータグラフィック画像を生成できるため、その画像に基づいて、運転手はより正確に周囲の状況を把握できるようになる。したがって、事故の発生をより確実に防止できるようになる。
【0087】
なお、本第3実施形態においては、CCDカメラ16が状況検出手段に相当している。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術範囲内において種々の形態を採ることができる。
【0088】
例えば、本発明の車載用画像表示装置は、図1に示すような車両(自家用車等)に限らず、バスやタクシー、或いは鉄道車両に用いることもできる。
また、さらに、周囲の状況が音声で運転手に伝えられるようにしてもよい。この場合には、例えば、対象物が存在する場合にその対象物が何であるかという情報や、対象物の大きさ、距離等の情報、或いは対象物との衝突の危険性に関する情報を、音声にて運転手に伝えるように構成することが考えられる。
【0089】
また、第1実施形態或いは第2実施形態において、検出ユニット80にCCDカメラを組み込むようにしてもよい。そして、この場合には、例えば昼の明るい時間帯には、CCDカメラの撮像データを利用してコンピュータグラフィック画像を生成するようにし、夜の暗い時間帯や天候が悪い時などには、CCDカメラ以外のセンサの検出データを利用するようにするとよい。
【符号の説明】
【0090】
1…車両、2…フレーム部、5…車載用画像表示装置、10…赤外線センサ、12…ミリ波レーダ、14…超音波センサ、16…CCDカメラ、18…マイクロフォン、20,22…I/O、24…CCDI/F、30…CPU、32…ROM、34…RAM、36…HDD、37…読取装置、38…フレームメモリ、39…描画プロセッサ、40…表示ガラスパネル、42…スピーカ、44…操作部、45…プロジェクタ、50…バス、80…検出ユニット、90…車載ユニット、95…入出力部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に用いられる車載用画像表示装置であって、
車両の周囲の状況を検出する状況検出手段と、
車両の少なくとも前方の窓部に設けられ、その窓部に情報を表示可能な表示手段と、
前記状況検出手段の検出結果に基づき、車両の周囲の画像を前記表示手段に表示するための画像データを生成する画像生成手段と、
前記画像生成手段が生成した画像データが表す画像を、前記表示手段に表示させる画像生成手段と、
前記状況検出手段の検出結果に基づき、車両が他の車両との衝突を回避不能か否かを判定する衝突判定手段と、
前記衝突判定手段により、前記他の車両との衝突が回避不能と判定された場合に、前記状況検出手段の検出結果に基づき、衝突の回避が不能な他の車両に衝突するよりも先に衝突することが可能な静止物が有るか否かを判定する可能性判定手段と、
前記可能性判定手段により衝突可能な静止物が有ると判定されると、その静止物に衝突するように車両を制御する車両制御手段と、
を備えていることを特徴とする車載用画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−144252(P2012−144252A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−32926(P2012−32926)
【出願日】平成24年2月17日(2012.2.17)
【分割の表示】特願2011−176868(P2011−176868)の分割
【原出願日】平成17年8月19日(2005.8.19)
【出願人】(399031827)エイディシーテクノロジー株式会社 (163)
【Fターム(参考)】