説明

車載用表示システム

【課題】車内に設置されて開位置と閉位置との間を移動可能な表示手段(モニタ)を、車両のドア開閉に応じて、移動させることで、搭乗者の乗り降りの妨げにならないような場合における不必要な表示手段の開閉を防ぐことができる車載用表示システムを提供する。
【解決手段】車両の車内に設置された表示手段16を有する車載用表示システム1において、前記車載用表示システム1は、前記車両のドア毎の開閉を検出するドア開閉検出手段13と、前記表示手段16を閉位置と開位置との間で移動させる開閉手段17と、制御手段10と、を備え、前記制御手段10は、前記ドア開閉検出手段13によりドアが開いたと検出された場合に、前記表示手段16が開位置である場合、該開いたドアに応じて、前記開閉手段17を介して前記表示手段16を閉位置に移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用表示システムに関し、特に、車内に設置された表示装置の開閉を制御する車載用表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から車内で映画やテレビ放送などを視聴するために、LCD等の表示装置を備えた車載用電子機器、例えば、テレビチューナやDVDビデオ再生装置を備えたナビゲーション装置などを車両に搭載することで映画などを視聴可能としていた。
【0003】
また、車両の前部座席(運転席、助手席)への搭乗者のみならず、車両の後部座席への搭乗者が映画やテレビ放送を視聴するために、ダッシュボード近辺に設置される表示装置とは別に、例えば、車内の天井の中心付近に表示装置(リアモニタ)を設けることで、後部座席の搭乗者も映画やテレビ放送などの映像情報を視認することを可能としている。
【0004】
しかしながら、車内の天井などに表示装置を設置した場合、搭乗者が車両へ乗り降りのする際に邪魔になってしまう、或いは、車両を後退させる場合、運転手が後方を確認する際に視界の妨げになってしまうという問題があった。
【0005】
このような、課題を解決するために、例えば、下記の特許文献1(特開2004−90722号公報)には、フロントシート背もたれ付近の天井に吊り下げられ、開閉アクチュエータによって開閉可能に配置されたリアモニタを備えた車載モニタシステムにおいて、トランスミッションのギア状態がバックギアのシフトであった場合、リアモニタへの映像出力を停止し、開閉アクチュエータを制御してリアモニタを閉じることで、車両を後退させる際における後方視界を良好に確保することが開示されている。
【0006】
また、下記の特許文献2(特開2002−293194号公報)には、車内の天井に取り付けられ、開位置と閉位置との間を変位可能に構成されている表示パネルを備えた車載用表示装置において、車両のエンジンキーが抜かれた場合に、表示パネルを閉位置に回動させると共にバックライトなどの表示用電源を切ることで、後部座席への乗り降りの妨げにならず、閉位置へ手動で収容する手間が省ける車載用表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−90722号公報(段落[0020]〜[0021])
【特許文献2】特開2002−293194号公報(段落[0023]〜[0025])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献2に開示された車載用表示装置では、後部座席への乗り降りの妨げにならないようにするために、キーが抜かれた場合、常に表示パネルを閉位置に回動させているが、後部座席から人が降りようとしている、或いは、後部座席へ人が乗ろうとしているか否かに係らず、キーが抜かれると表示パネルを閉じてしまうため、不必要な開閉(回動)が行なわれてしまうという課題が残存している。
【0009】
そして、この不必要な開閉により、車両に搭載されたバッテリの無駄な消費、或いは、開閉を行なうためのモータや軸部などの部材の磨耗が生じ得る。
【0010】
なお、上記特許文献1に開示された車載モニタシステムにおいても、車両を後退させる際における後方視界を良好に確保することを目的としてリアモニタを閉じることは記載されているが、車両の乗り降りの妨げにならないようにリアモニタを閉じることについては記載されていない。
【0011】
そこで、本願発明は、上記の課題を解消するため、車内に設置されて開位置と閉位置との間を移動可能な表示手段(モニタ)を、車両に設けられたドアのうち特定のドアの開閉に応じて移動させることで、搭乗者の乗り降りが行われない場合における不必要な表示手段の移動を防ぐことができる車載用表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、車両の車内に設置された表示手段を有する車載用表示システムにおいて、前記車載用表示システムは、前記車両のドア毎の開閉を検出するドア開閉検出手段と、前記表示手段を閉位置と開位置との間で移動させる開閉手段と、制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記ドア開閉検出手段によりドアが開いたと検出された場合に、前記表示手段が開位置である場合、該開いたドアに応じて、前記開閉手段を介して前記表示手段を閉位置に移動させることを特徴とする。
【0013】
本願の請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の車載用表示システムにおいて、前記制御手段は、前記表示手段が設置された位置を取得し、該取得した前記表示手段が設置された位置及び前記開いたドアに基づき、前記開閉手段を介して前記表示手段を閉位置に移動させることを特徴とする。
【0014】
本願の請求項3にかかる発明は、請求項2に記載の車載用表示システムにおいて、前記制御手段は、前記表示手段が設置された位置が後部座席への乗り降りの妨げになる位置であり、前記開いたドアが後部ドアである場合に、前記開閉手段を介して前記表示手段を閉位置に移動させることを特徴とする。
【0015】
本願の請求項4にかかる発明は、請求項2に記載の車載用表示システムにおいて、前記制御手段は、前記表示手段が設置された位置が前部座席への乗り降りの妨げになる位置であり、前記開いたドアが前部ドアである場合に、前記開閉手段を介して前記表示手段を閉位置に移動させることを特徴とする。
【0016】
本願の請求項5にかかる発明は、請求項1〜4の何れかに記載の車載用表示システムにおいて、前記開位置とは、前記表示手段の表示画面が視認できる位置であり、前記閉位置とは、前記表示手段の表示画面が視認できない位置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本願発明では、表示手段が開位置である場合に、表示手段が搭乗者の乗り降りの妨げになる座席に対応したドア(妨げになる座席が後部座席なら後部ドア、妨げになる座席が前部座席なら前部ドア)が開かれたか否かを判別するため、例えば、表示手段が後部座席への乗り降りの邪魔になる位置に設置された場合に、運転席、又は、助手席のドア(前部ドア)が開かれても、表示手段を開位置から閉位置に移動させないため、表示手段の無駄な移動を防止することができる。
【0018】
また、表示手段が前部座席への乗り降りの邪魔になる位置に設置された場合では、後部座席のドアが開かれても、表示手段を開位置から閉位置に移動させないため、例えば、子供の送り迎えなど前部座席のドアを開けずに、後部座席のドアのみを開く場合において、表示手段を開位置から閉位置に移動させないので、表示手段の無駄な移動を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例にかかる車載用表示システム1の要部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例にかかる第2表示手段16の外観図である。
【図3】本発明の実施例にかかる車載用表示システム1の制御手段10が行なう制御動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施例にかかる車載用表示システム1を搭載した車両40の模式図である。
【図5】本発明の他の実施形態にかかる車載用表示システム1の制御手段10が行なう制御動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための車載用表示システムを例示するものであって、本発明をこの車載用表示システムに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の車載用表示システムにも等しく適応し得るものである。
【実施例】
【0021】
図1は、本発明の実施例にかかる車載用表示システム1の要部構成を示すブロック図である。
【0022】
車載用表示システム1は、制御手段10、受信手段11、ビデオ再生手段12、ドア開閉検出手段13、入力手段14、第1表示手段15、第2表示手段16、開閉手段17、音声出力手段18などを備えて構成される。
【0023】
制御手段10は、図示しないCPUやROM、RAMからなるプロセッサで構成され、ROM、RAMに記録された制御プログラムに従って車載用表示システム1の各部の動作を制御するものである。
【0024】
受信手段11は、例えば、アンテナやテレビチューナなどで構成され、放送局から放送されるテレビ放送などの放送波を受信するためのものである。
【0025】
ビデオ再生手段12は、例えば、DVD再生装置などで構成され、DVDなどの記憶媒体に記憶された映像情報や音声情報などを再生するためのものである。
【0026】
ドア開閉検出手段13は、車両のドアの開閉を検出するためのカーテシスイッチなど種々のスイッチ又はセンサなどで構成される。また、このカーテシスイッチなどは車両のドア毎に配置され、各ドアの開閉を検出することができる。
【0027】
入力手段14は、車両のドライバ等によって操作される各種キー、スイッチ等から構成されるものであり、例えば、後述する第1表示手段、或いは、第2表示手段に表示する映像情報などを選択するためのものである。また、入力手段14を介して所定の操作を行うことで、後述する第2表示手段16を開位置又は閉位置に移動させる指示を入力することができる。
【0028】
第1表示手段15は、受信手段11が受信したテレビ放送やビデオ再生手段12により再生された映像情報などを表示するためのものであり、液晶ディスプレイなどで構成される。なお、第1表示手段15は、車両の運転席又は助手席への搭乗者が視認できるように車両のダッシュボード付近に設置される。また、この第1表示手段15は、タッチセンサを備えた入力手段14として機能させてもよい。この場合、第1表示手段15の表示画面上に表示されたアイコンをユーザが触れることで入力が行われる。
【0029】
第2表示手段16は、受信手段11が受信したテレビ放送やビデオ再生手段12により再生された映像情報などを表示するためのものであり、液晶ディスプレイなどで構成される。なお、第2表示手段16は、車両の後部座席への搭乗者が視認できるように、例えば、車内の中心付近の天井に設置される。
【0030】
図2は、第2表示手段16が車内に取り付けられた際の外観図の一例を示す。
【0031】
第2表示手段16は、車両取付部20と連結しており、この車両取付部20は、車内の天井などに取り付けられて固定される。また、車両取付部20は、第2表示手段16が収まる程度の収納部21を備えている。そして、第2表示手段16は、後述する開閉手段17により、図示しない軸部を用いて開位置と閉位置との間で移動可能となっている。
【0032】
ここで、開位置と閉位置の説明を行う。開位置とは、図2で示されるように車両取付部20に対して垂直になるような位置であり、すなわち、第2表示手段16の表示画面が視認できる位置である。また、閉位置とは、第2表示手段16が車両取付部20の収納部21に嵌った位置(第2表示手段16の表示画面が視認できない位置)である。
【0033】
開閉手段17は、例えば、モータなどで構成され、制御手段10の指示に基づき第2表示手段16を閉位置と開位置との間で移動させる。
【0034】
ここで、移動とは、図2で示す第2表示手段16を図示しない軸部を用いて回動させる場合、および、第2表示手段16を閉位置と開位置との間でスライドさせて移動させる場合(図示せず)も含む、すなわち、第2表示手段16の表示画面が視認できる位置(開位置)と、第2表示手段16が収納部21に嵌った位置(閉位置)との間を変位する種々の動作を示す。
【0035】
音声出力手段18は、スピーカー等で構成され、テレビ放送に含まれる音声情報や操作音、その他車載用表示システム1に関する種々の音声報知を行う。
【0036】
次に、図3に示すフローチャート及び図4に示す模式図を用いて、本発明の制御手段10が行なう制御動作について説明を行う。
【0037】
始めに、図4に示す模式図の説明を行う。図4は、本実施例における車載用表示システム1を搭載した車両40の模式図を示しており、図4に示す車両40には、ドア41〜44、前部座席(運転席45、助手席46)、後部座席47、48及び第2表示手段161、162が配置されている。ここで、点線で示される第2表示手段161、162は、車内のいずれか(図4では、車両の中心付近161、又は、車両の前方中心付近162)に配置されている。このドア41〜44の付近には、夫々にスイッチ或いはセンサなどが設けられ、搭乗者によるドアの開閉が検出される。
【0038】
なお、図4では、車両のドアを4つあるものとして記載したがこれに限ることはなく、ドアは4つ以下或いは4つ以上であってもよい。
【0039】
また、以下の説明では、車両の中心付近の天井に第2表示手段16(図4における第2表示手段161)が設置され、且つ、第2表示手段16が開位置である場合は、後部座席への乗り降りの妨げになり、車両の前方中心付近の天井に第2表示手段16(図4における第2表示手段162)が設置され、且つ、第2表示手段16が開位置である場合は、前部座席への乗り降りの妨げになるものとして説明を行う。
【0040】
次に、図3を用いて本発明の制御手段10が行なう制御動作について説明を行う。
【0041】
図3に示すフローチャートでは、第2表示手段16は、車両の天井の中心付近に設置されているものとする(図4における第2表示手段161)。
【0042】
まず、ドア開閉検出手段13の出力に基づき、車両のドア(ドア41〜44)が開いたか否かを判別する(ステップS300)。ステップS300において、ドアが開いたと判別した場合(ステップS300のYES)、開いたドアは後部座席のドア(ドア43、又は、44)か否かを判別する(ステップS302)。なお、制御手段10が判別するのではなく、ドア開閉検出手段13が何れのドアが開いたかを検出して制御手段10に出力してもよい。
【0043】
ステップS302において、後部座席のドアが開いたと判別すると(ステップS302のYES)、ステップS304へ進み、ステップS302において、後部座席のドアが開いていないと判別すると(ステップS302のNO)、ステップS300へ戻る。
【0044】
次に、ステップS304において、第2表示手段16が開位置であるか否かを判別する(ステップS304)。ここで、第2表示手段が開位置であるか否かの判別は、例えば、制御手段10が最後に開閉手段17に指示した動作を記憶しておくことで判別可能であり、また、第2表示手段16又は車両取付部20などにスイッチ或いはセンサなどを設け、それらのスイッチ又はセンサの出力に基づき判別することも可能である。
【0045】
ステップS304において、第2表示手段16が開位置である場合(ステップS304のYES)、制御手段10は、第2表示手段16への映像情報の出力を停止し、第2表示手段16のバックライト等の電源を切ると共に、開閉手段17に閉位置への移動を指示する。そして、指示を受けた開閉手段17は、第2表示手段16を閉位置まで移動させる(ステップS306)。
【0046】
なお、ステップS304において、第2表示手段16が開位置でない場合(ステップS304のNO)、第2表示手段16は、既に閉位置(閉じている状態)であるため、処理を終了する。
【0047】
以上説明した通り、ドア41〜44の何れかが開いたとき、開いたドアが後部座席のドア43,44であるときのみ、第2表示手段16を閉位置まで移動させるため、後部座席への乗り降りの妨げにならないような場合、すなわち、後部座席への乗り降りがない場合には、第2表示手段16を閉位置まで移動させないので、無駄な移動を防ぐことができる。
【0048】
次に、本発明の他の実施形態を図4および図5のフローチャートを用いて説明する。
【0049】
上記実施形態では、第2表示手段16が車両の中心付近に設置されているものとしたが(第2表示手段161)、本実施形態では、第2表示手段16が車両の前方中心付近(第2表示手段162)など車両の中心付近以外に設置される場合も考慮して説明を行う。
【0050】
図5のフローチャートは本発明の他の実施形態における制御手段10が行なう制御動作を示している。
【0051】
まず、ドア開閉検出手段13の出力に基づき、車両のドア(ドア41〜44)が開いたか否かを判別する(ステップS500)。ステップS500において、ドアが開いたと判別した場合(ステップS500のYES)、第2表示手段16の設置位置(第2表示手段161、162)を認識する(ステップS502)。
【0052】
ここで、第2表示手段16の設置位置の認識とは、第2表示手段16を設置した際などに、入力手段14を介して設置位置(例えば、車両の中心に対して前方、後方、左右など)を予め入力しておき、入力された設置位置を制御手段10が備えたRAM又は図示しない記憶手段などに記憶しておく。そして、記憶しておいた設置位置を読み出すことで、第2表示手段16の設置位置を認識する。なお、記憶手段から取得する以外にも車両に設けられたセンサーなどによって第2表示手段16の設置位置が検出可能な場合、当該センサーから設置位置を取得してもよい。
【0053】
続いて、ステップS502において、認識した第2表示手段16の設置位置は、車両の後部であるか否かを判定し(ステップS504)、第2表示手段16の設置位置が車両の後部であれば(ステップS504のYES)、ステップS506へ進み、第2表示手段16の設置位置が車両の後部でなければ(ステップS504のNO)、ステップS508へ進む。
【0054】
なお、第2表示手段16の設置位置が車両の後部か否かの判別は、車両の中心に対して前方か後方かを判別するのではなく、車両の後部座席への搭乗者が乗り降りするのに邪魔になる位置か否かを判別することが好ましい。すなわち、図4に示すように後部座席への搭乗者が乗り降りする際に邪魔になる車両の中心付近に第2表示手段16が設置された場合(図4の第2表示手段161)は、第2表示手段16の設置位置は車両の後部と判別することが好ましい。また、図4に示すように前部座席への搭乗者が乗り降りする際に邪魔になる車両の前方の中心付近に第2表示手段16が設置された場合(図4の第2表示手段162)は、第2表示手段16の設置位置は車両の前部(車両の後部でない)と判別することが好ましい。
【0055】
また、上述の設置位置の入力の代わりに、第2表示手段16を設置して、且つ、第2表示手段16が開位置であることにより、乗り降りの際の邪魔になると思われる座席45〜48、或いは、当該乗り降りを行なうドア41〜44を入力してもよく、この場合は、指定された座席が後部座席47、48、或いは指定されたドアが後部ドア43,44の場合に、第2表示手段16の設置位置は車両の後部と判別することが好ましい。
【0056】
次に、ステップS506において、ステップS500で開いたと判別したドアは後部座席のドア43、44か否かを判別し、開いたドアが後部座席のドア43、44であった場合(ステップS506のYES)、ステップS510へ進み、同様に、ステップ508において、ステップS500で開いたと判別したドアは前部座席のドア41、42か否かを判別し、開いたドアが前部座席のドア41、42であった場合は(ステップS508のYES)、ステップS510へ進む。
【0057】
なお、ステップS506において、開いたドアが後部座席のドアでない場合(ステップS506のNO)、ステップS508において、開いたドアが前部座席のドアでない場合は(ステップS508のNO)、ステップS500へ戻る。
【0058】
つまり、ステップS506及びステップS508では、第2表示手段16が開位置である場合に、第2表示手段16が搭乗者の乗り降りの妨げになる座席に対応したドア(妨げになる座席が後部座席なら後部ドア、妨げになる座席が前部座席なら前部ドア)が開かれた否かを判別するため、例えば、第2表示手段16が後部座席からの乗り降りの邪魔になる位置に設置された場合に、運転席、又は、助手席のドア(前部ドア)が開かれた場合では、第2表示手段16を開位置から閉位置に移動させないため、第2表示手段16の無駄な移動を防止できる。
【0059】
次に、ステップS510において、第2表示手段16が開位置であるか否かを判別する(ステップS510)。
【0060】
ステップS510において、第2表示手段16が開位置である場合(ステップS510のYES)、制御手段10は、第2表示手段16への映像情報の出力を停止し、第2表示手段16のバックライト等の電源を切ると共に、開閉手段17に閉位置への移動を指示する。そして、指示を受けた開閉手段17は、第2表示手段16を閉位置まで移動させる(ステップS512)。
【0061】
なお、ステップS510において、第2表示手段16が開位置でない場合(ステップS510のNO)、第2表示手段16は、既に閉位置(閉じている状態)であるため、処理を終了する。
【0062】
以上説明したとおり、本実施形態では、第2表示手段16が開位置である場合に、第2表示手段16が搭乗者の乗り降りの妨げになる座席に対応したドア(妨げになる座席が後部座席なら後部ドア)が開かれた否かを判別するため、例えば、第2表示手段16が後部座席からの乗り降りの邪魔になる位置に設置された場合に、運転席、又は、助手席のドア(前部ドア)が開かれても、第2表示手段16を開位置から閉位置に移動させないため、第2表示手段16の無駄な移動を防止することができる。
【0063】
また、第2表示手段16が前部座席からの乗り降りの邪魔になる位置に設置された場合では、後部座席のドアが開かれても、第2表示手段16を開位置から閉位置に移動させないため、例えば、子供の送り迎えなど前部座席のドアを開けずに、後部座席のドアのみを開く場合、第2表示手段16を開位置から閉位置に移動させないので、第2表示手段16の無駄な移動を防止することができる。
【0064】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではない。例えば、上記実施例において、第2表示手段16の設置位置が後部であるか否か(後部座席への乗り降りに邪魔になる設置位置か、或いは前部座席への乗り降りに邪魔になる設置位置か)を判別したが、前後に限らず、左右の設置位置を判断材料としてもよい。
【0065】
すなわち、第2表示手段16の設置位置が運転席の頭上付近の車両の後方よりである場合、運転席の後部のドア(図4におけるドア43)から乗り降りする場合は、乗り降りの妨げとなるが、後部座席であってもドア44(図4参照)から乗り降りする場合は、乗り降りの妨げにならないため、左右を含む設置位置、或いは、妨げとなる座席、ドアが個別(座席毎、ドア毎)に入力された場合、乗り降りの妨げとなるドア(上述の例では、図4におけるドア43)が開いたときのみ、第2表示手段16を閉位置に移動させることが好ましい。
【0066】
また、車載用表示システム1が車両のバッテリから電力供給を受けている場合、車両のエンジンが停止するとともに車載用表示システム1の電源がOFFされる構成としてもよいが、所定の手段(ドア開閉検出手段13、制御手段10、開閉手段17など)には、電力を供給することが望ましい。これにより、例えば、第2表示手段16が後部座席からの乗り降りの邪魔になる位置に設置された場合に、運転手が車両から降りるときは、第2表示手段16は閉位置に移動しないが、次に、車両に乗る際に、後部座席にも搭乗者がある場合、第2表示手段16は開位置のままであり、後部座席への搭乗者の乗り降りの妨げになってしまう。
【0067】
そこで、所定の手段(ドア開閉検出手段13、制御手段10、開閉手段17など)には、電力を供給することで、車両に乗り込む際(後部座席のドアが開いた際)に、第2表示手段16が開位置であったときも、閉位置に移動させることができるので、搭乗者の乗り降りの妨げになってしまうことを防ぐことができる。
【0068】
なお、所定の手段への電力供給は、車載用表示システム1自体が内蔵電池などを備えることで実現されてもよい。
【0069】
さらに、第1表示手段15、又は、第2表示手段16に表示する映像情報は、上記の実施例に限らず、例えば、車載用表示システム1がGPS受信機などで構成される現在位置検出手段、及び、地図情報を記憶する地図記憶手段などを備えた場合であれば、現在位置に基づいた地図を第1表示手段15及び/又は第2表示手段16に表示してもよい。
【0070】
また、上記実施例では、第2表示手段16のみ開位置と閉位置との間を移動可能としたが、これに限らず、第1表示手段15も開位置と閉位置との間を移動可能として構成してもよい。すなわち、第1表示手段15を開閉するためのモータなどを備えた図示しない開閉手段を新たに備えた構成としてもよく、上記実施例と同様に、乗り降りの妨げになる座席に対応したドアが開かれた場合に、閉位置に移動させる。
【0071】
つまり、例えば、第1表示手段15が車両の前方(前部座席への乗り降りを妨げる位置)に設置され、第2表示手段16が車両の中心付近(後部座席への乗り降りを妨げる位置)に設置された場合に、前部ドア(例えば図4のドア42)が開かれると、第1表示手段15のみ閉位置に移動させる。同様に、後部ドア(例えば図4のドア44)が開かれると、第2表示手段16のみ閉位置に移動させるため、無駄な移動を防ぐことができる。
【0072】
なお、この移動可能な第1表示手段15は、例えば、車載用ナビゲーション装置などの前面パネルなどが考えられる。
【0073】
また、上記実施例では、第2表示手段16は、車両取付部20を介して車内の天井に取り付けられる例を示したが、これに限ることはなく、車内の側面や前部座席の背面などに取り付けられてもよい。
【0074】
最後に、本発明の車載用表示システム1の具体的な装置として、受信手段11又はビデオ再生手段12、制御手段10、入力手段14、第1表示手段15、及び音声出力手段18を備えたナビゲーション装置と、第2表示手段16及び開閉手段17を備えた表示装置(リアモニタ装置)とが電気的に接続されて構成されること考えられる。この場合、車両に設けられたドア開閉検出手段13(カーテシスイッチなど)の出力がナビゲーション装置に入力されるように構成される。
【符号の説明】
【0075】
1 ・・・車載用表示システム
10・・・制御手段
11・・・受信手段
12・・・ビデオ再生手段
13・・・ドア開閉検出手段
14・・・入力手段
15・・・第1表示手段
16・・・第2表示手段
17・・・開閉手段
18・・・音声出力手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車内に設置された表示手段を有する車載用表示システムにおいて、
前記車載用表示システムは、前記車両のドア毎の開閉を検出するドア開閉検出手段と、前記表示手段を閉位置と開位置との間で移動させる開閉手段と、制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記ドア開閉検出手段によりドアが開いたと検出された場合に、前記表示手段が開位置である場合、該開いたドアに応じて、前記開閉手段を介して前記表示手段を閉位置に移動させることを特徴とする車載用表示システム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記表示手段が設置された位置を取得し、該取得した前記表示手段が設置された位置及び前記開いたドアに基づき、前記開閉手段を介して前記表示手段を閉位置に移動させることを特徴とする請求項1に記載の車載用表示システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記表示手段が設置された位置が後部座席への乗り降りの妨げになる位置であり、前記開いたドアが後部ドアである場合に、前記開閉手段を介して前記表示手段を閉位置に移動させることを特徴とする請求項2に記載の車載用表示システム。
【請求項4】
前記制御手段は、前記表示手段が設置された位置が前部座席への乗り降りの妨げになる位置であり、前記開いたドアが前部ドアである場合に、前記開閉手段を介して前記表示手段を閉位置に移動させることを特徴とする請求項2に記載の車載用表示システム。
【請求項5】
前記開位置とは、前記表示手段の表示画面が視認できる位置であり、前記閉位置とは、前記表示手段の表示画面が視認できない位置であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の車載用表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−230684(P2011−230684A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−103780(P2010−103780)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】