説明

車載用表示装置

【課題】 自動車搭載用の表示装置において、簡易な構成にて表示面への太陽光の映りこみ及び反射を軽減する表示装置の実現を図る。
【解決手段】 車載用表示装置は、現在日時取得部1から現在の月日及び時刻を取得し、現在位置取得部2から現在の車両の位置を取得する。制御部3は、操作者による操作部3への入力を受け、角度調整部8を駆動し表示部9の角度を変更する。乗車後に設定された表示部9の初期設定角度は、操作者の操作部3への操作により、眩しさを回避する変更時設定角度に変更されるが、その後制御部7は、角度制御テーブル4を参照して得られる変更時刻になると、表示部9の設置角度を変更時設定角度から初期設定角度に自動的に戻す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用表示装置に関し、特に、表示面への太陽光の映り込み、反射光を低減する表示装置を提供する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術としては、車載用表示装置において、季節、時刻に基づく太陽光の方位、角度を算出し、また自車の進行方向を検出することで、表示面への太陽光の入力角を算出して、表示手段の表示が常に最良の状態になるように制御する技術がある。一例を図9に示す。具体的には、太陽光方向検知回路201により太陽光の方位、高度を算出し、また方位センサ202により車両の進行方向を検出して、表示部207への太陽光の入力角を算出し、算出結果に応じて制御部203がバックライト駆動部204、色調調整部205および角度調整部206を制御する。(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−265271号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記技術では、季節、時刻に応じて太陽光の入射角度を算出するため、算出する度に計算量が発生し装置に負担をかける。また、太陽光の方位、高度と車両の進行方向に応じて、ディスプレイの角度調整だけでなく、バックライト輝度調整や色調調整を行うため制御内容および構成が複雑であり、かつ動作が煩雑になることがある。
【0004】
本発明は、あらかじめ格納された時刻情報、位置情報などを含むデータに基づき表示部の角度を自動調整する簡便な方法で、かつ動作が煩雑とならない車載用表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の車載用表示装置は、映像を表示する表示部と、前記表示部の設置角度を調整する角度調整部と、前記表示部の設置角度を設定するため前記角度調整部を制御する制御部と、操作者が、前記表示部の設置角度を第1の設定角度及び該第1の設定角度と所定角度量異なる第2の設定角度に設定する操作を入力する操作部と、を備え、前記制御部は、操作者が前記操作部より前記表示部の設置角度を前記第2の設定角度に設定する操作を入力した後所定条件の成立時に、前記表示部の設置角度を前記第2の設定角度から第1の設定角度に変更するよう前記角度調整部を制御する。
【0006】
上述の構成では、操作者が、眩しさを避けるため等の理由で表示部を第2の設定角度に設定した後、予め定められた所定条件が成立すると、表示部の設置角度が第1の設定角度に自動的に変更される。したがって、簡易な機構で良好な視認状態が、ほとんどの場合において得られることとなる。
【0007】
前記制御部は、前記所定条件の成立後、当該所定条件が不成立となった時、前記表示部の設置角度を前記第1の設定角度から前記第2の設定角度に変更してもよい。
【0008】
また、前記所定条件の成立時は、所定の時間帯又は太陽の仰角が所定の範囲外にある時間帯である。これにより簡易に所定条件を決めることができる。
【0009】
さらに、表示装置には、現在の月日及び時刻を取得する現在日時取得部と、現在の車両の位置を取得する現在位置取得部と、月日を含む所定の期間と車両の位置を対応させたマトリックス中に、前記所定条件の成立を示すとともに前記表示部の設置角度を変更する変更時刻を既述した角度制御テーブルとを設けることができる。この場合、前記制御部は、前記現在日時取得部から取得した現在の月日及び時刻並びに前記現在位置取得部から取得した現在の車両の位置と、前記角度制御テーブル中の前記変更時刻を比較して、前記角度量により前記表示部の設置角度を変更するか否か判断する。
【0010】
上述のテーブルは計算により予め求めることができる。このようなテーブルを予め用意しておくことにより、複雑な計算を行なう必要がなくなり、装置の構成を簡易なものとすることができる。
【0011】
前記変更時刻は角度制御テーブルは、前記対応付けられた期間と位置における太陽の位置の仰角に基づき、前記変更時刻を決定する。この変更時刻は、午前の変更時刻と午後の変更時刻を含むことができる。また、装置が搭載される車両の種類に対応した複数の角度制御テーブルを設けてもよい。
【0012】
前記第1の設定角度は、一般的には車載用表示装置の駆動後、操作者によって最初に設定された初期設定角度である。また、前記第2の設定角度は、前記初期設定角度の設定の後、操作者によって設定された変更時設定角度である。また、前記角度調整部は前記表示部の垂直方向の設置角度を調整するのが一般的である。
【発明の効果】
【0013】
以上の説明から明らかなように、本発明の車載用表示装置においては、表示部に太陽の直射光が入射する時間帯において、表示部の設置角度が自動調整される。複雑な太陽光方位、高度の計算を必要としないため、装置への負担を軽減でき、比較的簡単かつ動作が煩雑とならない装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態に係る車載用表示装置について、図面を用いて詳細に説明する。
【0015】
本発明の実施の形態における車載用表示装置について説明する。図1は、本発明の実施の形態における車載用表示装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態における車載用表示装置は、現在日時取得部1と、現在位置取得部2と、操作部3と、角度制御テーブル4と、車種情報取得部6と、制御部7と、角度調整部8と、表示部9とを備える。車載用表示装置は車両内に設けられ、地図情報を表示するカーナビゲーション装置や、映画等の映像を表示するエンターテイメント装置等として利用される。
【0016】
現在日時取得部1は、現在の月日および時刻を取得する。現在日時取得部1は、車載用表示装置のシステムクロックである車両内に設けられた時計より構成される。また、GPS衛星からの情報、電波時計や、VICS情報等の如き外部からの情報を無線通信を介して月日および時刻を取得する無線通信部から構成してもよい。
【0017】
現在位置取得部2は、車両の現在位置を取得するもので、例えばGPS装置より構成され、GPS衛星からの情報に基づき経度情報、緯度情報を出力する。検出精度を向上させるための各種センサとして、車両の方位を検出する地磁気センや角速度センサ、ステアリングの回転センサ、車両の走行距離を検出する車速センサ等を含んでいてもよい。また、既存のナビゲーションシステムから車両の現在位置情報を出力するようにしてもよい。
【0018】
操作部3は、運転者、同乗者等の本装置の操作者が、自ら後述する表示部9の角度制御を行いたい場合に、操作を入力する部分である。操作部3は、プッシュスイッチやスライドスイッチ等各種のメカニカルスイッチや、別途設けられたリモコン装置のスイッチより構成される。操作部3は、車載用表示装置の他の操作を行う他のスイッチ群とともに、車両のインパネ部分やリモコン装置、表示部9の周辺に配置され得る。また、表示部9の液晶ディスプレイ上に表示形成されたタッチスイッチ等で構成してもよい。また、音声認識装置によって、例えば、「まぶしい」と発声されたときに操作されたとして入力するようにしてもよい。本実施形態においては、操作部3は後述する「直射回避ボタン」によって構成される。
【0019】
角度制御テーブル4は、月日からなる所定の期間または日と、地球上の特定の範囲を表わす緯度及び経度からなる位置情報を対応させて既述したマトリックスから構成される。このマトリックスには、特定の月日を含む期間および車両の位置において、後述する表示部9の設置角度を、1)操作者自身が、装置の駆動後、表示部を視認しやすい位置として最初に設定した初期設定角度(第1の設定角度)から、所定の角度量変更した変更時設定角度(第2の設定角度)に変更するべき時刻、又は2)変更時設定角度から初期設定角度に変更するべき時刻が含められている。図4及び図5に示した角度制御テーブル4の具体例では、2)に相当する情報が含まれている。角度制御テーブル4の詳細は後述する。
【0020】
車種情報取得部6は、車載用表示装置が搭載される車両の種類を取得するものであり、車両への搭載時に外部から入力される。車種情報取得部6は、予め複数の車種情報をコード形式にて保持し、外部から入力されたコードとの対応を判定することで搭載車種を判定することができる。判定された車種をもとに、角度制御テーブル4から当該車種に対応したテーブルが選択される。もちろん、最初から搭載される車種が決まっている場合、車種情報取得部は不要であり、角度制御テーブル4が車種に応じた複数のテーブルを持つ必要もない。
【0021】
制御部7は、プロセッサによって実行される各種プログラムを記憶するメモリ、プログラム実行時のワークエリアとなるメモリ、車載用表示装置の各種設定データを記憶するメモリ等の各種メモリ(図示せず)を含んでいる。これらのメモリは、その用途に応じて、アクセス速度、記憶容量、揮発性と不揮発性の別等の異なる複数種類のメモリが用いられる。制御部7は、現在時刻が角度制御テーブルに格納された上述した変更時刻(又は時間帯)と一致すると、表示部を所定の設定角度に設置するよう制御する。
【0022】
角度調整部8は、表示部9の設置角度を電気的、機械的に調整する。調整方向は、垂直方向のみまたは水平方向のみでもよく、垂直方向および水平方向両方に角度調整できる機構を備えていてもよい。角度調整部8の構成は特に限定はされない。
【0023】
表示部9は、ナビゲーション時の地図情報、操作メニュー及び入力データ等の表示や、DVD等の映像記録媒体に記録された映像を表示するもので、一般的には液晶ディスプレイによって構成されるが、その構成は特に限定はされない。
【0024】
図2は、本発明の車載用表示装置における操作の概念を示した概念図である。一般的に車両への乗車時に、運転者、同乗者等の表示装置の操作者が、自ら視認しやすい角度に表示部9の設置角度を調整する(乗車時TILT設定、第1の設定角度)。しかしながら時間の経過に伴う太陽の上昇(午前中)又は太陽の下降(午後中)とともに、太陽の直射光が表示部9に入射しやすくなるとともに、操作者が眩しいと感じやすくなる。「直射光」とは、その表示部9からの反射光が操作者の目の方向に反射し、直接目に入る方位の太陽光である。
【0025】
そこで、本装置においては、操作者が操作部3を構成する「直射回避ボタン」を押すと、このような状況下の時間帯、すなわち直射光が表示部9に入射する時間帯において、さらに表示部9が垂直方向(図では上向き方向)に所定の角度量の分だけ傾けられ、直射光の入射を回避するとともに、視認性を確保することが可能となる(2段階TILT、第2の設定角度)。この状態は、直射光が表示部9に入射する時間帯において維持され、直射光が表示部9に入射する時間帯を過ぎた後、すなわち直射光が操作者に届かないという所定条件の成立時に、表示部9の傾きは再び元の状態(乗車時の状態、第1の設定角度)に戻る。直射光が表示部9に入らない状況になっても2段階TILTを維持させておくのは、操作者にとって好ましくないからである。
【0026】
図3は、上述した直射光が表示部9に入射する時間帯に対応する太陽の位置を示す図である。図3で示された角度θ1及びθ2は、太陽の位置に対応する角度(仰角)であり、太陽の仰角がθ1からθ2の仰角範囲内にある場合、直射光が表示部9に入射して操作者の目の方向に反射する。逆にいえば、太陽の仰角がθ1からθ2の仰角範囲外にある場合は、直射光は操作者の目の方向に反射せず、上述した所定条件が成立する。ここで、θ1およびθ2は、車両全体や窓部等の寸法により異なるが、予め車種ごとに計算により求めることができる。例えばある車両では実験の結果、θ1=3度、θ2=28度と求められた。従って、特定の月日、車両の位置(緯度、経度)において、太陽の仰角がθ1およびθ2となる時刻も、車種ごとに予め算出することができる。従って、直射光は操作者の目の方向に反射しないという上述した所定条件が成立する時間帯も算出される。本例ではθ1及びθ2は、図示した水平面、すなわち地面と平行な面を基準面にして定義されているが、θ1及びθ2の定義の方法は特に限定されない。
【0027】
図4及び図5は、θ1=3度、θ2=28度の車両において、上述した計算により求めた、直射光が表示部9に入射する時間帯に関する情報を既述した角度制御テーブル4の例を示す。ただし、操作者の好みの角度(初期設定角度)に早めに戻るように制御するため、θ1=0度、θ2=30度に設定した上で、角度制御テーブル4は作成されている。この例では、角度制御テーブル4は、月日からなる所定の期間と、緯度及び経度からなる特定範囲の位置情報を対応させたマトリックスから構成される。そして、マトリックスの各セルには、表示部9の設置角度を、所定の角度量変更した変更時設定角度(第2の設定角度)から乗車時に操作者自身が設定した初期設定角度(第1の設定角度)に変更するべき時刻が含められている。この時刻は午前の変更時刻(朝)と午後の変更時刻(夕方)の二つを含み、角度設定を解除する時刻に相当する。なお、変更時刻は午前又は午後のみのどちらか一方のみであっても構わない。
【0028】
例えば、1月30日において、車両が北緯40度、東経140度の位置にある場合、最初に角度設定を解除すべき時刻は午前10時45分であり、次に角度設定を解除すべき時間は午後17時00分であると既述されている。従って、操作者が乗車時に初期設定角度に表示部9を設定し、午前9時00分において、眩しさを感じて操作部3を操作すると、表示部9は所定角度量上向き又は下向きに傾くことで変更時設定角度に設定されるが、午前10時45分になると、表示部9は乗車時の初期設定角度に戻る。
【0029】
また、午前10時45分を過ぎた午前11時00分でも、操作者が依然として眩しさを感じて操作部3を操作すると、表示部9は所定角度量上向き又は下向きに再び傾き、変更時設定角度に設定されるが、午後17時00分になると、表示部9は乗車時の初期設定角度に戻る。
【0030】
表示部9が移動する所定の角度量は任意に設定することができる。例えば10度に設定することができる。角度量は、時刻や位置に拘わらず固定してもよいし、時刻及び/又は位置に応じて変化させてもよい。また、5度の如き所定の角度量を単位移動量とし、移動パターンに応じて単位移動量の数を変更させることにより、合計の角度量を変更させてもよい。
【0031】
また、車種ごとに、すなわち、異なるθ1及びθ2の組ごとに、角度制御テーブル4に複数のテーブルを持たせることができる。この場合、車種情報取得部6によって検知された搭載車両に応じて対応するテーブルが選択される。もちろん、最初から搭載される車種が決まっている場合、車種情報取得部は不要であり、角度制御テーブル4が車種に応じた複数のテーブルを持つ必要もない。
【0032】
次いで、本実施の形態における車載用表示装置の動作の詳細を、図6に基づいて説明する。操作者が、乗車時または走行中に表示部9の設置角度を好みの初期設定角度(第1の設定角度)に初期設定する。直射光が表示部9に入射し、操作者が「直射回避ボタン」を押すと(ステップS111;YES)、表示部9の設置角度が、初期設定角度から変更した変更時設定角度(第2の設定角度)になるよう、制御部7が所定の角度量の分、角度調整部8を制御し、表示部9が駆動される(ステップS112)。
【0033】
さらに、午前中において現在時刻が、角度制御テーブル4が保持する月日、位置(緯度及び経度)に対応した仰角がθ2となる変更時刻と一致するか、又は午後において現在時刻が、角度制御テーブル4が保持する月日、位置(緯度及び経度)に対応した仰角がθ1となる変更時刻と一致すると(ステップS113;YES)、表示部9の設置角度がステップS112で設定された変更時設定角度から初期設定角度に戻るよう、所定の角度量の分、制御部7が角度調整部8を制御し、表示部9が駆動される(ステップS114)。
【0034】
尚、ステップS111、ステップS113の各々において、現在時刻と変更時刻が一致しない場合(各ステップでNO)とは、表示装置の駆動開始時刻が、各々の指定時刻を既に過ぎているような場合であり、この場合角度調整は行わない。
【0035】
尚、角度制御テーブル4は、例えば、ある一定の緯度ごと及びある一定の経度ごと、又は主要都市の緯度及び経度等に対応する変更時刻が格納されている。従って、変更時刻はある一定のエリアごとで定められる。例えば、エリアAとエリアBが隣り合っていて、車両の現在位置がエリアAにあり、表示部9が変更時設定角度(第2の設定角度)の状態で走行中にエリアBに入り、現在時刻がエリアBにおける変更時刻を過ぎていた場合は、変更時設定角度から初期設定角度に戻るよう、所定の角度量分、制御部7が角度調整部8を制御し、表示部9が駆動されてもよい。
【0036】
図7は、表示部9の具体的な動作の例を示す(θ1=0度、θ2=30度)。図7は、液晶ディスプレイなどから構成された表示部9が、ナビゲーション装置等の筐体10に対し相対的に駆動する様子を示している。傾きの角度の大きさは、CLOSE(0度)からTILT1、TILT2、TILT3、TILT4(最大角度)の順である。そして、各角度の差は5度であり、1回の操作による変化量(角度量)は10度に設定されている。
【0037】
(a1)から(a5)は、初期設定角度がTILT2の場合の動作例である(a1)。そして、操作者が眩しさを感じて直射回避ボタンを押すと、午前中の場合太陽は上昇するため、表示部9を下に向けるのが好ましいため、表示部9を所定角度量下向きに移動させて、表示部9の設置角度は変更時設定角度(CLOSE)になる(a2)。
【0038】
その後、太陽の仰角がθ2=30度の時刻となると、表示部9の設置角度は初期設定角度(TILT2)に戻る(a3)。そして、午後になり操作者が眩しさを感じて直射回避ボタン3を操作すると、太陽が下降するために表示部9を上に向けるのが好ましいため、表示部9を所定角度量上向きに移動させて、表示部9は変更時設定角度(TILT4)まで移動する(a4)。そして、太陽の仰角がθ1=0度の時刻となると(日没)、表示部9の設置角度は初期設定角度(TILT2)に戻る(a5)。なお、初期設定角度から表示部9を特定方向に所定角度量動かせない場合は、特定方向を変更(例えば上向きを下向きに変える)して動かすようにしてもよい。
【0039】
尚、本発明で言う「所定条件」とは、太陽の直射光が操作者の目の方向に反射しないという条件をいうが、本実施形態では角度制御テーブル4を用いて、変更時刻という形で間接的に与えられている。また、所定条件の決定には数値的に厳密なものは要求されず、おおよそ一般的、経験的に眩しさを感じなくなる条件が与えられれば、そのような条件は「所定条件」に含まれる。
【0040】
また、操作部3を、表示部9の液晶ディスプレイ上に表示形成されたタッチスイッチ等で構成する場合、必要時、すなわち、操作者が眩しさを感じる時間帯、すなわち上記所定条件が不成立の間のみ、該スイッチを表示部9上に表示させてもよい。
【0041】
なお、さらに車両のピッチ角を検出する手段を備え、制御部7は、ピッチ角の検出結果に応じて表示部の設置角度を設定してもよい。具体的には、例えば、変更時設定角度を、車両が水平な位置にいる場合の設定値にピッチ角の検出結果を加え、表示面9の地面に対する設置角度を一定としてもよい。
【0042】
なお、操作者が操作部3を操作したときに、表示部9の設定角度を第2の設定角度にしていたが、自動で行なうようにしてもよい。この動作例を図8に基づいて説明する。操作者が、乗車時または走行中に表示部9の設置角度を好みの初期設定角度(第1の設定角度)に初期設定する。午前中において現在時刻が、角度制御テーブル4が保持する月日、位置(緯度及び経度)に対応した仰角がθ1となる変更時刻と一致すると(ステップS103;YES)、表示部9の設置角度が、初期設定角度から変更した変更時設定角度(第2の設定角度)になるよう、制御部7が所定の角度量の分、角度調整部8を制御し、表示部9が駆動される(ステップS104)。
【0043】
さらに、午前中において現在時刻が、角度制御テーブル4が保持する月日、位置(緯度及び経度)に対応した仰角がθ2となる変更時刻と一致すると(ステップS105;YES)、表示部9の設置角度が、ステップS104で設定された変更時設定角度から初期設定角度に戻るよう、所定の角度量の分、制御部7が角度調整部8を制御し、表示部9が駆動される(ステップS106)。
【0044】
次いで午後になり、現在時刻が角度制御テーブル4が保持する月日、位置(緯度及び経度)に対応した仰角が再びθ2となる変更時刻と一致すると(ステップS107;YES)、表示部9の設置角度がステップS105で設定した初期設定角度から変更時設定角度になるよう、制御部7が所定の角度量の分、角度調整部8を制御し、表示部9が駆動される(ステップS108)。
【0045】
さらに、現在時刻が、角度制御テーブル4が保持する月日、位置(緯度及び経度)に対応した仰角が再びθ1となる変更時刻と一致すると(ステップS109;YES)、表示部9の設置角度が、ステップS108で設定された変更時設定角度から初期設定角度に戻るよう、所定の角度量の分、制御部7が角度調整部8を制御し、表示部9が駆動される(ステップS110)。
【0046】
尚、ステップS103、ステップS105、ステップS107、ステップS109の各々において、現在時刻と変更時刻が一致しない場合(各ステップでNO)とは、表示装置の駆動開始時刻が、各々の指定時刻を既に過ぎているような場合であり、この場合角度調整は行わない。また、表示部9が第2の設定角度の時に操作部3を操作すると、第1の設定角度になるようにしておいてもかまわない。
【0047】
以上のように、本発明の車載用表示装置では、太陽光の方位、高度と車両の進行方向に応じてディスプレイの角度調整、バックライト輝度調整、色調調整を行うといった複雑な計算を行なうことはしない。本発明の車載用表示装置では、あらかじめ格納された時刻情報、位置情報などを含むデータに基づき表示部の角度を自動調整する。従って、煩雑な動作をせず、簡易かつ安価な制御及び構成にて太陽光の映りこみ及び反射を軽減し、表示部の視認性を確保することが可能となる。
【0048】
以上、本発明の各種実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態において示された事項に限定されず、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者がその変更・応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の車載用表示装置によれば、表示面における太陽光の映りこみ及び反射を、簡易な機構により軽減し、表示部の視認性を容易に確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の車載用表示装置の構成を示すブロック図
【図2】車載用表示装置の操作概念を示す概念図
【図3】車載用表示装置の表示部に太陽光が入射する状態を示す斜視図
【図4】車載用表示装置の角度制御テーブルの例の前半部を示す図
【図5】車載用表示装置の角度制御テーブルの例の後半部を示す図
【図6】本発明の車載用表示装置の動作を示すフロー図
【図7】本発明の車載用表示装置の表示部の動作例を示す図
【図8】本発明の車載用表示装置の別の動作を示すフロー図
【図9】従来の車載用表示装置の構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0051】
1 現在日時取得部
2 現在位置取得部
3 操作部(直射回避ボタン)
4 角度制御テーブル
6 車種情報取得部
7 制御部
8 角度調整部
9 表示部
10 筐体
201 太陽光方向検知回路
202 方位センサ
203 制御部
204 バックライト駆動回路
205 色調調整部
206 角度調整部
207 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像を表示する表示部と、
前記表示部の設置角度を調整する角度調整部と、
前記表示部の設置角度を設定するため前記角度調整部を制御する制御部と、
操作者が、前記表示部の設置角度を第1の設定角度及び該第1の設定角度と所定角度量異なる第2の設定角度に設定する操作を入力する操作部と、を備え、
前記制御部は、操作者が前記操作部より前記表示部の設置角度を前記第2の設定角度に設定する操作を入力した後所定条件の成立時に、前記表示部の設置角度を前記第2の設定角度から第1の設定角度に変更するよう前記角度調整部を制御する、車載用表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車載用表示装置であって、
前記制御部は、前記所定条件の成立後、当該所定条件が不成立となった時、前記表示部の設置角度を前記第1の設定角度から前記第2の設定角度に変更する、車載用表示装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車載用表示装置であって、
前記所定条件の成立時は所定の時間帯である、車載用表示装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の車載用表示装置であって、
前記所定条件の成立時は太陽の仰角が所定の範囲外にある時間帯である、車載用表示装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の車載用表示装置であって、
現在の月日及び時刻を取得する現在日時取得部と、
現在の車両の位置を取得する現在位置取得部と、
月日を含む所定の期間と車両の位置を対応させたマトリックス中に、前記所定条件の成立を示すとともに前記表示部の設置角度を変更する変更時刻を既述した角度制御テーブルとを更に備え、
前記制御部は、前記現在日時取得部から取得した現在の月日及び時刻並びに前記現在位置取得部から取得した現在の車両の位置と、前記角度制御テーブル中の前記変更時刻を比較して、前記角度量により前記表示部の設置角度を変更するか否か判断する、車載用表示装置。
【請求項6】
請求項5に記載の車載用表示装置であって、
前記変更時刻は前記対応付けられた期間と位置における太陽の位置の仰角に基づき決定されている、車載用表示装置。
【請求項7】
請求項6に記載の車載用表示装置であって、
前記変更時刻は午前の変更時刻と午後の変更時刻を含む、車載用表示装置。
【請求項8】
請求項5ないし7のいずれか1項に記載の車載用表示装置であって、
搭載される車両の種類に応じて異なる複数の角度制御テーブルを備える、車載用表示装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の車載用表示装置であって、
前記第1の設定角度は、車載用表示装置の駆動後、操作者によって最初に設定された初期設定角度である、車載用表示装置。
【請求項10】
請求項9に記載の車載用表示装置であって、
前記第2の設定角度は、前記初期設定角度の設定の後、操作者によって設定された変更時設定角度である、車載用表示装置。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか1項に記載の車載用表示装置であって、
前記角度調整部は前記表示部の垂直方向の設置角度を調整する、車載用表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−298036(P2006−298036A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−119530(P2005−119530)
【出願日】平成17年4月18日(2005.4.18)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】