説明

車載用電子機器のスタンド装置

【課題】ネジ調整式のアーム支持構造において軸受を拡開することなく、スタンド本体にアームを支持させることができる車載用電子機器のスタンド装置を提供する。
【解決手段】スタンド本体2と、スタンド本体2側の第1の軸受部6に形成された透孔10内に配設され、挿入空間を向いた面に第1の噛合面24が形成されたアームストッパ17と、挿入空間よりも薄い厚みに構成された第3の軸受部を備え、軸受部6,7間に配置され第1の噛合面24に噛合される第2の噛合面55が形成された回動軸受53を備えたアーム3と、軸受部6,7間に回動軸受53を配置させた状態でこれを挿通する角度調整ネジ33からスタンド装置は構成される。アームストッパ17側のナットに角度調整ネジ33を螺合させ、第1の軸受部6内のアームストッパ17を挿入空間方向に移動させて第1の噛合面24と第2の噛合面55を噛合させアーム3を片持ち梁状に支持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示部を有する車載用電子機器を、例えば車両のダッシュボード等の位置に設置するための車載用電子機器のスタンド装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
表示部を有する車載用電子機器、例えばナビゲーション装置、レーダー探知装置又はETC等ではユーザーの見やすい位置にその表示部が配置されるように車両の任意の位置、例えばダッシュボード上にスタンド装置を設置し、片持ち梁状に車載用電子機器を支持するようにしている。このような車載用電子機器のスタンド装置の一例を特許文献1〜3に示す。
車載用電子機器のスタンド装置は一般にスタンド本体とスタンド本体に片持ち梁状に支持される車載用電子機器が搭載されるアームを備えており、アームはスタンド本体に対して任意の仰俯角度で支持されるようになっている。アームを支持する手段としてはネジ調整式とロック式があるが、ロック式ではアームがスタンド本体から外せない構造となり取り扱いにおいて嵩張るため、アームとスタンド本体が別体となるネジ調整式が一般的に使用されている。ネジ調整式はアーム側の噛合面とスタンド本体側のそれぞれの噛合面を噛み合わせ、締結部材で締め付けて固定する構造である。図18はこのような車載用電子機器のスタンド装置におけるネジ調整式のアーム支持構造を説明する一例の図である。
スタンド装置はスタンド本体101とアーム102を備えている。スタンド本体101にはスタンド本体側の軸受部としての左右一対の第1及び第2の支持ステー103,104が形成されている。アーム102の基部にはアーム側の軸受部としての円筒状の回動軸受105が形成されている。回動軸受105の第1の支持ステー103を向いた面には第1の噛合面106が形成されている。第1の支持ステー103の内側面(図18では隠れている面)には第2の噛合面107が形成されている。第1の噛合面106と第2の噛合面107をアーム102の任意の仰俯角度となるように噛み合わせ、第1及び第2の支持ステー103,104間に回動軸受105を配置した状態でボルト部材としての固定ネジ108を相通し、ナット部材としてのナット109をノブ110とともに回動して両支持ステー103,104を外側から締め付けることで両噛合面106,107が噛合状態で密着するためアーム102は両支持ステー103,104に支持されることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−254620号公報
【特許文献2】特開2009−18610号公報
【特許文献3】特開2010−143431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、図18のような従来のネジ調整式のアーム支持構造では、両支持ステー103,104の間隔は、回動軸受105を両支持ステー103,104間に介在させ、なおかつ両噛合面106,107がちょうど噛合された状態が基準間隔である。つまり、両噛合面106,107を噛合させる前では両支持ステー103,104間に回動軸受105をそのまま挿入させようとすると歯同士が若干干渉してしまうような幅の関係にある。そのため、回動軸受105を横方向から両支持ステー103,104間に挿入する場合には部材の干渉を防止するために両支持ステー103,104(いずれか一方だけでもよい)を外方に撓ませ若干間隔を拡開させる必要があった。
そのため、両支持ステー103,104に撓ませるための十分な長さや薄さを持たせる必要があることから、両支持ステー103,104の形状や強度の制限があり、両支持ステー103,104をコンパクトにできなかったり十分な強度を与えることができなかった。また、形状の制限があるために他の構成部材との協調を図ることも制限されていた。更に、両支持ステー103,104の拡開が十分ではなかったり、あるいは拡開が十分であっても両支持ステー103,104を撓ませた際の付勢力によってどうしても両噛合面106,107の歯が強く当たる傾向となり歯が欠けたりつぶれやすいという問題もあった。更に、両支持ステー103,104を拡開させながら回動軸受105を配置するという面倒な作業をユーザーに強いることになってしまっていた。
本発明は、上記諸問題を解消するためになされたものであり、その目的は、ネジ調整式のアーム支持構造において軸受を拡開することなく、スタンド本体にアームを支持させることができる車載用電子機器のスタンド装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1の発明では、任意の装着位置に固定手段によって固定され、表示部を有する車載用電子機器を任意の仰俯角度で片持ち梁状に支持する車載用電子機器のスタンド装置において、左右一対の第1及び第2の軸受部を備え、同第1及び第2の軸受部間に所定間隔の挿入空間が形成された前記固定手段によって固定されるスタンド本体と、前記挿入空間に隣接して前記第1の軸受部に形成された開口部に面して配設され、前記挿入空間を向いた面に第1の作用面が形成された移動コマ部材と、前記挿入空間の所定間隔よりも薄い厚みに構成された第3の軸受部を備え、同第3の軸受部が前記挿入空間内に配置されるとともに、前記第1の軸受部方向を向いた前記第3の軸受部の側面に第2の作用面が形成された前記電子機器が搭載されるアームと、直列状に配置される前記移動コマ部材、前記第1の軸受部、前記第3の軸受部及び前記第2の軸受部をこの順で挿通するボルト部材と、同ボルト部材の先端寄りに螺着されるナット部材から構成される締結部材とを備え、前記移動コマ部材は前記第1の作用面が前記開口部から前記挿入空間内に進出した第1の位置と、前記第1の作用面が前記挿入空間から後退した第2の位置を取りうるように進退可能に保持されるとともに、前記ボルト部及び前記ナット部材のいずれか一方の回動を規制し、いずれか他方を回動させることで前記ナット部材を前記ボルト部の軸方向に沿って相対的に前記ボルト部のヘッド方向に移動させ、前記ナット部材又は前記ヘッドのいずれかによって前記移動コマ部材を進出方向に押動し前記第1の作用面と前記第2の作用面を当接させるようにしたことをその要旨とする。
このような構成においては、固定手段を介してスタンド本体を任意の装着位置に固定し、次いで、スタンド本体の第1及び第2の軸受部間の挿入空間にアームの第3の軸受部を配置する。このとき、第3の軸受部は挿入空間の間隔よりも薄い厚みに構成されているため部材干渉は生じない。そして、移動コマ部材、第1の軸受部、第3の軸受部及び第2の軸受部をこの順でボルト部材によって挿通し、ボルト部材の先端寄りにナット部材を螺着する。そして、ボルト部及びナット部材のいずれか一方の回動を規制しながらいずれか他方を回動させていく。そうすることで相対的にナット部材をボルト部の軸方向に沿ってボルト部のヘッド方向に移動させる。この締結部材の作用によって移動コマ部材を開口部から挿入空間方向(進出方向)に移動させ、第3の軸受部の第2の作用面と移動コマ部材の第1の作用面を当接させて第3の軸受部をアームが任意の仰俯角度となるように固定する。
このような構成としたため、第1及び第2の軸受部を外方に拡開させなくとも第3の軸受部をその隙間に配置させることができ、装着作業がスムーズになるとともに、部材同士の干渉による部材の欠けやつぶれ等の不具合も生じにくくなる。また、第1及び第2の軸受部の形状に裕度が生じる。
【0006】
請求項2の発明では請求項1の発明の構成に加えて、前記固定手段の一部をなす作動機構は前記スタンド本体の前記第1及び第2の軸受部の背後に格納されていることをその要旨とする。
つまり、スタンド本体のより具体的な構成である。本発明では従来のように軸受部が撓むような形状に限定されないため、軸受部をスタンド本体と一体的な剛性のある形状とすることが可能である。その場合にはスタンド本体に固定手段の一部をなす作動機構が格納されればそれは第1及び第2の軸受部の背後の第3の軸受部の配置の邪魔にならない位置に格納されることとなる。これによって、作動機構が露出せずスタンド本体内の軸受部の邪魔にならない位置に機能的にパッケージングされることとなる。
【0007】
請求項3の発明では、任意の装着位置に固定手段によって固定され、表示部を有する電子機器を任意の仰俯角度で片持ち梁状に支持する車載用電子機器のスタンド装置において、左右一対の第1及び第2の軸受部を備え、同第1及び第2の軸受部間に所定間隔の挿入空間が形成された前記電子機器が搭載されるアームと、前記挿入空間に隣接して前記第1の軸受部に形成された開口部に面して配設され、前記挿入空間を向いた面に第1の作用面が形成された移動コマ部材と、前記挿入空間の所定間隔よりも薄い厚みに構成された第3の軸受部を備え、同第3の軸受部が前記挿入空間内に配置されるとともに、前記第1の軸受部方向を向いた前記第3の軸受部の側面に第2の作用面が形成された前記固定手段によって固定されるスタンド本体と、直列状に配置される前記移動コマ部材、前記第1の軸受部、前記第3の軸受部及び前記第2の軸受部をこの順で挿通するボルト部材と、同ボルト部材の先端寄りに螺着されるナット部材から構成される締結部材とを備え、前記移動コマ部材は前記第1の作用面が前記開口部から前記挿入空間内に進出した第1の位置と、前記第1の作用面が前記挿入空間から後退した第2の位置を取りうるように進退可能に保持されるとともに、前記ボルト部及び前記ナット部材のいずれか一方の回動を規制し、いずれか他方を回動させることで前記ナット部材を前記ボルト部の軸方向に沿って相対的に前記ボルト部のヘッド方向に移動させ、前記ナット部材又は前記ヘッドのいずれかによって前記移動コマ部材を進出方向に押動し前記第1の作用面と前記第2の作用面を当接させるようにしたことをその要旨とする。
このような構成においては、固定手段を介してスタンド本体を任意の装着位置に固定し、次いで、スタンド本体の第3の軸受部をアームの第1及び第2の軸受部間の挿入空間に配置する。このとき、第3の軸受部は挿入空間の間隔よりも薄い厚みに構成されているため部材干渉は生じない。そして、移動コマ部材、第1の軸受部、第3の軸受部及び第2の軸受部をこの順でボルト部材によって挿通し、ボルト部材の先端寄りにナット部材を螺着する。そして、ボルト部及びナット部材のいずれか一方の回動を規制しながらいずれか他方を回動させていく。そうすることで相対的にナット部材をボルト部の軸方向に沿ってボルト部のヘッド方向に移動させる。この締結部材の作用によって移動コマ部材を開口部から挿入空間方向(進出方向)に移動させ、第3の軸受部の第2の作用面と移動コマ部材の第1の作用面を当接させて第3の軸受部をアームが任意の仰俯角度となるように固定する。
このような構成としたため、第1及び第2の軸受部を外方に拡開させなくとも第3の軸受部をその隙間に配置させることができ、装着作業がスムーズになるとともに、部材同士の干渉による部材の欠けやつぶれ等の不具合も生じにくくなる。また、第1及び第2の軸受部の形状に裕度が生じる。
【0008】
上記において、「ボルト部及びナット部材のいずれか一方の回動を規制し、いずれか他方を回動させる」とは後退位置にある移動コマ部材を挿入空間方向へ進出させるためにボルト部を回動させても、逆にナット部材を回動させてもいずれを回動操作することも可能であることを意味している。また、一方を回動させる場合には他方の回動を規制しないと共回りしてしまうため、常に回動させる締結部材ではない側の締結部材の回動規制が必要となる。
移動コマ部材は第1の作用面を有し、その第1の作用面が透孔から挿入空間内に進出する第1の位置と挿入空間から後退した第2の位置を取りうるように構成されていればその形状は問わない。
第1及び第2の作用面は当接させることで片持ち梁状にアームを保持できるような、つまり第3の軸受部を回動させないような作用を奏する面形状であれば、特に限定はされない。例えば摩擦作用でも凹凸の係合作用でもよいし、これらの組み合わせでもよい。互いの凹凸が係合して回動を阻止するような面、例えば平面上に形成されたセレーションのような多数の歯から形成された噛合面であれば確実に回動阻止できるため好ましい。
【0009】
請求項4の発明では請求項1〜3のいずれかの発明の構成に加えて、前記移動コマ部材の前記挿入空間側への脱落を防止する脱落防止手段が設けられていることをその要旨とする。
このような構成であれば、第3の軸受部が挿入空間内に存在しない場合に移動コマ部材が透孔から挿入空間方向に脱落してしまうことが防止される。
【0010】
請求項5の発明では請求項4の発明の構成に加えて、前記移動コマ部材は前記第1の軸受部に形成された収容空間内に収容され、同収容空間内において進退することをその要旨とする。
これによって、移動コマ部材は第1の軸受部内に露出されずに保持されることとなる。
【0011】
請求項6の発明では請求項5の発明の構成に加えて、前記収容空間は外方に開口する開口部を備え、同開口部が蓋部材によって封鎖されていることをその要旨とする。
これによって、移動コマ部材を収容空間の外方から挿入させることができ、一旦収容空間に収容して蓋部材で開口部を封鎖すれば外方に脱落することはない。
請求項7の発明では請求項6の発明の構成に加えて、前記収容空間を外方から封鎖する蓋部材には前記移動コマ部材方向に突出する押圧部が形成されていることをその要旨とする。
これによって、収容空間の奥行きが締結部材によって進退させられる移動コマ部材の移動量よりも余裕があったとしても、蓋部材の押圧部の進出量を調整して対応することができ、移動コマ部材の進退量の微妙な調整をすることが可能となる。
【0012】
請求項8の発明では請求項7の発明の構成に加えて、前記蓋部材の外側面は前記第1の軸受部の外側面と連続又は略連続的な面とされていることをその要旨とする。
このような構成とすれば、蓋部材と第1の軸受部の外側面とのデザイン的な一体性が創出され、第1の軸受部の外方に取り付けられる蓋部材の違和感が減少される。
【0013】
請求項9の発明では請求項1〜8のいずれかの発明の構成に加えて、前記ボルト部材はその基部位置に前記第2の軸受部の外方に配置される操作部を備えていることをその要旨とする。
このような構成とすれば、ボルト部材を回動させる際により大きなモーメントで楽に回動させることが可能となる。
【0014】
請求項10の発明では請求項9の発明の構成に加えて、前記操作部は操作用のつまみ部を備えた円板として構成され、前記第2の軸受部の外側面に形成された凹部内に埋設されていることをその要旨とする。
このような構成とすれば、操作部が第2の軸受部の外側面から飛び出して配置されることがなくなり、狭い車内におけるスタンド装置のコンパクト化に寄与する。
【0015】
請求項11の発明では請求項10の発明の構成に加えて、前記操作部と前記第2の軸受部の外側面とは連続又は略連続的に接続されていることをその要旨とする。
請求項12の発明では請求項11の発明の構成に加えて、前記操作部の外側面は前記第2の軸受部の外側面と連続又は略連続的な面とされていることをその要旨とする。
これらのような構成とすれば、操作部と第2の軸受部の外側面とのデザイン的な一体性が創出され、第2の軸受部の外方に取り付けられる操作部の違和感が減少される。
【0016】
請求項13の発明では請求項1〜12のいずれかの発明の構成に加えて、前記移動コマ部材は前記ナット部材を兼ねていることをその要旨とする。
このような構成とすれば、移動コマ部材はボルト部材を回動させることで自身が進退することなり、ナット部材を単独で用意する必要がないため、部材点数が減り、第1の軸受部周辺の構造がコンパクトとなり、結果としてスタンド装置のコンパクト化に寄与する。
また、この場合には移動コマ部材自体が移動することとなるため、移動コマ部材が回動しないような構造とされる必要がある。
【0017】
請求項14の発明では請求項1〜12のいずれかの発明の構成に加えて、前記ナット部材は前記移動コマ部材内に同移動コマ部材と一体回動可能に埋設され、前記移動コマ部材の回動が規制されていることをその要旨とする。
このような構成とすれば、ナット部材が移動コマ部材内部に配置されるためナット部材のための収容領域が不要となるため、第1の軸受部周辺の構造がコンパクトとなり、結果としてスタンド装置のコンパクト化に寄与する。
【0018】
請求項15の発明では請求項1〜12のいずれかの発明の構成に加えて、前記ボルト部材の前記ヘッドは前記移動コマ部材内に同移動コマ部材と一体回動可能に埋設され、前前記移動コマ部材の回動が規制されていることをその要旨とする。
このような構成とすれば、ボルト部材のヘッドが移動コマ部材内部に配置されるためヘッドのための収容領域が不要となるため、第1の軸受部周辺の構造がコンパクトとなり、結果としてスタンド装置のコンパクト化に寄与する。
【発明の効果】
【0019】
上記各請求項の発明によれば、ボルト部及びナット部材のいずれか一方の回動を規制しながらいずれか他方を回動させることで、移動コマ部材を後退位置から挿入空間方向に進出させてアームを固定するようにしたため、第1及び第2の軸受部を外方に拡開させなくとも第3の軸受部をその隙間に配置させることができ、装着作業がスムーズになるとともに、部材同士の干渉による部材の欠けやつぶれ等の不具合も生じにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明にかかる実施例1のスタンド装置の斜視図。
【図2】同じスタンド装置のアームの動作を説明する側面図。
【図3】同じスタンド装置の平面図。
【図4】同じスタンド装置のスタンド本体の(a)は左側面図、(b)は右側面図、(c)は正面図。
【図5】同じスタンド本体の斜視図。
【図6】図4(b)のA−A線での断面図。
【図7】図6において雄ネジ本体が六角ナットに螺合された状態の断面図。
【図8】図6においてアームストッパ、六角ナット及び外蓋を取り外した状態の要部断面図。
【図9】同じスタンド装置の分解斜視図。
【図10】同じ実施例1のスタンド装置のアームの回動軸受付近を拡大した斜視図。
【図11】アームストッパの(a)は斜視図、(b)は背面図、(c)は(b)のB−B線での断面図。
【図12】外蓋の(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は背面図。
【図13】スタンド本体の内部構造を説明する断面図。
【図14】同じスタンド装置のスタンド本体への取り付け工程を説明する説明図。
【図15】実施例2のスタンド装置の分解平面図。
【図16】実施例2の角度調整ネジの斜視図。
【図17】実施例2のスタンド装置の分解平面図。
【図18】従来のスタンド装置のアームの取り付け工程を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施例である車載用電子機器のスタンド装置を図面に基づいて説明する。
(実施例1)
図1〜図3に示すように、車載用電子機器として例えばナビゲーション機能付きレーダー探知装置用のスタンド装置(以下、単にスタンド装置とする)1はスタンド本体2とスタンド本体2に対して分離可能なアーム3とを構成要素として備えている。まず、スタンド本体2について説明する。
図4〜図9、図13等に示すように、スタンド本体2は硬質プラスチックの成型品であって、ハウジング部4とハウジング部4の下部位置に配置された周囲に向かって緩やかな角度で下垂する薄椀型のベース部5とから構成されている。図4(a)〜(c)に示すように、ハウジング部4は側面視において隅丸に面取りされた台形の外形で正面視においては方形の外形となる中空のケース体であって、正面側(図4(c)の目視方向)における中央部分がくり抜き状に凹設されて左右一対の第1及び第2の軸受部6,7が形成されている。両軸受部6,7の間の凹設された空間の奥には外方に凹となるように湾曲した壁部8が形成されている。図2及び図4(c)に示すように、ハウジング部4の外側面4a,4bと軸受部6,7の内側面6a,7aは相互に平行な平面に構成されている。両軸受部6,7の内側面6a,7aと壁部8によって画定された空間を挿入空間Sとする。
【0022】
図4(a)、図5及び図6等に 示すように、第1の軸受部6内には左右方向に連通する断面円形形状の透孔10が形成されている。透孔10は挿入空間S側に開口する第1の開口部11と第1の軸受部6の外方に開口する第2の開口部12を備えている。透孔10の第1の開口部11寄りの内周面には正八角形の断面形状に形成された回り止め面13が形成されている。回り止め面13と透孔10の内周面との接続面は不連続な段差部13aとされている。透孔10の第2の開口部12寄りの内周面には径方向に切り欠かれた小凹部14が形成されている。第2の開口部12に面したハウジング部4の外側面4aには略菱形形状の取付け凹部15が第2の開口部12周縁を包囲するように形成されている。
【0023】
図7に示すように、透孔10内には移動コマ部材としてのアームストッパ17及びナット部材としての六角ナット18が配設され、外蓋19によって透孔10内への出入り口となる第2の開口部12が封鎖されている。図11(a)〜(c)に示すように硬質プラスチック製のアームストッパ17は中空のカップ状部材であって、前面壁22に はボルト孔23が形成されている。前面壁22にはボルト孔23を包囲するようにリング状に配置されたセレーションからなる第1の噛合面24が形成されている。アームストッパ17の外周には正八角形の断面形状に形成された係合面25が形成されている。アームストッパ17の後端縁には同径のフランジ26が全周囲に渡って形成されている。フランジ26の一部には外方に突出した凸部26aが形成されている。
アームストッパ17の内周面には正六角形の断面形状に形成されたナット収容部27が形成されている。ナット収容部27内には図9に示す六角ナット18が配設されており、六角ナット18はその外周面でナット収容部27と係合されている。従って、六角ナット18とアームストッパ17は周方向に一体的な回動関係とされる。
アームストッパ17は透孔10内に第2の開口部12方向から凸部26aが小凹部14に対応するように、つまり挿入する際の周方向における向き(位相)の位置決めをした状態で第1の噛合面24側から透孔10内に挿入させて収容するようになっている。六角ナット18はアームストッパ17と共に透孔10内に収容される。
アームストッパ17(及び六角ナット18)が透孔10内に収容された状態でハウジング部4の外側面4aに形成された取付け凹部15に対して外蓋19をネジ29によって取り付ける。取付け凹部15に対応した略菱形形状の外蓋19は内面、つまり透孔10側を向いた面に押圧突起19aが形成されている。
【0024】
アームストッパ17は透孔10内に配置された状態でその外周の係合面25が回り止め面13に係合されて周方向への回動が規制される。従って、六角ナット18の周方向への回動も規制されることとなる。アームストッパ17の全幅(軸方向長さ)は透孔10の全長よりも短く、そのためアームストッパ17は透孔10内において前後方向(図7における左右方向)に進退可能に遊嵌されることとなる。 更に、アームストッパ17の係合面25の軸方向の長さ(フランジ26の側面までの長さ)は、回り止め面13の軸方向の長さ(段差部13aに至るまでの長さ)より長く構成されている。従って 、 アームストッパ17が挿入空間S方向に進出すると第1の噛合面24は挿入空間S方向内に露出されることとなり、アームストッパ17が後退すると第1の噛合面24は透孔10内に没することとなる。アームストッパ17はフランジ26 が透孔10内の段差部13aに当接することでそれ以上の進出が阻止される一方、外蓋19の押圧突起19aと干渉するまで後方に移動可能とされる。
【0025】
第2の軸受部7には左右方向に連通するボルト孔30が形成されている。図4(a)及び図4(b)に示すように、ボルト孔30は第1の軸受部6側の透孔10の中心と同一軸線上に位置されている。図4(a)に示すように、第2の軸受部7の外側面4 b には側面視において一部切り欠き状の円形の外周を有する収容凹部31が形成されている。収容凹部31の中心はボルト孔30の軸心と一致する。収容凹部31の中央位置であって軸受部7 の周囲にはリング状の小凹部31aが形成され、図9に示すように小凹部31a内にゴムパッキン32が配設される。
スタンド本体2にはボルト部材としての角度調整ネジ33が併設されている。角度調整ネジ33は第1及び第2の軸受部6,7間に挿通される軸部材とされる。
図1、図2、図6及び図9等に示すように、角度調整ネジ33は雄ネジ本体34と雄ネジ本体34の基端に固着されたヘッド35から構成されている。ヘッド35は円盤状の板体形状をなし、その外面中央の直径に沿った位置にはつまみ部35aが形成されている。ヘッド35の直径は収容凹部31の直径と対応(若干小径)している。図7 に示すように、角度調整ネジ33の雄ネジ本体34がボルト孔30に挿通された状態でヘッド35は収容凹部31内に自在回動可能に収容される。
図1及び図3に示すように、ヘッド35の一部は常時一部切り欠かれた収容凹部31から露出する部分を有し、側面視においてヘッド35の露出部分はスタンド本体2の角部の面取り形状のシェイプと一致するため側面視においてスタンド本体2の全体形状のデザイン上の協調が図られている。また、正面視においてヘッド 35の外側面はハウジング部4の外側面4b と略一致した高さとされる(若干外側面4b よりも高い)ため正面視においてもハウジング部4の外側面4b と デザイン上の協調が図られている。
雄ネジ本体34は図6に示すように、収容凹部3にヘッド35が収容された状態でその先端が第2の軸受部7側の透孔10内の外蓋19に接触しない位置まで達する長さとされている。
【0026】
図13に示すように、ハウジング部4はベース部5上に載置されている。ベース部5は複数の爪40(図13では1つのみを表示)と支柱41を備えている。ハウジング部4はハウジング部4内部に散点的に形成された係合溝42に対してそれぞれ爪40を係合させるとともに、ハウジング部 4 の上壁4c と 支柱41上部とを図示しないネジによって共締めすることでベース部5に対して固定されている。ベース部5の中央位置には上下動可能に駆動ピン43が配設されている。駆動ピン43の下端側はベース部5下面を覆うように配設されたシリコーンゴム製の吸盤44に連結されている。ベース部5と吸盤44との間には駆動ピン43を包囲するようにコイルスプリング45が配設されている。
駆動ピン43の上部位置にはレバー47が回動軸46によって回動可能に連結されている。レバー47においては回動軸46寄りが駆動伝達部としてのカム47aとなり、先端寄りが押圧部47bとされる。レバー47全体としては回動軸46を支点、カム47aを作用点、押圧部47bを力点とするてこ装置である。押圧部47bはハウジング部4後方の露出口48から露出されている。駆動ピン43のベース部5上方に露出した部分とレバー47のカム47aは第1及び第2の軸受部6,7及び挿入空間Sの背後位置となるハウジング部4内部に収納されることとなる。
このような構成とすることで、図13に示すようにレバー47が上方の実線の位置にある状態から、回動して仮想線の位置に変位することで駆動ピン43が上方に移動するため吸盤44内部が負圧になって接地面 (例えば、車両内のダッシュボード等の平らな面上) に張り付けることができる。
【0027】
次に、アーム3について説明する。
図1〜図3に示すように、アーム3はアーム本体51とクレードル52とから構成されている。アーム本体51は断面円形形状の中実の硬質プラスチック製の成型品であって、基端には第3の軸受部としての回動軸受53が形成され、先端に球状のピボット部54が形成されている。図9及び図10に示すように、回動軸受53はその外周側面にアーム本体51 先端 が連結された太鼓状の円筒形状の外観を備えている。回動軸受53は左右の円形の平面部53a,53bに直交する方向に透設されたボルト孔56 を 備えている。回動軸受53の幅はスタンド本体2側の挿入空間Sの幅(第1及び第2の軸受部6,7の内側面6a,7aの間隔)よりも若干(本実施例では0.2mm)薄い厚みに構成されている。回動軸受53の前記第1の軸受部6方向を向いて配置される平面部53aにはボルト孔56を包囲するようにリング状に配置されたセレーションからなる第2の噛合面55が形成されている。図10に示すように平面部53aの周囲の回動軸受53の周縁には平面部53aより若干高く構成され平面部53aを包囲するリング部50が形成されている。クレードル52の背面には図示しないピボット受け部が形成されており、アーム本体51側のピボット部54が自在回動可能に取着されている。クレードル52の前面には車載用電子機器を載置するためのラック57が形成されており、ラック57上には車載用電子機器の装着時に案内するためのリブ58 が 形成されている。リブ58に隣接した位置には車載用電子機器内に挿入されてデータの授受をするための接続端子59が立設されている。クレードル52の側面には 図2に示すように 電源用端子60が配設されている。
【0028】
このように構成されたスタンド装置1の作用について説明する。
図14に示すように、ユーザーは第2の噛合面55が第1の軸受部6方向を向くようにスタンド本体2の挿入空間Sにアーム3の回動軸受53を挿入する。このとき、もしアームストッパ17の第1の噛合面24が挿入空間S内に露出(進出)しているようであれば、事前に指等で押して透孔10内に第1の噛合面24が没するまで後退させるようにする。回動軸受53の幅は挿入空間Sの幅よりも薄いため、スムーズに挿入空間Sに挿入することができる。挿入によって回動軸受53は後方の湾曲した壁部8に当接し、保持されることで、おおむね回動軸受53のボルト孔56は第2の軸受部7のボルト孔30に照合される位置に配置される。 つまり、壁部8の曲率と回動軸受53の外周の曲率が一致しているため、このようにスムーズな照合が可能となっており、ボルト孔30,56同士の位置合わせが容易となっている。また 、回動軸受53を挿入空間Sに挿入する際にはリング部50によって第2の噛合面55は保護されているため、挿入時に第2の噛合面55が第1の軸受部6の角部や内側面6aに接触することが防止されている。
次いで、作業者は第2の軸受部7の外方から角度調整ネジ33の雄ネジ本体34をボルト孔30から挿入する。
挿入された雄ネジ本体34は回動軸受53のボルト孔56を通過して第1の軸受部6の透孔10内に至る。そして、アームストッパ17のボルト孔23から内部の六角ナット18に螺合される。作業者はアーム3を任意の仰俯角度となるように支えながら角度調整ネジ33を締め付け方向に回動させるようにする。すると、六角ナット18は雄ネジ本体34に沿ってアームストッパ17ともども挿入空間S方向に移動し、やがてアームストッパ17の第1の噛合面24は第1の開口部11から露出して回動軸受53の第2の噛合面55に噛合され、アーム3は片持ち梁状に固定される。図7は第1の噛合面24と第2の噛合面55が噛合された状態である。図6のアームストッパ17が後退している状態に比べて、第1の噛合面24がわずかに挿入空間Sに突出している。尚、軸受53の幅は挿入空間Sの幅よりも若干薄いだけ なので 、図示としてはこのようにわずかな露出量とされる。
逆にアーム3を取り外す場合には上記とは逆方向に角度調整ネジ33を回動させ、六角ナット18との螺合状態を解除し、角度調整ネジ33を抜き取ることでアーム3の回動軸受53を挿入空間Sから取り出すことが可能となる
【0029】
以上のような構成の実施例1のスタンド装置1では次のような効果が奏される。
(1)アームストッパ17の第1の噛合面24を挿入空間Sに露出させない位置に移動させることができるため、従来のように軸受部を拡開させなくともアーム3の回動軸受53を挿入することができ、単に回動軸受53を挿入空間Sに挿入させるだけでよく、ユーザーに複雑な作業を強いることがなく、簡単にスタンド本体2にアーム3を固定させることができる。また、回動軸受53を挿入空間Sに挿入させた状態で第1の噛合面24と第2の噛合面55が噛合されるため歯同士の衝突は生じず、歯が欠けたりつぶれたりする恐れがない。また、軸受部を拡開させなくともよいため、第1及び第2の軸受部6,7は全高を低くすることができアーム本体5 1 をコンパクトに構成でき、なおかつ第1及び第2の軸受部6,7を厚みのある十分な剛性を有するものに構成できる。
(2)アームストッパ17は透孔10内に進退可能に遊嵌されており、第1の開口部11から露出はするものの脱落防止用のフランジ26が形成されているため、回動軸受53を挿入空間Sに挿入させていない状態でも脱落することがない。
(3)透孔10を封鎖する外蓋19は押圧突起19aが形成されているため、押圧突起19aの進出量を適宜調整することで透孔10内におけるアームストッパ17の進退量を調整することができる。例えば、アームストッパ17の進退量が大きすぎる場合には押圧突起19a長くする等の対応をすることで透孔10の長さに関わらずアームストッパ17の部材の共通性を図ることができる。
(4)アームストッパ17内部に六角ナット18は収容されているため狭い透孔10内における部材の占める容積を削減でき、コンパクト化に貢献する。
(5)角度調整ネジ33のヘッド35はハウジング部4の外側面4 b に形成された収容凹部31内に収容されているため、出っ張ることがなくコンパクト化に貢献する。また、デザイン的にも収容凹部31内に収容されているためハウジング部4の外側面との協調が図られており、機能と美観の両方を充足させるような構成となっている。
(6)外蓋19は ハウジング部4の外側面3aに形成された取付け凹部15に嵌めこまれるため、出っ張ることがなくコンパクト化に貢献する。また、デザイン的にもハウジング部4の外側面との協調が図られており、機能と美観の両方を充足させるような構成となっている。
【0030】
(実施例2)
次に、実施例2について説明する。実施例2では上記実施例1と異なる構成のみ説明し、基本的に上記実施例1と同様の構成や作用・効果については説明を省略する。また、実施例1と同じ構成については同じ番号を付すことで詳しい説明は省略する。
図15に示すように、実施例2のスタンド装置81ではアームストッパ17のナット収容部27にはボルト部材61のヘッド62が収容され、ボルト部材61のボルト本体62がボルト孔23から前方に突出するように構成されている。一方、ボルト本体62に螺合させられる角度調整ネジ64は図16に示すように第2の軸受部7側を向いた面に雌ネジ部65が形成されている。つまり、実施例2では実施例1に対してボルト部とナット部材の関係が逆となっている。
実施例2では実施例1のような外蓋19が設けられていない。実施例2では第2の開口部12周辺にアームストッパ17と干渉する突起が配設されており、アームストッパ17は第2の開口部12は脱落せず、ボルト部材61は第2の開口部12から透孔10内に挿入可能とされている。実施例2ではアーム3の取り付け作業時に、まずアーム3の回動軸受53を挿入空間Sに挿入してから第2の開口部12方向からボルト本体62を挿入するようにする。
このような構成でも、角度調整ネジ64 の回動に伴ってアームストッパ17はヘッド62に押動されて挿入空間Sに進出してアーム3の回動軸受53と第1の噛合面24と第2の噛合面55との間の噛合によってアーム3を固定することが可能である。
【0031】
(実施例3)
次に、実施例3について説明する。実施例3では上記実施例1と異なる構成のみ説明し、基本的に上記実施例1と同様の構成や作用・効果については説明を省略する。また、実施例1と同じ構成については同じ番号を付すことで詳しい説明は省略する。
図17に示すように、実施例3のスタンド装置82ではアーム3側に上記実施例1の第1及び第2の軸受部6,7の構成と同様の第1及び第2の軸受部71、72が形成されている。一方、スタンド本体2のハウジング部4には上記実施例1の回動軸受53と同様の構成の回動軸受73が形成されている。回動軸受73の挿入時に第1の軸受部71側を向く面には第2の噛合面55が形成されている。つまり、実施例1とは第1及び第2の軸受部と第3の軸受部の関係が逆となっている。このような構成であっても、上記実施例1と同様の作用効果を奏することが可能である。
【0032】
本発明を、以下のように具体化して実施してもよい。
・第1の噛合面24と第2の噛合面55を上記のようなセレーション以外の作用面で構成することも可能である。
・六角ナット18はアームストッパ17内に収容させるような構成であったが、収容させずにアームストッパ17の後方(外方側)に隣接配置するような構成にしてもよい。
・透孔10を封鎖する外蓋19には押圧突起19aを必ずしも形成する必要はない。また、上記の外蓋19はネジ29で固定していたが、着脱が容易なように係合爪を内側面の周縁に形成させ、ハウジング部4の外側面3aに形成した溝に係合させるような方式でも構わない。
・上記実施例ではアームストッパ17は第1の軸受部6の内部の透孔10に外部から目視しにくいように収容されていたが、このような透孔10内に収容せずにハウジング部4の外側面3aに保持させるような構造(例えば、第1の軸受部6にそれほど厚みのない場合等)であっても構わない。
・スタンド装置1の構成については上記は一例であり、種々の形状が想定できるものとする。
・スタンド本体の固定手段としては上記のような吸盤44によるもの以外に、例えば両面テープや粘着テープを使用したものでもよい。
・その他、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において変更した態様で実施することは自由である。
【符号の説明】
【0033】
1,81,82…スタンド装置、2…スタンド本体、3…アーム、6,71…第1の軸受部、7,72…第2の軸受部、17…移動コマ部材としてのアームストッパ、18…ナット部材としての六角ナット、24…第1の作用面としての第1の噛合面、33…ボルト部材としての角度調整ネジ、53…第3の軸受部としての回動軸受、55…第2の作用面としての第2の噛合面、61…ボルト部材、63…ナット部材としての角度調整ネジ、S…挿入空間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意の装着位置に固定手段によって固定され、表示部を有する車載用電子機器を任意の仰俯角度で片持ち梁状に支持する車載用電子機器のスタンド装置において、
左右一対の第1及び第2の軸受部を備え、同第1及び第2の軸受部間に所定間隔の挿入空間が形成された前記固定手段によって固定されるスタンド本体と、
前記挿入空間に隣接して前記第1の軸受部に形成された開口部に面して配設され、前記挿入空間を向いた面に第1の作用面が形成された移動コマ部材と、
前記挿入空間の所定間隔よりも薄い厚みに構成された第3の軸受部を備え、同第3の軸受部が前記挿入空間内に配置されるとともに、前記第1の軸受部方向を向いた前記第3の軸受部の側面に第2の作用面が形成された前記電子機器が搭載されるアームと、
直列状に配置される前記移動コマ部材、前記第1の軸受部、前記第3の軸受部及び前記第2の軸受部をこの順で挿通するボルト部材と、同ボルト部材の先端寄りに螺着されるナット部材から構成される締結部材とを備え、
前記移動コマ部材は前記第1の作用面が前記開口部から前記挿入空間内に進出した第1の位置と、前記第1の作用面が前記挿入空間から後退した第2の位置を取りうるように進退可能に保持されるとともに、前記ボルト部及び前記ナット部材のいずれか一方の回動を規制し、いずれか他方を回動させることで前記ナット部材を前記ボルト部の軸方向に沿って相対的に前記ボルト部のヘッド方向に移動させ、前記ナット部材又は前記ヘッドのいずれかによって前記移動コマ部材を進出方向に押動し前記第1の作用面と前記第2の作用面を当接させるようにしたことを特徴とする車載用電子機器のスタンド装置。
【請求項2】
前記固定手段の一部をなす作動機構は前記スタンド本体の前記第1及び第2の軸受部の背後に格納されていることを特徴とする請求項1に記載の車載用電子機器のスタンド装置。
【請求項3】
任意の装着位置に固定手段によって固定され、表示部を有する電子機器を任意の仰俯角度で片持ち梁状に支持する車載用電子機器のスタンド装置において、
左右一対の第1及び第2の軸受部を備え、同第1及び第2の軸受部間に所定間隔の挿入空間が形成された前記電子機器が搭載されるアームと、
前記挿入空間に隣接して前記第1の軸受部に形成された開口部に面して配設され、前記挿入空間を向いた面に第1の作用面が形成された移動コマ部材と、
前記挿入空間の所定間隔よりも薄い厚みに構成された第3の軸受部を備え、同第3の軸受部が前記挿入空間内に配置されるとともに、前記第1の軸受部方向を向いた前記第3の軸受部の側面に第2の作用面が形成された前記固定手段によって固定されるスタンド本体と、
直列状に配置される前記移動コマ部材、前記第1の軸受部、前記第3の軸受部及び前記第2の軸受部をこの順で挿通するボルト部材と、同ボルト部材の先端寄りに螺着されるナット部材から構成される締結部材とを備え、
前記移動コマ部材は前記第1の作用面が前記開口部から前記挿入空間内に進出した第1の位置と、前記第1の作用面が前記挿入空間から後退した第2の位置を取りうるように進退可能に保持されるとともに、前記ボルト部及び前記ナット部材のいずれか一方の回動を規制し、いずれか他方を回動させることで前記ナット部材を前記ボルト部の軸方向に沿って相対的に前記ボルト部のヘッド方向に移動させ、前記ナット部材又は前記ヘッドのいずれかによって前記移動コマ部材を進出方向に押動し前記第1の作用面と前記第2の作用面を当接させるようにしたことを特徴とする車載用電子機器のスタンド装置。
【請求項4】
前記移動コマ部材の前記挿入空間側への脱落を防止する脱落防止手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車載用電子機器のスタンド装置。
【請求項5】
前記移動コマ部材は前記第1の軸受部に形成された収容空間内に収容され、同収容空間内において進退することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の車載用電子機器のスタンド装置。
【請求項6】
前記収容空間は外方に開口する開口部を備え、同開口部が蓋部材によって封鎖されていることを特徴とする請求項5に記載の車載用電子機器のスタンド装置。
【請求項7】
前記蓋部材には前記移動コマ部材方向に突出する押圧部が形成されていることを特徴とする請求項6に記載の車載用電子機器のスタンド装置。
【請求項8】
前記蓋部材の外側面は前記第1の軸受部の外側面と連続又は略連続的な面とされていることを特徴とする請求項7に記載の車載用電子機器のスタンド装置。
【請求項9】
前記ボルト部材はその基部位置に前記第2の軸受部の外方に配置される操作部を備えていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の車載用電子機器のスタンド装置。
【請求項10】
前記操作部は操作用のつまみ部を備えた円板として構成され、前記第2の軸受部の外側面に形成された凹部内に埋設されていることを特徴とする請求項9に記載の車載用電子機器のスタンド装置。
【請求項11】
前記操作部と前記第2の軸受部の外側面とは連続又は略連続的に接続されていることを特徴とする請求項10に記載の車載用電子機器のスタンド装置。
【請求項12】
前記操作部の外側面は前記第2の軸受部の外側面と連続又は略連続的な面とされていることを特徴とする請求項11に記載の車載用電子機器のスタンド装置。
【請求項13】
前記移動コマ部材は前記ナット部材を兼ねていることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の車載用電子機器のスタンド装置。
【請求項14】
前記ナット部材は前記移動コマ部材内に同移動コマ部材と一体回動可能に埋設され、前記移動コマ部材の回動が規制されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の車載用電子機器のスタンド装置。
【請求項15】
前記ボルト部材の前記ヘッドは前記移動コマ部材内に同移動コマ部材と一体回動可能に埋設され、前前記移動コマ部材の回動が規制されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の車載用電子機器のスタンド装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−61909(P2012−61909A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−206357(P2010−206357)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(391001848)株式会社ユピテル (238)
【Fターム(参考)】