説明

車載用電子機器及びヒンジ部品

【課題】構造が簡単で低コストで多様な要求にも対応できる、ヒンジ構造を備えた車載用電子機器を提供すること。
【解決手段】ケース本体1に対してヒンジ部品25を介して表示パネル収納ケース(パネル)2を取り付ける。ヒンジ部品25は、本体の一端側がケース本体1に対して回転不能に片持ち支持され、他端側がパネル2の側縁に設けられた貫通孔21内に挿入されることでパネル2がヒンジ部品25を中心に正逆回転可能になる。本体の他端側には、円周に沿って湾曲して延びるように形成されるバネ性の第2係止爪30を有し、その先端に外周面側に突出する突起部30aを設ける。貫通孔の内周面には、パネル2を閉じたときに突起部30aと接触してその閉じた状態を保持する位置に設けられた第1突起31と、パネル2を開いたときに突起部30aと接触してその開いた状態を保持する位置に設けられた第2突起32を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波検出器,赤外線検出器,目標物検出装置その他の車載用電子機器に関するもので、より具体的には、表示部等の開閉する部材に設けられるヒンジ構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
車両速度測定装置から送出されるマイクロ波を検知して報知する目標物検出装置(マイクロ波検出器)が知られている。この目標物検出装置は、速度測定装置と同一の周波数を用いたコンビニエンスストアの自動ドア等の誤動作源から送出されるマイクロ波を受信した場合も、車両速度測定装置からのマイクロ波の受信と認識して不用な警報を発してしまうという問題がある。このような事情に鑑み、最近の目標物検出装置は、誤動作源の位置情報を記憶しておき、GPSにより自車の位置を認識し、誤動作源に車両が位置した時にマイクロ波を検出しても警報を発しないように制御することで不要な警報を発するのを防止している。
【0003】
また、車両の速度を計測する装置としては、上記のマイクロ波を用いたものにかぎられず、例えば、道路下に埋め込み設置した2つのループコイルにて道路上を走行する車両を検出し、その2つのループコイルから出力される検出信号の時間差に基づいて車両計測するものもある。係るタイプの車両速度測定装置は、マイクロ波が出力されないため上記のマイクロ波検知を利用した目標物検出装置では検出できない。
【0004】
そこで、係る検出対象物の位置情報を記憶保持しておき、GPSにより検出した自車の位置と検出対象物の位置とが所定の関係になった場合に警報を発するようにした目標物検出装置がある(例えば、特許文献1等)。また、事故多発地点などの位置情報を記憶保持させておくと、自車両が係る事故多発地点の周囲に至った場合に、その旨を通知することで、ドライバーに注意を促し、安全運転に貢献することができる。このように、登録する目標物は、具体的な物体に限らず、各種のものが適用できる。
【0005】
この種の目標物検出装置等の車載用電子機器では、液晶やELなどの画面表示を行なう画面表示部付のタイプがある。この画面表示部付のタイプの車載用電子機器は、近年、警報表示する種類・内容を多くしつつ、表示内容の見やすさも図る等の理由から表示画面の高精密化,画面サイズの大型化等が図られるようになった。これにより、ドライバーは、状況に応じた適切な様々な情報を知ることができ、特に知らない道を走行している際には、安全運転を図る上でも好ましい情報提供を受けることができる。
【0006】
一方、ドライバーの自宅の周囲など良く行く地域では、ドライバーは、両速度測定装置の設置位置その他の車載用電子機器にて報知する内容の存在位置を知っており、警報が不要な場合がある。そのような場合において、登録された目標物の近くに来た場合に一律に警報を発すると、かえって煩わしさを感じる人もいる。そのような人のために、登録した地域では、警報を発しないようにするモードを備えた車載用電子機器もある。このような場合に、バッテリーの消耗を避けるために、登録した地域では表示画面をOFFにすることが考えられる。
【0007】
係る表示画面をOFFにする方式を採った場合、上述したように、昨今の画面サイズの大きな画面表示部を備えた車載用電子機器の場合、画面が消え、黒っぽい大きな画面表示部を備えた車載用電子機器が、ダッシュボードの上などのドライバーの視界中に存在することになり、あまり見栄えの良いものではない。もちろん、表示画面がONのままでも、特に見る必要(取得すべき情報)がないようなときには、画面サイズの大きな画面表示部がドライバーの視界中に存在するのを好ましくないと感じる人がいるかもしれない。
そこで、係る問題を解決するための新たな車載用電子機器として、以下に示す構成のものを創案した(説明の理解をより促すために、本発明の好適な一実施形態を示す図1を引用して説明する)。すなわち、新たな車載用電子機器は、図1に示すように、表示画面による報知を表示するための表示パネル3と、各種の報知を行なう制御部と、を備え、スピーカ,制御部はケース本体1内に収納する。表示パネル3を収納する表示パネル収納ケース2は、ケース本体1に対して回転可能に取り付ける。図1(a)に示すような表示パネル収納ケース2を起立させて表示パネル3の表示画面が露出して外部から視認可能な開状態と、図1(b)に示すような表示パネル収納ケース2を倒して表示画面が外部に対して非露出状態となり外部から視認不能な閉状態と、を採るように構成する。さらに制御部は、開状態のときには画面表示による報知も行ない、閉状態のときには画面表示による報知を行なわないように動作する。表示部の開閉処理により、画面表示の報知の有無を切り替えることができ、閉じることで消費電力を低減できるようにした。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−46976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の新たな構成では、表示パネル収納ケース2を所定角度範囲内で正逆回転させるようにするとともに、少なくとも、開いた状態と閉じた状態でその姿勢を保持するようにする必要がある。そのため、回転を許容すると共に、所望の位置でその回転をロックする機構を備えるヒンジ構造を用いる必要がある。目標物を報知する機能を備えたこの種の従来の車載用電子機器では、たとえば、ダッシュボードと、サンバイザーの両方に取付可能とするタイプのもので、ソーラーパネルを備えたものの場合、ソーラーパネルをケース本体に対して回転可能に取り付け、設置箇所に応じてケース本体に対するソーラーパネルの角度位置を任意に設定し、その姿勢を保持するようにしたものがある。係る装置における固定構造は、もっぱらネジを緩めたり、締め付けたりするものであり、ソーラーパネルのように一旦回転角度を決めるとその状態を保持しつつけるものの場合にはよいが、上記の表示パネルのように使用中に何回も開閉を繰り返すものでは、ネジを用いた構造では実用に供し得ない。
【0010】
また、車載用電子機器ではないが、たとえば、折りたたみ式の携帯電話機の場合、表示部分を開閉し、閉じた状態と開いた状態の2つの位置で固定するものがある。係る携帯電話機におけるヒンジ構造は、回転とロックをする機能を備えたヒンジ部分が独立した別のユニット部品となり、その構造は複雑であるとともに各製品に合わせて開発・提供がされている。従って、携帯電話機のように製造個数が非常に多数のものの場合にはまだしも、この種の車載用電子機器のように携帯電話機に比べると製造個数の少ないものに適用する場合、元々構造が複雑で高コスト化を招く要因があると共に、専用部品とするとさらにコスト高となり実用に供し得ない。
【0011】
本発明は、構造が簡単で低コストで多様な要求にも対応でき、できるだけ部品の共有化を図るヒンジ構造を備えた車載用電子機器並びにヒンジ部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した目的を達成するために、本発明に係る車載用電子機器は、(1)ケース本体に対してヒンジ部品を介して正逆回転可能に連係されるパネルを備えた車載用電子機器であって、前記パネルは、少なくとも起立して開いた状態と、前記ケース本体の表面に対向する閉じた状態の2つの姿勢を採るように構成され、前記ヒンジ部品は、棒状の本体の一端側が前記ケース本体に対して回転不能に片持ち支持され、その棒状の本体の他端側は、前記パネルの側縁に設けられた貫通孔内に挿入されることで前記パネルがそのヒンジ部品を中心に正逆回転可能に構成され、前記ヒンジ部品の本体の他端側には、係止爪を設け、その係止爪は、バネ性を有し、先端がフリー状態となり、その先端に外周面側に突出する突起部を設け、前記貫通孔の内周面の所定の角度位置には、前記係止爪の突起部と接触し回転止めをするための突起を複数設け、その複数の突起のうちの1つは、前記パネルを閉じたときに前記突起部と接触してその閉じた状態を保持する位置に設けられた第1突起であり、その複数の突起のうちの他の1つの突起は、前記パネルを開いたときに前記突起部と接触してその開いた状態を保持する位置に設けられた第2突起であるようにした。
【0013】
本発明では、上記の構成のヒンジ部品を用いるとともに、パネルに設けた貫通孔の内周面の所定位置に複数の突起を設けると行った簡単な構成で、パネルを正逆回転自在にするとともに、所定の位置でその姿勢を保持させることができる。しかも、パネルの開放角度は、突起の位置を変えることで変更でき多様な要求にも対応できる。そして、異なる機種のヒンジ機構を形成するに際し、係る突起の位置の設計を適宜に行なうことで、ヒンジ部品を共通して使用することができる。
【0014】
(2)前記係止爪を、棒状の本体の円周に沿って湾曲して延びるように形成するとよい。係る構成を採ると、回転時に突起と接触した際の力をうまく受けることができるとともに円周面で適切に車両振動を吸収することができる。さらに、ヒンジ部品の径を比較的小さくしても係止爪が十分なバネ性を有しつつ係止爪に十分な強度をもたせることが容易にできる。更に、ヒンジ部品の径を容易に小さくできるので、コストの削減およびデザインの自由度が高まる。
【0015】
(3)前記第2突起を複数箇所に設けるとよい。このようにすると、パネルを開いた状態で保持する角度が複数になり、ユーザは、状況に応じてパネルの開放角度を変更できるので、使い勝手が良くなる。
【0016】
(4)前記パネルを所定角度に開いて前記第2突起を乗り越えてきた突起部と接触して、それ以上開くのを阻止するための第3突起を更に備えるとよい。第2突起と第3突起との間に突起部が位置し、その突起部が両突起に挟まれるようにすることで、パネルは正逆いずれの方向への回転も抑止され、その位置で保持することができる。
【0017】
(5)前記係止爪と複数の突起は、複数組設けられるようにしてもよい。実施形態では、2組も受けるようにしたが、複数も受けることで、より安定して回転・停止(固定)をすることができる。もちろん、本発明は、1組のみ設置するものでも良い。
【0018】
(6)前記回転不能に片持ち支持する機構は、前記ケース本体に、前記ヒンジ部品の一端側を挿入支持する孔部を有する係止受け部を設け、その孔部の内周面と前記ヒンジ部品の一端側の外周面の少なくとも一部に非円形状の係止面を設け、その係止面同士を接触させることで回転させないようにすることができる。実施形態では、係止面は、平面としたが、多角形状としたり、楕円などの真円でない曲面としたり、対向する両面に互いに嵌り合う凹凸を設けたりするなど各種の構成を採ることができる。なお、本発明は、このように係止面による回転不能にするものに限ることはなく、ネジ止めにより固定したり、はめ込みにより生じる摩擦力を利用する(ヒンジ部品の一端側の外形寸法を孔部の内径寸法よりも大きくする)などの他の各種の方法を採ることができる。
【0019】
(7)前記ヒンジ部品の一端側の先端が、前記孔部を突き抜けるとともに前記係止受け部からの離脱が抑止されるように構成するとよい。離脱を抑止する構成としては、実施形態では、第1係止爪28の先端の突起部分28aを孔部24から突出させその外側で係り止めさせる構成を採ることで実現している。
(8)前記パネルは、表示パネルとすることができる。もちろん、表示パネル以外でも良い。
【0020】
(9)本発明のヒンジ部品としては、上記(1)から(8)に記載の車載電子機器におけるヒンジ部品の構成を採る。
【発明の効果】
【0021】
本発明では、構造が簡単で低コストで多様な要求にも対応でき、できるだけ部品の共有化を図るヒンジ構造を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の好適な一実施形態を示す図である。
【図2】本発明の好適な一実施形態を示す図である。
【図3】ヒンジ部品の一例を示す図である。
【図4】ヒンジ機構部分を示す断面図である。
【図5】作用を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1〜図5は、本発明の好適な一実施の形態を示している。本実施形態の車載用電子機器15は、車両の現在位置情報や、外部から飛来する電波情報を取得し、取得した情報が設定した条件に合致した場合に警報・報知をする装置である。この車載用電子機器15の外観を構成するケース本体1は、平面略矩形の扁平な形状からなり、その上面は、前方側が高く後方側が一段低く構成される。つまり、前方部分1aの厚さ(高さ)h1は、後方部分1bの厚さ(高さ)h2よりも大きく設定している。なお、本形態において、前側とは、車載用電子機器(車載用電子機器)を車室内の所定位置(たとえば、ダッシュボード上)に置いたときに車の前側(前方)に位置する側をいう。逆に言うと、ドライバーから見た場合には、車載用電子機器の後側が手前に来ることになる。
【0024】
ケース本体1の一段低くなった後方部分1bの上方に、扁平矩形状の表示パネル収納ケース2を配置する。この表示パネル収納ケース2は、後方部分1bの前方部分1a側境界付近にてヒンジ機構5によりケース本体1に所定角度範囲内で正逆回転自在に取り付けられる。これにより、図1(a)に示すような表示パネル収納ケース2が起立した状態と、図1(b)に示すように表示パネル収納ケース2が倒れた状態とを、採ることができる。図1(b)に示すように、表示パネル収納ケース2を閉じた状態では、その表示パネル収納ケース2が、ケース本体1の後方部分1b上の前方部分1aとの段差内に収まり、その本体ケース1と表示パネル収納ケース2の全体で一つの筐体のように見えるようにしている。厳密に言うと、表示パネル収納ケース2の厚さの方が、前方部分1aと後方部分1bの厚さの差(h1−h2)よりも大きくしているので、全体で一つの筐体と見なした場合には、後方側の方が厚くなるが、その差を適宜に設定することで、一体的に見えるようにしている。
【0025】
表示パネル収納ケース2の一方の面(倒れた状態のときにケース本体1と対向する下面)に、表示パネル3を取り付ける。この表示パネル3は、たとえば、有機ELディスプレイや液晶ディスプレイを用いて実現され、フレキシブルケーブルによりケース本体1に内蔵される制御部と電気的に接続される。これにより、表示パネル収納ケース2が倒れた(閉じた)状態では、表示パネル3は、収納ケース2の後方部分1bの上面と対向し、外部から視認不能となる。そして、表示パネル収納ケース2を起立させて開いた状態では、表示パネル3も起立して露出し、後方側、つまり、ドライバー側から視認可能となる。
【0026】
さらに本形態では、表示パネル収納ケース2の他方の面(倒れた状態のときにケース本体1と対向しない上面で、常時露出する面)には、ソーラーパネル4を取り付ける。このソーラーパネル4は、表示パネル3と背中合わせの状態で表示パネル収納ケース2内に収納される。これにより、機器の小型化を実現できるとともに、互いに相手方の補強部材としての機能も発揮して強度も得られるので、別途補強板を設ける必要が無くなるか、仮に設けたとしても最小限のものとすることができ、全体として薄く構成できる。
【0027】
ケース本体1の後方部分1bの上面の手前側端部には、スイッチ部7を配置する。このスイッチ部7は、表示パネル収納ケース2を起立させて開放した(開いた)状態の時に外部に露出し、ユーザが操作可能となり、表示パネル収納ケース2を倒して閉塞(閉じた)状態では、その表示パネル収納ケース2に覆われてユーザが接触することができず、操作不能となる。換言すると、表示パネル収納ケース2を閉じた状態にしておくことで、運転中を含めスイッチ部7に対する操作ができないようになるので、誤ってスイッチ部7に触れてしまい、予期しない処理・動作が行なわれてしまうのを防ぐことができる。さらに、従来のこの種の装置の場合、スイッチ部7は、常時露出した状態になることから、ソーラーパネルや表示画面のスペースの確保等のために、必然的に小さくなり、操作性が悪くなり、誤って異なるボタンを押下するなどを生じるおそれがあるが、本形態ではそのような制限が無く、個々のボタンの寸法形状を比較的大きくするとともに、それぞれを離すこともでき、見やすいと共に意図せずに同時に複数ボタンを押してしまったり、間違って別のボタンを押してしまったりなどの誤操作の発生の抑制を可及的に行なうことができる。
【0028】
ケース本体1の前方部分1aの前面側内部にマイクロ波受信機並びに無線受信機を配置し、ケース本体1の前方部分1aの上面側内部には、GPS受信機を配置する。また、ケース本体1の後方部分1bの後面に警報ランプ6を配置している。警報ランプ6は、所定の色のLEDから構成される。なお、警報ランプ6とともに、電源のON/OFF等を示すパイロットランプ等の警報以外に使用されるランプ(発光手段)も用意される。
【0029】
本形態では、表示パネル収納ケース2をケース本体1の後方部分1b側に設けるとともに、GPS受信機をケース本体1の前方部分1a側に設け、図1(a)に示すように、表示パネル収納ケース2を起立させた状態でも前方部分1aの大部分は表示パネル収納ケース2に覆われないようにしているので、表示パネルを開いた場合であっても、良好にGPS電波を受信することができ、自車位置情報を随時取得できる。
【0030】
さらに、ケース本体1の一方の側面には、電源スイッチ8並びにシガープラグコードを接続するためのDCジャック9を配置する。また、ケース本体1内には、スピーカや、無線受信機や、リモコン受信機等も内蔵されている。さらに、目標物の情報(経度・緯度を含む位置情報,種別情報等)などは、データベースに格納される。なお、データベースには、出荷時に一定の目標物に関する情報(経度・緯度を含む位置情報,種別情報等)が登録されている。また、使用に応じて各種の位置情報をデータベースに登録・更新することができる。
【0031】
マイクロ波受信機は、所定周波数帯のマイクロ波を受信し、その受信信号を制御部に送る。所定周波数帯は、たとえば車両速度測定装置から出射されるマイクロ波の周波数が含まれる周波数帯としている。無線受信機は、飛来する所定周波数の無線を受信する。リモコン受信機は、リモコン(携帯機:子機)とデータ通信をし、車載用電子機器15に対する各種の設定を行なう。また、スイッチ部7も制御部に接続され、リモコンと同様の設定を行えるようになっている。GPS受信機は、GPS信号を受信し、その受信したGPS信号から現在位置を求め、その求めた現在位置の位置情報(軽度,緯度)を制御部に送る。
【0032】
制御部は、上記の各種の入力機器(受信機等)から入力される情報に基づき所定の処理を実行し、出力機器(表示パネル3,警報ランプ6,スピーカ等)を利用して所定の警報・メッセージを出力する。この入力機器から入力される情報に基づく警報内容を決定する所定の処理は、基本的従来と同様のものを利用することができる。つまり、一定の条件を具備する信号を受信・取得した場合には、対応する警報を出力したりする。なお、スピーカを用いた警報は、ブザーや音声等がある。
【0033】
ケース本体1の底面には、上部開口した扁平な矩形箱状の電池収納ケース10が着脱可能に装着される。この電池収納ケース10内に、蓄電池11が収納される。蓄電池11は、充電回路を介してソーラーパネル4やDCジャック9に接続され、蓄電されるとともに、放電回路を介して制御部その他に対して電力供給可能としている。そして、車載用電子機器用支持具18は、その爪部18aを電池収納ケース10に設けたスリット部10aに挿入することで車載用電子機器15と一体化し、支持する。
【0034】
本形態では、制御部は、表示パネル収納ケース2の開閉状態を認識し、表示パネル収納ケース2が起立して開いた状態のときは、表示パネル3を用いた画面表示による警報を行ない、表示パネル収納ケース2を倒して閉じた状態のときは、表示パネル3を用いた画面表示による警報を行なわない(表示パネル3は、消灯する)ように制御する。これに伴い、画面表示を用いた警報を行なうモードの時には、警報ランプ6による警報を行なわず、画面表示を用いた警報を行なわないモードの時には、警報ランプ6による警報を行なうようにする。なお、スピーカを用いた警報は、いずれの状態のときにも行なうようにしている。開閉状態の認識は、たとえば、ケース本体1内の所定位置に磁気センサを設けるとともに、表示パネル収納ケース2の所定位置に磁石を設け、表示パネル収納ケース2の開閉に伴う磁気センサが検出する当該磁石の磁力の変化(大小)に基づいて行なうことができる。画面を閉じているときは、画面表示による報知を行なわないため消費電力を大幅に抑えることができる。
【0035】
この切り替え制御を行なうためのユーザの操作としては、ユーザは単に画面を閉じるだけで良く、画面表示を切るためのスイッチ操作など特別の操作をする必要もない。また画面部分を閉じることができるため、ドライバーが画面に気を取られて危険を招くこともない。このように画面部分を閉じた状態であってもスピーカと警報ランプ6による報知はなされるため、報知内容が画面表示されないために報知内容がわからないと言うこともない。さらに、表示パネル収納ケース2を閉じた状態では、全体として扁平な矩形状の本体のようになるとともに、音(音声を含む)とランプによる警報がされることから、表示パネルを備えていない従来タイプの車両速度測定装置を検出する車載用電子機器に類する形態となり、ドライバーにとっても違和感なく十分な情報を伝えることができる。
【0036】
本形態によれば、通勤や生活圏等で普段良く通る道を運転する際には、表示パネル収納ケース2(表示パネル3)を閉じて音(警報ランプ6)によって報知内容を知ることができるとともに、例えば休日に遠出する場合のように普段は通らない道を運転する際には表示パネル収納ケース2を開いて画面表示の報知によって視覚によってより多くの情報を得ることができる。このような利用方法では、普段は消費電力が少ない状態で利用しているため、十分な電力を蓄電池に蓄電できるとともに、表示パネル収納ケース2を開いて利用した場合にその蓄電した電力を利用して、画面表示による報知を長時間にわたって行なうことも可能となる。
【0037】
また、普段は画面を閉じてDCジャック9からシガープラグコードを外し、ソーラーパネル4と蓄電池のエネルギーのみで長時間の動作が可能となるとともに、遠出をするときにだけ、画面を開くとともにDCジャック9にシガープラグコードを接続して車両のバッテリーから電源供給を受けて長時間の動作をさせることもできる。このようにすれば、普段はシガープラグコードがじゃまになることはなく利用できるとともに、画面表示を必要とする場合にだけ車両から電源供給を受けて安定的に長時間動作させることが可能となる。
【0038】
また、上記のような新たな形態・構成からなる車載用電子機器の場合、ユーザによっては比較的頻繁に表示パネル収納ケース2の開閉操作を行なうことが予想され、その開閉操作が容易に行えると共に、開いた状態や閉じた状態を安定して保持する必要がある。また、車両振動によって表示パネル収納ケース2が、がたついたりすることも防止する必要がある。更に、不用意にその開閉状態が変わるのは好ましくない。そこで、本実施形態では、係る機能を実現するためのヒンジ機構5として、図2以降に示す構成を採った。
【0039】
すなわち、表示パネル収納ケース2の一辺の両端近傍所定位置に切り欠き部22を設け、その切り欠き部22の外側に筒状部20を設けている。この筒状部20には、軸方向に貫通する貫通孔21が形成される。この貫通孔21内にヒンジ部品25が軸回りに正逆回転可能に挿入される。
【0040】
また、ケース本体1の後方部分1bの前方部分1a側境界付近には、切り欠き部22に対応する位置に、ヒンジ部品25の一端を片持ち支持して固定する係止受け部23が設けられる。つまり、係止受け部23には、軸方向に延びる孔部24が形成される。そして表示パネル収納ケース2の切り欠き部22内に係止受け部23が入り込むとともに、貫通孔21と孔部24の軸心が一致するように位置あわせをして、ケース本体1上の所定位置に表示パネル収納ケース2を配置し、その状態で、ヒンジ部品25を貫通孔21の外側から挿入するとともに、そのヒンジ部品25の先端を係止受け部23の孔部24内に挿入する。これにより、ヒンジ部品25は、係止受け部23に回転不能に固定され、さらに、表示パネル収納ケース2は、ヒンジ部品25にて離脱が抑止されると共に、ヒンジ部品25の軸心に対して正逆方向に回転可能となり、図1(a),(b)に示す2つの姿勢の範囲で開閉可能となる。
【0041】
係止受け部23におけるヒンジ部品25の固定構造は、以下の通りである。まず、ヒンジ部品25は、図3に示すように、棒状(円筒,円柱)の本体26の一端側に、その径方向両側を除去した形状の平行な平面からなる係止面27を設け、その係止面27と同一平面でさらに軸方向外側に突出する一対の第1係止爪28を形成している。
【0042】
また、係止受け部23側は、その孔部24の内形状を、ヒンジ部品25の一端側の外形状と略符合する寸法形状としている。つまり、孔部24の内面形状は、平行な2つの係止面24aを備えた形状としている。そして、その孔部24の軸方向の長さは、ヒンジ部品25の係止面27の軸方向の長さと、第1係止爪28の先端の突起部分28aを除く長さを加えたものとほぼ等しくしている。これにより、係止面27,24aを合わせるようにしてヒンジ部品25の一端側を孔部24内に挿入した場合、図4に示すように、第1係止爪28の先端の突起部分28aが孔部24を突き抜け、その後のヒンジ部品25の離脱が抑止される。そして、孔部24に設けた係止面24aに、ヒンジ部品25に設けた係止面27と第1係止爪28が接触するため、ヒンジ部品25の回転が阻止される。これにより、ヒンジ部品25は、係止受け部23にて回転不能に片持ち支持されるのである。更に、ヒンジ部品25の係止面27と第1係止爪27というように、比較的広い面で孔部24の係止面24aに接触しているので、ヒンジ部品25に対して回転する方向の力が加わったとしても、その力を広い面積で分散して受けることができるので、ヒンジ部品25等の破損が抑止される。
【0043】
一方、ヒンジ部品25の他端側にて正逆回転可能に連携される表示パネル収納ケース2を、所定の位置で停止させる機構は、以下のようにしている。まず、ヒンジ部品25の他端には、ヒンジ部品25の本体の円周に沿って延びるように第2係止爪30が形成される。つまり、ヒンジ部品25の他端は、直径方向に伸びるように壁部29が形成され、その壁部29の両端にそれぞれ第2係止爪30を接続する。この第2係止爪30は、湾曲状で先端がフリー状態となり、その第2係止爪30の先端には、外周面側に突出する突起部30aが設けられている。よって、第2係止爪30は、バネ性を有し、突起部30aがヒンジ部品25の中心側に付勢されると第2係止爪30が撓み、その先端の突起部30aが中心に向けて移動し、その付勢力が解除されるとバネ性(弾性復元力)により元の状態(位置)に戻る。さらに、本実施形態では、第2係止爪30を2つ設け、ヒンジ部品25の中心を基準に点対称に配置しているが、本発明はこれに限ることはなく、1つでも良い。また、ヒンジ部品25は、樹脂により形成しているので、上記のように第2係止爪30を湾曲させるとともに先端をフリー状態とすることで、適度な弾性力、つまりバネ性を発揮する。
【0044】
また、筒状部20の貫通孔21には、所定の角度位置に軸方向に延びるように帯状(線状)の突起を形成している。この突起は、第2係止爪30の突起部30aと接触し回転止めをするもので、1つの第2係止爪30に対して表示パネル収納ケース2を閉じたときに突起部30aと接触して閉じた状態を保持するための第1突起31と、表示パネル収納ケース2を開いた(起立させた)ときに突起部30aと接触して開いた状態を保持するための第2突起32と、表示パネル収納ケース2を開いた(起立させた)ときに突起部30aと接触して開いた状態を保持する(倒れ込んで閉じるのを阻止する)ための第2突起32と、表示パネル収納ケース2を所定角度に開いた(起立させた)ときに第2突起32を乗り越えてきた突起部30aと接触して、それ以上開くのを阻止するための第3突起33と、を有している。
【0045】
つまり、第2係止爪30の突起部30aは、筒状部20の貫通孔21の内周面には近接するが非接触状態に設定され、表示パネル収納ケース2ひいては筒状部20がスムーズに正逆回転し、各突起31〜33の先端(頂点)は、第2係止爪30の突起部30aの先端位置よりも貫通孔21の中心側に突出し、筒状部20の回転に伴い各突起31〜33が突起部30aに接触すると、スムーズな回転が抑止され、その状態からさらに所定方向に表示パネル収納ケース2を回転させると、第1,第2突起31,32は、突起部30aを押し下げて(第2係止爪30が弾性変形して撓む)乗り越える(さらに回転する)ようになる。そして、それら第1,第2突起31,32が突起部30aを乗り越えると、第2係止爪30は、弾性復元力により元の状態に復帰する。つまり、突起部30aが元の位置に戻り、第1,第2突起31,32と接触する位置関係になる。よって、表示パネル収納ケース2が突起部30aを超えた際の回転方向と反対側の方向に回転しようとすると、第1突起31或いは第2突起32が突起部30aに接触し、その回転が抑止される。これにより、第1,第2突起31,32の位置を適宜に設定することで、図5(a),(b)に示すように、表示パネル収納ケース2が閉じた状態や、起立して開いた状態を保持することができる。もちろん、当該反対側の方向に一定以上の力を加えて表示パネル収納ケース2を回転させるようにした場合には、第2係止爪30が撓んで突起部30aが中心側に移動するので回転が許容される。
【0046】
さらに、第2突起32が突起部30aを乗り越えた場合、図5(b)に示すように、突起部30aは第2突起32と第3突起33との間に位置するように設定されている。これにより、表示パネル収納ケース2を更に開く方向に回転移動させるようにすると、第3突起33が突起部30aに当たり、それ以上の移動を抑止する。よって、表示パネル収納ケース2が開いた状態でがたつくことなく、その姿勢を保持することができる。なお、本実施形態では、表示パネル収納ケース2を所定角度(第2突起32が突起部30aを乗り越える角度)まで開いた状態で、表示パネル収納ケース2の上面が、ケース本体1の前方部分1aに接触し、それ以上倒れるのを抑止するように設定されているので、第3突起33は、必ずしも設けなくても良い。
【0047】
また、第2突起32(第3突起33)を設ける角度位置を変えることで、表示パネル収納ケース2を開いた状態で保持する角度を変えることができる。つまり、ヒンジ部品25を共通化し、異なる車載用電子機器に使用することができる。
【0048】
また、本実施形態では、表示パネル収納ケース2を閉じた状態と開いた状態の2つの位置(姿勢)を保持することができるようにしたが、筒状部20の貫通孔21内に設ける突起の数を増やすことで、表示パネル収納ケース2を停止(姿勢を固定)させる位置を3カ所以上にすることもできる。更に、設置数を増やす場合、第2係止爪30は1個とするとよい。
【0049】
また、本実施形態では、表示パネル収納ケース2に表示パネル3とソーラーパネル4を収納したが、いずれか一方を設けなくてももちろん良いし、それ以外のものでも良い。
【符号の説明】
【0050】
1 ケース本体
2 表示パネル収納ケース(パネル)
3 表示パネル
5 ヒンジ
20 筒状部
21 貫通孔
23 係止受け部
24 孔部
24a 係止面
25 ヒンジ部品
26 本体
27 係止面
28 第1係止爪
30 第2係止爪
30a 突起部
31 第1突起
32 第2突起
33 第3突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース本体に対してヒンジ部品を介して正逆回転可能に連係されるパネルを備えた車載用電子機器であって、
前記パネルは、少なくとも起立して開いた状態と、前記ケース本体の表面に対向する閉じた状態の2つの姿勢を採るように構成され、
前記ヒンジ部品は、棒状の本体の一端側が前記ケース本体に対して回転不能に片持ち支持され、その棒状の本体の他端側は、前記パネルの側縁に設けられた貫通孔内に挿入されることで前記パネルがそのヒンジ部品を中心に正逆回転可能に構成され、
前記ヒンジ部品の本体の他端側には、係止爪を設け、
その係止爪は、バネ性を有し、先端がフリー状態となり、その先端に外周面側に突出する突起部を設け、
前記貫通孔の内周面の所定の角度位置には、前記係止爪の突起部と接触し回転止めをするための突起を設け、当該突起として前記パネルを開いたときに前記突起部と接触してその開いた状態を保持する位置に設けられた突起を備えることを特徴とする車載用電子機器。
【請求項2】
前記係止爪は、前記ヒンジ部品の本体の円周に沿って湾曲して延びるように形成されることを特徴とする請求項1に記載の車載用電子機器。
【請求項3】
記突起を複数箇所に設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の車載用電子機器。
【請求項4】
前記パネルを所定角度に開いて前記突起を乗り越えてきた突起部と接触して、それ以上開くのを阻止するための別の突起を更に備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車載用電子機器。
【請求項5】
前記係止爪と前記突起は、複数組設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の車載用電子機器。
【請求項6】
前記回転不能に片持ち支持する機構は、前記ケース本体に、前記ヒンジ部品の一端側を挿入支持する孔部を有する係止受け部を設け、
その孔部の内周面と前記ヒンジ部品の一端側の外周面の少なくとも一部に非円形状の係止面を設け、その係止面同士を接触させることで回転させないようにしたことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の車載用電子機器。
【請求項7】
前記ヒンジ部品の一端側の先端が、前記孔部を突き抜けるとともに前記係止受け部からの離脱が抑止されるように構成されることを特徴とする請求項6に記載の車載用電子機器。
【請求項8】
前記パネルは、表示パネルであることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の車載用電子機器。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の車載電子機器におけるヒンジ部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−67380(P2013−67380A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−236599(P2012−236599)
【出願日】平成24年10月26日(2012.10.26)
【分割の表示】特願2008−8928(P2008−8928)の分割
【原出願日】平成20年1月18日(2008.1.18)
【出願人】(391001848)株式会社ユピテル (238)
【Fターム(参考)】