説明

車載用電子機器及びプログラム

【課題】ドライバーに購買意欲を生じさせることが可能な車載用電子機器及びプログラムを提供する。
【解決手段】制御部29には、設定ボタン13,選択ボタン14,切替ボタン15,リセットボタン16,電源スイッチ20,コネクタ部22,無線受信機23,マイクロ波受信機24,GPS受信機25,表示装置12,警報ランプ17,スピーカ26,データベース30が接続されている。データベース30には、車両速度測定装置の位置に関わる情報の他に、娯楽情報を提供するための各種情報が出荷時に記憶されている。制御部29は、データベース30に記憶された情報を用いて表示装置12に仮想経路を表示させるとともに、GPSデータを受信した場合、車両の走行距離を算出して仮想経路上の現在地点を移動表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される車載用電子機器及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される車載用電子機器としては、例えば車両用警報装置がある。車両用警報装置は、車両速度測定装置から送出されるマイクロ波を検知して報知するものや、GPSにより検出した自車の位置情報が予め記憶された車両速度測定装置の位置情報と接近した場合に報知するものが知られている(例えば特許文献1参照)。これら車両用警報装置は、報知がなされた場合に自車が車両速度測定装置に接近していることを意味するため、速度超過に対する注意を喚起することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−41281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記車両用警報装置は、例えば気付かないうちに速度超過してしまうドライバーにとって、安全運転の観点から興味深いものであり、購買意欲の湧くものであると考えられる。一方、例えば法定速度を遵守するドライバーは、車両速度測定装置の位置警報だけでは興味を抱かない可能性が考えられ、車両用警報装置に対して購買意欲を生じさせない可能性が考えられる。
【0005】
なお以上の問題は、車両用警報装置に限らず、ETCやナビゲーションシステム等の車両に搭載される他の車載用電子機器にも該当する問題である。
【0006】
本発明は上記例示した事情等に鑑みてなされたものであり、ドライバーに購買意欲を生じさせることが可能な車載用電子機器及びプログラムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明では、所定情報を取得する情報取得手段と、前記所定情報に基づいて娯楽情報を提供する娯楽情報提供手段とを備え、前記情報取得手段は、前記所定情報として車両に搭載された特定手段に入力される情報を取得することを特徴とする。
【0008】
本車載用電子機器によれば、車両に搭載された特定手段に入力される情報に基づいて娯楽情報が提供される。このように、車載用電子機器に娯楽情報を提供するという新たな機能を付与することにより、ドライバーに購買意欲を生じさせることが可能となる。
【0009】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の構成に加えて、GPS衛星からのGPS衛星データを受信するデータ受信部を備え、前記情報取得手段は、前記所定情報として前記GPS衛星データを取得することを特徴とする。
【0010】
本車載用電子機器によれば、GPS衛星からのGPS衛星データを受信するデータ受信部を備えており、GPS衛星データに基づいて娯楽情報が提供される。車載用電子機器の外部に設けられた特定手段に入力される情報を取得する構成とした場合には、車載用電子機器の車両への搭載にあたって特定手段と車載用電子機器を接続する作業が必要となるが、車載用電子機器に設けられたデータ受信部に入力される情報に基づいて娯楽情報を提供する構成とした場合には、前記作業が不要となる。故に、車載用電子機器の車両への搭載作業を容易なものとすることが可能となり、ドライバーに購買意欲を生じさせることが可能となる。
【0011】
請求項3に記載の発明では、請求項1又は請求項2に記載の構成に加えて、前記娯楽情報提供手段は、前記娯楽情報として、使用者の利益に関わる情報と、使用者の将来に関する情報とのうち少なくとも一つを提供することを特徴とする。
【0012】
本車載用電子機器によれば、娯楽情報として、使用者の利益に関わる情報と、使用者の将来に関する情報(例えば将来を予測した情報等)とのうち少なくとも一つが提供される。かかる構成とすることにより、ドライバーの要望に即した車載用電子機器を提供することが可能となる。使用者の将来に関する情報としては、例えば、車両を所定経路で走行させたと仮定した場合の到達地点に関わる情報を含むと良い。
【0013】
請求項4に記載の発明では、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の構成に加えて、前記娯楽情報提供手段は、情報を表示する表示部と、所定の仮想経路データを予め記憶する仮想経路データ記憶手段と、前記仮想経路データを用いて前記表示部に仮想経路を表示する仮想経路表示手段と、前記表示部に前記仮想経路における現在地点を表示する現在地点表示手段と、前記所定情報を用いて前記車両の移動距離を算出する算出手段と、前記算出手段の算出結果に基づいて、前記現在地点を移動表示させる移動表示手段とを備え、前記仮想経路表示手段は、前記車両の現実の移動経路と無関係な経路を前記仮想経路として前記表示部に表示することを特徴とする。
【0014】
本車載用電子機器によれば、車両の現実の移動経路と無関係な経路が仮想経路として表示され、車両の移動距離によって仮想経路における現在地点が移動表示される。かかる構成とすることにより、車両の現実の移動距離が仮想経路上ではどれだけ移動したことになるのかをドライバーに報知することができ、ドライバーに購買意欲を生じさせることが可能となる。
【0015】
なお、「現在地点を移動表示させる」とは、仮想経路上で現在地点を実際に移動させるものに限らず、現在地点の表示位置を移動させることなく仮想経路を移動させることで現在地点が移動しているかのごとく表示するものも含む。
【0016】
請求項5に記載の発明では、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の構成に加えて、前記娯楽情報提供手段は、絵柄が変動表示される表示部と、前記情報取得手段が前記所定情報を取得したことに基づいて、前記絵柄の変動表示を開始させるべく前記表示部の表示制御を実行する変動制御手段と、前記絵柄の変動表示が終了した際に前記表示部に特定絵柄が表示された場合、利益情報を付与する利益情報付与手段とを備えたことを特徴とする。
【0017】
本車載用電子機器によれば、情報取得手段が所定情報を取得したことに基づいて絵柄の変動表示が開始され、絵柄の変動表示が終了した際に表示部に特定絵柄が表示された場合、利益情報が付与される。かかる構成とすることにより、所定情報が取得されることを期待させながらドライバーに車両を運転させることが可能となり、車両を走行させる楽しみを提供することが可能となる。
【0018】
なお、「利益情報」とは、景品や景品が付与されるパスワード等のドライバーが実際に得するものに限らず、交通標語等のドライバーの役に立つものも含む。
【0019】
請求項6に記載の発明では、請求項5に記載の構成に加えて、所定周波数帯の電波を受信する受信部と、前記所定周波数帯の電波の受信を報知する報知手段とを備え、前記変動制御手段は、前記受信部が前記電波を受信した場合、又は前記報知手段が前記報知を実行した場合に前記絵柄の変動表示を開始させるべく前記表示部の表示制御を実行することを特徴とする。
【0020】
本車載用電子機器によれば、受信部が所定周波数帯の電波を受信した場合、又は報知手段が所定周波数帯の電波の受信を報知した場合に絵柄の変動表示が開始される。例えば所定周波数帯の電波として車両速度測定装置から送出されるマイクロ波は、自動ドア等でも使用されている。このため、マイクロ波の受信を報知する構成においては、目標物以外から送出されたマイクロ波の受信を誤報知してしまう可能性が考えられ、誤報知した場合にはドライバーが車載用電子機器の利用意欲を減退させてしまう可能性が考えられる。そこで、所定周波数帯の電波を受信した場合、又は所定周波数帯の電波の受信を報知した場合に絵柄の変動表示が開始される構成とすることにより、誤報知してしまった場合であっても利益情報が付与される期待感をドライバーに抱かせることが可能となり、上記懸念を好適に解消することができる。
【0021】
なお、報知手段は、受信した電波の周波数によって異なる報知態様で報知する構成とすることが望ましい。
【0022】
請求項7に記載の発明では、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の構成に加えて、前記娯楽情報提供手段は、前記所定情報に基づいて前記車両の走行速度を算出する速度算出手段と、前記所定情報に基づいて前記車両の位置情報を算出する位置情報算出手段と、前記位置情報が前記車両の所定位置への接近を示すものでない場合、前記速度算出手段の算出結果が所定速度以下であることに基づいて第1演出を実行する第1演出実行手段と、前記位置情報が前記車両の所定位置への接近を示すものである場合、前記速度算出手段の算出結果と、前記第1演出実行手段の実行結果と、に基づいて第2演出を実行する第2演出実行手段とを備えたことを特徴とする。
【0023】
本車載用電子機器によれば、車両が所定位置に接近していない場合、車両の走行速度が所定速度以下であることに基づいて第1演出が実行される。そして、車両が所定位置に接近した場合には、車両の走行速度と、第1演出実行手段の実行結果と、に基づいて第2演出が実行される。第2演出を車両の走行速度と関連付けることにより、車両が所定位置に接近した場合に第2演出を通じて速度超過に対する注意を喚起することができる。また、車両の走行速度のみならず第1演出実行手段の実行結果を関連付けることにより、車両が所定位置に接近していない場合であっても所定速度以下で走行するよう促すことが可能となり、安全運転に貢献することが可能となる。
【0024】
請求項8に記載の発明では、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の構成に加えて、前記娯楽情報を提供する際に用いる娯楽提供用情報を記憶する娯楽提供用情報記憶手段を備え、前記娯楽提供用情報記憶手段を着脱可能な構成としたことを特徴とする。
【0025】
本車載用電子機器によれば、娯楽提供用情報記憶手段を着脱可能な構成としたため、車載用電子機器が買い換えられた場合に、以前に使用されていた車載用電子機器の娯楽提供用情報を用いて娯楽情報を提供することが可能となる。
【0026】
請求項9に記載の発明では、請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の構成に加えて、前記娯楽情報を提供する際に用いる娯楽提供用情報を記憶する娯楽提供用情報記憶手段と、前記娯楽提供用情報を外部に出力する外部出力手段とを備えたことを特徴とする。
【0027】
本車載用電子機器によれば、娯楽提供用情報を外部出力可能な構成としたため、車載用電子機器が買い換えられた場合に、以前に使用されていた車載用電子機器の娯楽提供用情報を用いて娯楽情報を提供することが可能となる。
【0028】
請求項10に記載の発明では、請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の構成に加えて、前記娯楽情報を提供する際に用いる娯楽提供用情報を記憶する娯楽提供用情報記憶手段と、外部装置から新たな娯楽提供用情報が入力された場合、前記娯楽提供用情報記憶手段に記憶された娯楽提供用情報を前記新たな娯楽提供用情報に更新する更新手段とを備えたことを特徴とする。
【0029】
本車載用電子機器によれば、娯楽提供用情報を更新可能な構成としたため、使用者が提供される娯楽情報に飽きてしまうことを抑制することが可能となる。
【0030】
請求項11に記載の発明では、請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の車載用電子機器としての機能をコンピュータに実現させるためのプログラムとして実現できる。
【発明の効果】
【0031】
娯楽情報を提供するという新たな機能を付与することにより、ドライバーに購買意欲を生じさせることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】一実施の形態における車両用警報装置を示す図である。
【図2】車両用警報装置のブロック図である。
【図3】仮想経路表示処理を示すフローチャートである。
【図4】娯楽情報の表示例を示す図である。
【図5】娯楽情報の表示例を示す図である。
【図6】娯楽情報の表示例を示す図である。
【図7】娯楽情報と警報情報の表示態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、車載用電子機器の一種である車両用警報装置に適用した場合の実施形態を説明する。
【0034】
図1は車両用警報装置10の構成を示す図である。車両用警報装置10は、本体部11を有している。本体部11の前面には、仮想経路等の各種娯楽情報を提供する表示装置12が設けられている。表示装置12は、小型液晶ディスプレイによって形成されている。表示装置12の下方には、中央部に設定ボタン13が配置されるとともに、当該設定ボタン13の四方を囲むようにして選択ボタン14が配置されている。設定ボタン13及び選択ボタン14は、表示装置12に表示される娯楽情報を設定する際に操作されるボタンである。選択ボタン14の左方には、娯楽情報を切り替える際に操作される切替ボタン15が配置されており、選択ボタン14の右方には、リセットボタン16が配置されている。表示装置12の左右両側方には、車両速度測定装置の接近等を報知する警報ランプ17が配置されている。また、表示装置12の左方には、携帯電話機等の赤外線通信機を内蔵した外部装置とデータの送受信を行うための赤外線通信機18が配置されている。
【0035】
本体部10の上面には、中央から後部にかけてソーラーパネル19が配置されている。本体部11の右面には、電源スイッチ20とDCジャック(図示略)が配置されている。DCジャックは、車両のシガーソケットに接続されたシガープラグコードを接続するためのものである。前記シガープラグコードをDCジャックに接続することにより、車両用警報装置10は車両から電源供給を受けて動作を行うことができる。なお、本車両用警報装置10は、ソーラーパネル19を搭載しているため、前記シガープラグコードがDCジャックに接続されなかった場合であってもソーラーパネル19に蓄えられた電力によって動作を行うことができる。本体部10の左面には、メモリーカードリーダ等の外部装置を接続するためのアダプタージャック21が配置されている。本体部11の下面には、例えば車両に備えられた車内LAN等に接続されたケーブルを接続可能なコネクタ部22が配置されている。
【0036】
本体部11の内部には、無線受信機23とマイクロ波受信機24が後部寄りに配置されており、GPS受信機25が上部に配置されており、スピーカ26が前部に配置されている。無線受信機23は、緊急車両等の発する無線電波を受信するためのものであり、マイクロ波受信機24は、速度測定装置から出力される周波数帯のマイクロ波を受信するためのものである。
【0037】
次に、本車両用警報装置10の電気的構成について、図2のブロック図に基づいて説明する。
【0038】
制御部29は、車両用警報装置10の動作全般を制御する機能を有しており、CPU,ROM,RAM,I/O及びこれらを接続するバス等により構成されている。
【0039】
データベース30は、制御部29に内蔵された又は当該制御部29に外付けされた不揮発性メモリである。データベース30には、車両速度測定装置の位置に関わる情報の他に、娯楽情報を提供するための各種情報が出荷時に記憶されている。
【0040】
制御部29の入力側には、設定ボタン13,選択ボタン14,切替ボタン15,リセットボタン16,電源スイッチ20,コネクタ部22,無線受信機23,マイクロ波受信機24,GPS受信機25が接続されている。なお、リモコン受信器を制御部29の入力側に接続し、リモコン(子機)を操作することで設定ボタン13等と同様の設定を行うことができる構成としても良い。制御部29の出力側には、表示装置12,警報ランプ17,スピーカ26が接続されている。また、赤外線通信機18及びアダプタージャック21は、制御部29と入出力可能に接続されている。
【0041】
アダプタージャック21は、データベース30に記憶された娯楽情報を新たな娯楽情報に更新したり、制御部29やデータベース30のメモリに記憶された情報を外部に取り出したりする場合に用いられる接続部である。すなわち、アダプタージャック21にメモリーカードリーダ等の読み書き可能な外部装置を接続することにより、制御部29が、メモリーカードリーダに装着されたメモリーカード内のデータをデータベース30に取り込んだり、データベース30や制御部29のメモリに記憶されたデータをメモリーカードに書き込んだりする。なお、メモリーカードリーダを車両用警報装置10が備える構成としても良い。また、本車両用警報装置10は、赤外線通信機18によって上記データの送受信を行うことも可能である。
【0042】
制御部29は、周知のGPS警報機能,マイクロ波警報機能,無線警報機能の他に、娯楽情報提供機能として車両の走行距離を仮想経路上に表示する仮想経路表示機能を備えている。そこで以下では、上記娯楽情報を提供するにあたって制御部29が行う仮想経路表示処理を、図3のフローチャートに基づいて説明する。
【0043】
ステップS101では、切替ボタン15が操作されたか否かを判定する。切替ボタン15が操作された場合には、ステップS102〜ステップS106に示す仮想経路設定処理を行った後にステップS107に進み、切替ボタン15が操作されなかった場合には、仮想経路設定処理を行うことなくステップS107に進む。
【0044】
仮想経路設定処理では、先ずステップS102にて表示モード切替処理を行う。本車両用警報装置10は、仮想経路の表示モードとして、図4(a)に示すような表示装置12に日本地図が表示される日本一周モードと、図4(b)に示すような表示装置12に地球儀が表示される世界一周モードとを有している。表示モード切替処理では、それまでの表示モードが日本一周モードであった場合、表示モードを世界一周モードに切り替え、それまでの表示モードが世界一周モードであった場合、表示モードを日本一周モードに切り替える処理を行う。
【0045】
ステップS103では、ルート選択処理を行う。ルート選択処理では、現在の表示モードが世界一周モードであるか否かを判定し、世界一周モードでない場合にはそのままステップS104に進む。現在の表示モードが世界一周モードである場合には、仮想経路として、赤道上を通って地球を一周する赤道ルートと、北極点及び南極点を通過するように地球を一周する極点ルートと、北米大陸を通過するように地球を一周する北米ルートと、日本を通過するように地球を一周する日本ルートと、を地球儀上に表示するとともに、スピーカ26から「仮想経路を選択してください。」という音声を出力する。その後、選択ボタン14が操作された場合には、上記各仮想経路のうち1つを強調表示し、設定ボタン13が操作された場合には、強調表示している仮想経路以外の仮想経路を非表示とし、ルート選択処理を終了する。ちなみに、図4(b)は、世界一周ルートの極点ルートが選択された場合を示す図である。
【0046】
ステップS104では、スタート地点設定処理を行う。スタート地点設定処理では、現在の表示モードが日本一周モードであるか否かを判定する。現在の表示モードが日本一周モードである場合には、日本地図上の沖縄,九州,四国,中国,近畿,東海,北陸,関東,東北,北海道の10箇所にスタート地点を表示するとともに、スピーカ26から「スタート地点を選択してください。」という音声を出力する。その後、選択ボタン14が操作された場合には、上記各スタート地点のうち1つを強調表示し、設定ボタン13が操作された場合には、強調表示しているスタート地点以外のスタート地点を非表示とし、スタート地点設定処理を終了する。また、現在の表示モードが日本一周モード以外のモードである場合には、予め設定した地点をスタート地点とし、スタート地点設定処理を終了する。例えば世界一周モードである場合には、北緯0度、東経150度の位置にスタート地点を設定する。
【0047】
ステップS105では、積算距離把握処理を行う。制御部29のRAMには、車両の走行距離を累積記憶する積算距離記憶エリアが設けられており、積算距離把握処理では、前記積算距離記憶エリアに記憶された情報すなわち車両の積算距離を把握する。
【0048】
ステップS106では、現在地点表示処理を行う。現在地点表示処理では、仮想経路のスタート地点からステップS105にて把握した積算距離分だけ移動した箇所に現在地点を表示する。
【0049】
ステップS107では、GPS衛星からGPSデータを受信したか否かを判定する。GPSデータを受信した場合には、ステップS108〜ステップS110に示す仮想経路進行処理を行った後にステップS111に進み、GPSデータを受信していない場合には、仮想経路進行処理を行うことなくステップS111に進む。
【0050】
仮想経路進行処理では、先ずステップS108にて走行距離算出処理を行う。走行距離算出処理では、GPSデータから車両の現在位置を導出し、当該導出結果と、先の走行距離算出処理において導出した車両の現在位置と、により車両の走行距離を算出する。走行距離算出処理は、例えば一定時間毎(例えば1秒毎)に取得した車両の現在位置の変動量から求めるようにすると良い。続くステップS109では、算出した走行距離を積算距離記憶エリアに記憶された値に加算する。その後、ステップS110では、算出した走行距離分だけ現在地点を移動表示させる移動表示処理を行う。移動表示処理では、現在の表示モードが日本一周モードである場合、算出した走行距離分だけ日本地図上で現在地点を実際に移動させる。また、現在の表示モードが世界一周モードである場合には、地球儀を前記走行距離分だけ回転表示させることにより、現在地点を移動させることなく当該現在地点が移動したかのように表示する。なお、図4(a)には沖縄県が表示されていないが、移動表示処理を行った結果として東京都よりも西に現在地点が位置する状況となった場合、北海道が非表示となるとともに沖縄県が表示されるようになっている。
【0051】
ステップS111では、位置関係把握処理を行う。データベース30には、各仮想経路に対して設定された目標地点に関わるデータが記憶されている。例えば極点ルートでは、スタート地点,ユーラシア大陸等の大陸上陸地点,ユーラシア大陸等の大陸離脱地点,北極点,南極点,ゴール地点等が目標地点として設定されている。位置関係把握処理では、現在地点と、現在地点に最も近い目標地点との距離を把握する。ステップS112では、ステップS111の把握結果が所定距離(例えば5km)以下であるか否かを判定する。所定距離以下でない場合には、そのまま本処理を終了し、所定距離以下である場合には、ステップS113にて演出表示処理を行った後に本処理を終了する。演出表示処理では、現在地点から所定距離以下にある目標地点と対応する演出を表示する。例えば、極点ルートを表示中であって、現在地点がユーラシア大陸上陸の5km手前となった場合には、地球儀の表示に加えて「ユーラシア大陸まであと5km」との表示がなされる。その後、車両の走行距離にあわせてユーラシア大陸までの距離がカウントダウン表示されるとともに、ユーラシア大陸に到達した場合には、図4(c)に示すように、ユーラシア大陸上陸を祝福する祝福画面が表示される。また、日本一周モードにおいては、目標地点と対応する名所旧跡等の画像が表示される。
【0052】
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
【0053】
表示装置12に車両の現実の移動経路と無関係な経路を仮想経路として表示し、車両の移動距離によって仮想経路における現在地点を移動表示する構成とした。かかる構成とすることにより、車両の現実の移動距離が仮想経路上ではどれだけ移動したことになるのかをドライバーに報知することができ、ドライバーに購買意欲を生じさせることが可能となる。
【0054】
GPSデータを受信した場合、車両用警報装置10が車両の走行距離を導出する構成とした。かかる構成とすることにより、車両用警報装置10を車両に搭載する作業を容易なものとすることが可能となる。確かに、車両のオドメータに接続されたケーブルをコネクタ部22に接続し、取得した車両の積算距離情報に基づいて仮想経路における現在地点を移動表示させる構成とすることも可能である。しかしながら、かかる構成とした場合には、前記ケーブルをコネクタ部22に接続する作業が必要となり、車両用警報装置10を車両に搭載する作業が煩雑化する可能性が懸念される。一方、GPSデータに基づいて車両の走行距離を導出する構成においては、GPS受信機25が車両用警報装置10に予め搭載されたものであるため上記作業が不要となり、車両用警報装置10を車両に搭載する作業を容易なものとすることが可能となる。この結果、例えば車両を複数所有するドライバーは、運転する車両に車両用警報装置10を搭載し直したりすることで所有する車両の移動距離の合算を仮想経路上に表示させることができる。
【0055】
表示モードとして世界一周モードと日本一周モードを備える構成とした。世界一周モードでは、いずれの仮想経路が選択された場合であっても一周の距離は約4万kmである。日本一周モードでは、一周の距離が約1万kmである。一般のドライバーは、1年の走行距離が1万km前後であると想定されるため、日本一周モードで一周させる場合に約1年、世界一周モードで一周させる場合に約4年を要するものと想定される。このように車両を複数の日数にわたって走行させなければゴール地点に到達できない仮想経路を備える構成とすることにより、ドライバーにゴール地点に到達させたいという意欲を生じさせることが可能となり、車両を走行させる楽しみを提供することが可能となる。さらにいうと、一般のドライバーは日常生活において車両を通勤目的等で走行させることが多い。このため、実際の移動経路にあまり変化がないことが一般的であり、車両を走行させる楽しみが走行距離に応じて減退していく可能性が考えられる。しかしながら、仮想経路を表示する構成とした場合には、日常生活において決まった経路ばかりを走行するドライバーであっても、仮に日本一周していたら等に思いを馳せることができ、走行距離が多くなった場合にゴール地点に近づいているという喜びを抱くことができる。故に、ドライブを趣味としているか否か等を問わずドライバーに購買意欲を生じさせることが可能となる。
【0056】
現在地点が目標地点に接近した場合に演出表示処理を行う構成とした。複数の日数にわたって車両を運転させた場合にゴール地点に到達可能となる構成においては、ゴール地点への到達をドライバーが途中で諦めてしまう可能性が考えられる。しかしながら、目標地点を設定し、現在地点が目標地点に接近した場合に演出表示を行うことにより、ゴール地点に到達するまで当該ゴール地点に到達させたいというドライバーの意欲を維持することが可能となる。
【0057】
世界一周モードと日本一周モードをドライバー又は車両の同乗者(以下、これらを総称して「使用者」という。)が選択可能な構成とした。かかる構成とすることにより、使用者の要望に即した仮想経路を表示することが可能となる。また、表示モードを切り替えた場合には積算距離把握処理を行った上で現在地点を表示する構成としたため、車両の現実の移動距離が仮想経路のそれぞれにおいてどれだけ移動したことになるのかをドライバーに報知することができ、車両を走行させる楽しみを提供することが可能となる。
【0058】
メモリーカードリーダ等の外部装置を接続するためのアダプタージャック21を設けたため、データベース30に記憶された娯楽情報を新たな娯楽情報に更新することができる。この結果、例えば新たな仮想経路を導入する等を行うことでドライバーが仮想経路表示機能に飽きてしまうことを抑制することが可能となる。また、データベース30に記憶された娯楽情報を新たな娯楽情報に更新することに限らず、制御部29やデータベース30のメモリに記憶された情報を外部に取り出すことができる。このためドライバーは、車両用警報装置10を買い換えた場合に、以前の車両用警報装置10の積算距離記憶エリアに記憶された走行距離を新たに購入した車両用警報装置10において引き続き使用することができる。
【0059】
なお、上述した各実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
【0060】
(1)上記実施の形態では、日本地図や地球儀の全体を表示する構成としたが、日本地図や地球儀の一部を拡大表示する構成としても良い。
【0061】
また、現実に車両が走行している経路と異なる仮想経路を表示する構成とすれば、上記実施の形態と同様の作用効果を奏することが期待できる。例えば、北海道一周ルートを表示する構成としても良いし、北米大陸一周ルートを表示する構成としても良い。さらに、北海道から沖縄を目指す経路等のスタート地点とゴール地点が異なる経路を仮想経路として設定しても良い。なお、ここでは「現実に車両が走行している経路と異なる仮想経路」と表記しているが、例えばドライバーが実際に日本一周を目指して車両を走行させている場合、現実に車両が走行している経路と仮想経路が一致する事象が生じ得る。
【0062】
(2)上記実施の形態では、日本地図上や地球儀上に仮想経路を表示する構成、すなわち仮想経路を2次元で表示する構成としたが、仮想経路を3次元で表示する構成としても良い。
【0063】
(3)上記実施の形態では、GPSデータを受信した場合に車両用警報装置10の制御部29が車両の走行距離を算出する構成としたが、車両のオドメータに接続されたケーブルや、CAN等の車内LANや故障診断ポート等に接続したケーブルをコネクタ部22に接続し、車両から入力される走行距離に関わる情報を用いて現在地点を移動表示させる構成としても良い。
【0064】
(4)上記実施の形態では、日本一周モードと世界一周モードとを備え、両者を切り替え可能な構成としたが、一方の表示モードのみを備える構成としても良いし、仮想経路を1つのみ備えた構成としても良い。
【0065】
(5)上記実施の形態では、データベース30に予め記憶された目標地点に基づいて演出表示を行う構成としたが、使用者が目標地点を設定可能な構成としても良い。スタート地点及びゴール地点についても同様である。
【0066】
(6)各表示モードにおいて周回数を表示する構成としても良い。
【0067】
(7)上記実施の形態では、娯楽情報として仮想経路上における移動距離を表示する構成としたが、これに代えて又は加えて、他の娯楽情報を提供する構成としても良い。他の娯楽情報としては、星占いやバイオリズム等の使用者の将来を予測した情報や、宝くじの当選番号予測等の使用者の利益に関わる情報、車両の走行状態等によって進行するロールプレイングゲーム等の各種ゲーム機能が考えられる。また、娯楽情報は、上記実施の形態のように常時提供する構成に限らず、所定条件が成立した場合に提供する構成としても良い。所定条件としては、車両用警報装置10の電源スイッチ20が操作されること(すなわち車両用警報装置10が電源OFF状態から電源ON状態に切り替わったこと)、GPSデータを受信したこと、マイクロ波を受信したこと、無線を受信したこと、警報ランプ17を点灯させる等の報知を行ったこと、車両が法定速度以下で一定時間走行したこと、車両の有するセンサ,車内LAN,故障診断ポートから取得した情報が所定の状態に変化したこと等とすると良い。以下では、上記各娯楽情報と上記各所定条件を組み合わせた場合に実現できる具体例を説明する。
【0068】
例えば、データベース30には、各GPS衛星と星座とを1対1で対応付けた衛星情報データを予め記憶させておく。そして、車両用警報装置10が電源ON状態となってから最初にGPSデータを受信した場合には、当該GPSデータの出力先のGPS衛星を特定する。その後、衛星情報データを参照し、特定したGPS衛星と対応する星座を最も運勢の良い星座として表示装置12に表示する。このとき、星座の他に交通安全の標語を表示装置12に表示したりスピーカ26から音声出力したりする構成とすれば、車両の運転に関わる有益な情報を使用者に提供することが可能となり、交通安全に寄与することができる。
【0069】
例えば、マイクロ波を受信したことに基づいて警報ランプ17を点灯させたりスピーカ26から警報音を出力したりした場合に、1〜9の数字図柄と、猫図柄と、により構成される図柄列を、表示装置12において3列循環表示させる。そして、同一図柄の組合せを最終停止表示した場合には、使用者に特典を付与する。特典の付与としては、所定時間(例えば3秒)にわたってスピーカ26から音楽を出力する、使用者によって事前にデータベース30に登録されたお気に入り画像を表示装置12に表示する、所定の文字列を表示装置12に表示するとともに前記文字列が製造会社等に報告された場合に景品をプレゼントする、等を行う。
【0070】
一例を挙げて説明すると、図5(a)に示すように、表示装置12の下部には、景品情報表示領域12aと、左図柄列表示領域,中図柄列表示領域,右図柄列表示領域により形成される図柄表示領域12bとを設ける。他の領域は速度測定装置の位置等の警報情報を表示するための警報情報表示領域である。スピーカ26から警報音を出力した場合、制御部29は、図5(a)に示すように、左図柄列,中図柄列及び右図柄列の各図柄が上から下に循環するように表示させる。すなわち、1〜9,猫図柄の順に表示させ、猫図柄を表示させた後は再度1図柄から順に表示させる。図5(b)に示すように、各図柄列表示領域に同一の数字図柄を最終停止表示させた場合には、一定時間(数秒間)音楽をスピーカ26から出力したり、一定時間(約3時間)にわたって隠れキャラクタによる音声警報をスピーカ26から出力したりする。なお、隠れキャラクタは複数設定されている。図5(c)に示すように、各図柄列表示領域に数字図柄ではなく猫図柄を最終停止表示した場合には、景品情報表示領域12aに所定の文字列(yp123456)を表示する。この所定の文字列を葉書等に記入して車両用警報装置10の製造会社に報告した場合には、製造会社の製品がプレゼントされる。なお、表示装置12に景品情報表示領域12aや図柄表示領域12bを設けるのではなく、図6(a)及び図6(b)に示すように表示装置12の全画面を用いて図柄列の変動表示や景品情報を表示する構成としても良い。また、上から下に循環表示するのではなく、表示画面奥から飛び出す(小さな図柄が大きくなっていく)ように表示しても良いし、フラッシング表示しても良い。
【0071】
ここで、速度測定装置から出力される周波数帯のマイクロ波は、自動ドア等においても使用されている。このため、マイクロ波受信機24がマイクロ波を受信した場合に警報音等で報知する構成においては、速度測定装置等の目標物以外から出力されたマイクロ波の受信を誤報知してしまう場合が生じ得る。そして、誤報知した場合には、ドライバーが車両用警報装置10の利用意欲を減退させてしまう可能性が考えられる。そこで、警報音等で報知した場合に図柄の変動表示を開始する構成とすることにより、誤報知してしまった場合であっても特典が付与される期待感をドライバーに抱かせることが可能となり、上記懸念を好適に解消することができる。さらにいうと、マイクロ波を受信した場合に受信強度等によって目標物から出力されたマイクロ波であるか否かを判断する機能を有し、目標物から出力されたマイクロ波であると判断した場合に警報等で報知する構成に適用した場合には、より好適な結果を得ることができる。上記機能を有する車両用警報装置10において誤報知が発生した場合、誤報知されないことを期待して上記判断機能を備えた車両用警報装置10を購入したドライバーは、新たな車両用警報装置10の購買意欲を喪失させてしまう可能性が考えられるからである。
【0072】
例えば、制御部29を、GPSデータを受信した場合に車両の走行速度を導出する速度導出機能を有する構成とする。表示装置12には、猫等の主人公キャラクタが表示される構成とする。そして、車両速度測定装置等の目標物に接近していない状況においては、車両の走行速度が予め定めた目標速度(例えば60km)を下回っている場合、主人公キャラクタが武器を入手してレベルが上昇する等の主人公キャラクタが強くなる演出を行い、走行速度が目標速度を上回っている場合、主人公キャラクタが罠にかかってレベルが低下する等の主人公キャラクタが弱くなる演出を行う。車両速度測定装置等の目標物に接近した場合には、警報ランプ17等で報知するとともに、主人公キャラクタと敵キャラクタの戦闘演出を開始する。戦闘演出では、戦闘演出開始時における主人公キャラクタのレベルと、目標物接近後の車両の走行速度と、に基づいて勝敗を決定する。具体的には、車両の走行速度が法定速度を上回っている場合には、主人公キャラクタの敗北する確率が非常に高くなり、車両の走行速度が法定速度を下回っている場合には、主人公キャラクタのレベルが高いほど勝利する確率が高くなる構成とする。これに加えて、使用者の関心が低下することを抑制すべく、敵キャラクタを予め複数設定しておき、主人公キャラクタが勝利する度に強い敵キャラクタが登場する構成とし、最も強い敵キャラクタに勝利した場合には特典を付与する構成とする。
【0073】
かかる構成においては、主人公キャラクタが最も強い敵キャラクタに勝利することをドライバーに期待させながら車両を走行させることが可能となり、車両が目標物に接近した場合に戦闘演出を通じて速度超過に対する注意を喚起することができる。また、主人公キャラクタの勝利する確率は目標物接近前の車両の走行速度に基づくため、車両が目標物に接近していない場合であっても目標速度以下で走行するよう促すことが可能となり、安全運転に貢献することが可能となる。さらに、走行速度が目標速度を上回った場合に主人公キャラクタのレベルが低下する構成としたため、主人公キャラクタのレベルが高くなったから目標速度を上回る速度で走行しても大丈夫だろう等の気の緩みが生じることを抑制することが可能となり、安全運転に貢献することが可能となる。
【0074】
上記実施の形態及び上記各構成により、以下の車載用電子機器が想起される。
【0075】
所定情報の所定の変動をトリガーとして娯楽情報を提供する娯楽情報提供手段を備えたことを特徴とする車載用電子機器。
【0076】
娯楽情報を提供する娯楽情報提供手段と、所定情報の所定の変動に応じて娯楽情報の提供態様を変化させる提供態様変化手段とを備えたことを特徴とする車載用電子機器。
【0077】
(8)上記実施の形態のような車両用警報装置10では、車両の位置等に基づいてGPS警報,マイクロ波警報,無線警報等の各種警報情報を提供するため、警報情報を提供するタイミングがランダムになりがちである。このため、娯楽情報を提供している際に警報情報を提供するタイミングとなったり、警報情報を提供している際に娯楽情報を提供するタイミングとなったりする。そこで以下では、警報情報と娯楽情報を好適な形で提供する構成について説明する。
【0078】
例えば、図7(a)に示すように、表示装置12の表示画面を上下に分割し、娯楽情報を表示するための娯楽情報表示エリア121の下方に、各種警報を表示するための警報情報表示エリア122を設ける構成とする。なお、警報情報表示エリア122を娯楽情報表示エリア121の上方に設ける構成としても良いし、娯楽情報表示エリア121の上下両方に設ける構成としても良い。
【0079】
例えば、図7(b)に示すように、表示装置12の表示画面を左右に分割し、娯楽情報表示エリア121の右方に警報情報表示エリア122を設ける構成とする。なお、警報情報表示エリア122を娯楽情報表示エリア121の左方に設ける構成としても良いし、娯楽情報表示エリア121の左右両方に設ける構成としても良い。
【0080】
例えば、図7(c)に示すように、表示装置12の右下隅角部を分割して当該領域を警報情報表示エリア122とし、他の領域を娯楽情報表示エリア121とする構成とする。このとき、娯楽情報表示エリア121と警報情報表示エリア122の境界部に境界線を表示せず、一体的な表示を行う。なお、警報情報表示エリア122は左下隅角部,右上隅角部,左上隅角部のいずれに設けても良い。
【0081】
これら構成とした場合には、娯楽情報を提供しつつ警報情報を提供することが可能となる。また、1つの表示装置12にて娯楽情報と警報情報を共に表示する構成としたため、娯楽情報表示用の表示装置と警報情報表示用の表示装置を別個に設ける構成と比して、部品点数や取付工数の増加に伴うコストアップを抑制することが可能となる。なお、警報情報を表示する必要がない場合は表示装置12の全画面にて娯楽情報を表示し、警報情報を表示する必要が生じた場合は表示画面を娯楽情報表示エリア121と警報情報表示エリア122に分割する構成としても良い。また、表示画面の下部と右部に警報情報表示エリア122を設ける等、上記各記載の構成を適宜組み合わせても良いことはいうまでもない。
【0082】
スピーカ26を用いて警報情報と娯楽情報を提供する場合には、警報情報の出力音と娯楽情報の出力音とで差別化を図ることが望ましい。差別化の例としては、警報情報を提供する場合に男性の音声で出力し、娯楽情報を提供する場合に女性の音声で出力する構成や、娯楽情報を音声で出力し、警報情報を音楽で出力する構成、警報情報を出力する場合には当該警報情報を出力する前に「ピロ・ピロ」等の特有音を出力する構成等が考えられる。
【0083】
スピーカ26を用いる場合には、警報情報の提供タイミングと娯楽情報の提供タイミングとが一致した場合、娯楽情報を優先出力して警報情報を出力しない構成としても良いし、警報情報を優先出力して娯楽情報を出力しない構成としても良い。また、取締りに関する警報情報に限って娯楽情報より優先出力し、他の警報情報については娯楽情報を優先出力する構成としても良い。さらに、警報情報を優先出力し、警報情報の出力を終えた後に娯楽情報を出力する構成としても良い。なお、警報情報を音楽で出力し、娯楽情報を音声で出力する構成においては、音楽に乗せて音声を出力することにより、警報情報と娯楽情報を同時に提供することも可能である。
【0084】
表示装置12の全画面にて娯楽情報を表示し、警報情報をスピーカ26から出力する構成、すなわち、娯楽情報を提供する装置と、警報情報を提供する装置とを別個に設ける構成としても良い。また、表示装置12に娯楽情報提供手段としての役割を付与し、スピーカ26に娯楽情報提供手段及び警報情報提供手段としての役割を付与する構成としても良い。同様に、スピーカ26に娯楽情報提供手段としての役割を付与し、表示装置12に娯楽情報提供手段及び警報情報提供手段としての役割を付与する構成としても良い。
【0085】
上記各構成により、以下の車載用電子機器が想起される。
【0086】
所定周波数帯の電波を受信したこと等に基づいて警報情報を提供する警報情報提供手段と、娯楽情報を提供する娯楽情報提供手段とを備え、前記警報情報と前記娯楽情報を同時に提供可能な構成としたことを特徴とする車載用電子機器。
【0087】
情報を表示する表示部を備え、前記表示部には、警報情報を表示するための警報情報表示エリアと、娯楽情報を表示するための娯楽情報表示エリアとを別個に形成したことを特徴とする車載用電子機器。
【0088】
警報情報及び娯楽情報を表示可能な表示装置と、前記警報情報を表示する必要がない場合に前記娯楽情報を表示するとともに前記警報情報を表示しない第1表示態様とすべく前記表示装置を表示制御し、前記警報情報を表示する必要が生じた場合に前記娯楽情報と前記警報情報を共に表示する第2表示態様とすべく前記表示装置を表示制御する表示制御手段と、を備えたことを特徴とする車載用電子機器。
【0089】
(9)上記実施の形態では、車両用警報装置10に娯楽情報提供機能を付与した場合を例として説明したが、他の車載用電子機器に適用することも可能である。例えば、車両に搭載されるオドメータに仮想経路表示機能を付与しても良いし、ETCやナビゲーションシステム、オーディオ等に娯楽情報提供機能を付与しても良い。
【0090】
以下、本発明の車載用電子機器を、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0091】
発明1.情報(仮想経路等)を表示する表示部(表示装置12)と、
所定の仮想経路データを予め記憶する仮想経路データ記憶手段(データベース30)と、
前記仮想経路データを用いて前記表示部に仮想経路を表示する仮想経路表示手段(制御部29の表示モード切替処理S102における仮想経路表示機能)と、
前記表示部に前記仮想経路における現在地点を表示する現在地点表示手段(制御部29の現在地点表示処理機能S106)と、
車両の移動距離を算出する算出手段(制御部29の走行距離算出処理機能S108)と、
前記算出手段の算出結果に基づいて、前記現在地点を移動表示させる移動表示手段(制御部29の移動表示処理機能S110)と
を備え、
前記仮想経路表示手段は、前記車両の現実の移動経路と無関係な経路を前記仮想経路として前記表示部に表示することを特徴とする車載用電子機器。
【0092】
本発明によれば、車両の現実の移動経路と無関係な経路が仮想経路として表示され、車両の移動距離によって仮想経路における現在地点が移動表示される。かかる構成とすることにより、車両の現実の移動距離が仮想経路上ではどれだけ移動したことになるのかをドライバーに報知することができ、ドライバーに購買意欲を生じさせることが可能となる。
【0093】
なお、「現在地点を移動表示させる」とは、仮想経路上で現在地点を実際に移動させるものに限らず、現在地点の表示位置を移動させることなく仮想経路を移動させることで現在地点が移動しているかのごとく表示するものも含む。
【0094】
発明2.上記発明1において、GPS衛星からのGPS衛星データを受信するデータ受信部(GPS受信機25)を備え、前記算出手段は、前記GPS衛星データに基づいて前記車両の移動距離を算出することを特徴とする車載用電子機器。
【0095】
本発明によれば、GPS衛星からのGPS衛星データを受信するデータ受信部を備え、GPS衛星データに基づいて車両の移動距離が算出される。かかる構成とすることにより、例えば車両を複数所有するドライバーは、運転する車両に車両用情報表示装置を搭載し直すことで所有する車両の移動距離の合算を仮想経路上に表示させることができる。
【0096】
発明3.上記発明1又は発明2において、前記仮想経路データ記憶手段は、前記車両を複数の日数にわたって走行させた場合に終着地点に到達可能となる仮想経路を表示するための仮想経路データを記憶することを特徴とする車載用電子機器。
【0097】
本発明によれば、仮想経路の終着地点に到達することを期待させながら複数の日数にわたって車両を走行させることが可能となり、車両を走行させる楽しみを提供することが可能となる。
【0098】
発明4.上記発明3において、前記仮想経路に途中地点を設定する途中地点設定手段(制御部29及びデータベース30)と、前記途中地点と前記現在地点との位置関係を把握する把握手段(制御部29の位置関係把握処理機能S111)と、前記把握手段の把握結果に基づいて前記途中地点と対応する演出を前記表示部に表示する演出表示手段(制御部29の演出表示処理機能S113)とを備えたことを特徴とする車載用電子機器。
【0099】
複数の日数にわたって車両を運転させた場合に終着地点に到達可能となる構成においては、終着地点への到達をドライバーが途中で諦めてしまう可能性が考えられる。そこで、途中地点を設定し、途中地点と現在地点との位置関係に基づいて途中地点と対応する演出を表示することにより、終着地点に到達するまで当該終着地点に到達させたいというドライバーの意欲を維持することが可能となる。
【0100】
発明5.上記発明1乃至発明4のいずれかにおいて、前記仮想経路データ記憶手段に前記仮想経路データを予め複数記憶させるとともに、前記表示部に表示される仮想経路を選択すべく使用者に操作される選択操作手段(設定ボタン13、選択ボタン14、切替ボタン15)を設けたことを特徴とする車載用電子機器。
【0101】
本発明によれば、複数記憶された仮想経路から使用者が表示部に表示したいと考える仮想経路を選択できるため、使用者の要望に即した仮想経路を表示することが可能となる。
【0102】
発明6.上記発明1乃至発明5のいずれかにおいて、前記仮想経路データ記憶手段は、前記仮想経路データを予め複数記憶するものであって、前記表示部に表示された仮想経路を変更すべく使用者に操作される変更操作手段(設定ボタン13、選択ボタン14、切替ボタン15)と、前記変更操作手段が操作された場合、変更前の仮想経路における初期地点から現在地点までの移動距離を把握する移動距離把握手段(制御部29の積算距離把握処理機能S105)とを備え、前記現在地点表示手段は、前記移動距離把握手段の把握結果に基づいて、変更後の仮想経路における現在地点を表示することを特徴とする車載用電子機器。
【0103】
本発明によれば、変更操作手段が操作された場合、変更前の仮想経路における初期地点から現在地点までの移動距離が把握され、当該把握結果に基づいて変更後の仮想経路における現在地点が表示される。かかる構成とすることにより、車両の現実の移動距離が仮想経路のそれぞれにおいてどれだけ移動したことになるのかをドライバーに報知することができ、車両を走行させる楽しみを提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0104】
10…車両用警報装置、11…本体部、12…表示装置、13…設定ボタン、14…選択ボタン、15…切替ボタン、16…リセットボタン、17…警報ランプ、18…赤外線通信機、19…ソーラーパネル、20…電源スイッチ、21…アダプタージャック、22…コネクタ部、23…無線受信機、24…マイクロ波受信機、25…GPS受信機、26…スピーカ、29…制御部、30…データベース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定情報を取得する情報取得手段と、
前記所定情報に基づいて娯楽情報を提供する娯楽情報提供手段と
を備え、
前記情報取得手段は、前記所定情報として車両に搭載された特定手段に入力される情報を取得することを特徴とする車載用電子機器。
【請求項2】
GPS衛星からのGPS衛星データを受信するデータ受信部を備え、
前記情報取得手段は、前記所定情報として前記GPSデータを取得することを特徴とする請求項1に記載の車載用電子機器。
【請求項3】
前記娯楽情報提供手段は、前記娯楽情報として、使用者の利益に関わる情報と、使用者の将来に関する情報と、前記車両を所定経路で走行させたと仮定した場合の到達位置に関わる情報とのうち少なくとも一つを提供することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車載用電子機器。
【請求項4】
前記娯楽情報提供手段は、
情報を表示する表示部と、
所定の仮想経路データを予め記憶する仮想経路データ記憶手段と、
前記仮想経路データを用いて前記表示部に仮想経路を表示する仮想経路表示手段と、
前記表示部に前記仮想経路における現在地点を表示する現在地点表示手段と、
前記所定情報を用いて前記車両の移動距離を算出する算出手段と、
前記算出手段の算出結果に基づいて、前記現在地点を移動表示させる移動表示手段と
を備え、
前記仮想経路表示手段は、前記車両の現実の移動経路と無関係な経路を前記仮想経路として前記表示部に表示することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の車載用電子機器。
【請求項5】
前記娯楽情報提供手段は、
絵柄が変動表示される表示部と、
前記情報取得手段が前記所定情報を取得したことに基づいて、前記絵柄の変動表示を開始させるべく前記表示部の表示制御を実行する変動制御手段と、
前記絵柄の変動表示が終了した際に前記表示部に特定絵柄が表示された場合、利益を付与する利益付与手段と
を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の車載用電子機器。
【請求項6】
所定周波数帯の電波を受信する受信部と、
前記所定周波数帯の電波の受信を報知する報知手段と
を備え、
前記変動制御手段は、前記受信部が前記電波を受信した場合、又は前記報知手段が前記報知を実行した場合に前記絵柄の変動表示を開始させるべく前記表示部の表示制御を実行することを特徴とする請求項5に記載の車載用電子機器。
【請求項7】
前記娯楽情報提供手段は、
前記所定情報に基づいて前記車両の走行速度を算出する速度算出手段と、
前記所定情報に基づいて前記車両の位置情報を算出する位置情報算出手段と、
前記位置情報が前記車両の所定位置への接近を示すものでない場合、前記速度算出手段の算出結果が所定速度以下であることに基づいて第1演出を実行する第1演出実行手段と、
前記位置情報が前記車両の所定位置への接近を示すものである場合、前記速度算出手段の算出結果と、前記第1演出実行手段の実行結果と、に基づいて第2演出を実行する第2演出実行手段と
を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の車載用電子機器。
【請求項8】
前記娯楽情報を提供する際に用いる娯楽提供用情報を記憶する娯楽提供用情報記憶手段を備え、前記娯楽提供用情報記憶手段を着脱可能な構成としたことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の車載用電子機器。
【請求項9】
前記娯楽情報を提供する際に用いる娯楽提供用情報を記憶する娯楽提供用情報記憶手段と、前記娯楽提供用情報を外部に出力する外部出力手段とを備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の車載用電子機器。
【請求項10】
前記娯楽情報を提供する際に用いる娯楽提供用情報を記憶する娯楽提供用情報記憶手段と、外部装置から新たな娯楽提供用情報が入力された場合、前記娯楽提供用情報記憶手段に記憶された娯楽提供用情報を前記新たな娯楽提供用情報に更新する更新手段とを備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の車載用電子機器。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の車載用電子機器としての機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−225130(P2011−225130A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−97553(P2010−97553)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(391001848)株式会社ユピテル (238)
【Fターム(参考)】