説明

車載用電子機器及びプログラム

【課題】ドライバーに購買意欲を生じさせることが可能な車載用電子機器及びプログラムを提供する。
【解決手段】制御部29には、設定ボタン13,選択ボタン14,切替ボタン15,リセットボタン16,電源スイッチ20,コネクタ部22,無線受信機23,マイクロ波受信機24,GPS受信機25,表示装置12,警報ランプ17,スピーカ26,データベース30が接続されている。データベース30には、車両速度測定装置の位置に関わる情報の他に、疑似情報を提供するための各種情報が出荷時に記憶されている。制御部29は、データベース30に記憶された情報を用いて表示装置12に疑似運転状況を表示させるとともに、取得した速度情報に対応して変化する画像情報及び音声情報を夫々画像及び音声として表示及び出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される車載用電子機器及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される車載用電子機器としては、例えば車両用警報装置がある。車両用警報装置は、車両速度測定装置から送出されるマイクロ波を検知して報知するものや、GPSにより検出した自車の位置情報が予め記憶された車両速度測定装置の位置情報と接近した場合に報知するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。これら車両用警報装置は、報知がなされた場合に自車が車両速度測定装置に接近していることを意味するため、速度超過に対する注意を喚起することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−41281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記車両用警報装置は、例えば気付かないうちに速度超過してしまうドライバーにとって、安全運転の観点から興味深いものであり、購買意欲が湧くと考えられる。一方、例えば法定速度を遵守するドライバーは、車両速度測定装置の位置警報だけでは興味を抱かない可能性が考えられ、車両用警報装置に対して購買意欲を生じさせない可能性が考えられる。このことは、車両用警報装置に限らず、ETC(電子料金収受システム)やナビゲーションシステム等の車両に搭載される他の車載用電子機器にも該当する問題である。
【0005】
また、近年、携帯電話においても、ゲーム機能が搭載される等、ユーザーニーズを満たす為に、これらの娯楽的な機能は、必要不可欠な機能になっているが、車載用電子機器に娯楽的な機能を追加させることにより、車載用電子機器の商品としての付加価値を高めることが求められている。
本発明は、上記例示した事情等に鑑みてなされたものであり、ドライバーに購買意欲を生じさせることが可能な車載用電子機器及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の観点では、本発明は、車両に搭載され、所定情報を取得する情報取得手段と、前記所定情報に基づいて、移動体を運転しているかのような擬似運転状況を表現する疑似情報を提供する情報提供手段とを備えることを特徴とする車載用電子機器を提供する。上記第1の観点による車載用電子機器では、車両が取得した所定情報に基づいて、あたかも移動体を運転しているかのような疑似情報が提供されるので、ドライバーは購買意欲が掻き立てられる。
【0007】
第2の観点では、本発明は、前記第1の観点による車載用電子機器において、前記移動体は、前記車両とは別の移動体としたことを特徴とする。上記第2の観点による車載用電子機器では、車両とは別の移動体を運転しているかのような擬似運転状況を表現する疑似情報を提供できる。これにより、ドライバーは自ら車両を運転しながら、あたかも別の移動体を運転しているかのような気分になることができるので、購買意欲が高まる。
【0008】
第3の観点では、本発明は、前記第1または前記第2の観点による車載用電子機器において、前記疑似情報は、異なる擬似運転状況を表現する複数の疑似運転情報を有し、前記情報提供手段は、前記複数の疑似運転情報から選択された1の疑似運転情報を提供することを特徴とする。上記第3の観点による車載用電子機器では、疑似情報は異なる擬似運転状況を表現する複数の疑似運転情報を有しているので、ドライバーは好きな疑似運転情報をその日の気分で選択できる。
【0009】
第4の観点では、本発明は、前記第1から前記第3のいずれかの観点による車載用電子機器において、前記擬似情報とは異なる、車両の状況に関する情報を提供する車両情報提供手段を備えることを特徴とする。上記第4の観点による車載用電子機器では、車両情報提供手段は、例えば速度取締機等の目標物への接近情報を報知したり、ナビゲーション情報を報知する構成とすることができる。このようにすれば、擬似運転状況を表現する疑似情報だけでなく、車両の状況に関する情報も提供されることにより、提供される情報が増すので、車載用電子機器の魅力が増す。
【0010】
第5の観点では、本発明は、前記第1から前記第4のいずれかの観点による車載用電子機器において、前記所定情報は、使用者が設定する時間情報又は車両からの車速情報を含むことを特徴とする。上記第5の観点による車載用電子機器では、使用者が設定する時間情報又は車両の車速情報に基づいて疑似情報が提供されるので、時間情報又は車速情報に連動した擬似運転状況が表現できる。
【0011】
第6の観点では、本発明は、前記第1から前記第5のいずれかの観点による車載用電子機器において、前記所定情報は、更にGPS衛星から受信されたGPS衛星データを含むことを特徴とする。上記第6の観点による車載用電子機器では、GPS衛星データに基づいて疑似情報が提供されるので、GPS衛星データに連動した擬似運転状況が表現できる。
【0012】
第7の観点では、本発明は、前記第1から前記第6のいずれかの観点による車載用電子機器において、前記情報提供手段は、所定時間で擬似運転状況が終了する擬似情報を提供することを特徴とする。上記第7の観点による車載用電子機器では、所定時間で擬似運転状況が終了するので、ドライバーが欲する時間内で擬似運転状況を終了させることができる。例えば、通勤時間に応じて時間を設定すれば、通勤時間内に擬似運転状況を終了させることができる。また、本構成によれば、同じ擬似情報が提供され続けることを防止できるので、同一内容の継続提供によって飽きられてしまうことを防止できる。
【0013】
第8の観点では、本発明は、前記第5の観点による車載用電子機器において、前記情報取得手段にて取得した車速情報に対応して擬似運転状況が変化する擬似情報を提供することを特徴とする。上記第8の観点による車載用電子機器では、車速情報に対応して擬似運転状況が変化するので、ドライバーは自分の運転の変化に対応して擬似運転状況を変化させることができる。
【0014】
第9の観点では、本発明は、前記第1から前記第8のいずれかの観点による車載用電子機器において、前記情報提供手段は、前記疑似情報を画像として表示する画像表示手段又は音声として出力する音声出力手段を備えることを特徴とする。上記第9の観点による車載用電子機器では、擬似運転状況を画像又は音声として表示したり出力したりできるので、ドライバーや同乗者は擬似運転状況を見て、又は聞いて楽しむことができる。
【0015】
第10の観点では、本発明は、前記第1から前記第9のいずれかの観点による車載用電子機器としての機能をコンピュータに実現させるためのプログラムを提供することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の車載用電子機器によれば、移動体を運転しているかのような状況を表現する疑似情報を提供するという新たな機能を付与することにより、ドライバーに購買意欲を生じさせることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態における車載用電子機器を示す図である。
【図2】図1に示す車載用電子機器のブロック図である。
【図3】疑似運転状況演出処理を示すフローチャートである。
【図4】電車モードの疑似運転状況の表示例を示す図である。(実施例1)
【図5】船舶モードの疑似運転状況の表示例を示す図である。(実施例2)
【図6】フライトモードの疑似運転状況の表示例を示す図である。(実施例3)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態に係る車載用電子機器ついて図面に基づき、詳細に説明する。なお、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0019】
図1は車載用電子機器10の構成を示す図である。車載用電子機器10は、本体部11を有している。本体部11の前面には、疑似運転状況等の各種疑似情報を提供する表示装置12が設けられている。表示装置12は、小型液晶ディスプレイによって形成されている。表示装置12の下方には、中央部に設定ボタン13が配置され、該設定ボタン13の四方を囲むように4つの選択ボタン14が配置されている。設定ボタン13及び選択ボタン14は、表示装置12に表示される疑似運転状況のモード及び運転時間をそれぞれ設定する際に操作するボタンである。選択ボタン14の左方には、疑似運転状況表示に切り替える際に操作する切替ボタン15が配置され、その右方には、リセットボタン16が配置されている。表示装置12の左右両側方には、車両速度測定装置の接近等を報知する警報ランプ17が配置され、その左方には、携帯電話機等の赤外線通信機を内蔵した外部装置とデータの送受信を行うための赤外線通信機18が配置されている。また、表示装置12の近傍には、リモコンからの赤外線を受光する受光部31が配置されている。
【0020】
本体部11の上面には、中央から後部にかけてソーラパネル19が配置され、その右面には、電源スイッチ20とDCジャック(図示略)が配置されている。DCジャックは、車両のシガーソケットに接続されたシガープラグコードを接続するためのものである。該シガープラグコードをDCジャックに接続することにより、車載用電子機器10は車両から電源供給を受けて動作を行うことができる。
【0021】
なお、本車載用電子機器10は、ソーラパネル19とバッテリを搭載しているため、前記シガープラグコードがDCジャックに接続されなかった場合であってもソーラパネル19や車両からの電源によってバッテリに蓄えられた電力によって動作を行うことができる。本体部11の左側面には、メモリーカードリーダ等の外部装置を接続するためのアダプタージャック21が配置され、その下面には、例えば車両に備えられた車内LAN等に接続されたケーブルを接続可能なコネクタ部22が配置されている。
【0022】
本体部11の内部には、無線受信機23とマイクロ波受信機24が後部寄りに配置されており、GPS受信機25が上部に配置されており、スピーカ26が前部に配置されている。無線受信機23は、緊急車両等の発する無線電波を受信するためのものであり、マイクロ波受信機24は、速度測定装置から出力される周波数帯のマイクロ波を受信するためのものである。
次に、本車載用電子機器10の電気的構成について説明する。
【0023】
図2は、車載用電子機器10のブロック図である。
制御部29は、車載用電子機器10の動作全般を制御する機能を有しており、CPU,ROM,RAM,1/O及びこれらを接続するバス等により構成されている。
データベース30は、制御部29に内蔵された又は当該制御部29に外付けされた不揮発性メモリである。データベース30には、車両速度測定装置の位置に関わる情報の他に、擬似情報を提供するための各種情報が出荷時に記憶されている。
【0024】
制御部29には、設定ボタン13,選択ボタン14,切替ボタン15,リセットボタン16,電源スイッチ20,コネクタ部22,無線受信機23,マイクロ波受信機24,GPS受信機25が接続されている。なお、リモコン受信器を制御部29に接続し、リモコン(子機)を操作することで設定ボタン13等と同様の設定を行うことができる構成としても良い。制御部29には、表示装置12,警報ランプ17,スピーカ26が接続されている。また、赤外線通信機18及びアダプタージャック21も、制御部29と入出力可能に接続されている。
【0025】
アダプタージャック21は、データベース30に記憶された擬似情報を新たな擬似情報に更新したり、制御部29やデータベース30のメモリに記憶された情報を外部に取り出したりする場合に用いられる接続部である。すなわち、アダプタージャック21にメモリーカードリーダ等の読み書き可能な外部装置を接続することにより、制御部29が、メモリーカードリーダに装着されたメモリーカード内のデータをデータベース30に取り込んだり、データベース30や制御部29のメモリに記憶されたデータをメモリーカードに書き込んだりする。なお、本車載用電子機器10は、赤外線通信機18によって上記データの送受信を行うことも可能である。
制御部29は、周知のGPS警報機能,マイクロ波警報機能,無線警報機能の他に、疑似情報の提供機能として、電車や船舶や飛行機等の乗り物を運転しているかのような疑似運転状況を表示する疑似運転状況演出機能を備えている。
ここで、GPS警報機能は、GPS受信機25が受信するGPSデータに基づいて測位した自車の位置情報が予め記憶された車両速度測定装置等の目標物の位置情報と接近した場合に警報ランプ17の点灯やスピーカ26からの警報音等で報知する機能である。また、マイクロ波警報機能は、マイクロ波受信機24が車両速度測定装置等から出力される周波数帯のマイクロ波を受信した場合に同じく報知する機能である。また、無線警報機能は、無線受信機23が緊急車両等の発する無線電波を受信した場合に同じく報知する機能である。
【0026】
<疑似運転状況演出処理>
図3は、上記疑似情報を提供するにあたって制御部29が行う疑似運転状況演出処理を示す。図3に示すステップS1では、切替ボタン15が操作されたか否かを判定する。ドライバー又は車両の同乗者(以下、併せて「使用者」という。)により、切替ボタン15が操作された場合には、ステップS2からS3に示す疑似運転状況設定処理を行った後にステップS5に進み、切替ボタン15が操作されなかった場合には、ステップS4に進み、自動設定処理を行う。
【0027】
疑似運転状況設定処理では、先ずステップS2にて運転モード設定処理を行う。疑似運転状況の運転モードとして、表示装置12に、例えば、電車を運転しているかのような疑似運転状況を表示する「電車モード」や、船舶を操縦しているかのような疑似操縦状況を表示する「船舶モード」や、飛行機を操縦しているかのような疑似操縦状況を表示する「フライトモード」を有する。使用者の選択ボタン14の操作を検出することにより、表示装置12に表示したモードの選択肢の中から何れか1つのモードを決定する。
【0028】
ステップS3では、運転時間設定処理を行う。この処理では、使用者の設定ボタン13の操作を検出することにより、例えば、30分、45分、60分などの所定時間の選択肢を表示装置12に表示し、その中から1つの選択を検出して疑似運転状況を表示する時間を設定する。なお、任意の時間を数値入力する操作や、設定時間を増減する操作を検出することにより時間の設定を行う構成としても良い。一方、自動設定(ステップS4)では、予め設定された運転モード設定と運転時間とする。
【0029】
ステップS5では、スタート場面演出処理を行う。この処理では、ステップS2にて設定された運転モードでのスタート場面をデータベース30に記憶されている疑似情報の中から取り出し、スタート場面のグラフィック画像などの画像として表示装置12に表示させる。さらに、スタート場面を演出するような合成音声などの音声をスピーカ26から出力させる。
【0030】
ステップS6では、ドライバーが車両の運転を開始して、車両を走行させたか否かを判定する。例えば、GPS受信機25によって、車両の位置が測位でき、車両の位置が変化した場合に、ドライバーが車両の運転を開始して、車両を走行させたと判定する。車両の運転が開始されるまでは次のステップには進まない。運転が開始され車両が走行すると、ステップS7に進み、制御部29に内蔵された時計をスタートさせ、その時点から時間経過をカウントさせる。
ステップS8では、時間経過把握処理を行う。制御部29に内蔵された時計は、車両の運転開始からの時間経過の情報をカウントしており、運転開始からの時間経過が把握される。
【0031】
ステップS9では、速度情報把握処理を行う。制御部29のRAMには、GPS受信機25から出力される車両の速度情報を記憶する速度情報記憶エリアが設けられており、該エリアに記憶された速度情報が把握され、速度情報が変化するごとに新たな速度情報として書き換えられる。
ステップS10では、途中場面演出処理を行う。進行中の運転モードでの途中場面を表示する疑似情報をデータベース30から取り出し、途中場面のグラフィック画像などの画像を表示装置12に表示し、途中場面を演出するような合成音声などの音声をスピーカ26から出力する。また、速度情報の変化に対応して、途中場面のグラフィック画像などの画像や合成音声などの音声を変化させて表示し出力する。
【0032】
ステップS11では、ステップS3で設定した運転時間が経過したか否かを判定する。経過していない場合には上記したステップS8からS10の処理を繰り返し、経過した時にはステップS12に進む。
ステップS12では、到着場面演出処理を行う。この処理では、進行中の運転モードの到着場面をデータベース30に記憶されている疑似情報の中から取り出し、到着場面のグラフィック画像などの画像を表示装置12に表示し、到着場面を演出するような合成音声などの音声をスピーカ26から出力する。以上で、本疑似運転状況演出処理は終了する。
【実施例1】
【0033】
−電車モード−
図4は、電車モードにおける、図3のステップ10の途中場面演出処理による出発駅と到着駅との間の途中場面の表示例を示す。
以下、本車載用電子機器10の動作を使用者側からみた動作として記載している部分については、このような動作が実現されるような処理を制御部29が行なっているということである。例えば、以下の例における各場面の画像や音声は、データベース30に予め記憶された画像データや音声データを元に生成している。
図4において、表示装置12の表示画面の上方の約4分の3の風景表示部分41には運転席から見える風景を模した画像を表示し、下方の約4分の1の計器類表示部分には、マスターコントローラ42、速度計43、圧力計44、時間表示部45をそれぞれ模した画像を表示する。
【0034】
マスターコントローラ42は、電車の運転手が電車速度を遠隔制御するスイッチ装置を模した表示をする。速度計43は、電車の速度計を模した表示をする。圧力計44は、電車のブレーキ用油圧を示す計器を模した表示をする。時間表示部45は、使用者が設定した運転時間や現在時刻を模した表示をする。
「電車モード」を選択する場合には、切替ボタン15(図1(b)参照)を操作して、疑似運転状況設定処理を行わせる。図1(b)に示す選択ボタン14を操作することにより「電車モード」を選択し、更に、設定ボタン13を操作することにより運転時間を設定する。
【0035】
<発車場面>
疑似運転状況が設定されると、電車の発車場面を演出した画像が表示装置12に表示される。同時に電車が出発駅に停車時の音声がスピーカ26から出力される。
発車場面では、データベース30に予め記憶された電車の発車場面を演出した画像データにより、例えば、出発駅に停車している電車の運転席から見た風景を模したグラフィック画像、及び、その時の運転席の計器類を模したグラフィック画像を、電車の発車場面を演出した表現画像として表示装置12に表示させると良い。更に、データベース30に予め記憶された電車のスタート場面を演出した音声データにより、例えば、出発駅に停車している時における車掌のアナウンス風の音声をスピーカ26から出力させると良い。
【0036】
<途中場面>
ドライバーが車両の運転を開始して車両を走行させると、電車の発車場面を演出した画像から、電車が出発駅から発車した後の電車走行中の途中場面を演出した画像に変化し、電車が次の駅に向かって走行しているかのような途中(駅間)場面を演出した画像が表示装置12に表示される。同時に電車が次の駅に向かって走行している時の音声がスピーカ26から出力される。
【0037】
電車走行中の途中場面では、データベース30に予め記憶された電車走行中の途中場面を演出した画像データにより、例えば、出発駅を発車して次の駅まで走行し、更に、いくつかの途中駅に停車あるいは途中駅を通過して終着駅に到着するまでに、時間経過とともに運転席から見える風景が変化し、その間に運転席の計器類が変化していく様子を模したグラフィック画像を、電車走行中の途中場面を演出した表現画像として表示装置12に表示させると良い。更に、データベース30に予め記憶された電車走行中の途中場面を演出した音声データにより、例えば、途中停車駅や途中通過駅や終着駅の駅名を告げたり、途中停車駅や終着駅の到着予定時刻を告げたりといった車掌のアナウンス風の音声をスピーカ26から出力させると良い。
【0038】
また、上記のような時間経過による途中場面の画像や音声の変化の他に、運転する車両の速度情報などの車両の動きの変化に対応して、電車の運転席から見える風景を模したグラフィック画像や車掌のアナウンス風の音声内容を変化させる。このようにすることで、よりリアル感を演出することが可能になる。
電車走行中の途中場面での運転席の計器類については、車両の走行中に把握された車両の速度情報や時間経過に応じて、運転席の計器類を模して表現したグラフィック画像を変化させても良い。
【0039】
具体的には、マスターコントローラ42は、車両の速度情報の変化に応じて、レバーの位置を変化させて表示することにより、電車運転手がマスターコントローラ42を操作している様子を演出できる。速度計43は、車両の速度情報の変化に応じて、電車の速度を示す数値や針位置を変化させて表示することにより、電車の速度変化の様子を演出できる。圧力計44は、車両の速度情報の変化に応じて、特に車両速度が減速する時に、電車のブレーキ圧が高まる様子を示すように数値や針位置を変化させて表示することにより、電車の減速によりブレーキ圧が高まる様子を演出できる。
【0040】
時間表示部45は、設定された運転時間を、目的地である終着駅までの到着予想時間として残り時間をカウントダウン表示することにより、終着駅までの到着所要時間を確認できる。時間表示部45には、例えば、次のように、現在時刻も表示することにより、到着所要時間と現在時刻を同時に確認できる。
現在時刻 10:25
到着所要時間 120分
【0041】
<到着場面>
使用者が設定した運転時間が経過すると、電車走行中の途中場面を演出した画像から、電車が終着駅に到着した到着場面を演出した画像に変化し、その到着場面を演出した画像が表示装置12に表示される。同時に電車が終着駅に到着した時の音声がスピーカ26から出力される。
【0042】
電車の到着場面では、データベース30に予め記憶された電車の到着場面を演出した画像データにより、例えば、到着駅に停車する電車の運転席から見た風景を模したグラフィック画像、及び、到着時の運転席の計器類を模したグラフィック画像を、到着場面を演出した表現画像として表示装置12に表示させると良い。更に、データベース30に予め記憶された電車の到着場面を演出した音声データにより、例えば、到着駅における車掌のアナウンス風の音声をスピーカ26から出力させると良い。
【0043】
上述したように、電車モードにおいては、使用者が設定した運転時間内で、電車の発車場面に始まり、電車走行中の途中場面を経て、電車の到着場面に至って終了するように演出した画像を表示させ、同時に音声を出力させることができ、駅から駅への移動を演出できる。また、ドライバーが実際に走行させる車両の速度情報が把握されて、該速度情報の変化に連動して、電車の運転席から見た風景や計器類の状態が変化するので、ドライバーはあたかも電車を運転しているかのように感じ、リアル感を増すことができる。
【実施例2】
【0044】
−船舶モード−
図5は、船舶モードにおける、図3のステップ10の途中場面演出処理による港と港との間の途中場面の表示例を示す。
図5において、表示装置12の表示画面の下方一部分を除く風景表示部分51には船舶の操縦席から見える風景を模した画像を表示し、下方一部分の計器類表示部分には、舵52、速度計53、時間表示部54をそれぞれ模した画像を表示する。
【0045】
舵52は、船舶の操縦者が操縦する輪状の操作部を模した表示をする。速度計53は、船舶の操縦席の速度計を模した表示をする。時間表示部54は、使用者が設定した運転時間や現在時刻を模した表示をする。
「船舶モード」を選択する場合には、「電車モード」の場合と同様のボタン操作をすることにより「船舶モード」を選択し、更に、運転時間を設定する。
【0046】
<出港場面>
疑似運転状況が設定されると、船舶の出港場面を演出した画像が表示装置12に表示される。同時に船舶が港に停泊している時の音声がスピーカ26から出力される。
船舶の出港場面では、データベース30に予め記憶された船舶の出港場面を演出した画像データにより、例えば、港に停泊している船舶の操縦席から見た風景を模したグラフィック画像、及び、その時の操縦席の計器類を模したグラフィック画像を、船舶の出港場面を演出した表現画像として表示装置12に表示させると良い。更に、データベース30に予め記憶された船舶の出港場面を演出した音声データにより、例えば、港に停泊している時における船内アナウンス風の音声や汽笛などをスピーカ26から出力させると良い。
【0047】
<途中場面>
車両の運転が開始され車両が走行すると、船舶の出港場面を演出した画像から、船舶が出港した後の船舶航行中の途中場面を演出した画像に変化し、船舶が目的地の港に向かって航行しているかのような途中場面を演出した画像が表示装置12に表示される。同時に船舶が目的地の港に向かって航行している時の音声がスピーカ26から出力される。
【0048】
船舶航行中の途中場面では、データベース30に予め記憶された船舶航行中の途中場面を演出した画像データにより、例えば、出港して湾内から外洋に出るまで航行し、更に、外洋を航行して目的地の港に入港するまでに、時間経過とともに船舶の操縦席から見える風景が変化し、その間に操縦席の計器類が変化していく様子を模したグラフィック画像を、船舶航行中の途中場面を演出した表現画像として表示装置12に表示させると良い。更に、データベース30に予め記憶された船舶航行中の途中場面を演出した音声データにより、例えば、船舶から見える風景を案内したり、目的の港の入港予定時刻を告げたりといった船内アナウンス風の音声や船舶航行中に聞こえると思われる船舶のエンジン音や船舶航行による波音や他の船舶からの汽笛などの効果音をスピーカ26から出力させると良い。
【0049】
また、上記のような時間経過による途中場面の画像や音声の変化の他に、運転する車両の速度情報などの車両の動きの変化に対応して、操縦席から見える風景を模したグラフィック画像や船内アナウンス風の音声内容を変化させる。このようにすることで、よりリアル感を演出することが可能になる。
船舶航行中の途中場面での操縦席の計器類については、車両の走行中に把握された速度情報や時間経過に応じて、操縦席の計器類を模して表現したグラフィック画像を変化させても良い。
【0050】
具体的には、速度計53は、車両の速度情報の変化に応じて、船舶の速度を示す数値や針位置を変化させて表示することにより、船舶の速度変化の様子を演出できる。このとき、車両の実際の速度を2分の1にした数値を船舶の速さを表す「ノット(毎時1,852m)」で表示するようにしても良い。このように表示することにより、よりリアルな画像を演出することが可能になる。
時間表示部54は、設定された運転時間を、目的地の港までの入港予想時間として残り時間をカウントダウン表示することにより、目的地の港までの入港所要時間を確認できる。時間表示部54には、現在時刻も表示することにより、入港所要時間と現在時刻を同時に確認できる。
【0051】
<入港場面>
使用者が設定した運転時間が経過すると、船舶航行中の途中場面を演出した画像から、船舶が目的地の港に入港した入港場面を演出した画像に変化し、その入港場面を演出した画像が表示装置12に表示される。同時に船舶が目的地の港に入港した時の音声がスピーカ26から出力される。
【0052】
船舶の入港場面では、データベース30に予め記憶された船舶の入港場面を演出した画像データにより、例えば、目的地の港に入港する船舶の操縦席から見た風景を模したグラフィック画像、及び、入港時の操縦席の計器類を模したグラフィック画像を、入港場面を演出した表現画像として表示装置12に表示させると良い。更に、データベース30に予め記憶された船舶の入港場面を演出した音声データにより、例えば、目的地の港における船内アナウンス風の音声をスピーカ26から出力させると良い。
上述したように、船舶モードにおいては、使用者が設定した運転時間内で、船舶の出港場面に始まり、船舶航行中の途中場面を経て、船舶の入港場面に至り終了するように演出した画像を表示させ、同時に音声を出力させることができ、港から港への移動を演出できる。
【実施例3】
【0053】
−フライトモード−
図6は、フライトモードにおける、図3のステップ5のスタート場面演出処理による出発空港での離陸場面あるいは到着空港での着陸の表示例を示す。
図6において、表示装置12の表示画面の右上方一部分を除く風景表示部分61には操縦対象となる飛行機を俯瞰して見たような風景を模した画像を表示し、右上一部分の計器類表示部分には、飛行機のコックピット内の速度計62、高度計63、時間表示部64をそれぞれ模した画像を表示する。
【0054】
速度計62は、飛行機のコックピットの速度計を模した表示をする。高度計63は、同じくコックピットの高度計を模した表示をする。時間表示部64は、使用者が設定した運転時間や現在時刻を模した表示をする。
「フライトモード」を選択する場合には、「電車モード」の場合と同様のボタン操作をすることにより「フライトモード」を選択し、更に、運転時間を設定する。
【0055】
<離陸場面>
疑似運転状況が設定されると、飛行機の離陸場面を演出した画像が表示装置12に表示される。同時に飛行機が離陸しようとする時の音声がスピーカ26から出力される。
飛行機の離陸場面では、データベース30に予め記憶された飛行機の離陸場面を演出した画像データにより、例えば、出発空港を離陸しようとする飛行機を俯瞰して見たような風景を模したグラフィック画像、及び、その時のコックピットの計器類を模したグラフィック画像を、飛行機の離陸場面を演出した表現画像として表示装置12に表示させると良い。更に、データベース30に予め記憶された飛行機の離陸場面を演出した音声データにより、例えば、離陸時における機内アナウンス風の音声あるいはコックピット内で聞こえる音声をスピーカ26から出力させると良い。
【0056】
<途中場面>
ドライバーが車両の運転を開始して車両を走行させると、飛行機の離陸場面を演出した画像から、飛行機が離陸した後のフライトの途中場面を演出した画像に変化し、飛行機が到着空港に向かってフライトしているかのような途中場面を演出した画像が表示装置12に表示される。同時に飛行機が到着空港に向かってフライトしている時の音声がスピーカ26から出力される。
【0057】
フライト中の途中場面では、データベース30に予め記憶されたフライト中の途中場面を演出した画像データにより、例えば、空港を離陸して水平飛行になり、しばらく水平飛行を続け、到着空港に近付いて着陸体勢になり、到着空港に着陸するまでに、時間経過とともに変化しながら飛行機を俯瞰して見たような風景が変化し、その間にコックピックの計器類が変化していく様子を模したグラフィック画像を、フライトの途中場面を演出した表現画像として表示装置12に表示させると良い。更に、データベース30に予め記憶されたフライト中の途中場面を演出した音声データにより、例えば、離陸直後や水平飛行中や到着空港に近付いた時の機内アナウンス風の音声やパイロット交信音声などのコックピット内で聞こえる音声をスピーカ26から出力させると良い。
【0058】
また、上記のような時間経過による途中場面の画像や音声の変化の他に、運転する車両の速度情報などの車両の動きの変化に対応して、コックピットから見える風景を模したグラフィック画像や機内アナウンス風の音声内容を変化させる。こうすることで、よりリアル感を演出することが可能になる。
フライト中の途中場面でのコットピットの計器類については、車両の走行中に把握された速度情報や時間経過に応じて、コックピットの計器類を模して表現したグラフィック画像を変化させても良い。
【0059】
具体的には、速度計62は、車両の速度情報の変化に応じて、飛行機の速度を示す数値や針位置を変化させて表示することにより、飛行機の速度変化の様子を演出できる。このとき、車両の実際の速度を5倍にした数値を飛行機の速さとして表示するようにしても良い。このように表示させることにより、よりリアルな画像を演出することが可能になる。高度計63は、空港を離陸して水平飛行になり、しばらく水平飛行を続け、到着空港に近付いて着陸体勢になり、到着空港に着陸するまでの間で、途中場面を演出して表現したグラフィック画像の変化に対応して、飛行機の高度を示す数値や針位置を変化させて表示することにより、飛行機の高度変化の様子を演出できる。
【0060】
時間表示部64は、設定された運転時間を、目的地の空港までの到着予想時間として残り時間をカウントダウン表示することにより、目的地の空港までの到着所要時間を確認できる。時間表示部64には、現在時刻も表示することにより、到着所要時間と現在時刻を同時に確認できる。
【0061】
<着陸場面>
使用者が設定した運転時間が経過すると、フライト中の途中場面を演出した画像から、飛行機が到着空港に着陸した着陸場面を演出した画像に変化し、その着陸場面を演出した画像が表示装置12に表示される。同時に飛行機が到着空港に着陸した時の音声がスピーカ26から出力される。
【0062】
飛行機の着陸場面では、データベース30に予め記憶された飛行機の着陸場面を演出した画像データにより、例えば、到着空港に着陸する飛行機を俯瞰して見たような風景を模したグラフィック画像、及び、着陸時のコックピットの計器類を模したグラフィック画像を、着陸場面を演出した表現画像として表示装置12に表示させると良い。更に、データベース30に予め記憶された飛行機の着陸場面を演出した音声データにより、例えば、到着空港における機内アナウンス風の音声あるいはコックピット内で聞こえる音声をスピーカ26から出力させると良い。
【0063】
上述したように、フライトモードにおいては、使用者が設定した運転時間内で、飛行機の離陸場面に始まり、フライト中の途中場面を経て、飛行機の着陸場面に至って終了するように演出した画像を表示させ、同時に音声を出力させることができ、空港から空港への移動を演出できる。
【0064】
本発明は、図4〜図6に例示したような、電車、船舶、飛行機といった乗り物に限らず、惑星探査機などの乗り物以外の移動体の疑似移動状況を表現して演出するようにしても良い。惑星探査機の場合、地球から打ち上げられ、宇宙空間を航行して、目的の惑星に接近、あるいは着陸して惑星探査をした後、再び、宇宙空間を航行して、地球に帰還するというような疑似航行状況を、電車、船舶、飛行機の場合と同様に、表現して演出することができる。
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
【0065】
表示装置12(図1(b)参照)にドライバーが運転する車両とは別の、例えば電車などの移動体を運転しているかのような擬似運転状況を演出した画像を表示するとともに、それぞれのモードに見合うアナウンス風の音声を出力して、面白さを演出する構成とし、各モード時の画面演出と音声演出の一体感を出し、表示画面のリアル感を高めることができた。かかる構成とすることにより、車載用電子機器に擬似運転状況を演出した画像を表示し、音声を出力するという新たな機能を付与して、ドライバーは自車両を運転しながら、あたかも自車両とは別の移動体を運転しているかのような気分になる。したがって、ドライバーに購買意欲を生じさせることができる。
【0066】
電車や船舶や飛行機などの複数の疑似運転状況の運転モードから選択された1つの運転モードを提供する構成とした。かかる構成とすることにより、ドライバーが自由に運転モードを選択して、ドライバーは好きな疑似運転情報をその日の気分で選択できる。
【0067】
ドライバーなどの使用者が設定する所定長さの時間内で疑似運転状況が終了する疑似情報を提供する構成とすることにより、ドライバーが好きな長さの時間内で擬似運転状況を終了させた。例えば、通勤時に通勤時間に応じてこの長さを指定すれば、通勤の実際の運転が完了するまでに擬似運転状況が終了する擬似情報が提供されることとなる。また、擬似運転状況が終了せずに擬似情報が提供され続けることを防止できる。したがって、例えば、擬似運転状況が終了せずに擬似情報が提供され続け飽きられてしまうことを防止できる。
【0068】
メモリーカードリーダ等の外部装置を接続するためのアダプタージャック21を設けたため、データベース30に記憶された疑似情報を新たな疑似情報に更新することができる。この結果、例えば新たな疑似運転状況の運転モードを導入する等を行うことでドライバーが疑似運転状況演出機能に飽きてしまうのを防止できる。
なお、上述した各実施の形態の記載内容に限定されず、例えば、次のように実施しても良い。
【0069】
(1)本発明の車載用電子機器10では、途中経過演出処理において、ドライバーが運転する車両の速度情報などの車両の動きを把握して、その車両の動きの変化に対応して、画像内容を変化させて表示するともに、音声内容を変化させて出力する構成としたが、信号や渋滞などにより車両が頻繁に停車することで、途中経過演出が煩わしいことが予想される場合には、車両の速度情報の変化とは無関係に、使用者が設定した運転時間内で、時間経過の変化だけに対応して画像内容及び音声内容を変化させる構成としても良い。このように構成することで、信号や渋滞などにより車両が頻繁に停車する場合でも、車両の動きとは無関係に、設定された運転時間で終了するように演出された運転状況をバーチャルに体験することができる。
【0070】
(2)本発明の車載用電子機器10では、使用者が疑似運転状況を開始する時刻と終了する時刻を設定する構成としても良い。このように構成することで、通勤などで毎日決まった時間に車両の運転をするような場合には、例えば、タイマー機能により予め開始時刻と終了時刻を設定しておくことで、車両の運転を開始するときに運転時間を設定する手間を省くことができ、使用者の利便性を増すことができる。
【0071】
(3)本発明の車載用電子機器10では、使用者が好みの運転時間を設定する構成としたが、ナビゲーションシステムで目的地を設定したときに自動的に目的地までの所要時間に対応して運転時間を設定する構成としても良い。このようにナビゲーションシステムに連動させる構成とすることで、使用者が運転時間を設定する手間を省くことができ、使用者の利便性を増すことができる。
【0072】
(4)本発明の車載用電子機器10では、画像を表示するともに、音声を出力する構成としたが、画像だけを表示する構成としても良い。このように構成することで、疑似運転状況の画像だけを楽しむことができ、好きな音楽などを聴取することができる。また、同乗者との会話を妨げることがないという効果もある。
【0073】
(5)本発明の車載用電子機器10では、使用者が疑似運転状況のモードを疑似運転状況演出機能に切替えた場合には、自動的にどれかのモードが選択されるか、あるいは常に1つのモードに固定的に設定される構成としても良いし、1つのモードのみを備えた構成としても良い。これにより、使用者がモードを設定する手間を省くことができ、使用者の利便性を増すことができる。
【0074】
(6)本発明の車載用電子機器10では、車載用電子機器10に疑似運転状況演出機能を付与した場合を例として説明したが、他の車載用電子機器に適用することも可能である。例えば、車両に搭載されるオドメータに疑似運転状況演出機能を付与しても良いし、ETCやナビゲーションシステム、カーオーディオシステム等に疑似運転状況演出機能を付与しても良い。
【0075】
(7)本発明の車載用電子機器10では、更に、ナビゲーション機能も付与する構成にして、疑似運転状況演出機能により疑似運転状況等の疑似情報を提供すること、車両用警報機能により速度取締機等の目標物への接近情報を報知することに加えて、更に、目的地までの最適経路の情報、目的地までの到着所要時間や所要距離などのナビゲーション情報も報知する構成としても良い。このように構成することで、車両の状況に関する情報として、車両用警報情報だけでなく、ナビゲーション情報も提供されるようになり、このような幅広い車両の状況に関する情報に加え、さらに、移動体を運転しているかのような擬似運転状況を表現する疑似情報が提供される。
【0076】
(8)本発明の車載用電子機器10では、GPS受信機25を具備し、GPS受信機25が受信するGPS衛星からのGPS衛星データに基づいて擬似情報を提供する構成とした。さらに例えば、GPS衛星データに基づいて車両の移動距離を算出し、算出した移動距離を表示装置12に表示したオドメータ(走行距離計)に表示させるよう構成しても良い。電車モードでは、電車の走行距離を表示するオドメータとして表示する構成としても良い。その場合、オドメータに表示する数値は、算出した実際の車両の移動距離を任意の倍数に置き換えて表示する。例えば、電車モードでは、算出した移動距離を2倍した数値を表示する。同様に、船舶モードでは、0.5倍した数値を表示し、フライトモードでは5倍した数値を表示し、惑星探査機の場合には、100倍した数値を表示する。このことにより、GPS衛星データに連動した擬似運転状況を表現することができる。また、さらに制御部29と車両の故障診断コネクタ(例えば、OBDIIコネクタ)とを接続して、車両からエンジン回転数等の車両情報を取得してその取得した車両情報に基づいて擬似運転状況演出機能を実現しても良い。例えば、車両の速度情報の変化に応じて変化させて表示することとした点は、このような車両情報の変化に応じて変化させて表示させるようにしても良い。例えば、マスターコントローラ42はエンジン回転数の変化に応じて変化させるようにしても良い。
【0077】
(9)本発明の車載用電子機器10は車両用警報装置として、車両の位置等に基づいてGPS警報,マイクロ波警報,無線警報等の各種警報情報を提供することができるため、警報情報を提供するタイミングがランダムになりがちである。このため、疑似運転状況等の疑似情報を提供している際に警報情報を提供するタイミングとなったり、警報情報を提供している際に疑似情報を提供するタイミングとなったりする。そこで以下では、警報情報と疑似情報を好適な形で提供する構成について説明する。
【0078】
例えば、表示装置12の表示画面を上下に分割し、疑似情報を表示するための疑似情報表示エリアの下方あるいは上方、あるいは上下両方に、各種警報を表示するための警報情報表示を設ける構成としても良い。
例えば、表示装置12の表示画面を左右に分割し、疑似情報表示エリアの右方あるいは左方、あるいは左右両方に警報情報表示エリアを設ける構成としても良い。
【0079】
例えば、表示装置12の右下隅角部を分割して当該領域を警報情報表示エリアとし、他の領域を疑似情報表示エリアとする構成とする。このとき、疑似情報表示エリアと警報情報表示エリアの境界部に境界線を表示せず、一体的な表示を行う。なお、警報情報表示エリアは左下隅角部,右上隅角部,左上隅角部のいずれに設けても良い。
【0080】
これら構成とした場合には、疑似情報を提供しつつ警報情報を提供することが可能となる。また、1つの表示装置12にて疑似情報と警報情報を共に表示する構成としたため、疑似情報表示用の表示装置と警報情報表示用の表示装置を別個に設ける構成と比して、部品点数や取付工数の増加に伴うコストアップを抑制することが可能となる。なお、警報情報を表示する必要がない場合は表示装置12の全画面にて疑似情報を表示し、警報情報を表示する必要が生じた場合は表示画面を疑似情報表示エリアと警報情報表示エリアに分割する構成としても良い。また、表示画面の下部と右部に警報情報表示エリアを設ける等、上記各記載の構成を適宜組み合わせても良いことはいうまでもない。
【0081】
スピーカ26(図1(b)参照)を用いて警報情報と疑似情報を提供する場合には、警報情報の出力音と疑似情報の出力音とで差別化を図ることが望ましい。差別化の例としては、警報情報を提供する場合に男性の音声で出力し、疑似情報を提供する場合に女性の音声で出力する構成や、疑似情報を音声で出力し、警報情報を音楽で出力する構成、警報情報を出力する場合には当該警報情報を出力する前に「ピロ・ピロ」等の特有音を出力する構成等が考えられる。
【0082】
スピーカ26を用いる場合には、警報情報の提供タイミングと疑似情報の提供タイミングとが一致した場合、疑似情報を優先出力して警報情報を出力しない構成としても良いし、警報情報を優先出力して疑似情報を出力しない構成としても良い。また、取締りに関する警報情報に限って疑似情報より優先出力し、他の警報情報については疑似情報を優先出力する構成としても良い。さらに、警報情報を優先出力し、警報情報の出力を終えた後に疑似情報を出力する構成としても良い。なお、警報情報を音楽で出力し、疑似情報を音声で出力する構成においては、音楽に乗せて音声を出力することにより、警報情報と疑似情報を同時に提供することも可能である。
【0083】
表示装置12の全画面にて疑似情報を表示し、警報情報をスピーカ26から出力する構成、すなわち、疑似情報を提供する装置と、警報情報を提供する装置とを別個に設ける構成としても良い。また、表示装置12に疑似情報提供手段としての役割を付与し、スピーカ26に疑似情報提供手段及び警報情報提供手段としての役割を付与する構成としても良い。同様に、スピーカ26に疑似情報提供手段としての役割を付与し、表示装置12に疑似情報提供手段及び警報情報提供手段としての役割を付与する構成としても良い。
【0084】
(10)本発明の車載用電子機器10では、使用者が設定した運転時間内に、ドライバーが休憩等により車両を停車させた(エンジンを停止させた)後に、再度、運転を開始して車両を走行させる場合、疑似運転状況演出処理について、それまでの続きを継続して行なわせるか、その時点で終了させるのかを選択できる機能を追加する構成としても良い。このように構成することで、再度、運転を開始する時点において、続きを継続して行わせることもできるし、一度終了させて改めて運転時間を設定して最初から始めることもできる。なお、続きを継続して行なわせる場合には、車両が停車(休憩等)していた時間分が、設定した運転時間に追加されて、運転時間が延長されることになる。
【0085】
(11)本発明の車載用電子機器10では、使用者が好みの運転時間を設定する構成としたが、運転する距離を設定する構成としても良い。このように距離を設定する構成とした場合には、渋滞などによる時間の影響を受けることをなくなる。
【符号の説明】
【0086】
10…車載用電子機器、11…本体部、12…表示装置、13…設定ボタン、14…選択ボタン、15…切替ボタン、16…リセットボタン、17…警報ランプ、18…赤外線通信機、19…ソーラパネル、20…電源スイッチ、21…アダプタージャック、22…コネクタ部、23…無線受信機、24…マイクロ波受信機、25…GPS受信機、26…スピーカ、29…制御部、30…データベース、31…受光部、41…風景表示部分、42…マスターコントローラ、43…速度計、44…圧力計、45…時間表示部、51…風景表示部分、52…舵、53…速度計、54…時間表示部、61…風景表示部分、62…速度計、63…高度計、64…時間表示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、所定情報を取得する情報取得手段と、
前記所定情報に基づいて、移動体を運転しているかのような擬似運転状況を表現する疑似情報を提供する情報提供手段と
を備えることを特徴とする車載用電子機器。
【請求項2】
前記移動体は、前記車両とは別の移動体としたことを特徴とする請求項1に記載の車載用電子機器。
【請求項3】
前記疑似情報は、異なる擬似運転状況を表現する複数の疑似運転情報を有し、
前記情報提供手段は、前記複数の疑似運転情報から選択された1の疑似運転情報を提供することを特徴とする請求項1または2に記載の車載用電子機器。
【請求項4】
前記擬似情報とは異なる、車両の状況に関する情報を提供する車両情報提供手段を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の車載用電子機器。
【請求項5】
前記所定情報は、使用者が設定する時間情報又は車両からの車速情報を含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の車載用電子機器。
【請求項6】
前記所定情報は、更にGPS衛星から受信されたGPS衛星データを含むことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の車載用電子機器。
【請求項7】
前記情報提供手段は、所定時間内で擬似運転状況が終了する擬似情報を提供することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の車載用電子機器。
【請求項8】
前記情報提供手段は、前記情報取得手段にて取得した車速情報に対応して擬似運転状況が変化する擬似情報を提供することを特徴とする請求項5に記載の車載用電子機器。
【請求項9】
前記情報提供手段は、前記疑似情報を画像として表示する画像表示手段又は音声として出力する音声出力手段を備えることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の車載用電子機器。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の車載用電子機器としての機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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