車載用電子機器用の支持装置
【課題】片手でも簡単に操作することで車載用電子機器を取り外すことができる車載用電子機器用の支持装置を提供すること。
【解決手段】クレードル3のほぞ体30に携帯ナビゲーション装置101の長溝が挿入されるように携帯ナビゲーション装置101を上方から下方に向かって導き、ストッパプレート12先端の干渉部14を携帯ナビゲーション装置101に係合させてクレードル3上に装着する。これを取り外す際には携帯ナビゲーション装置101をクレードル3とともにコイルばね33に抗して第1の方向に引っ張り、干渉部14を相対的に垂直当接面25から没する方向に移動させ係合関係を解除し、そのまま上方に取り出すようにする。これによって片手での携帯ナビゲーション装置101の支持装置からの取り出しが可能となる。
【解決手段】クレードル3のほぞ体30に携帯ナビゲーション装置101の長溝が挿入されるように携帯ナビゲーション装置101を上方から下方に向かって導き、ストッパプレート12先端の干渉部14を携帯ナビゲーション装置101に係合させてクレードル3上に装着する。これを取り外す際には携帯ナビゲーション装置101をクレードル3とともにコイルばね33に抗して第1の方向に引っ張り、干渉部14を相対的に垂直当接面25から没する方向に移動させ係合関係を解除し、そのまま上方に取り出すようにする。これによって片手での携帯ナビゲーション装置101の支持装置からの取り出しが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用電子機器を車両の任意の配置位置、例えばダッシュボード等に配置させるための車載用電子機器の支持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
表示部を有する車載用電子機器、例えばナビゲーション装置、レーダー探知装置等ではユーザーの見やすい位置にその表示部が配置されるように車両の任意の位置、例えばダッシュボード上に支持装置を設置し、車載用電子機器を支持するようにしている。このような車載用電子機器の支持装置の一例を特許文献1に示す。
車載用電子機器を支持装置に対して着脱させるための着脱機構にはいくつかの方式があるが、一般的にはスライド式係合機構が多く用いられている。スライド式係合機構は、例えばクレードルと車載用電子機器のいずれか一方にほぞ体を、いずれか他方に長溝を形成し、車載用電子機器をクレードルの取付面に対して1方向からほぞ体と長溝を案内部材としてスライド移動させて車載用電子機器を装着する機構である。車載用電子機器の取り付け動作に伴いストッパ部材が車載用電子機器に係合されるため、取り外しの際にはストッパ部材によるロック状態を解除して取り付け操作時とは逆方向にスライドさせるようにするものである。
【0003】
図20及び図21はそのようなスライド式係合機構で車載用電子機器を装着する支持装置100の具体的な例である。図22は同じく車載用電子機器の一例である携帯ナビゲーション装置101の裏面側から見た斜視図である(表面には液晶表示部が配設されている)。支持装置100のクレードル102の垂直当接面102aには上下方向に延びる長尺形状のほぞ体103が形成されている。ほぞ体103の下方位置にはラック部104が形成されている。図21に示すように、クレードル102の内部にはストッパ部材としてストッパユニット105が収容されている。ストッパユニット105はベースプレート106とベースプレート106を基部として起立するストッパアーム107から構成されている。ストッパアーム107は基部を中心に前後方向に揺動可能とされている。ストッパアーム107の上端には前方に突出した干渉部108が形成されクレードル102の垂直当接面102aに形成された開口部109から外部に露出されている。干渉部108の上面には先端ほど低くなるテーパー面108aが形成されている。ベースプレート106の前端は押圧部110とされ、ラック部104の前面に露出されている。押圧部110を指で押圧するとストッパユニット105全体が後退することとなり、この動作に連動してストッパアーム107の干渉部108はクレードル102の垂直当接面102aから後退することとなる。
また、図22に示すように、携帯ナビゲーション装置101の裏面101aには上下方向に延びる長溝111と係合穴112が形成されている。
【0004】
例えば、車両のダッシュボード上に設置されたこのような支持装置100に携帯ナビゲーション装置101を装着するためには、まず携帯ナビゲーション装置101をクレードル102前面の上方位置に配置し、携帯ナビゲーション装置101の長溝111の開口部111aをクレードル102側のほぞ体103の上端103aに照合させ、長溝111にほぞ体103を挿入させながらクレードル102の垂直当接面102aに沿って携帯ナビゲーション装置101を下降させていくようにする。携帯ナビゲーション装置101の背部101aはその下降に伴ってストッパアーム107の干渉部108のテーパー面108aに干渉し、ストッパアーム107を後方(クレードル102内部方向)に撓ませる(つまり、干渉部108がクレードル102内に逃げる)。携帯ナビゲーション装置101がラック部104上に載置されるとともに係合穴112がちょうどストッパアーム107の干渉部108位置に配置されるため、ストッパアーム107は自身の付勢力によって前方に揺動して干渉部108は携帯ナビゲーション装置101側の係合穴112に係合される。干渉部108が係合穴112へ係合され、携帯ナビゲーション装置101の上方への移動(抜き取り)が不能とされる。この状態で携帯ナビゲーション装置101の取り付けが完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−106657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように携帯ナビゲーション装置101をクレードル102に装着するための動作は携帯ナビゲーション装置101をほぞ体102に沿って下降させるだけでよいため、ユーザーは片手でも操作することが可能である。しかし、一旦装着させた後に携帯ナビゲーション装置101を取り外す際にはストッパアーム107の干渉部108が携帯ナビゲーション装置101の係合穴112に係合しているため、そのままでは携帯ナビゲーション装置101を上方に取り出すことはできない。
そのため、ユーザーは、押圧部110を指で押して干渉部108と係合穴112との係合関係を解消させ、その状態を維持してもう片方の手で携帯ナビゲーション装置101を取り出すようにしなければならない。更に、このとき支持装置100をまったく押さえずに押圧部110のみを指で押圧するとなると、一般に支持装置100はダッシュボード上に粘着テープや吸盤で固定されているため、押圧部110を押す力によって支持装置100がその設置位置から外れてしまう恐れがある。そのため、押圧部110のみを指で押圧することは好ましくない。
そのため、携帯ナビゲーション装置101を支持装置100から取り外す際には押圧部110を一方の手の指で押す動作とともに、その同じ手で支持装置100をダッシュボードに対して押さえ付けていなければならず、作業が非常に面倒であった。特に車両内部は狭く、作業がしにくいためこのように必ず両手を使わなければならない動作はユーザーに無理な姿勢を強いることともなり改善が望まれていた。また、通常支持装置100の設置位置はダッシュボード上であるケースが多く、その場合にはユーザーが運転者であれば設置位置まで運転席から遠いため、運転位置からではそもそも両手を延ばして取り外し作業をすることが困難なケースもある。
このようなことから片手でも簡単に操作して車載用電子機器を取り外すことができる支持装置が求められていた。
本発明は、上記諸問題を解消するためになされたものであり、その目的は、片手でも簡単に操作することで車載用電子機器を取り外すことができる車載用電子機器用の支持装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の発明では、車載用電子機器を装着するための機器取付部を備え、車両側に対しては固定部によって固定される車載用電子機器用の支持装置であって、前記機器取付部の取付面には車載用電子機器との間で係合されてスライド式係合機構を構成する溝又は同溝に挿入される嵌合体のいずれかが形成され、前記車載用電子機器を前記取付面に対して所定の1方向から前記溝及び嵌合体を案内としてスライド移動させることで前記車載用電子機器との間で前記所定の1方向以外に移動が不能な状態で前記スライド式係合機構を構成する車載用電子機器用の支持装置において、前記車載用電子機器との間で前記スライド式係合機構を構成した際に前記車載用電子機器に干渉して前記所定の1方向への移動を阻止するストッパ部材を設け、前記ストッパ部材を前記車載用電子機器の前記機器取付部への着脱に伴う操作によって干渉状態から非干渉状態へと変移させるようにしたことをその要旨とする。
このような構成においては、車両側に対しては固定部によって固定させた支持装置の機器取付部の取付面に車載用電子機器を所定の1方向からスライド移動させて溝と嵌合体によるスライド式係合機構を構成させるようにする。スライド式係合機構の構成に伴ってストッパ部材が車載用電子機器に干渉することで車載用電子機器の所定の1方向への移動が阻止されることとなる。ユーザーが車載用電子機器の機器取付部への着脱に伴う操作を行うことでストッパ部材が干渉状態から非干渉状態へと変移する。
このような構成とすることで、ユーザーは機器取付部の取付面に取り付けられている車載用電子機器を片手のみでも取り外すことが可能となる。
【0008】
請求項2の発明では請求項1の発明の構成に加えて、前記機器取付部を前記固定部から離間する方向に進出した第1の位置と、前記固定部方向側に接近する方向に後退した第2の位置との間を移動可能に支持するとともに、前記機器取付部を常時は付勢手段によって前記第2の位置に保持させる一方、前記ストッパ部材を前記固定部に対し前記機器取付部方向に突出するように形成し、前記ストッパ部材は前記機器取付部が前記第1の位置方向に移動することによって少なくともその先端寄りに形成された干渉部が相対的に前記取付面よりも後退するとともに、前記第2の位置に配置される場合に前記干渉部が前記取付面よりも前方の前記車載用電子機器に干渉する位置に突出するようにし、前記機器取付部に装着された前記車載用電子機器を操作して前記付勢手段の付勢力に抗して前記機器取付部を拘引し、前記機器取付部を前記第1の位置方向に移動させて前記車載用電子機器の前記所定の1方向への移動を許容するようにしたことをその要旨とする。
請求項2は請求項1の車載用電子機器の機器取付部への着脱に伴う操作の具体例である。このような構成とすれば、次のような作用が奏される。まず、付勢手段によって第2の位置に保持されている機器取付部に対して、車載用電子機器が装着されている状態でその車載用電子機器を掴んで付勢力に抗しながら第1の位置方向(固定部から離間する方向)に移動させていく。車載用電子機器は機器取付部の取付面に対してスライド式係合機構によって係合されているため、車載用電子機器に拘引されて機器取付部は第1の位置方向に移動する。機器取付部の第2の位置方向から第1の位置方向への移動に伴って固定部から機器取付部方向に突出していたストッパ部材の先端寄りに形成された干渉部は相対的に取付面よりも後退することとなって、車載用電子機器とは干渉しないようになる。干渉が解除された段階で車載用電子機器の取り出し可能な所定の1方向への移動が許容されるため、車載用電子機器を掴んだままで次の動作としてそのまま所定の1方向へスライドさせて取り外すようにする。車載用電子機器の取り出し後は機器取付部は付勢手段の付勢力によって第2の位置に復帰する。
このような構成とすることで、機器取付部の取付面に装着されている車載用電子機器を掴んで単に固定部から離間する方向に移動させるだけでストッパ部材との干渉が解除され、そのまま所定の1方向へスライドさせることができるので、片手での車載用電子機器の取り外しが容易に行えることとなる。
ここに「付勢手段」としては、例えば、コイルばね、板ばね、反発性のあるスポンジのようなクッション部材等の弾性部材が挙げられる。
【0009】
請求項3の発明では請求項2の発明の構成に加えて、前記付勢手段はばねであることをその要旨とする。
このように付勢手段としてばねであれば、特に安定的な付勢力が得られ応答性がよく比較的安価に付勢手段を供給することができる。
請求項4の発明では請求項3の発明の構成に加えて、前記付勢手段はコイルばねであり、前記機器取付部は前記コイルばねの周方向の全域で均等に付勢されるようにしたことをその要旨とする。
このように付勢手段としてのコイルばねを構成すれば、車載用電子機器を介して機器取付部を第1の位置方向に移動させる際に引っ張り力の方向や大きさが一定していなくとも安定した緩衝作用を示し、部材の干渉等の不具合が生じにくくなる。
【0010】
請求項5の発明では請求項1〜4のいずれかの発明の構成に加えて、前記機器取付部は軸受け部と、同軸受け部に軸支される軸部材によって前記固定部に対して揺動可能に支持されることをその要旨とする。
この構成は機器取付部を固定部に対して揺動可能に固定されているという条件を課したものである。上記請求項では固定部に対して機器取付部は、第1の位置と第2の位置の間を進退できればよいため、特に固定されている必要はない。ここでは軸受け部と軸部材の関係で揺動可能に固定されることで、より安定的な機器取付部の進退を可能とさせたものである。
請求項6の発明では請求項2〜5のいずれかの発明の構成に加えて、前記機器取付部が前記第1の位置方向と前記第2の位置方向との間を進退する際の案内手段を設けたをその要旨とする。
これによって、よりスムーズな機器取付部の進退が可能となる。
【0011】
請求項7の発明では請求項2〜6のいずれかの発明の構成に加えて、前記干渉部前端には前記所定の1方向に指向した先端側が下がるテーパー面が形成されていることをその要旨とする。
これによって、機器取付部が第2の位置にある場合であって干渉部が取付面よりも前方の車載用電子機器に干渉する位置に突出している場合に、車載用電子機器を所定の1方向からスライド移動させて取り付ける際に、ストッパ部材の干渉部に干渉しても車載用電子機器の進出を妨げることがなくなる。これは、干渉部のテーパー面によって干渉の際の押動力のベクトルが固定部方向に指向することとなり、機器取付部を第1の位置方向に移動させる力と変換されるため、結果として相対的に干渉部が取付面よりも後退することとなって、車載用電子機器をスライド移動させる際の障害にならなくなるからである。車載用電子機器を取付面の任意の位置に進出させた段階で付勢手段の付勢力によって車載用電子機器側に形成させた凹部にストッパ部材を係合させることで車載用電子機器と干渉して車載用電子機器の所定の1方向への移動を阻止することができる。
【0012】
請求項8の発明では請求項1の発明の構成に加えて、前記機器取付部に前記ストッパ部材を前記取付面の前面から出没可能に配置し、常時は付勢手段によって没する方向に付勢させる一方、前記機器取付部に前記車載用電子機器を装着して通電状態とすることによって発生する磁力線の作用で前記付勢手段の付勢力に抗して前記ストッパ部材を前記取付面方向に突出させるようにすることをその要旨とする。
請求項7は請求項1の車載用電子機器の機器取付部への着脱に伴う操作の具体例である。このような構成とすれば、次のような作用が奏される。車載用電子機器を取り付ける際には未だ車載用電子機器への通電状態にないため、この段階ではストッパ部材は取付面の前面よりも後退した位置にあり、車載用電子機器と干渉せず車載用電子機器を着脱することが可能である。車載用電子機器を機器取付部へ装着して通電させることで磁力線を発生させるようにする。その作用で付勢手段の付勢力に抗してストッパ部材を取付面方向に突出させて車載用電子機器に干渉させることができる。一方、通電状態を解消することで磁力線は消失し、ストッパ部材は付勢手段によって取付面の前面から没するため車載用電子機器に干渉しなくなる。
このような構成とすることで、車載用電子機器が機器取付部に装着されており、通電状態にあればストッパ部材は車載用電子機器に干渉して車載用電子機器の取り外しはできないが、通電状態を解消することでストッパ部材は車載用電子機器に干渉しなくなるため、片手での車載用電子機器の機器取付部からの取り外しが容易に行えることとなる。
通電状態とは車載用電子機器を機器取付部へ装着し、車両からの電源の供給を受けている状態(例えば、アクセサリー電源(ACC)入力状態か、オン電源、つまりエンジンがかかっている状態での入力状態)をいう。車載用電子機器自体に電源オン・オフスイッチを備えている場合にはそれがオン状態である場合である。
【0013】
請求項9の発明では請求項8の発明の構成に加えて、前記ストッパ部材は強磁性体から構成され、前記車載用電子機器側の電磁石によって吸引されることで前記ストッパ部材は前記取付面方向に突出することをその要旨とする。
これは電磁石の磁力の作用によってストッパ部材を進出させる構成の具体例である。車載用電子機器側の電磁石への通電によって発生する磁力によって付勢力に抗してストッパ部材が吸引されるためストッパ部材を取付面方向に突出させることができる。一方、通電が解消されると電磁石は消磁されてストッパ部材は付勢手段によって取付面の前面から没する方向に移動する。
【0014】
請求項10の発明では請求項8の発明の構成に加えて、前記ストッパ部材は前記機器取付部側に配設されたソレノイド装置の可動鉄心であって、前記ソレノイド装置は前記車載用電子機器への通電に伴って駆動され、前記可動鉄心は前記取付面方向に突出することをその要旨とする。
これも磁力線の作用によってストッパ部材を進出させる構成の具体例である。機器取付部側のソレノイド装置への通電によって磁力を発生させることで付勢力に抗して可動鉄心を取付面方向に突出することができる。一方、通電が解消されると可動鉄心は付勢手段によって取付面の前面から没する方向に移動する。
【0015】
請求項11の発明では請求項1〜10のいずれか発明の構成に加えて、前記機器取付部の前記取付面には前記車載用電子機器が載置される棚部が形成され、前記棚部の機器当接面は前記所定の1方向と交差することをその要旨とする。
これは機器取付部の取付面のより具体的な構造の一例を示すものである。車載用電子機器を所定の1方向から取付面の前面をスライド移動させていくと、車載用電子機器は棚部の機器当接面に当接して移動が規制されることとなる。この規制された位置でストッパ部材が車載用電子機器に干渉するように構成することが好ましい。
【0016】
請求項12の発明では請求項1〜11のいずれかの発明の構成に加えて、前記所定の1方向とは上方向であることをその要旨とする。
車載用電子機器用の支持装置の設置位置を基準とした場合に、車載用電子機器は上方から下降させて機器取付部に取り付ける可能性が高いため、このように所定の1方向が上方向であることが好ましいからである。
【発明の効果】
【0017】
上記各請求項の発明によれば、ユーザーは支持装置に装着されている車載用電子機器を片手でも容易に取り出すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明にかかる実施の形態1及び2の支持装置の斜視図。
【図2】実施の形態1の支持装置のクレードルと連結筒との連結構造を説明するための分解斜視図。
【図3】実施の形態1及び2の支持装置の正面図。
【図4】実施の形態1の支持装置において車載用電子機器を取り付けている途中の状態を説明する図3のA−A線における断面図。
【図5】実施の形態1の支持装置においてクレードルを第1の位置方向に移動させ、車載用電子機器の上方への取り出し可能な状態を説明する図3のA−A線における断面図。
【図6】実施の形態1において車載用電子機器を取り外す際の手順を説明する説明図。
【図7】実施の形態2の支持装置のクレードルと連結筒との連結構造を説明するための分解斜視図。
【図8】実施の形態2の支持装置において連結筒にクレードル本体を吊り下げ支持させた状態の斜視図。
【図9】実施の形態2の支持装置において車載用電子機器を取り付けている途中の状態を説明する図3のA−A線における断面図。
【図10】実施の形態2の支持装置においてクレードルを第1の位置方向に移動させ、車載用電子機器の上方への取り出し可能な状態を説明する図3のA−A線における断面図。
【図11】(a)はクレードルが第2の位置にある場合、(b)はクレードルが第1の位置方向に移動(揺動)した状態の要部拡大断面図。
【図12】実施の形態2において車載用電子機器を取り外す際の手順を説明する説明図。
【図13】実施の形態3の支持装置の斜視図。
【図14】実施の形態3の支持装置の正面図。
【図15】実施の形態3の支持装置において車載用電子機器が取り付け可能状態である場合を説明する図14のB−B線における断面図。
【図16】実施の形態3の支持装置において車載用電子機器を取り付け、車載用電子機器の上方への取り出し不能な状態を説明する図14のB−B線における断面図。
【図17】(a)がストッパユニットの分解斜視図、(b)はストッパユニットの斜視図。
【図18】実施の形態3の支持装置のストッパユニットの可動範囲を説明する要部拡大断面図。
【図19】実施の形態4の支持装置のソレノイド装置の周辺構成を説明する要部拡大断面図。
【図20】従来の支持装置の斜視図。
【図21】従来の支持装置のクレードルから機器搭載部を取り外して内部構造を示す斜視図。
【図22】携帯ナビゲーション装置の一例の背後側からの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の車載用電子機器用の支持装置の具体的な実施の形態を図面に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1〜図5に示すように、車載用電子機器として例えば携帯ナビゲーション装置(ポータブルナビゲーションデバイス(PND))用の支持装置1は固定部としてのスタンド本体2とスタンド本体2に支持される機器取付部としてのクレードル3とを構成要素として備えている。ここに、前方向とは図4及び図5において図上左方をいい、後方向とは同右方向をいうものとする。
スタンド本体2は硬質プラスチック製の成型品であって、ベース部4と、ベース部4と一体に形成された脚部5を有している。ベース部4は平面形状円形とされ周囲に向かって緩やかな角度で下がる傾斜を有する薄板部である。ベース部4の裏面にはシリコーンゴム製の吸盤6が配設されている。脚部5は複数の板体が交差状に立設された複合板構造体であって、ベース部4の一側寄りにおいて立設されている。脚部5の上部位置には収容キャップ7が脚部5と一体に形成されている。収容キャップ7は開口部7aが内側に向いて配置されたドーム形状の収容部である。収容キャップ7の底位置には。収容キャップ7内外を連通する連通孔8が形成されている。収容キャップ7内であって連通孔8を包囲する位置には案内筒9が形成されている。連通孔8及び案内筒9によって構成されるトンネル状の透孔の配置方向はベース部4の底面の延設方向と平行とされている(つまり、ベース部4が水平面に設置されれば、水平方向に配置される)。
図4及び図5に示すように、収容キャップ7には連結筒10が連結されている。図2に示すように、連結筒10は硬質プラスチック製の成型品であって、後端寄りがその先端に向かって徐々にすぼんだ(つまり後端寄りほど小径となる)円筒形状に形成され、前端の外周全縁にはフランジ11が形成されている。フランジ11の外周には120度ずつ均等に周方向にずれた位置に案内部材としての溝11aが形成されている。連結筒10の前端下部位置の内周面側には前方へ突出するストッパ部材としてのストッパプレート12が形成されている。ストッパプレート12の先端寄りは上下方向に膨出した干渉部14とされている。干渉部14の上面には先端ほど低くなるようなテーパ面14aが形成されている。
連結筒10は収容キャップ7への連結状態でその後端寄り領域が収容キャップ7内に収容されている。連結筒10の収容キャップ7に連結される連結機構について説明する。連結筒10は押圧コマ13、ボルト15及びナット16によって収容キャップ7に対して固定されている。押圧コマ13は連結筒10内の徐々にすぼんだ後端寄り部分に配置され、ボルト15は押圧コマ13、案内筒9及び連通孔8にそれぞれ挿通させられ収容キャップ7の外側に配置されたナット16に螺合されている。ナット16はナットキャップ17内にナットキャップ17と一体回動可能に収納されている。ナットキャップ17を回動することでナット16に対してボルト15は図4及び図5において右方向(後方)に進出する方向に移動させられ、その際にボルト15の頭部によって押圧コマ13が連結筒10の底方向に引き寄せられる。この、押圧コマ13の移動によって連結筒10が収容キャップ7に押し付けられて固定されている。
【0020】
クレードル3は連結筒10に対して前後方向に進退可能に遊嵌されている。クレードル3はクレードル本体18と機器搭載部19から構成されている。図4及び図5に示すように、クレードル3は連結筒10に片持ち梁状に支持されベース部4の中央位置を間に挟んで脚部5と180度対向するベース部4上方位置に配置される。
図2に示すように、クレードル本体18は椀状の外形の硬質プラスチック製の成型品である。クレードル本体18の中央には円形の透孔18aが形成されている。クレードル本体18の内側であって透孔18aの周囲には120度ずつ均等にずれた3箇所の位置にネジ支持部20が形成されている。各ネジ支持部20にはクレードル本体18の前後に連通する連通孔20aが形成されている。各ネジ支持部20に隣接した位置には案内部材としてのレール22がそれぞれ立設されている。各レール22の間隔と位置は前記連結筒10側のフランジ11の溝11aの間隔と位置に対応しており、一のレール22が対応する一の溝11aとレール22の長手方向に沿ってスライド移動可能に係合されている。クレードル本体18の下部位置には端子ユニット載置用テーブル21が形成されており、電源供給用端子ユニット23が端子ユニット載置用テーブル21上に載置されている。尚、クレードル本体18の裏面側には図示しないUSB用接続端子が配設され電源供給用端子ユニット23に接続されている。
【0021】
機器搭載部19は円盤形状の外観の硬質プラスチック製の成型品である。機器搭載部19は前記ベース部4の底面の延設方向に対して垂直に配置される平面で構成された垂直当接面25と、前面下部位置に水平方向に延びる棚部としてのラック部26とを有している。機器搭載部19の裏面(後面)の離間した3箇所には雌ネジ部27(図4及び図5における図示では一箇所のみ)が形成されている。雌ネジ部27の間隔と位置は前記ネジ支持部20の間隔と位置に対応しており、クレードル本体18と機器搭載部19はネジ支持部20と雌ネジ部27が照合されて、ビス28によって連結されている。
機器搭載部19の垂直当接面25上には嵌合体としてのほぞ体30が形成されている。ほぞ体30は垂直当接面25上において上下方向に延設されたリブ30aとリブ30aの前面に形成されたリブ30aよりも幅広なレールプレート30bとから構成されている。垂直当接面25のほぞ体30に隣接した位置には機器搭載部19の前後方向に連通する長方形形状の連通路32が形成されている。
ラック部26上面には携帯ナビゲーション装置の底面に係合される位置決め用のピン31が形成されている。ラック部26上面の中央位置には開口部26aが形成され電源供給用端子ユニット23が露出されている。
【0022】
図4及び図5に示すように、連結筒10の前端寄りの外周位置にはコイルばね33が配設されている。コイルばね33はクレードル3が連結筒10に遊嵌された状態でクレードル本体18の透孔18a周縁部分と連結筒10のフランジ11の間の空間に脱落不能に収容されており、その弾性によって常時クレードル3を連結筒10寄りの位置に保持させている。本実施の形態1ではこのコイルばね33の弾性によってクレードル3が連結筒10寄りの位置に保持されている位置を第2の位置とする。そして、コイルばね33を弾性に抗して付勢させてクレードル3を連結筒10から離間させる方向(つまり前方)に移動させた場合を第1の位置方向に移動させると表現する。クレードル3が第2の位置にある場合には連結筒10に形成されたストッパプレート12の干渉部14が連通路32からクレードル3の垂直当接面25前方に突出される。
一方、クレードル3を第1の位置に移動させた場合にはストッパプレート12の干渉部14は連通路32から退避していくこととなる。このときコイルばね33は圧縮されることとなるため、常に第2の位置に復帰しようとする付勢力が内在されることとなる。クレードル3は第2の位置から最大でコイルばね33を完全に圧縮させた位置まで前方に移動させることが可能である。クレードル3をどの程度第1の位置方向に移動させると干渉部14が垂直当接面25から没するかは適宜設定可能である。
【0023】
次に、このような構成の実施の形態1の支持装置1に対する携帯ナビゲーション装置の着脱動作について説明する。携帯ナビゲーション装置の一例として図22に示す携帯ナビゲーション装置101を使用するものとする。
まず、取り付け動作について説明する。携帯ナビゲーション装置101を取り付ける前の支持装置1は図4のようにコイルばね33の弾性によってクレードル3が連結筒10に対して(あるいはスタンド本体2に対して)上記第2の位置にある。このような支持装置1に取り付ける場合には、図4の仮想線で示すように、従来と同様に携帯ナビゲーション装置101の裏面を支持装置1の機器搭載部19の垂直当接面25に当接させ、携帯ナビゲーション装置101の長溝111とほぞ体30の上端が対応するように調整し、ほぞ体30が長溝111に挿入されるように導きながら、携帯ナビゲーション装置101を垂直当接面25に沿って下降させていく。
携帯ナビゲーション装置101は支持装置1に対してこの方向以外からはほぞ体30に長溝111を嵌合させることはできない。ほぞ体30に長溝111を嵌合させて構成される係合機構をスライド式係合機構とする。
携帯ナビゲーション装置101をラック部26方向に下降させていくと、垂直当接面25に露出しているストッパプレート12の干渉部14のテーパ面14aに当接する。そのまま下降させるとその押動力はテーパ面14aにおいてストッパプレート12の長手方向へ指向し(ベクトルの分解)、スタンド本体2側に固定されているストッパプレート12の反力でクレードル3が第1の位置方向に移動させられることとなる。これによって干渉部14は相対的に垂直当接面25から没する方向に移動することとなり、携帯ナビゲーション装置101をスムーズに下降させることができる。下降に伴い携帯ナビゲーション装置101側の係合穴112が連通路32位置に達するとテーパ面14aにかかる押動力は消失し、付勢状態にあるコイルばね33の付勢力によってストッパプレート12の干渉部14は垂直当接面25に露出する。この干渉部14が再び垂直当接面25に露出するとほぼ同時に携帯ナビゲーション装置101はラック部26上に載置されることとなり、電源供給用端子ユニット23と接続されることとなる。これで携帯ナビゲーション装置101の支持装置1上への装着が完了する。
この状態ではクレードル3はコイルばね33の弾性によって第2の位置に保持され、常時干渉部14が垂直当接面25から突出して携帯ナビゲーション装置101側の係合穴112に係合しているため、携帯ナビゲーション装置101が上方にスライド移動してしまうことはなく、ラック部26上に保持されることとなる。
【0024】
次に、装着状態の携帯ナビゲーション装置101を支持装置1から取り外す動作について説明する。図6に示すように、支持装置1に装着されている携帯ナビゲーション装置101をユーザーは把持し(どのような持ち方でも構わない)、前方、つまり第1の位置方向に引く(黒矢印方向)。すると、ほぞ体30と長溝111とによるスライド式係合機構はこの方向へは構造的に抜けないため、携帯ナビゲーション装置101とともにクレードル3は第1の位置方向に引っぱられることとなる。この動作によって第2の位置にあったクレードル3はコイルばね33を付勢させながら第1の位置方向に移動し、この挙動に応じて相対的にストッパプレート12の干渉部14は垂直当接面25から没する方向に移動する(図5の状態)。干渉部14が垂直当接面25から没することで干渉部14は非干渉状態となるため、携帯ナビゲーション装置101をほぞ体30と長溝111の係合が解除される方向(白矢印方向)、つまり、上方の挿入方向へスライド移動させることで取り出すことができる。
【0025】
以上のような構成の実施の形態1の支持装置1では次のような効果が奏される。
(1)携帯ナビゲーション装置101は装着状態ではスライド式係合機構とストッパプレート12の干渉部14によって支持装置1から脱落することなく保持され、一方、支持装置1から取り外す場合には携帯ナビゲーション装置101を一種の操作レバーとして利用し、片手で携帯ナビゲーション装置101を把持し、前方向に引き寄せることで干渉部14の干渉がなくなり、そのまま上方へスライドさせて取り外すことができるため、必ずしも両手を用いずとも容易に携帯ナビゲーション装置101を取り外すことが可能となる。
(2)コイルばね33の付勢力によって携帯ナビゲーション装置101は自動的に第2の位置に復帰するため、次に携帯ナビゲーション装置101を取り付ける際にも特に従来と異なる操作をする必要はなく、また、携帯ナビゲーション装置101を取り付ける際には従来と同様の動作でセットすることができるため、ユーザーにおいては装着作業のストレスはまったくない。
(3)クレードル3の進退においてはレール22と溝11aによって案内されるため、クレードル3が連結筒10に固定されていなくともクレードル3の安定した進退動作が可能となっている。
【0026】
(実施の形態2)
次に、図1、図3、図7〜図12に基づいて実施の形態2について説明する。
実施の形態2の支持装置1は実施の形態1の支持装置1のバリエーションである。実施の形態2の支持装置1では連結筒40及びクレードル本体41の形状が実施の形態1の支持装置1の連結筒10及びクレードル本体18とは異なり、その他の構成は実施の形態1と共通するため、異なる構成のみ詳細に説明する。
連結筒40は実施の形態1の連結筒10と同様に硬質プラスチック製の成型品であって、後端寄りがその先端に向かって徐々にすぼんだ円筒形状に形成されている。連結筒40の前端上部位置には方形に切り取られた切り欠き部40aが形成されている。切り欠き部40aを挟んだ両側位置には一対の軸部材41が形成されている。各軸部材41の上部位置にはそれぞれ支持軸42が形成されている。両支持軸42は先端が相対向するように配設されている。切り欠き部40aの奥位置には側面視L字状の板ばね43がビス44によって固着されている。連結筒40の前端下部位置の内周面側には実施の形態1と同じストッパプレート12が形成されている。連結筒40は実施の形態1の連結筒10と同様に押圧コマ13、ボルト15及びナット16によって収容キャップ7に対して固定されている。
クレードル本体41はクレードル本体18と同様に椀状の外形の硬質プラスチック製の成型品である。クレードル本体41の中央には円形の透孔41aが形成されている。クレードル本体41の内側であって透孔41aの周囲には120度ずつ均等にずれた3箇所の位置に実施の形態1と同じネジ支持部20が形成されている。各ネジ支持部20にはクレードル本体41の前後に連通する連通孔20aが形成されている。図7及び図8に示すように、透孔18aの周囲であって上部位置のネジ支持部20の左右位置には一対の軸受け部45が形成されている。クレードル本体18の下部位置には実施の形態1と同じ端子ユニット載置用テーブル21が形成されており、電源供給用端子ユニット23が端子ユニット載置用テーブル21上に載置されている。クレードル本体41と機器搭載部19はネジ支持部20と雌ネジ部27が照合されて、ビス28によって連結されてクレードル3を構成している。
【0027】
図8に示すように、連結筒40の対向する支持軸42はそれぞれクレードル本体41の軸受け部45に軸支されており、連結筒40の前端寄りはクレードル本体41の透孔41a内に収容されている。クレードル3は連結筒40に対して軸受け部45と支持軸42によって揺動可能に支持されており、支持軸42を基部として図9及び図10に示すように前後に揺動可能とされている。図11(a)に示すように、クレードル3の連結筒40への支持状態で、連結筒40側のL字状の板ばね43の作用片43aはクレードル3側の機器搭載部19の水平当接面19a上に当接されており、上方から水平当接面19aを押さえている。この状態ではクレードル3の垂直当接面25は垂直に配置され、連結筒40に形成されたストッパプレート12の干渉部14が連通路32からクレードル3の垂直当接面25前方に突出される。本実施の形態2ではクレードル3がこの位置にある場合を第2の位置とする。クレードル3は板ばね43の保持力によって第2の位置に保持されることとなる。
一方、クレードル3を支持軸42を基部として前方に揺動させると(つまり、クレードル3下部寄り部分の前方回動)図11(b)に示すように、クレードル3の揺動に伴って水平当接面19aが傾斜し、連結筒40側のL字状の板ばね43の作用片43aは水平当接面19aによって圧縮されて付勢状態とされることとなる(つまり常に第2の位置に復帰しようとする付勢力が内在されることとなる)。クレードル3の移動に伴ってストッパプレート12の干渉部14は連通路32から退避していくこととなる。このように板ばね43を付勢してクレードル3を支持軸42を基部として前方に揺動させた場合を第1の位置方向に移動させると表現する。クレードル3をどの程度第1の位置方向に移動させると干渉部14が垂直当接面25から没するかは適宜設定可能である。
【0028】
次に、このような構成の実施の形態2の支持装置1に対する携帯ナビゲーション装置の着脱動作について説明する。取り付け動作については実施の形態1と同様であるため説明は省略する。
装着状態の携帯ナビゲーション装置101を支持装置1から取り外す動作について説明する。支持装置1に装着されている携帯ナビゲーション装置101をユーザーは把持し(どのような持ち方でも構わない)、前方、つまり第1の位置方向に引く。すると、ほぞ体30と長溝111とによるスライド式係合機構はこの方向へは構造的に抜けないため、図12の黒矢印のように、携帯ナビゲーション装置101とともにクレードル3は支持軸42を基部として前方に揺動する。この動作によって第2の位置(図9の状態)にあったクレードル3は板ばね43を付勢させながら第1の位置方向に移動し、この挙動に応じて相対的にストッパプレート12の干渉部14は垂直当接面25から没する方向に移動する(図10の状態)。干渉部14が垂直当接面25から没することで干渉部14は非干渉状態となるため、携帯ナビゲーション装置101をほぞ体30と長溝111の係合が解除される方向(白矢印の方向)、つまり、上方の挿入方向へスライド移動させることで取り出すことができる。
このような構成とすることで実施の形態2でも実施の形態1の(1)(2)と同様の効果を奏することとなる。
【0029】
(実施の形態3)
次に、図13〜図17に基づいて実施の形態3について説明する。
実施の形態3の支持装置50は実施の形態1及び2の支持装置1のバリエーションである。実施の形態1及び2では連結筒10,40に対しクレードル3が前後方向に移動可能であったが、実施の形態3のクレードル51は連結筒52に対して移動不能に固定されている。実施の形態3では実施の形態1及び2と異なる構成のみ詳細に説明する。
実施の形態3の連結筒52は実施の形態1と同様に収容キャップ7に対して固定されている。図15及び図16に示すように、連結筒52の前端は拡開されてクレードル本体53とされている。クレードル本体53には実施の形態1及び2と同じ形状の機器搭載部19がビス54によって固定されており、クレードル本体53と機器搭載部19とによってクレードル51が構成されている。機器搭載部19の連通路32背面のクレードル51内にはストッパ部材としてのストッパピン55が配設されている。ストッパピン55は強磁性体である鉄主体の合金から構成された部材であって、連通路32の縦横幅より若干短い薄板状のヘッド55aとヘッド55aから後方に延出される胴部55bから構成されている。図17に示すように、胴部55bの端部にはコイルばね56、脱落防止ワッシャ57を間に介して抜け止めビス58が螺合されてストッパユニット59が構成されている。ストッパユニット59はストッパピン55のヘッド55aが連通路32に内に遊嵌され、コイルばね56が連通路32の背面側周壁に当接するようにクレードル51内に配置されている。図15及び図18に示すように、ストッパユニット59はコイルばね56の弾性によって励磁されていない状態ではストッパピン55のヘッド55a先端が垂直当接面25と略一致する位置よりも前方側に突出しないように保持されている。ストッパユニット59の後方への移動は許容されるものの、脱落防止ワッシャ57がクレードル本体53の基部位置53aに干渉するため図18に示すように移動量dはごくわずかである。コイルばね56の弾性力はごく弱いため前面からの連通路32を通じた弱い磁力線によってストッパピン55が前面に吸引された場合であっても圧縮されて、ストッパピン55前部の垂直当接面25への突出を許容する。
本実施の形態3における携帯ナビゲーション装置101は図15及び図16に示すように、係合穴112位置の内部側に電磁石60が配設されている。電磁石60は携帯ナビゲーション装置101に通電されることで励磁される。
【0030】
次に、このような構成の実施の形態3の支持装置50に対する携帯ナビゲーション装置の着脱動作について説明する。前提としてUSB用接続端子にはケーブルを介して車両側のシガーライターソケットから電源を取得するものとする。
まず、取り付け動作について説明する。未だエンジンをかけていない(エンジンキーの位置がアクセサリー電源位置にもない)状態で実施の形態1と同様に上方からほぞ体30と長溝111が係合されるように携帯ナビゲーション装置101を下降させる。そして、図14に示すように、携帯ナビゲーション装置101をラック部26上に載置し、その後エンジンをかけて(あるいはエンジンキーをキー溝に挿してアクセサリー電源位置とする)電源を供給し、携帯ナビゲーション装置101に通電させ、電磁石60を励磁させる。尚、先にエンジンをかける等の操作を行って電源供給状態で携帯ナビゲーション装置101を装着するようにしてもよい。
電磁石60を励磁させることによって連通路32にその先端を覗かせているストッパピン55のヘッド55aが吸引されて、垂直当接面25からヘッド55aが前方に突出されて係合穴112に係合する(図16の状態)。これによって携帯ナビゲーション装置101が上方にスライド移動してしまうことはなく、ラック部26上に保持されることとなる。
【0031】
次に、装着状態の携帯ナビゲーション装置101を支持装置50から取り外す動作について説明する。ユーザーがエンジンを停止させる(エンジンキーの位置がアクセサリー電源位置にもない)ことで携帯ナビゲーション装置101への電源供給が遮断される。これによって携帯ナビゲーション装置101への通電がなくなり電磁石60は消磁される。電磁石60の消磁に伴ってストッパピン55はコイルばね56の付勢力によって垂直当接面25から没する方向に移動する(図15の状態)。これによってヘッド55aが非干渉状態となるため、携帯ナビゲーション装置101をほぞ体30と長溝111の係合が解除される方向、つまり上方へスライド移動させることで取り出すことができる。
以上のような構成の実施の形態3の支持装置50では次のような効果が奏される。
携帯ナビゲーション装置101は装着状態ではスライド式係合機構とストッパピン55の係合によって支持装置1から脱落することなく保持され、一方、支持装置1から取り外す場合にはエンジンを停止させることでストッパピン55の干渉がなくなり、そのまま上方へスライドさせて取り外すことができるため、必ずしも両手を用いずとも容易に携帯ナビゲーション装置101を取り外すことが可能となる。
【0032】
(実施の形態4)
次に、図19に基づいて実施の形態4について説明する。
実施の形態4の支持装置50は実施の形態3の支持装置50のバリエーションである。実施の形態4では携帯ナビゲーション装置101の係合穴112に係合するストッパ部材をソレノイド装置70の可動鉄心71としたものである。図19に示すように、クレードル3内にはソレノイド装置70が配設されている。ソレノイド装置70は図19に示すようにソレノイドが収容された本体72に対して可動鉄心71が進退可能に配設されており、クレードル本体53に対してブラケット73によって固定されている。
可動鉄心71の先端は連通路32の縦横幅よりも若干短い薄板状の干渉部71aとされている。干渉部71aは連通路32に内に進退可能に挿入されており、消磁状態でちょうど干渉部71a先端が垂直当接面25と略一致する位置に保持されている。ソレノイド装置7は図示しないUSB用接続端子に接続されている。ソレノイド装置70は電源の供給を受けて励磁されることで可動鉄心71は内蔵された図示しないスプリングの保持力に抗して連通路32から飛び出し垂直当接面25の前方に突出する。
【0033】
次に、このような構成の実施の形態3の支持装置50に対する携帯ナビゲーション装置の着脱動作について説明する。前提としてUSB用接続端子にはケーブルを介して車両側のシガーライターソケットから電源を取得するものとする。
まず、装着動作について説明する。未だエンジンをかけていない(エンジンキーの位置がアクセサリー電源位置にもない)状態で実施の形態1と同様に上方からほぞ体30と長溝111が係合されるように携帯ナビゲーション装置101を下降させる。そして、携帯ナビゲーション装置101をラック部26上に載置し、その後エンジンをかけて(あるいはエンジンキーをキー溝に挿してアクセサリー電源位置とする)電源を供給し、ソレノイド装置70を励磁させる。
ソレノイド装置70を励磁させることによって連通路32にその先端を覗かせている可動鉄心71の干渉部71aが垂直当接面25から突出して携帯ナビゲーション装置101の係合穴112に係合する。これによって携帯ナビゲーション装置101が上方にスライド移動してしまうことはなく、ラック部26上に保持されることとなる。
【0034】
次に、装着状態の携帯ナビゲーション装置101を支持装置50から取り外す動作について説明する。ユーザーがエンジンを停止させる(エンジンキーの位置がアクセサリー電源位置にもない)ことでソレノイド装置70への電源供給が遮断される。これによって可動鉄心71は後退し、干渉部71aは垂直当接面25から没する方向に移動する。これによって、携帯ナビゲーション装置101は干渉部71aと干渉することがなくなりほぞ体30と長溝111の係合が解除される方向、つまり上方へスライド移動させることで取り出すことができる。
以上のような構成の実施の形態4の支持装置50では次のような効果が奏される。
携帯ナビゲーション装置101は装着状態ではスライド式係合機構とストッパピン55の係合によって支持装置1から脱落することなく保持され、一方、支持装置1から取り外す場合にはエンジンを停止させることで干渉部71aの干渉がなくなり、そのまま上方へスライドさせて取り外すことができるため、必ずしも両手を用いずとも容易に携帯ナビゲーション装置101を取り外すことが可能となる。
【0035】
本発明を、以下のように具体化して実施してもよい。
・上記の支持装置1,50の構成は一例であって、他の支持装置に応用するようにしてもよい。支持する車載用電子機器についても携帯ナビゲーション装置101以外とすることも可能である。
・車載用電子機器の取り出し方向は上方以外、例えば横方向であってもよい。
・実施の形態2における支持軸42等の揺動の基点となる位置は上方以外でもよい。
・実施の形態1のレール22と溝11aのような案内手段を実施の形態2に適用することも可能である。
・実施の形態1のコイルばね33の代わりに他のばねを使用することも可能である。同様に実施の形態2の板ばね43の代わりに他のばねを使用することも可能である。また、ばね以外の反発性のあるスポンジのような弾性部材を使用することも可能である。
・実施の形態3において携帯ナビゲーション装置101に併設されている電源スイッチを操作して、通電状態としたり非通電状態とするような操作をしてもよい。
・実施の形態3において上記ではシガーライターソケットから電源を取得するようにしていたが、他の供給源として例えばOBDIIコネクターを備えた車両であればそのOBDIIコネクターから電源を取得するようにしてもよい。
・クレードル3ではない機器取付部を有する支持装置に適用するようにしてもよい。
・スライド式係合機構を構成する溝と嵌合体として上記実施の形態では長溝111とほぞ体30で構成したが、この関係は逆でもよい。また、形状も上記以外の溝と嵌合体として構成することは自由である。
・支持装置1,50の固定手段としては上記のような吸盤6によるもの以外に、例えば両面テープや粘着テープを使用したものでもよい。
・その他、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において変更した態様で実施することは自由である。
【符号の説明】
【0036】
1,50…支持装置、2…固定部としてのスタンド本体、3…機器取付部としてのクレードル、12…ストッパ部材としてのストッパプレート、30…スライド式係合機構を構成する嵌合体としてのほぞ体、55…ストッパ部材としてのストッパピン、71…ストッパ部材としての可動鉄心、101…車載用電子機器としての携帯ナビゲーション装置、111…スライド式係合機構を構成する嵌合体としての長溝。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用電子機器を車両の任意の配置位置、例えばダッシュボード等に配置させるための車載用電子機器の支持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
表示部を有する車載用電子機器、例えばナビゲーション装置、レーダー探知装置等ではユーザーの見やすい位置にその表示部が配置されるように車両の任意の位置、例えばダッシュボード上に支持装置を設置し、車載用電子機器を支持するようにしている。このような車載用電子機器の支持装置の一例を特許文献1に示す。
車載用電子機器を支持装置に対して着脱させるための着脱機構にはいくつかの方式があるが、一般的にはスライド式係合機構が多く用いられている。スライド式係合機構は、例えばクレードルと車載用電子機器のいずれか一方にほぞ体を、いずれか他方に長溝を形成し、車載用電子機器をクレードルの取付面に対して1方向からほぞ体と長溝を案内部材としてスライド移動させて車載用電子機器を装着する機構である。車載用電子機器の取り付け動作に伴いストッパ部材が車載用電子機器に係合されるため、取り外しの際にはストッパ部材によるロック状態を解除して取り付け操作時とは逆方向にスライドさせるようにするものである。
【0003】
図20及び図21はそのようなスライド式係合機構で車載用電子機器を装着する支持装置100の具体的な例である。図22は同じく車載用電子機器の一例である携帯ナビゲーション装置101の裏面側から見た斜視図である(表面には液晶表示部が配設されている)。支持装置100のクレードル102の垂直当接面102aには上下方向に延びる長尺形状のほぞ体103が形成されている。ほぞ体103の下方位置にはラック部104が形成されている。図21に示すように、クレードル102の内部にはストッパ部材としてストッパユニット105が収容されている。ストッパユニット105はベースプレート106とベースプレート106を基部として起立するストッパアーム107から構成されている。ストッパアーム107は基部を中心に前後方向に揺動可能とされている。ストッパアーム107の上端には前方に突出した干渉部108が形成されクレードル102の垂直当接面102aに形成された開口部109から外部に露出されている。干渉部108の上面には先端ほど低くなるテーパー面108aが形成されている。ベースプレート106の前端は押圧部110とされ、ラック部104の前面に露出されている。押圧部110を指で押圧するとストッパユニット105全体が後退することとなり、この動作に連動してストッパアーム107の干渉部108はクレードル102の垂直当接面102aから後退することとなる。
また、図22に示すように、携帯ナビゲーション装置101の裏面101aには上下方向に延びる長溝111と係合穴112が形成されている。
【0004】
例えば、車両のダッシュボード上に設置されたこのような支持装置100に携帯ナビゲーション装置101を装着するためには、まず携帯ナビゲーション装置101をクレードル102前面の上方位置に配置し、携帯ナビゲーション装置101の長溝111の開口部111aをクレードル102側のほぞ体103の上端103aに照合させ、長溝111にほぞ体103を挿入させながらクレードル102の垂直当接面102aに沿って携帯ナビゲーション装置101を下降させていくようにする。携帯ナビゲーション装置101の背部101aはその下降に伴ってストッパアーム107の干渉部108のテーパー面108aに干渉し、ストッパアーム107を後方(クレードル102内部方向)に撓ませる(つまり、干渉部108がクレードル102内に逃げる)。携帯ナビゲーション装置101がラック部104上に載置されるとともに係合穴112がちょうどストッパアーム107の干渉部108位置に配置されるため、ストッパアーム107は自身の付勢力によって前方に揺動して干渉部108は携帯ナビゲーション装置101側の係合穴112に係合される。干渉部108が係合穴112へ係合され、携帯ナビゲーション装置101の上方への移動(抜き取り)が不能とされる。この状態で携帯ナビゲーション装置101の取り付けが完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−106657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように携帯ナビゲーション装置101をクレードル102に装着するための動作は携帯ナビゲーション装置101をほぞ体102に沿って下降させるだけでよいため、ユーザーは片手でも操作することが可能である。しかし、一旦装着させた後に携帯ナビゲーション装置101を取り外す際にはストッパアーム107の干渉部108が携帯ナビゲーション装置101の係合穴112に係合しているため、そのままでは携帯ナビゲーション装置101を上方に取り出すことはできない。
そのため、ユーザーは、押圧部110を指で押して干渉部108と係合穴112との係合関係を解消させ、その状態を維持してもう片方の手で携帯ナビゲーション装置101を取り出すようにしなければならない。更に、このとき支持装置100をまったく押さえずに押圧部110のみを指で押圧するとなると、一般に支持装置100はダッシュボード上に粘着テープや吸盤で固定されているため、押圧部110を押す力によって支持装置100がその設置位置から外れてしまう恐れがある。そのため、押圧部110のみを指で押圧することは好ましくない。
そのため、携帯ナビゲーション装置101を支持装置100から取り外す際には押圧部110を一方の手の指で押す動作とともに、その同じ手で支持装置100をダッシュボードに対して押さえ付けていなければならず、作業が非常に面倒であった。特に車両内部は狭く、作業がしにくいためこのように必ず両手を使わなければならない動作はユーザーに無理な姿勢を強いることともなり改善が望まれていた。また、通常支持装置100の設置位置はダッシュボード上であるケースが多く、その場合にはユーザーが運転者であれば設置位置まで運転席から遠いため、運転位置からではそもそも両手を延ばして取り外し作業をすることが困難なケースもある。
このようなことから片手でも簡単に操作して車載用電子機器を取り外すことができる支持装置が求められていた。
本発明は、上記諸問題を解消するためになされたものであり、その目的は、片手でも簡単に操作することで車載用電子機器を取り外すことができる車載用電子機器用の支持装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の発明では、車載用電子機器を装着するための機器取付部を備え、車両側に対しては固定部によって固定される車載用電子機器用の支持装置であって、前記機器取付部の取付面には車載用電子機器との間で係合されてスライド式係合機構を構成する溝又は同溝に挿入される嵌合体のいずれかが形成され、前記車載用電子機器を前記取付面に対して所定の1方向から前記溝及び嵌合体を案内としてスライド移動させることで前記車載用電子機器との間で前記所定の1方向以外に移動が不能な状態で前記スライド式係合機構を構成する車載用電子機器用の支持装置において、前記車載用電子機器との間で前記スライド式係合機構を構成した際に前記車載用電子機器に干渉して前記所定の1方向への移動を阻止するストッパ部材を設け、前記ストッパ部材を前記車載用電子機器の前記機器取付部への着脱に伴う操作によって干渉状態から非干渉状態へと変移させるようにしたことをその要旨とする。
このような構成においては、車両側に対しては固定部によって固定させた支持装置の機器取付部の取付面に車載用電子機器を所定の1方向からスライド移動させて溝と嵌合体によるスライド式係合機構を構成させるようにする。スライド式係合機構の構成に伴ってストッパ部材が車載用電子機器に干渉することで車載用電子機器の所定の1方向への移動が阻止されることとなる。ユーザーが車載用電子機器の機器取付部への着脱に伴う操作を行うことでストッパ部材が干渉状態から非干渉状態へと変移する。
このような構成とすることで、ユーザーは機器取付部の取付面に取り付けられている車載用電子機器を片手のみでも取り外すことが可能となる。
【0008】
請求項2の発明では請求項1の発明の構成に加えて、前記機器取付部を前記固定部から離間する方向に進出した第1の位置と、前記固定部方向側に接近する方向に後退した第2の位置との間を移動可能に支持するとともに、前記機器取付部を常時は付勢手段によって前記第2の位置に保持させる一方、前記ストッパ部材を前記固定部に対し前記機器取付部方向に突出するように形成し、前記ストッパ部材は前記機器取付部が前記第1の位置方向に移動することによって少なくともその先端寄りに形成された干渉部が相対的に前記取付面よりも後退するとともに、前記第2の位置に配置される場合に前記干渉部が前記取付面よりも前方の前記車載用電子機器に干渉する位置に突出するようにし、前記機器取付部に装着された前記車載用電子機器を操作して前記付勢手段の付勢力に抗して前記機器取付部を拘引し、前記機器取付部を前記第1の位置方向に移動させて前記車載用電子機器の前記所定の1方向への移動を許容するようにしたことをその要旨とする。
請求項2は請求項1の車載用電子機器の機器取付部への着脱に伴う操作の具体例である。このような構成とすれば、次のような作用が奏される。まず、付勢手段によって第2の位置に保持されている機器取付部に対して、車載用電子機器が装着されている状態でその車載用電子機器を掴んで付勢力に抗しながら第1の位置方向(固定部から離間する方向)に移動させていく。車載用電子機器は機器取付部の取付面に対してスライド式係合機構によって係合されているため、車載用電子機器に拘引されて機器取付部は第1の位置方向に移動する。機器取付部の第2の位置方向から第1の位置方向への移動に伴って固定部から機器取付部方向に突出していたストッパ部材の先端寄りに形成された干渉部は相対的に取付面よりも後退することとなって、車載用電子機器とは干渉しないようになる。干渉が解除された段階で車載用電子機器の取り出し可能な所定の1方向への移動が許容されるため、車載用電子機器を掴んだままで次の動作としてそのまま所定の1方向へスライドさせて取り外すようにする。車載用電子機器の取り出し後は機器取付部は付勢手段の付勢力によって第2の位置に復帰する。
このような構成とすることで、機器取付部の取付面に装着されている車載用電子機器を掴んで単に固定部から離間する方向に移動させるだけでストッパ部材との干渉が解除され、そのまま所定の1方向へスライドさせることができるので、片手での車載用電子機器の取り外しが容易に行えることとなる。
ここに「付勢手段」としては、例えば、コイルばね、板ばね、反発性のあるスポンジのようなクッション部材等の弾性部材が挙げられる。
【0009】
請求項3の発明では請求項2の発明の構成に加えて、前記付勢手段はばねであることをその要旨とする。
このように付勢手段としてばねであれば、特に安定的な付勢力が得られ応答性がよく比較的安価に付勢手段を供給することができる。
請求項4の発明では請求項3の発明の構成に加えて、前記付勢手段はコイルばねであり、前記機器取付部は前記コイルばねの周方向の全域で均等に付勢されるようにしたことをその要旨とする。
このように付勢手段としてのコイルばねを構成すれば、車載用電子機器を介して機器取付部を第1の位置方向に移動させる際に引っ張り力の方向や大きさが一定していなくとも安定した緩衝作用を示し、部材の干渉等の不具合が生じにくくなる。
【0010】
請求項5の発明では請求項1〜4のいずれかの発明の構成に加えて、前記機器取付部は軸受け部と、同軸受け部に軸支される軸部材によって前記固定部に対して揺動可能に支持されることをその要旨とする。
この構成は機器取付部を固定部に対して揺動可能に固定されているという条件を課したものである。上記請求項では固定部に対して機器取付部は、第1の位置と第2の位置の間を進退できればよいため、特に固定されている必要はない。ここでは軸受け部と軸部材の関係で揺動可能に固定されることで、より安定的な機器取付部の進退を可能とさせたものである。
請求項6の発明では請求項2〜5のいずれかの発明の構成に加えて、前記機器取付部が前記第1の位置方向と前記第2の位置方向との間を進退する際の案内手段を設けたをその要旨とする。
これによって、よりスムーズな機器取付部の進退が可能となる。
【0011】
請求項7の発明では請求項2〜6のいずれかの発明の構成に加えて、前記干渉部前端には前記所定の1方向に指向した先端側が下がるテーパー面が形成されていることをその要旨とする。
これによって、機器取付部が第2の位置にある場合であって干渉部が取付面よりも前方の車載用電子機器に干渉する位置に突出している場合に、車載用電子機器を所定の1方向からスライド移動させて取り付ける際に、ストッパ部材の干渉部に干渉しても車載用電子機器の進出を妨げることがなくなる。これは、干渉部のテーパー面によって干渉の際の押動力のベクトルが固定部方向に指向することとなり、機器取付部を第1の位置方向に移動させる力と変換されるため、結果として相対的に干渉部が取付面よりも後退することとなって、車載用電子機器をスライド移動させる際の障害にならなくなるからである。車載用電子機器を取付面の任意の位置に進出させた段階で付勢手段の付勢力によって車載用電子機器側に形成させた凹部にストッパ部材を係合させることで車載用電子機器と干渉して車載用電子機器の所定の1方向への移動を阻止することができる。
【0012】
請求項8の発明では請求項1の発明の構成に加えて、前記機器取付部に前記ストッパ部材を前記取付面の前面から出没可能に配置し、常時は付勢手段によって没する方向に付勢させる一方、前記機器取付部に前記車載用電子機器を装着して通電状態とすることによって発生する磁力線の作用で前記付勢手段の付勢力に抗して前記ストッパ部材を前記取付面方向に突出させるようにすることをその要旨とする。
請求項7は請求項1の車載用電子機器の機器取付部への着脱に伴う操作の具体例である。このような構成とすれば、次のような作用が奏される。車載用電子機器を取り付ける際には未だ車載用電子機器への通電状態にないため、この段階ではストッパ部材は取付面の前面よりも後退した位置にあり、車載用電子機器と干渉せず車載用電子機器を着脱することが可能である。車載用電子機器を機器取付部へ装着して通電させることで磁力線を発生させるようにする。その作用で付勢手段の付勢力に抗してストッパ部材を取付面方向に突出させて車載用電子機器に干渉させることができる。一方、通電状態を解消することで磁力線は消失し、ストッパ部材は付勢手段によって取付面の前面から没するため車載用電子機器に干渉しなくなる。
このような構成とすることで、車載用電子機器が機器取付部に装着されており、通電状態にあればストッパ部材は車載用電子機器に干渉して車載用電子機器の取り外しはできないが、通電状態を解消することでストッパ部材は車載用電子機器に干渉しなくなるため、片手での車載用電子機器の機器取付部からの取り外しが容易に行えることとなる。
通電状態とは車載用電子機器を機器取付部へ装着し、車両からの電源の供給を受けている状態(例えば、アクセサリー電源(ACC)入力状態か、オン電源、つまりエンジンがかかっている状態での入力状態)をいう。車載用電子機器自体に電源オン・オフスイッチを備えている場合にはそれがオン状態である場合である。
【0013】
請求項9の発明では請求項8の発明の構成に加えて、前記ストッパ部材は強磁性体から構成され、前記車載用電子機器側の電磁石によって吸引されることで前記ストッパ部材は前記取付面方向に突出することをその要旨とする。
これは電磁石の磁力の作用によってストッパ部材を進出させる構成の具体例である。車載用電子機器側の電磁石への通電によって発生する磁力によって付勢力に抗してストッパ部材が吸引されるためストッパ部材を取付面方向に突出させることができる。一方、通電が解消されると電磁石は消磁されてストッパ部材は付勢手段によって取付面の前面から没する方向に移動する。
【0014】
請求項10の発明では請求項8の発明の構成に加えて、前記ストッパ部材は前記機器取付部側に配設されたソレノイド装置の可動鉄心であって、前記ソレノイド装置は前記車載用電子機器への通電に伴って駆動され、前記可動鉄心は前記取付面方向に突出することをその要旨とする。
これも磁力線の作用によってストッパ部材を進出させる構成の具体例である。機器取付部側のソレノイド装置への通電によって磁力を発生させることで付勢力に抗して可動鉄心を取付面方向に突出することができる。一方、通電が解消されると可動鉄心は付勢手段によって取付面の前面から没する方向に移動する。
【0015】
請求項11の発明では請求項1〜10のいずれか発明の構成に加えて、前記機器取付部の前記取付面には前記車載用電子機器が載置される棚部が形成され、前記棚部の機器当接面は前記所定の1方向と交差することをその要旨とする。
これは機器取付部の取付面のより具体的な構造の一例を示すものである。車載用電子機器を所定の1方向から取付面の前面をスライド移動させていくと、車載用電子機器は棚部の機器当接面に当接して移動が規制されることとなる。この規制された位置でストッパ部材が車載用電子機器に干渉するように構成することが好ましい。
【0016】
請求項12の発明では請求項1〜11のいずれかの発明の構成に加えて、前記所定の1方向とは上方向であることをその要旨とする。
車載用電子機器用の支持装置の設置位置を基準とした場合に、車載用電子機器は上方から下降させて機器取付部に取り付ける可能性が高いため、このように所定の1方向が上方向であることが好ましいからである。
【発明の効果】
【0017】
上記各請求項の発明によれば、ユーザーは支持装置に装着されている車載用電子機器を片手でも容易に取り出すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明にかかる実施の形態1及び2の支持装置の斜視図。
【図2】実施の形態1の支持装置のクレードルと連結筒との連結構造を説明するための分解斜視図。
【図3】実施の形態1及び2の支持装置の正面図。
【図4】実施の形態1の支持装置において車載用電子機器を取り付けている途中の状態を説明する図3のA−A線における断面図。
【図5】実施の形態1の支持装置においてクレードルを第1の位置方向に移動させ、車載用電子機器の上方への取り出し可能な状態を説明する図3のA−A線における断面図。
【図6】実施の形態1において車載用電子機器を取り外す際の手順を説明する説明図。
【図7】実施の形態2の支持装置のクレードルと連結筒との連結構造を説明するための分解斜視図。
【図8】実施の形態2の支持装置において連結筒にクレードル本体を吊り下げ支持させた状態の斜視図。
【図9】実施の形態2の支持装置において車載用電子機器を取り付けている途中の状態を説明する図3のA−A線における断面図。
【図10】実施の形態2の支持装置においてクレードルを第1の位置方向に移動させ、車載用電子機器の上方への取り出し可能な状態を説明する図3のA−A線における断面図。
【図11】(a)はクレードルが第2の位置にある場合、(b)はクレードルが第1の位置方向に移動(揺動)した状態の要部拡大断面図。
【図12】実施の形態2において車載用電子機器を取り外す際の手順を説明する説明図。
【図13】実施の形態3の支持装置の斜視図。
【図14】実施の形態3の支持装置の正面図。
【図15】実施の形態3の支持装置において車載用電子機器が取り付け可能状態である場合を説明する図14のB−B線における断面図。
【図16】実施の形態3の支持装置において車載用電子機器を取り付け、車載用電子機器の上方への取り出し不能な状態を説明する図14のB−B線における断面図。
【図17】(a)がストッパユニットの分解斜視図、(b)はストッパユニットの斜視図。
【図18】実施の形態3の支持装置のストッパユニットの可動範囲を説明する要部拡大断面図。
【図19】実施の形態4の支持装置のソレノイド装置の周辺構成を説明する要部拡大断面図。
【図20】従来の支持装置の斜視図。
【図21】従来の支持装置のクレードルから機器搭載部を取り外して内部構造を示す斜視図。
【図22】携帯ナビゲーション装置の一例の背後側からの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の車載用電子機器用の支持装置の具体的な実施の形態を図面に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1〜図5に示すように、車載用電子機器として例えば携帯ナビゲーション装置(ポータブルナビゲーションデバイス(PND))用の支持装置1は固定部としてのスタンド本体2とスタンド本体2に支持される機器取付部としてのクレードル3とを構成要素として備えている。ここに、前方向とは図4及び図5において図上左方をいい、後方向とは同右方向をいうものとする。
スタンド本体2は硬質プラスチック製の成型品であって、ベース部4と、ベース部4と一体に形成された脚部5を有している。ベース部4は平面形状円形とされ周囲に向かって緩やかな角度で下がる傾斜を有する薄板部である。ベース部4の裏面にはシリコーンゴム製の吸盤6が配設されている。脚部5は複数の板体が交差状に立設された複合板構造体であって、ベース部4の一側寄りにおいて立設されている。脚部5の上部位置には収容キャップ7が脚部5と一体に形成されている。収容キャップ7は開口部7aが内側に向いて配置されたドーム形状の収容部である。収容キャップ7の底位置には。収容キャップ7内外を連通する連通孔8が形成されている。収容キャップ7内であって連通孔8を包囲する位置には案内筒9が形成されている。連通孔8及び案内筒9によって構成されるトンネル状の透孔の配置方向はベース部4の底面の延設方向と平行とされている(つまり、ベース部4が水平面に設置されれば、水平方向に配置される)。
図4及び図5に示すように、収容キャップ7には連結筒10が連結されている。図2に示すように、連結筒10は硬質プラスチック製の成型品であって、後端寄りがその先端に向かって徐々にすぼんだ(つまり後端寄りほど小径となる)円筒形状に形成され、前端の外周全縁にはフランジ11が形成されている。フランジ11の外周には120度ずつ均等に周方向にずれた位置に案内部材としての溝11aが形成されている。連結筒10の前端下部位置の内周面側には前方へ突出するストッパ部材としてのストッパプレート12が形成されている。ストッパプレート12の先端寄りは上下方向に膨出した干渉部14とされている。干渉部14の上面には先端ほど低くなるようなテーパ面14aが形成されている。
連結筒10は収容キャップ7への連結状態でその後端寄り領域が収容キャップ7内に収容されている。連結筒10の収容キャップ7に連結される連結機構について説明する。連結筒10は押圧コマ13、ボルト15及びナット16によって収容キャップ7に対して固定されている。押圧コマ13は連結筒10内の徐々にすぼんだ後端寄り部分に配置され、ボルト15は押圧コマ13、案内筒9及び連通孔8にそれぞれ挿通させられ収容キャップ7の外側に配置されたナット16に螺合されている。ナット16はナットキャップ17内にナットキャップ17と一体回動可能に収納されている。ナットキャップ17を回動することでナット16に対してボルト15は図4及び図5において右方向(後方)に進出する方向に移動させられ、その際にボルト15の頭部によって押圧コマ13が連結筒10の底方向に引き寄せられる。この、押圧コマ13の移動によって連結筒10が収容キャップ7に押し付けられて固定されている。
【0020】
クレードル3は連結筒10に対して前後方向に進退可能に遊嵌されている。クレードル3はクレードル本体18と機器搭載部19から構成されている。図4及び図5に示すように、クレードル3は連結筒10に片持ち梁状に支持されベース部4の中央位置を間に挟んで脚部5と180度対向するベース部4上方位置に配置される。
図2に示すように、クレードル本体18は椀状の外形の硬質プラスチック製の成型品である。クレードル本体18の中央には円形の透孔18aが形成されている。クレードル本体18の内側であって透孔18aの周囲には120度ずつ均等にずれた3箇所の位置にネジ支持部20が形成されている。各ネジ支持部20にはクレードル本体18の前後に連通する連通孔20aが形成されている。各ネジ支持部20に隣接した位置には案内部材としてのレール22がそれぞれ立設されている。各レール22の間隔と位置は前記連結筒10側のフランジ11の溝11aの間隔と位置に対応しており、一のレール22が対応する一の溝11aとレール22の長手方向に沿ってスライド移動可能に係合されている。クレードル本体18の下部位置には端子ユニット載置用テーブル21が形成されており、電源供給用端子ユニット23が端子ユニット載置用テーブル21上に載置されている。尚、クレードル本体18の裏面側には図示しないUSB用接続端子が配設され電源供給用端子ユニット23に接続されている。
【0021】
機器搭載部19は円盤形状の外観の硬質プラスチック製の成型品である。機器搭載部19は前記ベース部4の底面の延設方向に対して垂直に配置される平面で構成された垂直当接面25と、前面下部位置に水平方向に延びる棚部としてのラック部26とを有している。機器搭載部19の裏面(後面)の離間した3箇所には雌ネジ部27(図4及び図5における図示では一箇所のみ)が形成されている。雌ネジ部27の間隔と位置は前記ネジ支持部20の間隔と位置に対応しており、クレードル本体18と機器搭載部19はネジ支持部20と雌ネジ部27が照合されて、ビス28によって連結されている。
機器搭載部19の垂直当接面25上には嵌合体としてのほぞ体30が形成されている。ほぞ体30は垂直当接面25上において上下方向に延設されたリブ30aとリブ30aの前面に形成されたリブ30aよりも幅広なレールプレート30bとから構成されている。垂直当接面25のほぞ体30に隣接した位置には機器搭載部19の前後方向に連通する長方形形状の連通路32が形成されている。
ラック部26上面には携帯ナビゲーション装置の底面に係合される位置決め用のピン31が形成されている。ラック部26上面の中央位置には開口部26aが形成され電源供給用端子ユニット23が露出されている。
【0022】
図4及び図5に示すように、連結筒10の前端寄りの外周位置にはコイルばね33が配設されている。コイルばね33はクレードル3が連結筒10に遊嵌された状態でクレードル本体18の透孔18a周縁部分と連結筒10のフランジ11の間の空間に脱落不能に収容されており、その弾性によって常時クレードル3を連結筒10寄りの位置に保持させている。本実施の形態1ではこのコイルばね33の弾性によってクレードル3が連結筒10寄りの位置に保持されている位置を第2の位置とする。そして、コイルばね33を弾性に抗して付勢させてクレードル3を連結筒10から離間させる方向(つまり前方)に移動させた場合を第1の位置方向に移動させると表現する。クレードル3が第2の位置にある場合には連結筒10に形成されたストッパプレート12の干渉部14が連通路32からクレードル3の垂直当接面25前方に突出される。
一方、クレードル3を第1の位置に移動させた場合にはストッパプレート12の干渉部14は連通路32から退避していくこととなる。このときコイルばね33は圧縮されることとなるため、常に第2の位置に復帰しようとする付勢力が内在されることとなる。クレードル3は第2の位置から最大でコイルばね33を完全に圧縮させた位置まで前方に移動させることが可能である。クレードル3をどの程度第1の位置方向に移動させると干渉部14が垂直当接面25から没するかは適宜設定可能である。
【0023】
次に、このような構成の実施の形態1の支持装置1に対する携帯ナビゲーション装置の着脱動作について説明する。携帯ナビゲーション装置の一例として図22に示す携帯ナビゲーション装置101を使用するものとする。
まず、取り付け動作について説明する。携帯ナビゲーション装置101を取り付ける前の支持装置1は図4のようにコイルばね33の弾性によってクレードル3が連結筒10に対して(あるいはスタンド本体2に対して)上記第2の位置にある。このような支持装置1に取り付ける場合には、図4の仮想線で示すように、従来と同様に携帯ナビゲーション装置101の裏面を支持装置1の機器搭載部19の垂直当接面25に当接させ、携帯ナビゲーション装置101の長溝111とほぞ体30の上端が対応するように調整し、ほぞ体30が長溝111に挿入されるように導きながら、携帯ナビゲーション装置101を垂直当接面25に沿って下降させていく。
携帯ナビゲーション装置101は支持装置1に対してこの方向以外からはほぞ体30に長溝111を嵌合させることはできない。ほぞ体30に長溝111を嵌合させて構成される係合機構をスライド式係合機構とする。
携帯ナビゲーション装置101をラック部26方向に下降させていくと、垂直当接面25に露出しているストッパプレート12の干渉部14のテーパ面14aに当接する。そのまま下降させるとその押動力はテーパ面14aにおいてストッパプレート12の長手方向へ指向し(ベクトルの分解)、スタンド本体2側に固定されているストッパプレート12の反力でクレードル3が第1の位置方向に移動させられることとなる。これによって干渉部14は相対的に垂直当接面25から没する方向に移動することとなり、携帯ナビゲーション装置101をスムーズに下降させることができる。下降に伴い携帯ナビゲーション装置101側の係合穴112が連通路32位置に達するとテーパ面14aにかかる押動力は消失し、付勢状態にあるコイルばね33の付勢力によってストッパプレート12の干渉部14は垂直当接面25に露出する。この干渉部14が再び垂直当接面25に露出するとほぼ同時に携帯ナビゲーション装置101はラック部26上に載置されることとなり、電源供給用端子ユニット23と接続されることとなる。これで携帯ナビゲーション装置101の支持装置1上への装着が完了する。
この状態ではクレードル3はコイルばね33の弾性によって第2の位置に保持され、常時干渉部14が垂直当接面25から突出して携帯ナビゲーション装置101側の係合穴112に係合しているため、携帯ナビゲーション装置101が上方にスライド移動してしまうことはなく、ラック部26上に保持されることとなる。
【0024】
次に、装着状態の携帯ナビゲーション装置101を支持装置1から取り外す動作について説明する。図6に示すように、支持装置1に装着されている携帯ナビゲーション装置101をユーザーは把持し(どのような持ち方でも構わない)、前方、つまり第1の位置方向に引く(黒矢印方向)。すると、ほぞ体30と長溝111とによるスライド式係合機構はこの方向へは構造的に抜けないため、携帯ナビゲーション装置101とともにクレードル3は第1の位置方向に引っぱられることとなる。この動作によって第2の位置にあったクレードル3はコイルばね33を付勢させながら第1の位置方向に移動し、この挙動に応じて相対的にストッパプレート12の干渉部14は垂直当接面25から没する方向に移動する(図5の状態)。干渉部14が垂直当接面25から没することで干渉部14は非干渉状態となるため、携帯ナビゲーション装置101をほぞ体30と長溝111の係合が解除される方向(白矢印方向)、つまり、上方の挿入方向へスライド移動させることで取り出すことができる。
【0025】
以上のような構成の実施の形態1の支持装置1では次のような効果が奏される。
(1)携帯ナビゲーション装置101は装着状態ではスライド式係合機構とストッパプレート12の干渉部14によって支持装置1から脱落することなく保持され、一方、支持装置1から取り外す場合には携帯ナビゲーション装置101を一種の操作レバーとして利用し、片手で携帯ナビゲーション装置101を把持し、前方向に引き寄せることで干渉部14の干渉がなくなり、そのまま上方へスライドさせて取り外すことができるため、必ずしも両手を用いずとも容易に携帯ナビゲーション装置101を取り外すことが可能となる。
(2)コイルばね33の付勢力によって携帯ナビゲーション装置101は自動的に第2の位置に復帰するため、次に携帯ナビゲーション装置101を取り付ける際にも特に従来と異なる操作をする必要はなく、また、携帯ナビゲーション装置101を取り付ける際には従来と同様の動作でセットすることができるため、ユーザーにおいては装着作業のストレスはまったくない。
(3)クレードル3の進退においてはレール22と溝11aによって案内されるため、クレードル3が連結筒10に固定されていなくともクレードル3の安定した進退動作が可能となっている。
【0026】
(実施の形態2)
次に、図1、図3、図7〜図12に基づいて実施の形態2について説明する。
実施の形態2の支持装置1は実施の形態1の支持装置1のバリエーションである。実施の形態2の支持装置1では連結筒40及びクレードル本体41の形状が実施の形態1の支持装置1の連結筒10及びクレードル本体18とは異なり、その他の構成は実施の形態1と共通するため、異なる構成のみ詳細に説明する。
連結筒40は実施の形態1の連結筒10と同様に硬質プラスチック製の成型品であって、後端寄りがその先端に向かって徐々にすぼんだ円筒形状に形成されている。連結筒40の前端上部位置には方形に切り取られた切り欠き部40aが形成されている。切り欠き部40aを挟んだ両側位置には一対の軸部材41が形成されている。各軸部材41の上部位置にはそれぞれ支持軸42が形成されている。両支持軸42は先端が相対向するように配設されている。切り欠き部40aの奥位置には側面視L字状の板ばね43がビス44によって固着されている。連結筒40の前端下部位置の内周面側には実施の形態1と同じストッパプレート12が形成されている。連結筒40は実施の形態1の連結筒10と同様に押圧コマ13、ボルト15及びナット16によって収容キャップ7に対して固定されている。
クレードル本体41はクレードル本体18と同様に椀状の外形の硬質プラスチック製の成型品である。クレードル本体41の中央には円形の透孔41aが形成されている。クレードル本体41の内側であって透孔41aの周囲には120度ずつ均等にずれた3箇所の位置に実施の形態1と同じネジ支持部20が形成されている。各ネジ支持部20にはクレードル本体41の前後に連通する連通孔20aが形成されている。図7及び図8に示すように、透孔18aの周囲であって上部位置のネジ支持部20の左右位置には一対の軸受け部45が形成されている。クレードル本体18の下部位置には実施の形態1と同じ端子ユニット載置用テーブル21が形成されており、電源供給用端子ユニット23が端子ユニット載置用テーブル21上に載置されている。クレードル本体41と機器搭載部19はネジ支持部20と雌ネジ部27が照合されて、ビス28によって連結されてクレードル3を構成している。
【0027】
図8に示すように、連結筒40の対向する支持軸42はそれぞれクレードル本体41の軸受け部45に軸支されており、連結筒40の前端寄りはクレードル本体41の透孔41a内に収容されている。クレードル3は連結筒40に対して軸受け部45と支持軸42によって揺動可能に支持されており、支持軸42を基部として図9及び図10に示すように前後に揺動可能とされている。図11(a)に示すように、クレードル3の連結筒40への支持状態で、連結筒40側のL字状の板ばね43の作用片43aはクレードル3側の機器搭載部19の水平当接面19a上に当接されており、上方から水平当接面19aを押さえている。この状態ではクレードル3の垂直当接面25は垂直に配置され、連結筒40に形成されたストッパプレート12の干渉部14が連通路32からクレードル3の垂直当接面25前方に突出される。本実施の形態2ではクレードル3がこの位置にある場合を第2の位置とする。クレードル3は板ばね43の保持力によって第2の位置に保持されることとなる。
一方、クレードル3を支持軸42を基部として前方に揺動させると(つまり、クレードル3下部寄り部分の前方回動)図11(b)に示すように、クレードル3の揺動に伴って水平当接面19aが傾斜し、連結筒40側のL字状の板ばね43の作用片43aは水平当接面19aによって圧縮されて付勢状態とされることとなる(つまり常に第2の位置に復帰しようとする付勢力が内在されることとなる)。クレードル3の移動に伴ってストッパプレート12の干渉部14は連通路32から退避していくこととなる。このように板ばね43を付勢してクレードル3を支持軸42を基部として前方に揺動させた場合を第1の位置方向に移動させると表現する。クレードル3をどの程度第1の位置方向に移動させると干渉部14が垂直当接面25から没するかは適宜設定可能である。
【0028】
次に、このような構成の実施の形態2の支持装置1に対する携帯ナビゲーション装置の着脱動作について説明する。取り付け動作については実施の形態1と同様であるため説明は省略する。
装着状態の携帯ナビゲーション装置101を支持装置1から取り外す動作について説明する。支持装置1に装着されている携帯ナビゲーション装置101をユーザーは把持し(どのような持ち方でも構わない)、前方、つまり第1の位置方向に引く。すると、ほぞ体30と長溝111とによるスライド式係合機構はこの方向へは構造的に抜けないため、図12の黒矢印のように、携帯ナビゲーション装置101とともにクレードル3は支持軸42を基部として前方に揺動する。この動作によって第2の位置(図9の状態)にあったクレードル3は板ばね43を付勢させながら第1の位置方向に移動し、この挙動に応じて相対的にストッパプレート12の干渉部14は垂直当接面25から没する方向に移動する(図10の状態)。干渉部14が垂直当接面25から没することで干渉部14は非干渉状態となるため、携帯ナビゲーション装置101をほぞ体30と長溝111の係合が解除される方向(白矢印の方向)、つまり、上方の挿入方向へスライド移動させることで取り出すことができる。
このような構成とすることで実施の形態2でも実施の形態1の(1)(2)と同様の効果を奏することとなる。
【0029】
(実施の形態3)
次に、図13〜図17に基づいて実施の形態3について説明する。
実施の形態3の支持装置50は実施の形態1及び2の支持装置1のバリエーションである。実施の形態1及び2では連結筒10,40に対しクレードル3が前後方向に移動可能であったが、実施の形態3のクレードル51は連結筒52に対して移動不能に固定されている。実施の形態3では実施の形態1及び2と異なる構成のみ詳細に説明する。
実施の形態3の連結筒52は実施の形態1と同様に収容キャップ7に対して固定されている。図15及び図16に示すように、連結筒52の前端は拡開されてクレードル本体53とされている。クレードル本体53には実施の形態1及び2と同じ形状の機器搭載部19がビス54によって固定されており、クレードル本体53と機器搭載部19とによってクレードル51が構成されている。機器搭載部19の連通路32背面のクレードル51内にはストッパ部材としてのストッパピン55が配設されている。ストッパピン55は強磁性体である鉄主体の合金から構成された部材であって、連通路32の縦横幅より若干短い薄板状のヘッド55aとヘッド55aから後方に延出される胴部55bから構成されている。図17に示すように、胴部55bの端部にはコイルばね56、脱落防止ワッシャ57を間に介して抜け止めビス58が螺合されてストッパユニット59が構成されている。ストッパユニット59はストッパピン55のヘッド55aが連通路32に内に遊嵌され、コイルばね56が連通路32の背面側周壁に当接するようにクレードル51内に配置されている。図15及び図18に示すように、ストッパユニット59はコイルばね56の弾性によって励磁されていない状態ではストッパピン55のヘッド55a先端が垂直当接面25と略一致する位置よりも前方側に突出しないように保持されている。ストッパユニット59の後方への移動は許容されるものの、脱落防止ワッシャ57がクレードル本体53の基部位置53aに干渉するため図18に示すように移動量dはごくわずかである。コイルばね56の弾性力はごく弱いため前面からの連通路32を通じた弱い磁力線によってストッパピン55が前面に吸引された場合であっても圧縮されて、ストッパピン55前部の垂直当接面25への突出を許容する。
本実施の形態3における携帯ナビゲーション装置101は図15及び図16に示すように、係合穴112位置の内部側に電磁石60が配設されている。電磁石60は携帯ナビゲーション装置101に通電されることで励磁される。
【0030】
次に、このような構成の実施の形態3の支持装置50に対する携帯ナビゲーション装置の着脱動作について説明する。前提としてUSB用接続端子にはケーブルを介して車両側のシガーライターソケットから電源を取得するものとする。
まず、取り付け動作について説明する。未だエンジンをかけていない(エンジンキーの位置がアクセサリー電源位置にもない)状態で実施の形態1と同様に上方からほぞ体30と長溝111が係合されるように携帯ナビゲーション装置101を下降させる。そして、図14に示すように、携帯ナビゲーション装置101をラック部26上に載置し、その後エンジンをかけて(あるいはエンジンキーをキー溝に挿してアクセサリー電源位置とする)電源を供給し、携帯ナビゲーション装置101に通電させ、電磁石60を励磁させる。尚、先にエンジンをかける等の操作を行って電源供給状態で携帯ナビゲーション装置101を装着するようにしてもよい。
電磁石60を励磁させることによって連通路32にその先端を覗かせているストッパピン55のヘッド55aが吸引されて、垂直当接面25からヘッド55aが前方に突出されて係合穴112に係合する(図16の状態)。これによって携帯ナビゲーション装置101が上方にスライド移動してしまうことはなく、ラック部26上に保持されることとなる。
【0031】
次に、装着状態の携帯ナビゲーション装置101を支持装置50から取り外す動作について説明する。ユーザーがエンジンを停止させる(エンジンキーの位置がアクセサリー電源位置にもない)ことで携帯ナビゲーション装置101への電源供給が遮断される。これによって携帯ナビゲーション装置101への通電がなくなり電磁石60は消磁される。電磁石60の消磁に伴ってストッパピン55はコイルばね56の付勢力によって垂直当接面25から没する方向に移動する(図15の状態)。これによってヘッド55aが非干渉状態となるため、携帯ナビゲーション装置101をほぞ体30と長溝111の係合が解除される方向、つまり上方へスライド移動させることで取り出すことができる。
以上のような構成の実施の形態3の支持装置50では次のような効果が奏される。
携帯ナビゲーション装置101は装着状態ではスライド式係合機構とストッパピン55の係合によって支持装置1から脱落することなく保持され、一方、支持装置1から取り外す場合にはエンジンを停止させることでストッパピン55の干渉がなくなり、そのまま上方へスライドさせて取り外すことができるため、必ずしも両手を用いずとも容易に携帯ナビゲーション装置101を取り外すことが可能となる。
【0032】
(実施の形態4)
次に、図19に基づいて実施の形態4について説明する。
実施の形態4の支持装置50は実施の形態3の支持装置50のバリエーションである。実施の形態4では携帯ナビゲーション装置101の係合穴112に係合するストッパ部材をソレノイド装置70の可動鉄心71としたものである。図19に示すように、クレードル3内にはソレノイド装置70が配設されている。ソレノイド装置70は図19に示すようにソレノイドが収容された本体72に対して可動鉄心71が進退可能に配設されており、クレードル本体53に対してブラケット73によって固定されている。
可動鉄心71の先端は連通路32の縦横幅よりも若干短い薄板状の干渉部71aとされている。干渉部71aは連通路32に内に進退可能に挿入されており、消磁状態でちょうど干渉部71a先端が垂直当接面25と略一致する位置に保持されている。ソレノイド装置7は図示しないUSB用接続端子に接続されている。ソレノイド装置70は電源の供給を受けて励磁されることで可動鉄心71は内蔵された図示しないスプリングの保持力に抗して連通路32から飛び出し垂直当接面25の前方に突出する。
【0033】
次に、このような構成の実施の形態3の支持装置50に対する携帯ナビゲーション装置の着脱動作について説明する。前提としてUSB用接続端子にはケーブルを介して車両側のシガーライターソケットから電源を取得するものとする。
まず、装着動作について説明する。未だエンジンをかけていない(エンジンキーの位置がアクセサリー電源位置にもない)状態で実施の形態1と同様に上方からほぞ体30と長溝111が係合されるように携帯ナビゲーション装置101を下降させる。そして、携帯ナビゲーション装置101をラック部26上に載置し、その後エンジンをかけて(あるいはエンジンキーをキー溝に挿してアクセサリー電源位置とする)電源を供給し、ソレノイド装置70を励磁させる。
ソレノイド装置70を励磁させることによって連通路32にその先端を覗かせている可動鉄心71の干渉部71aが垂直当接面25から突出して携帯ナビゲーション装置101の係合穴112に係合する。これによって携帯ナビゲーション装置101が上方にスライド移動してしまうことはなく、ラック部26上に保持されることとなる。
【0034】
次に、装着状態の携帯ナビゲーション装置101を支持装置50から取り外す動作について説明する。ユーザーがエンジンを停止させる(エンジンキーの位置がアクセサリー電源位置にもない)ことでソレノイド装置70への電源供給が遮断される。これによって可動鉄心71は後退し、干渉部71aは垂直当接面25から没する方向に移動する。これによって、携帯ナビゲーション装置101は干渉部71aと干渉することがなくなりほぞ体30と長溝111の係合が解除される方向、つまり上方へスライド移動させることで取り出すことができる。
以上のような構成の実施の形態4の支持装置50では次のような効果が奏される。
携帯ナビゲーション装置101は装着状態ではスライド式係合機構とストッパピン55の係合によって支持装置1から脱落することなく保持され、一方、支持装置1から取り外す場合にはエンジンを停止させることで干渉部71aの干渉がなくなり、そのまま上方へスライドさせて取り外すことができるため、必ずしも両手を用いずとも容易に携帯ナビゲーション装置101を取り外すことが可能となる。
【0035】
本発明を、以下のように具体化して実施してもよい。
・上記の支持装置1,50の構成は一例であって、他の支持装置に応用するようにしてもよい。支持する車載用電子機器についても携帯ナビゲーション装置101以外とすることも可能である。
・車載用電子機器の取り出し方向は上方以外、例えば横方向であってもよい。
・実施の形態2における支持軸42等の揺動の基点となる位置は上方以外でもよい。
・実施の形態1のレール22と溝11aのような案内手段を実施の形態2に適用することも可能である。
・実施の形態1のコイルばね33の代わりに他のばねを使用することも可能である。同様に実施の形態2の板ばね43の代わりに他のばねを使用することも可能である。また、ばね以外の反発性のあるスポンジのような弾性部材を使用することも可能である。
・実施の形態3において携帯ナビゲーション装置101に併設されている電源スイッチを操作して、通電状態としたり非通電状態とするような操作をしてもよい。
・実施の形態3において上記ではシガーライターソケットから電源を取得するようにしていたが、他の供給源として例えばOBDIIコネクターを備えた車両であればそのOBDIIコネクターから電源を取得するようにしてもよい。
・クレードル3ではない機器取付部を有する支持装置に適用するようにしてもよい。
・スライド式係合機構を構成する溝と嵌合体として上記実施の形態では長溝111とほぞ体30で構成したが、この関係は逆でもよい。また、形状も上記以外の溝と嵌合体として構成することは自由である。
・支持装置1,50の固定手段としては上記のような吸盤6によるもの以外に、例えば両面テープや粘着テープを使用したものでもよい。
・その他、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において変更した態様で実施することは自由である。
【符号の説明】
【0036】
1,50…支持装置、2…固定部としてのスタンド本体、3…機器取付部としてのクレードル、12…ストッパ部材としてのストッパプレート、30…スライド式係合機構を構成する嵌合体としてのほぞ体、55…ストッパ部材としてのストッパピン、71…ストッパ部材としての可動鉄心、101…車載用電子機器としての携帯ナビゲーション装置、111…スライド式係合機構を構成する嵌合体としての長溝。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載用電子機器を装着するための機器取付部を備え、車両側に対しては固定部によって固定される車載用電子機器用の支持装置であって、前記機器取付部の取付面には車載用電子機器との間で係合されてスライド式係合機構を構成する溝又は同溝に挿入される嵌合体のいずれかが形成され、前記車載用電子機器を前記取付面に対して所定の1方向から前記溝及び嵌合体を案内としてスライド移動させることで前記車載用電子機器との間で前記所定の1方向以外に移動が不能な状態で前記スライド式係合機構を構成する車載用電子機器用の支持装置において、
前記車載用電子機器との間で前記スライド式係合機構を構成した際に前記車載用電子機器に干渉して前記所定の1方向への移動を阻止するストッパ部材を設け、前記ストッパ部材を前記車載用電子機器の前記機器取付部への着脱に伴う操作によって干渉状態から非干渉状態へと変移させるようにしたことを特徴とする車載用電子機器用の支持装置。
【請求項2】
前記機器取付部を前記固定部から離間する方向に進出した第1の位置と、前記固定部方向側に接近する方向に後退した第2の位置との間を移動可能に支持するとともに、前記機器取付部を常時は付勢手段によって前記第2の位置に保持させる一方、前記ストッパ部材を前記固定部に対し前記機器取付部方向に突出するように形成し、前記ストッパ部材は前記機器取付部が前記第1の位置方向に移動することによって少なくともその先端寄りに形成された干渉部が相対的に前記取付面よりも後退するとともに、前記第2の位置に配置される場合に前記干渉部が前記取付面よりも前方の前記車載用電子機器に干渉する位置に突出するようにし、
前記機器取付部に装着された前記車載用電子機器を操作して前記付勢手段の付勢力に抗して前記機器取付部を拘引し、前記機器取付部を前記第1の位置方向に移動させて前記車載用電子機器の前記所定の1方向への移動を許容するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の車載用電子機器用の支持装置。
【請求項3】
前記付勢手段はばねであることを特徴とする請求項2に記載の車載用電子機器用の支持装置。
【請求項4】
前記ばねはコイルばねであり、前記機器取付部は前記コイルばねの周方向の全域で均等に付勢されることを特徴とする請求項3に記載の車載用電子機器用の支持装置。
【請求項5】
前記機器取付部は軸受け部と、同軸受け部に軸支される軸部材によって前記固定部に対して揺動可能に支持されることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の車載用電子機器用の支持装置。
【請求項6】
前記機器取付部が前記第1の位置方向と前記第2の位置方向との間を進退する際の案内手段を設けることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の車載用電子機器用の支持装置。
【請求項7】
前記干渉部前端には前記所定の1方向に指向した先端側が下がるテーパー面が形成されていることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の車載用電子機器用の支持装置。
【請求項8】
前記機器取付部に前記ストッパ部材を前記取付面の前面から出没可能に配置し、常時は付勢手段によって没する方向に付勢させる一方、前記機器取付部に前記車載用電子機器を装着して通電状態とすることによって発生する磁力線の作用で前記付勢手段の付勢力に抗して前記ストッパ部材を前記取付面方向に突出させるようにすることを特徴とする請求項1に記載の車載用電子機器用の支持装置。
【請求項9】
前記ストッパ部材は強磁性体から構成され、前記車載用電子機器側の電磁石によって吸引されることで前記ストッパ部材は前記取付面方向に突出することを特徴とする請求項8に記載の車載用電子機器用の支持装置。
【請求項10】
記ストッパ部材は前記機器取付部側に配設されたソレノイド装置の可動鉄心であって、前記ソレノイド装置は前記車載用電子機器への通電に伴って駆動され、前記可動鉄心は前記取付面方向に突出することを特徴とする請求項8に記載の車載用電子機器用の支持装置。
【請求項11】
前前記機器取付部の前記取付面には前記車載用電子機器が載置される棚部が形成され、前記棚部の機器当接面は前記所定の1方向と交差することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の車載用電子機器用の支持装置。
【請求項12】
前記所定の1方向とは上方向であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の車載用電子機器用の支持装置。
【請求項1】
車載用電子機器を装着するための機器取付部を備え、車両側に対しては固定部によって固定される車載用電子機器用の支持装置であって、前記機器取付部の取付面には車載用電子機器との間で係合されてスライド式係合機構を構成する溝又は同溝に挿入される嵌合体のいずれかが形成され、前記車載用電子機器を前記取付面に対して所定の1方向から前記溝及び嵌合体を案内としてスライド移動させることで前記車載用電子機器との間で前記所定の1方向以外に移動が不能な状態で前記スライド式係合機構を構成する車載用電子機器用の支持装置において、
前記車載用電子機器との間で前記スライド式係合機構を構成した際に前記車載用電子機器に干渉して前記所定の1方向への移動を阻止するストッパ部材を設け、前記ストッパ部材を前記車載用電子機器の前記機器取付部への着脱に伴う操作によって干渉状態から非干渉状態へと変移させるようにしたことを特徴とする車載用電子機器用の支持装置。
【請求項2】
前記機器取付部を前記固定部から離間する方向に進出した第1の位置と、前記固定部方向側に接近する方向に後退した第2の位置との間を移動可能に支持するとともに、前記機器取付部を常時は付勢手段によって前記第2の位置に保持させる一方、前記ストッパ部材を前記固定部に対し前記機器取付部方向に突出するように形成し、前記ストッパ部材は前記機器取付部が前記第1の位置方向に移動することによって少なくともその先端寄りに形成された干渉部が相対的に前記取付面よりも後退するとともに、前記第2の位置に配置される場合に前記干渉部が前記取付面よりも前方の前記車載用電子機器に干渉する位置に突出するようにし、
前記機器取付部に装着された前記車載用電子機器を操作して前記付勢手段の付勢力に抗して前記機器取付部を拘引し、前記機器取付部を前記第1の位置方向に移動させて前記車載用電子機器の前記所定の1方向への移動を許容するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の車載用電子機器用の支持装置。
【請求項3】
前記付勢手段はばねであることを特徴とする請求項2に記載の車載用電子機器用の支持装置。
【請求項4】
前記ばねはコイルばねであり、前記機器取付部は前記コイルばねの周方向の全域で均等に付勢されることを特徴とする請求項3に記載の車載用電子機器用の支持装置。
【請求項5】
前記機器取付部は軸受け部と、同軸受け部に軸支される軸部材によって前記固定部に対して揺動可能に支持されることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の車載用電子機器用の支持装置。
【請求項6】
前記機器取付部が前記第1の位置方向と前記第2の位置方向との間を進退する際の案内手段を設けることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の車載用電子機器用の支持装置。
【請求項7】
前記干渉部前端には前記所定の1方向に指向した先端側が下がるテーパー面が形成されていることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の車載用電子機器用の支持装置。
【請求項8】
前記機器取付部に前記ストッパ部材を前記取付面の前面から出没可能に配置し、常時は付勢手段によって没する方向に付勢させる一方、前記機器取付部に前記車載用電子機器を装着して通電状態とすることによって発生する磁力線の作用で前記付勢手段の付勢力に抗して前記ストッパ部材を前記取付面方向に突出させるようにすることを特徴とする請求項1に記載の車載用電子機器用の支持装置。
【請求項9】
前記ストッパ部材は強磁性体から構成され、前記車載用電子機器側の電磁石によって吸引されることで前記ストッパ部材は前記取付面方向に突出することを特徴とする請求項8に記載の車載用電子機器用の支持装置。
【請求項10】
記ストッパ部材は前記機器取付部側に配設されたソレノイド装置の可動鉄心であって、前記ソレノイド装置は前記車載用電子機器への通電に伴って駆動され、前記可動鉄心は前記取付面方向に突出することを特徴とする請求項8に記載の車載用電子機器用の支持装置。
【請求項11】
前前記機器取付部の前記取付面には前記車載用電子機器が載置される棚部が形成され、前記棚部の機器当接面は前記所定の1方向と交差することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の車載用電子機器用の支持装置。
【請求項12】
前記所定の1方向とは上方向であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の車載用電子機器用の支持装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2013−86734(P2013−86734A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231261(P2011−231261)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(391001848)株式会社ユピテル (238)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(391001848)株式会社ユピテル (238)
【Fターム(参考)】
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