説明

車載用電子機器

【課題】音楽を再生中の端末の当事者の使い勝手を良くする。
【解決手段】受信アンテナ6を介して端末の情報を取得する通信管理部11と、端末が保有する楽曲情報とその再生状態を管理するコンテンツ管理部14と、コンテンツ管理部14に従い端末が保有するデータを処理する信号処理部8とを有し、通信管理部11と接続できない端末の楽曲再生を一時保留するようコンテンツ管理部14に指示する制御部10を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年発売されている自動車は、車内に設けられた複数の座席に対応してそれぞれスピーカが設けられている。また、このような自動車の車内に設置される車両用電子機器は、車内に存在する複数の端末、具体的には携帯電話が保有する音楽などをリストにし、適宜前記スピーカにて順番に再生することができるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−21337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来例においては、端末がどのような状態であっても順番に音楽を再生するため、使い勝手が良くなかった。
【0005】
具体的には、車内における携帯電話に電話がかかってきた場合に、電話のかかってきた当事者の保有する音楽などが再生されていたとすると、一番その音楽を聴きたいと思っている当事者が音楽を楽しむことができず、使い勝手が悪いものであった。
【0006】
すなわち、複数の携帯電話から登録した音楽などを車両用電子機器においてリスト管理し、そのリストに従い順番に再生する場合がある。そして、Aさんが自分の携帯電話から登録した音楽が再生される順番となり、その音楽が再生される。その時に、Aさんの携帯電話に電話がかかってきたとすると、Aさんは通話に集中することとなり、再生中の音楽を楽しむことができない。
【0007】
そこで、本発明は、音楽を再生中の端末の当事者の使い勝手を良くすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして、この目的を達成するために本発明は、受信アンテナを介して端末の情報を取得する通信管理部と、端末が保有する楽曲情報とその再生状態を管理するコンテンツ管理部と、コンテンツ管理部に従い端末が保有するデータを処理する信号処理部とを有し、通信管理部と接続できない端末の楽曲再生を一時保留するようコンテンツ管理部に指示する制御部を備え、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0009】
以上のように本発明は、受信アンテナを介して端末の情報を取得する通信管理部と、端末が保有する楽曲情報とその再生状態を管理するコンテンツ管理部と、コンテンツ管理部に従い端末が保有するデータを処理する信号処理部とを有し、通信管理部と接続できない端末の楽曲再生を一時保留するようコンテンツ管理部に指示する制御部を備えたものであるので、音楽を再生中の端末の当事者の使い勝手を良くすることができる。
【0010】
また、受信アンテナを介して端末の情報を取得する通信管理部と、端末が保有する楽曲
情報とその再生状態を管理するコンテンツ管理部と、コンテンツ管理部に従い端末が保有するデータを処理する信号処理部とを有し、端末は携帯電話であって、着信のあった携帯電話の保有する楽曲が再生状態であることを通信管理部から取得すれば、この着信のあった携帯電話が再生中の楽曲を通話終了後に再生可能に管理するようコンテンツ管理部に指示する制御部を備えたものであるので、電話のかかってきた当事者は、自らの登録した音楽を通話終了後に楽しむことができ、この結果として使い勝手を良くすることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態にかかる車載用電子機器を車内に設置した状態を車両の上側から見た図
【図2】同車載用電子機器の音楽再生状態の正面図
【図3】同車載用電子機器の構成図
【図4】同車載用電子機器の端末登録手順を示すフローチャート
【図5】同車載用電子機器の端末管理テーブルを示す図
【図6】同車載用電子機器の再生予約手順を示すフローチャート
【図7】同車載用電子機器のコンテンツ管理テーブルを示す図
【図8】同車載用電子機器に端末が未接続の際の処理を示すフローチャート
【図9】同車載用電子機器に登録された端末着信の際の処理を示すフローチャート
【図10】同車載用電子機器に登録された端末通話終了の際の処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施の形態)
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を用いて説明する。
【0013】
図1において、車両1のフロント部分には、ハンドル2が設けられ、またこのハンドル2の側方には車載用電子機器3が配置されている。また、このフロント部分には、座席4FRおよび4FLが配置されている。さらに、車両1の後部にも座席4RRおよび4RLが配置されている。
【0014】
本実施の形態では、座席4FRには端末Aを所持した運転者が着座し、座席4FLには端末Bを、座席4RLには端末Cを所持した同乗者が着座しているものとして説明する。なお、端末AからCは、携帯電話などの通信機能を有するものである。
【0015】
図2は、車載用電子機器3において、再生する楽曲の予約リストを表示中の表示部5を示している。座席4FRの運転者が所有する端末Aと、座席4FLの同乗者が所有する端末Bと、座席4RLの同乗者が所有する端末Cに格納されている楽曲が登録されており、端末Aの曲が再生中で、その他の曲が予約されていることを示している。
【0016】
本実施の形態においては、特に車載用電子機器3を図3のような構成とした。
【0017】
すなわち、端末からの電波を受信する受信アンテナ6と、受信アンテナ6で受信した端末の端末情報およびその端末の車内位置情報を登録管理する端末登録管理部7と、端末が保有するデータを処理する信号処理部8と、この信号処理部8の出力側に設けたスピーカ出力制御部9とを有する。そして、端末登録管理部7、信号処理部8、およびスピーカ出力制御部9の制御を行う制御部10を備える。
【0018】
例えば、端末情報とは、端末の名称、ネットワークアドレス、通信時の認証用データなどの情報である。
【0019】
また、受信アンテナ6に接続され通信管理をする通信管理部11と、再生中の音楽データの内容などを表示する液晶パネルなどの表示部5の表示内容を制御する表示制御部12と、操作者が車載用電子機器3に対して入力を行う操作部13を有する。
【0020】
また、端末登録管理部7に登録された端末の楽曲情報とその再生順番の管理、および楽曲の再生状態の管理を行なうコンテンツ管理部14を有する。このコンテンツ管理部14は、その再生状態の変化を制御部10に通知する。例えば、楽曲情報として、音楽データの曲名、アルバム名、アーティスト名などの情報と、それらを一意に特定可能なID情報などを用いる。
【0021】
なお、端末と車載用電子機器3との通信手段として、Bluetooth(登録商標)を用いることが多いが、これに限定するものではない。また、操作部13は、タッチパネルを用いることが好ましい。
【0022】
次に、車載用電子機器3に端末の初期登録の手順を図4および図5を用いて説明する。
【0023】
まず、操作者による操作部13の入力を制御部10が受け、制御部10は通信管理部11に端末登録動作開始を指示する(ステップ1)。ステップ2では、制御部10は、端末が登録されたかどうかを判定する。例えば、通信手段としてBluetooth(登録商標)を使用する場合、規格により決められた手順に従い車載用電子機器3に端末を登録する。登録結果が成功の場合はステップ3へ進み、失敗の場合は処理を終了する。
【0024】
ステップ3では、制御部10は、端末登録管理部7に対し端末情報の登録指示を行う。
【0025】
次に、図5に示す端末登録管理部7が管理する端末管理テーブルの説明をする。
【0026】
図4の処理により登録された各端末は、ID15が付与され、端末情報16、接続状態17の情報を保有する。なお、接続状態17に示すHFPはハンズフリープロファイルによる接続、AVPはAudio/Visualプロファイルによる接続、SPPはシリアルポートプロファイルによる接続を意味する。
【0027】
次に、車載用電子機器3において再生する楽曲情報の予約方法について、端末Cに格納されている楽曲を予約する場合を例に、図6から図7を用いて説明する。
【0028】
図6において、制御部10は、通信管理部11を介して、端末CとSSP接続を行ない、端末Cから再生予約要求とその楽曲情報を受信する(ステップ4)。
【0029】
次に、制御部10は、再生予約の要求、および受信した楽曲情報と端末Cの端末情報をコンテンツ管理部14に送信する(ステップ5)。
【0030】
次に、コンテンツ管理部14は、制御部10からの予約情報を受信し、コンテンツ管理テーブルの空き領域を検索し、その予約情報を格納する(ステップ6)。
【0031】
次に、コンテンツ管理部14は、コンテンツ管理テーブルに予約情報の格納を実施した場合は予約成功を、格納しなかった場合は予約失敗を制御部10に対して送信する(ステップ7)。
【0032】
次に、制御部10は、コンテンツ管理部14からの再生予約結果を受信し、その予約結果を通信管理部11を介して端末Cに送信し、端末CとのSSP接続を切断する(ステッ
プ8)。
【0033】
次に、図7に示すコンテンツ管理部14が管理するコンテンツ管理テーブルの説明をする。
【0034】
図6の処理により登録された予約情報は、ID18が付与され、再生に必要な楽曲情報19、その楽曲が格納されている端末情報20、その予約状態21である。ID18の1番目から3番目までは端末Aと端末Bにより再生予約済である。また、端末Aの楽曲情報(1)が再生中であり、図6の処理により端末Cに格納されている楽曲情報(4)が、末尾の4番目に登録されたことを示している。
【0035】
このような構成において、図8を用いて、コンテンツ管理テーブルに格納された再生予約情報にしたがって、制御部10が再生曲を切り替える動作を説明する。
【0036】
まず、制御部10は、通信管理部11を介して接続中の携帯端末から再生トラック変化などの再生状態変化通知により、再生中の楽曲が終了したことを検知する。そして、制御部10は、次に再生する楽曲情報とそれが格納されている端末情報をコンテンツ管理部14に要求する(ステップ9)。
【0037】
次に、コンテンツ管理部14は、コンテンツ管理テーブルを検索し、次に再生する楽曲情報と、それが格納されている端末情報を制御部10に送信する(ステップ10)。
【0038】
ステップ11では、制御部10は、コンテンツ管理部14から次に再生する楽曲情報を取得できなかった場合は再生曲切替処理を終了し、楽曲情報を取得できた場合は次のステップ12の処理に移行する。
【0039】
ステップ12では、制御部10は、再生する楽曲情報が格納されている端末とのAVP接続状況を通信管理部11に取得させる。当該端末とのAVP接続が接続済の場合はステップ15に、AVP接続が未接続の場合は、ステップ13の処理を行なう。
【0040】
ステップ13では、制御部10は、コンテンツ管理部14から取得した端末とのAVP接続を通信管理部11に指示する。
【0041】
ステップ14では、制御部10は、AVP接続が成功した場合またはAVP接続済の場合は、通信管理部11を介して、再生する楽曲情報を指定して再生開始要求を当該端末に送信する。
【0042】
以上の処理により、制御部10は、当該端末から楽曲データを通信管理部11を介して受信し、受信した楽曲データを信号処理部8にてデコード処理を行い、スピーカ出力制御部9を介してスピーカに出力させる。
【0043】
一方、ステップ14において、AVP接続が行なえなかった場合、制御部10は、コンテンツ管理部14に対して、その端末の予約情報を消去する要求を行なう(ステップ16)。その後、コンテンツ管理部14は、コンテンツ管理テーブルから、当該端末の予約情報を消去する(ステップ17)。
【0044】
以上の処理により、例えば端末の所有者が車両から降車した場合でも、コンテンツ管理テーブルから当該端末の予約情報が消去されるため、ユーザによる予約情報更新の手続きが不要となる。
【0045】
次に、図9と図10を用いて、接続している携帯端末に着信が発生した場合の再生曲切替処理について説明する。
【0046】
図9のステップ18において、制御部10は、通信管理部11を介して、接続中の端末が着信中に遷移したことを検知した場合、コンテンツ管理部14に現在再生中の端末情報を要求する。
【0047】
ステップ19では、コンテンツ管理部14は、コンテンツ管理テーブルを検索し、現在再生中の端末情報を制御部10に送信する。
【0048】
ステップ20では、制御部10は、着信を検知した端末と、コンテンツ管理部14から取得した再生中の端末の情報が一致するかを判定する。一致しない場合は、再生曲切替処理を終了し、一致する場合は次のステップ21の処理に遷移する。
【0049】
ステップ21では、制御部10は、楽曲再生中の携帯端末に対して再生停止コマンドを送信するよう通信管理部11に指示する。
【0050】
ステップ22では、制御部10は、再生中の端末の予約情報を保留にするようコンテンツ管理部14に指示する。
【0051】
その後の処理は、図8のフローと同じである。
【0052】
次に、図10において、携帯端末の通話が終了し待受け状態に遷移したことを検知した場合の処理を説明する。
【0053】
制御部10は、通信管理部11を介して接続中の携帯端末の通話が終了して待受け状態に遷移したことを検知した場合、当該端末の予約情報の保留の解除をコンテンツ管理部14に指示する(ステップ23)。
【0054】
コンテンツ管理部14は、コンテンツ管理テーブルを検索し、指定された端末の予約状態を保留から待機に更新する(ステップ24)。
【0055】
以上のように本発明は、受信アンテナを介して端末の情報を取得する通信管理部と、端末が保有する楽曲情報とその再生状態を管理するコンテンツ管理部と、コンテンツ管理部に従い端末が保有するデータを処理する信号処理部とを有し、通信管理部と接続できない端末の楽曲再生を一時保留するようコンテンツ管理部に指示する制御部を備えたものであるので、音楽を再生中の端末の当事者の使い勝手を良くすることができる。
【0056】
また、受信アンテナを介して端末の情報を取得する通信管理部と、端末が保有する楽曲情報とその再生状態を管理するコンテンツ管理部と、コンテンツ管理部に従い端末が保有するデータを処理する信号処理部とを有し、端末は携帯電話であって、着信のあった携帯電話の保有する楽曲が再生状態であることを通信管理部から取得すれば、この着信のあった携帯電話が再生中の楽曲を通話終了後に再生可能に管理するようコンテンツ管理部に指示する制御部を備えたものであるので、電話のかかってきた当事者は、自らの登録した音楽を通話終了後に楽しむことができ、この結果として使い勝手を良くすることができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0057】
以上のように本発明は、受信アンテナを介して端末の情報を取得する通信管理部と、端末が保有する楽曲情報とその再生状態を管理するコンテンツ管理部と、コンテンツ管理部
に従い端末が保有するデータを処理する信号処理部とを有し、通信管理部と接続できない端末の楽曲再生を一時保留するようコンテンツ管理部に指示する制御部を備えたものであるので、音楽を再生中の端末の当事者の使い勝手を良くすることができる。
【0058】
また、受信アンテナを介して端末の情報を取得する通信管理部と、端末が保有する楽曲情報とその再生状態を管理するコンテンツ管理部と、コンテンツ管理部に従い端末が保有するデータを処理する信号処理部とを有し、端末は携帯電話であって、着信のあった携帯電話の保有する楽曲が再生状態であることを通信管理部から取得すれば、この着信のあった携帯電話が再生中の楽曲を通話終了後に再生可能に管理するようコンテンツ管理部に指示する制御部を備えたものであるので、電話のかかってきた当事者は、自らの登録した音楽を通話終了後に楽しむことができ、この結果として使い勝手を良くすることができるものである。
【0059】
したがって、車載用電子機器として極めて有用なものとなる。
【符号の説明】
【0060】
1 車両
2 ハンドル
3 車載用電子機器
4FR、4FL、4RR、4RL 座席
5 表示部
6 受信アンテナ
7 端末登録管理部
8 信号処理部
9 スピーカ出力制御部
10 制御部
11 通信管理部
12 表示制御部
13 操作部
14 コンテンツ管理部
15 ID
16 端末情報
17 接続状態
18 ID
19 楽曲情報
20 端末情報
21 予約状態

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信アンテナを介して端末の情報を取得する通信管理部と、
前記端末が保有する楽曲情報とその再生状態を管理するコンテンツ管理部と、
前記コンテンツ管理部に従い前記端末が保有するデータを処理する信号処理部とを有し、
前記通信管理部と接続できない端末の楽曲再生を一時保留するよう前記コンテンツ管理部に指示する制御部を備えた車載用電子機器。
【請求項2】
受信アンテナを介して端末の情報を取得する通信管理部と、
前記端末が保有する楽曲情報とその再生状態を管理するコンテンツ管理部と、
前記コンテンツ管理部に従い前記端末が保有するデータを処理する信号処理部とを有し、
前記端末は携帯電話であって、着信のあった携帯電話の保有する楽曲が再生状態であることを前記通信管理部から取得すれば、この着信のあった携帯電話が再生中の楽曲を通話終了後に再生可能に管理するよう前記コンテンツ管理部に指示する制御部を備えた車載用電子機器。
【請求項3】
前記制御部は、着信のあった携帯電話の楽曲再生を一時保留するよう前記コンテンツ管理部に指示する請求項2に記載の車載用電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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