説明

車載用電子機器

【課題】ルームミラーの大きさを小さくすることなく、文字、数字、画像、動画等の情報を表示することができ、且つ操作性にも優れた車載用電子機器を提供する。
【解決手段】薄型で細長な前面開放したリアケース11内の右側に、制御部を構成する表示制御基板12を配置し、中央に、制御部及び電子機器本体制御部を構成する本体制御基板15を配置する。また、表示制御基板12に積層して情報提示部を構成する表示パネル13を配置する。また、表示制御基板12,本体制御基板15及び表示パネル13を覆うようにルームミラーの鏡面部を構成する鏡14を配置し、さらに、この鏡14を覆うように接触検出部を構成するタッチスクリーン16を配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置、マイクロ波検出器、ドライブレコーダーなどの電子機器と、ルームミラーの機能とを兼ね備えた車載用電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両における運転者の視界確保を補助する装置として、車両の運転席前方に取り付けられたルームミラーの横に、車両の後部に設置されたCCDカメラ等の映像が映し出されるモニターが取り付けられ、ルームミラーと一体化されたモニター付きルームミラーが知られている(特許文献1)。
【0003】
このモニター付きルームミラーは、運転者が、ルームミラーに映る車両後方の反射像と、モニター画面に映るモニター像の両方を視認することができるものであり、車庫入れや縦列駐車時に、車両後方の視界を良好にすることができるものであった。
【0004】
また、ルームミラー装置に表示装置を設け、各種の情報を表示すると、ドライバーは、その表示された情報を見るために比較的視線の移動が少なくて済むので、安全運転に有効である。また、表示する情報として、例えば、“車両速度測定装置への接近”とした場合、その速度測定装置の存在をドライバーに知らせることで、ドライバーが知らず知らずのうちに速度を出しすぎてしまうのを予防することに貢献している。特に、車両速度測定装置は、一般的に速度を超過しやすい場所等に設置されていることが多いため、危険性のある場所で、ドライバーに対して速度超過への注意を喚起することができる。このように、こうした車両用警報装置は、安全運転に寄与している。また、後方車載カメラの場合、ルームミラー装置のミラー部に映っている後方の視野と、ミラーの死角になる後方車載カメラで撮像した映像を同時に並べてみることができ、車両後方の状況をより正確に漏れなく見ることができ、安全運転に寄与できる。
【0005】
しかしながら、サンバイザーや、車両前方の視野確保の観点から、運転席前方に取り付けられるルームミラーの大きさには制約があり、モニター画面を設置するためには、ルームミラーの大きさを小さくして、スペースを確保する必要があった。
【0006】
一方、特許文献2記載の運行用画像表示システムに関する発明は、画像を表示しないときは鏡となる画像表示領域を、鏡面上の少なくとも一部に有するとともに、無線で受信した前記車両の運行用画像を前記画像表示領域に表示する画像制御手段を備える車両のルームミラーと、前記車両に取り付けられ、前記運行用画像を作成して、該運行用画像を前記画像制御手段に無線で送信する画像作成手段とを備えているものであり、特許文献1に記載の発明が有していた課題を解決するものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−312360号公報
【特許文献2】実用新案登録第3084469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2の発明では、画像表示領域に画像を表示するための押しボタン式のスイッチを、鏡面外側のルームミラー本体ケースに複数個設けており、このスイッチのオンオフの操作性を良好なものとする必要があった。
【0009】
また、オンオフの操作をリモートコントロール式にする場合には、別途リモートコントローラーを用意する必要があると共に、リモートコントローラーの操作性を良好なものにする必要があった。
【0010】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、ルームミラーの大きさを小さくすることなく、文字、数字、画像、動画等の情報を表示することができ、且つ操作性にも優れた車載用電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記従来の課題を解決する為に、本発明に係る車載用電子機器は、(1)車両のルームミラーの機能を兼ね備えた車載用電子機器であって、前記ルームミラーの鏡面への接触を検出する接触検出部と、前記ルームミラーの鏡面内にルームミラーの鏡面側から視認可能なように情報の提示を行う情報提示部とを備えており、前記接触検出部への接触が検出された場合に前記情報提示部に提示する情報を変更する制御を行う制御部とを備えることを特徴としている。したがって、車両のルームミラーと車載用電子機器とを個別に設置する場合と比較して、車内スペースを有効に活用することができる。特にルームミラーは運転者が運転席に着席した状態で良好に視認でき、かつ、その角度等を調整するために運転者の手の届く位置に配置されている。したがってダッシュボード上に車載用電子機器を個別に配置する場合と比較して視認性、操作性がよい。また車載用電子機器をダッシュボード上に配置する場合に比べ、運転時の視界の妨げになりにくく、かつ、ダッシュボード上に車載用電子機器を設置することによる車内のデザインの統一感や美観を損ねることを抑えることができる。また、ルームミラーの鏡面内の領域が情報提示部を兼ねていることから、新たに、車載用電子機器の情報提示部のスペースを確保する必要が無く、ルームミラーの大きさを小さくする必要が無い。また、接触検出部によってルームミラーの鏡面側から車載用電子機器を操作できることから、操作性に優れており、別途リモートコントローラーを用意する必要が無い。
【0012】
ここで、情報提示部が、ルームミラーの鏡面内にルームミラーの鏡面側から視認可能なように情報の提示を行う構成としては、ルームミラーの鏡面側から視認可能なように積極的にルームミラーの鏡面側に投影する構成や、あるいは積極的に投影するのではなく、ルームミラーの鏡面に反射して映る範囲に存在する物体を動かす構成としてもよい。例えば、後記する(2)(3)に示す構成とするとよい。
【0013】
また、情報は、例えば、発光体を制御して提示する構成とするとよく、例えば発光体としては、LEDやランプ、バックライト等を有する液晶ディスプレイや、ELディスプレイなどを用いるとよい。例えば、情報は、LED等の点灯状態や点灯色を制御して提示するようにしてもよいし、液晶パネルやELパネルなどドットマトリックスディスプレイに、文字、数字、画像、動画等を表示する制御をして提示するようにしてもよい。
【0014】
また、情報提示部に提示する情報を変更する制御は、例えば、現在表示されている情報とは異なる情報を表示する制御とするとよく、例えば情報を文字や画像で構成される画面として提示する場合であれば、表示する画面を変更する制御(例えば遷移させる制御)をするとよい。
【0015】
(2)前記情報提示部は、前記情報の提示を、前記鏡面表側または裏側に画像を投影することで行うことを特徴としている。前記情報の提示を前記鏡面裏側に画像を投影する構成とする場合、例えば、ルームミラーの鏡面裏側に情報提示部を設け、情報提示部は発光体とすることで、ルームミラーの鏡面を発光体の発する光が透過してルームミラーの鏡面側から視認可能なように情報の提示を行うとよい。例えば後記(5)のように構成すると特によい。そして、鏡面裏側に設けた情報提示部は制御部を有する回路基板と接続するようにするとよく、特に当該回路基板はルームミラー内部に設けるとよい。例えば、制御部を有する回路基板上に情報提示部である発光体を固定して制御部と接続するようにするとよい。また、接触検出部も回路基板上に設けて制御部と接続する構成としたり、あるいは、接触検出部からの信号線を回路基板上に接続して制御部と接続する構成としてもよい。
【0016】
(3)前記情報提示部は、前記情報の提示を、前記鏡面表側に物体を映し出すことで行うことを特徴としている。これは、一例として、ルームミラーの鏡面表側の所定の領域に車内に設置された表示器に描かれた図形を映し出すことによって、その領域を情報提示部とすることができるので、鏡面としての機能と、情報提示部としての機能の両方を兼ね備えさせることができる。
【0017】
(4)前記情報提示部は、前記タッチスクリーンの裏面側に設けたディスプレイであることを特徴としている。
【0018】
(5)前記情報提示部は、前記ルームミラーの鏡面内の一部の領域をハーフミラー加工し、当該ハーフミラー加工した領域の裏側に配置した発光体を制御することにより前記情報の提示を行うことを特徴としている。したがって、ハーフミラー加工した領域は、鏡面としての機能を備えると共に、バックライト等を有する液晶ディスプレイや、LED等の発光体を制御することによって文字、数字、画像、動画等の情報の提示を行う情報提示部としての機能を兼ね備えることができる。
【0019】
(6)前記接触検出部は、前記接触の位置を検出し、前記制御部は、前記接触検出部への接触が検出された場合に、当該接触の位置に対応する前記情報提示部の位置に前記情報として操作ボタンを提示する制御を行うことを特徴としている。操作ボタンを提示する制御としては、例えば、前記接触検出部への接触を検出した場合に、発光体を点灯又は点滅し、その点灯又は点滅した領域を操作ボタンとして提示するようにするとよい。操作ボタンは、例えば当該車載用電子機器の操作を行うための操作ボタンとするとよい。
【0020】
(7)前記制御部は、前記情報の提示を画面表示によって行い、前記接触検出部への接触を検出した場合、当該画面表示の所定領域をスクロール表示させる制御を行うことを特徴としている。これは、一例として、複数のページ数を有する地図や本を表示させる場合に、接触検出部の領域をタッチして情報提示部の画面をスクロール可能にしたものであり、接触検出部の操作性を向上させることができる。
【0021】
(8)前記接触検出部の表面に、指紋の付着を防止する加工をしたことを特徴としている。したがって、操作部を頻繁に操作することによって、指紋が付着し、鏡面としての機能が低下するのを防ぐことができる。また、指紋の付着を防止する加工としては、例えば、表面に指紋が付着することを防止するコート材を塗布するようにしてもよいし、表面に指紋が付着することを防止するフィルムを貼り付けるようにしてもよい。
【0022】
(9)車両の既存のルームミラーに固定するための取付部を備えていることを特徴としている。したがって、取付部を既存のルームミラーに固定することによって、当該車載用電子機器を使用することができ、設置作業を容易に行うことができる。特に、取付部は、接触検出部へのタッチでは、落下しないように固定する構成としている。例えば、接触検出部へのタッチ状態で加重の係る方向に、抜け止め部材を有する取付部を設置する構成にするとよい。
【0023】
(10)前記接触検出部は、タッチスクリーンによって構成し、当該タッチスクリーンの裏面側にメタル蒸着を施すことにより、前記鏡面を形成することを特徴としている。したがって、タッチスクリーンを使用することによって、上述した接触検出部の機能を容易に実現させることができる。また、タッチスクリーンの裏面側にメタル蒸着を施すことによって、鏡面としての機能を容易に実現させることができる。また、ガラスの裏面にメタル蒸着を施した鏡の前面側にタッチスクリーンを固定する構成と比較して部品点数を減らすことができ、製造コストを低減させることができる。
【0024】
(11)前記タッチスクリーンは、半透明又は不透明の樹脂で成形されることを特徴としている。したがって、ハーフミラーとして使用する場合には、そのまま使用することができ、鏡面として使用する場合には、タッチスクリーンにメタル蒸着を施せばよいので、鏡面としての機能を容易に実現させることができる。
【0025】
(12)前記タッチスクリーンは、前記メタル蒸着が施された面に黒色の塗装が施されていることを特徴としている。したがって、メタル蒸着のみでは、内部の基板や配線等が透けて見えることから、見栄えを悪くするものであるが、メタル蒸着が施された面に黒色の塗装を施すことによって、内部の基板や配線等を見えなくすことができ、鏡面としての機能を容易に実現させることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る車載用電子機器は、車内スペースを有効に活用することができ、新たに、車載用電子機器の情報提示部のスペースを確保する必要が無いことから、現状のルームミラーの大きさを維持することができる。また、ルームミラーの鏡面側から車載用電子機器を操作できることから、操作性に優れている。さらに、取付部を既存のルームミラーに固定することによって、車載用電子機器の設置作業を容易に行うことができる。
【0027】
また、本発明に係る車載用電子機器は、接触検出部をタッチスクリーンによって構成し、当該タッチスクリーンの裏面にメタル蒸着を施し、メタル蒸着された面に黒色の塗装を施すことによって、接触検出部としての機能と、鏡面としての機能とを容易に実現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る車載用電子機器の基本構成の実施形態を示す図である。
【図2】本発明に係る車載用電子機器の基本構成の実施形態を示す一部拡大図である。
【図3】本発明に係る車載用電子機器の第1実施形態を示す分解斜視図である。
【図4】(a)は、第1実施形態の車載用電子機器の正面図であり、(b)は、その分解底面図である。
【図5】本発明に係る車載用電子機器の表示画面の例を示す図である。
【図6】本発明に係る車載用電子機器の表示画面の例を示す図である。
【図7】本発明に係る車載用電子機器の表示画面の例を示す図である。
【図8】本発明に係る車載用電子機器の第2実施形態を示す図である。
【図9】本発明に係る車載用電子機器の第3実施形態を示す図である。
【図10】本発明に係る車載用電子機器の第4実施形態を示す図である。
【図11】本発明に係る車載用電子機器の第5実施形態を示す図である。
【図12】本発明に係る車載用電子機器の第6実施形態を示す図である。
【図13】本発明に係る車載用電子機器の第7実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本発明の好適な基本実施形態を示している。この図1に基づき、車載用電子機器10の基本構成を説明すると、薄型で細長な前面開放したリアケース11内の右側に、制御部を構成する表示制御基板12を配置し、中央に、制御部及び電子機器本体制御部を構成する本体制御基板15を配置する。また、表示制御基板12に積層して情報提示部を構成する表示パネル13を配置する。また、表示制御基板12,本体制御基板15及び表示パネル13を覆うようにルームミラーの鏡面部を構成する鏡14を配置し、さらに、この鏡14を覆うように接触検出部を構成するタッチスクリーン16を配置する。尚、タッチスクリーン16は、光透過性を有するものを使用する。
【0030】
本発明に係る車載用電子機器10は、上述の基本実施形態の構成を有することによって、ダッシュボード上に車載用電子機器を個別に配置する場合と比較して視認性、操作性がよい。また車載用電子機器をダッシュボード上に配置する場合に比べ、運転時の視界の妨げになりにくく、かつ、ダッシュボード上に車載用電子機器を設置することによる車内のデザインの統一感や美観を損ねることを抑えることができる。また、ルームミラーの鏡面内の領域が情報提示部を構成する表示パネル13の設置領域を兼ねていることから、新たに、車載用電子機器の表示パネルのスペースを確保する必要が無く、ルームミラーの大きさを小さくする必要が無い。また、接触検出部を構成するタッチスクリーン16によってルームミラーの鏡面側から車載用電子機器10を操作できることから、操作性に優れており、別途リモートコントローラーを用意する必要が無い。
【0031】
図2は、図1の基本実施形態の一部を拡大した詳細図である。ここで、表示パネル13は、例えばLCD・有機EL等のディスプレイからなる発光体が使用される。また、この表示パネル13に所定の情報(文字・画像等)を表示するための制御を行うのが表示制御基板12である。尚、各部はすべて本体制御基板15に接続されていて、タッチスクリーン16への接触が検出された場合には、本体制御基板15が、表示パネル13に提示する情報を変更する制御を行い、表示制御基板12は、本体制御基板15からの表示データを表示パネルに表示させる制御を行っている。
【0032】
そして、表示パネル13と、表示制御基板12とをリアケース11内の所定位置に取り付けるため、表示パネルホルダ17を用いる。つまり、表示パネルホルダ17の表裏面にそれぞれ表示パネル13と表示制御基板12を取り付けて一体化するとともに、表示パネルホルダ17をねじ等にてリアケース11に固定することで、表示制御基板12,表示パネルホルダ17,表示パネル13をリアケース11内の所定位置に組み付けることができる。
【0033】
さらに、車載用電子機器10内には、この表示パネル13に表示する具体的な内容を決定するための電子機器本体制御部、つまり、マイクロ波を検出したり、GPS信号を受信して現在位置を特定し周囲に検出対象の目標物がないかを判断したりし、警報・報知の必要が生じた場合には、表示パネル13に対応する警報・報知を行う旨の制御信号を送る制御部や電源回路等を備えた本体制御基板15も内蔵される。図1の例では、この本体制御基板15は、リアケース11内の中央に配置されている。
【0034】
そして、リアケース11の前面をフロントケース20で閉塞する。ここで、表示制御基板12,表示パネル13,及び本体制御基板15は、リアケース11に積層するように組み付けることから、リアケース11に対してそれぞれ平行に配置する。また、鏡14は、フロントケース20の前面に固定し、タッチスクリーン16は、鏡14の前面を覆うように、鏡14に固定する。これにより、車載用電子機器10が構成される。
【0035】
ここで、ガラス板の表面または裏面に銀・アルミ・クロムなどの金属膜を蒸着した鏡面が透過しない鏡14を使用する場合、表示パネル13と対向する部位は、蒸着膜が付かない窓部分となる。
【0036】
一方、鏡面内の一部の領域をハーフミラー加工し、このハーフミラー加工した領域の鏡14の裏側に表示パネル13を配置する構成としてもよく、この場合には、鏡14の裏面に表示パネル13の表示領域以外の内部が見えない様に黒印刷等が施され表示パネル13の表示領域に対向する部位のみに印刷のない窓部分が形成される。
【0037】
図3及び図4は、本発明の第1実施形態を示している。図3に示すように、薄型で細長な前面開放したリアケース11内の右側に、表示制御基板12,表示パネルホルダ17,表示パネル13を積層して配置する。また、リアケース11内の中央には、本体制御基板15を配置する。この本体制御基板15の背面側に、パッチアンテナを取り付けている。
【0038】
本体制御基板15は、パッチアンテナからの受信信号その他の情報に基づき、警報対象の検出対象物(速度測定装置等の目標物)の有無を判断し、報知装置(スピーカー18,表示パネル13)に対する指示を出力したり、各種の演算処理を実行したりするための制御部(MPU)その他の回路を実装する電子回路や、電源回路等が組み込まれたで基板である。もちろん、この本体制御基板15上には、パッチアンテナからの信号を処理するための高周波回路を有し、その高周波回路はシールドされるようになっている。この高周波回路は、本体制御基板15上に直接形成しても良いし、別基板で形成してモジュール化したものを本体制御基板15上に実装しても良い。
【0039】
さらに、リアケース11内の左側には、報知装置の一態様であるスピーカー18を配置する。さらに、リアケース11の端に、GPSモジュール19を配置する。このGPSモジュール19で検出した現在位置情報は、本体制御基板15の制御部に送られ、そこにおいて位置情報に基づく警報の要否を判断し、警報が必要な場合にはスピーカー18や表示パネル13を用いた警報を行う。なお、このように本体制御基板15の制御部で行う各種の検出・警報機能は、例えば、特開2007−285858号公報等に開示された技術を用いることができる。
【0040】
そして、上記の各構成部品の前方にフロントケース20を配置する。フロントケース20とリアケース11とは、ネジにて固定され、両ケース20,11内の空間の適宜位置に、上述した各部品が内蔵される。なお、表示制御基板12と本体制御基板15とを別基板に分けて構成したが、1枚でまとめて構成しても良いし、逆に3枚以上に分けて構成しても良い。
【0041】
さらに、本実施形態では、フロントケース20の前面に、鏡14を取り付けている。また、タッチスクリーン16は、鏡14の前面を覆うように、鏡14に固定する。そして、鏡14の一部は、透明な窓部14aとし、この窓部14aに対向するように表示パネル13を配置する。これにより、表示パネル13が外部から視認可能となる。この車載用電子機器10は、リアケース11の背面中央側の上下に配置した標準装備のルームミラーへの固定用クランプ部21(取付部)にて標準装備のルームミラーを上下から挟み込むことで固定することになる。また、タッチスクリーン16の一端から、配線16aが延びており、この配線16aは、本体制御基板15に連結される。
【0042】
尚、鏡14は曲面にて形成することができ、曲率半径は、1400mm(視野は2倍)或いは3000mm(視野は1.5倍)等とすることができる。もちろん、必要とする視野に合わせて上記の範囲(1400mm〜3000mm)内或いは範囲外としてもよい。
【0043】
図3,図4(a)に示すように、鏡14の右端側所定位置には、透明な窓部14aが形成されている。鏡14は、所定の曲率半径のガラス板の表面または裏面に銀・アルミ・クロムなどの金属膜を蒸着して形成され、表面の一部に金属膜を蒸着しない領域を設定し、係る領域が、窓部14aとなる。また、フロントケース20は、この窓部14aの形成位置に対向する位置に矩形状に開口した窓孔20aが形成される。そして、これら窓部14a,窓孔20aに対向する位置に、表示パネル13を設置することで、表示パネル13の表示領域が、窓部14aを介して外部から視認可能となる。
【0044】
表示パネル13の設置位置ともなる窓部14aの形成位置は、鏡14の短手方向の中心に配置している。鏡14は、上下方向にも所定の曲率半径で湾曲している。従って、窓部14a(表示パネル13)を鏡14の短手方向の中心に置くことで、その窓部14aは、短手方向に対称形状となる。
【0045】
よって、表示パネル13をリアケース11に対して傾けることなく配置した場合、長手方向同一位置における表示パネル13の上端近傍と窓部14aの上辺の枠との間にできる隙間と、表示パネル13の下端近傍と窓部14aの下辺の枠との間にできる隙間とは、均一にすることができる。よって、窓枠の影になり表示の一部が見えなくなることが上下で異なることもなく、ドライバーはもちろんのこと、他の乗車している人にも、表示パネル13に表示された情報は、表示欠けをすることなく正確に伝えることができる。
【0046】
また、タッチスクリーン16には、指紋の付着を防止する加工が施されており、表面に指紋が付着することを防止するコート材が塗布されている。尚、この構成に換えて、表面に指紋が付着することを防止するフィルムを貼り付ける構成としてもよい。
【0047】
次に、図5〜図7を用いて、図1で説明した本発明に係る車載用電子機器10の情報提示部を構成する表示パネル13の表示例を示す。本体制御基板15は、タッチスクリーン16によって接触が検出された場合に、表示パネル13に提示する情報を変更する表示データを表示制御基板12へ送る。
【0048】
まず、タッチスクリーン16上を指で触れると、該タッチスクリーン16は接触を検出し、本体制御基板15が、表示パネル13に提示する情報を変更する制御を行い、表示制御基板12は、本体制御基板15からの表示データによって、図5に示すようなメインメニューを表示させるように制御を行う。ここで、メインメニューに表示されている、レーダーメニュー,検索メニュー,設定等の8つの区画の位置に対応するタッチスクリーン16の位置の各々が操作ボタンとなっている。
【0049】
そして、例えばメインメニューの中の検索メニューに対応するタッチスクリーン16上の操作ボタンを指で触れると、該タッチスクリーン16は接触を検出し、本体制御基板15が、表示パネル13に提示する情報を変更する制御を行い、表示制御基板12は、本体制御基板15からの表示データによって、図6に示すような検索メニューの画面表示に変更する制御を行う。
【0050】
さらに、検索メニューの中の住所に対応するタッチスクリーン16上の操作ボタンを指で触れると、該タッチスクリーン16は接触を検出し、本体制御基板15が、表示パネル13に提示する情報を変更する制御を行い、表示制御基板12は、本体制御基板15からの表示データによって、図7に示すような住所検索の画面表示に変更する制御を行う。
【0051】
以上のように、接触検出部を構成するタッチスクリーン16が光透過性を有することから、接触検出部の領域と、鏡14の領域とを兼ねることができ、ルームミラーの制約されたスペースを有効に活用することができる。また、ルームミラーの鏡面側から車載用電子機器10を操作できることから、操作性に優れており、従来のように、別途リモートコントローラーを用意する必要が無い。
【0052】
次に、図8を用いて本発明の第2実施形態を説明する。本発明に係る車載用電子機器10aは、この図に示すように、情報提示部を、鏡14と、車内に設置されたプロジェクター22とで構成し、情報の提示を、鏡面表側に画像を投影することで行っている。尚、第2実施形態では、基本実施形態で説明した表示制御基板12と、本体制御基板15と、鏡14と、タッチスクリーン16とを備えており、表示パネル13は備えていない。この場合は、画像が投影された鏡面位置に対応するタッチスクリーン16の位置が操作ボタンとなり、この操作ボタンを操作することによって電子機器本体を制御し、プロジェクター22が鏡面表側に投影する画像を変更することができる。
【0053】
具体的には、本体制御基板15がプロジェクター22とタッチスクリーン16とに接続されており、本体制御基板15はプロジェクター22に対して図8の1〜6で示すような操作ボタンを画面中に描画した画像信号を出力し、タッチスクリーン16から図8の1〜6で示す操作ボタンのいずれかの位置に対応する位置のタッチが検出された場合には、そのタッチされたボタンに対応する機能の画面を描画した画像信号をプロジェクター22に対して出力する。なお、プロジェクター22の投影位置とタッチスクリーン16上の位置との対応関係は予めキャリブレーションを行って設定するとよい。
【0054】
例えば、本体制御基板15は、図8の1のボタンのみの画面を描画した画像信号をプロジェクター22に出力し、ユーザーに1のボタンのタッチを促す音声を本体制御基板15に接続されたスピーカーから出力する。タッチスクリーン16へのタッチが検出された場合、そのタッチされた位置を1のボタンの位置として記憶する。そして、この記憶した位置に対応する位置のタッチが検出された場合には、1のボタンの位置のタッチが検出されたと判定する。2〜6のボタンも同様のキャリブレーションを行えばよい。
【0055】
次に、図9を用いて本発明の第3実施形態を説明する。本発明に係る車載用電子機器10bは、この図に示すように、情報提示部を、鏡14と、車内に設置され、各種の図形、文字等を表示する表示器23とで構成し、情報の提示を、鏡面表側に表示器23に表示された図形を映すことで行っている。尚、第3実施形態では、基本実施形態で説明した表示制御基板12と、本体制御基板15と、鏡14と、タッチスクリーン16とを備えており、表示パネル13は備えていない。この場合は、図形が映された鏡面位置に対応するタッチスクリーン16の位置が操作ボタンとなり、この操作ボタンを操作することによって電子機器本体を制御し、表示器23の表示を変更することができる。
【0056】
具体的には、本体制御基板15が表示器23とタッチスクリーン16とに接続されており、本体制御基板15は表示器23に対して図9の反転した1〜6で示すような操作ボタンを画面中に描画した画像信号を出力し、タッチスクリーン16から図9の1〜6で示す操作ボタンのいずれかの位置に対応する位置のタッチが検出された場合には、そのタッチされたボタンに対応する機能の画面を描画した画像信号を表示器23に対して出力する。なお、表示器23の設置位置とタッチスクリーン16上の位置との対応関係は予めキャリブレーションを行って設定するとよい。
【0057】
例えば、本体制御基板15は、図9の反転した1のボタンのみの画面を描画した画像信号を表示器23に出力し、ユーザーに1のボタンのタッチを促す音声を本体制御基板15に接続されたスピーカーから出力する。タッチスクリーン16へのタッチが検出された場合、そのタッチされた位置を1のボタンの位置として記憶する。そして、この記憶した位置に対応する位置のタッチが検出された場合には、1のボタンの位置のタッチが検出されたと判定する。2〜6のボタンも同様のキャリブレーションを行えばよい。
【0058】
次に、図10を用いて本発明の第4実施形態を説明する。図10(a)は、タッチスクリーン16に指が接触した状態を示す図であり、図10(b)は、表示パネル13に操作ボタンが表示された状態を示す図である。尚、第4実施形態では、基本実施形態で説明した表示制御基板12と、本体制御基板15と、鏡14と、タッチスクリーン16と、表示パネル13とを備えている。本発明に係る車載用電子機器10cは、この図に示すように、鏡14を覆うように配置された接触検出部を構成するタッチスクリーン16は、指が接触した位置を検出し、図1で説明した本体制御基板15と、表示制御基板12とは、情報提示部を構成する表示パネル13の接触した位置に対応する位置に、情報として操作ボタンを提示する制御を行う。
【0059】
具体的には、タッチスクリーン16と、表示制御基板12とは本体制御基板15に接続されていて、タッチスクリーン16への接触が検出された場合には、本体制御基板15が、表示パネル13に提示する情報を変更する制御を行い、表示制御基板12は、本体制御基板15からの表示データを表示パネル13に表示させる制御を行い、表示パネル13の接触した位置に対応する位置に、情報としての操作ボタンが表示される。なお、表示パネル13の表示位置とタッチスクリーン16上の位置との対応関係は予めキャリブレーションを行って設定するとよい。
【0060】
次に、図11を用いて本発明の第5実施形態を説明する。図11(a)は、タッチスクリーン16に指が接触した状態を示す図であり、図11(b)は、表示パネル13の画面が変更された状態を示す図である。尚、第5実施形態では、基本実施形態で説明した表示制御基板12と、本体制御基板15と、鏡14と、タッチスクリーン16と、表示パネル13とを備えている。本発明に係る車載用電子機器10dは、この図に示すように、接触検出部を構成するタッチスクリーン16上に指を接触させ、その状態で上下左右にずらすことによって、図1で説明した制御部を構成する表示制御基板12は、情報提示部を構成する表示パネル13に表示された画面表示の所定領域をスクロール表示させる制御を行う。
【0061】
具体的には、タッチスクリーン16と、表示制御基板12とは本体制御基板15に接続されていて、タッチスクリーン16への接触が検出された場合には、本体制御基板15が、表示パネル13に提示する情報を、次画面に変更する制御を行い、表示制御基板12は、本体制御基板15からの表示データを表示パネル13に表示させる制御を行い、表示パネル13の接触した位置に対応する位置に、情報としての次画面が表示される。なお、表示パネル13のスクロール位置とタッチスクリーン16上の位置との対応関係は予めキャリブレーションを行って設定するとよい。
【0062】
次に、図12を用いて本発明の第6実施形態を説明する。本発明に係る車載用電子機器は、この図に示すように、接触検出部を構成するタッチスクリーン16の裏面側には、銀・アルミ・クロムなどの金属膜を蒸着(メタル蒸着)した蒸着部16bを形成している。この場合には、タッチスクリーン16は、鏡を兼ねることになる。尚、表示パネル13が設置される位置に対向する部位は、蒸着膜が付かない窓部分16dとしている。
【0063】
次に、図13を用いて本発明の第7実施形態を説明する。本発明に係る車載用電子機器は、この図に示すように、接触検出部を構成するタッチスクリーン16の裏面側には、銀・アルミ・クロムなどの金属膜を蒸着(メタル蒸着)した蒸着部16bを形成し、さらに、蒸着部16bが形成された面に黒色の塗装が施された塗装部16cが形成されている。この構成とすることによって、タッチスクリーン16は、鏡面が光を透過しない鏡を兼ねることになる。尚、表示パネル13が設置される位置に対向する部位は、蒸着膜及び黒色の塗装が付かない窓部分16dとしている。
【0064】
尚、上記第7実施形態とは別の形態として、接触検出部を構成するタッチスクリーン16を半透明又は不透明の樹脂で成形されたものを使用する構成がある。この構成の場合には、黒色の塗装が施された塗装部16cを形成する必要がない。そして、不透明の樹脂で成形されたタッチスクリーン16を使用する場合には、タッチスクリーン16の前面側に蒸着部16bを形成することによって、鏡面が光を透過しない鏡を兼ねることとなる。尚、この場合には、タッチスクリーン16は、表示パネル13が設置される位置に対向する部位にはかからないようにする。
【0065】
また、半透明の樹脂で成形されたタッチスクリーン16を使用する場合には、タッチスクリーン16の裏面側に蒸着部16bを形成することによって、鏡面が光を透過するハーフミラーを兼ねることとなり、表示パネル13の発光体からの光がタッチスクリーンの表面側から見ることができるので、タッチスクリーン16は、表示パネル13が設置される位置に対向する部位に特別の構成を設ける必要がない。
【0066】
尚、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で様々な実施形態をとることができ、これも本発明に含まれることは言うまでもない。例えば、前述した第1実施形態では、リアケース11の後面外側に固定用クランプ部21を設け、その固定用クランプ部21を用いてルームミラー装置を標準装備のルームミラーに取り付ける構成の後付けタイプとした。しかし、本発明に係る車載用電子機器は、これに限ることはなく、標準装備のルームミラーに取り付けて固定する機構は各種のものをとることができ、また、標準装備のルームミラーに取り付けるのではなく、別途車室内の任意の位置に後付けで取り付けるものでも良いし、標準装備のルームミラーとして実現するものでも良い。
【符号の説明】
【0067】
10 車載用電子機器
11 リアケース
12 表示制御基板
13 表示パネル
14 鏡
15 本体制御基板
16 タッチスクリーン
17 表示パネルホルダ
18 スピーカー
19 GPSモジュール
20 フロントケース
21 固定用クランプ部(取付部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のルームミラーの機能を兼ね備えた車載用電子機器であって、前記ルームミラーの鏡面への接触を検出する接触検出部と、前記ルームミラーの鏡面内にルームミラーの鏡面側から視認可能なように情報の提示を行う情報提示部と、前記接触検出部への接触が検出された場合に前記情報提示部に提示する情報を変更する制御を行う制御部と、を備えることを特徴とする車載用電子機器。
【請求項2】
前記情報提示部は、前記情報の提示を、前記鏡面表側または裏側に画像を投影することで行うこと
を特徴とする請求項1に記載の車載用電子機器。
【請求項3】
前記情報提示部は、前記情報の提示を、前記鏡面表側に物体を映し出すことで行うこと
を特徴とする請求項1に記載の車載用電子機器。
【請求項4】
前記情報提示部は、前記タッチスクリーンの裏面側に設けたディスプレイであること
を特徴とする請求項1に記載の車載用電子機器。
【請求項5】
前記情報提示部は、前記ルームミラーの鏡面内の一部の領域をハーフミラー加工し、当該ハーフミラー加工した領域の裏側に配置した発光体を制御することにより前記情報の提示を行うこと
を特徴とする請求項1に記載の車載用電子機器。
【請求項6】
前記接触検出部は、前記接触の位置を検出し、
前記制御部は、前記接触検出部への接触が検出された場合に、当該接触の位置に対応する前記情報提示部の位置に前記情報として操作ボタンを提示する制御を行うこと
を特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の車載用電子機器。
【請求項7】
前記制御部は、前記情報の提示を画面表示によって行い、前記接触検出部への接触を検出した場合、当該画面表示の所定領域をスクロール表示させる制御を行うこと
を特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の車載用電子機器。
【請求項8】
前記接触検出部の表面に、指紋の付着を防止する加工をしたこと
を特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の車載用電子機器。
【請求項9】
車両の既存のルームミラーに固定するための取付部を備えていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の車載用電子機器。
【請求項10】
前記接触検出部は、タッチスクリーンによって構成し、当該タッチスクリーンの裏面側にメタル蒸着を施すことにより、前記鏡面を形成すること
を特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の車載用電子機器。
【請求項11】
前記タッチスクリーンは、半透明又は不透明の樹脂で成形されること
を特徴とする請求項10に記載の車載用電子機器。
【請求項12】
前記タッチスクリーンは、前記メタル蒸着が施された面に黒色の塗装が施されていること
を特徴とする請求項10に記載の車載用電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−66640(P2012−66640A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211384(P2010−211384)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(391001848)株式会社ユピテル (238)
【Fターム(参考)】