説明

車載用電子機器

【課題】ルームミラーの大きさを小さくすることなく、文字、数字、画像、動画等の情報を表示することができ、且つ操作性にも優れた車載用電子機器を提供する。
【解決手段】薄型で細長な前面開放したリアケース11内の右側に、制御部を構成する表示制御基板12を配置し、中央に、制御部及び電子機器本体制御部を構成する本体制御基板15を配置する。また、表示制御基板12に積層して情報提示部を構成する表示パネル13を配置する。また、表示制御基板12,本体制御基板15及び表示パネル13を覆うようにルームミラーの鏡面部を構成する鏡14を配置し、さらに、ルームミラーの鏡面の全部を覆う位置と、ルームミラーの鏡面から退避した位置とに移動可能な接触検出パネル16を配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置、マイクロ波検出器、ドライブレコーダーなどの電子機器と、ルームミラーの機能とを兼ね備えた車載用電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両における運転者の視界確保を補助する装置として、車両の運転席前方に取り付けられたルームミラーの横に、車両の後部に設置されたCCDカメラ等の映像が映し出されるモニターが取り付けられ、ルームミラーと一体化されたモニター付きルームミラーが知られている(特許文献1)。
【0003】
このモニター付きルームミラーは、運転者が、ルームミラーに映る車両後方の反射像と、モニター画面に映るモニター像の両方を視認することができるものであり、車庫入れや縦列駐車時に、車両後方の視界を良好にすることができるものであった。
【0004】
また、ルームミラー装置に表示装置を設け、各種の情報を表示すると、ドライバーは、その表示された情報を見るために比較的視線の移動が少なくて済むので、安全運転に有効である。また、表示する情報として、例えば、“車両速度測定装置への接近”とした場合、その速度測定装置の存在をドライバーに知らせることで、ドライバーが知らず知らずのうちに速度を出しすぎてしまうのを予防することに貢献している。特に、車両速度測定装置は、一般的に速度を超過しやすい場所等に設置されていることが多いため、危険性のある場所で、ドライバーに対して速度超過への注意を喚起することができる。このように、こうした車両用警報装置は、安全運転に寄与している。また、後方車載カメラの場合、ルームミラー装置のミラー部に映っている後方の視野と、ミラーの死角になる後方車載カメラで撮像した映像を同時に並べてみることができ、車両後方の状況をより正確に漏れなく見ることができ、安全運転に寄与できる。
【0005】
しかしながら、サンバイザーや、車両前方の視野確保の観点から、運転席前方に取り付けられるルームミラーの大きさには制約があり、モニター画面を設置するためには、ルームミラーの大きさを小さくして、スペースを確保する必要があった。
【0006】
一方、特許文献2記載の運行用画像表示システムに関する発明は、画像を表示しないときは鏡となる画像表示領域を、鏡面上の少なくとも一部に有するとともに、無線で受信した前記車両の運行用画像を前記画像表示領域に表示する画像制御手段を備える車両のルームミラーと、前記車両に取り付けられ、前記運行用画像を作成して、該運行用画像を前記画像制御手段に無線で送信する画像作成手段とを備えているものであり、特許文献1に記載の発明が有していた課題を解決するものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−312360号公報
【特許文献2】実用新案登録第3084469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2の発明では、画像表示領域に画像を表示するための押しボタン式のスイッチを、鏡面外側のルームミラー本体ケースに複数個設けており、このスイッチのオンオフの操作性を良好なものとする必要があった。
【0009】
また、オンオフの操作をリモートコントロール式にする場合には、別途リモートコントローラーを用意する必要があると共に、リモートコントローラーの操作性を良好なものにする必要があった。
【0010】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、ルームミラーの大きさを小さくすることなく、文字、数字、画像、動画等の情報を表示することができ、且つ操作性にも優れた車載用電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記従来の課題を解決する為に、本発明に係る車載用電子機器は、(1)車両のルームミラーの機能を兼ね備えた車載用電子機器であって、前記ルームミラーの鏡面内にルームミラーの鏡面側から視認可能なように情報の提示を行う情報提示部と、前記ルームミラーの鏡面の一部又は全部を覆う位置と、前記ルームミラーの鏡面から退避した位置とに移動可能な接触検出パネルと、該接触検出パネルへの接触が検出された場合に前記情報提示部に提示する情報を変更する制御を行う制御部とを備えることを特徴としている。例えば、接触検出パネルをルームミラーの鏡面の一部又は全部を覆う位置と、前記ルームミラーの鏡面から退避した位置とに移動可能な機構を有するとよい。このようにすれば、車両のルームミラーと車載用電子機器とを個別に設置する場合と比較して、車内スペースを有効に活用することができる。特にルームミラーは運転者が運転席に着席した状態で良好に視認でき、かつ、その角度等を調整するために運転者の手の届く位置に配置されている。したがってダッシュボード上に車載用電子機器を個別に配置する場合と比較して視認性、操作性がよい。また車載用電子機器をダッシュボード上に配置する場合に比べ、運転時の視界の妨げになりにくく、かつ、ダッシュボード上に車載用電子機器を設置することによる車内のデザインの統一感や美観を損ねることを抑えることができる。また、ルームミラーの鏡面内の領域が情報提示部を兼ねていることから、新たに、車載用電子機器の情報提示部のスペースを確保する必要が無く、ルームミラーの大きさを小さくする必要が無い。また、接触検出パネルによってルームミラーの鏡面側から車載用電子機器を操作できることから、操作性に優れており、別途リモートコントローラーを用意する必要が無い。
【0012】
また、車載用電子機器をルームミラーとして使用したい場合には、接触検出パネルをルームミラーの鏡面から退避した位置に移動するとよく、接触検出パネルが指紋等で汚れている場合でもルームミラーの後方視認性を良好なものとすることができる。また、情報は、例えば、発光体を制御して提示する構成とするとよく、例えば発光体としては、LEDやランプ、バックライト等を有する液晶ディスプレイや、ELディスプレイなどを用いるとよい。例えば、情報は、LED等の点灯状態や点灯色を制御して提示するようにしてもよいし、液晶パネルやELパネルなどドットマトリックスディスプレイに、文字、数字、画像、動画等を表示する制御をして提示するようにしてもよい。
【0013】
また、情報提示部に提示する情報を変更する制御は、例えば、現在表示されている情報とは異なる情報を表示する制御とするとよく、例えば情報を文字や画像で構成される画面として提示する場合であれば、表示する画面を変更する制御(例えば遷移させる制御)をするとよい。
【0014】
(2)前記接触検出パネルは、前記ルームミラーの鏡面の一部又は全部を覆う位置として前記情報提示部の一部または全部を覆う位置に移動可能であることを特徴としている。例えば、接触検出パネルをルームミラーの鏡面の一部又は全部を覆う位置として前記情報提示部の一部または全部を覆う位置に移動する機構を有するとよい。このようにすれば、情報提示部に操作ボタンの画像を表示させ、その操作ボタンの画像に対応する接触検出パネルの位置が車載用電子機器を操作する操作ボタンとなるようにすることができる。
【0015】
(3)前記接触検出パネルは、透過性を有するタッチパネルで構成されていることを特徴としている。したがって、タッチパネルの透過性によって、情報提示部の視認性が悪くなることはない。
【0016】
(4)前記タッチパネルの外周は、補強部材によって補強されていることを特徴としている。したがって、タッチパネルが、その位置の移動のための操作や直射日光等によって変形するのを防ぐことができる。
【0017】
(5)前記タッチパネルは、透過性を有する補強部材の上面に固定されていることを特徴としている。したがって、(4)と同様に、タッチパネルが、その位置の移動のための操作や直射日光等によって変形するのを防ぐことができると共に、補強部材が透過性を有するので、情報提示部や鏡の視認性が悪くなることはない。
【0018】
(6)前記情報提示部は、前記ルームミラーの鏡面内の一部の領域をハーフミラー加工し、当該ハーフミラー加工した領域に前記鏡面の裏側に配置した発光体を制御することにより前記情報の提示を行うことを特徴としている。例えば、ハーフミラー加工した領域は、鏡面としての機能を備えると共に、バックライト等を有する液晶ディスプレイや、LED等の発光体を制御することによって文字、数字、画像、動画等の情報の提示を行う情報提示部としての機能を兼ね備えることができる。
【0019】
(7)前記接触検出パネルは、前記ルームミラーの鏡面の一部又は全部を覆う位置に移動した場合に、前記制御部によって、前記情報提示部に提示する情報の変更を行うことを特徴としている。このように構成することによって、車載用電子機器の起動操作を省略することができる。一例として、接触検出パネルがルームミラーの鏡面の一部又は全部を覆う位置に移動したことを検出する検出部を設置し、制御部が検出部によって接触検出パネルがルームミラーの鏡面の一部又は全部を覆う位置に移動したことを検出した場合に、情報提示部に提示する情報の変更を行うようにすればよい。
【0020】
(8)前記接触検出パネルが、前記ルームミラーの鏡面の一部又は全部を覆う位置に移動した時に、該接触検出パネルを前記ルームミラーの鏡面側に付勢する付勢手段を備えることを特徴としている。このように構成することによって、接触検出パネルを確実にルームミラーの鏡面側に固定することができ、車両運転時の振動によってバタツキ音が生じることを防ぐことができる。
【0021】
(9)前記接触検出パネルが、前記ルームミラーの鏡面から退避した位置に移動した時に、該接触検出パネルを所定の方向に付勢する付勢手段を備えることを特徴としている。このように構成することによって、接触検出パネルを確実に所定の位置に固定することができ、車両運転時の振動によってバタツキ音が生じることを防ぐことができる。
【0022】
(10)前記接触検出パネルは、前記ルームミラーの鏡面から退避した位置に移動した場合に、該接触検出パネルを操作不能としたことを特徴としている。このように構成することによって、接触検出パネルを使用しない場合の、例えばミラー角度調整時等において、接触検出パネルに接触した場合でも誤動作することを防ぐことができる。
【0023】
(11)前記接触検出パネルの一端が、前記ルームミラーに回転自在とするヒンジ部を備えることを特徴としている。したがって、接触検出パネルの回転によって、ルームミラーの鏡面の一部又は全部を覆う位置と、ルームミラーの鏡面から退避した位置とに移動させることができる。
【0024】
(12)前記ヒンジ部の近傍に回転自在の操作部を備え、該操作部の回転に前記ヒンジ部の回転が連動して前記接触検出パネルの移動を行うことを特徴としている。したがって、操作部を回転させることによって、接触検出パネルに触れること無く、該接触検出パネルの移動を行うことができる。
【0025】
(13)車両の既存のルームミラーに固定するための取付部を備えていることを特徴としている。したがって、取付部を既存のルームミラーに固定することによって、当該車載用電子機器を使用することができ、設置作業を容易に行うことができる。特に、取付部は、接触検出パネルへのタッチでは、落下しないように固定する構成としている。例えば、接触検出パネルへのタッチ状態で加重の係る方向に、抜け止め部材を有する取付部を設置する構成にするとよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る車載用電子機器は、車内スペースを有効に活用することができ、新たに、車載用電子機器の情報提示部のスペースを確保する必要が無いことから、現状のルームミラーの大きさを維持することができる。また、ルームミラーの鏡面側から車載用電子機器を操作できることから、操作性に優れている。さらに、取付部を既存のルームミラーに固定することによって、車載用電子機器の設置作業を容易に行うことができる。
【0027】
また、本発明に係る車載用電子機器は、車載用電子機器をルームミラーとして使用したい場合には、接触検出パネルをルームミラーの鏡面から退避した位置に移動すればよく、接触検出パネルが指紋等で汚れている場合でもルームミラーの後方視認性を良好なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る車載用電子機器の第1実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】(a)は、第1実施形態の車載用電子機器の正面図であり、(b)は、その分解底面図である。
【図3】本発明に係る車載用電子機器の表示画面の例を示す図である。
【図4】本発明に係る車載用電子機器の表示画面の例を示す図である。
【図5】本発明に係る車載用電子機器の表示画面の例を示す図である。
【図6】本発明に係る車載用電子機器の第2実施形態を示す斜視図である。
【図7】本発明に係る車載用電子機器の第3実施形態を示す説明図である。
【図8】本発明に係る車載用電子機器の第3実施形態を示す説明図である。
【図9】本発明に係る車載用電子機器の第4実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1及び図2は、本発明の第1実施形態を示している。図1に示すように、本発明の車載用電子機器10は、薄型で細長な前面開放したリアケース11内の右側に、表示制御基板12,表示パネルホルダ17,表示パネル13を積層して配置する。尚、表示パネル13は、本発明における情報提示部を構成する。また、リアケース11内の中央には、本体制御基板15を配置する。この本体制御基板15の背面側に、パッチアンテナを取り付けている。尚、表示制御基板12と、本体制御基板15は、本発明における制御部を構成する。ここで、表示パネル13は、例えばLCD・有機EL等のディスプレイからなる発光体が使用される。また、この表示パネル13に所定の情報(文字・画像等)を表示するための制御を行うのが表示制御基板12である。尚、各部はすべて本体制御基板15に接続されていて、後述する接触検出パネル16への接触が検出された場合には、本体制御基板15が、表示パネル13に提示する情報を変更する制御を行い、表示制御基板12は、本体制御基板15からの表示データを表示パネルに表示させる制御を行っている。
【0030】
また、本体制御基板15は、パッチアンテナからの受信信号その他の情報に基づき、警報対象の検出対象物(速度測定装置等の目標物)の有無を判断し、報知装置(スピーカー18,表示パネル13)に対する指示を出力したり、各種の演算処理を実行したりするための制御部(MPU)その他の回路を実装する電子回路や、電源回路等が組み込まれたで基板である。もちろん、この本体制御基板15上には、パッチアンテナからの信号を処理するための高周波回路を有し、その高周波回路はシールドされるようになっている。この高周波回路は、本体制御基板15上に直接形成しても良いし、別基板で形成してモジュール化したものを本体制御基板15上に実装しても良い。
【0031】
さらに、リアケース11内の左側には、報知装置の一態様であるスピーカー18を配置する。さらに、リアケース11の端に、GPSモジュール19を配置する。このGPSモジュール19で検出した現在位置情報は、本体制御基板15の制御部に送られ、そこにおいて位置情報に基づく警報の要否を判断し、警報が必要な場合にはスピーカー18や表示パネル13を用いた警報を行う。なお、このように本体制御基板15の制御部で行う各種の検出・警報機能は、例えば、特開2007−285858号公報等に開示された技術を用いることができる。
【0032】
そして、上記の各構成部品の前方にフロントケース20を配置する。フロントケース20とリアケース11とは、ネジにて固定され、両ケース20,11内の空間の適宜位置に、上述した各部品が内蔵される。なお、表示制御基板12と本体制御基板15とを別基板に分けて構成したが、1枚でまとめて構成しても良いし、逆に3枚以上に分けて構成しても良い。
【0033】
さらに、本実施形態では、フロントケース20の前面に、鏡14を取り付けている。また、接触検出パネル16は、鏡14の前面の全部を覆う位置に配置する。そして、鏡14の一部は、透明な窓部14aとし、この窓部14aに対向するように表示パネル13を配置する。これにより、表示パネル13が外部から視認可能となる。この車載用電子機器10は、リアケース11の背面中央側の上下に配置した標準装備のルームミラーへの固定用クランプ部21(取付部)にて標準装備のルームミラーを上下から挟み込むことで固定することになる。また、接触検出パネル16の一端から、配線16aが延びており、この配線16aは、本体制御基板15に連結される。尚、本実施形態では、接触検出パネル16は、鏡14前面の全部を覆う位置に配置する構成としているが、鏡14全面の一部を覆う位置に配置する構成としてもよく、この構成も本発明に含まれるものである。
【0034】
また、接触検出パネル16は、透過性を有するタッチパネル16aと、補強部材22とで構成されており、タッチパネル16aの外周は、補強部材22によって補強されている。また、補強部材22には、ヒンジ部23,23が形成されており、ヒンジ部23,23には貫通孔24,24が形成されている。この貫通孔24,24に、軸ネジ25,25が挿入され、軸ネジ25の端部に形成されたネジ部25aが、リアケース11の両側面に形成されたネジ溝26,26に螺合することによって、接触検出パネル16の一端は、ルームミラー11,20に回転自在となっている。この構成により、接触検出パネル16は、ルームミラーの鏡14前面の全部を覆う位置と、ルームミラーの鏡14前面から退避した位置とに移動することができる。また、鏡14前面の全部を覆う位置として、情報提示部を構成する表示パネル13の一部または全部を覆う位置に移動することができる。
【0035】
また、前述したように、本実施形態では、接触検出パネル16への接触が検出された場合に、本体制御基板15が、表示パネル13に提示する情報を変更する制御を行い、表示制御基板12は、本体制御基板15からの表示データを表示パネルに表示させる制御を行っているが、接触検出パネル16が、ルームミラーの鏡14前面の全部を覆う位置に移動した場合に、本体制御基板15が、表示パネル13に提示する情報を変更する制御を行い、表示制御基板12は、本体制御基板15からの表示データを表示パネルに表示させる制御を行う構成としてもよい。このように構成することによって、車載用電子機器の操作を省略することができる。一例として、接触検出パネル16がルームミラーの鏡14前面の全部を覆う位置に移動したことを検出する検出部27を設置し、制御部12,15が検出部27によって接触検出パネル16がルームミラーの鏡14前面の全部を覆う位置に移動したことを検出した場合に、表示パネル13に提示する情報の変更を行うようにすればよい。ここで、検出部27は、例えば、光源と光センサとから構成し、ルームミラーの鏡14前面の全部を覆う位置に移動した場合に、検出部27に対向する鏡14によって光源の光の反射光が光センサで検出され、ルームミラーの鏡14前面の全部を覆う位置に移動したことを検出する構成とするとよい。
【0036】
接触検出パネル16は、図1、図2に示したように、鏡14の前面の全部を覆う構成としたが、例えば、窓部14aを含む鏡14の一部を覆う構成としてもよい。例えば、ヒンジ部は図1の右側のみに設け、補強部材22のうち図1の左側の辺の内側位置を図2に示す窓部14aの破線部の左端の線の位置に合わせたサイズとしてもよい。このようにすれば、表示パネル上に表示したボタン等の押下を接触検出パネル16で検出することができ、全体を覆う場合に比べコストを削減できる。また、接触検出パネル16が、ルームミラーの鏡14前面から退避した位置に移動した場合に、接触検出パネル16を操作不能とする構成としてもよい。一例として、本体制御基板15が、上述した検出部27によってルームミラーの鏡14前面から退避した位置に移動したことを検出した場合に、接触検出パネル16を操作不能とする制御を行うようにすればよい。また、検出部27が上述した光源と光センサから構成する場合、ルームミラーの鏡14前面から退避した位置に移動したことは、光源の光の反射光が光センサで検出されなくなったことによって検出するとよい。このように構成することによって、接触検出パネル16を使用しない場合の、例えばミラー角度調整時等において、接触検出パネル16に接触した場合でも誤動作することを防ぐことができる。
【0037】
尚、鏡14は曲面にて形成することができ、曲率半径は、1400mm(視野は2倍)或いは3000mm(視野は1.5倍)等とすることができる。もちろん、必要とする視野に合わせて上記の範囲(1400mm〜3000mm)内或いは範囲外としてもよい。
【0038】
図1に示すように、鏡14の右端側所定位置には、透明な窓部14aが形成されている。鏡14は、所定の曲率半径のガラス板の表面または裏面に銀・アルミ・クロムなどの金属膜を蒸着して形成され、表面の一部に金属膜を蒸着しない領域を設定し、係る領域が、窓部14aとなる。また、フロントケース20は、この窓部14aの形成位置に対向する位置に矩形状に開口した窓孔20aが形成される。そして、これら窓部14a,窓孔20aに対向する位置に、表示パネル13を設置することで、表示パネル13の表示領域が、窓部14aを介して外部から視認可能となる。
【0039】
一方、鏡面内の一部の領域をハーフミラー加工し、このハーフミラー加工した領域の鏡14の裏側に表示パネル13等の発光体を配置する構成としてもよく、この場合には、鏡14の裏面に表示パネル13の表示領域以外の内部が見えない様に黒印刷等が施され表示パネル13の表示領域に対向する部位のみに印刷のない窓部分が形成される。
【0040】
表示パネル13の設置位置ともなる窓部14aの形成位置は、鏡14の短手方向の中心に配置している。鏡14は、上下方向にも所定の曲率半径で湾曲している。従って、窓部14a(表示パネル13)を鏡14の短手方向の中心に置くことで、その窓部14aは、短手方向に対称形状となる。
【0041】
よって、表示パネル13をリアケース11に対して傾けることなく配置した場合、長手方向同一位置における表示パネル13の上端近傍と窓部14aの上辺の枠との間にできる隙間と、表示パネル13の下端近傍と窓部14aの下辺の枠との間にできる隙間とは、均一にすることができる。よって、窓枠の影になり表示の一部が見えなくなることが上下で異なることもなく、ドライバーはもちろんのこと、他の乗車している人にも、表示パネル13に表示された情報は、表示欠けをすることなく正確に伝えることができる。
【0042】
また、接触検出パネル16には、指紋の付着を防止する加工が施されており、表面に指紋が付着することを防止するコート材が塗布されている。尚、この構成に換えて、表面に指紋が付着することを防止するフィルムを貼り付ける構成としてもよい。
【0043】
次に、図3〜図5を用いて、図1で説明した本発明に係る車載用電子機器10の情報提示部を構成する表示パネル13の表示例を示す。本体制御基板15は、接触検出パネル16によって接触が検出された場合に、表示パネル13に提示する情報を変更する表示データを表示制御基板12へ送る。
【0044】
まず、接触検出パネル16上を指で触れると、該接触検出パネル16は接触を検出し、本体制御基板15が、表示パネル13に提示する情報を変更する制御を行い、表示制御基板12は、本体制御基板15からの表示データによって、図3に示すようなメインメニューを表示させるように制御を行う。ここで、メインメニューに表示されている、レーダーメニュー,検索メニュー,設定等の8つの区画の位置に対応する接触検出パネル16の位置の各々が操作ボタンとなっている。
【0045】
そして、例えばメインメニューの中の検索メニューに対応する接触検出パネル16上の操作ボタンを指で触れると、該接触検出パネル16は接触を検出し、本体制御基板15が、表示パネル13に提示する情報を変更する制御を行い、表示制御基板12は、本体制御基板15からの表示データによって、図4に示すような検索メニューの画面表示に変更する制御を行う。
【0046】
さらに、検索メニューの中の住所に対応する接触検出パネル16上の操作ボタンを指で触れると、該接触検出パネル16は接触を検出し、本体制御基板15が、表示パネル13に提示する情報を変更する制御を行い、表示制御基板12は、本体制御基板15からの表示データによって、図5に示すような住所検索の画面表示に変更する制御を行う。
【0047】
尚、接触検出パネル16は、透過性を有するタッチパネルで構成するとよい。何故ならば、タッチパネルの透過性によって、情報提示部を構成する表示パネル13の視認性が悪くなることはないからである。
【0048】
図6は、本発明の第2実施形態を示している。この図に示すように、接触検出パネル28を構成するタッチパネル29は、透過性を有する補強部材30の上面に固定されている。また、補強部材30は、貫通孔31aを有するヒンジ部31を備えており、この貫通孔31aに軸ネジ25が挿入され、軸ネジ25の端部に形成されたネジ部25aが、図1で示したリアケース11の両側面に形成されたネジ溝26に螺合することによって、タッチパネル29は、ルームミラーに回転自在としている。尚、その他の構成は、第1実施形態と同様であるので、図示及び説明は省略する。したがって、タッチパネル29が、その位置の移動のための操作や直射日光等によって変形するのを防ぐことができると共に、補強部材30が透過性を有するので、情報提示部や鏡の視認性が悪くなることはない。
【0049】
図7及び図8は、本発明の第3実施形態を示している。図7に示すように、第3実施形態では、接触検出パネル16が、ルームミラーの鏡面の一部又は全部を覆う位置に移動した時に、接触検出パネル16をルームミラーの鏡面側(矢印の方向)に付勢する付勢手段32を備えている。ここで、付勢手段32の一例として、反転ばねを挙げることができる。この付勢手段32は、一端を接触検出パネル16側に固定しており、他端をリアケース11側に固定している。尚、その他の構成は、第1実施形態と同様であるので、図示及び説明は省略する。このように構成することによって、接触検出パネル16を確実にルームミラーの鏡面側に固定することができ、車両運転時の振動によってバタツキ音が生じることを防ぐことができる。
【0050】
また、第3実施形態の付勢手段32は、図8に示すように、接触検出パネル16が、ルームミラーの鏡面から退避した位置に移動した時に、接触検出パネル16を所定の方向(矢印の方向)に付勢するものである。このように構成することによって、接触検出パネル16を確実に所定の位置に固定することができ、車両運転時の振動によってバタツキ音が生じることを防ぐことができる。尚、リアケース11側にストッパー33を設置することによって接触検出パネル16の回転を規制する構成としてもよい。
【0051】
図9は、本発明の第4実施形態を示している。図9に示すように、第4実施形態の接触検出パネル34では、第1実施形態と同様に、補強部材22に貫通孔24を有するヒンジ部23を備えている。また、ヒンジ部23の近傍に接触検出パネル16とは反対方向(右方向)へ補強部材22から突出して下垂する操作部35を備え、この操作部35の回転にヒンジ部23の回転が連動して接触検出パネル34の移動を行う構成としている。尚、その他の構成は、第1実施形態と同様であるので、図示及び説明は省略する。したがって、操作部35を回転させることによって、接触検出パネル34のタッチパネル34aに触れること無く、接触検出パネル34の移動を行うことができる。
【0052】
尚、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で様々な実施形態をとることができ、これも本発明に含まれることは言うまでもない。例えば、前述した第1実施形態では、リアケース11の後面外側に固定用クランプ部21を設け、その固定用クランプ部21を用いてルームミラー装置を標準装備のルームミラーに取り付ける構成の後付けタイプとした。しかし、本発明に係る車載用電子機器は、これに限ることはなく、標準装備のルームミラーに取り付けて固定する機構は各種のものをとることができ、また、標準装備のルームミラーに取り付けるのではなく、別途車室内の任意の位置に後付けで取り付けるものでも良いし、標準装備のルームミラーとして実現するものでも良い。また、検出部27はヒンジ部に設けたスイッチで、接触検出パネル34が図8の位置にあるか、鏡14前面の一部又は全部を覆う位置にあるかを検出する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0053】
10 車載用電子機器
11 リアケース
12 表示制御基板
13 表示パネル
14 鏡
15 本体制御基板
16 接触検出パネル
16a タッチパネル
17 表示パネルホルダ
18 スピーカー
19 GPSモジュール
20 フロントケース
21 固定用クランプ部(取付部)
22 補強部材
23 ヒンジ部
24 貫通孔
25 軸ネジ
25a ネジ部
26 ネジ溝
27 検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のルームミラーの機能を兼ね備えた車載用電子機器であって、前記ルームミラーの鏡面内にルームミラーの鏡面側から視認可能なように情報の提示を行う情報提示部と、前記ルームミラーの鏡面の一部又は全部を覆う位置と、前記ルームミラーの鏡面から退避した位置とに移動可能な接触検出パネルと、該接触検出パネルへの接触が検出された場合に前記情報提示部に提示する情報を変更する制御を行う制御部とを備えることを特徴とする車載用電子機器。
【請求項2】
前記接触検出パネルは、前記ルームミラーの鏡面の一部又は全部を覆う位置として前記情報提示部の一部または全部を覆う位置に移動可能であることを特徴とする請求項1に記載の車載用電子機器。
【請求項3】
前記接触検出パネルは、透過性を有するタッチパネルで構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車載用電子機器。
【請求項4】
前記タッチパネルの外周は、補強部材によって補強されていることを特徴とする請求項3に記載の車載用電子機器。
【請求項5】
前記タッチパネルは、透過性を有する補強部材の上面に固定されていることを特徴とする請求項3に記載の車載用電子機器。
【請求項6】
前記情報提示部は、前記ルームミラーの鏡面内の一部の領域をハーフミラー加工し、当該ハーフミラー加工した領域に前記鏡面の裏側に配置した発光体を制御することにより前記情報の提示を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の車載用電子機器。
【請求項7】
前記接触検出パネルは、前記ルームミラーの鏡面の一部又は全部を覆う位置に移動した場合に、前記制御部によって、前記情報提示部に提示する情報の変更を行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の車載用電子機器。
【請求項8】
前記接触検出パネルが、前記ルームミラーの鏡面の一部又は全部を覆う位置に移動した時に、該接触検出パネルを前記ルームミラーの鏡面側に付勢する付勢手段を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の車載用電子機器。
【請求項9】
前記接触検出パネルが、前記ルームミラーの鏡面から退避した位置に移動した時に、該接触検出パネルを所定の方向に付勢する付勢手段を備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の車載用電子機器。
【請求項10】
前記接触検出パネルは、前記ルームミラーの鏡面から退避した位置に移動した場合に、該接触検出パネルを操作不能としたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の車載用電子機器。
【請求項11】
前記接触検出パネルの一端が、前記ルームミラーに回転自在とするヒンジ部を備えることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の車載用電子機器。
【請求項12】
前記ヒンジ部の近傍に回転自在の操作部を備え、該操作部の回転に前記ヒンジ部の回転が連動して前記接触検出パネルの移動を行うことを特徴とする請求項11に記載の車載用電子機器。
【請求項13】
車両の既存のルームミラーに固定するための取付部を備えていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の車載用電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−66743(P2012−66743A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214483(P2010−214483)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(391001848)株式会社ユピテル (238)
【Fターム(参考)】