説明

車載用電子装置

【課題】 車両が交差点へ進入するタイミングに合わせて交差点画像を表示することができる「車載用電子装置」を提供する。
【解決手段】 ナビゲーションシステムは、地図データを記憶する記憶装置30と、撮像装置28により撮像された撮像データに基づき車両周辺の画像データを生成する画像データ生成手段66と、自車Mの位置を検出する位置検出手段10、12と、検出された自車位置および地図データに基づき自車Mが通過する交差点を判別する交差点判別手段68と、判別された交差点における所定の道路方向を算出し、算出された道路方向に基づき画像データから交差点画像を抽出する交差点画像抽出手段69と、交差点画像をディスプレイ52に表示させる表示制御部50とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用電子装置に関し、特に、ナビゲーションシステムにおける撮像装置によって撮像された画像データの表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーションシステムは、車両が目的地へ効率的に到達するのを支援するため、自車位置を検出し、自車位置周辺の地図データをディスプレイに描画するとともに、当該地図上に車両マークを重ねて表示する。自車位置が変化すると、それに応じて地図をスクロールさせ、道路地図に従って目的地へ案内誘導する機能を有している。
【0003】
最近のナビゲーションシステムには、外部のサーバーやネットワークと通信をするための通信機能、CDやDVDナビゲーションのオーディオ・ビデオデータを再生する再生機能、ドライバーの安全運転を支援するための機能などが搭載され、あるいは利用可能になっている。
【0004】
安全運転を支援する機能の一つに、車両に設置したカメラにより撮像された映像をディスプレイに表示させ、ドライバーに警告や警報を提示するものがある。例えば特許文献1および特許文献2は、交差点における交差道路の状況をカメラで撮像し、交差点の状況をディスプレイに表示させている。
【0005】
【特許文献1】特開2002−279596号公報
【特許文献2】特開2003−40036号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1および特許文献2にあっては、カメラの光軸をモータにより機械的に交差道路の方向へ移動させている。また、交差点における道路の方向を求めるため、交差道路が撮影できる位置まで車両を進入させてから、カメラで撮影したデータを処理し、道路方向を割り出している。しかし、カメラを機械的に駆動させて角度変更を行うと、その移動のために一定の時間を必要とする。さらに、道路方向を割り出す場合に、撮像データから白線、縁石といった道路要素を抽出して消失点を求めるため、必ず車両ないしカメラを交差道路内に進入させなければならない。このため、ディスプレイ上における交差点画像の表示には、タイムラグが生じ、瞬間的な判断を要する交差点通過の運行操作には不向きな面がある。また、カメラの光軸調整をモータ等の駆動力により行うので、カメラを駆動させるための駆動装置が必要となり構造が複雑化し、製造コストも高くなるという課題がある。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みて工夫されたもので、車両が交差点へ進入するタイミングに合わせて交差点画像を表示することができる車載用電子装置を提供することを目的とする。
さらに本発明は、従来と比較して、装置の複雑化を省き、低コストにて交差点画像を表示することができる車載用電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る車載用電子装置は、車両の複数箇所に設置されたカメラを用いて、カメラによって撮影された撮像データから自車周辺を映し出す画像データを生成する。自車周辺の画像は、好ましくは、自車の全周囲を取り囲むようなパノラマ画像である。自車が交差点を通過する場合に、地図データを参照し、ドライバーにとって注意を喚起すべき道路方向を事前に判別し、その判別された道路方向に基づきパノラマ画像から交差点画像を部分的に切り出し、これを瞬時にディスプレイに表示させるものである。
【0009】
本発明に係るナビゲーション機能を備えた車載用電子装置は、地図データを記憶する地図データ記憶手段と、撮像装置により撮像された撮像データに基づき車両周辺の画像データを生成する画像データ生成手段と、自車位置を検出する自車位置検出手段と、検出された自車位置および地図データに基づき自車が通過する交差点を判別する交差点判別手段と、交差点判別手段により判別された交差点における所定の道路方向を地図データに基づき算出し、算出された道路方向に基づき画像データから交差点画像を抽出する交差点画像抽出手段と、交差点画像をディスプレイに表示させる表示制御手段とを有するものである。
【0010】
本発明に係るナビゲーション機能を備えた車載用電子装置における交差点画像の表示方法は、撮像装置により撮影された撮像データに基づき車両周辺の画像データを生成する画像データ生成ステップと、自車位置および地図データに基づき自車が通過する交差点を判別する交差点判別ステップと、判別された交差点における所定の道路方向を地図データに基づき算出する道路方向算出ステップと、算出された道路方向に基づき画像データから交差点画像を抽出する交差点画像抽出ステップと、抽出された交差点画像をディスプレイに表示させる表示ステップとを有するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、交差点へ進入する以前に、地図データを用いて交差点における所定の道路方向を算出し、かつ、算出された道路方向に基づき画像データから交差点画像を切り出し、これをディスプレイに表示させるようにしたので、車両が交差点に進入するや否や遅滞することなく適切なタイミングで交差点画像を表示させることができる。その結果、ドライバーは、交差点画像を逸することなく、交差点画像を安全運転に役立てることができる。また、本発明では、撮像装置(カメラの光軸)を交差点の所定の道路方向へ移動させる機械的な構成を不要とするため、装置が簡略化され、製作コストを安価にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の車載用電子装置は、車載用ナビゲーションシステムにおいて実施され、その最良の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【実施例】
【0013】
図1は、本実施例に係る車載用ナビゲーションシステム1の構成を示すブロック図である。同図において、GPS受信機10は、人工衛星(GPS衛星)からの電波を受信し、車両M(図2参照)の現在位置と現在方位を測定する。自立航法用センサ12は、車両Mの移動速度を検出する車速センサや車両の回転角度を検出する。VICS・FM多重レシーバ16は、アンテナ14を介して車両外部の現在の道路交通情報を逐次受信する。ユーザ入力インターフェース20は、操作パネル22,音声入力部24およびリモコン操作部26を含み、これら入力をナビゲーション装置1に伝える。操作パネル22は、例えば、ディスプレイ52上に設けたタッチパネルを含み、また、操作パネル22の主スイッチをオン、オフすることでナビゲーションシステム1の作動または非作動を切り替えることができる。
【0014】
撮像装置28は、図2(a)に示すように、車両Mの前後左右の4箇所に、広角視野の複数のCCDカメラ28a、28b、28c、28dを設置している。CCDカメラ28a〜28dは、例えば約180度の広角視野A、B、C、Dにおいて車両Mの周囲を撮像し、撮像された撮像データは制御部80へ出力される。自車の全周囲をカバーする撮像データを取得するために、広角視野A、B、C、Dが相互に重複する視野を有することが望ましい。なお、矢印Fは、車両Mの進行(前進)方向を示している。
【0015】
CCDカメラ28a〜28dは、例えばナビゲーションシステム1が作動状態になると、それに応じて作動状態になり、車両周辺を撮像する。但し、ユーザによって任意に作動・非作動の選択を行わせるようにしてもよい。各CCDカメラ28a〜28dが作動状態になると、撮影された撮像データは、制御部80を介してデータメモリ70に一時記憶される。CCDカメラ28a〜28dの撮像データは、図2(b)に示されるように、画像データ生成プログラム66に従って制御部80によって演算処理され、パノラマ画像を構成する画像データ78a、78b、78c、78dに加工される。画像データ78a〜78dは、互いに合成され、パノラマ画像データ78としてデータメモリ70に記憶される。これにより、車両(自車)Mの周囲360度をカバーするパノラマ画像78が生成される。便宜上、自車の進行方向Fを基準に、そこから時計方向に360度の角度のパノラマ画像が生成されるものとする。
【0016】
記憶装置30は、好ましくは大容量のハードディスクドライブ(HDD)から構成される。ハードディスクは、ナビゲーションの各種機能を実行するためのプログラムおよびデータベースを記憶する。データベースは、地図データおよび施設データを含み、地図データは、実際の道路上の交差点を表わした点(以下、「ノード」という)および各ノード間を結ぶ道路を表した線(以下、「リンク」という)で成る道路に関する交差点データやリンクデータである。リンクデータは、交差点と交差点とを連結する道路(リンク)に関するデータであり、ノード間の座標、すなわち道路の始点と終点の座標を示すノードデータおよび道路の種別(優先道路、非優先道路、国道、一般道、県道など)を示す種別データを含んでいる。
【0017】
データ通信制御部32は、無線または優先によりデータ通信を可能とする。通信機能は、ナビゲーション装置に内蔵されていても良いし、例えば、携帯電話などの移動通信端末を外部接続するものであってもよい。ユーザは、データ通信制御部32を介して外部サーバーに接続することが可能である。
【0018】
音声出力部40は、スピーカ42を含み、例えば、経路誘導時に交差点案内などの音声を出力する。表示制御部50は、ディスプレイ52に接続され、記憶装置30またはデータメモリ70から読み出された地図データなどをディスプレイ52に表示する。また、地図上に車両Mの現在位置を示す車両マーク、目的地までのルート、交差点の案内表示あるいはランドマークを合成して表示させる。
【0019】
プログラムメモリ60は、ナビゲーション装置1において実行される各種プログラムを記憶し、制御部80はこれらのプログラムに従い動作する。プログラムメモリ60は、それ自身に予めプログラムを記憶してもよいし、記憶装置30からプログラムをロードしてもよい。また、プログラムメモリ60は、例えば、目的地までも経路を探索するプログラム62、探索された経路の案内を行うためのプログラム64、撮像データ76を合成してパノラマ画像を生成するための画像データ生成プログラム66、地図データ、自車位置データ、ノードデータなどから交差点を判別するための交差点判別プログラム68、交差点における所定の道路方向を算出し、算出された道路方向に対応する交差点画像データを抽出する交差点画像抽出プログラム69などを含む。
【0020】
データメモリ70は、制御部80によって処理された各種演算の処理結果や記憶装置30から読み出された地図データ72、目的地までの誘導道路データ74、撮像装置28からから取得された撮像データ76、画像データ生成プログラム68によって合成して得られた360度のパノラマ画像データ78、および交差点画像抽出プログラム69によって得られた交差点における所定の道路方向に対応して切り出した交差点画像データ79などを一時記憶する。データメモリ70は、DRAM、SRAM、フラッシュメモリなどを用いることができ、データメモリ70の内容は記憶装置30に転送するようにしてもよい。また、ナビゲーション装置1に装着可能な外部メモリをデータメモリ70と併用する態様としてもよい。
【0021】
次に、ナビゲーションシステムの動作について図3のフローチャートを参照して説明する。操作パネル22を介してナビゲーションシステム1が作動状態となると、その動作は、プログラムメモリ60に格納された各プログラムに従い制御部80が実行する。なお、以下の動作例は、現在位置から目的地までの経路探索を行なったときのものである。
【0022】
先ず、GPS受信機10および自立航法用センサ12から自車位置に関する自車位置データが取得され、また、撮像装置28から自車位置周辺の撮像データが取り込まれる(ステップS101)。制御部80は、撮像データに基づき図2(b)に示したようなパノラマ画像78を生成する。パノラマ画像78は、自車位置の移動に応じて定期的に更新され、データメモリ70の記憶される。
【0023】
また、インターフェース20を介して目的地の設定が行われると、制御部80は、現在の自車位置から目的地までの最適な経路を探索し(ステップS102)、探索された経路データをデータメモリ70に記憶させる。最適な経路とは、例えば、目的地までの時間が最短になるルートや、距離が最短になるルートである。
【0024】
次に、制御部80は、自車位置周辺の地図データを記憶装置30から読み出し(ステップS103)、これをディスプレイ52に表示させ、併せて探索されたルートを道路地図上に描画させ、ルート案内を開始する(ステップS104)。自車Mが走行中している間、制御部80は、自車位置の変化に応じて表示すべき地図データを逐次取得する。
【0025】
制御部80は、自車の進行先または誘導経路上に、交差点があるか否かを判別する(ステップS105)。このタイミングは、交差点に到達する一定距離前、または交差点に到達する予想時刻より一定時間前に行われる。例えば、交差点の手前50m地点を走行中に、交差点があると判別した場合には、制御部80は、当該交差点における所定の道路方向の算出を行う(ステップS106)。算出すべき道路方向は、好ましくはドライバーに注意喚起を与える道路方向である。例えば、ドライバーにとって死角となる道路、あるいは一旦停止を必要とする交差点であれば、その優先道路の方向などである。
【0026】
例えば、図4(a)に示すように、優先道路100と非優先道路110とが交差するT字路において、自車Mが非優先道路110を走行している場合には、自車Mは交差点において一時停止を強いられる。自車Mが右左折をする場合には、優先道路100の右側方向の視野が最も重要となる。つまり、自車Mが一番最初に衝突するおそれがあるからである。また、図4(b)に示すように、優先道路100に対して鋭角な角度で非優先道路110が進入する交差点の場合にも、ドライバーにとって優先道路100の右側の視野は見難く死角となり易いため、優先道路100の右側の道路方向の算出が重要となる。
【0027】
図4(a)、(b)の交差点における道路方向の算出を行なう場合、地図データに含まれるリンクおよびノードの座標等から、優先道路100と非優先道路110との成す交差角θ1、θ2を求める。求められた交差角θ1、θ2は、算出された道路方向としてデータメモリ70に記憶される。
【0028】
次に、制御部80は、自車Mが交差点に進入したか否かをチェックする(ステップS107)。進入したか否かの基準は、例えば、自車位置が交差点位置より一定距離だけ手前に到達したとき、あるいは、自車Mの速度が交差点手前で急激に減速もしくは停止したとき、とすることができる。
【0029】
自車Mが交差点に進入すると、制御部80は、画像データ生成プログラム66により生成されたパノラマ画像から、算出された道路方向θ1またはθ2に基づき交差点画像の抽出もしくは切り出しを行う(ステップS108)。例えば図4(a)の場合、自車Mの交差点のパノラマ画像120から、交差角θ1に基づき交差点画像130を切り出す。交差点画像130は、少なくとも、算出された道路方向(θ1またはθ2)を含むものでなければならない。図4(a)の場合、交差角θ1が90度であり、切り出される交差点画像130は、自車Mの進行方向Fを基準にそこから時計方向に45度〜135度(内角は90度)を切り出している。勿論、交差点画像130を切り出す角度は、これ以上であってもよいし、これより小さくても良いが、上記したように、θ1を含む範囲でなければならない。また、図4(b)の場合に、交差角θ2が30度であれば、自車Mの進行方向Fを基準に、そこから時計方向に計測して少なくとも150度の方向を含む範囲の交差点画像130が切り出される。
【0030】
切り出された交差点画像データは、ディスプレイの二次的な表示に合うようにひずみ補正され(ステップS109)、表示制御部50によって交差点画像がディスプレイ52のルート案内画面に割り込み処理により表示される(ステップS110)。表示制御部50により交差点画像がディスプレイ52に表示されるタイミングは、自車Mが交差点にさしかかる手前、例えば10m手前から、算出された道路方向をカバーする交差点画像が表示される。交差点画像は、好ましくは動画として映し出されるが、静止画の連続であってもよい。また、ディスプレイ52に道路地図と交差点案内との2画面が表示される場合には、一方の交差点案内画面に代えて交差点画像を表示させるようにしてもよい。そして、自車Mが交差点を通過すると、ディスプレイ52には、通常のルート案内表示に復帰した画面が表示される。
【0031】
このように本実施例によれば、地図データを参照して、次に進入すべき交差点の有無を判別し、交差点が有る場合には、ドライバーにとって注意すべき道路方向を事前に算出するようにしたので、自車の交差点への進入とほぼ同時に、交差点画像をディスプレイに表示させることができる。これにより、ドライバーもしくは搭乗者に注意を喚起し、安全運転の支援を行うことができる。
【0032】
さらに本実施例によれば、従来のようなカメラを機械的に移動させる駆動装置を不要化できるので、交差点画像を提示するための装置を簡略化でき、コストを低減させることが可能となる。また、カメラ移動のための時間を必要とせず、交差点に進入したときに瞬時に交差点画像を表示でき、搭乗者への画像提供のタイミングを逸することがない。
【0033】
例えば上記実施例では、目的地への誘導経路が設定されたルート案内モードにおいて、交差点画像を表示する例を示したが、ルート案内モード以外であっても交差点画像を表示させるようにしてもよい。この場合にも、自車位置および地図データから、自車が走行している道路が次に交差する交差点を判別し、当該交差点における所定の道路方向を算出することができる。
【0034】
さらに上記実施例では、T字路または三叉路のような交差点を例示したが、勿論、これ以外の十字路や五叉路のような交差点であってもよい。また、道路種別は。優先道路と非優先道路との交差点に限らず、信号機が設置された交差点であってもよいし、複数車線を有する道路の交差点であってもよい。信号機が黄色や赤の点滅であれば、図4のときと同様に交差点での注意喚起がより一層必要となる。また、自車が青信号を直進するのであれば、対向車線からの右折車両への注意喚起が必要となることがあるので、この場合には、自車の直進方向の道路の対向車線方向を算出し、この交差点画像を表示するようにしてもよい。
【0035】
交差点画像を表示すべき道路方向は、好ましくは、ドライバーにとっての死角になり易い道路や安全確保が難しい道路の方向であるが、これらの判別は、交差点の形状、自車の進行方向などの状況によって変化し得るのものであり、事前に判別することが困難な場合には、予めルールを設定しておき、そのルールに従い道路方向を判別するようにしてもよい。例えば、信号のない交差点であれば、進行方向にかかわらず、常に交差点の右側の視野の道路方向を算出するようにしたり、信号のある交差点であれば、自車の進行方向と一致する道路方向を算出するようにしてもよい。この設定は、ユーザによって適宜変更できるようにしてもよい。
【0036】
さらに上記実施例では、撮像装置28としてのCCDカメラ28a〜28dを4台設置したが、台数はこれに限定されるものではない。また、CCDカメラの設置位置は、台数や撮像視野に応じて適宜変更することができる。さらに上記実施例では、自車周辺の360度のパノラマ画像を生成するようにしたが、必ずしもこれに限らず、例えば、自車の前方および側方をカバーするようなパノラマ画像を生成するようにしてもよい。この場合には、より少ない数のCCDカメラで済ませることができる。
【0037】
さらに、上記実施例では、交差点画像の抽出等の処理をソフトウエアによって行うようにしたが、これに限らず、画像処理用の専用のハードウエハを用いてパノラマ画像の生成および交差点画像の抽出を実行するようにしてもよい。図5にその一例を示す。撮像装置28によって撮像された撮像データは、画像処理装置200へ供給される。画像処理装置200は、例えばDSP(ディジタル・シグナル・プロセッサ)等を含み、供給された撮像データのひずみ補正を行い、自車周辺のパノラマ画像を生成する。画像処理装置200は、制御部80から交差点画像の切り出し範囲を示す指示210を受け取ると、これに応じた交差点画像を表示制御部50へ供給する。表示制御部50は、交差点画像をフレームメモリに格納・合成し、ディスプレイ52に交差点画像を表示させる。画像処理装置200を用いることで高速な画像処理を実行することができ、一方で制御部80の負担を軽減することができるので、車両が交差点に進入するやいなやリアルタイムで交差点画像を表示させることができる。
【0038】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明に係るナビゲーション機能を備えた車載用電子装置およびその交差点画像の表示方法は、ナビゲーション機能を備えたコンピュータ装置等において利用することができる。また、ナビゲーション機能に加えて、オーディオ機能やビデオ機能等を含むものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施例に係るナビゲーションシステムの構成を示すシステムブロック図である。
【図2】本実施例の撮像装置により得られる撮像範囲を概念で示す説明図で、図2(a)は、4台のCCDカメラで撮影される範囲を上方から示した平面図、図2(b)は、パノラマ画像の概念を示す斜視図である。
【図3】本実施例のナビゲーションシステムにおける交差点画像の表示動作を説明するフローチャートである。
【図4】交差点における道路方向の算出およびそれに基づく画像データの切り取りを説明する図である。
【図5】撮像装置からの撮像データをハードウエアによって処理する例を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
1 ナビゲーション装置 10 GPS受信機
20 ユーザ入力インターフェース 28 撮像装置
30 記憶装置 32 通信制御部
52 ディスプレイ 60 プログラムメモリ
70 データメモリ A、B、C、D 広角視野
M 自車 θ1、θ2 交差角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビゲーション機能を備えた車載用電子装置であって、
地図データを記憶する地図データ記憶手段と、
撮像装置により撮像された撮像データに基づき車両周辺の画像データを生成する画像データ生成手段と、
自車位置を検出する自車位置検出手段と、
検出された自車位置および地図データに基づき自車が通過する交差点を判別する交差点判別手段と、
交差点判別手段により判別された交差点における所定の道路方向を地図データに基づき算出し、算出された道路方向に基づき前記画像データから交差点画像を抽出する交差点画像抽出手段と、
交差点画像をディスプレイに表示させる表示制御手段と、
を有する車載用電子装置。
【請求項2】
交差点画像抽出手段は、自車の進行方向に対して死角となる道路方向を算出する、請求項1に記載の車載用電子装置。
【請求項3】
交差点画像抽出手段は、自車が非優先道路を走行しているとき、当該非優先道路と交差する優先道路の方向を算出する、請求項1に記載の車載用電子装置。
【請求項4】
交差点画像抽出手段は、予め決められたルールに従い交差点における道路方向を算出する、請求項1に記載の車載用電子装置。
【請求項5】
交差点画像抽出手段は、少なくとも算出された道路方向を含む交差点画像を画像データから切り出す、請求項1に記載の車載用電子装置。
【請求項6】
ナビゲーション機能を備えた車載用電子装置における交差点画像の表示方法であって、
撮像装置により撮影された撮像データに基づき車両周辺の画像データを生成する画像データ生成ステップと、
自車位置および地図データに基づき自車が通過する交差点を判別する交差点判別ステップと、
判別された交差点における所定の道路方向を地図データに基づき算出する道路方向算出ステップと、
算出された道路方向に基づき画像データから交差点画像を抽出する交差点画像抽出ステップと、
抽出された交差点画像をディスプレイに表示させる表示ステップと、
を有する交差点画像の表示方法。
【請求項7】
道路方向算出ステップは、自車の進行方向に対して死角となる道路方向を算出する、請求項6に記載の交差点画像の表示方法。
【請求項8】
道路方向算出ステップは、自車が非優先道路を走行しているとき、当該非優先道路と交差する優先道路の方向を算出する、請求項6に記載の交差点画像の表示方法。
【請求項9】
表示ステップは、自車が交差点に侵入する一定距離前から、抽出された交差点画像を表示させる、請求項6に記載の交差点画像の表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−208256(P2006−208256A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−22447(P2005−22447)
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】