説明

車載用音声発生装置

【課題】運転者への警告に対する運転者のアクションに応じた報知音声を、歩行者に対して出力することが可能な車載用音声発生装置を提供する。
【解決手段】本発明の車載用音声発生装置は、音声発生器に対して音声の発生制御を行う音声制御部を備えている。また、車両の走行速度を示す車速情報を、測位航法装置等から取得する車速情報取得部を備えている。また、車速情報が示す車速が所定の閾値を下回る場合に、車両の進行方向へ歩行者等の移動体が進入可能であることを示す報知音声を、音声発生器より出力するよう音声制御部を制御する制御部を備えている。また、ブレーキ装置に対する操作を感知する、ブレーキ操作感知部を備えている。制御部は、車速情報が示す車速が所定の閾値を下回り、且つブレーキ装置に対する操作を所定時間を超えて継続的に感知した場合に、補助音声を出力するよう音声制御部を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されて音声の出力を行う車載用音声発生装置に関するものであり、特に歩行者に対して報知音声を出力する車載用音声発生装置に関する。
【0002】
近年、歩行者に対して道路の歩行を補助するための様々なシステムが開発されている。例えば交差点において、信号機の色が変わり横断可能な状態となった場合に、目の不自由な歩行者に対して横断可能であることを知らせる報知音声を出力する音声出力装置を設けたシステムが実用化されている。
【0003】
しかしながら上記のような音声出力装置は、比較的大きな交差点では設置されている可能性が高いものの、郊外の小さな交差点には設置されていない場合が多い。従ってこのような交差点では、歩行者にとって危険な状況が発生する可能性がある。このため、歩行者が車両の恐怖を感じることなく、安心して横断歩道を渡れることが望まれている。
【0004】
上記の問題に対して特許文献1には、標識しか設置されていない横断禁止場所において、歩行者の横断の有無を検出し、これに注意を促すことで歩行者の安全を図る移動人物監視装置が開示されている。
【0005】
この移動人物監視装置は、カメラ等の画像入力手段により、横断道路付近の路肩部分を含む所定範囲の監視領域内の画像を入力し、この入力画像から歩行者を抽出する。そして横断歩道以外の横断禁止場所を横断しようとする歩行者の検出を行う。これにより、標識しか設置されていない横断禁止場所において、歩行者の横断の有無を検出し、これに注意を促す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−275562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら特許文献1や従来技術においては、歩行者の存在を感知して歩行者または運転者に対して警告を行う技術は存在するが、運転者が歩行者の存在を認識しているか否かを判定し、この判定結果に応じた報知を歩行者に対して行う技術については、開示も示唆もなされていない。
【0008】
このため歩行者は、例え車両が停車していたとしても、不意に車両が発進する可能性を考慮せざるをえなかった。この結果、信号機の無い交差点等において、歩行者と運転者とが互いに待機状態に陥る場合があった。特に、歩行者から運転者が視認しづらいトラック等の大型車において、上記のような状況が発生する可能性が高い。
【0009】
上記の問題に対しては、例えば運転者が歩行者の存在を認識している旨を示す報知音声を、車載用装置に備えられた所定のボタンを押下することにより出力する方法も考えられる。しかしながらこの方法では、運転者が報知のたびにボタンを押下せねばならず、運転の妨げになるという問題があった。
【0010】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、歩行者を感知した場合に運転者に警告を行う車載用音声発生装置であって、特に警告に対する運転者のアクションに応じた報知音声を、歩行者に対して出力することが可能な車載用音声発生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために本発明の車載用音声発生装置は、音声発生器に対して音声の発生制御を行う音声制御部と、前記音声発生器が搭載された車両の走行速度を示す車速情報を取得する車速情報取得部とを備えた車載用音声発生装置において、前記車速情報が示す車速が予め定められた閾値を下回る場合に、前記車両の進行方向に位置する道路へ移動体が進入可能であることを報知する報知音声を、前記音声発生器より出力するよう前記音声制御部を制御する制御部を備えることを特徴とする。
【0012】
この構成によると、本発明の車載用音声発生装置は、音声発生器に対して音声の発生制御を行う音声制御部を備えている。また、車載用音声発生装置が搭載されている車両の走行速度を示す車速情報を、測位航法装置等から取得する車速情報取得部を備えている。また、車速情報が示す車速が所定の閾値を下回る場合に、車両の進行方向へ歩行者等の移動体が進入可能であることを示す報知音声(以下、「補助音声」という)を、音声発生器より出力するよう音声制御部を制御する制御部を備えている。
【0013】
また上記の目的を達成するために本発明の車載用音声発生装置は、ブレーキ装置に対する操作を感知するブレーキ操作感知部を備え、前記制御部は、前記車速情報が示す車速が予め定められた閾値を下回り、且つ前記ブレーキ操作感知部により前記ブレーキ装置に対する操作が予め定められた時間を超えて感知された場合に、前記報知音声を前記音声発生器より出力するよう前記音声制御部を制御することを特徴とする。
【0014】
この構成によると、車載用音声発生装置は、車載用音声発生装置が搭載されている車両のブレーキ装置に対する操作を感知する、ブレーキ操作感知部を備えている。制御部は、車速情報が示す車速が所定の閾値を下回り、且つブレーキ装置に対する操作を所定時間を超えて継続的に感知した場合に、補助音声を出力するよう音声制御部を制御する。
【0015】
また上記の目的を達成するために本発明の車載用音声発生装置は、前記車載用音声発生装置の搭載されている車両の進行方向に移動体が存在するか否かを示す移動体感知情報を取得する移動体感知部を備え、前記制御部は、前記進行方向に移動体が存在することが前記移動体感知情報に示されており、且つ前記車速情報が示す車速が予め定められた閾値を下回る場合に、前記報知音声を前記音声発生器より出力するよう前記音声制御部を制御することを特徴とする。
【0016】
この構成によると、車載用音声発生装置は、車載用音声発生装置が搭載されている車両の進行方向に歩行者等の移動体が存在するか否かを示す移動体感知情報を取得する、移動体感知部を備えている。制御部は、車両の進行方向に移動体が存在することが移動体感知情報に示されており、且つ車速情報が示す車速が所定の閾値を下回る場合に、補助音声を出力するよう音声制御部を制御する。
【0017】
また上記の目的を達成するために本発明の車載用音声発生装置が備える前記制御部は、前記進行方向に移動体が存在することが前記移動体感知情報に示されており、且つ前記車速情報が示す車速が予め定められた閾値を下回り、且つ前記ブレーキ操作感知部により前記ブレーキ装置に対する操作が予め定められた時間を超えて感知された場合に、前記報知音声を前記音声発生器より出力するよう前記音声制御部を制御することを特徴とする。
【0018】
この構成によると、制御部は、車両の進行方向に移動体が存在することが移動体感知情報に示されており、且つ車速情報が示す車速が所定の閾値を下回り、且つブレーキ装置に対する操作を所定時間を超えて継続的に感知した場合に、補助音声を出力するよう音声制御部を制御する。
【0019】
また上記の目的を達成するために本発明の車載用音声発生装置が備える前記制御部は、前記進行方向に移動体が存在することが前記移動体感知情報に示されており、且つ前記車速情報が示す車速が前記閾値を上回り、且つ前記ブレーキ装置に対する操作を前記ブレーキ操作感知部により感知した場合に、前記報知音声を前記音声発生器より出力するよう前記音声制御部を制御することを特徴とする。
【0020】
この構成によると、制御部は、車両の進行方向に歩行者等の移動体が存在することが移動体感知情報に示されており、且つ車速情報が示す車速が上述の閾値を上回り、且つブレーキ装置に対する操作をブレーキ操作感知部により感知した場合に、補助音声を出力するよう音声制御部を制御する。
【0021】
また上記の目的を達成するために本発明の車載用音声発生装置は、撮像装置より前記進行方向を撮像した撮像画像を取得して前記撮像画像の解析を行い、前記撮像画像において移動体が撮像されているか否かを判定し、移動体が撮像されている場合に前記移動体感知情報を前記制御部へ送信する撮像画像解析部を備えることを特徴とする。
【0022】
この構成によると、車載用音声発生装置は、撮像装置より進行方向を撮像した撮像画像を取得して撮像画像の解析を行う撮像画像解析部を備える。撮像画像解析部は、解析結果に基づいて、撮像画像に歩行者等の移動体が写っているか否かを判定する。そして写っている場合に、移動体が感知されたことを示す移動体感知情報を制御部へ送信する。
【0023】
また上記の目的を達成するために本発明の車載用音声発生装置は、前記車載用音声発生装置は、前記車載用音声発生装置に対して電子機器を接続する接続部を備え、前記音声制御部は、前記接続部により接続される音声発生器に対して音声の発生制御を行い、前記車速情報取得部は、前記接続部により接続される測位航法装置より前記車速情報を取得し、前記ブレーキ操作感知部は、前記接続部により接続されるブレーキセンサにより前記ブレーキ装置に対する操作を感知し、前記移動体感知部は、前記接続部により接続される移動体感知装置より前記移動体感知情報を取得し、前記撮像画像解析部は、前記接続部により接続される撮像装置より撮像画像を取得することを特徴とする。
【0024】
この構成によると、車載用音声発生装置は、車載用音声発生装置に電子機器を接続する接続部を備えている。音声制御部は、接続部により接続される音声発生器に対して、音声の発生制御を行う。車速情報取得部は、接続部により接続される測位航法装置より、車速情報を取得する。ブレーキ操作感知部は、接続部により接続されるブレーキセンサにより、ブレーキ装置に対する操作を感知する。移動体感知部は、接続部により接続される移動体感知装置より、移動体感知情報を取得する。撮像画像解析部は、接続部により接続される撮像装置より、撮像画像を取得する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、運転者に対して移動体の存在を示す警告がなされた場合に、車両が停車状態であり、且つ所定時間を超えてブレーキ動作が感知されたか否かを判定する。そしてこれらの条件が満たされている場合に、移動体へ報知音声を出力する。これにより、報知音声を出力する路側機が設けられていない道路や、信号機が設けられていない交差点等において、車両の進行方向、つまり車道に対して歩行者等の移動体が進入するのを補助することができる。特にトラック等の大型車のように、歩行者から運転者が視認しづらく、従って運転者が歩行者を認識しているか否かを歩行者が判断しづらい状況において、歩行者が車道へ進入するのを補助することができる。
【0026】
また本発明によれば、車両の進行方向に移動体が感知されることにより運転者に対する警告がなされた場合に、多少でも車速が検出されており、且つ警告に対するアクションとしてのブレーキ操作が感知されたか否かを判定する。そしてこれらの条件が満たされている場合に、移動体へ報知音声を出力する。これにより、移動体に対してより迅速に報知を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の車載用音声発生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】車両、歩行者、及び横断歩道の関係を示す模式図である。
【図3】本発明第一の実施形態に係る報知音声出力処理の処理フローを示すフロー図である。
【図4】本発明第二の実施形態に係る報知音声出力処理の処理フローを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、ここで示す実施形態は一例であり、本発明はここに示す実施形態に限定されるものではない。
[実施の形態1]
〈1−1.車載用装置の構成について〉
図1は、本発明の第一の実施形態に係る車載用装置10(=車載用音声発生装置)の内部構成、及び車載用装置10に接続される各種装置の構成を示すブロック図である。車載用装置10は車両1に搭載されている。車両1は道路を走行するための移動体である。
【0029】
また図2は、交差点における車両1と歩行者2(=移動体)との関係を示した模式図である。なお交差点には、横断歩道3が設けられている。
【0030】
本実施形態の車両1は少なくとも、車載用装置10に接続される装置として、図1に示す測位航法装置20、カメラ30(=撮像装置)、人体感知センサ40(=移動体感知装置)、ブレーキセンサ50、ブレーキ60(=ブレーキ装置)、及びスピーカ70(=音声発生器)を搭載している。
【0031】
測位航法装置20は、図示しない3Dジャイロ及び加速度センサを含んでいる。3Dジャイロは、車両1の水平角度を示す姿勢角情報を生成する。加速度センサは、車両1の走行速度及び走行方向を示す速度情報を生成する。測位航法装置20はこれらの各情報を含む車両情報を、車載用装置10へ送る。なお車両情報の中には、車両1の現在の走行速度を示す車速情報が含まれている。
【0032】
カメラ30は、CCD(Charge Coupled Device)等の画像撮像素子と、撮像レンズユニットとを備える。CCDは撮像レンズユニットにより結像された被写体の光像をR(赤)・G(緑)・B(青)の色成分の撮像画像に光電変換する。そしてこの撮像画像を、車載用装置10へ送る。
【0033】
人体感知センサ40は、車両1の周囲に存在する歩行者2を感知するためのものである。人体感知センサ40は例えば、歩行者2から発生する赤外線を感知する赤外線センサ含むように構成されている。
【0034】
或いは人体感知センサ40は、レーザ光やLED光等を発射してその反射光により歩行者2の近接を感知する光センサ、超音波を発振してその反射波により歩行者2の近接を感知する超音波センサ、大気の温度変化を測定することにより歩行者2を感知する大気センサ等を含む構成でもよい。人体感知センサ40は、これらのセンサで得られた感知結果を示す感知情報(=移動体感知情報)を、車載用装置10へ送る。
【0035】
ブレーキセンサ50は、例えば、圧電素子で構成され、ブレーキ60に含まれるブレーキペダルに対して運転者の足を載置する面(以下、「載置面」という)に設けられている。ブレーキセンサ50は、ブレーキペダルの踏圧に応じた電圧信号をブレーキ操作感知部15に出力する。なお圧電素子は、例えば両面テープにより載置面に接着されている。或いは、美観を考慮し、圧電素子をアルミ箔製の袋で包んだものを、両面テープにより載置面に接着してもよい。
【0036】
スピーカ70は、車両1の周辺に存在する歩行者2に対して、歩行を補助するための報知音声(=補助音声)を出力する音声出力装置である。本実施形態では特に、車両1の運転者が歩行者2の存在を認識している旨を示す報知音声を、歩行者2に対して出力するのに用いられる。またスピーカ70は、車両1の運転手に対する音声、例えば歩行者2の感知時における警告音等を出力するのに用いることも可能である。
【0037】
次に車載用装置10の内部構成について説明する。本実施形態の車載用装置10は少なくとも、制御部11、車両情報受信部12(=車速情報取得部)、撮像画像受信部13(=撮像画像解析部)、感知情報受信部14(=移動体感知部)、ブレーキ操作感知部15、音声制御部16、及び接続部17を備えている。なお上記の各部は、マイクロコンピュータまたは複数の電子回路等により実現される。
【0038】
制御部11は、車載用装置10の各部材の駆動を有機的に制御して、各種情報の取得処理や、音声出力処理等を統括制御するものである。制御部11は、制御部11が備える演算処理装置上で所定のプログラムを実行することにより、各種処理を実行する。なお制御部11が実施する処理の詳細については後述する。
【0039】
車両情報受信部12は、車両1の走行状態を示す車両情報を、測位航法装置20より受信する。車両情報には、車両1の車速、走行方向、傾斜角度等が含まれている。これにより制御部11は、車両1が停車しているか否かを判定する。なお車両情報受信部12は、これ以外の装置、例えば車両1に設けられた速度メータ等から車速情報を受信する形態でもよい。
【0040】
撮像画像受信部13は、カメラ30で撮像された撮像画像の受信を行う。そして必要に応じて、画像解析可能な画像フォーマット、例えばBMP(Bitmap)方式やJPEG(Joint Photographic Experts Group)方式の画像フォーマットに変換する。
【0041】
さらに撮像画像受信部13は、撮像画像の画像解析を行うことにより、車両1の周辺に存在する歩行者2が撮像画像に写っているか否かを判定する。歩行者2が写っている場合、歩行者2を感知したことを示す通知を制御部11へ与える。
【0042】
感知情報受信部14は、人体感知センサ40で生成された感知情報の受信を行う。そして感知情報に基づいて、歩行者2に関する各種情報、例えば歩行者2の人数、歩行者2の歩行状態、歩行者2の歩行速度等を算出する。この算出結果に基づいて制御部11は、車両1の近傍に歩行者2が存在するか否かを判定する。
【0043】
ブレーキ操作感知部15は、ブレーキセンサ50が出力する電圧信号をA/D変換する。そしてA/D変換により得られる情報、つまりブレーキペダルが踏まれているか否かを示す情報を、制御部11へ送る。
【0044】
音声制御部16は、スピーカ70より音声を出力するための出力制御を行う。具体的には例えば、デジタル音声信号の復号化を行い、アナログ音声信号を生成する。そしてこのアナログ音声信号をスピーカ70に与えることにより、スピーカ70を駆動して音声を出力する。なおこの際、音声制御部16は制御部11から受けた指示に基づいて出力音量の調整を行う。
【0045】
接続部17は、車載用装置10と外部の電子装置とを接続するための接続インタフェースである。接続部17は例えば、複数の接続端子や通信バス等を含む電子回路から構成されている。本実施形態では、測位航法装置20〜ブレーキセンサ50を車載用装置10へ接続するのに用いられる。
〈1−2.報知音声出力処理について〉
ここで、本発明の第一の実施形態に係る車載用装置10が実施する、歩行者2に対する報知音声出力処理の概要を、図3のフロー図を用いながら説明する。図3に示す処理フローは、車載用装置10が稼働状態であり、且つ車両1のエンジンが駆動状態であることが感知された時点で開始される。
【0046】
本処理の開始後、制御部11はステップS110において、車両1の進行方向に歩行者2を感知したか否かを判定する。歩行者2の感知方法としては例えば、人体感知センサ40より送られてくる感知情報を、感知情報受信部14により受信することにより歩行者2を感知する。或いは、カメラ30により送られてくる撮像画像を撮像画像受信部13が受信して画像解析を行い、この解析結果に基づき歩行者2を感知する。
【0047】
なお、車両1の進行方向を、どの程度の範囲までと規定するかは、運用の形態に応じて適宜変更可能である。例えば、車両1の前方90度の角度を、車両1の進行方向と規定する。ただしこの角度は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能であり、例えば前方120度や前方180度を車両1の進行方向とみなす形態でもよい。
【0048】
歩行者2を感知していない場合、後述するステップS170へ移行する。歩行者2を感知した場合、制御部11はステップS120において、歩行者2が車両1の進行方向に存在する旨を示す警告を、車両1の運転者に対して行う。具体的には例えば、車載用装置10が備える液晶パネル(不図示)に障害物注意警報マークを表示したり、スピーカ70から警告音を出力したりすることにより、警告を行う。
【0049】
次に制御部11はステップS130において、車両1が停車状態であるか否かを判定する。具体的な判定方法としては例えば、車両情報受信部12が測位航法装置20より受信した車速情報に基づき行う。そして車速情報が示す車速が0である場合、或いは所定の閾値を下回る場合に、停車状態であるとみなす。
【0050】
次に制御部11はステップS140において、車両1が停車状態であると判定された時点から、ブレーキ操作の感知時間の計測を開始する。これは例えば、ブレーキ操作感知部15がブレーキセンサ50より受信した電圧信号に基づき行う。
【0051】
次に制御部11はステップS150において、ブレーキ操作が感知され、且つ感知時間が所定時間を超過したか否かを判定する。
【0052】
ここで、感知時間が所定時間を超過した場合、制御部11はステップS160において、所定の報知音声を出力するよう、音声制御部16を制御した後、ステップS170へ移行する。なおこの報知音声の内容は例えば、車両1の運転者が歩行者2を認識しており、且つ歩行者2が車両1の前方道路へ進入可能であることを示す内容とする。
【0053】
所定時間を超過していない場合(ステップ150のN)、制御部11はステップS151において、ブレーキ操作の解除を感知したか否かを判定する。ブレーキ操作の解除を感知した場合(ブレーキセンサ50より電圧信号を受信できなくなった場合)、ステップS170へ移行する。ブレーキ解除の解除を感知していない場合は、運転者によりブレーキは踏み続けられているが感知時間が所定時間に達していない状態であるため、再びステップS150へ移行し、継続して感知時間の判定を行う。
【0054】
次に制御部11はステップS170において、車両1のエンジンが停止状態であるか否かを判定する。エンジンが停止状態ではない場合、つまり稼働状態である場合、再びステップS110へ移行する。エンジンが停止状態である場合、本処理を終了する。
【0055】
以上に説明した実施形態によれば、例えば歩行者2が車両1の進行方向に存在することが運転者へ警告された場合に、車両1が停車状態であり、且つ所定時間を超えてブレーキ操作を感知した場合に、報知音声を出力する。これにより、報知音声を出力する路側機が設けられていない道路や、信号機が設けられていない交差点等において、歩行者2が歩道等から車道へ進入するのを補助することができる。
[実施の形態2]
〈2−1.車載用装置の構成について〉
実施の形態1と同内容であるため、ここでは説明を省略する。
〈2−2.報知音声出力処理について〉
ここで、本発明の第二の実施形態に係る車載用装置10が実施する、歩行者2に対する報知音声出力処理の概要を、図4のフロー図を用いながら説明する。なお、図3に示す処理フローと同一の処理については、同じ処理番号を付加することにより説明を省略するものとする。
【0056】
ステップS110及びステップS120の実施後、ステップS130において車両1が停車状態ではないと判定された場合、制御部11はステップS131において、ブレーキ操作が感知されたか否かを判定する。なお、ブレーキ操作の感知方法は、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0057】
ブレーキ操作が感知されていない場合、ステップS170へ移行する。ブレーキ操作が感知された場合、ステップS160に移行し、所定の報知音声を出力するよう、音声制御部16を制御する。なおこの報知音声の内容は例えば、車両1の運転者が歩行者2を認識していることを示す内容とする。
【0058】
以上に説明した実施形態によれば、例えば歩行者2が車両1の進行方向に感知され、且つ少しでも車速が検出されている場合において、運転者への警告に応じたアクションとしてブレーキ操作が行われた段階で、歩行者2に対する報知音声を出力する。これにより、歩行者2に対してより迅速に報知を行うことが可能である。
[その他の実施の形態]
以上、好ましい実施の形態及び実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は必ずしも上記実施の形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形して実施することができる。
【0059】
従って本発明は、以下の形態にも適用可能である。
【0060】
(A)上記実施形態では、人体感知センサ40による感知結果及びカメラ30で撮像された撮像画像の解析結果に基づいて歩行者2を感知しているが、これ以外の方法により歩行者を感知する形態でもよい。例えば、車車間通信装置または路車間通信装置を接続することにより、これらの装置により取得される交通情報に基づいて、歩行者2を感知する形態でもよい。
【0061】
(B)上記実施形態では、測位航法装置20、カメラ30、感知センサ40、及びブレーキセンサ50が車載用装置10に外部接続される構成を例に説明を行っているが、上記の装置の一部または全部が車載用装置10に含まれ、一体構造となっている装置構成でもよい。
【0062】
(C)上記実施形態では、本発明の報知音声出力処理に関わる各機能部(例えば車両情報受信部12)がマイクロコンピュータまたは電子回路により構成されているが、これらの各機能部が、制御部11が備える演算処理装置上で所定のプログラムを実行することにより実現される形態でもよい。
【0063】
(D)上記実施形態では、ブレーキ操作の感知結果に基づいて運転者が歩行者2を認識しているか否かを判定しているが、これ以外の方法を用いて判定を行う形態でもよい。例えば、ステップS120において運転者に対する警告として液晶パネルに注意警報マークが表示された場合に、これに対する運転者のアクションとして、注意警報マークを消去する操作(例えば、表示された注意警報マークの押下)を制御部11が検知した場合に、運転者が歩行者2を認識していると判定する形態でもよい。
【0064】
(E)上記実施形態では、車両1の進行方向において感知する移動体として歩行者2を例に説明を行っているが、これ以外の移動体、例えば自転車や車いす等の軽車両も、感知対象として感知することが可能である。また、感知対象を移動体に限定しない形態でもよい。例えば不法駐車等の障害物が車両1の進行方向にある場合に、これを感知して運転者に警告を行うとともに、この警告に対する運転者のアクションに応じて、車両1の周辺にいる可能性がある移動体に対して報知音声の出力を行う形態でもよい。
【0065】
(F)上記実施形態では、出力する報知音声の内容として、「車両1の運転者が歩行者2を認識していること」、及び「歩行者2が車両1の前方道路へ進入可能であること」を例に説明を行っているが、これ以外の内容の報知音声を出力する形態でもよい。また、車両1の周辺状況に応じて、報知音声の内容を切り換える形態でもよい。この場合、撮像画像の解析結果や、測位航法装置20または不図示のGPS(Global Positioning System)装置等より得られる地図情報に基づいて、車両1の周辺状況を検出する。そしてこの検出結果に応じて、報知音声の内容を変更する。例えば、マンション等の建造物の敷地内から車道へ進入しようとする歩行者2を感知した場合に、「車道へ出ようとしています、ゆっくりお進みください」という報知音声を出力する。
【符号の説明】
【0066】
1 車両
2 歩行者(移動体)
3 横断歩道
10 車載用装置(車載用音声発生装置)
11 制御部
12 車両情報受信部(車速情報取得部)
13 撮像画像受信部(撮像画像解析部)
14 感知情報受信部(移動体感知部)
15 ブレーキ操作感知部
16 音声制御部
17 接続部
20 測位航法装置
30 カメラ(撮像装置)
40 人体感知センサ(移動体感知装置)
50 ブレーキセンサ
60 ブレーキ(ブレーキ装置)
70 スピーカ(音声発生器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声発生器に対して音声の発生制御を行う音声制御部と、
前記音声発生器が搭載された車両の走行速度を示す車速情報を取得する車速情報取得部とを備えた車載用音声発生装置において、
前記車速情報が示す車速が予め定められた閾値を下回る場合に、前記車両の進行方向に位置する道路へ移動体が進入可能であることを報知する報知音声を、前記音声発生器より出力するよう前記音声制御部を制御する制御部を備えること
を特徴とする車載用音声発生装置。
【請求項2】
ブレーキ装置に対する操作を感知するブレーキ操作感知部を備え、
前記制御部は、前記車速情報が示す車速が予め定められた閾値を下回り、且つ前記ブレーキ操作感知部により前記ブレーキ装置に対する操作が予め定められた時間を超えて感知された場合に、前記報知音声を前記音声発生器より出力するよう前記音声制御部を制御すること
を特徴とする請求項1に記載の車載用音声発生装置。
【請求項3】
前記車載用音声発生装置の搭載されている車両の進行方向に移動体が存在するか否かを示す移動体感知情報を取得する移動体感知部を備え、
前記制御部は、前記進行方向に移動体が存在することが前記移動体感知情報に示されており、且つ前記車速情報が示す車速が予め定められた閾値を下回る場合に、前記報知音声を前記音声発生器より出力するよう前記音声制御部を制御すること
を特徴とする請求項2に記載の車載用音声発生装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記進行方向に移動体が存在することが前記移動体感知情報に示されており、且つ前記車速情報が示す車速が予め定められた閾値を下回り、且つ前記ブレーキ操作感知部により前記ブレーキ装置に対する操作が予め定められた時間を超えて感知された場合に、前記報知音声を前記音声発生器より出力するよう前記音声制御部を制御すること
を特徴とする請求項3に記載の車載用音声発生装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記進行方向に移動体が存在することが前記移動体感知情報に示されており、且つ前記車速情報が示す車速が前記閾値を上回り、且つ前記ブレーキ装置に対する操作を前記ブレーキ操作感知部により感知した場合に、前記報知音声を前記音声発生器より出力するよう前記音声制御部を制御すること
を特徴とする請求項3に記載の車載用音声発生装置。
【請求項6】
撮像装置より前記進行方向を撮像した撮像画像を取得して前記撮像画像の解析を行い、前記撮像画像において移動体が撮像されているか否かを判定し、移動体が撮像されている場合に前記移動体感知情報を前記制御部へ送信する撮像画像解析部を備えること
を特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の車載用音声発生装置。
【請求項7】
前記車載用音声発生装置は、前記車載用音声発生装置に対して電子機器を接続する接続部を備え、
前記音声制御部は、前記接続部により接続される音声発生器に対して音声の発生制御を行い、
前記車速情報取得部は、前記接続部により接続される測位航法装置より前記車速情報を取得し、
前記ブレーキ操作感知部は、前記接続部により接続されるブレーキセンサにより前記ブレーキ装置に対する操作を感知し、
前記移動体感知部は、前記接続部により接続される移動体感知装置より前記移動体感知情報を取得し、
前記撮像画像解析部は、前記接続部により接続される撮像装置より撮像画像を取得すること
を特徴とする請求項6に記載の車載用音声発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−8815(P2012−8815A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144358(P2010−144358)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】