説明

車載用音声通信装置

【課題】 無線通信方式によりハンズフリー通話を実現することが可能で、多様な使用形態に対応することが可能な車載用音声通信装置を提供する。
【解決手段】 自動車のシガーライターソケットへ挿入されるシガーライタープラグ部2と、無線方式により外部機器との間で信号の授受を行う通信モジュール(Bluetoothモジュール10)とを内蔵する本体部1を備える車載用音声通信装置である。本体部1は、複数のマイクロフォン(第1のマイクロフォン5及び第2のマイクロフォン7)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車内において、いわゆるハンズフリー通話等を実現するための車載用音声通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、携帯電話機の使い勝手をさらに改善するという目的で、いわゆるハンズフリータイプの携帯電話機の実現が望まれている。特に、自動車内においては、携帯電話の使用が大きく制限されており、安全性等を考えてもハンズフリー通話が必要である。
【0003】
このような状況から、自動車内で携帯電話を使用するためのハンズフリーキットが市販されているが、いずれもマイクロフォンやスピーカを携帯電話と接続コードにより接続しなければならず、接続が面倒であるとともに、車内においては接続コードが邪魔になるという欠点を有している。
【0004】
そこで、本願出願人は、自動車内で携帯電話の無線ハンズフリー使用を可能にする自動車用Bluetooth音声通信装置を提案している(特許文献1を参照)。この自動車用Bluetooth音声通信装置は、シガーライタープラグ部を備えた筐体に、Bluetoothモジュールとスピーカ、マイクロフォンを内蔵しており、前記シガーライタープラグ部を自動車のシガーライターソケットに差し込めば、Bluetooth搭載携帯電話器との無線ネットワークが確立されて、携帯電話器の受話音はスピーカから拡声され、送話音はマイクロフォンを通じて携帯電話器に伝送される。
【特許文献1】特開2004−72259号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この特許文献1記載の音声通信装置の場合、マイクロフォンが1つしか設置されておらず、しかも筐体に一体に取り付けられているために、その使用形態が限られ、例えば、前記マイクロフォンの指向性等の問題により、通話範囲は運転席程度が限界である。
【0006】
本発明は、このような従来のものの有する欠点を解消することを目的に提案されたものであり、無線通信方式によりハンズフリー通話を実現することが可能で、多様な使用形態に対応することが可能な車載用音声通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、本発明の車載用音声通信装置は、自動車のシガーライターソケットへ挿入されるシガーライタープラグ部と、無線方式により外部機器との間で信号の授受を行う通信モジュールとを内蔵する本体部を備え、前記本体部は、複数のマイクロフォンを有することを特徴とする。
【0008】
本発明の車載用音声通信装置は、前記のように複数のマイクロフォンを備えることから、多様な通話形態が実現される。例えば、1つのマイクロフォンを運転席用、もう一つのマイクロフォンを後部座席用とすれば、自動車内において、ハンズフリーでの三者通話が可能であり、後部座席の人も通話に参加可能である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、自動車内において無線方式によりハンズフリー通話が可能であるので
、接続コードを接続する煩わしさが解消され、また自動車内において接続コードが邪魔になることはない。また、複数のマイクロフォンを備えることから、多様な使用形態を実現することができ、例えば運転者のみならず後部座席の人も通話に参加することが可能な三者通話等も実現可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を適用した車載用音声通信装置について、図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明を適用した車載用音声通信装置の一例を示すものである。この車載用音声通信装置では、筐体状の本体部1に、自動車に備えられているシガーライターソケットに挿し込んで使用するためのシガーライタープラグ部2が形成されている。また、本体部1の前面には、スピーカ3が設けられており、ここから音声を車内に拡声するようになっている。
【0012】
さらに、前記本体部1内には、無線方式により外部機器(携帯電話器)との間で信号の授受を行う通信モジュールであるBluetoothモジュール(図示は省略する。)が内蔵されている。Bluetoothは2.4GHz周波数帯を使用してコンピュータや携帯電話器や家電機器、或いは車載電子機器など種々の機器を無線接続して双方向通信を行うための規格であり、通信制御を行うホストとこれに1つ乃至7つのスレーブを無線接続して、パケットベースのデータ通信とリアルタイムの音声通信を行えるように構成されている。2001年現在の仕様書Ver.1.1においては、下りデータ伝送速度が721kbps、上りは57.6kbps(最大)で、これとは別に64kbpsの音声チャネルが3チャネル設けられている。
【0013】
本実施形態の車載用音声通信装置において特徴的なのは、マイクロフォンを1つではなく2つ備えていることである。具体的には、本体部1の図中左側には、所定の長さを有するフレキシブルアーム4が設置されており、その先端に第1のマイクロフォン5が取り付けられている。この第1のマイクロフォン5は、例えば運転者用であり、前記フレキシブルアーム4の長さは、第1のマイクロフォン5に運転者の音声が効率的に入力されるに足る長さとされている。
【0014】
一方、前記本体部1の図中右側からは、接続用ケーブル6が引き出され、その先端に第2のマイクロフォン7が取り付けられている。この第2のマイクロフォン7は、例えば後部座席用であり、したがって前記接続用ケーブル6は、後部座席に届く長さとされている。本実施形態の場合、前記接続用ケーブル6は、巻き取り式とされており、不使用時には本体部1内に巻き取られる。また、前記第2のマイクロフォン7には、クリップ8が設けられており、例えば後部座席の任意の位置にこのクリップ8を用いて第2のマイクロフォン7を取り付けることが可能である。
【0015】
本体部1の上面には、前記第1のマイクロフォン5及び第2のマイクロフォン7を切り替える操作ボタン9が設けられており、これを操作することにより、装置全体のオン/オフや、マイクロフォンの切り替え、さらにはマイクロフォンの併用等を設定することが可能である。
【0016】
図2は、本実施形態の車載情報通信装置の構成を示すブロック図である。前記の通り、本体部1内には、Bluetoothモジュール10及びスピーカ3が内蔵されるとともに、第1のマイクロフォン5及び第2のマイクロフォン7が取り付けられている。ここで、Bluetoothモジュール10は、マイクロコンピュータ11、受信部12、送信部13、受信部12と送信部13のアンテナ接続を切換えるセレクタ14を備えている。
第1のマイクロフォン5及び第2のマイクロフォン7が出力する音声信号は、A/Dコンバータ15によりディジタル変換されてマイクロコンピュータ11へ入力され、マイクロコンピュータ11が出力するディジタル音声信号は、D/Aコンバータ16によりアナログ変換されてスピーカ3へ出力される。自動車のシガーライターソケットから供給されるDC12V電源は、DC/DCレギュレータ17により所定の電圧に降圧されてBluetoothモジュール10に供給される。Bluetoothモジュール10はBluetooth規格準拠プロファイルに対応していて、Bluetooth搭載携帯電話器と通信を行うことができ、I/Oコントローラ18を介して入力される操作ボタン9の信号により携帯電話器の通話・切断操作を行うようにしている。
【0017】
図3は、本実施形態の車載用音声通信装置の使用形態の一例を示すものである。図3に示すように、車載用音声通信装置の本体部1内に内蔵されるBluetoothモジュール10を介して携帯電話器21との間で音声信号の授受が行われ、前記第1のマイクロフォン5や第2のマイクロフォン7から音声が入力され、スピーカ3から携帯電話器21を通じて送られてくる音声が拡声される。携帯電話器21を用いて第3者の携帯電話器22を介して第3者Cと通話を行う場合、図示の如く、運転者Aはハンズフリーで第1のマイクロフォン5を通して会話を送ることができ、さらに後部座席同乗者Bも、第2のマイクロフォン7を通して会話を送ることができる。これにより、後部座席同乗者Bも参加した三者通話が可能となる。なお、第2のマイクロフォン7は任意の場所に設置することができ、したがって、例えば前記第3者と、運転者及び助手席の人の間での三者通話も可能である。
【0018】
以上、本発明を適用した車載用音声通信装置の実施形態について説明してきたが、本発明がこの実施形態に限定されるものでないことは言うまでもない。例えば、先の実施形態では、運転者用の第1のマイクロフォン5と、後部座席用の第2のマイクロフォン7の2つのマイクロフォンを備えているが、さらにマイクロフォンを追加することも可能である。例えば、第3のマイクロフォンを追加して、これを助手席用とすれば、運転者、助手席同乗者、後部座席同乗者の3人を含め、4者通話も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明を適用した車載用音声通信装置の一例を示す概略斜視図である。
【図2】図1に示す車載用音声通信装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示す車載用音声通信装置の使用形態の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0020】
1 本体部
2 シガーライタープラグ部
3 スピーカ
4 フレキシブルアーム
5 第1のマイクロフォン
6 接続用コード
7 第2のマイクロフォン
8 クリップ
9 操作ボタン
10 Bluetoothモジュール
11 マイクロコンピュータ
12 受信部
13 送信部
14 セレクタ
15 A/Dコンバータ
16 D/Aコンバータ
17 DC/DCレギュレータ
18 I/Oコントローラ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のシガーライターソケットへ挿入されるシガーライタープラグ部と、無線方式により外部機器との間で信号の授受を行う通信モジュールとを内蔵する本体部を備え、
前記本体部は、複数のマイクロフォンを有することを特徴とする車載用音声通信装置。
【請求項2】
前記本体部には、スピーカが内蔵されていることを特徴とする請求項1記載の車載用音声通信装置。
【請求項3】
前記通信モジュールは、Bluetoothモジュールであることを特徴とする請求項1または2記載の車載用音声通信装置。
【請求項4】
前記複数のマイクロフォンは、運転席用の第1のマイクロフォンと、後部座席用の第2のマイクロフォンであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の車載用音声通信装置。
【請求項5】
前記運転席用の第1のマイクロフォンは、前記本体部に設けられたフレキシブルアームの先端に取り付けられていることを特徴とする請求項4記載の車載用音声通信装置。
【請求項6】
前記後部座席用の第2のマイクロフォンの接続ケーブルは、前記本体内に巻き取り可能であることを特徴とする請求項4記載の車載用音声通信装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−197149(P2006−197149A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−5807(P2005−5807)
【出願日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】