説明

車載緊急通報装置

【課題】緊急通報の開始トリガが発生した場合に、車両位置をサービスセンターに速やかに通報する。
【解決手段】車載緊急通報装置2は、緊急通報の開始トリガが発生すると、その時点でメモリ部7に保存されている全ての位置情報をサービスセンター13に送信するのではなく、その時点でメモリ部7に保存されている位置情報のうち最新の位置情報のみをサービスセンター13に送信する。緊急通報の開始トリガが発生した場合にサービスセンター13との間で通信速度が遅い回線を接続して位置情報を送信する構成であっても、車両位置をサービスセンター13に速やかに通報することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置情報を時系列に取得して保存し、緊急通報の開始トリガが発生した場合に、その保存している位置情報を緊急通報の用途を目的としてサービスセンターに送信するように構成された車載緊急通報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車載緊急通報装置として、例えばナビゲーションシステムから受信して取得した位置情報を保存し、例えば事故が発生するなどの緊急通報の開始トリガが発生すると、その保存している位置情報を緊急通報の用途を目的としてサービスセンターに送信するものが供されている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−043469号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、この種の車載緊急通報装置として、緊急通報の開始トリガが発生すると、ユーザ(運転手)がサービスセンターに配置されているオペレータと音声通話(会話)することができるようにサービスセンターとの間で音声回線を接続し、位置情報を音声回線を通じてサービスセンターに送信した後に、ユーザがオペレータと音声通話することを可能とする構成がある。
【0004】
その一方で、車載緊急通報装置は、最新の位置情報から過去に遡って最大で所定件数(例えば10件)分の位置情報を保存し、最新の位置情報を保存する時点で所定件数の位置情報を保存している場合には、それら保存している位置情報のうち最古の位置情報を消去して最新の位置情報を保存するように構成されており、緊急通報の開始トリガが発生すると、その時点で保存されている全ての位置情報のサービスセンターに送信するように構成されている。
【0005】
そのため、緊急通報の開始トリガが発生した場合にサービスセンターとの間で音声回線を接続する車載緊急通報装置では、緊急通報の開始トリガが発生した時点で所定件数分の位置情報を保存していると、音声回線の通信速度が遅いことから、その所定件数分の位置情報をサービスセンターに送信完了するまでに多大な時間かかり、車両位置をサービスセンターに速やかに通報したいというユーザの要求に応えることができないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、緊急通報の開始トリガが発生した場合にサービスセンターとの間で通信速度が遅い回線を接続して位置情報を送信する構成であっても、車両位置をサービスセンターに速やかに通報することができる車載緊急通報装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載した発明によれば、制御手段は、緊急通報の開始トリガが発生すると、その時点で位置情報保存手段に保存されている位置情報のうち少なくとも最新の位置情報を含む一部の位置情報を緊急通報の用途を目的として送信手段からサービスセンターに送信させる。これにより、緊急通報の開始トリガが発生した場合にサービスセンターとの間で通信速度が遅い回線を接続して位置情報を送信する構成であっても、その時点で保存されている全ての位置情報を送信するのではなく、少なくとも最新の位置情報を含む一部の位置情報を送信することにより、位置情報をサービスセンターに送信完了するまでに要する時間を短くすることができ、車両位置をサービスセンターに速やかに通報することができる。
【0008】
請求項2に記載した発明によれば、制御手段は、緊急通報の開始トリガが発生したことに応じて位置情報保存手段に保存されている位置情報のうち少なくとも最新の位置情報を含む一部の位置情報を送信手段からサービスセンターに送信させた後に、サービスセンターから経路情報の送信を要求されると、その時点で位置情報保存手段に保存されている位置情報のうち送信手段からサービスセンターに送信させていない位置情報を送信手段からサービスセンターに送信させる。これにより、サービスセンターから経路情報の送信を要求されると、サービスセンターが経路を特定するのに必要となる位置情報をサービスセンターに送信することができ、サービスセンターにて経路を特定させることができる。
【0009】
請求項3に記載した発明によれば、制御手段は、緊急通報の開始トリガが発生したことに応じて位置情報保存手段に保存されている位置情報のうち少なくとも最新の位置情報を含む一部の位置情報を送信手段からサービスセンターに送信させた後に、サービスセンターから経路情報の送信を要求されると、その時点で位置情報保存手段に保存されている位置情報のうち最新の位置情報と送信手段からサービスセンターに送信させていない位置情報とを送信手段からサービスセンターに送信させる。これにより、上記した請求項2に記載したものと同様にして、サービスセンターから現在位置情報の送信を要求されると、サービスセンターが現在位置を特定するのに必要となる位置情報をサービスセンターに送信することができ、サービスセンターにて経路を特定させることができる。
【0010】
請求項4に記載した発明によれば、制御手段は、緊急通報の開始トリガが発生したことに応じて位置情報保存手段に保存されている位置情報のうち少なくとも最新の位置情報を含む一部の位置情報を送信手段からサービスセンターに送信させた後に、サービスセンターから現在位置情報の送信を要求されると、その時点で位置情報保存手段に保存されている位置情報のうち少なくとも最新の位置情報を送信手段からサービスセンターに送信させる。これにより、サービスセンターから現在位置情報の送信を要求されると、サービスセンターが現在位置を特定するのに必要となる位置情報をサービスセンターに送信することができ、緊急通報の開始トリガが発生した時点から車両が移動しており位置情報を更新している場合であっても、サービスセンターにて現在位置を特定させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、車載緊急通報システムの全体構成を機能ブロック図として示している。車載緊急通報システム1は、車載緊急通報装置2とナビゲーションシステム3とを備えて構成されている。車載緊急通報装置2は、制御部4(本発明でいう制御手段)、無線通信部5(本発明でいう送信手段)、計時部6、メモリ部7(本発明でいう位置情報保存手段)、GPS測位部8(本発明でいう位置情報取得手段)、LAN送受信部9(本発明でいう位置情報取得手段)、操作検出部10、表示部11及び音声処理部12を備えて構成されている。
【0012】
制御部4は、CPUを主体として構成され、車載緊急通報装置2の動作全般を制御する。無線通信部5は、制御部4から緊急通報指令信号を入力すると、緊急通報信号を無線通信網を介してサービスセンター13に送信する。この場合、緊急通報信号には車載緊急通報装置2を識別するための装置識別情報や車両位置を表す位置情報などの各種情報が含まれる。
【0013】
計時部6は、制御部4から計時指令信号を入力すると、計時する。GPS測位部8は、制御部4から測位指令信号を入力すると、GPS衛星から送信されたGPS信号を受信し、そのGPS信号から位置情報を取得するのに必要となる測位アシスト情報(アルマナックデータやエフェメリスデータなど)を抽出し、それら測位アシスト情報を演算して位置情報(緯度・経度)を定期的(例えば1秒毎に)に取得する。
【0014】
LAN送受信部9は、車載LANとのインタフェース機能を有し、本実施形態ではナビゲーションシステム3との間で各種情報を送受信し、ナビゲーションシステム3が正常に起動している場合にはナビゲーションシステム3から位置情報(緯度・経度)を定期的に(例えば1秒毎に)受信して取得する。この場合、LAN送受信部9がナビゲーションシステム3から受信して取得する位置情報とGPS測位部8が測位して(測位アシスト情報を演算して)取得する位置情報とを比較すると、前者は車速信号やジャイロの検出結果が併用されていると共にマップマッチング処理で補正されているので、前者は後者よりも測位精度が高いものである。また、LAN送受信部9は、ナビゲーションシステム3が正常に起動している場合にはナビゲーションシステム3から位置情報を受信して取得すると同時に、ナビゲーションシステム3から走行速度や移動距離などの情報をも受信して取得する。
【0015】
メモリ部7は、各種情報を保存し、上記したLAN送受信部9がナビゲーションシステム3から受信して取得した位置情報及びGPS測位部8が測位して取得した位置情報を時系列で保存する。この場合、制御部4は、最新の位置情報から過去に遡って最大で所定件数(例えば10件)分の位置情報をメモリ部7に保存させ、最新の位置情報をメモリ部7に保存させる時点で所定件数の位置情報が保存されている場合には、それら保存されている所定件数の位置情報のうち最古の位置情報を消去して最新の位置情報を保存させる。
【0016】
操作検出部10は、ユーザが緊急通報ボタンを操作すると、操作検出信号を制御部4に出力する。表示部11は、制御部4から表示指令信号を入力すると、その表示指令信号に応じた表示情報を表示する。音声処理部12は、マイクロホン14が入力した送話音声やスピーカ15が出力する受話音声を音声処理する。この場合、車載緊急通報装置2とサービスセンター13との間で音声回線接続されると、ユーザ(運転手)はマイクロホン14及びスピーカ15を使ってサービスセンター13に配置されているオペレータと音声通話(会話)することができ、口頭で救援を要請したり事故の程度を報告したりすることができる。
【0017】
エアバッグシステム16は、車両の衝突を検出し、その衝撃が所定レベル以上であると、衝突検出信号を制御部4に出力する。この場合、制御部4は、ユーザが緊急通報ボタンを操作したことにより操作検出部8から操作検出信号を入力した旨及びエアバッグシステム16から衝突検出信号を入力した旨を緊急通報の開始トリガとして緊急通報動作を行う。
【0018】
ACC(アクセサリ)スイッチ17は、当該スイッチのオンオフ状態を表すACCオン信号及びACCオフ信号を制御部4に出力する。この場合、制御部4は、ACCスイッチ17からACCオン信号を入力すると、車載緊急通報装置2を通常動作させ、LAN送受信部9にナビゲーションシステム3からの位置情報を定期的に受信させると共に、測位指令信号をGPS測位部8に出力してGPS測位部8を起動させ、GPS測位部8にGPS信号を受信させて位置情報を定期的に取得させる。
【0019】
また、制御部4は、ACCスイッチ17からACCオフ信号を入力すると、車載緊急通報装置2を低消費電力動作させ、LAN送受信部9にナビゲーションシステム3からの位置情報の受信を停止させ、その一方で、例えば盗難追跡の開始トリガが発生すると測位指令信号をGPS測位部8に出力し、盗難追跡の用途を目的として、GPS測位部8が測位して取得した位置情報をメモリ部7に保存させたり当該位置情報を無線通信部5から外部に送信させたりする。
【0020】
尚、上記した構成では、車載緊急通報装置2とナビゲーションシステム3とが車載LANを介して接続される構成に限らず、両者がUSB接続される構成であっても良い。また、ナビゲーションシステム3は、ACCスイッチ17からACCオン信号を入力すると、起動し、ACCスイッチ17からACCオフ信号を入力すると、停止する。
【0021】
次に、上記した構成の作用について、図2ないし図6を参照して説明する。
制御部4は、ACCスイッチ17からACCオン信号を入力し、車載緊急通報装置2を通常動作させると、位置情報保存タイマを計時部6にて起動させ(ステップS1)、位置情報保存タイマによるタイマ時間が経過したか(タイムアップしたか)否かを判定する(ステップS2)。この場合、位置情報保存タイマによるタイマ時間は、ナビゲーションシステム3から位置情報を定期的に受信する受信時間間隔及びGPS測位部8が定期的に測位する測位時間間隔に相当する時間(例えば1秒)である。次いで、制御部4は、位置情報保存タイマによるタイマ時間が経過した旨を検出すると(ステップS2にて「YES」)、その時点でナビゲーションシステム3から位置情報を受信して取得しているか否かを判定する(ステップS3)。
【0022】
ここで、制御部4は、ナビゲーションシステム3から位置情報を受信して取得している旨を判定すると(ステップS3にて「YES」)、そのナビゲーションシステム3から受信して取得した位置情報を保存候補位置情報として確定する(ステップS4)。一方、制御部4は、ナビゲーションシステム3から位置情報を取得していない旨を判定すると(ステップS3にて「NO」)、その時点でGPS測位部8が位置情報を測位して取得しているか否かを判定し(ステップS5)、GPS測位部8が位置情報を測位して取得している旨を判定すると(ステップS5にて「YES」)、そのGPS測位部8が測位して取得した位置情報を保存候補位置情報として確定する(ステップS6)。
【0023】
次いで、制御部4は、前回の位置情報がメモリ部7に保存されているか否かを判定し(ステップS7)、前回の位置情報がメモリ部7に保存されていない、つまり、今回の取得した位置情報がメモリ部7に最初に保存させる位置情報である旨を判定すると(ステップS7にて「YES」)、その保存候補位置情報として確定した位置情報をメモリ部7に保存させ(ステップS9)、上記したステップS1に戻り、上記した処理を繰返して行う。
【0024】
これに対して、制御部4は、前回の位置情報がメモリ部7に保存されている旨を判定すると(ステップS7にて「NO」)、今回の位置情報と前回の位置情報(その時点でメモリ部7に保存されている最新の位置情報)とを比較し、今回の位置が前回の位置から所定距離以上(例えば80メートル以上)離れているか否か(本発明でいう所定条件を満たしているか否か)を判定する(ステップS8)。
【0025】
そして、制御部4は、今回の位置が前回の位置から所定距離以上離れている旨を判定すると(ステップS8にて「YES」)、その保存候補位置情報として確定した位置情報を最新の位置情報としてメモリ部7に保存させ(ステップS9)、上記したステップS1に戻り、上記した処理を繰返して行う。一方、制御部4は、今回の位置が前回の位置から所定距離以上離れていない旨を判定すると(ステップS8にて「NO」)、その保存候補位置情報として確定した位置情報を最新の位置情報としてメモリ部7に保存させることなく、上記したステップS1に戻り、上記した処理を繰返して行う。
【0026】
制御部4は、以上に説明した一連の処理を行うことにより、図3に示すように、ナビゲーションシステム3から受信して取得した位置情報及びGPS測位部8が測位して取得した位置情報のうちいずれかをメモリ部7に最大で所定件数分だけ時系列で保存させる。すなわち、制御部4は、位置情報をメモリ部7に保存させるべき時点で、ナビゲーションシステム3から位置情報を受信して取得していると共にGPS測位部8が位置情報を測位して取得しており、ナビゲーションシステム3から受信して取得した位置情報の位置が前回の位置から所定距離以上離れていれば、そのナビゲーションシステム3から受信して取得した位置情報をメモリ部7に保存させる(例えば「Pa(1)」,「Pa(8)」,「Pa(n−1)」及び「Pa(n)」参照)。
【0027】
また、制御部4は、位置情報をメモリ部7に保存させるべき時点で、ナビゲーションシステム3から位置情報を受信して取得している一方でGPS測位部8が位置情報を取得しておらず、ナビゲーションシステム3から受信して取得した位置情報の位置が前回の位置から所定距離以上離れていれば、そのナビゲーションシステム3から受信して取得した位置情報をメモリ部7に保存させる(例えば「Pa(2)」及び「Pa(5)」参照)。さらに、制御部4は、位置情報をメモリ部7に保存させるべき時点で、GPS測位部8が位置情報を測位して取得している一方でナビゲーションシステム3から位置情報を取得しておらず、GPS測位部8が測位して取得した位置情報の位置が前回の位置から所定距離以上離れていれば、そのGPS測位部8が測位して取得した位置情報をメモリ部7に保存させる(例えば「Pb(3)」及び「Pb(n−2)」参照)。
【0028】
そして、制御部4は、このようにして位置情報をメモリ部7に保存させると処理と並列して緊急通報の開始トリガが発生したか否かを判定する処理を行い、ユーザが緊急通報ボタンを操作したことにより操作検出部8から操作検出信号を入力した旨及びエアバッグシステム16から衝突検出信号を入力した旨のいずれか検出し、緊急通報の開始トリガが発生した旨を検出すると(ステップS11にて「YES」)、その時点でメモリ部7に保存されている位置情報のうち最新の位置情報のみを緊急通報の用途を目的として無線通信部5から無線通信網を介してサービスセンター13に送信させる(ステップS12)。
【0029】
ここで、サービスセンター13に配置されているオペレータは、車載緊急通報装置2から受信した最新の位置情報に基づいて車両位置を特定し、引き続いて経路を特定する場合であれば、経路情報の送信を要求する経路情報要求信号をサービスセンター13から送信させる操作を行い、引き続いて現在位置を特定する場合であれば、現在位置情報の送信を要求する現在位置情報要求信号をサービスセンター13から送信させる操作を行う。
【0030】
制御部4は、サービスセンター13から経路情報要求信号を無線通信部5が受信したか否かを判定すると共に現在位置情報要求信号を無線通信部5が受信したか否かを判定する(ステップS13,S14)。
【0031】
制御部4は、サービスセンター13に配置されているオペレータが操作したことに応じてサービスセンター13から送信された経路情報要求信号を無線通信部5が受信した旨を判定すると(ステップS13にて「YES」)、その時点でメモリ部7に保存されている位置情報のうちサービスセンター13(オペレータ)から指示された件数分の位置情報を無線通信部5から無線通信網を介してサービスセンター13に送信させる(ステップS15)。
【0032】
具体的には、制御部4は、その時点で所定件数の位置情報が保存されており、サービスセンター13から指示された件数が所定件数から最新の位置情報を除いた件数であれば、図5(a)に示すように、その時点でメモリ部7に保存されている所定件数の位置情報のうち最新の位置情報を除いた件数分の位置情報を送信させ、また、図5(b)に示すように、サービスセンター13から指示された件数が(最新の位置情報を含む)所定件数であれば、その時点でメモリ部7に保存されている所定件数分の位置情報を送信させる。尚、制御部4は、サービスセンター13から指示された件数が所定件数よりも十分に少ない件数であれば、測位時刻が最近の位置情報を優先して当該指示された件数分の位置情報を送信させる。
【0033】
また、制御部4は、サービスセンター13に配置されているオペレータが操作したことに応じてサービスセンター13から送信された現在位置情報要求信号を無線通信部5が受信した旨を判定すると(ステップS14にて「YES」)、その時点でメモリ部7に保存されている位置情報のうち最新の位置情報のみを無線通信部5から無線通信網を介してサービスセンター13に送信させる(ステップS16)。この場合、制御部4は、緊急通報の開始トリガが発生した時点から車両が移動しておらず、位置情報を更新していなければ、緊急通報の開始トリガが発生した時点で送信させた位置情報と同じ最新の位置情報を送信させ、一方、図6に示すように、緊急通報の開始トリガが発生した時点から車両が移動しており、位置情報を更新していれば、緊急通報の開始トリガが発生した時点で送信させた位置情報とは異なる最新の位置情報を送信させる。
【0034】
以上に説明したように本実施形態によれば、車載緊急通報装置2において、緊急通報の開始トリガが発生すると、その時点でメモリ部7に保存されている全ての位置情報をサービスセンター13に送信するのではなく、その時点でメモリ部7に保存されている位置情報のうち最新の位置情報のみをサービスセンター13に送信するように構成したので、緊急通報の開始トリガが発生した場合にサービスセンター13との間で通信速度が遅い回線を接続して位置情報を送信する構成であっても、位置情報をサービスセンター13に送信完了するまでに要する時間を短くすることができ、車両位置をサービスセンター13に速やかに通報することができる。
【0035】
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形または拡張することができる。
車載緊急通報装置は、その一部がナビゲーションシステムの構成要件から構成されていても良い。緊急通報トリガとして、エアバッグシステムからの衝突検出信号やユーザが緊急通報ボタンを操作したことによる操作検出部からの操作検出信号の他に、他の信号を適用する構成であっても良い。
【0036】
位置情報をメモリ部に保存させる態様として、ナビゲーションシステムから受信して取得した位置情報を時系列で保存する保存領域とGPS測位部が測位して取得した位置情報を時系列で保存する保存領域とを別々に確保し、緊急通報の開始トリガが発生した場合に、それら保存領域のうちいずれかに保存されている位置情報をサービスセンターに送信する構成であっても良い。その場合、保存されている位置情報の件数が多い方をサービスセンターに送信する構成であっても良いし、位置情報の連続性が高い方をサービスセンターに送信する構成であっても良い。
【0037】
緊急通報の開始トリガが発生した場合に、その時点でメモリ部に保存されている位置情報のうち最新の位置情報のみをサービスセンターに送信する構成に限らず、少なくとも最新の位置情報を含む一部の位置情報を送信する構成であっても良い。
ナビゲーションシステムから受信して取得した位置情報とGPS測位部が測位して取得した位置情報とを混在してサービスセンターに送信する構成に限らず、GPS測位部を備えない構成であれば、ナビゲーションシステムから受信して取得した位置情報のみをサービスセンターに送信する構成であっても良く、ナビゲーションシステムと連携しない構成であれば、GPS測位部が測位して取得した位置情報のみをサービスセンターに送信する構成であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態を示す機能ブロック図
【図2】フローチャート
【図3】位置情報が保存される態様を概略的に示す図
【図4】図2相当図
【図5】サービスセンターに送信される位置情報を概略的に示す図
【図6】図5相当図
【符号の説明】
【0039】
図面中、2は車載緊急通報装置、4は制御部(制御手段)、5は無線通信部(送信手段)、7はメモリ部(位置情報保存手段)、8はGPS測位部(位置情報取得手段)、9はLAN送受信部(位置情報取得手段)、13はサービスセンターである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置情報を時系列に取得する位置情報取得手段と、
前記位置情報取得手段により時間差で取得された複数の位置情報を最大で所定件数だけ保存する位置情報保存手段と、
前記位置情報保存手段に保存されている位置情報を送信手段からサービスセンターに送送信させる制御手段とを備えた車載緊急通報装置であって、
前記制御手段は、緊急通報の開始トリガが発生した場合に、その時点で前記位置情報保存手段に保存されている位置情報のうち少なくとも最新の位置情報を含む一部の位置情報を緊急通報の用途を目的として前記送信手段からサービスセンターに送信させることを特徴とする車載緊急通報装置。
【請求項2】
請求項1に記載した車載緊急通報装置において、
前記制御手段は、緊急通報の開始トリガが発生したことに応じて前記位置情報保存手段に保存されている位置情報のうち少なくとも最新の位置情報を含む一部の位置情報を前記送信手段からサービスセンターに送信させた後に、サービスセンターから経路情報の送信を要求された場合に、その時点で前記位置情報保存手段に保存されている位置情報のうち前記送信手段からサービスセンターに送信させていない位置情報を前記送信手段からサービスセンターに送信させることを特徴とする車載緊急通報装置。
【請求項3】
請求項1に記載した車載緊急通報装置において、
前記制御手段は、緊急通報の開始トリガが発生したことに応じて前記位置情報保存手段に保存されている位置情報のうち少なくとも最新の位置情報を含む一部の位置情報を前記送信手段からサービスセンターに送信させた後に、サービスセンターから経路情報の送信を要求された場合に、その時点で前記位置情報保存手段に保存されている位置情報のうち最新の位置情報と前記送信手段からサービスセンターに送信させていない位置情報とを前記送信手段からサービスセンターに送信させることを特徴とする車載緊急通報装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載した車載緊急通報装置において、
前記制御手段は、緊急通報の開始トリガが発生したことに応じて前記位置情報保存手段に保存されている位置情報のうち少なくとも最新の位置情報を含む一部の位置情報を前記送信手段からサービスセンターに送信させた後に、サービスセンターから現在位置情報の送信を要求された場合に、その時点で前記位置情報保存手段に保存されている位置情報のうち少なくとも最新の位置情報を前記送信手段からサービスセンターに送信させることを特徴とする車載緊急通報装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−116299(P2008−116299A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−299184(P2006−299184)
【出願日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】