説明

車載緊急通報装置

【課題】緊急通報の開始トリガが発生した場合に、緊急通報を速やかに行う。
【解決手段】車載緊急通報装置1は、車両が衝突する可能性があると判定し且つ緊急通報中でないと判定すると、ナビゲーションシステム10からの緊急通報以外の別の用途での無線通信部3に対する無線通信回線の接続要求を受付けない、ナビゲーションシステム10からの接続要求に応じて無線通信部3が緊急通報以外の別の用途で接続している無線通信回線を切断する、緊急通報以外の別の用途での無線通信部3における無線通信回線の接続禁止をナビゲーションシステム10に通知する、ナビゲーションシステム10からの緊急通報以外の別の用途での無線通信部3における無線通信回線の接続帯域を制限する等し、緊急通報を可能となるように緊急通報用の無線リソースを確保する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緊急通報の開始トリガが発生した場合に緊急通報信号を送信することが可能な車載緊急通報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両が衝突してエアバッグが展開された後に、緊急通報信号を無線通信部から移動体通信網を通じてサービスセンターに設置されているセンター装置に送信する車載緊急通報装置が供されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−231681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記した車載緊急通報装置では、緊急通報以外の別の用途で無線通信部が移動体通信網を通じて無線通信を行っているときに車両が衝突してエアバッグが展開されると、無線通信部が別の用途で接続している無線通信回線を切断した後にセンター装置との間で無線通信回線を接続し、緊急通報信号を無線通信部から移動体通信網を通じてセンター装置に送信することになる。しかしながら、このような構成では、別の用途で無線通信部が接続している無線通信回線を切断する時間が緊急通報信号を送信するまでの遅延時間となり、緊急通報信号を無線通信部から速やかに送信することができず、緊急通報を速やかに行うことができないという問題がある。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、緊急通報の開始トリガが発生した場合に、緊急通報信号を無線通信部から速やかに送信することができ、緊急通報を速やかに行うことができる車載緊急通報装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載した発明によれば、制御手段は、緊急通報の開始トリガが発生したと判定すると、緊急通報信号を無線通信手段から送信させて緊急通報を行う。又、制御手段は、車両が衝突する可能性があると判定し且つ緊急通報中でないと判定すると、緊急通報を可能となるように緊急通報用の無線リソースを確保する。これにより、車両が衝突する可能性があると判定し且つ緊急通報中でないと判定すると、緊急通報用の無線リソースを確保することにより、緊急通報信号を速やかに送信可能な状態としておくことができ、これ以降に緊急通報の開始トリガが発生すると、緊急通報以外の別の用途で接続している無線通信回線を切断することもなく、緊急通報信号を速やかに送信することができ、緊急通報を速やかに行うことができる。
【0007】
請求項2に記載した発明によれば、制御手段は、車両が衝突する可能性があると判定し且つ緊急通報中でないと判定すると、無線通信手段がドーマント状態であるか否かを判定し、無線通信手段がドーマント状態であると判定すると、無線通信手段の無線通信回線を再接続させてドーマント状態から復帰させた後に、緊急通報用の無線リソースを確保する。これにより、無線通信手段がドーマント状態である場合であっても、無線通信手段の無線通信回線を再接続させてドーマント状態から復帰させた後に、緊急通報用の無線リソースを確保することにより、緊急通報信号を速やかに送信可能な状態としておくことができる。
【0008】
請求項3に記載した発明によれば、制御手段は、緊急通報用の無線リソースを確保した後に緊急通報の開始トリガが発生したか否かを判定し、緊急通報の開始トリガが発生したと判定すると、緊急通報信号を無線通信手段から送信させる。これにより、緊急通報の開始トリガが発生したときに緊急通報用の無線リソースを既に確保しておくことができ、緊急通報をより一層速やかに行うことができる。
【0009】
請求項4に記載した発明によれば、制御手段は、緊急通報の開始トリガが発生したと判定した後に緊急通報用の無線リソースを確保し、緊急通報信号を無線通信手段から送信させる。これにより、車両が衝突する可能性があると判定したとしても緊急通報用の無線リソースを確保することなく、緊急通報を必要とする場合(緊急通報の開始トリガが発生した場合)にだけ緊急通報用の無線リソースを確保することができる。又、緊急通報用の無線リソースを確保したにも拘らず緊急通報を行う必要がなくなったことにより緊急通報用の無線リソースを解放することもない。
【0010】
請求項5に記載した発明によれば、制御手段は、緊急通報用の無線リソースを確保した後に緊急通報の開始トリガが発生したか否かを判定するか、緊急通報の開始トリガが発生したと判定した後に緊急通報用の無線リソースを確保するかを選択的に行う。これにより、例えば車両が衝突する可能性が大きい(確かな)場合、車両が衝突したときに想定される損傷の程度が大きい(加速度が極めて大きい等の)場合、緊急通報の優先度を高める必要がある場合には、緊急通報用の無線リソースを確保した後に緊急通報の開始トリガが発生したか否かを判定するようにし、一方、車両が衝突する可能性が小さい(不確かな)場合、車両が衝突したときに想定される損傷の程度が小さい場合、緊急通報の優先度を高める必要がない場合には、緊急通報の開始トリガが発生したと判定した後に緊急通報用の無線リソースを確保するようにする等、状況に応じて対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す機能ブロック図
【図2】フローチャート
【図3】本発明の第2の実施形態を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について、図1及び図2を参照して説明する。図1は、車載緊急通報装置の全体構成を機能ブロック図として示している。車載緊急通報装置1は、車両に搭載可能に構成されており、制御部2(本発明でいう制御手段)、無線通信部3(本発明でいう無線通信手段)、計時部4、測位部5、メモリ部6、LAN送受信部7及び音声処理部8を備えて構成されている。制御部2は、CPU、RAM、ROM等を有する周知のマイクロコンピュータを主体として構成され、車載緊急通報装置1の動作全般を制御する。無線通信部3は、サービスセンターに設置されているセンター装置9やユーザが携帯する携帯電話機(図示せず)との間で移動体通信網を通じた無線通信を行う。
【0013】
計時部4は、制御部2から計時開始信号を入力すると計時を開始し、予め規定されている規定時間の計時を終了すると(タイムアップすると)、計時終了信号を制御部2に出力する。測位部5は、制御部2から車両位置取得信号を入力すると、GPS衛星から受信したGPS電波のパラメータを演算して取得した車両位置を制御部2に出力する。LAN送受信部7は、車両に搭載されているナビゲーションシステム10等の各種システムや各種ECUと車両LAN11を通じて接続されている。音声処理部8は、マイクロホン12により入力された送話音声を音声処理すると共に、スピーカ13から出力される受話音声を音声処理する。
【0014】
操作装置14は、車載緊急通報装置1とは別体に設けられており、ユーザ(車両に乗車している乗員)の操作を受付けると、その受付けた操作内容を示す操作検出信号を制御部2に出力する。尚、操作装置14は、ハードキーや表示装置15の表示画面上に形成されるタッチパネルキー等から構成されている。表示装置15は、車載緊急通報装置1とは別体に設けられ、例えば液晶ディスプレイ装置から構成されており、制御部2から表示指令信号を入力すると、その表示指令信号に応じた表示情報を表示する。
【0015】
メモリ部6は、各種情報を保存し、上記した測位部5により取得された過去の車両位置を履歴として記憶する。メモリ部6が記憶可能な車両位置の件数は規定されており、記憶可能な最大件数分の車両位置が記憶されている状態で新たな車両位置を記憶する場合には、その時点で記憶されている最大件数分の車両位置のうち最古の車両位置を消去して最新の車両位置を記憶する。
【0016】
キースイッチ16は、IG(イグニッション)スイッチのオンオフ状態を示すIG信号やACC(アクセサリ)スイッチのオンオフ状態を示すACC信号を制御部2に出力する。制御部2は、キースイッチ16から入力したIG信号に基づいてIGスイッチがオンである旨又はACC信号に基づいてACCスイッチがオンである旨を判定すると、車載緊急通報装置1を電源オン状態として通常動作させる一方、キースイッチ16から入力したIG信号に基づいてIGスイッチがオフである旨又はACC信号に基づいてACCスイッチがオフである旨を判定すると、車載緊急通報装置1を電源オフ状態として低消費電力動作させる。
【0017】
Gセンサ17は、車両に加えられた加速度を検出し、その検出した加速度を示す加速度信号を制御部2に出力する。衝突予測システム18は、例えばレーダーやカメラ等の各種センサを備え、それら各種センサの検出結果に基づいて車両が例えば先行車両等に衝突する可能性があるか否かを示す衝突予測信号を制御部2に出力する。エアバッグシステム19は、エアバッグを展開すると、エアバッグを展開した旨を示す衝突検出信号を制御部2に出力する。
【0018】
上記した車載緊急通報装置1において、制御部2は、エアバッグシステム19から衝突検出信号を入力し、エアバッグシステム19がエアバッグを展開した(緊急通報の開始トリガが発生した)と判定すると、車両位置やユーザ情報を含む緊急通報信号を無線通信部3から移動体通信網を通じてセンター装置9に送信させる。センター装置9は、車載緊急通報装置1から送信された緊急通報信号を受信すると、緊急通報信号を受信した旨をユーザに通知すべく応答信号を車載緊急通報装置1に送信し、応答信号を車載緊急通報装置1に送信してから一定時間が経過した後に、オペレータとユーザとの間で音声回線を接続するように音声呼出信号を車載緊急通報装置1に送信する。
【0019】
車載緊急通報装置1において、制御部2は、センター装置9から送信された音声呼出信号を移動体通信網を通じて無線通信部3により受信したと判定すると、音声呼出信号に対する応答信号を無線通信部3から移動体通信網を通じてセンター装置9に送信させ、センター装置9との間で音声回線を接続する。このようにして車載緊急通報装置1とセンター装置9とが両者の間で音声回線を接続することにより、ユーザは、マイクロホン12及びスピーカ13を使ってサービスセンターに配置されているオペレータと会話することができ、口頭で救援を要請したり事故の程度を報告したりすることができる。
【0020】
又、本実施形態では測位部5が自律測位して車両位置を取得する構成を示しているが、ナビゲーションシステム10から送信された車両位置を車両LAN11を通じてLAN送受信部7が受信することにより、ナビゲーションシステム10がGPS電波から抽出したパラメータを演算して取得した車両位置を採用するように構成しても良い。この場合、測位部5が自律測位して取得する車両位置とナビゲーションシステム10が取得する車両位置とを比較すると、後者は車速信号やジャイロセンサの検出結果や加速度センサの検出結果等が併用されていると共にマップマッチング処理により補正されているので、前者よりも位置精度が高いものである。
【0021】
次に、上記した構成の作用について、図2を参照して説明する。図2は制御部2が行う処理をフローチャートとして示している。
車載緊急通報装置1において、制御部2は、車載緊急通報装置1が電源オン状態にあるときには、衝突予測監視処理を行い、車両が衝突する可能性があるか否かを監視している(ステップS1)。具体的には、制御部2は、衝突予測システム18から衝突予測信号を入力したこと、Gセンサ17から入力した加速度信号に基づいて車両減速方向の加速度が所定値以上であること、ナビゲーションシステム10から車両LAN11を通じてLAN送受信部7に定期的に受信される車速信号に基づいて算出した車両減速方向の加速度が所定値以上であることのうち何れかの条件が成立したか否かを監視している。
【0022】
ここで、制御部2は、上記した何れかの条件が成立したと判定し、車両が衝突する可能性があると判定すると(ステップS1にて「YES」)、その時点で緊急通報中であるか否かを判定し(ステップS2)、その時点で緊急通報中でないと判定すると(ステップS2にて「NO」)、その時点で無線通信部3がドーマント状態であるか否かを判定する(ステップS3)。
【0023】
制御部2は、その時点で無線通信部3がドーマント状態でないと判定すると(ステップS3に「NO」)、緊急通報用の無線リソースを確保する(ステップS5)。一方、制御部2は、無線通信部3がドーマント状態であると判定すると(ステップS3にて「YES」)、無線通信部3に無線通信回線を再接続させて無線通信部3をドーマント状態から復帰させた後に(ステップS4)、緊急通報用の無線リソースを確保する(ステップS5)。具体的には、制御部2は、ナビゲーションシステム10からの緊急通報以外の別の用途(例えば地図データのダウンロード等)での無線通信部3に対する無線通信回線の接続要求を受付けない、ナビゲーションシステム10からの接続要求に応じて無線通信部3が緊急通報以外の別の用途で接続している無線通信回線を切断する、緊急通報以外の別の用途での無線通信部3における無線通信回線の接続禁止をナビゲーションシステム10に通知する、ナビゲーションシステム10からの緊急通報以外の別の用途での無線通信部3における無線通信回線の接続帯域(スループット)を制限することの何れかより、緊急通報用の無線リソースを確保する。
【0024】
次いで、制御部2は、計時開始信号を計時部4に出力し、計時部4による計時を開始し(ステップS6)、エアバッグシステム19からの衝突検出信号を監視すると共に、計時部4からの計時終了信号を監視し、予め規定されている規定時間が経過したか否かを判定する(ステップS7、S8)。ここでいう規定時間は車両が衝突する可能性があると判定してから車両が衝突してエアバッグが展開されるまでに要する時間よりも長い時間であることが望ましい。
【0025】
ここで、制御部2は、エアバッグシステム19から衝突検出信号を入力する前に計時部4から計時終了信号を入力したと判定し、即ち、衝突が回避されてエアバッグが展開されなかったと判定すると(ステップS8にて「YES」)、確保していた緊急通報用の無線利リソースを解放し(ステップS9)、上記したステップS1に戻る。具体的には、制御部2は、ナビゲーションシステム10からの緊急通報以外の別の用途での無線通信部3に対する無線通信回線の接続要求を受付ける、緊急通報以外の別の用途での無線通信部3における無線通信回線の接続許可をナビゲーションシステム10に通知する、ナビゲーションシステム10からの緊急通報以外の別の用途での無線通信部3における無線通信回線の接続帯域の制限を解除することの何れかにより、確保していた緊急通報用の無線リソースを解放する。
【0026】
一方、制御部2は、計時部4から計時終了信号を入力する前にエアバッグシステム19から衝突検出信号を入力したと判定すると(ステップS7にて「YES」)、車両位置やユーザ情報を含む緊急通報信号を無線通信部3から移動体通信網を通じてセンター装置9に送信させ、緊急通報を開始する(ステップS10)。そして、制御部2は、緊急通報を終了したか否かを判定し(ステップS11)、緊急通報を終了したと判定すると(ステップS11にて「YES」)、確保していた緊急通報用の無線利リソースを解放し(ステップS12)、一連の処理を終了する。
【0027】
ところで、以上は、衝突予測システム18から衝突予測信号を入力したこと、Gセンサ17から入力した加速度信号に基づいて車両減速方向の加速度が所定値以上であること、ナビゲーションシステム10から車両LAN11を通じてLAN送受信部7に定期的に受信される車速信号に基づいて算出した車両減速方向の加速度が所定値以上であることのうち何れかの条件が成立したと判定し、車両が衝突する可能性があると判定する場合を説明したが、上記した複数の条件のうち幾つか(2つ以上)を組み合わせて車両が衝突する可能性があると判定するようにしても良い。
【0028】
又、ナビゲーションシステム10からの緊急通報以外の別の用途での無線通信部3に対する無線通信回線の接続要求を受付けない、ナビゲーションシステム10からの接続要求に応じて無線通信部3が緊急通報以外の別の用途で接続している無線通信回線を切断する、緊急通報以外の別の用途での無線通信部3における無線通信回線の接続禁止をナビゲーションシステム10に通知する、ナビゲーションシステム10からの緊急通報以外の別の用途での無線通信部3における無線通信回線の接続帯域を制限することのうち複数を組み合わせて緊急通報用の無線リソースを確保するようにしても良く、更に、これらに追従して、ナビゲーションシステム10からの緊急通報以外の別の用途での無線通信部3に対する無線通信回線の接続要求を受付ける、緊急通報以外の別の用途での無線通信部3における無線通信回線の接続許可をナビゲーションシステム10に通知する、ナビゲーションシステム10からの緊急通報以外の別の用途での無線通信部3における無線通信回線の接続帯域の制限を解除することのうち複数を組み合わせて緊急通報用の無線リソースを解放するようにしても良い。
【0029】
以上に説明したように第1の実施形態によれば、車載緊急通報装置1において、車両が衝突する可能性があると判定し且つ緊急通報中でないと判定すると、緊急通報を可能となるように緊急通報用の無線リソースを確保するように構成したので、緊急通報信号を速やかに送信可能な状態としておくことができ、これ以降にエアバッグが展開されると、緊急通報以外の別の用途で接続している無線通信回線を切断することもなく、緊急通報信号を無線通信部3から速やかに送信することができ、緊急通報を速やかに行うことができる。
又、緊急通報用の無線リソースを確保した後にエアバッグが展開されたか否かを判定するように構成したので、エアバッグが展開されたときに緊急通報用の無線リソースを既に確保しておくことができ、緊急通報をより一層速やかに行うことができる。
【0030】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について、図3を参照して説明する。尚、上記した第1の実施形態と同一部分については説明を省略し、異なる部分について説明する。第2の実施形態は、エアバッグが展開されたことを条件として緊急通報用の無線リソースを確保するものである。
【0031】
即ち、制御部2は、車両が衝突する可能性があると判定し(ステップS1にて「YES」)、緊急通報中でないと判定すると(ステップS2にて「NO」)、緊急通報用の無線リソースを確保することなく計時部4による計時を開始し(ステップS6)、計時部4から計時終了信号を入力する前にエアバッグシステム19から衝突検出信号を入力したと判定すると(ステップS7にて「YES」)、緊急通報用の無線リソースを確保し(ステップS21)、車両位置やユーザ情報を含む緊急通報信号を無線通信部3から移動体通信網を通じてセンター装置9に送信させ、緊急通報を開始する(ステップS10)。そして、制御部2は、緊急通報を終了したと判定すると(ステップS11に「YES」)、確保していた緊急通報用の無線リソースを解放し(ステップS12)、一連の処理を終了する。
【0032】
以上に説明したように第2の実施形態によれば、車載緊急通報装置1において、車両が衝突する可能性があると判定したとしても緊急通報用の無線リソースを確保することなく、エアバッグが展開されたと判定した後に緊急通報用の無線リソースを確保するよう構成したので、緊急通報を必要とする場合にだけ緊急通報用の無線リソースを確保することができ、又、緊急通報用の無線リソースを確保したにも拘らず緊急通報を行う必要がなくなったことにより緊急通報用の無線リソースを解放することもない。
【0033】
(その他の実施形態)
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形又は拡張することができる。
エアバッグが展開されたこと以外に例えばユーザが緊急通報ボタンを操作したことを緊急通報の開始トリガとしても良い。
緊急通報用の無線リソースを確保した後にエアバッグが展開されたか否かを判定する処理(第1の実施形態として示した処理)と、エアバッグが展開されたと判定した後に緊急通報用のリソースを確保する処理(第2の実施形態として示した処理)との何れを行うかを選択するようにしても良い。例えば車両が衝突する可能性が大きい(確かな)場合、車両が衝突したときに想定される損傷の程度が大きい(加速度が極めて大きい等の)場合、緊急通報の優先度を高める必要がある場合であれば、緊急通報用の無線リソースを確保した後にエアバッグが展開されたか否かを判定するようにし、一方、車両が衝突する可能性が小さい(不確かな)場合、車両が衝突したときに想定される損傷の程度が小さい場合、緊急通報の優先度を高める必要がない場合であれば、エアバッグが展開されたと判定した後に緊急通報用の無線リソースを確保するようにしても良い。
【符号の説明】
【0034】
図面中、1は車載緊急通報装置、2は制御部(制御手段)、3は無線通信部(無線通信手段)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
緊急通報信号を送信する無線通信手段と、
緊急通報の開始トリガが発生したと判定した場合に、緊急通報信号を前記無線通信手段から送信させて緊急通報を行う制御手段とを備えた車載緊急通報装置であって、
前記制御手段は、車両が衝突する可能性があると判定し且つ緊急通報中でないと判定した場合に、緊急通報を可能となるように緊急通報用の無線リソースを確保することを特徴とする車載緊急通報装置。
【請求項2】
請求項1に記載した車載緊急通報装置において、
前記制御手段は、車両が衝突する可能性があると判定し且つ緊急通報中でないと判定した場合に、前記無線通信手段がドーマント状態であるか否かを判定し、前記無線通信手段がドーマント状態であると判定した場合に、前記無線通信手段の無線通信回線を再接続させてドーマント状態から復帰させた後に、緊急通報用の無線リソースを確保することを特徴とする車載緊急通報装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載した車載緊急通報装置において、
前記制御手段は、緊急通報用の無線リソースを確保した後に緊急通報の開始トリガが発生したか否かを判定し、緊急通報の開始トリガが発生したと判定した場合に、緊急通報信号を前記無線通信手段から送信させることを特徴とする車載緊急通報装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載した車載緊急通報装置において、
前記制御手段は、緊急通報の開始トリガが発生したと判定した後に緊急通報用の無線リソースを確保し、緊急通報信号を前記無線通信手段から送信させることを特徴とする車載緊急通報装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載した車載緊急通報装置において、
前記制御手段は、緊急通報用の無線リソースを確保した後に緊急通報の開始トリガが発生したか否かを判定するか、緊急通報の開始トリガが発生したと判定した後に緊急通報用の無線リソースを確保するかを選択的に行うことを特徴とする車載緊急通報装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載した車載緊急通報装置において、
前記制御手段は、緊急通報以外の別の用途での前記無線通信手段に対する無線通信回線の接続要求を受付けないことにより、緊急通報を可能となるように緊急通報用の無線リソースを確保することを特徴とする車載緊急通報装置。
【請求項7】
請求項1乃至5の何れかに記載した車載緊急通報装置において、
前記制御手段は、緊急通報以外の別の用途で前記無線通信手段が接続している無線通信回線を切断することにより、緊急通報を可能となるように緊急通報用の無線リソースを確保することを特徴とする車載緊急通報装置。
【請求項8】
請求項1乃至5の何れかに記載した車載緊急通報装置において、
前記制御手段は、緊急通報以外の別の用途での前記無線通信手段における無線通信回線の接続禁止を通知することにより、緊急通報を可能となるように緊急通報用の無線リソースを確保することを特徴とする車載緊急通報装置。
【請求項9】
請求項1乃至5の何れかに記載した車載緊急通報装置において、
前記制御手段は、緊急通報以外の別の用途での前記無線通信手段における無線通信回線の接続帯域を制限することにより、緊急通報を可能となるように緊急通報用の無線リソースを確保することを特徴とする車載緊急通報装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−164969(P2011−164969A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−27560(P2010−27560)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】