説明

車載表示機器、表示方法、および、プログラム

【課題】ナビゲーション装置の消費電力をなるべく抑える技術を提供する。
【解決手段】バッテリーを備える車両に搭載される車載表示機器であって、画像を表示する表示部と、バッテリーの電気残量が規定量以上であるか否か判定する電気残量判定部と、バッテリーの電気残量が規定量未満であると判定された場合には、当該車両における電力消費量を抑制する電力消費量管理部と、を備え、電力消費量管理部は、電力消費量を抑制するために、表示部に画像を表示するエリアを縮小する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載表示機器、表示方法、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、電気自動車(Electric Vehicle)の開発が進んできている(例えば、特許文献1)。
【0003】
電気自動車では、電気を動力源としており、従来のエンジン駆動の自動車と比べて電力の消費量が多くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−259549号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そのため、電気自動車では、従来のエンジン駆動の自動車と同様に電力を消費していると、1回の充電で走行できる距離が短くなってしまう。
【0006】
本発明は、電気自動車等の車両で使用されるナビゲーション装置の消費電力をなるべく抑える技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本願発明は、バッテリーを備える車両に搭載される車載表示機器であって、画像を表示する表示部と、前記バッテリーの電気残量が規定量以上であるか否か判定する電気残量判定部と、前記バッテリーの電気残量が規定量未満であると判定された場合には、当該車両における電力消費量を抑制する電力消費量管理部と、を備え、前記電力消費量管理部は、前記電力消費量を抑制するために、前記表示部で画像を表示するエリアを縮小する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態が適用されたナビゲーション装置の概略構成図である。
【図2】地図データの概略データ構造を示す図である。
【図3】演算処理部の機能ブロック図である。
【図4】電力消費制御処理を示すフロー図である。
【図5】(A)通常の表示例を示す図である。(B)消費電力を抑制した第1の表示例を示す図である。
【図6】(A)消費電力を抑制した第2の表示例を示す図である。(B)消費電力を抑制した第3の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態の一例を図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態が適用されたナビゲーション装置100の概略構成図である。
【0011】
ナビゲーション装置100は、地図情報を表示して、ナビゲーション装置100の現在地を示す地点と、設定された目的地までの経路を誘導する装置(いわゆる、ナビゲーション装置)である。
【0012】
図示するように、ナビゲーション装置100は、演算処理部1と、ディスプレイ2と、記憶装置3と、音声入出力装置4(マイクロフォン41、スピーカ42)と、入力装置5(タッチパネル51、ダイヤルスイッチ52)と、車速センサ6と、ジャイロセンサ7と、GPS受信装置8と、を備えている。
【0013】
演算処理部1は、様々な処理を行う中心的ユニットである。例えば、演算処理部1は、数値演算及び各デバイスを制御するといった様々な処理を実行するCPU(Central Processing Unit)21と、記憶装置3から読み出した地図データ、演算データなどを格納するRAM(Random Access Memory)22と、プログラムやデータを格納するROM(Read Only Memory)23と、各種ハードウェアを演算処理部1に接続するためのI/F(インタフェース)24と、を有する。そして、演算処理部1は、各デバイスをバス25で相互に接続した構成からなる。そして、後述する各機能部(101〜105)は、CPU21がRAM22などのメモリに読み出したプログラムを実行することで実現される。
【0014】
例えば、演算処理部1は、車速センサ6、ジャイロセンサ7、GPS受信装置8から出力される情報を基にして現在地を算出する。また、得られた現在地情報に基づいて、表示に必要な地図データ310を記憶装置3から読み出す。また、読み出した地図データ310をグラフィック展開し、そこに現在地を示すマーク(「現在地マーク」)を重ねてディスプレイ2へ出力する。また、記憶装置3に記憶されている地図データ310を用いて、ユーザから指示された出発地又は現在地と、目的地(または、経由地や立ち寄り地)と、を結ぶ最適な経路(以下では「推奨経路」という)を探索する。また、音声入出力装置4のスピーカ42やディスプレイ2を用いてユーザを誘導するための誘導情報を生成し、生成した誘導情報をスピーカ42やディスプレイ2へ出力する。
【0015】
ディスプレイ2は、文字や画像を表示するための画面を備え、演算処理部1等で生成されたグラフィックス情報を、前記画面上に表示するユニットである。ディスプレイ2は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどで構成される。
【0016】
例えば、ディスプレイ2は、マトリクス状に配置された複数のバックライトを備えており、バックライトの光源から発した光を部分的に遮ったり透過させたりすることによって表示を行う。そして、本実施形態のディスプレイ2は、全てのバックライトのうち一部のバックライトを点灯させたり消灯させたりすることができる。こうして、本実施形態のディスプレイ2は、前記画面の全領域のうち一部の領域だけを点灯させたり消灯させたりすることができる。
【0017】
記憶装置3は、各種情報を記憶する装置である。記憶装置3は、HDD(Hard Disk Drive)や不揮発性メモリカードといった、少なくとも読み書きが可能な記憶媒体で構成される。この記憶媒体には、例えば、通常の経路探索に必要な地図データ310が記憶されている。
【0018】
図2は、地図データ310の概略データ構造を示す図である。図示するように、地図データ310は、地図上の区画された領域であるメッシュの識別コード(メッシュID)311ごとに、そのメッシュ領域に含まれている道路を構成する各リンクのリンクデータ320を含んでいる。
【0019】
リンクデータ320は、リンクの識別コード(リンクID)321ごとに、リンクを構成する2つのノード(開始ノード、終了ノード)の座標情報322、リンクを含む道路の種別情報を示す道路種別323、リンクの長さを示すリンク長情報324、リンク旅行時間325、2つのノードにそれぞれ接続するリンクの識別コード(接続リンクID)326、などを含んでいる。なお、ここでは、リンクを構成する2つのノードについて開始ノードと終了ノードを区別することで、道路の上り方向と下り方向を、それぞれ別のリンクとして管理することができる。また、地図データ310には、地図表示における道路や施設を表示するための描画データが格納されている。
【0020】
図1に戻って説明する。音声入出力装置4は、音声入力装置としてマイクロフォン41と、音声出力装置としてスピーカ42と、を備える。マイクロフォン41は、運転手やその他の搭乗者から発された音声などを取得する。スピーカ42は、演算処理部1で生成されたユーザへのメッセージ等の音声情報を音声として出力する。マイクロフォン41とスピーカ42は、車両の所定の部位に、別個に配置されている。ただし、一体の筐体に収納されていてもよい。ナビゲーション装置100は、マイクロフォン41及びスピーカ42を、それぞれ複数備えることができる。
【0021】
入力装置5は、ユーザからの指示を受け付けるユニットである。入力装置5は、タッチパネル51と、ダイヤルスイッチ52と、その他のハードスイッチ(図示せず)であるスクロールキー、縮尺変更キーなどで構成される。また、入力装置5には、ナビゲーション装置100に対して遠隔で操作指示を行うことができるリモートコントローラが含まれる。リモートコントローラでは、ダイヤルスイッチやスクロールキー、縮尺変更キーなどを備え、各キーやスイッチが操作された情報をナビゲーション装置100に送出することができる。
【0022】
タッチパネル51は、表示面側に搭載された透過性のある操作パネルである。タッチパネル51は、ディスプレイ2に表示された画像のXY座標と対応したタッチ位置を特定し、タッチ位置を座標に変換して出力する。タッチパネル51は、感圧式または静電式の入力検出素子などにより構成される。
【0023】
ダイヤルスイッチ52は、時計回り及び反時計回りに回転可能に構成され、所定の角度の回転ごとにパルス信号を発生し、演算処理部1に出力する。演算処理部1では、パルス信号の数から、ダイヤルスイッチ52の回転角度を求める。
【0024】
車速センサ6、ジャイロセンサ7、及びGPS受信装置8は、ナビゲーション装置100で現在地すなわち自車位置を算出するために使用される。車速センサ6は、車速を算出するために用いる車速データを出力するセンサである。ジャイロセンサ7は、光ファイバジャイロや振動ジャイロ等で構成され、移動体の回転による角速度を検出するセンサである。GPS受信装置8は、GPS衛星からの信号を受信し、移動体とGPS衛星間の距離とその距離の変化率を3個以上の衛星に対して測定することで、移動体の現在地、進行速度、および進行方位を測定する。
【0025】
図3は、演算処理部1の機能ブロック図である。図示するように、演算処理部1は、基本制御部101と、入力受付部102と、出力処理部103と、電気残量取得部104と、電力消費量管理部105と、を有する。
【0026】
基本制御部101は、様々な処理を行う機能部であり、処理内容に応じて、他の機能部(102〜105)を制御する。また、各種センサ6、7、GPS受信装置8等から情報を取得し、マップマッチング処理等を行って現在地を算出する。また、随時、走行した日付および時刻と、位置と、を対応付けて、リンクごとに走行履歴を記憶装置3に記憶する。さらに、各機能部(102〜105)からの要求に応じて、GPS受信装置8によって受信したGPS情報に含まれる現在時刻を出力する。また、基本制御部101は、他の機能部(102〜105)から推奨経路の情報を要求されると、当該情報を出力する。
【0027】
また、基本制御部101は、地図データ310を用いて、出発地又は現在地と、目的地と、を結ぶ最適な経路(推奨経路)を探索する。当該経路探索においては、ダイクストラ法等の経路探索ロジックを用いて、道路の所定の区間(リンク)に対して予め設定されたリンクコストに基づいて経路を探索する。なお、基本制御部101は、経路探索の際に現在の日時に基づいて予測した到着日時・日の種類に対応する統計情報に含まれるリンクコストを用いて探索するようにしてもよい。
【0028】
また、基本制御部101は、ナビゲーション装置100(自車両)の現在地が推奨経路から逸脱しないよう、推奨経路に基づいて誘導情報を生成し、出力処理部103へ出力する。
【0029】
入力受付部102は、入力装置5またはマイクロフォン41を介して入力されたユーザからの指示を受け付け、その要求内容に対応する処理が実行されるように、受け付けた要求内容を基本制御部101へ出力する。例えば、ユーザから推奨経路を探索するように要求されたときは、受け付けた推奨経路の探索要求を基本制御部101へ出力する。
【0030】
出力処理部103は、例えば、表示させる画面情報を受け取り、ディスプレイ2に描画するためのグラフィックス情報に変換して、ディスプレイ2に対して描画する指示を行う。また、処理内容に応じてスピーカ42から音声情報を出力する指示を行う。
【0031】
電気残量取得部104は、バッテリー(不図示)の電気残量を取得する。なお、バッテリーは、ナビゲーション装置100や、車両を駆動するための電動機など、車両全体に電力を供給する。バッテリーは、充放電可能な二次電池、例えばリチウムイオンポリマー電池や、リチウムイオン電池、あるいはニッケル水素電池またはニッケルカドミウム電池等の各種二次電池の利用を想定している。しかし、これに限らず、一次電池であってもよいし、その他の電源であってもよい。
【0032】
電力消費量管理部105は、ナビゲーション装置100における電力消費量を管理する。本実施形態では、電力消費量管理部105は、特に、ディスプレイ2における電力消費量を管理する。
【0033】
具体的には、電力消費量管理部105は、電気残量取得部104によって取得されたバッテリーの電気残量が規定値以上であるか否か判定する。そして、電力消費量管理部105は、バッテリーの電気残量が規定値未満であると判定された場合に、ナビゲーション装置100における電力消費量を抑制する制御を行う。
【0034】
ここで、電力消費量を抑制する制御として、電力消費量管理部105は、例えば、ディスプレイ2に画像を表示するエリア(以下では「表示エリア」とよぶ)の面積を縮小する。すなわち、電力消費量管理部105は、表示エリアを所定の縮小率によって縮小し、その縮小された表示エリア外に配置されているバックライトを消灯する。
【0035】
なお、電力消費量管理部105は、電気残量取得部104によって取得されたバッテリーの電気残量に応じて、表示エリアの縮小率を変更してもよい。例えば、電力消費量管理部105は、表示エリアの縮小率を、バッテリーの電気残量に比例するように変更する。すなわち、電力消費量管理部105は、バッテリーの電気残量が、最大容量の「1/2」である場合には、表示エリアの縮小率を50%とし、最大容量の「1/4」となる場合には、表示エリアの縮小率を25%とするような制御が考えられる。
【0036】
また、電力消費量管理部105は、電気残量取得部104によって取得されたバッテリーの電気残量が規定値以上であると判定された場合には、ナビゲーション装置100における電力消費量を抑制する制御を解除する。例えば、電力消費量管理部105は、バッテリーの電気残量が、規定値未満から規定値以上に回復した場合には、ディスプレイ2の消灯させていたバックライトを点灯させて表示エリアを元に戻す。
【0037】
なお、上記した各構成要素は、ナビゲーション装置100の構成を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。構成要素の分類の仕方やその名称によって、本願発明が制限されることはない。ナビゲーション装置100の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
【0038】
また、各機能部(101〜105)は、ハードウェア(ASICなど)により構築されてもよい。また、各機能部の処理が1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。
【0039】
次に、上記構成からなるナビゲーション装置100の特徴的な動作について説明する。
【0040】
<電力消費制御処理>
図4は、ナビゲーション装置100の演算処理部1が行う「電力消費制御処理」の概要を示すフローチャートである。
【0041】
演算処理部1は、例えば、ナビゲーション装置100に電源が投入されてから所定時間毎(例えば、1分毎)に、本フローを開始する。
【0042】
本フローを開始すると、電気残量取得部104は、バッテリーの電気残量を取得する(ステップS101)。具体的には、電気残量取得部104は、バッテリーに対して電気残量を示す情報の出力を要求する。この要求に応じて、バッテリーは、電気残量を示す情報を電気残量取得部104に通知する。こうして、電気残量取得部104は、ステップS101においてバッテリーの電気残量を取得することができる。
【0043】
次に、電力消費量管理部105は、ステップS101で電気残量取得部104によって取得されたバッテリーの電気残量が規定値以上であるか否か判定する(ステップS102)。具体的には、電力消費量管理部105は、ROM23等に予め格納されている規定値を読み出し、ステップS101で取得されたバッテリーの電気残量と比較することによって判定する。なお、予めROM23等に格納されている規定値は、0%以上100%以下の値とする。
【0044】
ステップS102においてバッテリーの電気残量が規定値以上であると判定された場合には(ステップS102;Yes)、電力消費量管理部105は、処理をステップ103に移行し、画像を表示すべき表示エリアの縮小率、位置を決定する(ステップS103)。ただし、ステップS103では、ディスプレイ2の画面全体を表示エリアとするため、電力消費量管理部105は、表示エリアの縮小率を100%と決定し、表示エリアの位置を画面全体と決定する。
【0045】
続いて、電力消費量管理部105は、ステップS103で決定された表示エリアの縮小率とエリアに基づいて、ディスプレイ2を点灯させる(ステップS104)。具体的には、電力消費量管理部105は、ディスプレイ2の全てのバックライトを点灯する指示を、出力処理部103に対して通知する。そして、この通知を受けた出力処理部103は、ディスプレイ2に備わる全てのバックライトの点灯を維持したまま、ディスプレイ2の画面全体に表示対象の画像を表示する。
【0046】
図5(A)は、ステップS104でバックライトが点灯された場合の表示例、すなわち、通常の表示例を示す図である。図示するように、バッテリーの電気残量が規定値以上と判定された場合には、ディスプレイ2の画面全体に地図(現在地マークが重ねられた地図データ310)等の画像が表示される。
【0047】
このように、本実施形態のナビゲーション装置100では、バッテリーの電気残量が規定値以上であると判定された場合には、ナビゲーション装置100における電力消費量は抑制されない。また、バッテリーの電気残量が規定値未満から規定値以上に回復した場合には、ナビゲーション装置100における電力消費量の抑制制御は解除されることになる。
【0048】
なお、電力消費量管理部105は、ステップS104でバックライトを点灯する指示を出力処理部103に通知した後、図4に示す電力消費制御処理を終了する。
【0049】
一方、ステップS102においてバッテリーの電気残量が規定値未満であると判定された場合には(ステップS102;No)、電力消費量管理部105は、処理をステップS105に移行して、画像を表示すべき表示エリアの縮小率、位置を決定する(ステップS105)。
【0050】
具体的には、電力消費量管理部105は、まず、予めROM23等に格納されている値(縮小率)を読み出し、表示エリアの縮小率として決定する。また、電力消費量管理部105は、ステップS101で電気残量取得部104によって取得されたバッテリーの電気残量に応じて、表示エリアの縮小率を変更してもよい。この場合には、電力消費量管理部105は、表示エリアの縮小率を、バッテリーの電気残量に比例するように変更する。
【0051】
それから、電力消費量管理部105は、縮小された表示エリアの位置を、例えば、ディスプレイ2の左下隅に決定する。もちろん、縮小された表示エリアの位置はこれに限定されず、ディスプレイ2の右下隅、左上隅、右上隅、中央等を表示エリアの位置としてもよい。
【0052】
続いて、電力消費量管理部105は、ステップS105で決定された表示エリアの縮小率と位置に基づいて、ディスプレイ2の一部を消灯させる(ステップS106)。具体的には、電力消費量管理部105は、ステップS105で決定された表示エリアの縮小率と位置を出力処理部103に対して通知する。そして、この通知を受けた出力処理部103は、通知された表示エリアの縮小率と位置に基づいて点灯が不要となるバックライトを特定し、特定したバックライトを消灯する。こうして、バックライトが消灯されずに点灯されたままの表示エリアには、表示対象の画像が表示される。
【0053】
なお、点灯が不要となるバックライトの特定方法としては、電力消費量管理部105は、まず、点灯が必要なバックライト(表示エリア)を特定した後に、それ以外のバックライト(非表示エリア)を、点灯が不要なバックライトとして特定すればよい。例えば、ステップS105で表示エリアの縮小率が「50%」と決定され、表示エリアの位置が「左下隅」と決定された場合には、電力消費量管理部105は、ディスプレイ2に備わる全バックライトのうち、ディスプレイ2の左下隅に配置されている50%分(半数)のバックライトを、点灯が必要なバックライトとして特定する。それから、電力消費量管理部105は、それ以外のバックライトを点灯が不要なバックライトとして特定する。なお、表示エリアの面積を変更する場合には、図示するように、表示エリアの縦横比を一定に保つようにしてもよい。
【0054】
図5(B)は、ステップS106でバックライトが消灯された場合の表示例、すなわち、消費電力を抑制した場合の第1の表示例を示す図である。バックライトが点灯しているエリアを白領域で示し、バックライトが消灯しているエリアを黒領域で示す。図示するように、バッテリーの電気残量が規定値未満と判定された場合には、ディスプレイ2の一部のエリアに地図(現在地マークが重ねられた地図データ310)等の画像が表示される。これにより、本実施形態のナビゲーション装置100が設置された車両における消費電力を抑制することができる。
【0055】
また、図6(A)は、ステップS106において、バッテリーの電気残量に応じて、表示エリアの縮小率を変更する場合の表示例、すなわち、消費電力を抑制した場合の第2の表示例を示す図である。図5(B)と同様に、バックライトが点灯しているエリアを白領域で示し、バックライトが消灯しているエリアを黒領域で示す。図示するように、バッテリーの電気残量が図5(B)の時のバッテリーの電気残量よりも少ない場合には、図5(B)に示す表示エリアよりも面積が小さい表示エリアに画像が表示される。なお、図示する例では、表示エリアの位置は、ディスプレイ2の中央付近に設定されている。また、図示していないが、バッテリーの電気残量が図5(B)の時のバッテリーの電気残量よりも多い場合には、図5(B)に示す表示エリアよりも面積が大きい表示エリアに画像が表示される。こうすることにより、表示エリアの縮小率を変更しない場合よりも、ナビゲーション装置100(特に、ディスプレイ2)における消費電力を、効率良く抑えることができる。
【0056】
また、図6(B)は、ステップS106において、表示エリアの縮小、拡大に合わせて、表示する地図の縮尺を変更する場合の表示例、すなわち、消費電力を抑制した場合の第3の表示例を示す図である。図5(B)と同様に、バックライトが点灯しているエリアを白領域で示し、バックライトが消灯しているエリアを黒領域で示す。図示するように、表示エリアが縮小されると、その縮小率に合わせて、表示エリアに表示する地図の縮尺を小さくする(広域地図に変更する)。これにより、表示エリアが縮小される場合であっても、地図全体を縮小された表示エリアに表示することができる。また、図示していないが、表示エリアが拡大されると、その拡大率に合わせて、表示エリアに表示する地図の縮尺を大きくする(詳細地図に変更する)。こうして、表示エリアが縮小、拡大される場合であっても、その縮小、拡大によらず同範囲の地図を表示することができる。
【0057】
以上のように、本実施形態のナビゲーション装置100では、バッテリーの電気残量が規定値未満であると判定された場合には、ナビゲーション装置100における電力消費量が抑制される。
【0058】
なお、電力消費量管理部105は、ステップS106で表示エリアの縮小率と位置を出力処理部103に通知した後、図4に示す電力消費制御処理を終了する。
【0059】
なお、上記したフローの各処理単位は、ナビゲーション装置100の処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。処理ステップの分類の仕方やその名称によって、本願発明が制限されることはない。ナビゲーション装置100が行う処理は、さらに多くの処理ステップに分割することもできる。また、1つの処理ステップが、さらに多くの処理を実行してもよい。
【0060】
また、上記の実施形態は、本発明の要旨を例示することを意図し、本発明を限定するものではない。多くの代替物、修正、変形例は当業者にとって明らかである。
【0061】
以下に、上記実施形態の変形例を挙げる。
【0062】
例えば、上記実施形態では、出力処理部103は、ディスプレイ2に備わる全バックライトのうち一部のバックライトを消灯することによって表示エリアを縮小している。しかし、本発明はこれに限定されない。例えば、出力処理部103は、ディスプレイ2に表示する画像自体を縮小してもよい。もちろん、このとき、画像が縮小されて点灯の必要がなくなったバックライトについては消灯する。
【0063】
また、上記実施形態では、電力消費量管理部105は、表示エリアの縮小率を、バッテリーの電気残量に比例するように変更している。しかし、本発明はこれに限定されず、表示エリアの縮小率とバッテリーの電気残量は比例していなくてもよい。例えば、電力消費量管理部105は、表示エリアの縮小率を段階的に変化させてもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、図5(B)、図6(A)、図(B)に示すように、表示エリアの形状を矩形にしている。しかし、本発明はこれに限定されない。例えば、表示エリアの形状は楕円であってもよいし、推奨経路付近のバックライトだけを点灯させる形状としてもよい。
【0065】
また、画面表示は必ずしも、元の画像を縮小したものでなくてもよく、表示エリアの大きさに応じた見やすい表示形態(例えば、交差点の進行方向と距離を矢印で示すTBT表示など)に変化させてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1・・・演算処理部、2・・・ディスプレイ、3・・・記憶装置、4・・・音声入出力装置、5・・・入力装置、6・・・車速センサ、7・・・ジャイロセンサ、8・・・GPS受信装置、21・・・CPU、22・・・RAM、23・・・ROM、24・・・インターフェイス(I/F)、41・・・マイクロフォン、42・・・スピーカ、51・・・タッチパネル、52・・・ダイヤルスイッチ、100・・・ナビゲーション装置、101・・・基本制御部、102・・・入力受付部、103・・・出力処理部、104・・・電気残量取得部、105・・・電力消費量管理部、310・・・地図データ、311・・・メッシュID、320・・・リンクデータ、321・・・リンクID、322・・・開始ノード・終了ノード、323・・・道路種別、324・・・リンク長、325・・・リンク旅行時間、326・・・開始接続リンク・終了接続リンク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーを備える車両に搭載される車載表示機器であって、
画像を表示する表示部と、
前記バッテリーの電気残量が規定量以上であるか否か判定する電気残量判定部と、
前記バッテリーの電気残量が規定量未満であると判定された場合には、当該車両における電力消費量を抑制する電力消費量管理部と、を備え、
前記電力消費量管理部は、
前記電力消費量を抑制するために、前記表示部に画像を表示するエリアを縮小する、
ことを特徴とする車載表示機器。
【請求項2】
請求項1に記載の車載表示機器であって、
前記電力消費量管理部は、
表示が不要となる部分を消灯することによって、前記表示部に画像を表示するエリアを縮小する、
ことを特徴とする車載表示機器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車載表示機器であって、
前記表示部は、液晶表示装置であり、
前記電力消費量管理部は、
表示が不要となるエリアのバックライトを消灯することによって、前記表示部に画像を表示するエリアを縮小する、
ことを特徴とする車載表示装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車載表示機器であって、
前記電力消費量管理部は、
前記バッテリーの電気残量に応じて、前記表示部に画像を表示するエリアの縮小率を変更する、
ことを特徴とする車載表示装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車載表示装置であって、
前記電力消費量管理部は、
前記バッテリーの電気残量が規定量以上に回復したと判定された場合には、前記表示部に画像を表示するエリアを元の大きさに戻し、消灯していた部分を点灯する、
ことを特徴とする車載表示装置。
【請求項6】
バッテリーを備える車両に搭載される車載表示機器における表示方法であって、
前記車載表示機器は、画像を表示する表示部を備えており、
前記バッテリーの電気残量が規定量以上であるか否か判定する電気残量判定ステップと、
前記バッテリーの電気残量が規定量未満であると判定された場合には、当該車両における電力消費量を抑制する電力消費量管理ステップと、を行い、
前記電力消費量管理ステップでは、
前記電力消費量を抑制するために、前記表示部に画像を表示するエリアを縮小する、
ことを特徴とする表示方法。
【請求項7】
コンピューターを、バッテリーを備える車両に搭載される車載表示機器として機能させるためのプログラムであって、
前記車載表示機器は、画像を表示する表示部を備えており、
前記バッテリーの電気残量が規定量以上であるか否か判定する電気残量判定ステップと、
前記バッテリーの電気残量が規定量未満であると判定された場合には、当該車両における電力消費量を抑制する電力消費量管理ステップと、を前記コンピューターに実行させ、
前記電力消費量管理ステップでは、
前記電力消費量を抑制するために、前記表示部に画像を表示するエリアを縮小する、
ことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−157100(P2012−157100A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−12004(P2011−12004)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】