説明

車載表示装置

【課題】低コストで天候等の車外環境を表示画面に反映させる車載表示装置を提供する。
【解決手段】 車両の周囲の環境情報を取得する車外環境取得手段と、取得した環境情報に応じた表示画像を作成する表示画像作成手段と、作成された表示画像を表示器に表示する表示制御手段と、を有することを特徴とする車載表示装置として提供可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されてユーザに各種情報を表示する車載表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の走行に伴ってGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)等により現在位置を検出し、その現在位置を表示装置上に道路地図と共に表示して、現在地から目的地までの適切な経路を設定し、表示装置や音声出力装置などによって案内する車載用ナビゲーション装置は、ユーザの効率的で安全な運転に貢献している。
【0003】
このような車載用ナビゲーション装置は、表示画面に2次元的な道路地図を表示するだけでなく、3次元的な俯瞰画像を表示して、より分かりやすい現実的な道路状況を表示できるようになっている。この3次元画像には空(そら)も表示されており、この空表示は、晴れ、曇り、雨、雪等の空の図柄をユーザの指示により選択できるようになっている。また、撮影装置により指定された天気状態で撮影された風景映像や、表示された風景映像に仮想天気画面を合成して表示する車載用ナビゲーション装置も知られている。
【0004】
さらに、FM多重放送受信部によりFM放送局から気象情報をテキストデータとして取得し、現在位置検出部により車両の現在位置情報を取得し、制御部が、取得した気象情報から現在位置における天気予報を検出して、それに合わせて表示部に表示する3次元画像の空の図柄を、晴れの場合は晴れの図柄に、雨の場合は雨の図柄に切り替える車載用ナビゲーション装置が考案されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、気象情報に基づいて、気象状況を加味した前記立体的な画像を表示する表示手段を備え、ドライバが視覚風景と表示された地図画面とを照合しやすく、右左折すべき交差点等を容易に認識することができることを特徴とする車載用ナビゲーション装置が考案されている(特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2004−150972号公報
【特許文献2】特開2002−286461号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の例では、FM放送局から取得する気象情報は広域的なものであって、取得した気象情報と車両の現在位置情報とから検出された天候が、車両の現在位置の天候と必ずしも一致するわけではないので、例えば、雨天走行中も表示画面では晴天の画面を表示してしまうというような表示画面の天候表示と実際の天候との相違によってユーザが違和感を受ける問題がある。
【0008】
特許文献2の例では、記憶装置に予め各日付、時刻、緯度及び経度毎の日の出、日の入りの情報を入力しておく必要があり、相応の記憶容量を必要とし、その分のコストアップは避けられない。
【0009】
上記問題を背景として、本発明の課題は、低コストで天候等の車外環境を表示画面に反映させる車載表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するための車載表示装置を提供するものである。すなわち、請求項1によれば、車両の周囲の環境情報を取得する車外環境取得手段と、取得した環境情報に応じた表示画像を作成する表示画像作成手段と、作成された表示画像を表示器に表示する表示制御手段と、を有することを特徴とする車載表示装置として構成される。
【0011】
上記構成によって、記憶装置に予め各日付、時刻、緯度及び経度毎の日の出、日の入りの情報を入力しておく必要はなく、低コストで本発明の車載表示装置の構成を実現できる。
【0012】
請求項2によれば、本発明の車載表示装置は、車両の現在位置を検出する位置検出手段と、電子地図データを記憶する地図データ記憶手段とを有し、表示画像作成手段は車両の現在位置が表示される電子地図データを用いて取得した環境情報に応じた表示画像を作成する構成をとることができる。
【0013】
上記構成によって、車両の現在位置における車両の周囲の環境情報と表示画面の内容は一致するので、車両の周囲の環境情報と表示画面の天候表示との相違によってユーザが違和感を受ける問題は解消される。
【0014】
請求項3によれば、本発明の車載表示装置は、取得した環境情報に基づいて車両の周囲の天候を推定する天候推定手段を有し、表示画像作成手段は推定された天候に応じた表示画像を作成する構成をとることができる。
【0015】
上記構成によって、車両の現在位置の天候と表示画面の内容は一致するので、例えば、雨天走行中も表示画面では晴天の画面を表示してしまうというような表示画面の天候表示と実際の天候との相違によってユーザが違和感を受ける問題は解消される。
【0016】
請求項4によれば、本発明の車載表示装置における車外環境取得手段は、車両の周囲の温度を取得する外気温取得手段、車両の周囲の湿度を取得する湿度取得手段、車両の周囲の明るさを取得する照度取得手段、車両の周囲の降雨状態を取得する降雨状態取得手段、車両の周囲の風向を取得する風向取得手段、および車両の周囲の風速を取得する風速取得手段、のうちの少なくとも一つあるいは二つ以上の組み合わせを含む構成をとることができる。
【0017】
上記構成によって、車両の周囲の環境情報を取得することが可能となり、車両の周囲の天候を推定することができる。
【0018】
請求項5によれば、本発明の車載表示装置における表示制御手段は表示器に立体的な画像を表示する構成をとることができる。
【0019】
上記構成によって、例えば地図を立体表示することで車外の状況により近い画面表示を行なうことができ、合わせて車両の周囲の環境情報を表示することで、車外環境と表示画面との相違は殆どなくなりユーザの違和感は解消される。
【0020】
請求項6によれば、本発明の車載表示装置における表示制御手段は表示器に取得した環境情報に応じた風景画像を表示する構成をとることができる。
【0021】
例えば強風が吹いていても、表示画面では強風に応じた、樹木が風になびくような表示がなされない場合、ユーザは違和感を受ける。上記構成によって、明るさ、降雨、降雪のみではなく、その他の車両の周囲の環境情報に応じた表示を行なうことが可能となり、表示画面の天候表示との相違によってユーザが違和感を受けることはなくなる。
【0022】
請求項7によれば、本発明の車載表示装置における表示制御手段は表示器に取得した環境情報に応じた服装をした通行人を表示する構成をとることができる。
【0023】
従来技術では車載用ナビゲーション装置の地図表示画面上に通行人を表示する例はない。表示する例があったとしても、通行人の服装までは考慮されていない。上記構成によって、通行人は車外環境に応じた服装で表示されるので、車外環境と表示画面との相違は殆どなくなりユーザの違和感は解消される。
【0024】
請求項8によれば、本発明の車載表示装置は、車両のライトの点灯状態を検出する点灯状態検出手段を有し、表示制御手段は検出されたライトの点灯状態と取得した環境情報とに応じて表示器に表示される画像の意匠を変更する構成をとることができる。
【0025】
現在の車載ナビゲーション装置では、ライトが点灯した場合、画面表示の表示意匠,輝度,コントラスト等を変化させて、いわゆる夜モードへの切り替えを行っている。しかし、昼モード/夜モードの切替判定をライトの点灯状態のみで行っているため、雨で視界不良のためライトを点灯させているにもかかわらず夜モードへ遷移してしまうという表示画面と車外環境の不整合が生じている。上記構成によって、表示画面と車外環境の不整合が生じなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
低コストで天気等の車外環境を表示画面に反映させる車載表示装置を提供するという目的を、表示画面の背景だけでなく、通行人,樹木等にも天候等の車外環境を反映させて表示する構成により実現した。
【実施例】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例を参照しながら説明する。図1は本発明の車載表示装置を車載用ナビゲーション装置に適用した場合の全体構成を示すブロック図である。なお、本発明の車載表示装置の適用範囲を車載用ナビゲーション装置に限定するものではない。
【0028】
車載用ナビゲーション装置(以下、ナビゲーション装置と略称する)100は、位置検出器1,地図データ入力器6,操作スイッチ群7,リモートコントロール(以下リモコンと称する)センサ11,音声案内などを行なう音声合成回路24およびスピーカ15,不揮発メモリ9,表示器10,ハードディスク装置(HDD)21,これらの接続された制御回路8,リモコン端末12を備えている。
【0029】
本発明の位置検出手段である位置検出器1は、周知の地磁気センサ2,ジャイロスコープ3,距離センサ4,および衛星からの電波に基づいて車両の位置を検出するGPS受信機5を有している。これらのセンサ等2,3,4,5は各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては前述したうちの一部のセンサで構成してもよく、さらに、ステアリングの回転センサや各転動輪の車輪センサ例えば車速センサ23等を用いてもよい。
【0030】
操作スイッチ群7は、例えば表示器10と一体になったタッチパネル22もしくはメカニカルなスイッチが用いられる。タッチパネル22は、表示器10の画面上にガラス基盤と透明なフィルムにスペーサと呼ばれる隙間を介してX軸方向、Y軸方向に電気回路が配線され、フィルム上をユーザがタッチすると、押された部分の配線がショートして電圧値が変わるため、これを2次元座標値(X,Y)として検出する、いわゆる抵抗膜方式が広く用いられる。その他に、透明な導電性基盤のガラス面に電気信号を受ける物質を塗布し、指をガラス面に近づけると静電容量の変化を電気信号としてセンサで検知する、いわゆる静電容量方式を用いてもよい。
【0031】
メカニカルスイッチ,タッチパネル22の他に、マウスやカーソル等のポインティングデバイスを用いてもよい。また、マイク31および音声認識ユニット30を用いて種々の指示を入力することも可能である。これは、マイク31から入力された音声信号を、音声認識ユニット30において周知の隠れマルコフモデル等の音声認識アルゴリズムを用いた音声認識技術により処理を行ない、その結果に応じた操作コマンドに変換するものである。これら操作スイッチ群7、リモコン端末12、マイク31によって、種々の指示を入力することが可能である。
【0032】
送受信機13は、例えばVICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報通信システム)センタ14から道路交通情報を受信するための装置である。
【0033】
また、ETC(自動料金収受システム,ETC:Electronic Toll Collection)車載器16と通信することにより、ETC車載器16が図示しないETC路上器から受信した料金情報などを本ナビゲーション装置100に取り込むことができる。また、ETC車載器16によって外部ネットワークと接続し、VICSセンタ14との通信を行なう構成をとってもよい。
【0034】
本発明の表示制御手段,天候推定手段,表示画像作成手段である制御回路8は通常のコンピュータとして構成されており、周知のCPU81,ROM82,RAM83,入出力回路であるI/O84およびこれらの構成を接続するバスライン85が備えられている。CPU81は、HDD21に記憶されたナビプログラム21pおよびデータにより制御を行なう。また、HDD21へのデータの読み書きの制御はCPU81によって行なわれる。A/D変換部86は周知のA/D(アナログ/デジタル)変換回路を含み、例えば位置検出器1などから制御回路8に入力されるアナログデータをCPU81で演算可能なデジタルデータに変換するものである。ROM82に、HDD21が故障した場合にナビゲーション機能のうちで必要最低限の動作を行なうためのプログラムを記憶しておいてもよい。
【0035】
本発明の地図データ記憶手段であるHDD21には、ナビプログラム21pの他に位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、道路の接続を表した道路データを含む地図データ21mが記憶される。地図データ21mは、表示用となる所定の地図画像情報を記憶すると共に、リンク情報やノード情報等を含む道路網情報を記憶する。リンク情報は、各道路を構成する所定の区間情報であって、位置座標、距離、所要時間、道幅、車線数、制限速度等から構成される。また、ノード情報は、交差点(分岐路)等を規定する情報であって、位置座標、右左折車線数、接続先道路リンク等から構成される。また、リンク間接続情報には、通行の可不可を示すデータなどが設定されている。
【0036】
また、HDD21には経路案内の補助情報や娯楽情報、その他にユーザが独自にデータを書き込むことができ、ユーザデータ21uとして記憶される。これらのユーザデータ21uは、操作スイッチ群7,タッチパネル22およびリモコン端末12の操作あるいはマイク31からの音声入力によって内容の書き換えが可能である。また、ナビゲーション装置100の動作に必要なデータや各種情報をデータベース21dとして記憶してもよい。
【0037】
また、地図データ21mおよびユーザデータ21uは、地図データ入力器6を介して記憶媒体20からそのデータの追加・更新を行なうことが可能である。記憶媒体20は、そのデータ量からCD−ROMやDVDを用いるのが一般的であるが、例えばメモリカード等の他の媒体を用いてもよい。また、外部ネットワークを介してデータをダウンロードしてもよい。
【0038】
不揮発メモリ9はEEPROM(Electrically Erasable & Programmable Read Only Memory:電気的消去・プログラム可能・読出し専用メモリ)やフラッシュメモリ等の書き換え可能な半導体メモリによって構成され、ナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータが記憶されている。なお、不揮発メモリ9は、車両40のアクセサリスイッチがオフ状態すなわち、ナビゲーション装置100がオフ状態になっても、記憶内容が保持されるようになっている。
【0039】
また、不揮発メモリ9の代わりにナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータをHDD21に記憶してもよい。さらに、ナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータを不揮発メモリ9とHDD21に分けて記憶してもよい。
【0040】
表示器10は周知のカラー液晶表示器で構成され、ドット・マトリックスLCD(Liquid Crystal Display)およびLCD表示制御を行なうための図示しないドライバ回路を含んで構成されている。ドライバ回路は、例えば、画素毎にトランジスタを付けて目的の画素を確実に点灯させたり消したりすることができるアクティブマトリックス駆動方式が用いられ、制御回路8から送られる表示指令および表示画面データに基づいて表示を行なう。また、表示器として有機EL(ElectroLuminescence:電界発光)表示器,プラズマ表示器を用いてもよい。
【0041】
スピーカ15は制御回路8のI/O84に接続される周知の音声合成回路24に接続され、ナビプログラム21pの指令によって不揮発メモリ9あるいはHDD21に記憶されるデジタル音声データを音声合成回路24においてアナログ音声に変換したものが送出される。なお、音声合成の方法には、音声波形をそのままあるいは符号化して蓄積しておき、必要に応じて繋ぎあわせる録音編集方式などがある。
【0042】
車速センサ23は周知のロータリエンコーダ等の回転検出部を含み、例えば車輪取り付け部付近に設置されて車輪の回転を検出してパルス信号として制御回路8に送るものである。制御回路8では、その車輪の回転数を車両40の速度に換算して、車両40の現在位置から所定の場所までの予想到達時間を算出したり、車両40の走行区間毎の平均車速を算出する。
【0043】
外部機器接続装置26は、センサや他の制御機器等の外部機器とデータ伝送可能に接続するための入出力回路,コネクタを含むものである。以下の機能の少なくとも一つ以上を実現可能な構成となっている。
(1)不揮発メモリ9あるいはHDD21に記憶された内容をバックアップするためのデータバックアップ装置の接続。
(2)他の車載機器とデータ伝送を行なうための車内LAN(Local Area Network)の通信インターフェース回路。
(3)携帯電話機17を介しての外部ネットワーク接続。
【0044】
また、外部機器接続装置26を介して車速センサ23からのデータ取り込み、あるいはETC車載器16との接続を行なってもよい。
【0045】
このような構成を持つことにより、ナビゲーション装置100は、制御回路8のCPU81によりナビプログラム21pが起動されると、ユーザが操作スイッチ群7,タッチパネル22、リモコン端末12の操作あるいはマイク31からの音声入力によって、表示器10上に表示されるメニューから目的地経路を表示器10に表示させるための経路案内処理を選択した場合、次のような処理を実施する。
【0046】
すなわち、ユーザが地図上の任意の地点あるいは施設検索や住所検索、ユーザが設定した登録地などから地点を選択して目的地として設定すると、位置検出器1により車両40の現在位置が求められ、該現在位置から目的地までの最適な案内経路を求める処理が行われる。そして、表示器10上の道路地図に案内経路を重ねて表示し、ユーザに適切な経路を案内する。このような自動的に最適な案内経路を設定する手法は、ダイクストラ法等の手法が知られている。また、表示器10およびスピーカ15の少なくとも一方によって、操作時のガイダンスや動作状態に応じたメッセージの報知を行なう。
【0047】
また、車両40には、図2のように風速感知センサ32,温度センサ33,湿度センサ34,水滴感知センサ35,光センサ36が取り付けられている。
【0048】
本発明の車外環境取得手段,風向取得手段,風速取得手段である風速感知センサ32は、例えば図2のように車両40の屋根に取り付けられる。風速感知センサ32は、図3のように圧力を電圧に変換する周知の圧電素子32a〜32hが環状に配置される。制御回路8では圧電素子32a〜32hからの電圧値がA/D変換部86においてCPU81で演算可能なデジタルデータに変換される。そして、位置検出器1によって検出される車両40の現在位置の推移によって求められる車両40の走行方向による補正と、車速センサ23によって検出された車速による補正とにより外気の対地風向・風速を算出する。例えば、車両40が停止中で走行方向が北向き(B方向)である場合、圧電素子32cからの入力電圧値が最も大きい場合は、風向は東と判定され風速は圧電素子32cからの入力電圧値を基に演算されて求められる。また、車両40が走行中で走行方向が北向き(B方向)である場合、いわゆる走行風の影響で圧電素子32a,32b,32hで電圧を検出するので、制御回路8で車両40の走行方向と車速とから走行風の影響を差し引いて風向の検出および風力の演算を行なう。
【0049】
本発明の車外環境取得手段,外気温取得手段である温度センサ33は、例えば図2のように車両40のフロントグリル近傍に取り付けられる。温度センサ33は温度を電圧に変換する周知のサーミスタで構成され、測定電圧を制御回路8へ入力する。制御回路8では温度センサ33からの電圧値がA/D変換部86においてCPU81で演算可能なデジタルデータに変換される。
【0050】
本発明の車外環境取得手段,湿度取得手段である湿度センサ34は、例えば図2のように車両40のフロントグリル近傍に取り付けられる。湿度センサ34は湿度を電圧に変換する周知の高分子膜,セラミック,あるいはサーミスタ等で構成され、測定電圧を制御回路8へ入力する。制御回路8では湿度センサ34からの電圧値がA/D変換部86においてCPU81で演算可能なデジタルデータに変換される。
【0051】
本発明の車外環境取得手段,降雨状態取得手段である水滴感知センサ35はレインセンサともいわれ、例えば図2のようにルームミラーの裏側に取り付けられる。図4のように発光ダイオード(LED)35aなどの発光素子を、一定の周期で点灯し、LED35aから光Aをウィンドシールド(フロントガラス)41に照射する。LED35aからの光Aは、レンズ35bおよびプリズム35cを経て、フロントガラス41の表面で反射され、プリズム35cおよびレンズ35dを経て、フォトダイオード35eなどの受光素子に入射する。そして、フォトダイオード35eの出力信号(パルス信号)を制御回路8に取り込み、反射光量(パルス数)に基づいて雨滴の検出や雨滴の付着量の検出を行って、最終的に降雨レベルを測定している。
【0052】
本発明の車外環境取得手段,照度取得手段である光センサ36は、例えば図2のように車両40のダッシュパネル上部に取り付けられ、車両40の周囲の明るさを測定するもので、光量を電気抵抗の変化で測定する光導電型センサを用いる。光導電型センサは、自動点灯/消灯を行なう街路灯にも用いられている。光導電素子としては、例えば、硫化カドミウム(CdS),カドミウムセレン(CdSe),あるいは、その混晶体を用いる。硫化カドミウムの抵抗値は照射光が強くなると低くなり、照射光が弱くなると高くなる特性を持つ。光センサ36の電気抵抗の変化は該電気抵抗の両端に発生する電圧値として検出されて制御回路8に入力される。制御回路8では光センサ36からの電圧値がA/D変換部86においてCPU81で演算可能なデジタルデータに変換される。車両周囲の明るさに応じてヘッドライトを自動点灯させるオートライトコントロールシステムに用いられる光センサを用いてもよい。
【0053】
また、本発明の点灯状態検出手段であるライトスイッチ37(図1参照)はヘッドランプ,テールランプ等の灯火の点灯/消灯を行なうものである。制御回路8にはライトスイッチ37の操作状態が入力される。
【0054】
図5のフロー図を用いて、画像表示処理について説明する。なお、本処理はナビプログラム21pに含まれ、他の処理とともに繰り返し実行される。まず、各センサ(風速感知センサ32,温度センサ33,湿度センサ34,水滴感知センサ35,光センサ36)からの電圧値を取り込んで、それぞれのデータ(風向・風速,温度,湿度,降雨量,光量)を取得する(S1)。
【0055】
ナビゲーション装置100の表示器10の表示画面上で天候表示等の車外環境の表示を行なう設定となっていない場合(S2:No)は、表示器10の表示画面上に天候を含まない画面を表示する(S6)。なお、車外環境の表示を行なうかどうかは、ユーザのタッチパネル22等の操作によって設定可能となっている。
【0056】
ナビゲーション装置100の表示器10の表示画面上で天候表示等の車外環境の表示を行なう設定となっている場合(S2:Yes)、表示器10における現在の表示モードを調べ、いわゆる「詳細モード」,「市街地モード」,「俯瞰モード」のように立体表示を行なう立体表示モードである場合(S3:Yes)は、立体表示された地図と天候を重ね合わせて表示する(S4)。
【0057】
図6〜図9に表示器10における立体表示モードでの立体表示画面例を示す。図6の例では、各センサ(風速感知センサ32,温度センサ33,湿度センサ34,水滴感知センサ35,光センサ36、以下同じ)から取得したデータはそれぞれ、「風向:なし・風速:0m/s,温度:32℃,湿度:70%,降雨量:なし,光量:大」となっている。これらのデータから、制御回路8では「晴れた夏の昼間」と判定し、「街路灯43:消灯,街路樹44:風になびいていない,通行人45:夏の服装,背景46:昼間の晴天,建物47:消灯」という表示データをデータベース21dから取得して、道路・建物等の表示データを合わせて描画データを作成し表示器10に送る。なお、42は車両40の現在位置である。
【0058】
背景,街路灯,通行人,街路樹の表示データはHDD21にデータベース21dとして記憶されている。例えば、背景,通行人,建造物,樹木等のそれぞれについて、風向・風速,温度,湿度,降雨量,光量に応じて、例えば図11のように記憶される。また、背景の雨天については、霧雨,小雨,大雨のような降雨量に応じて細分化した表示データを記憶するようにしてもよい。晴天,曇天,降雪の場合も同様に細分化してもよい。
【0059】
背景,街路灯,通行人,街路樹の表示は静止画でも動画でもよい。
【0060】
図7の例では、各センサから取得したデータはそれぞれ、「風向:北西・風速:8m/s,温度:15℃,湿度:80%,降雨量:大,光量:小」となっている。これらのデータから、制御回路8では「雨天の昼間」と判定し、「街路灯43:消灯,街路樹44:風になびいている,通行人45:長袖で傘をさす,背景46:昼間の雨天でやや暗い,建物47:消灯」という表示データをデータベース21dから取得して、道路・建物等の表示データを合わせて描画データを作成し表示器10に送る。また、雨は背景のみに表示しても画面全体に表示してもよい。
【0061】
なお、車外環境が上記の場合に、ユーザが自車の存在を明らかにするために車幅灯やヘッドライトを点灯した場合、通常ではライトスイッチ37の状態を検出して、表示器10の輝度が暗くなったり表示色に暗い色を基調が多く使われる、いわゆる「夜モード」になるが、車幅灯やヘッドライトを点灯した場合、光センサ36から検出される光量が夜間の光量に相当しない場合すなわち所定の光量を上回る場合には、「夜モード」にならないようにする。
【0062】
図8の例では、各センサから取得したデータはそれぞれ、「風向:なし・風速:0m/s,温度:15℃,湿度:60%,降雨量:なし,光量:微小」となっている。これらのデータから、制御回路8では「晴天の夜間」と判定し、「街路灯43:点灯,街路樹44:風になびいていない,通行人45:長袖,背景46:夜間の晴天,建物47:点灯」という表示データをデータベース21dから取得して、道路・建物等の表示データを合わせて描画データを作成し表示器10に送る。
【0063】
図9の例では、各センサから取得したデータはそれぞれ、「風向:なし・風速:0m/s,温度:5℃,湿度:40%,降雨量:なし,光量:大」となっている。これらのデータから、制御回路8では「冬の昼間」と判定し、「街路灯43:消灯,街路樹44:風になびいていない,通行人45:冬の服装,背景46:昼間の晴天,建物47:消灯」という表示データをデータベース21dから取得して、道路・建物等の表示データを合わせて描画データを作成し表示器10に送る。
【0064】
一方、表示器10における現在の表示モードが立体表示モードでない場合(S3:No)は、表示器10に天候表示等の車外環境の表示を地図表示とは別画面に表示する(S5)。なお、立体表示モードの場合も天候表示等の車外環境の表示を地図表示とは別画面に表示してもよい。
【0065】
図10に表示器10における立体表示モードでない場合の表示画面例を示す。48は地図表示領域,49は車両40の走行軌跡,50が車外環境表示領域である。車外環境表示領域50には、上から順に天候,服装,風向・風速,温度・湿度が表示されている。なお、各センサから取得したデータは、「風向:北東・風速:3m/s,温度:33℃,湿度:70%,降雨量:なし,光量:大」となっているので、制御回路8では「晴れた夏の昼間」と判定し、対応する表示データをデータベース21dから取得して、車外環境表示領域50に表示する。
【0066】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】車載用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図。
【図2】センサの取り付け位置の一例を示す図。
【図3】風速感知センサの構成の一例を示す図。
【図4】水滴感知センサの構成の一例を示す図。
【図5】画像表示処理について説明するためのフロー図。
【図6】晴天時の画面表示の一例を示す図。
【図7】雨天時の画面表示の一例を示す図。
【図8】夜間の画面表示の一例を示す図。
【図9】寒冷時の画面表示の一例を示す図。
【図10】二次元表示画面での表示の一例を示す図。
【図11】データベースに記憶されている表示データの内容を示す図。
【符号の説明】
【0068】
1 位置検出器(位置検出手段)
7 操作スイッチ群
8 制御回路(表示制御手段,天候推定手段,表示画像作成手段)
9 不揮発メモリ
10 表示装置
21 ハードディスク装置(地図データ記憶手段)
32 風速感知センサ(車外環境取得手段,風向取得手段,風速取得手段)
33 温度センサ(車外環境取得手段,外気温取得手段)
34 湿度センサ(車外環境取得手段,湿度取得手段)
35 水滴感知センサ(車外環境取得手段,降雨状態取得手段)
36 光センサ(車外環境取得手段,照度取得手段)
37 ライトスイッチ(点灯状態検出手段)
100 車載用ナビゲーション装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周囲の環境情報を取得する車外環境取得手段と、
前記取得した環境情報に応じた表示画像を作成する表示画像作成手段と、
前記作成された表示画像を表示器に表示する表示制御手段と、
を有することを特徴とする車載表示装置。
【請求項2】
前記車両の現在位置を検出する位置検出手段と、
電子地図データを記憶する地図データ記憶手段とを有し、
前記表示画像作成手段は前記車両の現在位置が表示される前記電子地図データを用いて前記取得した環境情報に応じた表示画像を作成する請求項1に記載の車載表示装置。
【請求項3】
前記取得した環境情報に基づいて前記車両の周囲の天候を推定する天候推定手段を有し、
前記表示画像作成手段は前記推定された天候に応じた表示画像を作成する請求項1または2に記載の車載表示装置。
【請求項4】
前記車外環境取得手段は、
前記車両の周囲の温度を取得する外気温取得手段、
前記車両の周囲の湿度を取得する湿度取得手段、
前記車両の周囲の明るさを取得する照度取得手段、
前記車両の周囲の降雨状態を取得する降雨状態取得手段、
前記車両の周囲の風向を取得する風向取得手段、
および前記車両の周囲の風速を取得する風速取得手段、
のうちの少なくとも一つあるいは二つ以上の組み合わせを含む請求項1ないし3のいずれか1項に記載の車載表示装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は前記表示器に立体的な画像を表示する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の車載表示装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は前記表示器に前記取得した環境情報に応じた風景画像を表示する請求項1ないし5のいずれか1項に記載の車載表示装置。
【請求項7】
前記表示制御手段は前記表示器に前記取得した環境情報に応じた服装をした通行人を表示する請求項1ないし6のいずれか1項に記載の車載表示装置。
【請求項8】
前記車両のライトの点灯状態を検出する点灯状態検出手段を有し、
前記表示制御手段は前記検出されたライトの点灯状態と前記取得した環境情報とに応じて前記表示器に表示される画像の意匠を変更する請求項1ないし7のいずれか1項に記載の車載表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−85864(P2007−85864A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−274440(P2005−274440)
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】