説明

車載装置、および、その車載装置を用いた運転支援方法

【課題】運転手が眼鏡を装着している状態で、レンズの曇りを除去する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
本発明の車載装置(車載ナビゲーション装置)は、運転手の顔に向けて送風する送風装置を備えている。車載装置は、運転手が眼鏡を装着しているか否かを判定する眼鏡装着判定部104と、運転手が眼鏡を装着している場合に、その眼鏡のレンズが曇っているか否かを判定するレンズ曇り判定部105と、レンズ曇り判定部105が曇っていると判定した場合に、送風装置による送風を開始する送風制御部106と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置、および、その車載装置を用いた運転支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
運転手が装着している眼鏡のレンズが曇ってしまうと、視界が妨げられ、運転するうえで危険である。
【0003】
そこで、近年では、眼鏡のレンズが曇らないようにする技術が開発されている。例えば、特許文献1には、眼鏡レンズが曇るのを防止する方法について記載されている。
【特許文献1】特開2005−213328号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、例えば、外気温の低いときに温まっている車内に乗り込んだときなど、一旦、曇ってしまったレンズから、曇りを除去することについては記載されていない。また、運転手は、法令上、もしくは、実際に視界を確保するために眼鏡をはずして運転することもできない。
【0005】
本発明は、運転手が眼鏡を装着している状態で、レンズの曇りを除去する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本願発明の車載装置は、運転を支援するための車載装置であって、運転手の顔に向けて送風する送風手段を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の車載装置によれば、運転手が眼鏡を装着している状態で、レンズの曇りを除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態の一例について図面を参照して説明する。
【0009】
図1は、本発明の一実施形態が適用された車載ナビゲーション装置100の概略構成図である。図示するように、車載ナビゲーション装置100は、演算処理部1と、ディスプレイ2と、記憶装置3と、音声入出力装置4(マイクロフォン41、スピーカ42)と、入力装置5と、車速センサ6と、ジャイロセンサ7と、GPS受信装置8と、送風装置9と、撮像装置10と、温度センサ11と、を備えている。
【0010】
また、車載ナビゲーション装置100は、演算処理部1と、記憶装置3と、入力装置5と、送風装置9と、を備えている車載装置であってもよい。また、車載ナビゲーション装置100は、演算処理部1と、記憶装置3と、入力装置5と、送風装置9と、撮像装置10又は温度センサ11と、を備えている車載装置であってもよい。また、車載ナビゲーション装置100は、演算処理部1と、記憶装置3と、入力装置5と、送風装置9と、撮像装置10と、温度センサ11と、を備えている車載装置であってもよい。
【0011】
以下では、車載ナビゲーション装置100を、図示する全ての構成(1〜11)を備えている車載ナビゲーション装置として説明する。
【0012】
演算処理部1は、様々な処理を行う中心的ユニットである。例えば、演算処理部1は、数値演算及び各デバイスを制御するといった様々は処理を実行するCPU(Central Processing Unit)21と、記憶装置3から読み出した地図データ、演算データなどを格納するRAM(Random Access Memory)22と、プログラムやデータを格納するROM(Read Only Memory)23と、各種ハードウェアを演算処理部1に接続するためのI/F(インタフェース)24と、を有する。そして、演算処理部1は、各デバイスをバス25で相互に接続した構成からなる。そして、後述する各機能部(101〜106)は、CPU21がRAM22などのメモリに読み出したプログラムを実行することで実現される。
【0013】
例えば、演算処理部1は、各種センサ(6、7)やGPS受信装置8から出力される情報を基にして現在地を検出する。また、得られた現在地情報に基づいて、表示に必要な地図データを記憶装置3から読み出す。また、読み出した地図データをグラフィック展開し、そこに現在地を示すマーク(或いは、移動体の位置を示す移動体マーク)を重ねてディスプレイ2に表示する。また、記憶装置3に記憶されている地図データを用いて、ユーザから指示された出発地(現在地)と目的地とを結ぶ最適な経路(推奨経路)を探索する。また、音声入出力装置4のスピーカ42やディスプレイ2を用いてユーザを誘導する。
【0014】
ディスプレイ2は、演算処理部1で生成されたグラフィックス情報を表示するユニットである。ディスプレイ2は、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどで構成される。
【0015】
記憶装置3は、CD−ROMやDVD−ROMやHDDやICカードといった記憶媒体で構成される。この記憶媒体には、例えば、各種プログラム、地図データ、音声データ、動画データ、等が記憶されている。
【0016】
音声入出力装置4は、音声入力装置としてマイクロフォン41と、音声出力装置としてスピーカ42と、を備える。マイクロフォン41は、ユーザやその他の搭乗者から発された音声などの、ナビゲーション装置100の外部の音声を取得する。スピーカ42は、演算処理部1で生成された音声信号を出力する。これらのマイクロフォン41とスピーカ42は、車両の所定の部位に、別個に配置されている。
【0017】
入力装置5は、ユーザからの指示を受け付けるユニットである。入力装置5は、タッチパネル51と、ダイヤルスイッチ52と、その他のハードスイッチ(図示せず)と、などで構成される。ここで、その他のハードスイッチには、スクロールキー、縮尺変更キー、後述する送風装置9に送風のオン、オフを指示するための専用スイッチ(以下では、「送風スイッチ53」とよぶ)、などが含まれる。
【0018】
タッチパネル51は、ディスプレイ2の表示面に貼られた透過性のある操作パネルである。タッチパネル51は、ディスプレイ2に表示された画像のXY座標と対応したタッチ位置を特定し、タッチ位置を座標に変換して出力する。タッチパネル51は、感圧式または静電式の入力検出素子などにより構成される。
【0019】
ダイヤルスイッチ52は、時計回り及び反時計回りに回転可能に構成され、所定の角度の回転ごとにパルス信号を発生し、演算処理部1に出力する。演算処理部1では、パルス信号の数から、ダイヤルスイッチ52の回転角度を求める。
【0020】
送風スイッチ53は、少なくとも2つの状態(例えば、オン、オフ)を取り得るように構成され、それぞれの状態において異なる信号を発生し、演算処理部1に出力する。演算処理部1では、受信した信号から、送風スイッチ53の状態(オン、オフ)を特定する。
【0021】
このような送風スイッチ53は、一般的なナビゲーション操作パネル、或いは、車両内部の任意の部位(ダッシュボードやドアなど)に設置されている。ただし、送風スイッチ53を、ハードスイッチにより実現しなくてもよく、例えば、送風のオン、オフを指示するためのボタンをディスプレイ2に表示すること(タッチパネル51)により実現してもよい。
【0022】
車速センサ6、ジャイロセンサ7、及び、GPS受信装置8は、移動体(ナビゲーション装置100)の現在位置(自車位置)などを検出するために使用される。車速センサ6は、車速を算出するために用いる車速データを出力するセンサである。ジャイロセンサ7は、光ファイバジャイロや振動ジャイロ等で構成され、移動体の回転による角速度を検出するものである。GPS受信装置8は、GPS衛星からの信号を受信し、移動体とGPS衛星間の距離とその距離の変化率を3個以上の衛星に対して測定することで、移動体の現在位置や進行速度を測定する。
【0023】
送風装置9は、運転手の顔に向けて送風するユニットである。送風装置9は、運転手が装着している眼鏡レンズの曇りを除去するために使用される。送風装置9は、車内温度にほぼ等しい温風を送風することによって、眼鏡レンズの表面付近において空気の対流を生じさせ、眼鏡レンズの曇りを除去する。
【0024】
このような送風装置9は、冷暖房を目的としたエアーコンディショナー(エアコン)に相当する構成からなるが、エアコンとは別個に、車両の所定の部位に設置されている。
【0025】
図2は、車両50に送風装置9を設置する位置について説明するための説明図である。図示するように、送風装置9は、送風口から風を送れば、自然と運転手が装着している眼鏡に送風される位置に、設置される。例えば、送風装置9は、運転手が運転座席に座ったときに、運転手からみて正面の位置に設置される。より具体的には、送風装置9は、車両50のフロントピラーや、車両50の天井に設置され、運転座席のヘッドレスト方向に送風可能に送風口が設けられている。
【0026】
図1に戻り、撮像装置10は、運転手の顔画像(特に、運転手の目の位置付近の画像)を、撮像するユニットである。撮像装置10が撮像した顔画像は、運転手が眼鏡を装着しているか否かの判断や、眼鏡レンズが曇っているか否かの判断のために使用される。
【0027】
このような撮像装置10は、一般的なカメラと同様の構成からなり、車両50の所定の位置に設置されている。例えば、撮像装置10は、図2に示すように、運転手が運転座席に座ったときに、運転手からみて正面下側の位置に設置される。より具体的には、撮像装置10は、車両50のダッシュボードに設置され、運転座席のヘッドレスト周辺を撮像可能にレンズなどが設けられている。
【0028】
温度センサ11は、車両50の内外における気温を測定するユニットである。温度センサ11が測定した車両50内外の気温の温度差は、運転手が装着している眼鏡レンズが曇っているか否かを判断するために使用される。
【0029】
このような温度センサ11は、車両50の内部の気温を測定する内気温度センサと、車両50の外部の気温を測定する外気温度センサと、により構成される。
【0030】
図3は、演算処理部1の機能ブロック図である。図示するように、演算処理部1は、主制御部101と、入力受付部102と、表示処理部103と、眼鏡装着判定部104と、レンズ曇り判定部105と、送風制御部106と、を有する。
【0031】
主制御部101は、演算処理部1の各部を統括して制御する処理を行う。
【0032】
入力受付部102は、入力装置5に入力されたユーザからの要求を受け付け、その要求内容を解析する。入力受付部102は、解析結果に応じたデータを主制御部101に通知する。例えば、入力受付部102は、車載ナビゲーション装置100に、送風装置9による送風の開始、停止を指示する要求、電源の供給、切断を指示する要求、等を受け付け、主制御部101に通知する。また、入力受付部102は、車載ナビゲーション装置100が有する各種機能の設定に関する入力データを受け付け、主制御部101に通知する。
【0033】
表示処理部103は、ディスプレイ2に、地図等を表示させる。具体的には、表示処理部103は、ディスプレイ2に表示させるための描画コマンドを生成して通知する。なお、表示処理部103は、地図をディスプレイ2に表示させる際には、表示が要求された領域(例えば、車載ナビゲーション装置100の現在位置付近の領域)にある地図データを記憶装置3から抽出し、指定された縮尺、描画方式で、道路、その他の地図構造物、現在位置、目的地、等を描画するように地図描画コマンドを生成する。また、表示処理部103は、ディスプレイ2に表示させた地図上に、移動体(自車両)の位置を示す移動体マーク(カーマーク)や各種設定画面などが表示させる。
【0034】
眼鏡装着判定部104は、運転手が眼鏡を装着しているか否かを判定する。具体的には、眼鏡装着判定部104は、撮像装置10によって運転手の顔画像を撮像し、撮像した顔画像を用いて、運転手が眼鏡を装着しているか否か判定する。この場合、目眼装着判定部104は、撮像した顔画像から、眼鏡フレームの特徴抽出を行い、眼鏡フレームと認識(特定)できる場合には、運転手が眼鏡を装着していると判定し、眼鏡フレームと認識(特定)できない場合には、運転手が眼鏡を装着していないと判定する。なお、眼鏡フレームの特徴抽出を行う画像処理の方法には、任意の方法を用いてよい。
【0035】
レンズ曇り判定部105は、運転手が装着している眼鏡のレンズが曇っているか否かを判定する。ここで、レンズ曇り判定部105が行う判定方法には、例えば、2種類の判定方法がある。
【0036】
第1の判定方法では、レンズ曇り判定部105は、温度センサ11(内気温度センサ、外気温度センサ)によって車両50内外の気温を取得し、取得した車両50内部の気温と、車両50外部の気温と、の温度差を算出する。ただし、レンズ曇り判定部105は、車両50内部の気温から、車両50外部の気温を差し引いて、温度差を算出する。そして、レンズ曇り判定部105は、算出した車両50内外の温度差が、所定の値(例えば、8°)以上である場合には、運転手が装着している眼鏡レンズが曇っていると判定し、算出した温度差が、所定の値未満である場合には、運転手が装着している眼鏡レンズは曇っていないと判定する。なお、上記温度センサ11に基づく判定は、乗員が車両50に乗車した直後に行うことが望ましい。例えば、運転席ドアの開閉や、エンジンの始動を検出することによって乗車を検出したときに、上記判定を行う。
【0037】
また、第2の判定方法では、レンズ曇り判定部105は、眼鏡装着判定部104が撮像装置10によって撮像した顔画像を用いて、運転手が装着している眼鏡レンズが曇っているか否か判定する。この場合、レンズ曇り判定部105は、撮像した顔画像から、運転手の目の特徴抽出を行い、黒目が認識(特定)できる場合には、眼鏡レンズは曇っていないと判定し、黒目が認識(特定)できない場合には、眼鏡レンズは曇っていると判定する。
【0038】
また、レンズ曇り判定部105は、上記の第1の判定方法、及び、第2の判定方法を併用して、運転手が装着している眼鏡のレンズが曇っているか否かを、総合的に判定するようにしてもよい。また、上記のいずれの方法でもない他の方法によって、運転手が装着している眼鏡のレンズが曇っているか否かを判定するようにしてもよい。
【0039】
送風制御部106は、運転手の顔に向けて送風する送風装置9を制御する。
【0040】
具体的には、送風制御部106は、送風装置9による送風を開始する条件を判定し、条件が満たされた場合に、送風装置9による送風を開始する。
【0041】
例えば、入力受付部102が送風装置9による送風の開始を指示する要求を受け付けた場合に、送風制御部106は、送風開始の条件を満たしたと判定し、送風装置9による送風を開始する。ここで、入力受付部102が受け付ける要求は、送風スイッチ53がオンにされて行われる。
【0042】
また、例えば、レンズ曇り判定部105が運転手が装着している眼鏡レンズが曇っていると判定した場合に、送風制御部106は、送風開始の条件を満たしたと判定し、送風装置9による送風を開始する。
【0043】
また、送風制御部106は、所定のタイミングで送風を停止する。
【0044】
具体的には、入力受付部102が送風装置9による送風の停止を指示する要求を受け付けた場合に、送風制御部106は、送風装置9による送風を停止する。ここで、入力受付部102が受け付ける要求は、送風スイッチ53がオフにされて行われる。
【0045】
また、例えば、送風装置9による送風を開始してから所定の時間が経過した場合に、送風制御部106は、送風を停止する。具体的には、送風制御部106は、CPU21が有する内部タイマなどを利用して、送風を開始してからの経過時間を計測し、予めROM23などのメモリに記憶しておいた所定の送風継続時間(例えば、「5分」とか「10分」)が経過した場合に、送風を停止する。
【0046】
次に、上記構成からなる車載ナビゲーション装置100の特徴的な動作について説明する。図4は、車載ナビゲーション装置100の演算処理部1が行う第1の送風制御処理を示すフローチャートである。ここで、第1の送風制御処理とは、ユーザ(運転手)の操作に基づいて送風制御を行う場合の処理をいう。
【0047】
演算処理部1の送風制御部106は、入力受付部102を介して、送風装置9による送風の開始を指示する要求を受け付けるまで待機し(ステップS101;No)、送風の開始を指示する要求を受け付けた場合に(ステップS101;Yes)、第1の送風制御処理を開始する。具体的には、送風制御部106は、送風スイッチ53をオンにする操作がなされた場合に、第1の送風制御処理を開始する。
【0048】
第1の送風制御処理を開始後、送風制御部106は、送風装置9による送風を開始する(ステップS102)。このとき、送風装置9は、車内温度にほぼ等しい温風を送風して、眼鏡レンズの表面付近において空気の対流を生じさせ、眼鏡レンズの曇りを除去する。
【0049】
そして、送風制御部106は、入力受付部102を介して、送風装置9による送風の停止を指示する要求を受け付けるまで(ステップS103;No)、ステップS102の送風を続け、送風の停止を指示する要求を受け付けた場合に(ステップS103;Yes)、送風を停止する(ステップS104)。具体的には、送風制御部106は、送付スイッチ53をオフにする操作がなされた場合に、送風装置9による送風を停止する。
【0050】
送風を停止後、送風制御部106は、第1の送風制御処理を終了する。
【0051】
以上の第1の送風制御処理を、演算処理部1が行うことにより、運転手が眼鏡を装着している状態で、運転手の簡単な操作により、レンズの曇りを除去することができる。
【0052】
図5は、車載ナビゲーション装置100の演算処理部1が行う第2の送風制御処理を示すフローチャートである。ここで、第2の送風制御処理とは、ユーザ(運転手)の操作を必要とせずに、送風制御を行う場合の処理をいう。
【0053】
演算処理部1の送風制御部106は、車両50のエンジンが始動した場合に、或いは、車載ナビゲーション装置100の電源が投入された場合に、第2の送風制御処理を開始する。ここで、車載ナビゲーション装置100の電源の投入は、電源投入用のハードスイッチに操作がなされて行われる。
【0054】
第2の送風制御処理を開始後、眼鏡装着判定部104は、運転手が眼鏡を装着しているか否かを判定する(ステップS201)。具体的には、眼鏡装着判定部104は、まず、撮像装置10によって運転手の顔画像を撮像し、撮像した顔画像をRAM22などのメモリに記憶する。そして、眼鏡装着判定部104は、メモリに記憶した顔画像から眼鏡フレームの特徴抽出を行う。ここで、眼鏡フレームの特徴抽出を行う方法としては、例えば、眼鏡フレームのテンプレートとパターンマッチングをとる方法や、眼鏡を装着していない顔についての平均的な顔画像と比較する方法などがある。パターンマッチングにより眼鏡フレームの特徴抽出を行う場合、目眼装着判定部104は、予めROM23などのメモリに記憶しておいた眼鏡フレームのテンプレートを読み出し、撮像装置10が撮像した顔画像とパターンマッチングを行う。
【0055】
眼鏡装着判定部104は、眼鏡フレームの特徴抽出を行い、眼鏡フレームを認識(特定)できる場合には、運転手が眼鏡を装着していると判定し(ステップS201;Yes)、処理をステップS202に移行する。一方、眼鏡フレームを認識(特定)できない場合には、運転手は眼鏡を装着していないと判定し(ステップS201;No)、第2の送風制御処理を終了する。
【0056】
ステップS202に処理が移行すると、レンズ曇り判定部105は、運転手が装着している眼鏡のレンズが曇っているか否かを判定する(ステップS202)。具体的には、上述したように、レンズ曇り判定部105は、第1の判定方法や第2の判定方法により、眼鏡レンズが曇っているか否か判定する。
【0057】
第1の判定方法で判定を行う場合、まず、レンズ曇り判定部105は、内気温度センサから車両50内部の気温を取得し、かつ、外気温度センサから車両50外部の気温を取得する。そして、レンズ曇り判定部105は、取得した車両50内部の気温から、車両50外部の気温を差し引いて、車両50の内外の温度差を算出する。次に、レンズ曇り判定部105は、ROM23などのメモリに予め記憶しておいた所定の値(例えば、8°)を読み出し、車両50内外の温度差が、読み出した所定の値以上である場合には、眼鏡レンズは曇っていると判定する。一方、車両50内外の温度差が、読み出した所定の値未満である場合には、眼鏡レンズは曇っていないと判定する。
【0058】
また、ステップS202において、第2の判定方法で判定を行う場合、レンズ曇り判定部105は、ステップS201で眼鏡装着判定部104が撮像した顔画像を、メモリから読み出し、運転手の黒目の特徴抽出を行う。ここで、例えば、レンズ曇り判定部105は、読み出した顔画像の目付近の領域(例えば、ステップS201で特定した眼鏡フレームのフレーム内部)における各画素の輝度データと、ROM23などのメモリから読み出した人間の目(黒目、白目など)についての標準的な輝度データと、をマッチングして、黒目の特徴抽出を行う。そして、レンズ曇り判定部105は、運転手の黒目を認識(特定)できる場合には、運転手が装着している眼鏡のレンズは曇っていないと判定し、運転手の黒目を認識(特定)できない場合には、眼鏡レンズは曇っていると判定する。
【0059】
次に、レンズ曇り判定部105は、眼鏡レンズが曇っていると判定した場合には(ステップS202;Yes)、処理をステップS203に移行する。一方、眼鏡レンズが曇っていないと判定した場合には(ステップS202;No)、ステップS202における判定を繰り返し行う。
【0060】
ステップS203に処理が移行すると、送風制御部106は、送風装置9による送風を開始する(ステップS203)。これとともに、送風制御部106は、送風を開始してからの経過時間をはかる処理を開始する。
【0061】
そして、送風制御部106は、送風装置9による送風を停止するタイミングまで(ステップS204;No)、ステップS203の送風を続け、送風を停止するタイミングで(ステップS204;Yes)、送風を停止する(ステップS205)。具体的には、送風制御部106は、ROM23などのメモリから、所定の送風継続時間を読み出し、送風を開始してからの経過時間が、メモリから読み出した送風継続時間を超えた場合に、送風を停止する。
【0062】
送風を停止後、送風制御部106は、第2の送風制御処理を終了する。
【0063】
以上の第2の送風制御処理を、演算処理部1が行うことにより、運転手が眼鏡を装着している状態で、運転手の操作を必要とせずに、レンズの曇りを除去することができる。
【0064】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の変形、応用が可能である。
【0065】
例えば、上記実施形態では、第2の送風制御処理において、送風制御部106は、メモリに予め記憶しておいた固定の送風継続時間(例えば、「5分」)、送風を続けた後に、送風を停止している。しかし、これに限定されず、送風継続時間を可変としてもよい。
【0066】
例えば、レンズ曇り判定部105は、送風制御部106が送風を開始した後に、眼鏡レンズが曇っているか否か判定する処理を繰り返す。そして、送風制御部106は、レンズ曇り判定部105が眼鏡レンズは曇っていないと初めて判定した場合に、送風を停止するようにしてもよい。
【0067】
また、このときの、眼鏡レンズが曇っているか否かの判定は、上述した第1の判定方法により行われてもよいし、第2の判定方法により行われてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の一実施形態が適用された車載ナビゲーション装置の概略構成図である。
【図2】送風装置が設置される位置について説明するための説明図である。
【図3】演算処理部の機能構成を示す図である。
【図4】第1の送風制御処理のフロー図である。
【図5】第2の送風制御処理のフロー図である。
【符号の説明】
【0069】
1・・・演算処理部、2・・・ディスプレイ、3・・・記憶装置、4・・・音声入出力装置、5・・・入力装置、6・・・車速センサ、7・・・ジャイロセンサ、8・・・GPS受信装置、9・・・送風装置、10・・・撮像装置、11・・・温度センサ、21・・・CPU、22・・・RAM、23・・・ROM、24・・・I/F、41・・・マイクロフォン、42・・・スピーカ、50・・・車両、51・・・タッチパネル、52・・・ダイヤルスイッチ、53・・・送風スイッチ、100・・・車載ナビゲーション装置、101・・・主制御部、102・・・入力受付部、103・・・表示処理部、104・・・眼鏡装着判定部、105・・・レンズ曇り判定部、106・・・送風制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転を支援するための車載装置であって、
運転手の顔に向けて送風する送風手段を備える、
ことを特徴とする車載装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車載装置であって、
前記送風手段による送風を開始する条件を判定する条件判定手段、を備え、
前記送付手段は、
前記条件が満たされた場合に、送風を開始する、
ことを特徴とする車載装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車載装置であって、
送風を開始する指示を受け付ける受付手段、を備え、
前記条件判定手段は、
前記受付手段が前記指示を受け付けた場合に、前記条件が満たされたと判定する、
ことを特徴とする車載装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車載装置であって、
前記受付手段は、
送風の開始を指示する専用のスイッチからなる、
ことを特徴とする車載装置。
【請求項5】
請求項2に記載の車載装置であって、
運転手が眼鏡を装着しているか否かを判定する眼鏡装着判定手段と、
運転手が眼鏡を装着している場合に、該眼鏡のレンズが曇っているか否かを判定するレンズ曇り判定手段と、を備え、
前記条件判定手段は、
前記レンズ曇り判定手段が曇っていると判定した場合に、前記条件が満たされたと判定する、
ことを特徴とする車載装置。
【請求項6】
請求項5に記載の車載装置であって、
運転者の顔を撮影する撮像装置、を備え、
前記眼鏡装着判定手段は、
前記撮像装置により撮像した画像から、運転手の眼鏡を特定できる場合に、運転手が眼鏡を装着していると判定し、運転手の眼鏡を特定できない場合に、運転手は眼鏡を装着していないと判定する、
ことを特徴とする車載装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の車載装置であって、
車両内外の温度差を特定する温度センサ、を備え、
前記レンズ曇り判定手段は、
前記温度センサにより特定した温度差が所定の値以上である場合に、前記レンズが曇っていると判定し、前記温度差が該所定の値未満の場合に、前記レンズは曇っていないと判定する、
ことを特徴とする車載装置。
【請求項8】
請求項6に記載の車載装置であって、
前記レンズ曇り判定手段は、
前記撮像装置により撮像した画像から、運転手の黒目を特定できない場合に、前記レンズが曇っていると判定し、黒目を特定できる場合に、前記レンズは曇っていないと判定する、
ことを特徴とする車載装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の車載装置であって、
前記送風手段は、
送風を開始してから所定時間が経過した場合に、送風を停止する、
ことを特徴とする車載装置。
【請求項10】
車載装置を用いた運転支援方法であって、
前記車載装置が運転手の顔に向けて送風する送風ステップ、
からなる運転支援方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−126024(P2010−126024A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−303734(P2008−303734)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】