説明

車載装置、情報処理センター及び運転評価システム

【課題】ドライバーが運転の評価に基づいた運転操作の改善を行うことがより容易な車載装置、情報処理センター及び運転評価システムを提供する。
【解決手段】チェックポイント算出部132が、自車両が走行した走行区間におけるドライバーの運転評価を行ない、運転評価が所定の評価基準に満たないチェックポイントCPを抽出するため、走行区間のどの地点での運転操作が評価を下げているのかを示すデータが得られる。アドバイス生成部124が、チェックポイントCPに基づいてドライバーの運転操作の支援を行ない、自車両の進行方向にチェックポイントCPがある場合は、チェックポイントCPにおいてチェックポイント算出部132が評価する運転評価が所定の評価基準を満たすように運転操作の支援を行なうため、運転評価が低いチェックポイントCPにおいて運転評価を向上させ、全体としての運転評価を向上させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライバーの運転を評価するための車載装置、情報処理センター及び運転評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両のドライバーの運転を評価し、ドライバーの安全運転や低燃費運転(以下、エコ運転と呼ぶことがある)に対する意識を高めるための技術が提案されている。例えば、特許文献1には、車載装置によって計測される車両のエンジン回転数等からアイドリング・ストップ状態であるか否か、省エネ走行状態であるか否かを検出する装置が開示されている。この装置は、これらの各状態を検出すると、当該各状態の継続時間を測定する。この装置は、かかる継続時間の測定結果に基づいてエコ運転についてユーザが費やした時間に応じた評価を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−16443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の技術では、例えば、車両の1回の走行ごとの運転の評価をドライバーは得ることができる。しかしながら、上記の技術では、車両の1回の走行中にドライバーが行なった様々な運転操作の内で、どの運転操作が評価に影響を与えているか不明である。したがって、ドライバーは、運転の評価を与えられたとしても、次回の運転で当該運転の評価に基づいた運転操作の改善を行なうことが困難である。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、ドライバーが運転の評価に基づいた運転操作の改善を行うことがより容易な車載装置、情報処理センター及び運転評価システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、自車両が走行した所定の走行区間における前記自車両のドライバーの運転の評価を行う評価ユニットと、走行区間において、評価ユニットが評価した運転の評価が所定の評価基準に満たない注意地点において、自車両のドライバーの運転操作の支援を行なう運転支援ユニットとを備え、運転支援ユニットは、自車両の進行方向に注意地点がある場合は、注意地点において、評価ユニットが評価する運転の評価が所定の評価基準を満たすように、自車両のドライバーの運転操作の支援を行なう車載装置である。
【0007】
この構成によれば、評価ユニットが、自車両が走行した所定の走行区間における自車両のドライバーの運転の評価を行ない、運転支援ユニットが、走行区間において、評価ユニットが評価した運転の評価が所定の評価基準に満たない注意地点において、自車両のドライバーの運転操作の支援を行なうため、走行区間におけるどの地点での運転操作が評価を下げているのかを示すデータを得ることができ、ドライバーは、走行区間における運転の評価が低い地点において、重点的に運転を改善することができる。そのため、ドライバーが運転の評価に基づいた運転操作の改善を行うことがより容易となる。また、運転支援ユニットは、自車両の進行方向に注意地点がある場合は、注意地点において、評価ユニットが評価する運転の評価が所定の評価基準を満たすように、自車両のドライバーの運転操作の支援を行なうため、運転の評価が低い注意地点において、運転の評価を向上させ、全体としての運転の評価を向上させることが可能となる。
【0008】
この場合、運転支援ユニットは、注意地点と走行条件の相違が所定の閾値以内の推定上の注意地点が存在する場合は、推定上の注意地点に基づいて、自車両のドライバーの運転操作の支援を行なうことが好適である。
【0009】
この構成によれば、運転支援ユニットは、注意地点と走行条件の相違が所定の閾値以内の推定上の注意地点が存在する場合は、推定上の注意地点に基づいて、自車両のドライバーの運転操作の支援を行なう。そのため、未だ実際に自車両が走行していない地点についても、運転の評価が低くなる可能性がある注意地点として、ドライバーは運転操作の改善を行うことが可能となる。
【0010】
一方、本発明は、自車両が走行した所定の走行区間における自車両のドライバーの運転の評価を行う評価ユニットと、走行区間において、評価ユニットが評価した運転の評価が所定の評価基準に満たない注意地点において、自車両のドライバーの運転操作の支援を行なう運転支援ユニットとを備え、運転支援ユニットは、注意地点と走行条件の相違が所定の閾値以内の推定上の注意地点が存在する場合は、推定上の注意地点に基づいて、自車両のドライバーの運転操作の支援を行なう車載装置である。
【0011】
この構成によれば、評価ユニットが、自車両が走行した所定の走行区間における自車両のドライバーの運転の評価を行ない、運転支援ユニットが、走行区間において、評価ユニットが評価した運転の評価が所定の評価基準に満たない注意地点において、自車両のドライバーの運転操作の支援を行なうため、走行区間におけるどの地点での運転操作が評価を下げているのかを示すデータを得ることができ、ドライバーは、走行区間における運転の評価が低い地点において、重点的に運転を改善することができる。そのため、ドライバーが運転の評価に基づいた運転操作の改善を行うことがより容易となる。また、運転支援ユニットは、注意地点と走行条件の相違が所定の閾値以内の推定上の注意地点が存在する場合は、推定上の注意地点に基づいて、自車両のドライバーの運転操作の支援を行なう。そのため、未だ実際に自車両が走行していない地点についても、運転の評価が低くなる可能性がある注意地点として、ドライバーは運転操作の改善を行うことが可能となる。
【0012】
この場合、運転支援ユニットは、自車両の進行方向に注意地点がある場合は、注意地点において、評価ユニットが評価する運転の評価が所定の評価基準を満たすように、自車両のドライバーの運転操作の支援を行なうことが好適である。
【0013】
この構成によれば、運転支援ユニットは、自車両の進行方向に注意地点がある場合は、注意地点において、評価ユニットが評価する運転の評価が所定の評価基準を満たすように、自車両のドライバーの運転操作の支援を行なうため、運転の評価が低い注意地点において、運転の評価を向上させ、全体としての運転の評価を向上させることが可能となる。
【0014】
また、運転支援ユニットは、不特定多数の他車両のドライバーの運転の評価が所定の評価基準に満たない統計上の注意地点が存在する場合は、統計上の注意地点に基づいて、自車両のドライバーの運転操作の支援を行なうことが好適である。
【0015】
この構成によれば、運転支援ユニットは、不特定多数の他車両のドライバーの運転の評価が所定の評価基準に満たない統計上の注意地点が存在する場合は、統計上の注意地点に基づいて、自車両のドライバーの運転操作の支援を行なう。そのため、実際に自車両が走行した地点については、他の不特定多数のドライバーの運転の評価が低い地点であるから、より運転操作に注意を払う地点であるとして、ドライバーは運転操作の改善を行うことが可能となる。あるいは仮に未だ実際に自車両が走行していない地点についても、他の不特定多数のドライバーの運転の評価が低い地点であるから、当該ドライバー自身の運転の評価も低くなる可能性がある注意地点として、ドライバーは運転操作の改善を行うことが可能となる。
【0016】
また、運転支援ユニットは、表示画面上に注意地点を強調して表示することにより、自車両のドライバーの運転操作の支援を行なうことが好適である。
【0017】
この構成によれば、運転支援ユニットは、表示画面上に注意地点を強調して表示することにより、自車両のドライバーの運転操作の支援を行なう。このため、ドライバーは視覚により注意地点を把握し易くなる。
【0018】
また、運転支援ユニットは、自車両のドライバーの運転操作を補正する走行制御を行なうことにより、自車両のドライバーの運転操作の支援を行なうことが好適である。
【0019】
この構成によれば、運転支援ユニットは、自車両のドライバーの運転操作を補正する走行制御を行なうことにより、自車両のドライバーの運転操作の支援を行なう。このため、自車両のドライバー自身の運転操作が不適切であっても、運転の評価を向上させることが可能となる。
【0020】
一方、本発明は、一の車両が走行した所定の走行区間における一の自車両のドライバーの運転の評価を行う評価ユニットと、走行区間において、評価ユニットが評価した運転の評価が所定の評価基準に満たない注意地点を抽出する注意地点抽出ユニットとを備え、注意地点抽出ユニットは、注意地点と走行条件の相違が所定の閾値以内の地点を推定上の注意地点として抽出する情報処理センターである。
【0021】
この場合、評価ユニットは、不特定多数の他の車両が走行した所定の走行区間における前記不特定多数の他の車両のドライバーの運転の評価を行ない、注意地点抽出ユニットは、評価ユニットが評価した運転の評価が所定の評価基準に満たない地点を統計上の注意地点として抽出することが好適である。
【0022】
また、一の車両へ注意地点を含む情報を配信する配信ユニットをさらに備えることが好適である。
【0023】
さらに本発明は、一の車両が走行した所定の走行区間における一の車両のドライバーの運転の評価を行う評価ユニットと、走行区間において、評価ユニットが評価した運転の評価が所定の評価基準に満たない注意地点において、一の車両のドライバーの運転操作の支援を行なう運転支援ユニットとを備え、運転支援ユニットは、一の車両の進行方向に注意地点がある場合は、注意地点において、評価ユニットが評価する運転の評価が所定の評価基準を満たすように、一の車両のドライバーの運転操作の支援を行なう運転評価システムである。
【0024】
この場合、運転支援ユニットは、注意地点と走行条件の相違が所定の閾値以内の推定上の注意地点が存在する場合は、推定上の注意地点に基づいて、一の車両のドライバーの運転操作の支援を行なうことが好適である。
【0025】
一方、本発明は、一の車両が走行した所定の走行区間における一の車両のドライバーの運転の評価を行う評価ユニットと、走行区間において、評価ユニットが評価した運転の評価が所定の評価基準に満たない注意地点において、一の車両のドライバーの運転操作の支援を行なう運転支援ユニットとを備え、運転支援ユニットは、注意地点と走行条件の相違が所定の閾値以内の推定上の注意地点が存在する場合は、推定上の注意地点に基づいて、一の車両のドライバーの運転操作の支援を行なう運転評価システムである。
【0026】
この場合、運転支援ユニットは、一の車両の進行方向に注意地点がある場合は、注意地点において、評価ユニットが評価する運転の評価が所定の評価基準を満たすように、一の車両のドライバーの運転操作の支援を行なうことが好適である。
【0027】
また、評価ユニットは、不特定多数の他の車両が走行した所定の走行区間における不特定多数の他の車両のドライバーの運転の評価を行ない、運転支援ユニットは、評価ユニットが評価した運転の評価が所定の評価基準に満たない統計上の注意地点に基づいて、一の車両のドライバーの運転操作の支援を行なうことが好適である。
【0028】
また、運転支援ユニットは、一の車両の進行方向に注意地点がある場合は、注意地点において、評価ユニットが評価する運転の評価が所定の評価基準を満たすように、一の車両のドライバーの運転操作の支援を行なうことが好適である。
【0029】
また、運転支援ユニットは、表示画面上に注意地点を強調して表示することにより、一の車両のドライバーの運転操作の支援を行なうことが好適である。
【発明の効果】
【0030】
本発明の車載装置、情報処理センター及び運転評価システムによれば、ドライバーが運転の評価に基づいた運転操作の改善を行うことがより容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実施形態に係る運転評価システムの構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態に係る運転評価システムの動作の概略を示すフローチャートである。
【図3】チェックポイントを設定する動作を示すフローチャートである。
【図4】ある年月日、曜日及び時間における走行ルートを表示する表示画面である。
【図5】図4の走行ルート上の位置ごとのアクセル開度を示すグラフである。
【図6】図4の走行ルート上の位置ごとのエコ運転度を示すグラフである。
【図7】ドライバーにアドバイスを実施する動作を示すフローチャートである。
【図8】図4の走行ルート上でのチェックポイントを表示する表示画面である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る車載装置、情報処理センター及び運転評価システムを説明する。図1に示すように、本実施形態の運転評価システム10は、車載装置100と情報処理センター200とを備える。本実施形態の運転評価システムは、自車両のドライバーの様々な運転操作についてエコ運転の達成度を評価するためのシステムである。
【0033】
車載装置100は、本実施形態の運転評価システム10を利用する各々の車両に搭載される装置である。車載機100は、データ受信装置110、制御装置120、記録装置130、表示装置140、通信装置150及び運転支援アクチュエータ160を有する。
【0034】
データ受信装置110は、車両に設けられたセンサ類あるいは路側に設けられたセンサ類から送信される情報等によりドライバーの運転操作を診断するための車両情報1aを取得するためのものである。車両情報1aには、アクセル開度、車速及び加速度等が含まれる。また、データ受信装置110は、車両に設けられたナビゲーションシステムあるいは路側に設けられた光ビーコン送信機等により自車両の走行条件に関するナビ情報1bを取得するためのものである。ナビ情報1bには、走行経路、道路形状、道路勾配、年月日、曜日及び時刻等が含まれる。
【0035】
制御装置120は、ドライバーの運転操作の特徴抽出やドライバーへのアドバイスの提供方法を制御するためのものである。制御装置120は、データ集計部121、特徴抽出部122、パーソナルデータ部123及びアドバイス生成部124を含む。
【0036】
データ集計部121は、デーが受信装置110から入力される車両情報1a及びナビ情報1bを後段の処理のために集計するためのものである。特徴抽出部122は、集計された車両情報1a及びナビ情報1bから走行条件を加味した特徴抽出を行なうためのものである。パーソナルデータ部123は、自車両の区間単位でのドライバーの運転の特徴の変化量を走行結果として記録するためのものである。アドバイス生成部124は、ドライバーへのアドバイスの内容の生成とアドバイスを提供するタイミングの決定とを行なうためのものである。
【0037】
記録装置130は、各種情報を記録するためのものである。記録装置130は、パーソナルデータ蓄積部131及びチェックポイント算出部132を含んでいる。パーソナルデータ蓄積部131は、自車両を運転するドライバーごとに運転操作に関するパーソナルデータを蓄積するためのものである。チェックポイント算出部132は、パーソナルデータ蓄積部131のパーソナルデータを分析して、運転操作の評価が所定の評価基準に満たないチェックポイントを設定するためのものである。
【0038】
表示装置140は、ドライバーの運転操作についてのアドバイスをドライバーに提供するためのものである。表示装置140は、具体的には、ディスプレイやスピーカ等からなる。
【0039】
通信装置150は、情報処理センター200との通信を制御するためのものである。運転支援アクチュエータ160は、ドライバーの運転操作を補正するためのものである。当該補正には、例えば、内燃機関による走行と電動機による走行との切り替え、制動力の増加、トランスミッションのシフト位置の補正等が含まれる。
【0040】
情報処理センター200は、自車両や他車両それぞれの車載装置100から送信されるデータを受信して分析し、自車両や他車両それぞれの車載装置100に分析結果を送信するためのものである。情報処理センター200は、通信装置201、記録装置202及び分析装置203を有している。
【0041】
通信装置201は、車載機100との通信を制御するためのものである。記録装置202は、車載装置100から送信されたチェックポイントを含むパーソナルデータを、ドライバーごとに記録するためのものである。分析装置203は、情報を分析し、エコ運転における特異な地点を抽出し記録するためのものである。
【0042】
以下、本実施形態の運転評価システム10の動作について説明する。まず、動作の概略について説明する。図2に示すように、車両情報Iaが取得される(S11)。ナビ情報Ibが取得される(S12)。蓄積されたデータがフィードバックされチェックポイントが設定される(S13)。ユーザ(ドライバー)ごとに個別化されたユーザパーソナライズ情報が作成される(S14)。ドライバーに対するアドバイスが実施される(S15)。以上の工程が繰り返されることにより、ドライバーに対して自己の運転操作に対する評価及びアドバイスが具体的になされる。ドライバーは、当該評価及びアドバイスを次回の運転操作に反映させるように努めることとなる。
【0043】
以下、チェックポイントを設定するための特徴抽出処理の例を説明する。図3に示すように、自車両の走行が開始される(S21)。自車両の走行中は、車両情報Iaとナビ情報Ibとが車載装置100のデータ受信装置110により取得される(S22)。取得された車両情報Iaとナビ情報Ibとは、データ集計部121により集計される。集計されたデータは、特徴抽出部122により、車両情報Iaのアクセル開度、車速及び加速度等の測定時に対応するナビ情報Ibの走行経路、道路形状、道路勾配、年月日、曜日及び時刻等を関連付けた特徴抽出が行なわれる。パーソナルデータ部123に保存される(S23)。
【0044】
走行終了後(S24)、特徴抽出部122は、アクセル開度、車速及び加速度等を変化量に換算する(S25)。特徴抽出部122は、当該変化量を走行経路の区間単位に割り付け、記録装置130のパーソナルデータ蓄積部131に記録する(S26)。例えば、自車両が図4に示すような地点Xから地点Yへの走行経路を走行した状況を想定する。この場合、区間ごとのアクセル開度は、図5に示すようになる。図5に示す例では、地点X〜Y間の地点Pa〜Peにおいて、特にアクセル開度の高い地点は地点Pa,Pdである。
【0045】
記録装置130のチェックポイント算出部132は、アクセル開度等の変化量の大きさに基づき、エコ運転の達成度合を示すエコ運転度を算出する(S27)。これらは、アクセル開度、車速及び加速度等の変化量に対し、所定の重み付けをして定量化することにより、算出することができる。チェックポイント算出部132は、パーソナルデータ蓄積部131に蓄積されたデータと合わせて、エコ運転度が所定の基準値よりも低い地点(区間)を抽出する(S28)。例えば、図6の例では、地点X〜Y間の地点Pa〜Peにおいて、エコ運転度は、地点Pa,Pdが基準値Ethを下回っている地点となる。
【0046】
チェックポイント算出部132は、抽出された区間の走行条件から、道路形状、道路勾配、曜日、時間帯による影響を推定し、エコ運転度が低い要因を特定する(S29)。エコ運転度が低い要因となる走行条件は区間におけるデータとは別にパーソナルデータ蓄積部131に記録される。チェックポイント算出部132は、エコ運転度が基準値Ethを下回る地点を、チェックポイントとして設定する(S30)。以上のようにして、得られた情報は、通信装置150により情報処理センター200に送信され、記録装置202に記録される。
【0047】
以下、設定されたチェックポイントを用いたドライバーへのアドバイスについて説明する。前提として、情報処理センター200は、図3に示すような処理を不特定多数の車両と行い、記録装置202に不特定多数の車両のドライバーについてのデータが記録されているものとする。分析装置203は、不特定多数のドライバーについてのデータを取得するごとに、エコ運転度の低い特異な地点を分析する。分析装置203は分析結果を記録装置202に記録する。
【0048】
図7に示すように、車載装置100は情報処理センター200と通信を行う(S31)。車載装置100のチェックポイント算出部132は、情報処理センター200との通信で得られた不特定多数のドライバーについてのデータから、エコ運転度の低い特異な地点が更新されていれば(S32)、当該特異な地点をチェックポイントとして追加する(S33)。
【0049】
ナビゲーションシステム上で走行経路が設定される(S34)。例えば、図4に示すような地点Xから地点Yへと向かう経路が設定されたものと仮定する。制御装置120のアドバイス生成部124は、走行経路上にチェックポイントがあった場合(S35)、当該チェックポイントにおいてエコ運転度が低い要因に対応した内容にドライバーに与えるアドバイスの内容を更新する(S37)。
【0050】
また、制御装置120のアドバイス生成部124は、走行経路上にチェックポイントがない場合でも(S35)、エコ運転度の低い区間で特定した走行条件に一致する区間が走行経路上にある場合は(S36)、当該チェックポイントにおいてエコ運転度が低い要因に対応した内容にドライバーに与えるアドバイスの内容を更新する(S37)。この場合の走行条件の相違は、走行経路、道路形状、道路勾配、年月日、曜日及び時刻等の相違について所定の重み付けを行い、当該相違の度合が所定の閾値以内のものを、走行条件が一致すると判定することができる。
【0051】
アドバイス生成部124は、アドバイス出力の地点を走行経路上に設定する(S38)。この場合、例えば、図8に示すように、チェックポイントCPである地点Pa,Pdがディスプレイ等の表示画面に、点滅、吹き出し、高い明度等によって強調されて表示される。
【0052】
アドバイス生成部124は、自車両のドライバーにチェックポイントCPごとに表示装置140を用いてアドバイスを行なう(S39)。例えば、チェックポイントがアクセル開度が大きくなり、燃費が低下しがちな登坂路であると仮定する。自車両のドライバーあるいは不特定多数のドライバーの運転傾向が登坂路に進入してから、アクセル開度を大きくする傾向が蓄積されたデータから分析されると仮定する。この場合は、アドバイス生成部124は、登坂路に進入する前にアクセル開度をある程度大きくして、車速を大きくしてから登坂路に進入し、全体としてのアクセル開度を小さくし、エコ運転度を基準値Eth以上とするようなアドバイスを生成する。
【0053】
上記アドバイスは、自車両がチェックポイントCPに到達する直前に即時行なわれても良い。また、自車両が走行経路への走行を開始する前か、走行経路での走行を終了した後に、アドバイスが行なわれても良い。さらに、運転支援アクチュエータ160は、エコ運転度を基準値Eth以上とするように、例えば、内燃機関による走行と電動機による走行との切り替え、制動力の増加、トランスミッションのシフト位置の補正等のドライバーの運転操作の補正を行う。
【0054】
本実施形態によれば、チェックポイント算出部132が、自車両が走行した所定の走行区間における自車両のドライバーの運転の評価を行ない、走行区間において、運転の評価が所定の評価基準に満たないチェックポイントCPを抽出するため、走行区間におけるどの地点での運転操作が評価を下げているのかを示すデータを得ることができる。また、アドバイス生成部124が、チェックポイント算出部132が抽出したチェックポイントCPに基づいて、自車両のドライバーの運転操作の支援を行なうため、ドライバーは、走行区間における運転の評価が低い地点において、重点的に運転を改善することができる。そのため、ドライバーが運転の評価に基づいた運転操作の改善を行うことがより容易となる。
【0055】
すなわち、本実施形態では、走行条件をチェックポイントCPとして抽出した情報することで、ドライバーが認識している走行結果と、システムにより評価された運転の評価との乖離を低減することができる。チェックポイントCPが設定されることで、アドバイスの効果が高められる。特に、チェックポイントCPに進入前にアドバイスを実施することで、アドバイスの効果を高めることができる。また、チェックポイントCPと走行条件とが関連付けられることで、ドライバーが実施すべき運転操作方法が明確になる。さらに、チェックポイントCPが固定されることで、繰返し運転操作を当該チェックポイントCPで実施することになり、チェックポイントCPでの運転操作が身に付きやすくなる。この場合、走行条件の相違が少ない他の走行経路でも、同様に運転操作を改善する効果が期待できる。
【0056】
また、本実施形態では、アドバイス生成部124は、チェックポイントCPと走行条件の相違が所定の閾値以内の推定上のチェックポイントCPが存在する場合は、推定上のチェックポイントCPに基づいて、自車両のドライバーの運転操作の支援を行なう。そのため、未だ実際に自車両が走行していない地点についても、運転の評価が低くなる可能性があるチェックポイントCPとして、ドライバーは運転操作の改善を行うことが可能となる。
【0057】
また、本実施形態では、アドバイス生成部124は、不特定多数の他車両のドライバーの運転の評価が所定の評価基準に満たない統計上のチェックポイントCPが存在する場合は、統計上のチェックポイントCPに基づいて、自車両のドライバーの運転操作の支援を行なう。そのため、実際に自車両が走行した地点については、他の不特定多数のドライバーの運転の評価が低い地点であるから、より運転操作に注意を払う地点であるとして、ドライバーは運転操作の改善を行うことが可能となる。あるいは仮に未だ実際に自車両が走行していない地点についても、他の不特定多数のドライバーの運転の評価が低い地点であるから、当該ドライバー自身の運転の評価も低くなる可能性があるチェックポイントCPとして、ドライバーは運転操作の改善を行うことが可能となる。
【0058】
また、本実施形態によれば、アドバイス生成部124は、自車両の進行方向にチェックポイントCPがある場合は、チェックポイントCPにおいて、チェックポイント算出部132が評価する運転の評価が所定の評価基準を満たすように、自車両のドライバーの運転操作の支援を行なうため、運転の評価が低いチェックポイントCPにおいて、運転の評価を向上させ、全体としての運転の評価を向上させることが可能となる。
【0059】
また、本実施形態によれば、表示装置140は、表示画面上にチェックポイントCPを強調して表示することにより、自車両のドライバーの運転操作の支援を行なう。このため、ドライバーは視覚によりチェックポイントCPを把握し易くなる。
【0060】
また、本実施形態によれば、運転支援アクチュエータ160は、自車両のドライバーの運転操作を補正する走行制御を行なうことにより、自車両のドライバーの運転操作の支援を行なう。このため、自車両のドライバー自身の運転操作が不適切であっても、運転の評価を向上させることが可能となる。
【0061】
さらに、情報処理センター200の通信装置201が車両へチェックポイントCPを含む情報を配信するため、車両はチェックポイントCPを含む情報を利用し易くなる。
【0062】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、車載装置100と情報処理センター200との間のチェックポイントCPや総好条件等の情報の交換は、通信装置150,201による無線通信により行なわれていたが、本発明では、当該情報の交換を、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD−R、フラッシュメモリ、USBメモリ、リムーバルハードディスク等のリムーバルメディアを、ドライバーが情報処理センター200に接続可能な端末に取り付けることによっても行なうことが可能である。
【0063】
また、上記実施形態において、車載装置100と情報処理センター200とがそれぞれ有する構成要素は、車載装置100と情報処理センター200とのいずれに備えられていても良い。例えば、車載装置100には、データ受信装置110、表示装置140、運転支援アクチュエータ160及び通信装置150のみが搭載され、それ以外の構成要素は情報処理センター200が全て有するようにされていても良い。あるいは、情報処理センター200を用いず、車載装置100のみに運転評価システム10の全ての構成要素が含まれる態様も、本発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の車載装置、情報処理センター及び運転評価システムによれば、ドライバーが運転の評価に基づいた運転操作の改善を行うことがより容易となる。
【符号の説明】
【0065】
10…運転評価システム、100…車載装置、110…データ受信装置、120…制御装置、121…データ集計部、122…特徴抽出部、123…パーソナルデータ部、124…アドバイス生成部、130…記録装置、131…パーソナルデータ蓄積部、132…チェックポイント算出部、140…表示装置、150…通信装置、160…運転支援アクチュエータ、200…情報処理センター、201…通信装置、202…記録装置、203…分析装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両が走行した所定の走行区間における前記自車両のドライバーの運転の評価を行う評価ユニットと、
前記走行区間において、前記評価ユニットが評価した運転の評価が所定の評価基準に満たない注意地点において、前記自車両のドライバーの運転操作の支援を行なう運転支援ユニットと、
を備え、
前記運転支援ユニットは、前記自車両の進行方向に前記注意地点がある場合は、前記注意地点において、前記評価ユニットが評価する運転の評価が前記所定の評価基準を満たすように、前記自車両のドライバーの運転操作の支援を行なう、車載装置。
【請求項2】
前記運転支援ユニットは、前記注意地点と走行条件の相違が所定の閾値以内の推定上の前記注意地点が存在する場合は、前記推定上の前記注意地点に基づいて、前記自車両のドライバーの運転操作の支援を行なう、請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
自車両が走行した所定の走行区間における前記自車両のドライバーの運転の評価を行う評価ユニットと、
前記走行区間において、前記評価ユニットが評価した運転の評価が所定の評価基準に満たない注意地点において、前記自車両のドライバーの運転操作の支援を行なう運転支援ユニットと、
を備え、
前記運転支援ユニットは、前記注意地点と走行条件の相違が所定の閾値以内の推定上の前記注意地点が存在する場合は、前記推定上の前記注意地点に基づいて、前記自車両のドライバーの運転操作の支援を行なう、車載装置。
【請求項4】
前記運転支援ユニットは、前記自車両の進行方向に前記注意地点がある場合は、前記注意地点において、前記評価ユニットが評価する運転の評価が前記所定の評価基準を満たすように、前記自車両のドライバーの運転操作の支援を行なう、請求項3に記載の車載装置。
【請求項5】
前記運転支援ユニットは、不特定多数の他車両のドライバーの運転の評価が前記所定の評価基準に満たない統計上の前記注意地点が存在する場合は、前記統計上の前記注意地点に基づいて、前記自車両のドライバーの運転操作の支援を行なう、請求項1〜4のいずれか1項に記載の車載装置。
【請求項6】
前記運転支援ユニットは、表示画面上に前記注意地点を強調して表示することにより、前記自車両のドライバーの運転操作の支援を行なう、請求項1〜5のいずれか1項に記載の車載装置。
【請求項7】
前記運転支援ユニットは、前記自車両のドライバーの運転操作を補正する走行制御を行なうことにより、前記自車両のドライバーの運転操作の支援を行なう、請求項1〜6のいずれか1項に記載の車載装置。
【請求項8】
一の車両が走行した所定の走行区間における一の自車両のドライバーの運転の評価を行う評価ユニットと、
前記走行区間において、前記評価ユニットが評価した運転の評価が所定の評価基準に満たない注意地点を抽出する注意地点抽出ユニットと、
を備え、
前記注意地点抽出ユニットは、前記注意地点と走行条件の相違が所定の閾値以内の地点を推定上の前記注意地点として抽出する、情報処理センター。
【請求項9】
前記評価ユニットは、不特定多数の他の車両が走行した所定の走行区間における前記不特定多数の他の車両のドライバーの運転の評価を行ない、
前記注意地点抽出ユニットは、前記評価ユニットが評価した運転の評価が所定の評価基準に満たない地点を統計上の前記注意地点として抽出する、請求項8に記載の情報処理センター。
【請求項10】
前記一の車両へ前記注意地点を含む情報を配信する配信ユニットをさらに備えた請求項8又は9に記載の情報処理センター。
【請求項11】
一の車両が走行した所定の走行区間における前記一の車両のドライバーの運転の評価を行う評価ユニットと、
前記走行区間において、前記評価ユニットが評価した運転の評価が所定の評価基準に満たない注意地点において、前記一の車両のドライバーの運転操作の支援を行なう運転支援ユニットと、
を備え、
前記運転支援ユニットは、前記一の車両の進行方向に前記注意地点がある場合は、前記注意地点において、前記評価ユニットが評価する運転の評価が前記所定の評価基準を満たすように、前記一の車両のドライバーの運転操作の支援を行なう、運転評価システム。
【請求項12】
前記運転支援ユニットは、前記注意地点と走行条件の相違が所定の閾値以内の推定上の前記注意地点が存在する場合は、前記推定上の前記注意地点に基づいて、前記一の車両のドライバーの運転操作の支援を行なう、請求項11に記載の運転評価システム。
【請求項13】
一の車両が走行した所定の走行区間における前記一の車両のドライバーの運転の評価を行う評価ユニットと、
前記走行区間において、前記評価ユニットが評価した運転の評価が所定の評価基準に満たない注意地点において、前記一の車両のドライバーの運転操作の支援を行なう運転支援ユニットと、
を備え、
前記運転支援ユニットは、前記注意地点と走行条件の相違が所定の閾値以内の推定上の前記注意地点が存在する場合は、前記推定上の前記注意地点に基づいて、前記一の車両のドライバーの運転操作の支援を行なう、運転評価システム。
【請求項14】
前記運転支援ユニットは、前記一の車両の進行方向に前記注意地点がある場合は、前記注意地点において、前記評価ユニットが評価する運転の評価が前記所定の評価基準を満たすように、前記一の車両のドライバーの運転操作の支援を行なう、請求項13に記載の運転評価システム。
【請求項15】
前記評価ユニットは、不特定多数の他の車両が走行した所定の走行区間における前記不特定多数の他の車両のドライバーの運転の評価を行ない、
前記運転支援ユニットは、前記評価ユニットが評価した運転の評価が所定の評価基準に満たない統計上の前記注意地点に基づいて、前記一の車両のドライバーの運転操作の支援を行なう、請求項11〜14のいずれか1項に記載の運転評価システム。
【請求項16】
前記運転支援ユニットは、前記一の車両の進行方向に前記注意地点がある場合は、前記注意地点において、前記評価ユニットが評価する運転の評価が前記所定の評価基準を満たすように、前記一の車両のドライバーの運転操作の支援を行なう、請求項11〜15のいずれか1項に記載の運転評価システム。
【請求項17】
前記運転支援ユニットは、表示画面上に前記注意地点を強調して表示することにより、前記一の車両のドライバーの運転操作の支援を行なう、請求項11〜16のいずれか1項に記載の運転評価システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−81743(P2011−81743A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−235625(P2009−235625)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】