説明

車載装置の遠隔制御装置

【構成】 無線で接続された内線通話可能な親子電話などにおける子機1と、子機の出力を復調または音声認識することにより車載設備等を制御し、制御された車載設備等の状態に基づいて子機により送信する制御手段2とを設けたものである。
【効果】 これにより子機は市販の電話器などが利用でき、使い勝手がよく、またこれらの機器は専用の電源をもっており車のバッテリを消耗しない。そして制御結果が親機で報知されるので他人に迷惑を及ぼすことなく操作者が制御結果を確認できる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は無線を使って車載装置などを遠隔制御する車載装置の遠隔制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より無線を使ってエンジンの始動や空調機器の制御など車載装置などの遠隔制御を行うことがなされており、このような車載用遠隔制御装置はたとえば特開平2−231855号公報などに開示されている。係る装置はRCR規格に適合した専用制御装置もしくは車載用電話端末に専用アダプタを設けて、指定された車内設備として取りつけられたもので、多くは車のバッテリで駆動され、例えばエンジンの始動を遠隔制御した場合、エンジンの回転によりホーンを鳴らして報知するように構成している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような専用制御装置は、高価でまた取りつけが煩雑であり、さらには送信器は所定項目の遠隔操作するためだけのものであるから小型であっておき忘れや紛失の虞れがある。そしてこのような遠隔制御装置が車のバッテリで駆動される場合には待機中も電力を消費するので、待機時間が長い時とか晴天下等で室温が高いときにはバッテリの電圧降下を招くこととなり好ましいものではない。さらに遠隔制御に於て一方的に制御信号を与えるだけの場合が多いが遠隔制御の結果が認識しにくく、上述のようにホーンを鳴らしても、公共駐車場などでは騒音が高く操作者に聞き取れなかったり、不必要に他の運転者を驚かしたり他人に騒音を与えることとなり好ましくない。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は上述の点を考慮して成されたもので、無線で接続された内線通話可能な親子電話などにおける子機と、子機の出力を復調または音声認識することにより車載設備等を制御し、制御された車載設備等の状態に基づいて子機により送信する制御手段とを設けたものである。
【0005】
【作用】これにより市販の親子電話などを利用することができ、遠隔制御の結果も操作者に確実に報知される。
【0006】
【実施例】図1は本発明実施例の車載装置の遠隔制御装置のブロック図で、エンジンの遠隔制御を行う場合を例にとってある。1は車内に設置された子機(親子電話のような無線通信受信器)で、例えば家の中に設置されている親機あるいは他の子機と無線で接続され、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池などの2次電池を内蔵しており、内線通話可能な親子電話の子機を接続することで利用されるものであり、内線呼び出しに応答して自動的に内線通話状態に設定される。2は子機の出力を復調することにより車載設備等を制御し、制御された車載設備等の状態に基づいて子機により送信する制御手段で、子機1の内線用スピーカを覆う音響カプラー20と、音響カプラー20に接続されたDTMFレシーバ21と、暗唱番号判定回路22と、車のセルモータのハーネスに接続され暗唱番号判定回路22の出力で一定時間接点を閉じるリレー部23と、タコメータに接続されるかもしくはバッテリ電圧検出器を内蔵したエンジン回転検出回路24と、エンジン回転検出器24の出力によりあらかじめ定められたDTMF信号を音響カプラー20を介して子機1の内線用マイクロホンに向かって出力するDTMFジェネレータ25からなる。
【0007】操作者は親機または他の子機により内線通話を設定し、テンキーにより4桁の暗唱番号を操作する。これにより操作された親機または子機は4桁のDTMF信号を順次送信することとなるが、これは市販の多くの親子電話が持つキャッシングサービスを受けるときの通常の機能を利用することとなる。このDTMF信号は子機1の内線用スピーカを鳴らし、音響カプラー20を介してDTMFレシーバ21に入力され解読される。この解読信号が暗唱番号判定回路22に予め記憶された暗唱番号と一致している場合には暗唱番号判定回路22の出力でリレー部23の接点を閉じセルモータを回転させる。接点が開くことによってエンジンの回転を検出し、若しくはリレー部の動作に関係なくエンジン回転検出回路24がエンジンの安定な回転を検出した場合には、DTMFジェネレータ25はあらかじめ定められたDTMF信号を、好ましくは複数回、音響カプラー20を介して子機1の内線用マイクロホンに出力し、この音は操作者が近くにいる親機または子機に送信される。これによって操作者はエンジンの回転が、操作した親機または子機から確認できることとなり、回転を示すDTMF信号音が聞こえないときには再度テンキーを操作するか又は車の異常と思って車の位置に急げばよい。また上述の例において暗唱番号判定回路22は単に暗唱番号との一致を判定するだけではなく、他のセンサーを用いてエンジンスタータをかけてもよいかどうかの安全確認をも行い、条件が全て一致したときにリレー接点を閉じるようにしてもよい。また上述の操作と同様に、暗唱番号を替えることによってエンジンの停止を制御することもでき、この場合には暗唱番号判定回路22はエンジン電源を切るハーネスに接続された他のリレーをも選択的に制御するように構成すればばよく、エンジン回転検出器24もエンジンの回転の停止によって異なるDTMF信号を発生させればよい。
【0008】また上述の構成に於てはDTMF信号を制御信号の暗唱番号処理に用いたが、音声そのものを利用することもできる。この場合には上述した制御手段2のDTMFレシーバと暗唱番号判定回路に代えて音声パラメータを記憶した音声メモリ付きの音声認識回路を用いればよく、音声認識や合成に関しては例えば特開昭57−188100号公報などに開示された技術を利用すればよい。これによりテンキーを4回操作する代わりに、内線が接続された後で親機などのマイクに向かって予め登録された言葉、例えば「スタート」と話せば音声認識されてエンジンセルが回転されその結果が報知されることとなる。この場合音声認識装置は合成装置を備えることが多いので、DTMFジェネレータ25にかえて音声合成装置を配置し、その音声合成集積回路の所定のアドレスから音声を再生すれば操作した親機等からは「エンジン回転しました」などの言葉による報告を受けることが可能である。
【0009】そして上述した種々の実施例において、車載機器を制御した結果の報知はDTMF信号や言葉に限られるものではなく、音声信号として親子電話間で通信できるもの、例えばビープ音やメロディであっても構わない。また子機1からの信号や言葉を確実に検出するために音響カプラーを用いたが、車内が一定の騒音レベルに達しないとか、座席のクッションなどで子機の音を確実にマイクロホンで受け止めることができる場合には、音響カプラーを用いなくてもよい。
【0010】
【発明の効果】以上の如く本発明にあっては、子機は市販の電話器などが利用でき、使い勝手がよく、親機は比較的大きいので紛失の虞れも少ない。またこれらの機器は専用の電源をもっており車のバッテリを消耗しない。そして制御結果が親機で報知されるので周囲の騒音が大きかったり壁などで車が見えないときでも、他人に迷惑を及ぼすことなく操作者が制御結果を確認できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例の車載装置の遠隔制御装置のブロック図である。
【符号の説明】
1 子機
2 制御手段
20 音響カプラー
21 DTMFレシーバ
22 暗唱番号判定回路
23 リレー部
24 エンジン回転検出回路
25 DTMFジェネレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 無線で接続された内線通話可能な親子電話などにおける子機と、子機の出力を復調または音声認識することにより車載設備等を制御し、制御された車載設備等の状態に基づいて子機により送信する制御手段とを具備したことを特徴とする車載装置の遠隔制御装置。

【図1】
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