説明

車載装置及び情報出力方法

【課題】運転手以外の搭乗者に対する運転状況への注意力向上、特にDVDや音楽などのエンターテイメントの視聴中であっても運転状況への注意を喚起し、安全性を向上させた車載装置及び情報出力方法を提供する。
【解決手段】通信手段202と、車両の位置、周囲状況を検出する手段200と、通信手段202、車両状況検出手段200から運転支援情報を取得する情報取得部と、出力装置104に対する映像、音楽情報の出力を制御する手段204と、を有する車載装置103において、運転支援情報の情報種別に対応するメッセージを出力装置104の種別毎に保持する手段201を有し、運転支援情報を基に、情報種別に対応するメッセージを読み出し、出力する。出力装置104の種別毎に、運転支援情報の情報種別を基に情報の出力可否の判別を行う手段205を有し、運転支援情報の情報種別に応じて、出力装置104毎に、メッセージを出力し又はしない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置及び情報出力方法に関し、特に車両の各座席に設けられたディスプレイやスピーカからの出力メッセージを出力装置に応じた内容にて通知する車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の運転において運転手は車両周囲の状況の把握し、それに加えて道路標識を視覚的に認識して判断する必要がある。しかしながら運転状況により道路標識の認識に漏れが生じることもある。このような道路標識の見落としにより、道路交通法の違反や目的地への進路誤りなどが生じる恐れがあった。このような問題を解決するために、車載カメラで道路標識を含む画像を記録し蓄積された画像を表示する方法や、道路標識等の内容を音声に変換する方法で運転手の道路標識認識率向上を図る技術が提案されている(例えば特許文献1、特許文献2参照)。
また、車両内部での映像や音楽によるエンターテイメントが普及し、近年では後部座席でDVDやTVを視聴することも可能となった。このようなエンターテイメントの視聴は主に運転手以外が享受しており、運転状況に比較的影響を受けずに楽しむ事が可能である。
【特許文献1】特開2006−321357号公報
【特許文献2】特開2007−168570号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の技術では前述のようなエンターテイメントの視聴中、運転手以外の搭乗者は運転状況への注意が減少することが多い。特に急勾配や急カーブなど道路状況の大きな変化により瞬間的に搭乗者の体が不安定なる場合、シートベルトの有無に関わらず、手すりに掴まるなど体を支える必要がある。この反応が遅れる可能性がある。
【0004】
本発明の目的は、上記背景技術の状況に鑑み、運転手以外の搭乗者に対する運転状況への注意力向上、特にDVDや音楽などのエンターテイメントの視聴中であっても運転状況への注意を喚起し、安全性を向上させた車載装置及び情報出力方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明では、車両外部と通信する通信手段及び車両の位置または周囲状況の少なくとも1つを検出する車両状況検出手段から道路情報を取得する情報取得部と、道路情報の情報種別に対応する注意喚起メッセージを保持するメッセージ保持手段と、映像または音楽情報の出力と共に前記メッセージの出力を制御する出力制御手段とで構成される車載装置において、前記車載装置は、出力装置種別毎に前記情報取得部にて取得した情報種別毎の出力可否の判別を行う情報判別手段を有し、前記情報取得部にて取得した情報の出力可否を、前記情報判別手段にて判別し、前記メッセージ保持手段から前記情報取得部にて取得した情報種別に応じたメッセージを読み出し、前記出力制御手段により前記判別結果に基づき、出力装置に前記メッセージを出力することを特徴とする。
【0006】
すなわち、本発明は、搭載される車両外部と通信する通信手段と、搭載される車両の位置または周囲状況の少なくとも1つを検出する車両状況検出手段と、前記通信手段又は前記車両状況検出手段から運転支援情報を取得する情報取得部と、複数の出力装置に対する映像または音楽情報の出力を制御する出力制御手段と、を有する車載装置において、運転支援情報の情報種別に対応するメッセージを前記出力装置の種別毎に保持するメッセージ保持手段を有し、前記情報取得部にて取得した運転支援情報を基に、前記運転支援情報の情報種別に対応するメッセージを、前記メッセージ保持手段から読み出し、該当出力装置に出力する車載装置である。
【0007】
また、本発明は、前記出力装置の種別毎に、運転支援情報の情報種別を基に情報の出力可否の判別を行う情報判別手段を有し、前記情報取得部にて取得した運転支援情報の情報種別に応じて、出力装置毎に、前記メッセージを出力し、あるいは出力しない車載装置である。
【0008】
そして、本発明は、前記出力制御手段は、各出力装置への前記メッセージ出力可否判別の結果を、該出力装置へのメッセージ出力可否に関わらず出力するよう制御する車載装置である。
【0009】
更に、本発明は、前記出力装置にて利用中のアプリケーション情報を取得する出力状況取得手段を有しており、前記情報判別手段は、前記出力装置の種別及び前記情報取得部にて取得した運転支援情報の情報種別を基に、前記出力装置が利用中のアプリケーション毎に情報の出力可否の判別を行い、前記情報取得部にて取得した運転支援情報の出力可否を、出力装置の種別及び該出力装置が利用中のアプリケーションの情報を用いて前記情報判別手段にて判別し、前記メッセージ保持手段から前記情報取得部にて取得した運転支援情報の情報種別に対応するメッセージを読み出し、前記出力可否判別の結果に基づき、前記出力装置に前記メッセージを出力し、あるいは出力しない車載装置である。
【0010】
また、本発明は、前記情報取得部は、通信によって道路情報を取得する通信手段と、車両の運転状況及び車両の位置または周囲状況の少なくとも1つを検出する車両状況検出手段との少なくともどちらか一方を有して、道路情報及び車両状況を取得し、前記情報判別手段は、出力装置の種別及び前記車両状況毎に前記情報取得部にて取得した情報種別毎の出力可否の判別を行い、前記情報取得部にて取得した情報の出力可否を、出力装置の種別及び前記車両状況の情報を用いて前記情報判別手段にて判別し、前記メッセージ保持手段から前記情報取得部にて取得した情報種別に対応したメッセージを読み出し、前記出力可否判別の結果に基づき、出力装置に前記メッセージを出力する車載装置である。
【0011】
そして、本発明は、前記出力装置にて利用中のアプリケーション情報を取得する出力状況取得手段を有しており、前記情報取得部は、通信によって道路情報を取得する通信手段と、車両の運転状況及び車両の位置または周囲状況の少なくとも1つを検出する車両状況検出手段との少なくともどちらか一方を有して、道路情報及び車両状況を取得し、前記情報判別手段は、出力装置の種別及び該出力装置が利用中のアプリケーション及び前記車両状況毎に前記情報取得部にて取得した情報種別毎の出力可否の判別を行い、前記情報取得部にて取得した情報の出力可否を、出力装置種別及び該出力装置が利用中のアプリケーション及び前記車両状況の情報を用いて前記情報判別手段にて判別し、前記メッセージ保持手段から前記情報取得部にて取得した情報種別に応じたメッセージを読み出し、前記出力可否判別の結果に基づき、出力装置に前記メッセージを出力する車載装置である。
【0012】
更に、本発明は、ユーザからの車載装置への操作指示及び、接続手段にて接続された前記出力装置からの操作指示が可能な入力手段を有し、前記出力制御手段は、ユーザによる操作指示に応じて、前記メッセージ内容の出力可否を変更する車載装置である。
【0013】
また、本発明は、前記情報判別手段は、出力可否を判別する基準である判別基準を有し、前記出力制御手段は、ユーザから入力された前記メッセージの出力可否の変更を前記判別基準に反映し保持する車載装置である。
【0014】
そして、本発明は、搭載される車両外部と通信する通信手段と、搭載される車両の位置または周囲状況の少なくとも1つを検出する車両状況検出手段と、前記通信手段又は前記車両状況検出手段から運転支援情報を取得する情報取得部と、複数の出力装置に対する映像または音楽情報の出力を制御する出力制御手段と、を有する車載装置における情報出力方法において、運転支援情報の情報種別に対応するメッセージを前記出力装置の種別毎に保持するメッセージ保持ステップと、前記情報取得部にて取得した運転支援情報を基に、前記運転支援情報の情報種別に対応するメッセージを、前記メッセージ保持手段から読み出すステップと、該当出力装置に出力するステップとを有する情報出力方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、走行中の車内でエンターテイメント利用に際して、道路もしくは走行状況によって利用者に注意を喚起し、安全性を高めることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明を実施するための最良の形態を説明する。
以下、本発明の車載装置及び情報処理方法の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0017】
実施例1を説明する。図1〜図5は本発明の第1の実施例の説明図である。図1は実施例1における車両の各種センサによって取得した道路状況の情報を前席の運転手に伝えるだけでなく、エンターテイメントを視聴中のユーザに対して、注意を喚起する車載装置の概念図、図2は図1の車載装置の構成例図、図3は図2の車載装置の構成例図において情報判別手段が用いる判別用テーブル例及びメッセージ保持手段で保持されるメッセージのテーブル概念図、図4は図2の車載装置において各座席へ通知し注意喚起が必要か判断する動作シーケンス図、図5は図1の運転席用ディスプレイに各座席への出力状況を表示した図である。
本実施例は、車両の各種センサによって取得した道路状況の情報について要・不要を判別し、後席でエンターテイメントを視聴中のユーザに対しても、注意を喚起する場合の例である。
【0018】
図1において、101は車載カメラ、102は車載カメラ101が撮像し、認識した道路標識、103は車載装置、104はディスプレイであり、104(1)は運転席用ディスプレイ、104(2)は後席用ディスプレイ、106は車載装置103と車載カメラ101を接続するケーブル、107は車載装置103と運転席用104(1)及び後席用ディスプレイ104(2)とを接続するケーブルである。
【0019】
本実施例の車載カメラ101としては、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)やCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子を持ち、内蔵された画像認識手段から認識結果を車載装置103に通知する機能を備えたカメラである。道路標識102としては、規制標識,指示標識,警戒標識,案内標識などの本標識や交通信号機,道路標示,電柱広告等であっても良い。
車載装置103としては、車両の各種センサや車載カメラ101から情報を取得可能なカーナビである。運転席用ディスプレイ104(1)及び後席用ディスプレイ104(2)としては搭乗者に映像や地図などを表示する装置である。表示方式としては液晶やプラズマディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)などのパネル、電源停止後も映像が残る電子ペーパー、投射方式、オーバーヘッドディスプレイ、ヘッドマウントディスプレイなどが考えられる。また、ユーザからの入力インタフェースとして操作キーやタッチパネル機能を備えても良い。
ケーブル106及びケーブル107としては、IEEE1394やEthernet(IEEE 802.3、登録商標)、情報系の車載ネットワークであるMOST(Media Oriented Systems Transport)などのデジタル有線接続や、映像データを転送するデータ線と制御データを転送する制御線を持つアナログ有線接続、WiFi(802.11a/b/g)やBloutooth(登録商標)等の無線接続、家電やAV機器向けのデジタル映像・音声入出力インターフェース規格であるGVIF(Gigabit Video InterFace:登録商標)やLVDS(Low Voltage Differential Signaling)などの低電圧差動伝送方式、HDMI(High Definition Multimedia Interface)などの方式、また電力と情報を同時に伝送可能なPLC(Power Line Communications)を用いた電力線ケーブルやIEEE802.3afで規定されるPoE(Power over Ethernet、登録商標)、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)等でも良い。
【0020】
車載装置103は、車載カメラ101によって撮像された道路標識102を認識し、認識結果に応じた注意喚起のメッセージを運転席用ディスプレイ104(1)へ表示し、またこの例のように急勾配を示す警戒標識の場合は、後席用ディスプレイ104(2)にて視聴中のユーザにも注意喚起が必要と判断し、DVD視聴を妨げることのないよう画面端部等に文字出力を行い、後席ユーザに通知する。
【0021】
図2は車載装置の構成例図である。200はカメラ画像等から車両周辺の状況を検出する車両状況検出手段、201は注意喚起を行うメッセージの保持手段、202は車外から無線によるデータ受信を可能とする通信手段、203はアンテナ、204は出力を制御する出力制御手段、205は検知した情報の出力有無を判別する情報判別手段、208は受信した情報を出力する出力手段、209は車両周辺を監視する撮像装置、210は撮像装置209によって取得した画像から特定の画像を抽出する認識手段である。
なお、図1と同様の装置については同番号を記す。
【0022】
車両状況検出手段200としては、上記車載カメラ101や車両が有する各種センサ、例えばマイクロ波レーダによる前方車両や人物の検知、赤外線暗視装置による夜間の障害物検知、またカーナビゲーションが有するGPSによる自車位置検出、車速パルスによる車両速度、ステアリングの傾きから検出される陀角情報、ブレーキ制御で用いるABSセンサ、タイヤ圧力センサー、などである。
【0023】
メッセージ保持手段201としてはHDDなどの大容量記憶装置やフラッシュメモリカード等のシリコンメモリを利用した記憶装置である。また、CD、CD±RW、DVD、DVD±RW、DVD−RAM、BD−R、BD−REなどの記録メディアでも良い。このメッセージ保持手段201に保持されるメッセージ情報としては、各判別結果に応じたテキスト及び音声、アイコン画像で構成され、RDB(Relational Database)等のデータベースで管理される。
【0024】
通信手段202としてはPHS(Personal Handy-phone System)、PDC(Personal Digital Cellular)、GSM(Global System for Mobile Communications)、CDMA(Code Division Multiple Access)、W−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)、CDMA−2000、DSRC(Dedicated Short Range Communication)、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)等の通信方式を少なくとも一つは有する通信装置である。なお、車載カメラ101と通信手段202とをあわせて車両が取得する情報を検知する情報取得部とする。
【0025】
出力制御手段204としては、CPU等の演算装置やメモリなどの記憶装置を持つユニットに内蔵され、優先度に従った制御処理を実行するプログラムで構成される。
情報判別手段205としては、CPU等の演算装置やメモリなどの記憶装置を持つユニットに内蔵され、優先度に従った制御処理を実行するプログラムで構成される。
【0026】
出力手段208としてはディスプレイ104として述べた表示装置及び、音声出力としてスピーカーやイヤホンジャックやBluetooth接続ヘッドフォンである。
撮像装置209としては上記車載カメラ101で述べた撮像素子を持つカメラである。内蔵された画像認識手段から認識結果を車載装置103に通知する機能を備えたカメラである。
認識手段210としてはパターンマッチング、統計的識別法、構造識別法などの画像認識技術を備えた解析装置である。
【0027】
図3は上記図2におけるメッセージ保持手段201が保持するメッセージ及び情報判別手段205にて判別で用いられる判別テーブル概念図である。
301は車載カメラ及び通信手段で取得した情報の認識結果、302は道路標識などの画像を認識した場合の画像種別、303は認識結果に応じた座席位置毎のメッセージ出力の出力設定、304は車両前席への出力に対応した前席用メッセージ、305は車両後席への出力に対応した後席用メッセージである。
なお、図2と同様の装置については同番号を記す。
【0028】
認識結果301から、例えば画像種別302として「急勾配あり」が選択された場合、出力設定303は、運転席、助手席、後席対して注意喚起を促すメッセージ出力を行う。その場合、出力されるメッセージとしては前席(運転席と助手席はこの例では同一とする)では前席用メッセージ304「この先、急勾配あり。」とナビ画面への文字列による出力及び、音声による読み上げが行われ、後席では後席用メッセージ305「この先、急勾配です。手すりに掴まり下さい。」等のように視聴中のDVD映像と重ならない位置例えば画面端部への文字列出力を行う。
また認識結果301から、例えば画像種別302として「一時停止」となった場合、出力設定303は、運転席に対してのみ注意喚起を促すメッセージ出力を行う。その場合、出力されるメッセージとしては前席(運転席と助手席はこの例では同一とする)では前席用メッセージ304「この先一時停止です。」とナビ画面への文字列による出力及び、音声による読み上げが行われ、助手席及び後席へはメッセージ出力はされない。
【0029】
図4は上記図2の車載装置において各座席へ通知し注意喚起が必要か判断する動作シーケンス図である。車載端末103の通信手段202にて緊急地震速報を受信し(ステップ401)、情報判別手段205は各出力装置への出力可否を判別し(ステップ402)、図3の情報判別手段205の判別テーブル例に従うと緊急地震速報の場合、運転席、助手席、後席すべてへのメッセージ通知を行うと判別され(ステップ403)、出力制御手段204は判別結果に応じたメッセージをメッセージ保持手段201より取得し(ステップ404)、各座席に取得したメッセージを通知し(ステップ405)、終了となる。ステップS403で通知しないときは終了となる。
【0030】
図5は図2のディスプレイ104に各座席への出力状況を表示した図である。501はナビゲーション用の地図画面に注意喚起メッセージが表示されたポップアップ、502は車載カメラ101により取得し、情報判別手段205にて判別した一時停止の規制標識アイコン、503はディスプレイ104にポップアップ501が表示されているのと同様に、他の表示装置への注意喚起用メッセージ出力有無を通知するためのアイコンである。ここでは503(1)は運転席ディスプレイへの出力があることを表し、ここでは白色にD(Driver's seat)で表現されている。また503(2)は助手席への出力が無いことを表し、黒丸にP(Passenger's seat)で表現されている。また503(3)は後部座席右側への出力が無いことを表し、黒丸にRR(Rear seat,Right side)で表現されている。また503(4)は後部座席左側への出力が無いことを表し、黒丸にRL(Rear seat,Left side)で表現されている。
【0031】
運転席では注意喚起としてナビゲーション画面に前記ポップアップ501と音声による案内が行われ、数秒の表示後、ポップアップ501が消去され、ナビ画面に戻るよう出力制御手段204により操作される。
【0032】
上記した実施例では情報判別手段205による判別内容として注意喚起を主な目的として道路標識や緊急地震速報などを取り上げた。それに加えて、カーナビゲーションが保持するデータまたは通信によって取得した事故多発地点に関する情報や、VICS(Vehicle Information and Communication System)によって配信された路上凍結や駐車場、渋滞等の情報であっても良い。また、注意喚起だけでなく車両の位置情報よりカーナビゲーションから周辺施設、例えばSA(サービスエリア)や、名所、旧跡などの情報を用いても良い。このような情報の場合、前席・後席を問わず情報共有することが望ましい。また、通信手段202により外部からのPush型広告として音声や動画等の受信も考えらる。このような情報の場合、特に動画や静止画など視線の誘導を図る内容は外部への注意力の低下の恐れがあり、運転席以外への情報提供が望ましい。
【0033】
上記した実施例では車載カメラ101が認識手段210を内蔵していたが、本機能は車載装置に内蔵し、撮像装置209による撮像機能のみであっても良い。
上記した実施例では理解を容易にするために出力制御手段204と情報判別手段205とを機能単位で分割しているが、両者をあわせて単一のCPU等の演算装置やメモリなどの記憶装置を持つユニットに内蔵され、優先度に従った制御処理を実行するプログラムで構成されていても良い。
上記した実施例では図5のように他の表示装置への注意喚起用メッセージ出力有無を通知するためのアイコンとして白丸と黒丸で表したが、3D描画や画像データ、文字列など他の表現方法でも良く、また各アイコンを各座席位置に応じた位置関係に配置しているが、横1列など他の配置方法でも良い。また、各出力装置に対応するLED(Light Emitting Diode)やランプの明滅によってメッセージの出力有無を表しても良い。
【0034】
上記実施例1によれば、これまで運転手を対象に行われていた走行中の注意喚起を、運転席以外の搭乗者も対象にし、特に映像や音楽などの車内エンターテイメントを利用中で走行状況への注意力が極度に低下した状態であっても、メッセージ通知することで注意喚起し、安全性を高めることが可能となる。また、情報判別手段により対象以外には不要と思われる情報を、他の搭乗者へは非通知にするなど、位置に基づいた判別方法により不要な通知を行わないため、不快感の低減が可能となる。
【実施例2】
【0035】
実施例2を説明する。図6及び図7は本発明の第2の実施例の説明図である。図6は本実施例の車載装置の構成例図、図7は図6の前記車載装置において通知有無及び方法を判別する際にユーザの状況を考慮する場合の動作シーケンス図である。
本実施例は車両の各種センサによって取得した道路状況の情報を情報の種別だけでなくユーザの状況にも応じて通知の有無や方法を選択し、注意を喚起する場合の例である。
【0036】
図6は本実施例の車載装置の構成例図である。601は車載装置103から出力装置104へのデータ出力状況を取得する出力状況取得手段である。出力状況取得手段601としてはシリコンメモリ等を利用した記憶装置である。
なお、図2と同様の装置については同番号を記す。
【0037】
図7は図6は前記車載装置において通知有無及び方法を判別する際にユーザの状況を考慮する場合の動作シーケンス図である。
図4の各ステップと同一の動作には同一番号を付す。
車載端末103の通信手段202にて緊急地震速報を受信し(ステップS401)、出力制御手段204は出力状況取得手段601から各乗員の視聴有無、視聴している場合のコンテンツの種別等を取得し、情報判別手段205にて認識する(ステップS701)。情報判別手段205は取得した緊急地震速報及び、各出力装置の状況を鑑み各座席への通知可否を判別し(ステップ402)、図3の判別テーブル例に従うと緊急地震速報の場合、運転席、助手席、後席すべてへのメッセージ通知を行うと判断されるが、それに各座席での視聴状況を加味して出力有無及び方法を判別し(ステップ403)、出力制御手段204は判別結果に応じたメッセージをメッセージ保持手段201より取得し(ステップ404)、各座席に取得したメッセージを通知する(ステップ405)。
【0038】
出力状況取得手段601にて取得される各座席での出力装置の利用状況としては、(1)何も視聴せずディスプレイ電源OFF、(2)ナビゲーション画面を視聴、(3)音楽を視聴、(4)TV及びDVDなどの動画、また通信によるインターネット利用、などが考えられる。上記例のように緊急地震速報のように緊急度の高い情報の場合、(1)〜(4)すべての状況において「(ディスプレイ電源をONし、)震源地などの映像と共に注意喚起のメッセージ表示、また音声での通知を実施」するべきであるが、例えば図3の情報判別手段で用いられる判別用テーブル例の項目の一つである道路標識の警戒標識「路面凸凹あり」の場合、
(1)音声のみの通知を実施
(2)ナビゲーション画面表示のまま注意喚起のメッセージ表示、音声での通知を実施
(3)注意喚起のメッセージ表示
(4)注意喚起のメッセージ表示、エンターテイメントによる音声利用が無い場合は音声による通知も実施
等の座席の状況に応じた出力例が考えられる。
【0039】
実施例2によれば、これまで運転手を対象に行われていた走行中の注意喚起を、運転席以外の搭乗者も対象にし、特に映像や音楽などの車内エンターテイメントを利用中で走行状況への注意力が極度に低下した状態であっても、乗員の状況を考慮したメッセージ通知方法を選択することでより効果的に注意喚起し、安全性の向上及び搭乗者の快適性を高めることが可能となる。
【実施例3】
【0040】
実施例3を説明する。図8及び図9は本発明の第3の実施例の説明図である。図8は本実施例である車載装置の構成例図、図9は図8の前記車載装置においてユーザからの入力操作を受けてメッセージ通知有無を変更する場合の動作シーケンス図である。
本実施例はメッセージ通知の有無をユーザが変更する場合の例である。
【0041】
図8は本実施例の車載装置の構成例図である。801は車載装置103へのユーザ入力を受け付ける入力手段、802は出力装置104へのユーザ入力を受け付ける入力手段、803は情報を判別するデータのテーブル情報である判別基準である。
なお、図6と同様の装置については同番号を記す。
【0042】
入力手段801及び802としては、操作キー、タッチパネル機能を備えたパネルディスプレイ。また、ペン入力や、マイクで取得した音声解析、光センサ、カメラによる画像認識(モーションディテクトやバーコード)、携帯電話からの短距離通信(赤外線通信やBluetooth)などでもよい。
判別基準803としては、認識された標識情報、また通信にて受信する緊急地震速報と、それに応じたメッセージ保持手段201でのメッセージ保存先の番号もしくはメモリ上の位置などの、呼び出し可能なリンク情報である。
【0043】
図9は図8の前記車載装置においてユーザからの入力操作を受けてメッセージ通知有無を変更する場合の動作シーケンス図である。
車載端末103にて車両がサービスエリアへの到着間近であることを検知し(ステップS901)、情報判別手段205は判別基準803に照らし合わせ各座席への通知可否を判別し、まず運転席への出力装置への通知を実施し(ステップS902)、次に他の出力装置への出力を判定し、通知しない場合は通知未実施であることを表示装置のアイコンにて出力し(ステップS903)、通知する場合は、出力制御手段204が判別結果に応じたメッセージをメッセージ保持手段201より取得し(ステップS904)、各座席に取得したメッセージを通知する(ステップS905)。さらに通知した各座席の出力装置への出力結果をアイコンとして各表示装置に出力する(ステップS906)。ここで通知内容が後席には送られない場合、運転席からタッチパネル上の前記アイコンに触れ(ステップS907)、ユーザが「通知しない」を選択した場合、何もせずに終了する(ステップS908)。また「通知する」を選択した場合、出力制御手段205が判別結果に応じたメッセージをメッセージ保持手段201より取得し(ステップS909)、各座席に取得したメッセージを通知する(ステップS910)。また、出力制御手段はユーザによる入力で変更された出力条件で判別基準803を更新し保存する(ステップS911)。
【0044】
上記した実施例では理解を容易にするために出力制御手段204と情報判別手段205とを機能単位で分割しているが、両者をあわせて単一のCPU等の演算装置やメモリなどの記憶装置を持つユニットに内蔵され、優先度に従った制御処理を実行するプログラムで構成されていても良い。これはメッセージ保持手段201と判別基準803に関しても同様であり、同一のメモリなどの記憶装置に内蔵されても良い。
【0045】
上記実施例によれば、これまで運転手を対象に行われていた走行中の注意喚起を、運転席以外の搭乗者も対象にし、特に映像や音楽などの車内エンターテイメントを利用中で走行状況への注意力が極度に低下した状態であっても、乗員の状況を考慮したメッセージ通知方法を選択することでより効果的に注意喚起し、安全性の向上及び搭乗者の快適性を高めることが可能となる。また、搭乗者により出力するメッセージの要・不要を設定変更し保持することが可能となり、利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】実施例1の車載装置の概念図。
【図2】実施例1の構成例図。
【図3】実施例1のテーブル例図。
【図4】実施例1の構成機器の動作説明図。
【図5】実施例1の出力装置の表示概念図。
【図6】実施例2の構成例図。
【図7】実施例2の構成機器の動作説明図。
【図8】実施例3の構成例図。
【図9】実施例3の構成機器の動作説明図。
【符号の説明】
【0047】
101 車載カメラ
102 道路標識
103 車載装置
104 ディスプレイ
106 ケーブル
107 ケーブル
201 メッセージ保持手段
202 通信手段
203 アンテナ
204 出力制御手段
205 情報判別手段
208 出力手段
209 撮像装置
210 認識手段
301 認識結果
302 画像種別
303 出力設定
304 前席用メッセージ
305 後席用メッセージ
501 ポップアップ、
502 標識アイコン、
503 アイコン
601 出力状況取得手段
801 入力手段
802 入力手段
803 判別基準

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搭載される車両外部と通信する通信手段と、搭載される車両の位置または周囲状況の少なくとも1つを検出する車両状況検出手段と、前記通信手段又は前記車両状況検出手段から運転支援情報を取得する情報取得部と、複数の出力装置に対する映像または音楽情報の出力を制御する出力制御手段と、を有する車載装置において、
運転支援情報の情報種別に対応するメッセージを前記出力装置の種別毎に保持するメッセージ保持手段を有し、前記情報取得部にて取得した運転支援情報を基に、前記運転支援情報の情報種別に対応するメッセージを、前記メッセージ保持手段から読み出し、該当出力装置に出力することを特徴とした車載装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車載装置において、
前記出力装置の種別毎に、運転支援情報の情報種別を基に情報の出力可否の判別を行う情報判別手段を有し、前記情報取得部にて取得した運転支援情報の情報種別に応じて、出力装置毎に、前記メッセージを出力し、あるいは出力しないことを特徴とする車載装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車載装置において、
前記出力制御手段は、各出力装置への前記メッセージ出力可否判別の結果を、該出力装置へのメッセージ出力可否に関わらず出力するよう制御することを特徴とする車載装置。
【請求項4】
請求項2に記載の車載装置において、
前記出力装置にて利用中のアプリケーション情報を取得する出力状況取得手段を有しており、前記情報判別手段は、前記出力装置の種別及び前記情報取得部にて取得した運転支援情報の情報種別を基に、前記出力装置が利用中のアプリケーション毎に情報の出力可否の判別を行い、前記情報取得部にて取得した運転支援情報の出力可否を、出力装置の種別及び該出力装置が利用中のアプリケーションの情報を用いて前記情報判別手段にて判別し、前記メッセージ保持手段から前記情報取得部にて取得した運転支援情報の情報種別に対応するメッセージを読み出し、前記出力可否判別の結果に基づき、前記出力装置に前記メッセージを出力し、あるいは出力しないことを特徴とした車載装置。
【請求項5】
請求項2に記載の車載装置において、
前記情報取得部は、通信によって道路情報を取得する通信手段と、車両の運転状況及び車両の位置または周囲状況の少なくとも1つを検出する車両状況検出手段との少なくともどちらか一方を有して、道路情報及び車両状況を取得し、前記情報判別手段は、出力装置の種別及び前記車両状況毎に前記情報取得部にて取得した情報種別毎の出力可否の判別を行い、前記情報取得部にて取得した情報の出力可否を、出力装置の種別及び前記車両状況の情報を用いて前記情報判別手段にて判別し、前記メッセージ保持手段から前記情報取得部にて取得した情報種別に対応したメッセージを読み出し、前記出力可否判別の結果に基づき、出力装置に前記メッセージを出力することを特徴とした車載装置。
【請求項6】
請求項2に記載の車載装置において、
前記出力装置にて利用中のアプリケーション情報を取得する出力状況取得手段を有しており、前記情報取得部は、通信によって道路情報を取得する通信手段と、車両の運転状況及び車両の位置または周囲状況の少なくとも1つを検出する車両状況検出手段との少なくともどちらか一方を有して、道路情報及び車両状況を取得し、前記情報判別手段は、出力装置の種別及び該出力装置が利用中のアプリケーション及び前記車両状況毎に前記情報取得部にて取得した情報種別毎の出力可否の判別を行い、前記情報取得部にて取得した情報の出力可否を、出力装置種別及び該出力装置が利用中のアプリケーション及び前記車両状況の情報を用いて前記情報判別手段にて判別し、前記メッセージ保持手段から前記情報取得部にて取得した情報種別に応じたメッセージを読み出し、前記出力可否判別の結果に基づき、出力装置に前記メッセージを出力することを特徴とした車載装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の車載装置において、
ユーザからの車載装置への操作指示及び、接続手段にて接続された前記出力装置からの操作指示が可能な入力手段を有し、前記出力制御手段は、ユーザによる操作指示に応じて、前記メッセージ内容の出力可否を変更することを特徴とする車載装置。
【請求項8】
請求項7に記載の車載装置において、
前記情報判別手段は、出力可否を判別する基準である判別基準を有し、前記出力制御手段は、ユーザから入力された前記メッセージの出力可否の変更を前記判別基準に反映し保持することを特徴とする車載装置。
【請求項9】
搭載される車両外部と通信する通信手段と、搭載される車両の位置または周囲状況の少なくとも1つを検出する車両状況検出手段と、前記通信手段又は前記車両状況検出手段から運転支援情報を取得する情報取得部と、複数の出力装置に対する映像または音楽情報の出力を制御する出力制御手段と、を有する車載装置における情報出力方法において、
運転支援情報の情報種別に対応するメッセージを前記出力装置の種別毎に保持するメッセージ保持ステップと、前記情報取得部にて取得した運転支援情報を基に、前記運転支援情報の情報種別に対応するメッセージを、前記メッセージ保持手段から読み出すステップと、該当出力装置に出力するステップとを有することを特徴とした情報出力方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−72701(P2010−72701A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−236495(P2008−236495)
【出願日】平成20年9月16日(2008.9.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
2.VICS
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】