説明

車載装置

【課題】主として同乗者に好ましい地図を携帯機器に提供することができる車載装置を提供すること。
【解決手段】簡略地図記憶部5は、経路案内に用いられる原地図データ1から一部のデータを省いて生成された簡略地図データ2を記憶し、画像生成部6は、簡略地図記憶部5に記憶された簡略地図データ2に基づいて地図画像データを生成する。そして、携帯機器4からの要求に応じて、画像生成部6によって生成された地図画像データを携帯機器4へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯機器へ地図画像データを送信する車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カーナビゲーション装置などの車載装置が知られている。かかる車載装置では、例えば、現在位置周辺の地域情報や予定走行経路の先の地域情報を助手席の同乗者が確認している間は、運転手が経路案内などの機能を利用できない場合がある。
【0003】
しかし、運転手と同乗者の双方の利便性を考慮した場合、運転手による車載装置の利用を妨げることなく、同乗者が地図情報を確認できるようにすることが望ましい。
【0004】
かかる課題を解決する技術として、車載装置に携帯機器を連携させる技術がある(例えば、特許文献1参照)。かかる技術では、車載装置と携帯機器とを近距離無線通信によって接続し、車載装置から地図情報を必要に応じて携帯機器へ送信し、携帯機器の表示部に地図を表示させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−275544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、車載装置に携帯機器を連携させる従来の技術では、携帯機器の表示部に表示される地図は、車載装置で表示される地図と同様の地図である。すなわち、携帯機器の表示部で表示する地図は、運転手により閲覧されることを前提とした地図であり、必ずしも同乗者にとって閲覧しやすい地図ではない。
【0007】
そこで、本発明は、上述した従来技術による課題を解消するためになされたものであり、主として同乗者に好ましい地図を携帯機器に提供することができる車載装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る車載装置は、携帯機器へ地図画像データを送信する車載装置において、経路案内に用いられる原地図データとは異なる簡略地図データを記憶する簡略地図記憶部と、前記簡略地図データに基づいて地図画像データを生成する画像生成部と、前記携帯機器からの要求に応じて前記地図画像データを前記携帯機器へ送信する送信部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、同乗者にとって好ましい分かり易い地図を携帯機器に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明に係る車載装置の概要を示す図である。
【図2】図2は、本実施例に係る車載装置の構成を示す図である。
【図3】図3は、原地図データの構成を示す図である。
【図4】図4は、簡略地図データの生成手順の一例を示す図である。
【図5】図5は、文字データの置き換えの一例を示す図である。
【図6】図6は、アイコンの置き換えの一例を示す図である。
【図7】図7は、車載装置が実行する主な処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る車載装置の実施例を詳細に説明する。まず、実施例の詳細な説明に先立ち、本発明に係る車載装置の概要について図1を用いて説明する。図1は、本発明に係る車載装置の概要を説明する図である。
【0012】
図1の(A)に示すように、本発明に係る車載装置では、簡略地図データ2を記憶する簡略地図データベース5を備えている。簡略地図データ2は、原地図データ1に含まれる各種データの一部を省いて生成されるものであり、この簡略地図データ2に基づいて生成された地図画像データを携帯機器4に送信して表示させる。
【0013】
原地図データ1は、運転手により閲覧されることを前提とした地図画像を生成するためのデータであり、例えば、道路データ、施設データ、及びアイコン等の画像データなどが縮尺別に含まれる。かかる原地図データ1を用いることにより、様々な縮尺の地図画像を表示部3に表示することができ、運転手に対して快適な経路案内を行うことができる。
【0014】
しかし、経路案内のために表示部3に表示される地図は、必ずしも同乗者にとって閲覧しやすい地図ではない。すなわち、同乗者にとっては、詳細な経路案内のための詳細な地図は必要でない場合が多く、どちらかと言えば、分かり易い地図や楽しめる地図の方が好ましい。
【0015】
そこで、本発明に係る車載装置では、経路案内に用いられる原地図データ1に含まれる各種データから一部のデータを省いて生成された簡略地図データ2(図1の(A)に示すStep1参照)を予め簡略地図データベース5に記憶することとした(図1の(A)に示すStep2参照)。このように簡略地図データ2に基づいて、携帯機器4へ提供する地図画像を生成することにより、開発コストの大幅な増加を抑制しつつ分かり易い地図や楽しめる地図を提供することができる。
【0016】
ここで、簡略地図データ2の生成方法の一例について説明する。まず、原地図データ1に含まれる縮尺別のデータのうち、携帯機器4に表示させることが望ましい一の縮尺のデータを選択する。
【0017】
次に、選択した一の縮尺のデータ(以下、「選択縮尺データ」と記載する)からさらに一部のデータを削除する。例えば、道路データに含まれる信号データ、施設データに含まれるPOIデータの一部のデータなどを削除する。
【0018】
次に、一部のデータを削除した選択縮尺データに含まれるデータを同じ種別の他のデータに置き換える。例えば、選択縮尺データに含まれる文字データを異なるフォントの文字データや異なる言語の文字データに置き換える。また、例えば、施設データに含まれる施設アイコンを同乗者にとって楽しめる施設アイコンに置き換えたり、同乗者にとって重要でない施設アイコンの一部を削除したりする。
【0019】
以上のように原地図データ1に含まれる各種データの一部を省いて簡略地図データ2を生成するので、開発コストの大幅な増加を抑制することができる。しかも、一の縮尺データで構成されるため、データ容量も大幅に低減できる。
【0020】
また、POIデータなどのような情報の一部を削除して、提示する情報量を削減することで、同乗者にとって分かり易い地図情報を提示することができる。さらに、施設アイコンなどのアイコンを変更したり、言語種別やフォント種別を変更したりすることで、同乗者が楽しめる地図を提示することができる。
【0021】
同乗者にとって分かり易い地図情報に変換することに関して、例えば、子供を同乗者としている場合、同乗者が所持する携帯機器に運転手が見ている地図と同じエリアの地図情報をイラスト画やアニメ画に変更して表示させることによって、運転手と同乗者とのコミュニケーションを促進させることが可能となる。
【0022】
また、言語種別の変更に関して、例えば、運転手の母国語(第1の言語)とは異なる言語を母国語(第2の言語)とする人が同乗者としている場合、簡略地図情報に表示される言語を第2の言語に変更して表示させることで、運転手と同乗者とのコミュニケーションを促進させることが可能となる。例えば、日本語を母国語とする運転手と中国語を母国語とする同乗者の場合、運転席の近傍に設置された車載装置に表示される地図情報の言語として日本語を表示させ、同乗者が所持する携帯機器に表示させる簡略地図情報の言語としては中国語に変換して表示させる。
【0023】
また、フォント種別の変更に関して、例えば、高齢者を同乗者としている場合、同乗者が所持する携帯機器に表示される簡略地図情報上の文字を大きく表示させることで、同乗者にとっても地図情報が分かりやすく、運転手と同乗者とのコミュニケーションを促進させることが可能となる。
【0024】
なお、上述では、簡略地図データ2の生成方法の一例を説明したが、例えば、原地図データ1に含まれる各種データから一部のデータを省き、また、一部のデータを置き換えることによって、所望の簡略地図データ2を生成することが可能である。
【0025】
例えば、幅員が小さな道路のデータを削除したり、3次元データなどを削除したりしてもよい。また、データの置き換えを行った選択縮尺データによって生成される地図画像の色合いを決定する背景色データを変更してもよい。
【0026】
上述のように生成された簡略地図データ2は、画像生成部6によって、地図画像データに変換される(図1の(A)に示すStep3参照)。この地図画像データは、データ容量を低減するために、データ圧縮が施されたデータである。例えば、JPEG(Joint Photographic Experts Group)やPIC(ピック)などの圧縮方式が用いられる。
【0027】
画像生成部6は、携帯機器4からの要求に応じた領域の簡略地図データ2を簡略地図データベース5から読み出し、地図画像データを生成する。そして、この地図画像データは、画像生成部6から携帯機器4に送られ(図1の(A)に示すStep4参照)、携帯機器4で表示される。
【0028】
ここで、携帯機器4に表示される地図画像の一例を図1の(B)に示し、表示部3に表示される経路案内用地図画像の一例を図1の(C)に示す。これらの図に示されるように、携帯機器4に表示される地図画像は、表示部3に表示される経路案内用地図画像に比べて、分かり易く、また楽しめる画像となっている。
【0029】
特に、携帯機器4に表示される地図画像は、アイコンの変更やフォントの変更などによって経路案内用地図画像に比べ、イラスト画的な地図画像とすることができ、分かり易く、また楽しめる画像にすることができる。また、表示する文字データの量も少なくすることにより、複雑さを低減することもできる。
【0030】
次に、本発明に係る車載装置についての一実施例を詳細に説明する。なお、以下においては、原地図データから簡略地図データを生成する車載装置を一例に挙げて説明するが、これに限られるものではなく、予め生成した簡略地図データを記憶している車載装置であってもよい。
【実施例】
【0031】
本実施例に係る車載装置の構成について図2を用いて説明する。図2は、本実施例に係る車載装置の構成を示す図である。なお、同図では、車載装置10がカーナビゲーション装置であるものとして説明するが、車載装置10の特徴を説明するために必要な構成要素を主に示しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0032】
図2に示すように、車載装置10は、近距離通信部11と、GPS部12と、報知部13と、記憶部14と、制御部15とを備えている。
【0033】
近距離通信部11は、ブルートゥース(Bluetooth:登録商標)による近距離無線通信によって携帯機器20との間でデータの送受信を行うための通信部である。携帯機器20も同様に、ブルートゥース(登録商標)による近距離無線通信機能を搭載する。携帯機器20は、例えば、携帯電話、PHS(Personal Handy-phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)、又はゲーム機といった携帯機器である。
【0034】
かかる携帯機器20は、操作部21と、表示部22と、制御部23と、記憶部24と、近距離通信部25とを備えている。そして、携帯機器20の操作部21への操作に応じて、制御部23が、記憶部24に記憶されたアプリケーション26のプログラムを読み出して実行することで、車載装置10と携帯機器20とが通信可能に接続される。
【0035】
例えば、制御部23は、アプリケーション26のプログラムを読み出して実行することにより、近距離通信部25を介して車載装置10に対して所望の地図画像データを要求する。そして、制御部23は、要求に応じて車載装置10から取得した地図画像データに応じた地図画像を表示部22に表示する。表示部22に表示される地図画像は、後述するように、簡略地図データに基づいて生成される地図画像データであるため、同乗者に適した地図画像となっている。
【0036】
なお、本実施例では、ブルートゥース(登録商標)を用いて車載装置10と携帯機器20間の通信を行う場合について説明するが、Wi−Fi(ワイファイ:登録商標)、ZigBee(ジグビー:登録商標)といった他の無線通信規格を用いることとしてもよい。また、車載装置10と携帯機器20間の通信を有線通信で行うこととしてもよい。
【0037】
車載装置10のGPS部12は、GPSアンテナとGPSレシーバを備えている。GPSアンテナは、衛星からのGPS信号を受信し、GPSレシーバにGPS信号を送信する。GPSレシーバは、GPSアンテナから受信したGPS信号の復調を行って生成したGPS情報を制御部15へ出力する。
【0038】
報知部13は、例えば液晶表示装置などの表示部と音響情報を車載スピーカへ出力する音響出力部などから構成される。報知部13の表示部は、制御部15から出力される画像データに応じた画像を表示する。この報知部13の表示部では、例えば、WVGAサイズ(800×480)の画像を表示することができる。
【0039】
記憶部14は、原地図データベース14aと簡略地図データベース14bとを備えている。原地図データベース14aは、経路案内に用いられる原地図データを記憶している。原地図データは、運転手により閲覧されることを前提とした地図を生成するためのデータである。
【0040】
ここで、車載装置10は、少なくとも簡略地図データを記憶する機能(例えば、データベース、記憶部等)を有していればよい。そのため、車載装置10が有する記憶部14が簡略地図データベース14bを備えるといった構成に限らず、他の実施例として、記憶部14が簡略地図データを記憶する簡略地図記憶部を備える構成であってもよいし、記憶部14に簡略地図データを記憶するための簡略地図記憶領域を設ける構成であってもよいし、記憶部14とは別に簡略地図記憶部を別途備える構成であってもよい。
【0041】
図3に示すように、原地図データベース14aには、例えば、1/1000、1/2000、1/5000、1/1万、1/2.5万、1/5万、1/10万、1/20万、1/40万、1/100万のそれぞれの縮尺に対する原地図データが含まれている。各縮尺の原地図データには、例えば、道路データ、施設データ、背景データ及び画像データなどが含まれている。
【0042】
道路データには、例えば、ノードデータ及びリンクデータが含まれる。ノードデータは、道路のつながりを構成するノード(要素点)の情報であり、各ノードの経度、緯度、高度、合流、分岐、道路の幅員、国道・県道・高速道路等の道路種別等の属性情報などが含まれている。また、リンクデータには、ノードとノードを結ぶリンクの情報(傾斜、高架、地下種別などの属性情報、各ノード間の距離情報等)が含まれている。
【0043】
施設データは、施設の種別(例えば、学校、コンビニエンスストア、銀行、公園など)、施設の所在地を示す所在地座標、施設の領域を示す領域情報及び施設に関する詳細情報を含むPOIデータなどから構成されている。
【0044】
背景データには、背景色データや地形等を示すデータが含まれている。また、画像データには、施設アイコンや交差点アイコンなどの画像のデータが含まれている。
【0045】
図2に戻って、車載装置10の構成を引き続き説明する。簡略地図データベース14bは、携帯機器20に送信する地図画像データを生成するための地図データである簡略地図データを記憶している。本実施例においては、簡略地図データは、後述する制御部15の加工部15cによって原地図データから生成される例を挙げて説明するが、これに限られるものではない。
【0046】
すなわち、簡略地図データは原地図データから生成されるものであるが、必ずしも車載装置内で生成する必要はない。例えば、簡略地図データを、外部のセンタ等から通信部(図示せず)を介して簡略地図データベース14bに記憶するようにしてもよいし、車載装置10の製造時に簡略地図データベース14bに記憶するようにしてもよいし、簡略地図データが格納された可搬型記録媒体を車載装置10に接続させ、簡略地図データベース14bに記憶するようにしてもよい。
【0047】
制御部15は、車載装置10全体を制御する制御部である。この制御部15は、位置情報取得部15aと、経路案内部15bと、加工部15cと、画像生成部15dと、受信部15eと、送信部15fとを備えている。
【0048】
なお、図2には、制御部15の機能的な構成を示しているが、この制御部15は、物理的にはCPU(Central Processing Unit)とROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)とを有する情報処理装置を備えている。そして、CPUがROMから各種プログラムを読出し、RAMを作業領域として使用して実行することにより、位置情報取得部15a、経路案内部15b、加工部15c、画像生成部15d、受信部15e、送信部15f等として機能する。
【0049】
位置情報取得部15aは、GPS部12から出力されるGPS情報に基づいて、車載装置10の現在位置の緯度情報及び経度情報を取得する。
【0050】
経路案内部15bは、原地図データベース14aから所定縮尺の原地図データのうち、所定領域の原地図データを取得する。具体的には、経路案内部15bは、車載装置10の利用者により選択された縮尺の原地図データのうち、経路案内を行うために必要な原地図データを取得する。
【0051】
例えば、車載装置10の利用者により1/5000の縮尺が選択されている場合、経路案内部15bは、原地図データベース14aから1/5000の縮尺の原地図データのうち、経路案内を行うために必要な原地図データを取得する。
【0052】
経路案内を行うために必要な原地図データは、例えば、車載装置10の利用者から指定された目的地と位置情報取得部15aから取得された現在位置の位置情報とに基づいて、原地図データベース14aから、経路案内部15bによって取得される。
【0053】
そして、経路案内部15bは、原地図データベース14aから取得した原地図データに基づき、例えば、WVGAサイズの地図画像データを生成して、報知部13に出力する。また、経路案内部15bは、例えば、目的地までの予定走行経路が設定されている場合は、経路案内用音声情報を図示しない音響出力部へ出力する。
【0054】
加工部15cは、原地図データに含まれる各種データから一部のデータを省いて簡略地図データを生成する。加工部15cによる簡略地図データの生成手順について、図4を参照して具体的に説明する。図4は、簡略地図データの生成手順の一例を示す図である。
【0055】
なお、ここでは、簡略地図データの生成手順の一例を示すが、簡略地図データの生成手順はこれに限られるものではなく、例えば、原地図データに含まれる各種データから一部のデータが省かれた簡略地図データが生成できる手順であればよい。
【0056】
図4に示すように、加工部15cは、多数の縮尺のうち一の縮尺を選択し、選択した縮尺の原地図データを選択縮尺データとして抽出する(ステップS10)。ここで選択される縮尺は、同乗者にとって分かり易い地図となるような縮尺である。
【0057】
同乗者は詳細な地図よりは、ある程度広い範囲の地図を閲覧したい場合が多い。すなわち、1/1000や1/2000などの縮尺よりは、例えば、1/1万や1/2.5万などの縮尺の方が同乗者にとって好ましい場合が多い。そこで、加工部15cは、例えば、1/1万の縮尺を選択縮尺データとして選択する。
【0058】
次に、加工部15cは、選択縮尺データからさらに一部のデータを削除する(ステップS11)。例えば、道路データに含まれる信号データ、施設データに含まれるPOIデータの一部のデータなどを削除する。
【0059】
さらに、加工部15cは、一部のデータを削除した選択縮尺データに含まれるデータのうちフォント種別や言語種別、アイコンなどを同じ種別の他のデータに置き換えて(ステップS12)、簡略地図データを生成する。
【0060】
例えば、選択縮尺データに含まれる文字データを異なるフォントの文字データや異なる言語の文字データへ置き換える。図5では、一例として、「レストラン」という文字データのフォント種別の置き換え例(図5の(A)参照)、文字種別の置き換え例(図5の(B)参照)、言語種別の置き換え例(図5の(C)参照)を示している。
【0061】
また、例えば、現在位置を示すアイコンや施設データに含まれる施設アイコンなどの画像データを別のアイコンに置き換える。図6では、一例として、現在位置を示す現在位置アイコンや病院アイコンを置き換える例を示している。
【0062】
そして、加工部15cは、生成した簡略地図データを簡略地図データベース14bに記憶する(ステップS13)。なお、加工部15cによって置き換えられるデータは、加工部15c内に予め記憶されているデータであるが、車載装置10外から加工部15cへデータを送信して加工部15c内に記憶するようにしてもよい。
【0063】
例えば、インターネットなどのネットワーク上のサーバにデータを記憶しておき、このサーバから図示しない通信部を介して加工部15c内に記憶させるようにしてもよい。
【0064】
また、加工部15cによって置き換えられるデータは、例えば、携帯機器20のアプリケーション26から受信部15eを介して加工部15cによって取得するようにしてもよい。このようにすれば、携帯機器20のアプリケーション26に応じた簡略地図データを生成することができる。
【0065】
従って、携帯機器20の利用者は、アプリケーション26を変更するだけで、所望の簡略地図データに基づいた地図画像を閲覧することが可能となる。なお、加工部15cは、携帯機器20に対して迅速に地図画像データを提供することができるように、簡略地図データを予め生成して簡略地図データベース14bに記憶することができる。
【0066】
図2に戻って、車載装置10の構成を引き続き説明する。画像生成部15dは、携帯機器20からの要求に応じて、簡略地図データベース14bから簡略地図データを取得して、地図画像データを生成する。例えば、画像生成部15dは、携帯機器20から指定された領域に対応する簡略地図データを簡略地図データベース14bから読み出し、この読み出した簡略地図データに基づいて地図画像データを生成する。
【0067】
画像生成部15dが生成する地図画像データは、携帯機器20の表示部22の表示サイズよりも大きな画像サイズの地図画像データである。このように、携帯機器20の表示部22の表示サイズよりも大きな画像サイズの地図画像データを生成することにより、携帯機器20側では、通信を行うことなく一定範囲をスクロール表示することが可能となる。
【0068】
また、携帯機器20による領域指定として、例えば、緯度経度指定による領域指定や現在位置指定による領域指定などがある。緯度経度の指定は、携帯機器20から送信される緯度経度の情報に基づいて行われる。具体的には、画像生成部15dは、携帯機器20から送信される緯度経度に対応する領域の簡略地図データを簡略地図データベース14bから読み出し、この読み出した簡略地図データに基づいて地図画像データを生成する。
【0069】
また、携帯機器20から現在位置指定による領域指定があった場合、画像生成部15dは、位置情報取得部15aから取得した現在位置の緯度経度に対応する領域の簡略地図データを簡略地図データベース14bから読み出し、この読み出した簡略地図データに基づいて地図画像データを生成する。
【0070】
受信部15eは、携帯機器20から送信される信号を、近距離通信部11を介して取得する。例えば、受信部15eは、上述した領域指定等を含む指令信号を携帯機器20から受信する。また、送信部15fは、画像生成部15dによって生成された地図画像データなどを携帯機器20へ近距離通信部11を介して送信する。
【0071】
なお、上述においては、簡略地図データベース14bに記憶する簡略地図データとしてアイコン、言語種別又はフォント種別などを置き換えた簡略地図データを一例に挙げて説明したが、アイコン、言語種別、フォント種別などは、画像生成部15dにおいて置き換えるようにしてもよい。この場合、画像生成部15dに予め変換用のアイコン、言語、フォントなどを記憶しておくことができる。
【0072】
また、この場合、例えば、携帯機器20のアプリケーション26から受信部15eを介してデータを画像生成部15dが取得するようにしてもよい。このようにすれば、携帯機器20の利用者は、アプリケーション26を変更するだけで、所望の地図画像を閲覧することが可能となる。
【0073】
また、簡略地図データベース14bにおいて、変換用のアイコン、言語、フォントを複数種類用意しておき、画像生成部15dは、携帯機器20からの要求に応じたアイコン、言語及びフォントの情報を選択し、選択した情報に基づいて地図画像データを生成するようにしてもよい。
【0074】
例えば、小学生、中学生、高校生など種別のそれぞれに応じたアイコンやフォントを用意しておき、携帯機器20から指定された種別のアイコンやフォントを選択し、選択した情報に基づいた地図画像データを提供するようにしてもよい。また、言語別のフォントを用意しておき、携帯機器20から指定された言語を選択し、選択した言語に基づいた地図画像データを提供するようにしてもよい。
【0075】
また、例えば、男性、女性などの性別に応じたアイコンやフォント、さらに、季節別や地域別のアイコンを用意しておき、携帯機器20から指定された種別のアイコンを選択し、選択した情報に基づいた地図画像データを提供するようにしてもよい。
【0076】
このように、種々のアイコンやフォントを準備しておくことで、携帯機器20を操作する同乗者が楽しんで地図を閲覧することが可能となる。また、上述した様々な種別など毎に、画像生成部15dなどにおいて、背景色などの変更やPOIデータの省略量を変更するようにしてもよい。
【0077】
次に、本実施例に係る車載装置10の具体的動作について図7を用いて説明する。図7は、車載装置10が実行する主な処理手順を示すフローチャートである。
【0078】
図7に示すように、車載装置10では、受信部15eが、携帯機器20から簡略地図データ生成指示を受信したか否かを判定する(ステップS20)。この処理において、簡略地図データ生成指示を受信したと判定されると(ステップS20,Yes)、加工部15cは、生成指示に応じた簡略地図データを生成し、簡略地図データベース14bへ記憶する(ステップS21)。
【0079】
ここで、携帯機器20から送信される生成指示には、言語種別又はフォント種別の指定や置き換えるアイコンの指定などの情報が含まれている。加工部15cは、生成指示に応じて言語種別又はフォント種別の変更や指定されたアイコンへの置き換えを行って簡略地図データを生成する。
【0080】
なお、携帯機器20の操作部21への操作によって上記生成指示の内容を変更することができる。例えば、携帯機器20を保持する同乗者は、言語種別、フォント種別、アイコンなど、置き換えや選択が必要なものを操作部21への操作によって指定することができる。なお、縮尺や削除するデータなどを指定することができるようにしてもよい。
【0081】
ステップS20において、簡略地図データ生成指示を受信していないと判定されると(ステップS20,No)、受信部15eは、携帯機器20から地図画像データの送信指示を受信したか否かを判定する(ステップS22)。なお、地図画像データの送信指示は携帯機器20のアプリケーション26の実行により周期的に行われる送信指示である。
【0082】
この処理において、地図画像データの送信指示を受信したと判定されると(ステップS22,Yes)、画像生成部15dは、簡略地図データベース14bに記憶された簡略地図データに基づいて、携帯機器20から指定された領域の地図画像データを生成する。そして、画像生成部15dによって生成された地図画像データは送信部15fから携帯機器20へ送信される(ステップS23)。
【0083】
ステップS22において、地図画像データの送信指示を受信していないと判定されると(ステップS22,No)、受信部15eは、携帯機器20から目的地設定指示を受信したか否かを判定する(ステップS24)。
【0084】
この処理において、目的地設定指示を受信したと判定されると(ステップS24,Yes)、経路案内部15bは、携帯機器20から指定された目的地を経路案内の目的地として設定し、携帯機器20から指定された目的地までの経路案内を開始する(ステップS25)。
【0085】
なお、携帯機器20の利用者である同乗者は、表示部22に表示された地図画像を閲覧しながら操作部21への操作により目的地の位置を指定することができる。これにより、携帯機器20の制御部23から、目的地情報が含まれる目的地設定指示が車載装置10へ送信される。このように、本実施例に係る車載装置10では、携帯機器20から目的地設定が可能となっている。
【0086】
ステップS21,S23,S25の処理が終了した場合、又はステップS24において目的地設定指示を受信していないと判定された場合(ステップS24,No),制御部15は、処理をステップS20に戻す。
【0087】
上述してきたように、本実施例の車載装置では、経路案内に用いられる原地図データに含まれる各種データから一部のデータを省いて生成された簡略地図データを記憶する簡略地図データベース14bを備える。そして、画像生成部15dにより、簡略地図データベース14bに記憶された簡略地図データに基づいて地図画像データを生成し、携帯機器20へ送信するようにしている。
【0088】
このように車載装置が構成されているため、開発コストの大幅な増加を抑制することができる。すなわち、本実施例の車載装置では、原地図データとは別に、専用の地図データを生成するのではなく、原地図データに含まれる各種データの一部を省いて簡略地図データを生成するので、開発コストの大幅な増加を抑制することができる。
【0089】
しかも、提示する情報量を削減することで、同乗者にとって分かり易い地図情報を提示することができ、また、施設アイコンなどのアイコンを変更したり、言語種別やフォント種別を変更したりすることで、同乗者が楽しめる地図を提示することができる。
【0090】
以上、本発明の実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0091】
例えば、簡略地図データベース14bを設けずに、必要に応じて加工部15cが簡略地図データを生成するようにしてもよい。このようにすることで、原地図データベース14aが加工部15cと共に簡略地図データベース14bを兼用することになり、簡略地図データベース14bのための記憶容量を低減することが可能となる。
【0092】
具体的には、上記実施例では、簡略地図データを予め簡略地図データベース14bに記憶しておき、携帯機器から地図画像送信指示を受けたときに指定された領域の地図画像データを簡略地図データベース14bから切り出し携帯機器に送信するようにしたが、簡略地図データを予め作成して記憶させておくのではなく、携帯機器から地図画像送信指示を受けたときに指定された領域を含む必要な領域を原地図データベース14aから切り出し加工部15cで簡略地図データを生成して携帯機器に送信するようにしてもよい。
【0093】
また、画像生成部15dにおいて、JPEGやPICなどの圧縮方式による画像データとするのではなく、必要な簡略地図データを地図画像データとして携帯機器20へ送信するようにしてもよい。この場合、携帯機器20の制御部23により、車載装置10から取得したデータに基づいて、表示部22へ表示するための画像データが生成される。
【0094】
また、原地図データに含まれる各種データから一部のデータ、例えば、道路データに含まれる信号データ、施設データに含まれるPOIデータ等を削除し、この一部のデータが削除された地図データに含まれるデータのうちフォント種別や言語種別、アイコンなどを同じ種別の他のデータに置き換えて簡略地図データを生成する構成に限らず、原地図データに含まれる各種データから一部のデータを削除した地図データのみを携帯機器20に送信し、フォント種別や言語種別、アイコンなどは携帯機器20の記憶部に格納されているデータを利用して携帯機器20側で簡略地図データを生成する構成にすれば、携帯機器20に表示される地図画像にユーザの好みが反映されるため、よりユーザにとって分かりやすく楽しくなるような地図情報を提供することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0095】
以上のように、本発明に係る車載装置は、主として同乗者にとって好ましい分かりやすい地図画像を携帯機器へ送信したい場合に有効であり、特に、カーナビゲーション装置などの車載装置への適用に適している。
【符号の説明】
【0096】
1 原地図データ
2 簡略地図データ
3 表示部
4,20 携帯機器
5,14b 簡略地図データベース
6,15d 画像生成部
10 車載装置
11 近距離通信部
12 GPS部
13 報知部
14 記憶部
14a 原地図データベース
15 制御部
15a 位置情報取得部
15b 経路案内部
15c 加工部
15e 受信部
15f 送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯機器へ地図画像データを送信する車載装置において、
経路案内に用いられる原地図データとは異なる簡略地図データを記憶する簡略地図記憶部と、
前記簡略地図データに基づいて地図画像データを生成する画像生成部と、
前記携帯機器からの要求に応じて前記地図画像データを前記携帯機器へ送信する送信部と
を備えたことを特徴とする車載装置。
【請求項2】
前記簡略地図データは、
前記原地図データに含まれる各種データの一部を省いて生成された地図データであることを特徴とする請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記簡略地図データは、
前記原地図データに含まれるフォント種別データ又は言語種別データが、当該フォント種別データ又は言語種別データと同じ種別の他のデータに置き換えられた地図データであることを特徴とする請求項1又は2に記載の車載装置。
【請求項4】
前記簡略地図データは、
前記原地図データに含まれるアイコンが、当該アイコンと同じ種別の他のアイコンに置き換えられた地図データであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車載装置。
【請求項5】
前記携帯機器から目的地の位置を示す目的地情報を取得した場合に、当該目的地情報に基づいて、前記目的地までの経路案内を行う経路案内部
をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の車載装置。
【請求項6】
前記原地図データを記憶する原地図データベースと、
前記原地図データを取得し、当該取得した原地図データに基づいて簡略地図データを生成する簡略地図データ生成部と
をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の車載装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−122776(P2012−122776A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−272052(P2010−272052)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】