説明

車載装置

【課題】電気自動車に搭載されて映像や音楽の再生に際して操作を簡略化して使い勝手を向上させることができる車載装置を提供すること。
【解決手段】車載装置100は、走行用モータ70に電力を供給する二次電池72が充電動作中であるか否かを判定する充電判定部36と、映像および音楽の少なくとも一方を再生対象として再生動作を行う複数の再生ソースと、再生中の動作が中断されたときにこの中断箇所から再生を再開するために必要な再生中断情報を、中断時に充電動作中である場合と非充電動作中である場合について区別して記憶する中断箇所記憶部42と、次回の再生動作開始時に、中断箇所記憶部42に記憶された充電動作あるいは非充電動作に対応する再生中断情報に基づいて、対応する再生ソースに対して再生動作の再開を指示する再生ソース制御部32とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されて映像や音楽の再生を行う車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、映像や音楽のデータを再生するとともに、複数の利用者のそれぞれについて再生中断箇所を示すレジューム情報を記録し、利用者毎に中断した再生箇所から再生を継続して行うようにしたレジューム機能を有する情報再生装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−129093号公報(第3−12頁、図1−9)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、最近では電気自動車が実用化され、今後普及が進むと考えられる。このような電気自動車は、定期的に充電する必要があり、しかも排気ガスの排出がないことから、屋外ではなく屋内に駐車スペースを設けて帰宅後等に充電を行う使用形態が予想される。
【0005】
一方、最近の車両に備わった音楽や映像を再生する車載装置は、高機能化、高品質化しており、屋内に設けられた駐車スペースに電気自動車を駐車させる場合を想定すると、室内に設けられた据え置き型のオーディオ装置等の代わりに、あるいは、併用した使い方が期待される。例えば、居間に設置されたディスプレイ装置で家族がテレビジョン放送の受信映像を見ているときに、自分は電気自動車に設置された車載装置を用いて映画等を見る場合が考えられる。
【0006】
ところが、屋内に駐車中の場合のように車両の走行を想定しない場合(駐車時)と車両の走行を想定する場合(走行時)とが混在すると、特許文献1等に開示されたレジューム機能が有効に働かず、各種のコンテンツの再生を中断および再開する場合に操作が煩雑になる。例えば、駐車時にはディスク媒体等に記録された映像や配信された映像を再生することができるが、走行時には利用者が車両の運転者の場合にはこれらの再生によって表示される映像の視聴が制限されるため、駐車時に映像の再生中断箇所を記録しても、走行時にその再生中断箇所から映像の再生を継続して行うことはできず、再生対象となるソースを切り替える必要があるため、操作が煩雑になる。また、規制の有無に関係なく、運転中はラジオ放送を主に聴取する利用者が、駐車時は映画や放送された番組等の映像の視聴を主に行う場合などが考えられる。このように、従来は、電気自動車に映像や音楽の再生を行う車載装置が搭載された場合に駐車の有無や走行の有無を考慮した再生動作を行うことができなかったため、操作が煩雑になって使い勝手が悪いという問題があった。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、電気自動車に搭載されて映像や音楽の再生に際して操作を簡略化して使い勝手を向上させることができる車載装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明の車載装置は、車両に搭載された走行用モータに電力を供給する二次電池に対して充電動作中であるか否かを判定する充電判定手段と、
映像および音楽の少なくとも一方を再生対象として再生動作を行う複数の再生ソースと、充電判定手段による判定結果に基づいて、複数の再生ソースのいずれかにおいて再生中の動作が中断されたときに、この中断された再生箇所から再生を再開するために必要な再生中断情報を、中断時に充電動作中である場合と非充電動作中である場合について区別して記憶する中断箇所記憶手段と、次回の再生動作開始時に、中断箇所記憶手段に記憶された充電動作あるいは非充電動作に対応する再生中断情報に基づいて、対応する再生ソースに対して再生動作の再開を指示する再生ソース制御手段とを備えている。
【0009】
走行用モータで走行する車両(電気自動車)でいずれかの再生ソースで再生動作を行う場合に、充電動作の有無に対応させて別々に再生中断箇所を記憶するため、充電中(非走行時)と非充電中(走行時)とで別々に再生中断および再生再開を行うことが可能となり、異なる再生環境毎に、対象となる再生ソースを手動で切り替える手間が不要になり、操作を簡略化して使い勝手を向上させることができる。
【0010】
また、上述した再生ソース制御手段は、再生動作再開時に、利用者からの選択指示に応じて、充電動作中および非充電動作中のそれぞれに対応して中断箇所記憶手段に記憶された2つの再生中断情報のいずれかを再生対象として選択することが望ましい。これにより、利用者の希望に応じて充電動作中と非充電動作中のいずれの中断箇所からも再生動作の継続が可能になり、利用者の意志を反映させて使い勝手をさらに向上させることができる。
【0011】
また、利用者からの選択指示に応じて2つの再生中断情報のいずれかが再生対象として選択されて再生ソースによる再生動作が再開された後に再度再生動作が中断されたときに、中断箇所記憶手段は、再生動作再開に用いられた再生中断情報を更新することが望ましい。これにより、非充電動作時に記憶した再生中断情報に基づいて充電動作時に再生動作を再開した場合や、充電動作時に記憶した再生中断情報に基づいて非充電動作時に再生動作を再開した場合であっても、継続した再生動作に対応して再生中断情報を適切に更新することができる。
【0012】
また、車両の利用者を識別する利用者識別手段をさらに備え、中断箇所記憶手段は、利用者毎に再生中断情報を記憶し、再生ソース制御手段は、利用者毎に再生ソースに対する再生動作の再開指示を行うことが望ましい。これにより、複数の利用者のそれぞれが、煩雑な操作を行うことなく中断箇所から再生を再開することが可能となる。
【0013】
また、車両には、駆動モータにより前後位置と背もたれ角度が移動可能なパワーシートと、パワーシートの前後位置と背もたれ角度を移動させるパワーシート駆動手段とが備わっており、中断箇所記憶手段は、充電動作中に再生動作が中断されたときに、再生中断情報とともにパワーシートのその時点での前後位置と背もたれ角度を含むシート情報を記憶し、再生ソース制御手段は、次回の充電動作時に再生動作の再開を指示する際に、パワーシート駆動手段に対してシート情報に対応する前後位置と背もたれ角度となるようにパワーシートを駆動する指示を行うことが望ましい。これにより、充電動作中にいずれかの再生ソースによる再生を行う際に、特別な操作を行うことなく、パワーシートの前後位置等を前回と同じにすることができ、操作をさらに簡略化して使い勝手をさらに向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】一実施形態の車載装置の構成を示す図である。
【図2】自宅等の駐車スペースに車両を駐車させて充電動作中にいずれかの再生ソースによる再生動作を開始する場合の動作手順を示す流れ図である。
【図3】充電動作中以外にいずれかの再生ソースによる再生動作を開始する場合の動作手順を示す流れ図である。
【図4】自宅等の駐車スペースに車両を駐車させて充電動作中にいずれかの再生ソースによる再生動作を開始する場合の変形例の動作手順を示す流れ図である。
【図5】充電動作中以外にいずれかの再生ソースによる再生動作を開始する場合の変形例の動作手順を示す流れ図である。
【図6】自宅等の駐車スペースに車両を駐車させて充電動作中にいずれかの再生ソースによる再生動作を開始する場合の変形例の動作手順を示す流れ図である。
【図7】自宅等の駐車スペースに車両を駐車させて充電動作中にいずれかの再生ソースによる再生動作を開始する場合の変形例の動作手順を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を適用した一実施形態の車載装置について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1は、一実施形態の車載装置の構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態の車載装置100は、ディスクプレーヤ12、TVチューナ14、ラジオチューナ16、ハードディスク装置(HDD)18、SDカードスロット20、処理ユニット30、操作部40、中断箇所記憶部42、音声出力回路50、スピーカ52、映像出力回路60、表示装置62を含んで構成されている。
【0017】
ディスクプレーヤ12は、ディスク型記録媒体としてのDVD、CDに記録された音声や映像を再生する。なお、本明細書における「音声」には人や動物などの音声の他に、楽器が発生する音や、人工的に合成された音なども含まれる。また、DVDやCDは一例であって、ブルーレイディスク等のその他のディスク型記録媒体を再生対象としてもよい。
【0018】
TVチューナ14は、地上波デジタル放送を受信し、配信された各番組に対応する映像や音声を再生する。なお、地上波デジタル放送は一例であって、アナログ放送が行われている地域ではアナログ放送を受信するようにしてもよい。ラジオチューナ16は、ラジオ放送を受信し、配信された各番組に対応する音声を再生する。また、配信された番組が文字放送に対応している場合には、表示対象となる文字の表示処理が行われる。
【0019】
ハードディスク装置18は、再生対象となる圧縮音声データや圧縮映像データを格納する。SDカードスロット20は、圧縮音声データや圧縮映像データが格納されたSDカード(図示せず)が着脱可能であって、SDカードが装着されたときに圧縮音声データや圧縮映像データの読み出しが可能となる。なお、一例としてSDカードが着脱可能な場合について説明したが、それ以外のメモリカードが用いられる場合にはこのメモリカードに対応したスロットに置き換えたり、併用するようにしてもよい。
【0020】
これらの再生ソースとしてのディスクプレーヤ12、TVチューナ14、ラジオチューナ16、ハードディスク装置18、SDカードスロット20のそれぞれが、操作部40、中断箇所記憶部42、音声出力回路50、映像出力回路60とともに処理ユニット30に接続されている。処理ユニット30は、再生対象となるいずれかの再生ソースを選択するとともに、選択した再生ソースに対応する音声情報を音声出力回路50に向けて出力するとともに映像情報を映像出力回路60に向けて出力する。なお、SDカードスロット20に装着されたSDカードやハードディスク装置18からは圧縮音声データや圧縮映像データが読み出され、処理ユニット30内のAV再生処理部34(後述する)においてこれらのデータに基づいて音声情報や映像情報が生成される。また、処理ユニット30は、コンピュータとしての構成を有しており、ROMやRAMに記憶された所定の動作プログラムをCPUを用いて実行することにより実現される。
【0021】
操作部40は、利用者が各再生ソースの操作指示を行うとともに、再生対象となる再生ソースの選択指示などを行うためのものであり、各種のスイッチを備える。なお、表示装置62の画面に装着されたタッチパネルを操作部40として用い、画面に表示された操作ボタン等を利用者が指などで直接指し示して各種の操作指示や選択指示を行うようにしてもよい。
【0022】
中断箇所記憶部42は、いずれかの再生ソースにおける再生動作が中断されたときに、この中断された箇所から再生を再開するために必要な再生中断情報を再生中断時に記憶する。
【0023】
音声出力回路50は、処理ユニット30から入力される音声情報に基づいて音声信号を生成し、車室内に設けられたスピーカ52から出力する。映像出力回路60は、処理ユニット30から入力される映像情報に基づいて映像信号を生成し、車室内に設けられた表示装置62の画面にこの映像信号に対応する映像(画像)を表示する。
【0024】
ところで、上述した車載装置100は、走行用モータ70で走行する車両(電気自動車)に搭載されており、この走行用モータ70に電力を供給する二次電池72に対して充電中か否かに応じて車両の使用環境を判定し、異なる使用環境毎に別々に上述した再生中断情報を記憶し、継続的な再生動作を行うようになっている。このような動作を可能にするために、処理ユニット30は、再生ソース制御部32、AV再生処理部34、充電判定部36、利用者識別部38を備えている。なお、上述した電気自動車には、走行用モータ70のみで駆動される車両の他、プラグインハイブリッド自動車のように走行用モータ70と他の動力(ガソリンエンジン等)を組み合わせる車両であってもよい。
【0025】
再生ソース制御部32は、利用者の選択指示に応じて再生対象となるいずれかの再生ソースを選択し、この選択した再生ソースの音声情報を音声出力回路50に、映像情報を映像出力回路60にそれぞれ入力する。
【0026】
AV再生処理部34は、再生対象として選択された再生ソースがハードディスク装置18あるいはSDカードスロット20(圧縮音声データや圧縮映像データが記録されたSDカードが装着されているものとする)の場合に、これらから読み出された圧縮音声データおよび圧縮映像データに対して伸張処理や復号化処理を行って音声情報や映像情報を生成する。再生ソース制御部32によってハードディスク装置18あるいはSDカードスロット20が選択された場合には、これらに対応してAV再生処理部34において生成された音声情報や映像情報が音声出力回路50や映像出力回路60に向けて出力される。
【0027】
充電判定部36は、二次電池72に対して充電動作中であるか否かを判定する。二次電池72に対する充電制御は充電制御部74によって行われており、充電判定部36は、充電制御部74から出力される充電動作の有無を示す充電信号に基づいてこの判定を行う。また、本実施形態では、車両が駐車中であることを充電動作中であるか否かを調べることにより判定するものであり、二次電池72に対して実際に充電電流を流しているか否かを調べて判定を行う代わりに、充電器あるいは家庭用コンセントから延びた充電用ケーブルが車両の充電端子に接続されているか否かを調べ、充電用ケーブルが接続されている場合を充電動作中、充電用ケーブルが取り外された場合を非充電動作中として判定するようにしてもよい。むしろ、このように判定することが本発明の趣旨からは望ましいと考えられる。
【0028】
利用者識別部38は、いずれかの再生ソースを用いた再生動作を指示する利用者を識別する。最も簡単には、利用者がいずれかの再生ソースを用いた再生動作を指示する際に、操作部40を用いて利用者毎に固有の識別情報を入力するものとし、利用者識別部38は、入力された識別情報に基づいて利用者の識別を行う。なお、利用者識別の具体的な方法は、他の様々な方法を用いるようにしてもよい。例えば、音声認識や顔認識を用いる方法、ブルーツースやその他の無線を利用して各利用者が携帯する携帯端末やICカードを識別する方法などが考えられる。
【0029】
上述した充電判定部36が充電判定手段に、中断箇所記憶部42が中断箇所記憶手段に、再生ソース制御部32が再生ソース制御手段に、利用者識別部38が利用者識別手段にそれぞれ対応する。
【0030】
本実施形態の車載装置100はこのような構成を有しており、次に、中断箇所記憶部42に記憶された再生中断情報に基づいて、前回の再生動作において中断した箇所から再生を継続する動作について説明する。
【0031】
図2は、自宅等の駐車スペースに車両を駐車させて充電動作中にいずれかの再生ソースによる再生動作を開始する場合の動作手順を示す流れ図である。車両の走行用電源スイッチ(図示せず)がオフされた後、充電判定部36は、充電が開始されたか否かを判定する(ステップ100)。充電が開始されない場合には否定判断が行われ、この判定が繰り返される。また、充電が開始されるとステップ100の判定において肯定判断が行われる。
【0032】
次に、再生ソース制御部32は、車載装置100の電源スイッチがオンされたか否かを判定する(ステップ102)。なお、この電源スイッチは、利用者が車載装置100を利用する際に操作するものであるが、この操作の前であっても上述したステップ100、102の判定動作が行われる場合や、実際には電源スイッチが操作された際にステップ100と102の判定動作が同時に行われる場合が考えられる。電源スイッチがオンされない場合にはステップ102の判定において否定判断が行われ、この判定が繰り返される。
【0033】
また、電源スイッチがオンされるとステップ102の判定において肯定判断が行われる。次に、再生ソース制御部32は、充電中再生中断情報が中断箇所記憶部42に記憶されているか否かを判定する(ステップ104)。中断箇所記憶部42に記憶される再生中断情報には2種類有り、一方が充電中再生中断情報であり、他方が非充電中再生中断情報である。充電中再生中断情報は、充電動作中にいずれかの再生ソースの再生動作が中断されたときに、次にその中断箇所から再生を継続するために必要な情報であり、再生動作を中断した再生ソースの種類と中断箇所が少なくとも含まれる。また、非充電中再生中断情報は、充電動作以外の非充電動作中にいずれかの再生ソースの再生動作が中断されたときに、次にその中断箇所から再生を継続するために必要な情報であり、再生動作を中断した再生ソースの種類と中断箇所が少なくとも含まれる。
【0034】
充電中再生中断情報が中断箇所記憶部42に記憶されていない場合にはステップ104の判定において否定判断が行われる。この場合には、次に、再生ソース制御部32は、利用者による再生指示がなされたか否かを判定する(ステップ106)。再生指示がなされない場合には否定判断が行われ、この判定が繰り返される。また、利用者による再生指示、具体的には再生ソースを選択した後に再生開始が指示されるとステップ106の判定において肯定判断が行われる。次に、選択された再生ソースによって再生動作が開始される(ステップ110)。
【0035】
一方、充電中再生中断情報が中断箇所記憶部42に記憶されている場合にはステップ104の判定において肯定判断が行われる。この場合には、次に、再生ソース制御部32は、充電中再生中断情報で特定される再生ソースを選択するとともに、この再生ソースに対して中断箇所からの再生を指示する(ステップ108)。指示を受けた再生ソースは、指定された中断箇所から再生動作を再開する(ステップ110)。
【0036】
再生ソースによる再生動作中に、再生ソース制御部32は、再生終了指示があったか否かを判定する(ステップ112)。例えば、車載装置100の電源スイッチをオフすることにより、再生終了指示がなされるものとする。再生終了指示がない場合にはステップ112の判定において否定判断が行われ、ステップ110に戻って再生動作が継続される。また、再生終了指示がなされた場合にはステップ112の判定において肯定判断が行われる。次に、再生ソース制御部32は、充電中再生中断情報の内容(その時点で再生動作を行っている再生ソースの種類と中断箇所)を更新し(ステップ114)、充電動作中における一連の再生動作が終了する。
【0037】
図3は、充電動作中以外にいずれかの再生ソースによる再生動作を開始する場合の動作手順を示す流れ図である。充電が終了した後、車両の走行用電源スイッチ(図示せず)がオンされると、再生ソース制御部32は、車載装置100の電源スイッチがオンされたか否かを判定する(ステップ202)。電源スイッチがオンされない場合にはステップ202の判定において否定判断が行われ、この判定が繰り返される。
【0038】
また、電源スイッチがオンされるとステップ202の判定において肯定判断が行われる。次に、再生ソース制御部32は、非充電中再生中断情報が中断箇所記憶部42に記憶されているか否かを判定する(ステップ204)。非充電中再生中断情報が中断箇所記憶部42に記憶されていない場合にはステップ204の判定において否定判断が行われる。この場合には、次に、再生ソース制御部32は、利用者による再生指示がなされたか否かを判定する(ステップ206)。再生指示がなされない場合には否定判断が行われ、この判定が繰り返される。また、利用者による再生指示、具体的には再生ソースを選択した後に再生開始が指示されるとステップ206の判定において肯定判断が行われる。次に、選択された再生ソースによって再生動作が開始される(ステップ210)。
【0039】
一方、非充電中再生中断情報が中断箇所記憶部42に記憶されている場合にはステップ204の判定において肯定判断が行われる。この場合には、次に、再生ソース制御部32は、非充電中再生中断情報で特定される再生ソースを選択するとともに、この再生ソースに対して中断箇所からの再生を指示する(ステップ208)。指示を受けた再生ソースは、指定された中断箇所から再生動作を再開する(ステップ210)。
【0040】
再生ソースによる再生動作中に、再生ソース制御部32は、再生終了指示があったか否かを判定する(ステップ212)。例えば、車載装置100の電源スイッチをオフすることにより、再生終了指示がなされるものとする。再生終了指示がない場合にはステップ212の判定において否定判断が行われ、ステップ210に戻って再生動作が継続される。また、再生終了指示がなされた場合にはステップ212の判定において肯定判断が行われる。次に、再生ソース制御部32は、非充電中再生中断情報の内容(その時点で再生動作を行っている再生ソースの種類と中断箇所)を更新し(ステップ214)、充電動作中以外における一連の再生動作が終了する。
【0041】
このように、本実施形態の車載装置100では、走行用モータ70で走行する車両(電気自動車)においていずれかの再生ソースで再生動作を行う場合に、充電動作の有無に対応させて別々に再生中断箇所(充電中再生中断情報/非充電中再生中断情報)を中断箇所記憶部42に記憶するため、充電中(非走行時)と非充電中(走行時)とで別々に再生中断および再生再開を行うことが可能となり、異なる再生環境毎に、対象となる再生ソースを手動で切り替える手間が不要になり、操作を簡略化して使い勝手を向上させることができる。
【0042】
図4は、自宅等の駐車スペースに車両を駐車させて充電動作中にいずれかの再生ソースによる再生動作を開始する場合の変形例の動作手順を示す流れ図である。
【0043】
図4に示した動作手順は、図2に示した動作手順のステップ102と104の間にステップ120〜132を追加した点が異なっている。以下では、これらの追加された各ステップに着目して説明を行う。
【0044】
電源スイッチがオンされてステップ102の判定において肯定判断が行われると、次に、再生ソース制御部32は、非充電中再生中断情報が中断箇所記憶部42に記憶されているか否かを判定する(ステップ120)。非充電中再生中断情報が中断箇所記憶部42に記憶されていない場合には否定判断が行われ、ステップ104の充電中再生中断情報の有無判定に移行する。
【0045】
一方、非充電中再生中断情報が中断箇所記憶部42に記憶されている場合にはステップ120の判定において肯定判断が行われる。この場合には、次に、再生ソース制御部32は、非充電動作中と充電動作中のどちらの再生動作を中断箇所から継続するかを利用者に選択させるための選択画面を作成し、表示装置62に表示する(ステップ122)。その後、再生ソース制御部32は、この選択画面を見た利用者によって非充電動作中の再生動作が選択されたか否かを判定する(ステップ124)。非充電動作中の再生動作が選択された場合にはこの判定で肯定判断が行われる。この場合には、次に、再生ソース制御部32は、非充電中再生中断情報で特定される再生ソースを選択するとともに、この再生ソースに対して中断箇所からの再生を指示する(ステップ126)。指示を受けた再生ソースは、指定された中断箇所から再生動作を再開する(ステップ128)。
【0046】
次に、再生ソースによる再生動作中に、再生ソース制御部32は、再生終了指示があったか否かを判定する(ステップ130)。再生終了指示がない場合にはステップ130の判定において否定判断が行われ、ステップ128に戻って再生動作が継続される。また、再生終了指示がなされた場合にはステップ130の判定において肯定判断が行われる。次に、再生ソース制御部32は、非充電中再生中断情報の内容(その時点で再生動作を行っている再生ソースの種類と中断箇所)を更新し(ステップ132)、充電動作中における一連の再生動作が終了する。
【0047】
なお、ステップ122において作成された選択画面を見た利用者によって非充電動作中の再生動作が選択されてステップ124の判定において否定判断が行われた場合には、ステップ104の充電中再生中断情報の有無判定に移行する。
【0048】
図5は、充電動作中以外にいずれかの再生ソースによる再生動作を開始する場合の変形例の動作手順を示す流れ図である。
【0049】
図5に示した動作手順は、図3に示した動作手順のステップ202と204の間にステップ220〜232を追加した点が異なっている。以下では、これらの追加された各ステップに着目して説明を行う。
【0050】
電源スイッチがオンされてステップ202の判定において肯定判断が行われると、次に、再生ソース制御部32は、充電中再生中断情報が中断箇所記憶部42に記憶されているか否かを判定する(ステップ220)。充電中再生中断情報が中断箇所記憶部42に記憶されていない場合には否定判断が行われ、ステップ204の非充電中再生中断情報の有無判定に移行する。
【0051】
一方、充電中再生中断情報が中断箇所記憶部42に記憶されている場合にはステップ220の判定において肯定判断が行われる。この場合には、次に、再生ソース制御部32は、非充電動作中と充電動作中のどちらの再生動作を中断箇所から継続するかを利用者に選択させるための選択画面を作成し、表示装置62に表示する(ステップ222)。その後、再生ソース制御部32は、この選択画面を見た利用者によって充電動作中の再生動作が選択されたか否かを判定する(ステップ224)。充電動作中の再生動作が選択された場合にはこの判定で肯定判断が行われる。この場合には、次に、再生ソース制御部32は、充電中再生中断情報で特定される再生ソースを選択するとともに、この再生ソースに対して中断箇所からの再生を指示する(ステップ226)。指示を受けた再生ソースは、指定された中断箇所から再生動作を再開する(ステップ228)。
【0052】
次に、再生ソースによる再生動作中に、再生ソース制御部32は、再生終了指示があったか否かを判定する(ステップ230)。再生終了指示がない場合にはステップ230の判定において否定判断が行われ、ステップ228に戻って再生動作が継続される。また、再生終了指示がなされた場合にはステップ130の判定において肯定判断が行われる。次に、再生ソース制御部32は、充電中再生中断情報の内容(その時点で再生動作を行っている再生ソースの種類と中断箇所)を更新し(ステップ232)、非充電動作中における一連の再生動作が終了する。
【0053】
なお、ステップ222において作成された選択画面を見た利用者によって非充電動作中の再生動作が選択されてステップ224の判定において否定判断が行われた場合には、ステップ204の非充電中再生中断情報の有無判定に移行する。
【0054】
このように、再生を行う際に、非充電動作中と充電動作中のどちらの再生動作を中断箇所から継続するかを利用者に選択させるための選択画面を表示して利用者に選択させることにより、利用者の希望に応じて充電動作中と非充電動作中のいずれの中断箇所からも再生動作の継続が可能になり、利用者の意志を反映させて使い勝手をさらに向上させることができる。
【0055】
また、非充電動作時に記憶した再生中断情報に基づいて充電動作時に再生動作を再開した場合や、充電動作時に記憶した再生中断情報に基づいて非充電動作時に再生動作を再開した場合であっても、継続した再生動作に対応して再生中断情報を適切に更新することができる。
【0056】
図6は、自宅等の駐車スペースに車両を駐車させて充電動作中にいずれかの再生ソースによる再生動作を開始する場合の変形例の動作手順を示す流れ図である。
【0057】
図6に示した動作手順は、図2に示した動作手順に対して、ステップ104と108の間にステップ107を追加するとともに、ステップ114をステップ114Aに置き換えた点が異なっている。以下では、これらの追加あるいは変更された各ステップに着目して説明を行う。
【0058】
本実施形態の車両には、駆動モータにより前後位置と背もたれ角度が移動可能なパワーシート80と、パワーシート80の前後位置と背もたれ角度を駆動モータを駆動して移動させるパワーシート駆動部82とが備わっている。自宅等の駐車スペースに駐車して充電中に映像を見たり音楽を聴いたりする場合には、運転時と異なる前後位置や背もたれ角度に設定する場合が多いと考えられる。したがって、充電中のパワーシート80の姿勢を記憶しておいて、次に再生動作を継続する際にその姿勢を再現できれば便利である。上記の追加および変更は、これを実現するためのものである。この変形例では、中断箇所記憶部42には、充電中再生中断情報とともに、再生中断時におけるパワーシート80の前後位置と背もたれ角度を示すシート情報(これら以外に姿勢を決定する位置や角度がある場合にはそれらの位置や角度も含まれる)が記憶されている。パワーシート駆動部82がパワーシート駆動手段に対応する。
【0059】
ステップ114Aでは、再生ソース制御部32は、充電中再生中断情報の内容を更新する際に、同時に、パワーシート80の前後位置と背もたれ角度を示すシート情報の内容を更新する。そして、次に充電中再生中断情報に基づいて再生動作を継続する動作に先立って、再生ソース制御部32は、中断箇所記憶部42に記憶されているシート情報を読み出し、パワーシート駆動部82は、この読み出されたシート情報が示す前後位置および背もたれ角度となるようにパワーシート80を駆動する(ステップ107)。
【0060】
図7は、自宅等の駐車スペースに車両を駐車させて充電動作中にいずれかの再生ソースによる再生動作を開始する場合の変形例の動作手順を示す流れ図である。
【0061】
図7に示した動作手順は、図4に示した動作手順に対して、ステップ104と108の間にステップ107を追加し、ステップ114をステップ114Aに置き換えるとともに、ステップ124とステップ126の間にステップ125A、125Bを追加し、ステップ132をステップ132Aに置き換えた点が異なっている。ステップ107とステップ114Aについては図6で説明した内容と同じであり、以下では、ステップ125A、125B、132Aに着目して説明を行う。
【0062】
非充電動作中の再生動作が選択されてステップ124の判定で肯定判断が行われると、次に、再生ソース制御部32は、中断箇所記憶部42にシート情報が記憶されているか否かを判定する(ステップ125A)。記憶されている場合には肯定判断が行われ、次に、再生ソース制御部32は、中断箇所記憶部42に記憶されているシート情報を読み出し、パワーシート駆動部82は、この読み出されたシート情報が示す前後位置および背もたれ角度となるようにパワーシート80を駆動する(ステップ125B)。また、ステップ132Aでは、再生ソース制御部32は、非充電中再生中断情報の内容を更新する際に、同時に、パワーシート80の前後位置と背もたれ角度を示すシート情報の内容を更新する。
【0063】
このように、パワーシート80の姿勢を示すシート情報を記憶しておいて、充電動作中に再生動作を継続する際にそのシート情報を読み出すことにより、特別な操作を行うことなく、パワーシート80の前後位置等を前回と同じにすることができ、操作をさらに簡略化して使い勝手をさらに向上させることが可能となる。
【0064】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、再生ソース制御部32は、利用者識別部38によって互いに識別された各利用者毎に再生ソースに対する再生動作の再開を指示するようにしてもよい。この場合には、中断箇所記憶部42に、中断箇所情報(充電動作中中断箇所情報、非充電中中断箇所情報)やシート情報が、識別された各利用者毎に記憶される。そして、図2のステップ102の判定を行う際や、図3のステップ202の判定を行う際に、あるいはその前後に、利用者識別部38による利用者識別を実施する。以後、各利用者に対応した中断箇所情報やシート情報を用いて各動作が実施される。これにより、複数の利用者のそれぞれが、煩雑な操作を行うことなく中断箇所から再生を再開したり、パワーシート80を前回の再生時と同じにすることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
上述したように、本発明によれば、走行用モータ70で走行する車両(電気自動車)でいずれかの再生ソースで再生動作を行う場合に、充電動作の有無に対応させて別々に再生中断箇所を記憶するため、充電中(非走行時)と非充電中(走行時)とで別々に再生中断および再生再開を行うことが可能となり、異なる再生環境毎に、対象となる再生ソースを手動で切り替える手間が不要になり、操作を簡略化して使い勝手を向上させることができる。
【符号の説明】
【0066】
12 ディスクプレーヤ
14 TVチューナ
16 ラジオチューナ
18 ハードディスク装置(HDD)
20 SDカードスロット
30 処理ユニット
32 再生ソース制御部
34 AV再生処理部
36 充電判定部
38 利用者識別部
40 操作部
42 中断箇所記憶部
50 音声出力回路
52 スピーカ
60 映像出力回路
62 表示装置
70 走行用モータ
72 二次電池
74 充電制御部
80 パワーシート
82 パワーシート駆動部
100 車載装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された走行用モータに電力を供給する二次電池に対して充電動作中であるか否かを判定する充電判定手段と、
映像および音楽の少なくとも一方を再生対象として再生動作を行う複数の再生ソースと、
前記充電判定手段による判定結果に基づいて、前記複数の再生ソースのいずれかにおいて再生中の動作が中断されたときに、この中断された再生箇所から再生を再開するために必要な再生中断情報を、中断時に充電動作中である場合と非充電動作中である場合について区別して記憶する中断箇所記憶手段と、
次回の再生動作開始時に、前記中断箇所記憶手段に記憶された充電動作あるいは非充電動作に対応する前記再生中断情報に基づいて、対応する前記再生ソースに対して再生動作の再開を指示する再生ソース制御手段と、
を備えることを特徴とする車載装置。
【請求項2】
請求項1において、
再生ソース制御手段は、再生動作再開時に、利用者からの選択指示に応じて、充電動作中および非充電動作中のそれぞれに対応して前記中断箇所記憶手段に記憶された2つの前記再生中断情報のいずれかを再生対象として選択することを特徴とする車載装置。
【請求項3】
請求項2において、
利用者からの選択指示に応じて2つの前記再生中断情報のいずれかが再生対象として選択されて前記再生ソースによる再生動作が再開された後に再度再生動作が中断されたときに、前記中断箇所記憶手段は、再生動作再開に用いられた前記再生中断情報を更新することを特徴とする車載装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
車両の利用者を識別する利用者識別手段をさらに備え、
前記中断箇所記憶手段は、利用者毎に前記再生中断情報を記憶し、
前記再生ソース制御手段は、利用者毎に前記再生ソースに対する再生動作の再開指示を行うことを特徴とする車載装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかにおいて、
車両には、駆動モータにより前後位置と背もたれ角度が移動可能なパワーシートと、前記パワーシートの前後位置と背もたれ角度を移動させるパワーシート駆動手段とが備わっており、
前記中断箇所記憶手段は、充電動作中に再生動作が中断されたときに、前記再生中断情報とともに前記パワーシートのその時点での前後位置と背もたれ角度を含むシート情報を記憶し、
前記再生ソース制御手段は、次回の充電動作時に再生動作の再開を指示する際に、前記パワーシート駆動手段に対して前記シート情報に対応する前後位置と背もたれ角度となるように前記パワーシートを駆動する指示を行うことを特徴とする車載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−4124(P2013−4124A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131886(P2011−131886)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】