説明

車載通信システム及び車載装置

【課題】携帯電話機の動作電力源であるバッテリの残容量に関する情報を乗員に対して適切に通知する。
【解決手段】車両ナビゲーション装置2は、携帯電話機3との間でBT通信回線を接続している状態で、携帯電話機3の動作電力源であるバッテリ34の残容量が閾値以下に到達すると予測した時刻である残容量到達時刻が、車両が目的地に到着すると予測した時刻である目的地到着時刻よりも先である、即ち、乗員が運転を終了して降車する時点でバッテリ34の残容量が閾値以下に到達していると判定すると、バッテリ34の充電を乗員に対して促す旨を通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されている車載装置と乗員が携帯可能な携帯機器とが両者の間で近距離無線通信回線を接続している状態で、乗員が前記車載装置を操作することで前記携帯機器の動作を制御可能に構成されている車載通信システム及び車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
乗員が携帯可能な携帯機器が車室内に持ち込まれ、その車室内に持ち込まれた携帯機器と車両に搭載されている車載装置とが両者の間で近距離無線通信可能な近距離無線通信圏内に存在すると、両者の間で近距離無線通信回線を自動的に接続する構成が開示されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−193046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記したような車載装置と携帯機器とが連携するシステムにおいて、車載装置と携帯機器とが両者の間で近距離無線通信回線を接続している状態では、乗員が車載装置を操作することで携帯機器の動作を制御可能に構成されている。例えば携帯機器に登録されている電話帳リストが当該携帯機器から車載装置に転送されて当該車載装置の表示装置に表示されることで、車載装置の表示装置に表示される電話帳リストを操作して検索したり、車載装置の表示装置に発信釦がタッチ釦として形成されることで、その発信釦を押下して携帯機器から発信したりすることが可能となっている。
【0005】
さて、携帯機器と車載装置とが両者の間で近距離無線通信回線を接続している状態では、近距離無線通信回線を接続していることで、乗員が車載装置や携帯機器を操作していない場合でも電力を消費している。この場合、車載装置においては、車両に搭載されている車両バッテリから供給される電力を動作電力とする構成であるので、携帯機器との間で近距離無線通信回線を接続していることで電力を消費していたとしても、何ら不具合が発生することはない。その一方、携帯機器においては、着脱可能なバッテリから供給される電力を動作電力とする構成であると、車載装置の間で近距離無線通信回線を接続している状態ではバッテリの残容量が低下する一方である。
【0006】
又、例えば携帯機器が上着のポケットや鞄の中に収容されていると、バッテリの残容量を乗員が認識することが不可能である。その結果、携帯機器と車載装置とが両者の間で近距離無線通信回線を接続している状態では、バッテリの残容量が閾値以下まで低下した携帯機器が使用不可能な状態になると、乗員が降車する時になって初めて携帯機器が使用不可能であることを認識する事態に陥ってしまうという問題がある。特に、上記したように乗員が車載装置を操作することで携帯機器の動作を制御可能な構成では、乗員が携帯機器を操作する機会が少なくなるので、携帯機器のバッテリの残容量が低下することを意識し難い。
【0007】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、携帯機器の動作電力源であるバッテリの残容量に関する情報を乗員に対して適切に通知することができ、利便性を高めることができる車載通信システム及び車載装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載した車載通信システムによれば、残容量到達時刻予測手段は、携帯機器の状態及び当該携帯機器の動作電力源であるバッテリの残容量に基づいてバッテリの残容量が閾値以下に到達する時刻を残容量到達時刻として予測する。走行終了時刻予測手段は、車両が走行を終了する時刻を走行終了時刻として予測する。通知制御手段は、残容量到達時刻予測手段により予測された残容量到達時刻が走行終了時刻予測手段により予測された走行終了時刻よりも先であると判定すると、バッテリの充電を乗員に対して促す旨を通知手段から通知する。
【0009】
これにより、携帯機器の動作電力源であるバッテリの残容量が閾値以下に到達すると予測した時刻である残容量到達時刻が、車両が走行を終了すると予測した時刻である走行終了時刻よりも先である、即ち、乗員が運転を終了して降車する時点でバッテリの残容量が閾値以下に到達していると判定すると、バッテリの充電を乗員に対して促す旨を通知することで、バッテリの残容量に関する情報を乗員に対して適切に通知することができ、乗員が降車する時点で携帯機器が使用不可能な状態になることを未然に回避することができ、利便性を高めることができる。
【0010】
特に、車載装置と携帯機器とが両者の間で近距離無線通信回線を接続している状態で乗員が車載装置を操作することで携帯機器の動作を制御可能な構成では、乗員が携帯機器を操作することなく車載装置を操作することが多くなり、携帯機器のバッテリの残容量への注意が疎かになることが想定されることを鑑みると、バッテリの充電を乗員に対して促す旨を通知することによる効果は大きい。
【0011】
請求項2に記載した車載通信システムによれば、目的地到着時刻予測手段は、現在位置取得手段により取得された車両の現在位置と目的地設定手段により取得された目的地とに基づいて車両が当該目的地に到着する時刻を目的地到着時刻として予測し、走行終了時刻予測手段は、目的地到着時刻予測手段により予測された目的地到着時刻を走行終了時刻として扱う。これにより、車両が目的地に到着する時点を乗員が運転を終了して降車する時点であると見做し、バッテリの残容量に関する情報を乗員に対して適切に通知することができ、乗員が降車する時点で携帯機器が使用不可能な状態になることを未然に回避することができる。
【0012】
請求項3に記載した車載通信システムによれば、受信手段は、車載装置に設けられ、携帯機器から送信された携帯機器の状態及びバッテリの残容量を受信する。残容量到達時刻予測手段は、携帯機器から受信手段により受信した携帯機器の状態及びバッテリの残容量に基づいてバッテリの残容量が閾値以下に到達する時刻を残容量到達時刻として予測する。これにより、携帯機器の状態及びバッテリの残容量に基づいてバッテリの残容量が閾値以下に到達する時刻を残容量到達時刻として予測する処理を車載装置で行うことができ、携帯機器の負荷を低減することができる。
【0013】
請求項4に記載した車載装置によれば、受信手段は、携帯機器から送信された携帯機器の状態及び当該携帯機器の動作電力源であるバッテリの残容量を受信する。残容量到達時刻予測手段は、携帯機器から受信手段により受信した携帯機器の状態及びバッテリの残容量に基づいてバッテリの残容量が閾値以下に到達する時刻を残容量到達時刻として予測する。走行終了時刻予測手段は、車両が走行を終了する時刻を走行終了時刻として予測する。通知制御手段は、残容量到達時刻予測手段により予測された残容量到達時刻が走行終了時刻予測手段により予測された走行終了時刻よりも先であると判定すると、バッテリの充電を乗員に対して促す旨を通知手段から通知する。
【0014】
これにより、上記した請求項1に記載したものと同様の作用効果を得ることができ、乗員が運転を終了して降車する時点でバッテリの残容量が閾値以下に到達していると判定すると、バッテリの充電を乗員に対して促す旨を通知することで、バッテリの残容量に関する情報を乗員に対して適切に通知することができ、乗員が降車する時点で携帯機器が使用不可能な状態になることを未然に回避することができ、利便性を高めることができる。
【0015】
請求項5に記載した車載装置によれば、目的地到着時刻予測手段は、現在位置取得手段により取得された車両の現在位置と目的地設定手段により取得された目的地とに基づいて車両が当該目的地に到着する時刻を目的地到着時刻として予測し、走行終了時刻予測手段は、目的地到着時刻予測手段により予測された目的地到着時刻を走行終了時刻として扱う。これにより、上記した請求項2に記載したものと同様の作用効果を得ることができ、車両が目的地に到着する時点を乗員が運転を終了して降車する時点であると見做し、バッテリの残容量に関する情報を乗員に対して適切に通知することができ、乗員が降車する時点で携帯機器が使用不可能な状態になることを未然に回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態を示すものであり、車両ナビゲーション装置及び携帯電話機の構成を示す機能ブロック図
【図2】全体構成図
【図3】処理の流れを示すシーケンス図
【図4】図3相当図
【図5】表示画面を示す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。図2は車載通信システムの全体構成を示している。車載通信システム1は、Bluetooth(登録商標)(以下、BTと称する)通信機能を有するBT対応の車両ナビゲーション装置2(本発明でいう車載装置)が車両に搭載されており、BT通信機能を有するBT対応の携帯電話機3(本発明でいう携帯機器)が車室内に持込まれると、車両ナビゲーション装置2と携帯電話機3とがBT通信可能に構成されている。
【0018】
車両ナビゲーション装置2と携帯電話機3とは、両者の間でBT通信回線を接続している状態ではBTの通信規格で規定されている複数のプロファイルを接続可能であり、例えばダイヤルアップ・ネットワーク・プロファイル(DUP)やシリアル・ポート・プロファイル(SPP)等を接続可能である。尚、車両ナビゲーション装置2と携帯電話機3とが両者の間で複数のプロファイルを同時接続(所謂マルチプロファイル接続)可能であっても良い。又、プロファイルとは機能毎に定義された通信プロトコルを意味している。
【0019】
携帯電話機3は、センター側に設置されているセンター装置4との間でキャリア(通信事業者)5を通じて広域通信回線を接続可能であり、センター装置4との間で広域通信回線を接続している状態で広域通信可能である。センター装置4は、複数のコンテンツサービスプロバイダ6を接続しており、携帯電話機3との間で広域通信回線を接続している状態で、それら複数のコンテンツサービスプロバイダ6から提供されるコンテンツを広域通信によりキャリア5を通じて携帯電話機3に配信可能である。コンテンツサービスプロバイダ6から提供されるコンテンツとしては、例えば交通情報、天気情報、旅行情報、音楽情報及び娯楽情報等がある。
【0020】
図1は車両ナビゲーション装置2及び携帯電話機3の構成を機能ブロック図により示している。車両ナビゲーション装置2は、制御部7(本発明でいう残容量到達時刻予測手段、走行終了時刻予測手段、通知制御手段、現在位置取得手段、目的地設定手段、目的地到着時刻予測手段)、位置検出器8、記録媒体装着部9、操作スイッチ群10、通信装置11、BT通信部12(本発明でいう受信手段)、外部メモリ13、表示装置14(本発明でいう通知手段)、音声コントローラ15、音声認識部16、リモコンセンサ17及び外部装置インタフェース部18を備えて構成されている。
【0021】
制御部7は、周知のマイクロコンピュータからなるCPU、RAM、ROM及びI/Oバス等を有し、制御プログラムを実行して装置全体の動作を制御する。位置検出器8は、Gセンサ8a、ジャイロスコープ8b、距離センサ8c及びGPS受信機8dを備えて構成され、これらの各構成要素は互いに性質の異なる検出誤差を有している。制御部7は、これら各構成要素から入力した検出信号を互いに補完して車両の現在位置を検出(特定)する。この場合、位置検出器8は、要求される検出精度で車両の現在位置を検出可能であれば、これら全ての構成要素を備える必要はなく、又、ステアリングの舵角を検出するステアリングセンサや各車輪の回転を検出する車輪センサ等が組合わされて構成されていても良い。
【0022】
記録媒体装着部9は、CD−ROM、DVD−ROM、メモリカード又はHDD等の記録媒体19を装着する。記録媒体19は、地図データ、道路データ、目印データ及びマップマッチング用データ等を記録している。操作スイッチ群10は、表示装置14の周辺に配置されているメカニカル釦や表示装置14に形成されるタッチ釦から構成され、乗員が何れかの釦を操作すると、その操作内容を示す操作検出信号を制御部7に出力する。
【0023】
通信装置11は、例えばVICS(登録商標)装置から送信されたVICS情報を受信する等の広域通信を行う。BT通信部12は、携帯電話機3との間でBT通信回線を接続し、BT通信回線を接続している状態でBT通信を行う。外部メモリ13は、HDD等の大容量記憶装置から構成され、大容量のデータを記憶する。表示装置14は、例えば液晶ディスプレイ装置から構成され、メニュー画面や目的地設定画面等の各種表示画面を表示すると共に、車両の現在位置を示す現在位置マークや走行軌跡等を地図データの地図上に重畳表示する。尚、表示装置14は、有機ELやプラズマディスプレイ装置等から構成されていても良い。
【0024】
音声コントローラ15は、音声認識部16の動作を制御すると共に、スピーカ20(本発明でいう通知手段)からの例えば経路案内ガイダンスや警告ガイダンス等の音声出力を制御する。音声認識部16は、マイク21が入力した音声を音声認識アルゴリズムにしたがって音声認識する。リモコンセンサ17は、操作リモコン22から送信された操作検出信号を受信し、乗員が操作リモコン22により行った操作内容を検出し、その検出した操作内を示す操作検出信号を制御部7に出力する。
【0025】
外部装置インタフェース部18は、車両に搭載されている各種ECUや各種センサと車載LAN23を通じて接続されており、各種ECUや各種センサとの間で各種データや各種信号を入出力する。
【0026】
上記した制御部7は、車両の現在位置と地図データに含まれている道路データとを使用して車両の現在位置が存在する道路をマップマッチングして特定するマップマッチング機能、マップマッチングして特定した車両の現在位置から乗員が設定した目的地までの経路を探索する経路探索機能、探索した経路及び地図データに含まれている道路データや交差点の位置データ等に基づいて経路案内に必要な地点を算出して経路案内する経路案内機能、車両の現在位置周辺の地図や高速道路の略図や交差点付近の拡大図等を描画する描画機能等のナビゲーションを行うための周知の機能を備えている。
【0027】
携帯電話機3は、制御部24、広域通信部25、BT通信部26、操作部27、表示装置28、メモリ29、音声処理部30及びバッテリ残容量検出部31を備えて構成されている。制御部24は、周知のマイクロコンピュータからなるCPU、RAM、ROM及びI/Oバス等を有し、制御プログラムを実行して装置全体の動作を制御する。広域通信部25は、センター装置4との間で広域通信回線を接続し、広域通信回線を接続している状態で広域通信を行う。BT通信部26は、車両ナビゲーション装置2との間でBT通信回線を接続し、BT通信回線を接続している状態でBT通信を行う。
【0028】
操作部27は、電源キーや「0」〜「9」の数字キー等の各種キーを有し、乗員が何れかのキーを操作すると、その操作内容を示す操作検出信号を制御部24に出力する。表示装置28は、例えば液晶ディスプレイ装置から構成され、待受画面や着信通知画面等の各種表示画面を表示する。メモリ29は、例えば電話番号と登録名との対応を示す電話帳データ等の各種データを記憶するデータ記憶領域を有すると共に、センター装置4から広域通信部25により受信した各種コンテンツを記憶するコンテンツ記憶領域を有して構成されている。
【0029】
音声処理部30は、ユーザが発した音声を送話音声として入力するマイク32と、通話相手からの音声を受話音声として出力するスピーカ33とを接続しており、マイク32から入力した送話音声を送話処理すると共に、スピーカ33から出力する受話音声を受話処理する。バッテリ残容量検出部31は、携帯電話機3の動作電力源であるバッテリ34の残容量を検出し、その検出したバッテリ34の残容量(バッテリ残容量)を示す残容量検出信号を制御部24に出力する。
【0030】
次に、上記した構成の作用について、図3乃至図5を参照して説明する。
携帯電話機3が車室内に持込まれたことで、車両ナビゲーション装置2と携帯電話機3とがBT通信可能になると(両者がBT通信圏内に存在すると)、車両ナビゲーション装置2と携帯電話機3とは両者の間でBT通信回線接続要求及びBT通信回線接続応答を送受信してBT通信回線を接続するBT通信回線接続処理を行う。この場合、車両ナビゲーション装置2と携帯電話機3とは両者の間で何れがBT通信回線の接続を要求しても良く、即ち、車両ナビゲーション装置2がBT通信回線接続要求を送信し、携帯電話機3がBT通信回線接続応答を送信しても良いし、携帯電話機3がBT通信回線接続要求を送信し、車両ナビゲーション装置2がBT通信回線接続応答を送信しても良い。
【0031】
尚、このように車両ナビゲーション装置2と携帯電話機3とが両者の間でBT通信回線を接続している状態では、乗員が車両ナビゲーション装置2の操作スイッチ群10や操作リモコン22を操作することで携帯電話機3の動作を制御可能に構成されている。例えば携帯電話機3に登録されている電話帳リストが携帯電話機3から車両ナビゲーション装置2に転送されて当該車両ナビゲーション装置2の表示装置14に表示されることで、乗員が車両ナビゲーション装置2の表示装置14に表示される電話帳リストを操作可能であり、又、車両ナビゲーション装置2の表示装置14に発信釦がタッチ釦として形成されることで、乗員が発信釦を押下して携帯電話機3から発信可能である。
【0032】
携帯電話機3において、制御部24は、BT通信部26と車両ナビゲーション装置2のBT通信部12とが両者の間でBT通信回線を接続すると、機器状態(待受状態や通話状態等)及びバッテリ残容量の送信タイミングになったか否かを判定し(ステップB1)、機器状態及びバッテリ残容量の送信タイミングになったと判定すると(ステップB1にて「YES」)、機器状態を判定し、バッテリ残容量検出部31から入力した残容量検出信号に基づいてバッテリ残容量を判定し、機器状態及びバッテリ残容量をBT通信部26から車両ナビゲーション装置2に送信させる(ステップB2)。この場合、制御部24は、機器状態及びバッテリ残容量を所定時間毎に送信させても良いし、機器状態が変化する毎に送信させても良い。
【0033】
車両ナビゲーション装置2において、制御部7は、BT通信部12と携帯電話機3のBT通信部26とが両者の間でBT通信回線を接続すると、携帯電話機3から送信された機器状態及びバッテリ残容量をBT通信部12により受信することを待機している(ステップA1)。ここで、制御部7は、携帯電話機3から送信された機器状態及びバッテリ残容量をBT通信部12により受信したと判定すると(ステップA1にて「YES」)、その受信した機器状態及びバッテリ残容量に基づいてバッテリ34の残容量が閾値以下に到達する時刻を残容量到達時刻として予測する(ステップA2)。
【0034】
次いで、制御部7は、位置検出器8の各構成要素から入力した検出信号を互いに補完して車両の現在位置を検出し(ステップA3)、その検出した車両の現在位置と予め設定している目的地とに基づいて車両が当該目的地に到着する時刻を目的地到着時刻として予測する(ステップA4)。そして、制御部7は、このようにして予測した残容量到達時刻と目的地到着時刻とを比較する(ステップA5)。ここで、制御部7は、残容量到達時刻が目的地到着時刻よりも後であると判定し、即ち、車両が目的地に到着する時点で携帯電話機2のバッテリ34の残容量が閾値を越えている(十分である)と判定すると(ステップA5にて「NO」)、携帯電話機3から送信された機器状態及びバッテリ残容量をBT通信部12により受信することを再度待機する。
【0035】
一方、制御部7は、残容量到達時刻が目的地到着時刻よりも先であると判定し、即ち、車両が目的地に到着する時点で携帯電話機2のバッテリ34の残容量が閾値以下である(十分でない)と判定すると(ステップA5にて「YES」)、バッテリ34の充電を促す表示画面を表示装置14に表示させたり音声ガイダンスをスピーカ20から音声出力させたりし、バッテリ34の充電を促す旨を乗員に対して通知する(ステップA6)。具体的には、制御部7は、図5に示すように、例えば車両の現在位置を示す現在位置マークを地図データの地図上に重畳表示する現在位置表示画面35を表示装置14に表示させている状態であれば、「携帯電話機のバッテリの残容量が少なくなりました。充電してください。」というようなバッテリ34の充電を促す充電通知画面36を現在位置表示画面35上にポップアップ表示させる。尚、制御部7は、例えばビデオの再生を示すビデオ再生表示画面、音楽の再生を示す音楽再生表示画面、電子メールの着信通知を示す電子メール着信通知表示画面等の他の表示画面を表示装置14に表示させている状態でも、バッテリ34の充電を促す充電通知画面36をポップアップ表示させる。
【0036】
以上に説明した一連の処理により、車両ナビゲーション装置2は、携帯電話機3の動作電力源であるバッテリ34の残容量が閾値以下に到達すると予測した時刻である残容量到達時刻が、車両が目的地に到着すると予測した時刻である目的地到着時刻よりも先である、即ち、乗員が運転を終了して降車する時点でバッテリ34の残容量が閾値以下に到達していると判定すると、バッテリ34の充電を乗員に対して促す旨を通知する。
【0037】
ところで、以上は、携帯電話機3が機器状態及びバッテリ残容量を車両ナビゲーション装置2に送信することで、車両ナビゲーション装置2において、携帯電話機3から送信された機器状態及びバッテリ残容量に基づいてバッテリ34の残容量が閾値以下に到達する時刻を残容量到達時刻として予測する構成を説明したが、携帯電話機3において、機器状態及びバッテリ残容量に基づいてバッテリ34の残容量が閾値以下に到達する時刻を残容量到達時刻として予測し、その予測した残容量到達時刻を車両ナビゲーション装置2に送信するようにしても良い。
【0038】
即ち、携帯電話機3において、制御部24は、BT通信部26と車両ナビゲーション装置2のBT通信部12とが両者の間でBT通信回線を接続すると、機器状態及びバッテリ残容量に基づいてバッテリ34の残容量が閾値以下に到達する時刻を残容量到達時刻として予測する残容量到達時刻予測タイミングになったか否かを判定する(ステップB11)。ここで、制御部24は、残容量到達時刻予測タイミングになったと判定すると(ステップB11にて「YES」)、機器状態を判定し、バッテリ残容量検出部31から入力した残容量検出信号に基づいてバッテリ残容量を判定し、機器状態及びバッテリ残容量に基づいてバッテリ34の残容量が閾値以下に到達する時刻を残容量到達時刻として予測し(ステップB12)、その予測した残容量到達時刻をBT通信部26から車両ナビゲーション装置2に送信させる(ステップB13)。この場合、制御部24は、残容量到達時刻を所定時間毎に予測しても良いし、機器状態が変化する毎に予測しても良い。
【0039】
車両ナビゲーション装置2において、制御部7は、BT通信部12と携帯電話機3のBT通信部26とが両者の間でBT通信回線を接続すると、携帯電話機3から送信された残容量到達時刻をBT通信部12により受信することを待機している(ステップA11)。ここで、制御部7は、携帯電話機3から送信された残容量到達時刻をBT通信部12により受信したと判定すると(ステップA11にて「YES」)、上記したステップA3乃至A5を行い、残容量到達時刻が目的地到着時刻よりも先であると判定し、即ち、車両が目的地に到着する時点で携帯電話機2のバッテリ34の残容量が閾値以下である(十分でない)と判定すると(ステップA5にて「YES」)、バッテリ34の充電を促す旨を乗員に対して通知する(ステップA6)。
【0040】
尚、以上は、目的地を設定している場合を説明したが、目的地を設定していない場合には、過去の走行履歴に基づいて例えば走行経路が自宅に向かう経路であれば、車両が自宅に到着する時刻を車両が走行を終了する時点と見做し、残容量到達時刻と自宅到着時刻とを比較し、残容量到達時刻が自宅到着時刻よりも先であると判定し、即ち、車両が自宅に到着する時点で携帯電話機2のバッテリ34の残容量が閾値以下である(十分でない)と判定すると、バッテリ34の充電を促す旨を乗員に対して通知するようにしても良い。
【0041】
以上に説明したように本実施形態によれば、車両ナビゲーション装置2において、携帯電話機3との間でBT通信回線を接続している状態で、携帯電話機3の動作電力源であるバッテリ34の残容量が閾値以下に到達すると予測した時刻である残容量到達時刻が、車両が目的地に到着すると予測した時刻である目的地到着時刻よりも先である、即ち、乗員が運転を終了して降車する時点でバッテリ34の残容量が閾値以下に到達していると判定すると、バッテリ34の充電を乗員に対して促す旨を通知するように構成したので、乗員が降車する時点で携帯電話機3が使用不可能な状態になることを未然に回避することができ、利便性を高めることができる。
【0042】
特に、このように車両ナビゲーション装置2と携帯電話機3とが両者の間でBT通信回線を接続している状態で乗員が車両ナビゲーション装置2を操作することで携帯電話機3の動作を制御可能な構成では、乗員が携帯電話機3を操作することなく車両ナビゲーション装置2を操作することが多くなり、携帯電話機3のバッテリ34の残容量への注意が疎かになることが想定されることを鑑みると、バッテリ34の充電を乗員に対して促す旨を通知することによる効果は大きい。
【0043】
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形または拡張することができる。
車載装置は、携帯電話機との間で近距離無線通信可能であれば、車両ナビゲーション装置に限らず、別の機能を有する車載装置であっても良い。
携帯機器は、車載装置との間で近距離無線通信可能であれば、携帯電話機に限らず、別の機能を有する携帯機器であっても良い。
車両ナビゲーション装置と携帯電話機とが両者の間でBT通信を行うことに限らず、両者の間で他の近距離無線通信を行っても良い。
【0044】
バッテリの充電を乗員に対して促す旨を車両ナビゲーション装置により通知することに限らず、携帯電話機により通知しても良いし、車両ナビゲーション装置と携帯電話機との双方により通知しても良い。
車両ナビゲーション装置において、目的地を設定しているか否かに関係なく、携帯電話機のバッテリの残容量が閾値以下に到達した場合に、バッテリの充電を乗員に対して促す旨を通知するようにしても良い。
【符号の説明】
【0045】
図面中、1は車載通信システム、2は車両ナビゲーション装置(車載装置)、3は携帯電話機(携帯機器)、7は制御部(残容量到達時刻予測手段、走行終了時刻予測手段、通知制御手段、現在位置取得手段、目的地設定手段、目的地到着時刻予測手段)、12はBT通信部(受信手段)、14は表示装置(通知手段)、20はスピーカ(通知手段)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されている車載装置と乗員が携帯可能な携帯機器とが両者の間で近距離無線通信回線を接続している状態で乗員が前記車載装置を操作することで前記携帯機器の動作を制御可能に構成されている車載通信システムであって、
前記携帯機器の状態及び当該携帯機器の動作電力源であるバッテリの残容量に基づいて前記バッテリの残容量が閾値以下に到達する時刻を残容量到達時刻として予測する残容量到達時刻予測手段と、
車両が走行を終了する時刻を走行終了時刻として予測する走行終了時刻予測手段と、
前記残容量到達時刻予測手段により予測された残容量到達時刻が前記走行終了時刻予測手段により予測された走行終了時刻よりも先であると判定した場合に、前記バッテリの充電を乗員に対して促す旨を通知手段から通知する通知制御手段と、を備えたことを特徴とする車載通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載した車載通信システムにおいて、
車両の現在位置を取得する現在位置取得手段と、
目的地を設定する目的地設定手段と、
前記現在位置取得手段により取得された車両の現在位置と前記目的地設定手段により取得された目的地とに基づいて車両が当該目的地に到着する時刻を目的地到着時刻として予測する目的地到着時刻予測手段と、を備え、
前記走行終了時刻予測手段は、前記目的地到着時刻予測手段により予測された目的地到着時刻を走行終了時刻として扱うことを特徴とする車載通信システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載した車載通信システムにおいて、
前記車載装置に設けられ、前記携帯機器から送信された携帯機器の状態及びバッテリの残容量を受信する受信手段を備え、
前記残容量到達時刻予測手段は、前記車載装置に設けられ、前記携帯機器から前記受信手段により受信した携帯機器の状態及びバッテリの残容量に基づいて前記バッテリの残容量が閾値以下に到達する時刻を残容量到達時刻として予測することを特徴とする車載通信システム。
【請求項4】
車両に搭載され、乗員が携帯可能な携帯機器との間で近距離無線通信回線を接続している状態で乗員が前記車載装置を操作することで前記携帯機器の動作を制御可能に構成されている車載通信システムで用いられる車載装置であって、
携帯機器から送信された前記携帯機器の状態及び当該携帯機器の動作電力源であるバッテリの残容量を受信する受信手段と、
前記携帯機器から前記受信手段により受信した携帯機器の状態及びバッテリの残容量に基づいて前記バッテリの残容量が閾値以下に到達する時刻を残容量到達時刻として予測する残容量到達時刻予測手段と、
車両が走行を終了する時刻を走行終了時刻として予測する走行終了時刻予測手段と、
前記残容量到達時刻予測手段により予測された残容量到達時刻が前記走行終了時刻予測手段により予測された走行終了時刻よりも先であると判定した場合に、前記バッテリの充電を乗員に対して促す旨を通知手段から通知する通知制御手段と、を備えたことを特徴とする車載装置。
【請求項5】
請求項4に記載した車載装置において、
車両の現在位置を取得する現在位置取得手段と、
目的地を設定する目的地設定手段と、
前記現在位置取得手段により取得された車両の現在位置と前記目的地設定手段により取得された目的地とに基づいて車両が当該目的地に到着する時刻を目的地到着時刻として予測する目的地到着時刻予測手段と、を備え、
前記走行終了時刻予測手段は、前記目的地到着時刻予測手段により予測された目的地到着時刻を走行終了時刻として扱うことを特徴とする車載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−223512(P2011−223512A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−93203(P2010−93203)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】