説明

車載通信システム

【課題】車両がセンター装置との間で通信可能な通信圏内に存在していなかったり通信圏内に存在していたとしても電波環境が良好でなかったりする場合であっても、車両ナビゲーション装置がセンター装置から配信されたデータを出力できるようにする。
【解決手段】車両ナビゲーション装置2と携帯電話機3とが両者の間でBT通信回線を接続している状態で、乗員によるデータ要求操作を車両ナビゲーション装置2により受付けたときに、センター装置4から送信されるデータ応答を携帯電話機3が受信可能でなくても当該データ要求操作により特定されるデータを携帯電話機3が記憶していれば、その携帯電話機3が記憶しているデータを車両ナビゲーション装置2から出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されている車載装置と乗員が携帯可能な携帯機器とが通信可能に構成されていると共に、携帯機器とセンター装置とが通信可能に構成されている車載通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されている車載装置において、センター装置との間で通信回線を接続することで、センター装置から配信されたデータ(コンテンツ)を受信して出力する構成が開示されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−154969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車載装置においては、車両がセンター装置との間で通信可能な通信圏内に存在しており電波環境が良好であれば、センター装置から配信されたデータを受信して出力することが可能であるが、車両がセンター装置との間で通信可能な通信圏内に存在していなかったり通信圏内に存在していたとしても電波環境が良好でなかったりすると、センター装置から配信されたデータを受信して出力することが不可能である。その結果、乗員が所望とするサービスを受けることができないという問題がある。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両がセンター装置との間で通信可能な通信圏内に存在していなかったり通信圏内に存在していたとしても電波環境が良好でなかったりする場合であっても、車載装置がセンター装置から配信されたデータを出力することができ、乗員が所望とするサービスを適切に受けることができる車載通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載した発明によれば、携帯機器は、センター装置から受信したデータを記憶可能なデータ記憶領域を備え、車載装置からデータ要求を受信した場合に、センター装置から当該データ要求により特定されるデータを含むデータ応答を受信可能であるか否かを判定し、センター装置から当該データ要求により特定されるデータを含むデータ応答を受信不可能であると判定し、且つ当該データ要求により特定されるデータをデータ記憶領域に記憶していると判定すると、当該データ記憶領域に記憶しているデータを含むデータ応答を車載装置に送信する。車載装置は、携帯機器からデータ応答を受信すると、その受信したデータ応答に含まれるデータを出力する。
【0007】
これにより、車両がセンター装置との間で通信可能な通信圏内に存在していなかったり通信圏内に存在していたとしても電波環境が良好でなかったりする場合であっても、車載装置において、データ要求により特定されるデータが予めセンター装置から配信されて携帯機器に記憶されていれば、その携帯機器に記憶されているデータを受信して出力することで、センター装置から配信されたデータを出力することができ、乗員が所望とするサービスを適切に受けることができる。
【0008】
請求項2に記載した発明によれば、携帯機器は、センター装置から当該データ要求により特定されるデータを含むデータ応答を受信不可能であると判定し、且つ当該データ要求により特定されるデータをデータ記憶領域に記憶していると判定すると、当該データ記憶領域に記憶しているデータを含むデータ応答を車載装置に送信し、当該データを当該データ記憶領域に記憶した時刻に関する時刻情報をも車載装置に送信する。
【0009】
これにより、車載装置において、センター装置から配信されたデータが携帯機器に記憶された時刻を出力することができ、何時の時点で携帯機器に記憶されたデータであるのかを乗員に対して通知することができ、データの信頼性を乗員に対して通知することができる。即ち、センター装置から配信されたデータが携帯機器に記憶された時刻と現在時刻との差が相対的に大きければ、データの信頼性が相対的に低い(データが古い)旨を乗員に対して通知することができ、一方、センター装置から配信されたデータが携帯機器に記憶された時刻と現在時刻との差が相対的に小されば、データの信頼性が相対的に高い(データが新しい)旨を乗員に対して通知することができる。
【0010】
請求項3に記載した発明によれば、携帯機器は、車載装置からデータ要求を受信した場合に、センター装置から当該データ要求により特定されるデータを含むデータ応答を受信可能であると判定すると、当該データ要求をセンター装置に送信する。これにより、車載装置において、車両がセンター装置との間で通信可能な通信圏内に存在しており電波環境が良好である場合には、データ要求をセンター装置に送信することで、センター装置から配信された最新のデータを受信して出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態を示す全体構成図
【図2】車両ナビゲーション装置及び携帯電話機の構成を示す機能ブロック図
【図3】処理の流れを示すシーケンス図
【図4】図3相当図
【図5】図3相当図
【図6】表示画面を示す図
【図7】図6相当図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。図1は車載通信システムの全体構成を示している。車載通信システム1は、Bluetooth(登録商標)(以下、BTと称する)通信機能を有するBT対応の車両ナビゲーション装置2(本発明でいう車載装置)が車両に搭載されており、BT通信機能を有するBT対応の携帯電話機3(本発明でいう携帯機器)が車室内に持込まれると、車両ナビゲーション装置2と携帯電話機3とがBT通信可能に構成されている。
【0013】
車両ナビゲーション装置2と携帯電話機3とは、両者の間でBT通信回線を接続している状態ではBTの通信規格で規定されている複数のプロファイルを接続可能であり、例えばダイヤルアップ・ネットワーク・プロファイル(DUP)やシリアル・ポート・プロファイル(SPP)等を接続可能である。尚、車両ナビゲーション装置2と携帯電話機3とが両者の間で複数のプロファイルを同時接続(所謂マルチプロファイル接続)可能であっても良い。又、プロファイルとは機能毎に定義された通信プロトコルを意味している。
【0014】
携帯電話機3は、センター側に設置されているセンター装置4との間でキャリア(通信事業者)5を通じて広域通信回線を接続可能であり、センター装置4との間で広域通信回線を接続している状態で広域通信可能である。センター装置4は、複数のコンテンツサービスプロバイダ6を接続しており、携帯電話機3との間で広域通信回線を接続している状態で、それら複数のコンテンツサービスプロバイダ6から提供されるデータ(コンテンツ)を広域通信によりキャリア5を通じて携帯電話機3に配信可能である。コンテンツサービスプロバイダ6から提供されるデータとしては、例えばニュース情報、交通情報、天気情報、旅行情報、地図情報、音楽情報及び娯楽情報等がある。ニュース情報や天気情報等は時間経過にしたがって変化が大きいリアルタイム型のデータであり、地図情報等は時間経過にしたがって変化が小さい蓄積型のデータである。
【0015】
図2は車両ナビゲーション装置2及び携帯電話機3の構成を機能ブロック図により示している。車両ナビゲーション装置2は、制御部7、位置検出器8、記録媒体装着部9、操作スイッチ群10、通信装置11、BT通信部12、外部メモリ13、表示装置14、音声コントローラ15、音声認識部16、リモコンセンサ17及び外部装置インタフェース部18を備えて構成されている。
【0016】
制御部7は、周知のマイクロコンピュータからなるCPU、RAM、ROM及びI/Oバス等を有し、制御プログラムを実行して装置全体の動作を制御する。位置検出器8は、Gセンサ8a、ジャイロスコープ8b、距離センサ8c及びGPS受信機8dを備えて構成され、これらの各構成要素は互いに性質の異なる検出誤差を有している。制御部7は、これら各構成要素から入力した検出信号を互いに補完して車両の現在位置を検出(特定)する。この場合、位置検出器8は、要求される検出精度で車両の現在位置を検出可能であれば、これら全ての構成要素を備える必要はなく、又、ステアリングの舵角を検出するステアリングセンサや各車輪の回転を検出する車輪センサ等が組合わされて構成されていても良い。
【0017】
記録媒体装着部9は、CD−ROM、DVD−ROM、メモリカード又はHDD等の記録媒体19を装着する。記録媒体19は、地図データ、道路データ、目印データ及びマップマッチング用データ等を記録している。操作スイッチ群10は、表示装置14の周辺に配置されているメカニカル釦や表示装置14に形成されるタッチ釦から構成され、乗員が何れかの釦を操作すると、その操作内容を示す操作検出信号を制御部7に出力する。
【0018】
通信装置11は、例えばVICS(登録商標)装置から送信されたVICS情報を受信する等の広域通信を行う。BT通信部12は、携帯電話機3との間でBT通信回線を接続し、BT通信回線を接続している状態でBT通信を行う。外部メモリ13は、HDD等の大容量記憶装置から構成され、大容量のデータを記憶する。表示装置14は、例えば液晶ディスプレイ装置から構成され、メニュー画面や目的地設定画面等の各種表示画面を表示すると共に、車両の現在位置を示す現在位置マークや走行軌跡等を地図データの地図上に重畳表示する。尚、表示装置14は、有機ELやプラズマディスプレイ装置等から構成されていても良い。
【0019】
音声コントローラ15は、音声認識部16の動作を制御すると共に、スピーカ20からの例えば経路案内ガイダンスや警告ガイダンス等の音声出力を制御する。音声認識部16は、マイク21が入力した音声を音声認識アルゴリズムにしたがって音声認識する。リモコンセンサ17は、操作リモコン22から送信された操作検出信号を受信し、乗員が操作リモコン22により行った操作内容を検出し、その検出した操作内容を示す操作検出信号を制御部7に出力する。外部装置インタフェース部18は、車両に搭載されている各種ECUや各種センサと車載LAN23を通じて接続されており、各種ECUや各種センサとの間で各種データや各種信号を入出力する。
【0020】
上記した制御部7は、車両の現在位置と地図データに含まれている道路データとを使用して車両の現在位置が存在する道路をマップマッチングして特定するマップマッチング機能、マップマッチングして特定した車両の現在位置から乗員が設定した目的地までの経路を探索する経路探索機能、探索した経路及び地図データに含まれている道路データや交差点の位置データ等に基づいて経路案内に必要な地点を算出して経路案内する経路案内機能、車両の現在位置周辺の地図や高速道路の略図や交差点付近の拡大図等を描画する描画機能等のナビゲーションを行うための周知の機能を備えている。
【0021】
携帯電話機3は、制御部24、広域通信部25、BT通信部26、操作部27、表示装置28、メモリ29、音声処理部30及びバッテリ残容量検出部31を備えて構成されている。制御部24は、周知のマイクロコンピュータからなるCPU、RAM、ROM及びI/Oバス等を有し、制御プログラムを実行して装置全体の動作を制御する。広域通信部25は、センター装置4との間で広域通信回線を接続し、広域通信回線を接続している状態で広域通信を行う。BT通信部26は、車両ナビゲーション装置2との間でBT通信回線を接続し、BT通信回線を接続している状態でBT通信を行う。
【0022】
操作部27は、電源キーや「0」〜「9」の数字キー等の各種キーを有し、乗員が何れかのキーを操作すると、その操作内容を示す操作検出信号を制御部24に出力する。表示装置28は、例えば液晶ディスプレイ装置から構成され、待受画面や着信通知画面等の各種表示画面を表示する。メモリ29は、例えば電話番号と登録名との対応を示す電話帳データ等の各種データを記憶するデータ記憶領域を有すると共に、センター装置4から広域通信部25により受信した各種データを記憶するデータ記憶領域を有して構成されている。
【0023】
音声処理部30は、ユーザが発した音声を送話音声として入力するマイク32と、通話相手からの音声を受話音声として出力するスピーカ33とを接続しており、マイク32から入力した送話音声を送話処理すると共に、スピーカ33から出力する受話音声を受話処理する。バッテリ残容量検出部31は、携帯電話機3の動作電力源であるバッテリ34の残容量を検出し、その検出したバッテリ34の残容量を示す残容量検出信号を制御部24に出力する。
【0024】
次に、上記した構成の作用について、図3乃至図7を参照して説明する。
携帯電話機3において、制御部24は、例えば広域通信部25における受信電波の受信電界強度が閾値以上であるか否かを判定し、携帯電話機3が(車両が)広域通信圏内に存在しており電波環境が良好であるか否か、即ち、センター装置4から送信されるデータ応答を受信可能であるか否かを判定する(ステップB1)。この場合、制御部24は、センター装置4から送信されるデータ応答を受信可能であるか否かを例えば所定時間毎に判定する。ここで、制御部24は、例えば広域通信部25における受信電波の受信電界強度が閾値以上であると判定し、センター装置4から送信されるデータ応答を受信可能であると判定すると(ステップB1にて「YES」)、データ要求の送信タイミングになったか否かを判定し(ステップB2)、データ要求の送信タイミングになったと判定すると(ステップB2にて「YES」)、広域通信回線接続要求を広域通信部25からセンター装置4に送信させ(ステップB3)、センター装置4から広域通信回線接続応答が受信されることを待機する(ステップB4)。尚、制御部24は、データ要求の送信タイミングになったと判定した後に、センター装置4から送信されるデータ応答を受信可能であるか否かを判定しても良い。
【0025】
センター装置4は、携帯電話機3から送信された広域通信回線接続要求を受信したと判定すると(ステップC1にて「YES」)、広域通信回線接続要求を送信した携帯電話機3との間で広域通信回線を接続可能であるか否かを判定し、広域通信回線接続要求を送信した携帯電話機3との間で広域通信回線を接続可能であると判定すると、広域通信回線接続応答を携帯電話機3に送信する(ステップC2)。
【0026】
次いで、携帯電話機3において、制御部24は、センター装置4から送信された広域通信回線接続応答を広域通信部25により受信したと判定すると(ステップB4にて「YES」)、広域通信部25とセンター装置4との間で広域通信回線を接続する広域通信回線接続処理を行う。制御部24は、広域通信部25とセンター装置4との間で広域通信回線を接続すると、データ要求を広域通信部25からセンター装置4に送信させ(ステップB5)、センター装置4からデータ応答が受信されることを待機する(ステップB6)。
【0027】
センター装置4は、携帯電話機3から送信されたデータ要求を受信したと判定すると(ステップC3にて「YES」)、その受信したデータ要求により特定されるデータ(コンテンツ)をコンテンツサービスプロバイダ6から取得し、その取得したデータを含むデータ応答を携帯電話機3に送信する(ステップC4)。即ち、センター装置4は、データ要求により特定されるデータが例えばニュースに関するデータであれば、ニュース情報を提供するコンテンツサービスプロバイダ6からニュース情報を取得し、その取得したニュース情報をデータとして含むデータ応答を携帯電話機3に送信する。
【0028】
そして、携帯電話機3において、制御部24は、センター装置4から送信されたデータ応答を広域通信部25により受信したと判定すると(ステップB6にて「YES」)、その受信したデータ応答に含まれるデータをメモリ29のデータ記憶領域に記憶する(ステップB7)。
【0029】
以上に説明した一連の処理により、携帯電話機3において、センター装置4から送信されるデータ応答を受信可能であるときにデータ要求の送信タイミングになると、センター装置4から配信されたデータを受信してメモリ29のデータ記憶領域に記憶する。尚、携帯電話機3からセンター装置4に送信されるデータ要求により特定されるデータ、即ち、センター装置4が携帯電話機に配信されるデータは、乗員が予め設定したデータであっても良いし、乗員が閲覧したデータを閲覧履歴として記憶しておくことで、その閲覧履歴として記憶したデータ(乗員が頻繁に閲覧するデータ)と同種のデータ等であっても良い。
【0030】
さて、携帯電話機3が車室内に持込まれたことで、車両ナビゲーション装置2と携帯電話機3とがBT通信可能になると(両者がBT通信圏内に存在すると)、車両ナビゲーション装置2と携帯電話機3とは両者の間でBT通信回線接続要求及びBT通信回線接続応答を送受信してBT通信回線を接続するBT通信回線接続処理を行う。この場合、車両ナビゲーション装置2と携帯電話機3とは両者の間で何れがBT通信回線の接続を要求しても良く、即ち、車両ナビゲーション装置2がBT通信回線接続要求を送信し、携帯電話機3がBT通信回線接続応答を送信しても良いし、携帯電話機3がBT通信回線接続要求を送信し、車両ナビゲーション装置2がBT通信回線接続応答を送信しても良い。
【0031】
又、このように車両ナビゲーション装置2と携帯電話機3とが両者の間でBT通信回線を接続している状態では、乗員が車両ナビゲーション装置2の操作スイッチ群10や操作リモコン22を操作することで携帯電話機3の動作を制御可能に構成されている。例えば携帯電話機3に登録されている電話帳リストが携帯電話機3から車両ナビゲーション装置2に転送されて当該車両ナビゲーション装置2の表示装置14に表示されることで、乗員が車両ナビゲーション装置2の表示装置14に表示される電話帳リストを操作可能であり、又、車両ナビゲーション装置2の表示装置14に発信釦がタッチ釦として形成されることで、乗員が発信釦を押下して携帯電話機3から発信可能である。
【0032】
車両ナビゲーション装置2において、制御部7は、BT通信部12と携帯電話機3のBT通信部26との間でBT通信回線を接続すると、乗員によるデータ要求操作を操作スイッチ群10や操作リモコン22により受付けたか否かを判定しており(ステップA11)、乗員によるデータ要求操作を操作スイッチ群10や操作リモコン22により受付けたと判定すると(ステップA11にて「YES」)、データ要求をBT通信部12から携帯電話機3に送信させる(ステップA12)。
【0033】
携帯電話機3において、制御部24は、車両ナビゲーション装置2から送信されたデータ要求をBT通信部26により受信したと判定すると(ステップB11にて「YES」)、例えば広域通信部25における受信電波の受信電界強度が閾値以上であるか否かを判定し、携帯電話機3が(車両が)広域通信圏内に存在しており電波環境が良好であるか否か、即ち、センター装置4から送信されるデータ応答を受信可能であるか否かを判定する(ステップB12)。ここで、制御部24は、例えば広域通信部25における受信電波の受信電界強度が閾値以上であると判定し、センター装置4から送信されるデータ応答を受信可能であると判定すると(ステップB12にて「YES」)、広域通信回線接続要求を広域通信部25からセンター装置4に送信させ(ステップB13)、センター装置4から広域通信回線接続応答が受信されることを待機する(ステップB14)。
【0034】
センター装置4は、携帯電話機3から送信された広域通信回線接続要求を受信したと判定すると(ステップC11にて「YES」)、広域通信回線接続要求を送信した携帯電話機3との間で広域通信回線を接続可能であるか否かを判定し、広域通信回線接続要求を送信した携帯電話機3との間で広域通信回線を接続可能であると判定すると、広域通信回線接続応答を携帯電話機3に送信する(ステップC12)。
【0035】
次いで、携帯電話機3において、制御部24は、センター装置4から送信された広域通信回線接続応答を広域通信部25により受信したと判定すると(ステップB14にて「YES」)、広域通信部25とセンター装置4との間で広域通信回線を接続する広域通信回線接続処理を行う。制御部24は、広域通信部25とセンター装置4との間で広域通信回線を接続すると、データ要求を広域通信部25からセンター装置4に送信させ(ステップB15)、センター装置4からデータ応答が受信されることを待機する(ステップB16)。
【0036】
センター装置4は、携帯電話機3から送信されたデータ要求を受信したと判定すると(ステップC13にて「YES」)、その受信したデータ要求により特定されるデータ(コンテンツ)をコンテンツサービスプロバイダ6から取得し、その取得したデータを含むデータ応答を携帯電話機3に送信する(ステップC14)。
【0037】
携帯電話機3において、制御部24は、センター装置4から送信されたデータ応答を広域通信部25により受信したと判定すると(ステップB16にて「YES」)、その受信したデータ応答をBT通信部26から車両ナビゲーション装置2に送信させる(ステップB17)。
【0038】
車両ナビゲーション装置2において、制御部7は、携帯電話機3から送信されたデータ応答をBT通信部12により受信したと判定すると(ステップA13にて「YES」)、その受信したデータ応答に含まれているデータを抽出し、その抽出したデータを例えば表示装置14に表示させたりスピーカ20から音声出力させたりする(ステップA14)。具体的には、制御部7は、図6に示すように、例えば車両の現在位置を示す現在位置マークを地図データの地図上に重畳表示する現在位置表示画面35を表示装置14に表示させている状態で、乗員が天気情報に関するデータ要求操作を操作スイッチ群10や操作リモコン22により行った場合であれば、センター装置4から携帯電話機3を通じて取得した天気情報に関する天気情報画面36を現在位置表示画面35上にポップアップ表示させる。
【0039】
一方、携帯電話機3において、制御部24は、例えば広域通信部25における受信電波の受信電界強度が閾値以上でない(閾値未満である)と判定し、センター装置4から送信されるデータ応答を受信可能でない(受信不可能である)と判定すると(ステップB12にて「NO」)、メモリ29のデータ記憶領域を検索し(ステップB21)、その受信したデータ要求により特定されるデータをメモリ29のデータ記憶領域に記憶しているか否かを判定する(ステップB22)。ここで、制御部24は、その受信したデータ要求により特定されるデータをメモリ29のデータ記憶領域に記憶していると判定すると(ステップB22にて「YES」)、そのデータを含むデータ応答をBT通信部26から車両ナビゲーション装置2に送信させる(ステップB17)。
【0040】
車両ナビゲーション装置2において、制御部7は、携帯電話機3から送信されたデータ応答をBT通信部12により受信したと判定すると(ステップA13にて「YES」)、その受信したデータ応答に含まれているデータを抽出し、その抽出したデータを例えば表示装置14に表示させたりスピーカ20から音声出力させたりする(ステップA14)。
【0041】
以上に説明した一連の処理により、携帯電話機3において、乗員によるデータ要求操作を車両ナビゲーション装置2により受付けると、センター装置4から送信されるデータ応答を受信可能であれば、センター装置4から当該データ要求により特定されるデータを受信し、その受信したデータを車両ナビゲーション装置2から出力させ、一方、センター装置4から送信されるデータ応答を受信可能でなければ、当該データ要求により特定されるデータを記憶しているか否か、即ち、当該データ要求により特定されるデータを予めセンター装置4から受信して記憶しているか否かを判定し、当該データ要求により特定されるデータを予めセンター装置4から受信して記憶していれば、そのデータを車両ナビゲーション装置2から出力させる。
【0042】
尚、車両ナビゲーション装置2において、制御部7は、携帯電話機3がセンター装置4から送信されるデータ応答を受信可能でないことにより、予めセンター装置4から配信されて携帯電話機3に記憶されているデータを出力する場合には、そのデータが携帯電話機3に記憶された時刻を出力するようにしても良い。即ち、制御部7は、図7に示すように、例えば現在位置表示画面35を表示装置14に表示させている状態で、乗員が天気情報に関するデータ要求操作を操作スイッチ群10や操作リモコン22により行った場合であれば、天気情報に関するデータが携帯電話機3に記憶された時刻(図7ではデータ記憶時刻として「10:00」を示す)をも含む天気情報画面37を現在位置表示画面35上にポップアップ表示させても良い。
【0043】
以上に説明したように本実施形態によれば、車載通信システム1において、車両ナビゲーション装置2と携帯電話機3とが両者の間でBT通信回線を接続している状態で、乗員によるデータ要求操作を車両ナビゲーション装置2により受付けたときに、センター装置4から送信されるデータ応答を携帯電話機3が受信可能でなくても当該データ要求操作により特定されるデータを携帯電話機3が記憶していれば、その携帯電話機3が記憶しているデータを車両ナビゲーション装置2から出力させるように構成したので、車両がセンター装置4との間で通信可能な通信圏内に存在していなかったり通信圏内に存在していたとしても電波環境が良好でなかったりする場合であっても、予めセンター装置4から配信されて携帯電話機3に記憶されていたデータを出力することができ、乗員が所望とするサービスを適切に受けることができる。
【0044】
特に、このように車両ナビゲーション装置2と携帯電話機3とが両者の間でBT通信回線を接続している状態で乗員が車両ナビゲーション装置2を操作することで携帯電話機3の動作を制御可能な構成では、乗員が携帯電話機3を操作することなく車両ナビゲーション装置2を操作することが多くなり、携帯電話機3が通信圏内であるか否か(センター装置4から送信されるデータ応答を可能であるか否か)への注意が疎かになることが想定されることを鑑みると、センター装置4から配信されたデータを携帯電話機3に記憶させておくことで、携帯電話機3が通信圏内であるか否かに拘らず、データを車両ナビゲーション装置2から出力させることによる効果は大きい。
【0045】
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形または拡張することができる。
車載装置は、携帯電話機との間で通信可能であれば、車両ナビゲーション装置に限らず、別の機能を有する車載装置であっても良い。
携帯機器は、車載装置との間で通信可能であると共にセンター装置との間で通信可能であれば、携帯電話機に限らず、別の機能を有する携帯機器であっても良い。
車両ナビゲーション装置と携帯電話機とが両者の間でBT通信を行うことに限らず、両者の間で他の近距離無線通信を行っても良い。又、車両ナビゲーション装置と携帯電話機とが両者の間で有線通信を行っても良い。
【符号の説明】
【0046】
図面中、1は車載通信システム、2は車両ナビゲーション装置(車載装置)、3は携帯電話機(携帯機器)、4はセンター装置である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されている車載装置と乗員が携帯可能な携帯機器とが通信可能に構成されていると共に、携帯機器とセンター装置とが通信可能に構成されている車載通信システムであって、
携帯機器は、センター装置から受信したデータを記憶可能なデータ記憶領域を備え、車載装置からデータ要求を受信した場合に、センター装置から当該データ要求により特定されるデータを含むデータ応答を受信可能であるか否かを判定し、センター装置から当該データ要求により特定されるデータを含むデータ応答を受信不可能であると判定し、且つ当該データ要求により特定されるデータを前記データ記憶領域に記憶していると判定した場合には、当該データ記憶領域に記憶しているデータを含むデータ応答を車載装置に送信し、
車載装置は、携帯機器からデータ応答を受信した場合に、その受信したデータ応答に含まれるデータを出力することを特徴とする車載通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載した車載通信システムにおいて、
携帯機器は、センター装置から当該データ要求により特定されるデータを含むデータ応答を受信不可能であると判定し、且つ当該データ要求により特定されるデータを前記データ記憶領域に記憶していると判定した場合には、当該データ記憶領域に記憶しているデータを含むデータ応答を車載装置に送信し、当該データを当該データ記憶領域に記憶した時刻に関する時刻情報をも車載装置に送信することを特徴とする車載通信システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載した車載通信システムにおいて、
携帯機器は、車載装置からデータ要求を受信した場合に、センター装置から当該データ要求により特定されるデータを含むデータ応答を受信可能であると判定した場合には、当該データ要求をセンター装置に送信することを特徴とする車載通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−221954(P2011−221954A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−93199(P2010−93199)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】