説明

車載電子機器

【課題】光ディスクを同じ位置で片持ち状態となるのを防止すること。
【解決手段】中央制御部9は、保持状態検出部8が光ディスクの片持ち状態を検出してから内蔵するタイマーにより計測した時間が所定時間経過すると、ローディング制御部7に光ディスク1の引き込みを行うよう指示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等に搭載される光ディスクを再生可能な車載電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の光ディスク装置には、ローディングローラで光ディスクを挿入・排出を行う形式のものがある。この光ディスク装置では、排出完了時に、光ディスクの一部を装置内のローディングローラで片持ちしている。そのため、光ディスクを片持ち状態で長時間に亘って放置すると、光ディスク自体の荷重によって光ディスクが変形する場合がある。
【0003】
特に、車両などに搭載された光ディスク装置では、例えば、ユーザが光ディスクを片持ち状態から引き抜かずに車両から離れると、光ディスクが片持ち状態で放置されることが考えられる。片持ち状態で放置されたために光ディスクが変形すると、光ディスク装置は、フォーカスサーボやトラッキングサーボなどの引き込みができなくなる場合がある。
【0004】
特許文献1に開示されている技術では、排出時に光ディスクが傾かないようにシャッタを設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−317356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されている技術では、排出時だけ光ディスクの傾きを防止できるものの、排出後、光ディスクが片持ち状態で放置される場合までは考慮されていない。
【0007】
本発明の目的は、光ディスクを同じ位置で片持ち状態となるのを防止できる車載電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、光ディスクへの書き込み又は読み取りを制御する光ディスクヘッド制御部と、前記光ディスクの回転を制御するスピンドルモータ制御部と、ローラにより前記光ディスクの排出又は引き込みを制御するローディング制御部と、光ディスクの保持状態を検出する保持状態検出部と、前記保持状態検出部の検出結果、及び内蔵するタイマーに基づき、前記スピンドルモータ制御部又は前記ローディング制御部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記保持状態検出部が光ディスクの片持ち状態を検出してから前記タイマーにより計測した時間が所定時間経過した場合には、前記ローディング制御部に前記光ディスクの引き込みを行うよう指示する、車載電子機器を提供する。
【0009】
上記車載電子機器では、前記制御部は、前記保持状態検出部が光ディスクの片持ち状態を検出してから前記所定時間経過後に、前記引き込まれた光ディスクを排出する場合には、当該車載電子機の起動があったか否かを判定し、当該車載電子機器の起動があったと判定した場合には、当該光ディスクをわずかに回転させるよう前記スピンドルモータ制御部に指示する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る車載電子機器によれば、光ディスクを同じ位置で片持ち状態となるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態に係る車載光ディスク装置10の構成を示すブロック図
【図2】光ディスク1の片持ち状態を説明するための図
【図3】(a)〜(e)は、車載光ディスク装置10の制御に基づく光ディスク1の状態遷移を説明するための図
【図4】車載光ディスク装置10の動作フロー
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態に係る車載電子機器に適用可能な車載光ディスク装置10の構成を示すブロック図である。図1に示す車載光ディスク装置10は、光ディスクヘッド装置2と、光ディスクヘッド制御部3と、スピンドルモータ4と、スピンドルモータ制御部5と、ローディング装置6と、ローディング制御部7と、保持状態検出部8と、中央制御部9と、を備える。なお、ユーザは、図示しない遠隔操作部により、中央制御部9へ排出コマンドや引き込みコマンド等の操作指示を出力して、車載光ディスク装置10を操作することができる。
【0014】
車載光ディスク装置10は、ディスク状の記録媒体である光ディスク1の記録及び再生を行う機能を有しており、光ディスク1がその直径方向に開口部10aから挿入され、光ディスク1の記録又は再生が行われる。光ディスク1には、例えば、Blu−ray Disc(登録商標)、CD、DVDが含まれる。
【0015】
中央制御部9は、中央演算処理装置(CPU)、メモリ等で構成され、スピンドルモータ制御部5、光ディスクヘッド制御部3、ローディング制御部7、保持状態検出部8など、車載光ディスク装置10の全体を制御する。
【0016】
スピンドルモータ制御部5は、スピンドルモータ4を制御する。スピンドルモータ4は、スピンドルモータ制御部5の制御に基づき、装置内に引き込まれた光ディスク1の回転を制御する。
【0017】
また、光ディスクヘッド制御部3は、光ディスクヘッド装置2を制御する。光ディスクヘッド装置2は、光ディスクヘッド制御部3の制御に基づき、回転中の光ディスク1からの信号の読み取り又は光ディスク1への書き込み等を行う。
【0018】
ローディング制御部7は、ローディング装置6を制御する。ローディング装置6は、ローディングローラ6aを備え、ローディング制御部7の制御に基づき、ローディングローラ6aを回転させて、光ディスク1の排出又は引き込みを行う。
【0019】
保持状態検出部8は、車載光ディスク装置10の開口部10a付近に設けられ、中央制御部9により制御される。保持状態検出部8は、光ディスク1の保持状態を検出し、その検出結果を中央制御部9に出力する。
【0020】
中央制御部9は、排出コマンド、引き込みコマンドなどの操作指示に基づき、光ディスク1の排出又は引きこみを行うようローディング制御部7を制御する。
中央制御部9は、再生コマンド、記録コマンドなどの操作指示に基づき、スピンドルモータ制御部5、光ディスクヘッド制御部3、ローディング制御部7を制御して、光ディスク1の記録又は再生をする。
【0021】
ここで、図2を参照して光ディスク1の片持ち状態について説明する。図2に示すように、ローディング装置6がローディングローラ6aを回転させて光ディスク1を開口部10aから排出すると、光ディスク1は、その一端がローディングローラ6aにより挟持されて傾いた状態(以下、「片持ち状態」という)となる。そのため、光ディスク1がローディングローラ6aから取り外される、若しくは光ディスク1が装置内に引き込まれないと、常に光ディスク1の同じ片持ち位置Pでローディングローラ6aにより挟持されたままになる。
【0022】
特に、車載光ディスク装置10では、光ディスク1が厳しい周囲環境(高温下など)下で片持ち状態のまま放置される可能性が室内などに設置される場合と比べて高い。さらに、光ディスク1の薄型化により、常に光ディスク1の同じ片持ち位置Pでローディングローラ6aにより挟持されたままになると、光ディスク1が変形してしまう。
【0023】
例えば、Blu−ray Disc(登録商標)のカバー層は0.1mm程度の厚さしかないので、常に、光ディスク1の同じ片持ち位置Pでローディングローラ6aにより光ディスク1が挟持されたままだと、車載光ディスク装置10での記録又は再生ができなくなる場合もある。
【0024】
したがって、本実施の形態に係る車載光ディスク装置10は、以下のような中央制御部9の制御に基づき、光ディスク1が常に同じ片持ち位置Pでローディングローラ6aにより挟持されて片持ち状態になることを防ぐ。
【0025】
中央制御部9は、保持状態検出部8の検出結果に基づき、光ディスク1が片持ち状態であるか否か判定する。光ディスク1が片持ち状態であると判定された場合には、中央制御部9は、内蔵するタイマーにより、光ディスク1の保持時間を測定する。そして、片持ち状態で所定時間経過すると、中央制御部9は、ローディング制御部7を制御して、車載光ディスク装置10内へ光ディスク1を引き込む。
【0026】
光ディスク1が片持ち状態でないと判定された場合には、光ディスク1が取り出されたものとして動作を終了する。そのため、長時間片持ち状態で光ディスク1が保持されるのを防ぐことができる。
【0027】
さらに、中央制御部9が、光ディスク1が引き込まれた状態で排出コマンドを再び受けると、この排出コマンドを受ける前に車載光ディスク装置10が起動されているか否かを判定する。そして、中央制御部9が、車載光ディスク装置10が起動されていると判定すると、スピンドルモータ制御部5を介して、スピンドルモータ4を制御して、光ディスク1をわずかに回転させる(図3(b)参照)。
【0028】
このような制御により、光ディスク1が常に同じ片持ち位置Pでローディングローラ6aにより挟持されて片持ち状態になることを防ぐ(図3(b)参照)。
【0029】
図3(a)〜(e)は、本実施の形態に係る車載光ディスク装置10の制御に基づく、光ディスク1の状態遷移を説明するための図である。図3(a)で、ローディング制御部7は、中央制御部9から入力された引き込みコマンドに基づき、ローディング装置6を制御し、車載光ディスク装置10内へ光ディスク1を引き込む。このとき、光ディスク1は、片持ち位置Pで片持ち状態となっている。
【0030】
図3(b)で、スピンドルモータ制御部5は、中央制御部9から入力された引き込みコマンドに基づき、スピンドルモータ4を制御して、光ディスク1を図3(b)中の矢印A1方向(時計回り)にわずかに回転させる。このような制御により、光ディスク1が後で排出されても、光ディスク1は同じ片持ち位置Pで片持ち状態になるのを防ぐことができる。
【0031】
図3(c)で、ローディング制御部7は、中央制御部9から入力された排出コマンドに基づき、ローディング装置6を制御し、車載光ディスク装置10から光ディスク1を図3(c)中の矢印A2方向に排出する。図3(d)で、再排出時には、光ディスク1は、片持ち位置Pとは異なる位置で片持ち状態となっている。
【0032】
図3(e)で、中央制御部9が内蔵するタイマーにより、光ディスク1が図3(d)に示す片持ち状態で所定時間経過すると、中央制御部9がローディング制御部7を制御して、ローディング装置6により、車載光ディスク装置10内へ光ディスク1を引き込む。
【0033】
このように、本実施の形態に係る車載光ディスク装置10は、光ディスク1が常に同じ片持ち位置Pでローディングローラ6aにより挟持されて片持ち状態になることを防ぐことができる。そのため、本実施の形態に係る車載光ディスク装置10は、光ディスク1を同じ箇所(片持ち位置P)で長時間保持することがなくなるので、光ディスク1を損傷することなく排出できる。更には、片持ち状態で所定時間経過すると、中央制御部9が、ローディング制御部7を制御して、ローディング装置6により、再び光ディスク1を車載光ディスク装置10内に引き込む。そのため、光ディスク1が片持ち状態になることを防ぐ。
【0034】
次に、図4を参照して、車載光ディスク装置10の動作フローについて説明する。ステップST401では、中央制御部9が光ディスク1の排出コマンドに基づき、ローディング装置6を介して、ローディングローラ6aを回転させて、光ディスク1を排出する。
【0035】
ステップST403では、光ディスク1の排出が完了する。ステップST405では、中央制御部9は、保持状態検出部8の検出結果に基づき、光ディスク1が片持ち状態であるか否か判定する。光ディスク1が片持ち状態であると判定された場合には、ステップST407へ遷移し、光ディスク1が片持ち状態でないと判定された場合には、処理を終了する。
【0036】
ステップST407では、中央制御部9は、内蔵するタイマーにより、片持ち状態での光ディスク1の保持時間を測定する。そして、ステップST409へ遷移する。
【0037】
ステップST409では、中央制御部9は、内蔵するタイマーにより、片持ち状態で光ディスク1を保持してから所定時間経過したかどうかを判定する。片持ち状態で光ディスク1を保持してから所定時間経過したと判定された場合には、ステップST411へ遷移し、片持ち状態で光ディスク1を保持してから所定時間経過していないと判定された場合には、ステップST407へ遷移する。
【0038】
ステップST411では、片持ち状態で光ディスク1を保持してから所定時間経過した場合には、中央制御部9は、ローディング制御部7を介して、ローディング装置6により、車載光ディスク装置10内へ光ディスク1を引き込む。
【0039】
ステップST413では、中央制御部9は、再度排出コマンドを受けて、光ディスク1の排出動作を開始する。そして、ステップST415へ遷移する。
【0040】
ステップST415では、中央制御部9は、光ディスク1の排出を開始する際には、車載光ディスク装置10が起動しているか否かを判定する。そして、車載光ディスク装置10が起動していない場合には、ステップST417へ遷移し、そうでない場合には、ステップST403へ遷移する。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明に係る車載電子機器は、光ディスクを同じ位置で片持ち状態となるのを防止できるという効果を有し、光ディスク装置等として有用である。
【符号の説明】
【0042】
1 光ディスク
2 光ディスクヘッド装置
3 光ディスクヘッド制御部
4 スピンドルモータ
5 スピンドルモータ制御部
6 ローディング装置
6a ローディングローラ
7 ローディング制御部
8 保持状態検出部
9 中央制御部
10 車載光ディスク装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクへの書き込み又は読み取りを制御する光ディスクヘッド制御部と、
前記光ディスクの回転を制御するスピンドルモータ制御部と、
ローラにより前記光ディスクの排出又は引き込みを制御するローディング制御部と、
光ディスクの保持状態を検出する保持状態検出部と、
前記保持状態検出部の検出結果及び内蔵するタイマーの計測に基づき、前記スピンドルモータ制御部又は前記ローディング制御部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記保持状態検出部が光ディスクの片持ち状態を検出してから前記タイマーにより計測した時間が所定時間経過した場合には、前記ローディング制御部に前記光ディスクの引き込みを行うよう指示する、
車載電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、
前記保持状態検出部が光ディスクの片持ち状態を検出してから前記所定時間経過後に、前記引き込まれた光ディスクを排出する場合には、当該車載電子機の起動があったか否かを判定し、
当該車載電子機器の起動があったと判定した場合には、当該光ディスクをわずかに回転させるよう前記スピンドルモータ制御部に指示する、
車載電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−195032(P2012−195032A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−58138(P2011−58138)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】