説明

車載電気機器制御装置

【課題】当初搭載されていた車載電気機器を取り外して新たな車載電気機器を取り付けた場合や新たな車載電気機器を追加搭載した場合でも、引き続き、ステアリングホイールに設けたスイッチで当該車載電気機器の制御ができるようにする。
【解決手段】ステアリングホイール1に設けたスイッチ2が所定時間以上連続して押下げられたとき、車載電気機器のリモコン装置からの赤外線信号を受光部8により受光して、車載電気機器を制御するための赤外線信号を、それぞれのスイッチ2に対応付けて記憶させる。その後は、スイッチ2の操作により、操作されたスイッチ2に対応付けて記憶された赤外線信号を発光部9から出力し、車載電気機器に送って制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーラジオ、カーステレオ、カーナレビジョン等の車載電気機器を操作するための車載電気機器制御装置に関するものであり、特に、車載電気機器制御装置のリモコン信号をステアリングホイールに設けられた複数個のスイッチに対応付けて記憶し、当該ステアリングホイールに設けられた複数個のスイッチを操作することにより該当する車載電気機器制御するように構成した車載電気機器制御装置において、制御対象である車載電気機器が当初のものから新たなものに取り替えられた場合に、継続して当該新たな車載電気機器を制御し得るようにした車載電気機器制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年では電気機器の小型化や低価格化が進み、種々の電気機器が自動車に搭載されるようになってきている。例えば、カーラジオやカーテレビなどの放送受信装置、MD・DVDプレイヤーなどのオーデオ・ビデオ装置、カーナビゲーション装置など種々の電気機器が車載用として開発、製造され、多くの自動車に搭載されて利用されている。
【0003】
従来から、これらの車載電気機器を制御するため、赤外線信号を発するリモコン装置が装備され、車内の利用者がリモコン装置を操作して当該車載電気機器の操作を制御することができるようにされている。
【0004】
一方、車載電気機器制御装置をステアリングホイールに設けられた複数個のスイッチを操作することにより該当する車載電気機器制御するように構成した車載電気機器制御装置も知られている。
【0005】
例えば、下記の特許文献1(特開2004−25926号公報)には、ステアリングホイールの一部に、カーラジオ、カーステレオなどの車載電気機器操作用のスイッチを設け、ステアリングホイールから手を離さずに車載電気機器を操作できるようにした車載電気機器制御装置が開示されている。
【0006】
この特許文献1に開示された制御装置は、ハンドルスイッチ装置を、ステアリングホイール1と、当該ステアリングホイール1に設置された複数個のスイッチ装置2,3,4,5と、操舵角センサ6と、車速センサ7と、前記各スイッチ及び前記各センサの出力信号a〜fを取り込み、前記各スイッチによって操作される各車載電気機器の制御信号g〜jを出力する制御部8とから構成したものである。
【特許文献1】特開2004−25926号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、一般に、ステアリングホイールに設けられたスイッチは、自動車メーカにより予め装備させる車載電気機器に対応するように設計されている。
【0008】
しかしながら、車載電気機器においても昨今では新製品の投入や機器の世代交代が激しく、ユーザが自動車の購入当初に搭載した機器を使用せず、途中で新たな機種や新たな車載電気機器を追加搭載する場合も多い。また、中古で自動車を購入したユーザが車載電気機器を買い換える場合もある。更に、近年ではカー用品の量販店も多く、ユーザが買い換え搭載を希望する車載電気機器が、必ずしも自動車メーカが予め装備した純正品でない場合もある。
【0009】
その為、上記特許文献1に開示されたような制御装置は、納車時に実際に車両に搭載してある車載電気機器に対応するようにステアリングホイールにスイッチが設けられているために、車載電気機器の買い換え、追加搭載に対して対応することができないという問題点が生じていた。
【0010】
本願の発明者は上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、ステアリングホイールに複数のスイッチを設けた車載電気機器制御装置に、信号記憶モードを設け、受光部により車載電気機器のリモコン装置からの赤外線信号を受光して車載電気機器を制御するための赤外線信号をそれぞれのスイッチに対応付けて記憶するようになせば、利用者が新たな車載電気機器を搭載しても、当該車載電気機器を前記スイッチにより制御できるようになせることに想到して本発明を完成するに至ったものである。
【0011】
すなわち、本発明は上記問題点を解消することを課題とし、車載電気機器制御装置のリモコン信号をステアリングホイールに設けられた複数個のスイッチに対応付けて記憶し、当該ステアリングホイールに設けられた複数個のスイッチを操作することにより該当する車載電気機器制御するように構成した車載電気機器制御装置において、制御対象である車載電気機器が当初のものから新たなものに取り替えられた場合に、継続して当該新たな車載電気機器を制御し得るようにした車載電気機器制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、
ステアリングホイールに設けられた複数個のスイッチと、外部から赤外線信号を受光する受光部と、外部へ赤外線信号を発光する発光部と、信号記憶モードにおいて、前記受光部により、車載電気機器のリモコン装置からの赤外線信号を受光して、車載電気機器を制御するための赤外線信号を、それぞれのスイッチに対応付けて記憶する手段と、制御モードにおいて、前記スイッチの操作に応じて、操作されたスイッチに対応付けて記憶されている赤外線信号を前記発光部から出力する手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる車載電気機器制御装置において、前記スイッチが所定時間以上連続して押下げられたことに基づいて前記信号記憶モードに切り換えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の車載電気機器制御装置は、次のような効果を奏する。
【0015】
すなわち、請求項1にかかる発明においては、ステアリングホイールに複数個のスイッチを設け、車載電気機器のリモコン装置からの赤外線信号を受光部により受光して、車載電気機器を制御するための赤外線信号を、それぞれのスイッチに対応付けて記憶させ、その後は、スイッチの操作に応じて、操作されたスイッチに対応付けて記憶されている赤外線信号を発光部から出力するようにした。
【0016】
その結果、当初搭載されていた車載電気機器を取り外して新たな車載電気機器を取り付けた場合や新たな車載電気機器を追加搭載した場合でも、新たに取り付けた車載電気機器を制御するための赤外線信号を、それぞれのスイッチに対応付けて記憶させることにより、引き続き、ステアリングホイールに設けたスイッチで車載電気機器の制御ができるようになる。
【0017】
また、請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかる車載電気機器制御装置において、前記スイッチが所定時間以上連続して押下げられたことに基づいて信号記憶モードに切り換えるようにしたので、モードの指定と、受光している赤外線信号に対応付けるべきスイッチの指定とが、ワンタッチで同時にできるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための車載電気機器制御装置を例示するものであって、本発明をこの車載電気機器制御装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の車載電気機器制御装置にも等しく適用し得るものである。
【実施例】
【0019】
図1は、本発明の車載電気機器制御装置の概略構成図である。図1において、1はステアリングホイール、2は押しボタン式のスイッチで、ステアリングホイール1に複数個設けられている。3,4はコネクタである。
【0020】
車載電気機器制御ユニット10の制御部5は、ROM6に格納されたプログラムやデータに基づいて制御処理を実行し、RAM7は制御部5のメインメモリ及びワークエリアとして機能する。受光部8は、車載電気機器のリモコン装置からの赤外線信号を受光して、制御部5に渡す。発光部9は、車載電気機器のリモコン受光部に対向して設けられ、制御部5により与えられる信号に基づいて赤外線信号を出力する。
【0021】
本発明の車載電気機器制御装置では、ステアリングホイール1に取り付けた複数のスイッチ2と車載電気機器制御ユニット10とをコネクタ3,4で接続する。そして、それぞれのスイッチ2に車載電気機器を制御する赤外線信号を対応付けて記憶する。その記憶のさせ方としては、ある一つのスイッチ2を押下した状態で、車載電気機器付属のリモコン装置のボタンを押下げ、そのボタンに対応する赤外線信号を受光部8に当てる。
【0022】
制御部5は、押下げられたスイッチ2と受光部8から受け取った赤外線信号とを対応付けてRAM7に記憶する。そのような操作を他のスイッチ2についても行い、車載電気機器付属のリモコン装置の機能を各スイッチ2にコピーする。その後は、スイッチ2が操作されたとき、操作されたスイッチ2に対応付けて記憶されている赤外線信号を発光部9から出力して、車載電気機器の制御を行う。
【0023】
本発明においては、車載電気機器制御装置に信号記憶モードを設け、信号記憶モードに切り換えて、車載電気機器のリモコンを操作した際の赤外線信号をスイッチ2に対応付けて記憶する上記のような処理を行えば、ユーザが新たな車載電気機器を搭載して、このような操作をすれば、当該新たな車載電気機器をスイッチ2により操作、制御することができるようになる。信号記憶モードへの切り換えは、例えば、スイッチ2の押下げ継続時間により行うことができる。
【0024】
次に、図2のフローチャートを参照しながら、本発明の車載電気機器制御装置の処理を説明する。いずれかのスイッチ2が押下られたか否かを判別し(ステップS1)、押下られたら、スイッチ2の押下が所定時間(例えば3秒間)継続されたか否かを判別する(ステップS2)。
【0025】
スイッチ2の押下が所定時間継続されたら、信号記憶モードの処理、すなわち、赤外線信号の記憶処理の指令であると判断し、受光部8で赤外線信号の受光があったか否かを判別する(ステップS3)。そして、受光があったら、押下られたスイッチ2と受信信号とを対応付けてRAM7に記憶する(ステップS4)。
【0026】
スイッチ2の押下が所定時間継続されたら、信号記憶モードの処理、すなわち、赤外線信号の記憶処理の指令であると判断し、受光部8で赤外線信号の受光があったか否かを判別する(ステップS3)。そして、受光があったら、押下られたスイッチ2と受信信号とを対応付けてRAM7に記憶する(ステップS4)。
【0027】
一方、ステップS2で、スイッチ2の押下が所定時間継続されなかったら、制御モードの処理、すなわち、通常の制御処理であると判断し、押下られたスイッチ2に対応する赤外線信号をRAM7から読み出して、発光部9から出力する(ステップS5)。
【0028】
このようにスイッチ2の操作継続時間により信号記憶モードと通常の制御モードの切り換えを行えば、特別のモード切り換え操作ボタンなどを設ける必要がなく、装置を簡単化することができる。
【0029】
以上、説明したように、本発明の車載電気機器制御装置によれば、当初搭載されていた車載電気機器を取り外して新たな車載電気機器を取り付けた場合や新たな車載電気機器を追加搭載した場合でも、新たに取り付けた車載電気機器を制御するための赤外線信号を、それぞれのスイッチに対応付けて記憶させることにより、引き続き、ステアリングホイールに設けたスイッチで車載電気機器の制御ができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の車載電気機器制御装置の構成を示す概略構成図である。
【図2】本発明の車載電気機器制御装置の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0031】
1・・・・ステアリングホイール
2・・・・スイッチ
3,4・・コネクタ
5・・・・制御部
6・・・・ROM
7・・・・RAM
8・・・・受光部
9・・・・発光部
10・・・車載電気機器制御ユニット


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングホイールに設けられた複数個のスイッチと、外部から赤外線信号を受光する受光部と、外部へ赤外線信号を発光する発光部と、信号記憶モードにおいて、前記受光部により、車載電気機器のリモコン装置からの赤外線信号を受光して、車載電気機器を制御するための赤外線信号を、それぞれのスイッチに対応付けて記憶する手段と、制御モードにおいて、前記スイッチの操作に応じて、操作されたスイッチに対応付けて記憶されている赤外線信号を前記発光部から出力する手段とを備えたことを特徴とする車載電気機器制御装置。
【請求項2】
前記スイッチが所定時間以上連続して押下げられたことに基づいて前記信号記憶モードに切り換えることを特徴とする請求項1に記載の車載電気機器制御装置。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−230290(P2007−230290A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−51972(P2006−51972)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】