車載音声記録再生装置、及び車載音声再生装置
【課題】記録した音声の存在を失念したまま運転および降車することを防ぐ車載音声記録再生装置、及び車載音声再生装置を提供することを課題とする。
【解決手段】車両に搭載する車載音声記録再生装置1であって、音声を車両の運転者が運転中であるか否かの情報と共に記録する記録手段7と、記録手段7が記録した音声を再生する再生手段8と、運転者が運転を開始すると、記録手段7に記録されている音声のうち非運転中の音声を再生手段8に再生させ、運転者が運転を終了すると、記録手段7に記録されている音声のうち運転中の音声を再生手段8に再生させる制御手段10と、を備える。
【解決手段】車両に搭載する車載音声記録再生装置1であって、音声を車両の運転者が運転中であるか否かの情報と共に記録する記録手段7と、記録手段7が記録した音声を再生する再生手段8と、運転者が運転を開始すると、記録手段7に記録されている音声のうち非運転中の音声を再生手段8に再生させ、運転者が運転を終了すると、記録手段7に記録されている音声のうち運転中の音声を再生手段8に再生させる制御手段10と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載音声記録再生装置、及び車載音声再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理技術の発達に伴い、車両に搭載される電子機器も高度化の一途を辿っている。例えば、特許文献1には、駐車位置等の情報に関する音声を記録可能なワイヤレスキーの発明が開示されている。また、特許文献2には、スイッチ付きイヤホンマイクのボタンを操作することでボイスレコーダ機能を操作することのできる情報携帯端末の発明が開示されている。また、特許文献3には、自動車の走行中に録音した着信メッセージを、自動車が停止したら再生する車載用携帯電話システムの発明が開示されている。また、特許文献4には、ラジオ放送の録音中に車両のエンジンが停止したら、録音したデータを携帯用のオーディオ装置へ転送する車載用オーディオ装置の発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−315150号公報
【特許文献2】特開2006−74430号公報
【特許文献3】特開平11−4190号公報
【特許文献4】特開2007−96506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車を運転中のユーザは、自由な動きが制限される。このため、運転中に何かを思いついたとしても、これをただちにメモ等に残すことは難しい。そこで、視線を前方から逸らすことなく思いつきを残す手段として、思いつきを音声で残すものがある。しかし、運転中は主に運転操作の事を考えているため、思いつきを音声で残したことを失念してしまいやすい。また、運転中のユーザに対してメッセージを伝える場合も音声で伝えることが好ましいが、運転中のユーザは運転操作の事を考えているため、このようなメッセージが録音されていることを失念してしまいやすい。本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、記録した音声の存在を失念したまま運転および降車することを防ぐ車載音声記録再生装置、及び車載音声再生装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、乗員が運転を開始すると非運転中の音声を再生し、乗員が運転を終了すると運転中の音声を再生する。
【0006】
詳細には、車両に搭載する車載音声記録再生装置であって、音声を前記車両の運転者が運転中であるか否かの情報と共に記録する記録手段と、前記記録手段が記録した前記音声を再生する再生手段と、前記運転者が運転を開始すると、前記記録手段に記録されている音声のうち非運転中の音声を前記再生手段に再生させ、該運転者が運転を終了すると、該記録手段に記録されている音声のうち運転中の音声を該再生手段に再生させる制御手段と、を備える。
【0007】
ここで、上記記録手段が記録する音声は、車両の運転者の音声、運転者が携帯電話で通話している相手方の音声、車両の外部で記録した音声といった様々な音声を含む。車両の外部で音声を記録するような場合には、上記車載音声記録再生装置を可搬型とし、車内の部品のうち運転者の手が届きやすいステアリングや内装部品等に着脱自在にすることが好
ましい。上記車載音声記録再生装置の記録手段は、音声を記録する際の運転者の運転状態、すなわち、運転者が運転中であるか否かの情報を該音声と共に記録するものであるが、この運転状態は、例えば、車両を駆動する動力であるエンジンの動作状態、車両のドアの開閉状態、着座センサーの検知状態等に基づいて検知される。記録手段は、車両に備えられるこれらの機器類の動作状態を検知することで乗員が運転状態であるか否かの情報を取得する。なお、上記音声記録再生装置を可搬型とする場合、乗員の運転状態を検出するための計装は着脱可能な接点を介して構成されることが好ましい。
【0008】
上記のように構成される記録手段によって記録された音声は、乗員の運転状態に応じて再生手段を制御する制御手段によって再生が開始される。この制御手段は、乗員が運転を開始したら、運転者が非運転中である旨の情報と共に記録された音声を再生手段に再生させる。また、乗員が運転を終了したら、運転者が運転中である旨の情報と共に記録された音声を再生手段に再生させる。上記車載音声記録再生装置によれば、運転者の運転状態の変化を契機に音声が再生される。よって、音声を記録したことを失念したまま運転を開始し、或いは車両から降車してしまうことがなくなる。
【0009】
また、本発明は、車両に搭載する車載音声再生装置であって、音声を再生する再生手段を備え、音声を録音する録音部と、録音された音声を記憶する記憶部とを有する携帯端末からデータを受信し、イグニッション操作をトリガに、記憶部に記憶された音声を前記再生手段から出力することを特徴とするものであってもよい。
【発明の効果】
【0010】
記録した音声の存在を失念したまま運転および降車することを防ぐ車載音声記録再生装置、及び車載音声再生装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】音声記録再生装置を内蔵したステアリングの外観図。
【図2】音声記録再生装置の操作面を示す図。
【図3】音声記録再生装置の構成図。
【図4A】PB−1が押されたときに制御部が実行する処理のフロー図。
【図4B】PB−2が押されたときに制御部が実行する処理のフロー図。
【図4C】PB−3が押されたときに制御部が実行する処理のフロー図。
【図4D】PB−4が押されたときに制御部が実行する処理のフロー図。
【図4E】IG−SWが操作された時に制御部が実行する処理のフロー図。
【図5】メモリに記憶される音声データとインデックスのテーブルを示す図。
【図6】処理例1に係るタイミングチャートを示す図。
【図7】処理例2に係るタイミングチャートを示す図。
【図8】変形例1に係る音声記録再生装置を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態> 以下、本発明の実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る音声記録再生装置1を内蔵したステアリング2の外観図である。音声記録再生装置1は、図1に示すように、車両の運転席に設けられたステアリング2に内蔵されている。そして、運転者の操作性向上の観点から、音声記録再生装置1の操作スイッチやマイク、スピーカ類がステアリング2の表側に露出している。
【0013】
図2は、音声記録再生装置1の操作面を示す図である。音声記録再生装置1は、図2に示すように、記録/音量切替ボタン(以下、PB−1という)、呼出/次呼出ボタン(以下、PB−2という)、停止/リセットボタン(以下、PB−3という)、消去ボタン(以下、PB−4という)、マイク3、及びスピーカ4を備えており、これらがステアリン
グ2の表側に露出している。
【0014】
図3は、音声記録再生装置1の構成図である。音声記録再生装置1は、図3に示すように、マイク3が音声を電気信号に変換した音声信号を増幅するマイクアンプ5、マイクアンプ5が増幅した音声信号を音声データに符号化する符号化部6、符号化部6が符号化した音声データを記憶する不揮発性のメモリ7、メモリ7に記憶されている音声データを音声信号に復号化する復号化部8、復号化部8が復号化した音声信号を増幅し、スピーカ4に出力するスピーカアンプ9、及びこれらを制御する制御部10を備える。
【0015】
上記音声記録再生装置1では、記録/音量切替ボタンXがユーザに押されると、上記制御部10がマイクアンプ5や符号化部6を制御することにより、以下のような音声の記録処理が実現される。すなわち、記録/音量切替ボタンXがユーザに押されると、上記マイクアンプ5から出力された音声信号が、図示しないローパスフィルタにより不要な周波数帯域がカットされた後、符号化部6に入力される。そして、符号化部6に入力された音声信号が、A/D変換器によりデジタル信号に変換された後、このデジタル音声信号をフレーム単位で所定の符号化フォーマットの音声データに符号化(圧縮)され、メモリ7に記憶される。なお、符号化部6でデジタル信号に変換された音声信号は、図示しないバッファメモリを介してメモリ7に記憶される。また、メモリ7には、音声データと併せてインデックス情報も記憶される。インデックス情報とは、音声データのファイルの通し番号やフラグの有無を示す情報であり、音声データの呼び出しや再生制御に用いられる。
【0016】
また、上記音声記録再生装置1では、呼出/次呼出ボタンXがユーザに押されると、上記制御部10が復号化部8やスピーカアンプ9を制御することにより、以下のような音声の再生処理が実現される。すなわち、呼出/次呼出ボタンXがユーザに押されると、上記復号化部8がメモリ7の音声データを読み出して音声信号に復号化し、復号化部8が複合化した音声信号をスピーカアンプ9が増幅する。これにより、メモリ7に記憶されていた音声データが再生される。なお、上記制御部10は、車両のIGキー(イグニッションキー)スイッチ(以下、IG−SWという)と電気的に接続されており、IGキーの動きに連動して再生処理を行う。
【0017】
次に、上記音声記録再生装置1の動作について説明する。上記音声記録再生装置1には、PB−1〜4が設けられており、更に、IG−SWが接続されている。そこで、音声記録再生装置1の動作について、以下、操作されたボタンやスイッチ毎に説明する。
【0018】
<PB−1(記録/音量切替ボタン)操作時の処理フロー> PB−1が押されると、制御部10は、次のような処理を実行する。図4Aは、PB−1が押されたときに制御部10が実行する処理のフロー図である。制御部10は、PB−1が押されたら、復号化部8やスピーカアンプ9で音声データを再生中であるか否かを判別し(S101)、再生中でなければマイクアンプ5と符号化部6を起動する(S102)。これにより、マイク3で拾われた音声の電気信号が音声データとしてバッファメモリに蓄積される(S103)。なお、制御部10は、バッファメモリからオーバーフローした音声データを、メモリ7にも一時的に蓄積させる。一方、制御部10は、PB−1が押された際、復号化部8やスピーカアンプ9で音声データが再生されていた場合(S101)、再生音の音量が最大に設定されているか否かについて、スピーカアンプ9の設定を参照して確認する。制御部10は、再生音の音量が最大に設定されていなければ、スピーカアンプ9の増幅率を上げる(S105)。これにより、スピーカ4から出力される音量が増加する。一方、制御部10は、再生音の音量が最大に設定されていなければ、スピーカアンプ9の増幅率を最小にする(S106)。これにより、スピーカ4から出力される音量が最小になる。
【0019】
<PB−2(呼出/次呼出ボタン)操作時の処理フロー> PB−2が押されると、制
御部10は、次のような処理を実行する。図4Bは、PB−2が押されたときに制御部10が実行する処理のフロー図である。制御部10は、PB−2が押されたら、符号化部6やマイクアンプ5で音声を録音中であるか否かを判別し(S201)、更に、復号化部8やスピーカアンプ9で音声データを再生中であるか否かを判別する(S202)。制御部10は、録音中および再生中でなければ、復号化部8及びスピーカアンプ9を起動し、音声データの再生を開始させる(S203)また、制御部10は、PB−2が押された際、音声データの再生中であれば、復号化部8が参照するメモリ7内の音声データをスキップし、次のインデックスが付された音声データを再生させる(S204)。また、制御部10は、PB−2が押された際、音声を録音中であれば、何ら制御を実行することなく、PB−2の操作に対する処理を終了する。
【0020】
<PB−3(停止/リセットボタン)操作時の処理フロー> PB−3が押されると、制御部10は、次のような処理を実行する。図4Cは、PB−3が押されたときに制御部が実行する処理のフロー図である。制御部10は、PB−3が押されたら、符号化部6やマイクアンプ5で音声を録音中であるか否かを判別し(S301)、更に、復号化部8やスピーカアンプ9で音声データを再生中であるか否かを判別する(S302)。制御部10は、PB−3が押された際、録音中および再生中でなければ、メモリ7に記憶されている再生位置の情報や音量設定の情報をリセットする。また、制御部10は、PB−3が押された際、音声データの再生中であれば、復号化部8やスピーカアンプ9を停止すると共に、再生していた音声データの再生位置の情報をメモリ7に記憶させる。また、制御部10は、PB−3が押された際、音声の録音中であれば、IG−SWの状態を判別し(S305)、IG−SWがオンの状態であれば、録音したバッファメモリ内の音声データを、フラグ付のインデックスと共にメモリ7に記憶させると共に、符号化部6やマイクアンプ5を停止する(S306)。また、制御部10は、PB−3が押された際、IG−SWがオフの状態であれば、録音したバッファメモリ内の音声データを、フラグ無のインデックスと共にメモリ7に記憶させると共に、符号化部6やマイクアンプ5を停止する(S307)。図5に、メモリ7に記憶される音声データとインデックスのテーブルを示す。図5に示すように、メモリ7には、音声データが、通し番号やフラグの有無に関する情報と共に記憶される。
【0021】
<PB−4(消去ボタン)操作時の処理フロー> PB−4が押されると、制御部10は、次のような処理を実行する。図4Dは、PB−4が押されたときに制御部が実行する処理のフロー図である。制御部10は、PB−4が押されたら、符号化部6やマイクアンプ5で音声を録音中であるか否かを判別し(S401)、更に、復号化部8やスピーカアンプ9で音声データを再生中であるか否かを判別する(S402)。制御部10は、PB−4が押された際、録音中および再生中でなければ、メモリ7に記憶されている音声データを消去する(S403)。これにより、音声記録再生装置1に記録されていた音声データは消去される。また、制御部10は、PB−4が押された際、音声の録音中あるいは再生中であれば、何ら制御を実行することなく、PB−4の操作に対する処理を終了する。
【0022】
<IG−SW(イグニッションキー)操作時の処理フロー> IG−SWが操作されると、制御部10は、次のような処理を実行する。図4Eは、IG−SWが操作された時に制御部10が実行する処理のフロー図である。制御部10は、IG−SWが操作されたら、復号化部8やスピーカアンプ9で音声データを再生中であるか否か(S501)を判別する。そして、制御部10は、IG−SWが操作された際、再生中でなく且つ操作内容がIG−SWをオンからオフへ変更するものであれば(S502)、符号化部6やマイクアンプ5で音声を録音中であるか否かを判別する(S503)。そして、制御部10は、復号化部8およびスピーカアンプ9を起動し、メモリ7に記憶されている音声データのうち、特にフラグ付のインデックスが付いた音声データを再生させる(S504)。なお、制御部10は、音声データを再生させる際に録音中であるならば、録音したバッファメモリ
内の音声データをフラグ付のインデックスと共にメモリ7に記憶させると共に、符号化部6やマイクアンプ5を停止させた後(S505)、フラグ付のインデックスが付いた音声データを再生させる(S504)。一方、制御部10は、IG−SWが操作された際、再生中でなく且つ操作内容がIG−SWをオフからオンへ変更するものであれば(S502)、符号化部6やマイクアンプ5で音声を録音中であるか否かを判別する(S506)。そして、制御部10は、復号化部8およびスピーカアンプ9を起動し、メモリ7に記憶されている音声データのうち、特にフラグ無のインデックスが付いた音声データを再生させる(S507)。なお、制御部10は、音声データを再生させる際に録音中であるならば、録音したバッファメモリ内の音声データをフラグ無のインデックスと共にメモリ7に記憶させると共に、符号化部6やマイクアンプ5を停止させた後(S508)、フラグ無のインデックスが付いた音声データを再生させる(S507)。なお、制御部10は、IG−SWが操作された際、音声の再生中であれば、何ら制御を実行することなく、IG−SWの操作に対する処理を終了する。
【0023】
以上のように構成される音声記録再生装置1によれば、車両の運転中に録音された音声があれば、IGキースイッチをオフにした際、録音されていた音声が再生される。このため、ユーザは、運転中に思い付きで録音したことを忘れたまま車両を降りてしまうことが無くなる。また、上記音声記録再生装置1によれば、車両の停車中に録音された音声があれば、IGキースイッチをオンにした際、録音されていた音声が再生される。このため、ユーザは、停車中に録音したことを忘れたまま車両の運転を開始してしまうことが無くなる。すなわち、音声の再生が、乗員が車両を乗降する際に行うIGキースイッチの操作を契機に開始されるため、録音したことの気付き忘れを防止することができる。また、上記音声記録再生装置1によれば、操作ボタンがステアリング2に取り付けられているため、運転者にとって操作がしやすくなり、安全性が向上する。
【0024】
<処理例1> 上述した音声記録再生装置1によって実現される第一の処理例を説明する。図6は、車両に乗車したユーザが運転中に音声を録音し、そして再び降車する場合のタイミングチャートである。図6に示すように、車両に乗車したユーザがIG−SWをオンにすると、制御部10がIG−SW操作時の処理を開始し、フラグ無の音声データの再生処理が行われる(S507)。フラグ無の音声データがメモリ7に記憶されていなければ、音声記録再生装置1では何も実行されないまま、制御部10が一連の処理を終える。次に、ユーザが、車両の運転中にPB−1を押したとする。すると、制御部10がPB−1操作時の処理を開始し、音声記録再生装置1が録音を開始する(S103)。そして、PB−3が押されると、制御部10がPB−3操作時の処理を開始し、録音した音声の保存が行われる(S306)。ここで保存される音声は、IG−SWがオンの時に録音されたものであるため、フラグ付のインデックスと共にメモリ7へ保存される。目的地への到着によって運転を終えたユーザが降車するためにIG−SWをオフにすると、制御部10がIG−SW操作時の処理を開始する。そして、音声記録再生装置1は、運転中にメモリ7へ保存されたフラグ付の音声データの再生処理を開始する(S504)。これにより、ユーザは、降車する際、運転中に録音した音声の内容を聞き漏らすことがなくなる。
【0025】
<処理例2> 上述した音声記録再生装置1によって実現される第二の処理例を説明する。図7は、停車中に録音された音声を運転開始時に再生する場合のタイミングチャートである。図7に示すように、停車の車両に乗車したユーザがIG−SWをオフにしたままPB−1をオンにすると、制御部10がPB−1操作時の処理を開始し、音声記録再生装置1が録音を開始する(S103)。そして、PB−3が押されると、制御部10がPB−3操作時の処理を開始し、録音した音声の保存が行われる(S307)。ここで保存される音声は、IG−SWがオフの時に録音されたものであるため、フラグ無のインデックスと共にメモリ7へ保存される。そして、音声の録音を終えたユーザが降車し、再び乗車したとする。車両を運転する目的で乗車したユーザが、IG−SWをオンにしてエンジン
を始動すると、制御部10は、IG−SW操作時の処理を開始する。そして、音声記録再生装置1は、停車中にメモリ7へ保存されたフラグ無の音声データの再生処理を開始する(S507)。これにより、ユーザは、乗車した際、車両の停車中に録音した音声の内容を聞き漏らすことが無くなる。
【0026】
<変形例1> 以下、上記実施形態に係る音声記録再生装置1の変形例について説明する。上記音声記録再生装置1は、ステアリング2に内蔵されていたが、本発明はこのような実施形態に限定されるものではない。例えば、上記音声記録再生装置1は、図8に示すように、ステアリング2から着脱可能なようにしてもよい。この場合、音声記録再生装置1は、電池を内蔵しており、動作用の電源は着脱に応じて車両のバッテリと内蔵電池との間で適宜切り替わるようにする。また、音声記録再生装置1は、ステアリング2から着脱可能なようにするために、IG−SWのオンオフ状態を出力するステアリング2内の接点部分と接触する端子を設ける。
【0027】
<変形例2> 以下、上記実施形態や変形例1に係る音声記録再生装置1の更なる変形例について説明する。上記音声記録再生装置1は、ユーザの音声をマイク3で直接拾い、録音するものであったが、次のように変形することも可能である。例えば、上記音声記録再生装置1を携帯電話と接続し、通話中の音声を録音するようにする。この場合、音声記録再生装置1と携帯電話との接続は、ステアリング2内に挿通されている接続ケーブルを用いた有線接続によるものの他、近距離の通信に適した2.4GHz帯の周波数等を用いた無線接続によるものを適用することが可能である。受信に際しては、発信あるいは着信のあった携帯電話から送られる通話開始の信号を音声記録再生装置1が受けると、制御部10がPB−1操作時の処理フローを実行する。このとき、ステップS103の処理で蓄積される音声データは、携帯電話から音声記録再生装置1へ送られる通話先の音声である。そして、通話が終わった携帯電話から送られる通話終了の信号を音声記録再生装置1が受けると、制御部10がPB−3操作時の処理フローを実行する。これにより、メモリ7には通話先の音声が蓄積される。IG−SWがオンの時の通話であれば、フラグ付の音声データがメモリ7に記録され、IG−SWがオフの時の通話であれば、フラグ無の音声データがメモリ7に記録される。従って、携帯電話で通話した後にIG−SWを操作すれば、録音されていた音声が再生される。なお、本変形例2は、通話中の音声を音声記録再生装置1のメモリ7に記録し、再生していたが、このような態様に限定されるものではない。例えば、携帯電話で録音されたボイスメモを、IG−SWの操作をトリガに再生する構成としてもよい。この場合、上記音声記録再生装置1は音声を記録しないため、音声再生装置として捉えることもできる。この構成では、事前に録音されたボイスメモを、運転開始又は終了をトリガに再生することができるため、聞き逃すことが無い。例えば、家で家族が買ってきて欲しいものを携帯電話のボイスメモに録音し、IG−SW操作をトリガに再生することができる。
【0028】
<その他の変形例> 上記実施形態や変形例では、乗員の運転状態をIG−SWのオンオフでセンシングしていたが、このような態様に限定されるものではない。例えば、上記音声記録再生装置1は、IG−SWのオンオフに代わって、パーキングブレーキのオンオフや、車速パルスの有無、或いはドアの開閉操作によって乗員の運転状態をセンシングするようにしてもよい。また、上記音声記録再生装置1は、時計を内蔵しており、特定の日時に再生するように設定された音声データが記録されていたら、この日時に音声が再生されるようにすることで、該音声記録再生装置1にカレンダー機能を付加してもよい。
【符号の説明】
【0029】
1・・音声記録再生装置
2・・ステアリング
3・・マイク
4・・スピーカ
5・・マイクアンプ
6・・符号化部
7・・メモリ
8・・復号化部
9・・スピーカアンプ
10・・制御部
PB−1・・記録/音量切替ボタン
PB−2・・呼出/次呼出ボタン
PB−3・・停止/リセットボタン
PB−4・・消去ボタン
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載音声記録再生装置、及び車載音声再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理技術の発達に伴い、車両に搭載される電子機器も高度化の一途を辿っている。例えば、特許文献1には、駐車位置等の情報に関する音声を記録可能なワイヤレスキーの発明が開示されている。また、特許文献2には、スイッチ付きイヤホンマイクのボタンを操作することでボイスレコーダ機能を操作することのできる情報携帯端末の発明が開示されている。また、特許文献3には、自動車の走行中に録音した着信メッセージを、自動車が停止したら再生する車載用携帯電話システムの発明が開示されている。また、特許文献4には、ラジオ放送の録音中に車両のエンジンが停止したら、録音したデータを携帯用のオーディオ装置へ転送する車載用オーディオ装置の発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−315150号公報
【特許文献2】特開2006−74430号公報
【特許文献3】特開平11−4190号公報
【特許文献4】特開2007−96506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車を運転中のユーザは、自由な動きが制限される。このため、運転中に何かを思いついたとしても、これをただちにメモ等に残すことは難しい。そこで、視線を前方から逸らすことなく思いつきを残す手段として、思いつきを音声で残すものがある。しかし、運転中は主に運転操作の事を考えているため、思いつきを音声で残したことを失念してしまいやすい。また、運転中のユーザに対してメッセージを伝える場合も音声で伝えることが好ましいが、運転中のユーザは運転操作の事を考えているため、このようなメッセージが録音されていることを失念してしまいやすい。本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、記録した音声の存在を失念したまま運転および降車することを防ぐ車載音声記録再生装置、及び車載音声再生装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、乗員が運転を開始すると非運転中の音声を再生し、乗員が運転を終了すると運転中の音声を再生する。
【0006】
詳細には、車両に搭載する車載音声記録再生装置であって、音声を前記車両の運転者が運転中であるか否かの情報と共に記録する記録手段と、前記記録手段が記録した前記音声を再生する再生手段と、前記運転者が運転を開始すると、前記記録手段に記録されている音声のうち非運転中の音声を前記再生手段に再生させ、該運転者が運転を終了すると、該記録手段に記録されている音声のうち運転中の音声を該再生手段に再生させる制御手段と、を備える。
【0007】
ここで、上記記録手段が記録する音声は、車両の運転者の音声、運転者が携帯電話で通話している相手方の音声、車両の外部で記録した音声といった様々な音声を含む。車両の外部で音声を記録するような場合には、上記車載音声記録再生装置を可搬型とし、車内の部品のうち運転者の手が届きやすいステアリングや内装部品等に着脱自在にすることが好
ましい。上記車載音声記録再生装置の記録手段は、音声を記録する際の運転者の運転状態、すなわち、運転者が運転中であるか否かの情報を該音声と共に記録するものであるが、この運転状態は、例えば、車両を駆動する動力であるエンジンの動作状態、車両のドアの開閉状態、着座センサーの検知状態等に基づいて検知される。記録手段は、車両に備えられるこれらの機器類の動作状態を検知することで乗員が運転状態であるか否かの情報を取得する。なお、上記音声記録再生装置を可搬型とする場合、乗員の運転状態を検出するための計装は着脱可能な接点を介して構成されることが好ましい。
【0008】
上記のように構成される記録手段によって記録された音声は、乗員の運転状態に応じて再生手段を制御する制御手段によって再生が開始される。この制御手段は、乗員が運転を開始したら、運転者が非運転中である旨の情報と共に記録された音声を再生手段に再生させる。また、乗員が運転を終了したら、運転者が運転中である旨の情報と共に記録された音声を再生手段に再生させる。上記車載音声記録再生装置によれば、運転者の運転状態の変化を契機に音声が再生される。よって、音声を記録したことを失念したまま運転を開始し、或いは車両から降車してしまうことがなくなる。
【0009】
また、本発明は、車両に搭載する車載音声再生装置であって、音声を再生する再生手段を備え、音声を録音する録音部と、録音された音声を記憶する記憶部とを有する携帯端末からデータを受信し、イグニッション操作をトリガに、記憶部に記憶された音声を前記再生手段から出力することを特徴とするものであってもよい。
【発明の効果】
【0010】
記録した音声の存在を失念したまま運転および降車することを防ぐ車載音声記録再生装置、及び車載音声再生装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】音声記録再生装置を内蔵したステアリングの外観図。
【図2】音声記録再生装置の操作面を示す図。
【図3】音声記録再生装置の構成図。
【図4A】PB−1が押されたときに制御部が実行する処理のフロー図。
【図4B】PB−2が押されたときに制御部が実行する処理のフロー図。
【図4C】PB−3が押されたときに制御部が実行する処理のフロー図。
【図4D】PB−4が押されたときに制御部が実行する処理のフロー図。
【図4E】IG−SWが操作された時に制御部が実行する処理のフロー図。
【図5】メモリに記憶される音声データとインデックスのテーブルを示す図。
【図6】処理例1に係るタイミングチャートを示す図。
【図7】処理例2に係るタイミングチャートを示す図。
【図8】変形例1に係る音声記録再生装置を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態> 以下、本発明の実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る音声記録再生装置1を内蔵したステアリング2の外観図である。音声記録再生装置1は、図1に示すように、車両の運転席に設けられたステアリング2に内蔵されている。そして、運転者の操作性向上の観点から、音声記録再生装置1の操作スイッチやマイク、スピーカ類がステアリング2の表側に露出している。
【0013】
図2は、音声記録再生装置1の操作面を示す図である。音声記録再生装置1は、図2に示すように、記録/音量切替ボタン(以下、PB−1という)、呼出/次呼出ボタン(以下、PB−2という)、停止/リセットボタン(以下、PB−3という)、消去ボタン(以下、PB−4という)、マイク3、及びスピーカ4を備えており、これらがステアリン
グ2の表側に露出している。
【0014】
図3は、音声記録再生装置1の構成図である。音声記録再生装置1は、図3に示すように、マイク3が音声を電気信号に変換した音声信号を増幅するマイクアンプ5、マイクアンプ5が増幅した音声信号を音声データに符号化する符号化部6、符号化部6が符号化した音声データを記憶する不揮発性のメモリ7、メモリ7に記憶されている音声データを音声信号に復号化する復号化部8、復号化部8が復号化した音声信号を増幅し、スピーカ4に出力するスピーカアンプ9、及びこれらを制御する制御部10を備える。
【0015】
上記音声記録再生装置1では、記録/音量切替ボタンXがユーザに押されると、上記制御部10がマイクアンプ5や符号化部6を制御することにより、以下のような音声の記録処理が実現される。すなわち、記録/音量切替ボタンXがユーザに押されると、上記マイクアンプ5から出力された音声信号が、図示しないローパスフィルタにより不要な周波数帯域がカットされた後、符号化部6に入力される。そして、符号化部6に入力された音声信号が、A/D変換器によりデジタル信号に変換された後、このデジタル音声信号をフレーム単位で所定の符号化フォーマットの音声データに符号化(圧縮)され、メモリ7に記憶される。なお、符号化部6でデジタル信号に変換された音声信号は、図示しないバッファメモリを介してメモリ7に記憶される。また、メモリ7には、音声データと併せてインデックス情報も記憶される。インデックス情報とは、音声データのファイルの通し番号やフラグの有無を示す情報であり、音声データの呼び出しや再生制御に用いられる。
【0016】
また、上記音声記録再生装置1では、呼出/次呼出ボタンXがユーザに押されると、上記制御部10が復号化部8やスピーカアンプ9を制御することにより、以下のような音声の再生処理が実現される。すなわち、呼出/次呼出ボタンXがユーザに押されると、上記復号化部8がメモリ7の音声データを読み出して音声信号に復号化し、復号化部8が複合化した音声信号をスピーカアンプ9が増幅する。これにより、メモリ7に記憶されていた音声データが再生される。なお、上記制御部10は、車両のIGキー(イグニッションキー)スイッチ(以下、IG−SWという)と電気的に接続されており、IGキーの動きに連動して再生処理を行う。
【0017】
次に、上記音声記録再生装置1の動作について説明する。上記音声記録再生装置1には、PB−1〜4が設けられており、更に、IG−SWが接続されている。そこで、音声記録再生装置1の動作について、以下、操作されたボタンやスイッチ毎に説明する。
【0018】
<PB−1(記録/音量切替ボタン)操作時の処理フロー> PB−1が押されると、制御部10は、次のような処理を実行する。図4Aは、PB−1が押されたときに制御部10が実行する処理のフロー図である。制御部10は、PB−1が押されたら、復号化部8やスピーカアンプ9で音声データを再生中であるか否かを判別し(S101)、再生中でなければマイクアンプ5と符号化部6を起動する(S102)。これにより、マイク3で拾われた音声の電気信号が音声データとしてバッファメモリに蓄積される(S103)。なお、制御部10は、バッファメモリからオーバーフローした音声データを、メモリ7にも一時的に蓄積させる。一方、制御部10は、PB−1が押された際、復号化部8やスピーカアンプ9で音声データが再生されていた場合(S101)、再生音の音量が最大に設定されているか否かについて、スピーカアンプ9の設定を参照して確認する。制御部10は、再生音の音量が最大に設定されていなければ、スピーカアンプ9の増幅率を上げる(S105)。これにより、スピーカ4から出力される音量が増加する。一方、制御部10は、再生音の音量が最大に設定されていなければ、スピーカアンプ9の増幅率を最小にする(S106)。これにより、スピーカ4から出力される音量が最小になる。
【0019】
<PB−2(呼出/次呼出ボタン)操作時の処理フロー> PB−2が押されると、制
御部10は、次のような処理を実行する。図4Bは、PB−2が押されたときに制御部10が実行する処理のフロー図である。制御部10は、PB−2が押されたら、符号化部6やマイクアンプ5で音声を録音中であるか否かを判別し(S201)、更に、復号化部8やスピーカアンプ9で音声データを再生中であるか否かを判別する(S202)。制御部10は、録音中および再生中でなければ、復号化部8及びスピーカアンプ9を起動し、音声データの再生を開始させる(S203)また、制御部10は、PB−2が押された際、音声データの再生中であれば、復号化部8が参照するメモリ7内の音声データをスキップし、次のインデックスが付された音声データを再生させる(S204)。また、制御部10は、PB−2が押された際、音声を録音中であれば、何ら制御を実行することなく、PB−2の操作に対する処理を終了する。
【0020】
<PB−3(停止/リセットボタン)操作時の処理フロー> PB−3が押されると、制御部10は、次のような処理を実行する。図4Cは、PB−3が押されたときに制御部が実行する処理のフロー図である。制御部10は、PB−3が押されたら、符号化部6やマイクアンプ5で音声を録音中であるか否かを判別し(S301)、更に、復号化部8やスピーカアンプ9で音声データを再生中であるか否かを判別する(S302)。制御部10は、PB−3が押された際、録音中および再生中でなければ、メモリ7に記憶されている再生位置の情報や音量設定の情報をリセットする。また、制御部10は、PB−3が押された際、音声データの再生中であれば、復号化部8やスピーカアンプ9を停止すると共に、再生していた音声データの再生位置の情報をメモリ7に記憶させる。また、制御部10は、PB−3が押された際、音声の録音中であれば、IG−SWの状態を判別し(S305)、IG−SWがオンの状態であれば、録音したバッファメモリ内の音声データを、フラグ付のインデックスと共にメモリ7に記憶させると共に、符号化部6やマイクアンプ5を停止する(S306)。また、制御部10は、PB−3が押された際、IG−SWがオフの状態であれば、録音したバッファメモリ内の音声データを、フラグ無のインデックスと共にメモリ7に記憶させると共に、符号化部6やマイクアンプ5を停止する(S307)。図5に、メモリ7に記憶される音声データとインデックスのテーブルを示す。図5に示すように、メモリ7には、音声データが、通し番号やフラグの有無に関する情報と共に記憶される。
【0021】
<PB−4(消去ボタン)操作時の処理フロー> PB−4が押されると、制御部10は、次のような処理を実行する。図4Dは、PB−4が押されたときに制御部が実行する処理のフロー図である。制御部10は、PB−4が押されたら、符号化部6やマイクアンプ5で音声を録音中であるか否かを判別し(S401)、更に、復号化部8やスピーカアンプ9で音声データを再生中であるか否かを判別する(S402)。制御部10は、PB−4が押された際、録音中および再生中でなければ、メモリ7に記憶されている音声データを消去する(S403)。これにより、音声記録再生装置1に記録されていた音声データは消去される。また、制御部10は、PB−4が押された際、音声の録音中あるいは再生中であれば、何ら制御を実行することなく、PB−4の操作に対する処理を終了する。
【0022】
<IG−SW(イグニッションキー)操作時の処理フロー> IG−SWが操作されると、制御部10は、次のような処理を実行する。図4Eは、IG−SWが操作された時に制御部10が実行する処理のフロー図である。制御部10は、IG−SWが操作されたら、復号化部8やスピーカアンプ9で音声データを再生中であるか否か(S501)を判別する。そして、制御部10は、IG−SWが操作された際、再生中でなく且つ操作内容がIG−SWをオンからオフへ変更するものであれば(S502)、符号化部6やマイクアンプ5で音声を録音中であるか否かを判別する(S503)。そして、制御部10は、復号化部8およびスピーカアンプ9を起動し、メモリ7に記憶されている音声データのうち、特にフラグ付のインデックスが付いた音声データを再生させる(S504)。なお、制御部10は、音声データを再生させる際に録音中であるならば、録音したバッファメモリ
内の音声データをフラグ付のインデックスと共にメモリ7に記憶させると共に、符号化部6やマイクアンプ5を停止させた後(S505)、フラグ付のインデックスが付いた音声データを再生させる(S504)。一方、制御部10は、IG−SWが操作された際、再生中でなく且つ操作内容がIG−SWをオフからオンへ変更するものであれば(S502)、符号化部6やマイクアンプ5で音声を録音中であるか否かを判別する(S506)。そして、制御部10は、復号化部8およびスピーカアンプ9を起動し、メモリ7に記憶されている音声データのうち、特にフラグ無のインデックスが付いた音声データを再生させる(S507)。なお、制御部10は、音声データを再生させる際に録音中であるならば、録音したバッファメモリ内の音声データをフラグ無のインデックスと共にメモリ7に記憶させると共に、符号化部6やマイクアンプ5を停止させた後(S508)、フラグ無のインデックスが付いた音声データを再生させる(S507)。なお、制御部10は、IG−SWが操作された際、音声の再生中であれば、何ら制御を実行することなく、IG−SWの操作に対する処理を終了する。
【0023】
以上のように構成される音声記録再生装置1によれば、車両の運転中に録音された音声があれば、IGキースイッチをオフにした際、録音されていた音声が再生される。このため、ユーザは、運転中に思い付きで録音したことを忘れたまま車両を降りてしまうことが無くなる。また、上記音声記録再生装置1によれば、車両の停車中に録音された音声があれば、IGキースイッチをオンにした際、録音されていた音声が再生される。このため、ユーザは、停車中に録音したことを忘れたまま車両の運転を開始してしまうことが無くなる。すなわち、音声の再生が、乗員が車両を乗降する際に行うIGキースイッチの操作を契機に開始されるため、録音したことの気付き忘れを防止することができる。また、上記音声記録再生装置1によれば、操作ボタンがステアリング2に取り付けられているため、運転者にとって操作がしやすくなり、安全性が向上する。
【0024】
<処理例1> 上述した音声記録再生装置1によって実現される第一の処理例を説明する。図6は、車両に乗車したユーザが運転中に音声を録音し、そして再び降車する場合のタイミングチャートである。図6に示すように、車両に乗車したユーザがIG−SWをオンにすると、制御部10がIG−SW操作時の処理を開始し、フラグ無の音声データの再生処理が行われる(S507)。フラグ無の音声データがメモリ7に記憶されていなければ、音声記録再生装置1では何も実行されないまま、制御部10が一連の処理を終える。次に、ユーザが、車両の運転中にPB−1を押したとする。すると、制御部10がPB−1操作時の処理を開始し、音声記録再生装置1が録音を開始する(S103)。そして、PB−3が押されると、制御部10がPB−3操作時の処理を開始し、録音した音声の保存が行われる(S306)。ここで保存される音声は、IG−SWがオンの時に録音されたものであるため、フラグ付のインデックスと共にメモリ7へ保存される。目的地への到着によって運転を終えたユーザが降車するためにIG−SWをオフにすると、制御部10がIG−SW操作時の処理を開始する。そして、音声記録再生装置1は、運転中にメモリ7へ保存されたフラグ付の音声データの再生処理を開始する(S504)。これにより、ユーザは、降車する際、運転中に録音した音声の内容を聞き漏らすことがなくなる。
【0025】
<処理例2> 上述した音声記録再生装置1によって実現される第二の処理例を説明する。図7は、停車中に録音された音声を運転開始時に再生する場合のタイミングチャートである。図7に示すように、停車の車両に乗車したユーザがIG−SWをオフにしたままPB−1をオンにすると、制御部10がPB−1操作時の処理を開始し、音声記録再生装置1が録音を開始する(S103)。そして、PB−3が押されると、制御部10がPB−3操作時の処理を開始し、録音した音声の保存が行われる(S307)。ここで保存される音声は、IG−SWがオフの時に録音されたものであるため、フラグ無のインデックスと共にメモリ7へ保存される。そして、音声の録音を終えたユーザが降車し、再び乗車したとする。車両を運転する目的で乗車したユーザが、IG−SWをオンにしてエンジン
を始動すると、制御部10は、IG−SW操作時の処理を開始する。そして、音声記録再生装置1は、停車中にメモリ7へ保存されたフラグ無の音声データの再生処理を開始する(S507)。これにより、ユーザは、乗車した際、車両の停車中に録音した音声の内容を聞き漏らすことが無くなる。
【0026】
<変形例1> 以下、上記実施形態に係る音声記録再生装置1の変形例について説明する。上記音声記録再生装置1は、ステアリング2に内蔵されていたが、本発明はこのような実施形態に限定されるものではない。例えば、上記音声記録再生装置1は、図8に示すように、ステアリング2から着脱可能なようにしてもよい。この場合、音声記録再生装置1は、電池を内蔵しており、動作用の電源は着脱に応じて車両のバッテリと内蔵電池との間で適宜切り替わるようにする。また、音声記録再生装置1は、ステアリング2から着脱可能なようにするために、IG−SWのオンオフ状態を出力するステアリング2内の接点部分と接触する端子を設ける。
【0027】
<変形例2> 以下、上記実施形態や変形例1に係る音声記録再生装置1の更なる変形例について説明する。上記音声記録再生装置1は、ユーザの音声をマイク3で直接拾い、録音するものであったが、次のように変形することも可能である。例えば、上記音声記録再生装置1を携帯電話と接続し、通話中の音声を録音するようにする。この場合、音声記録再生装置1と携帯電話との接続は、ステアリング2内に挿通されている接続ケーブルを用いた有線接続によるものの他、近距離の通信に適した2.4GHz帯の周波数等を用いた無線接続によるものを適用することが可能である。受信に際しては、発信あるいは着信のあった携帯電話から送られる通話開始の信号を音声記録再生装置1が受けると、制御部10がPB−1操作時の処理フローを実行する。このとき、ステップS103の処理で蓄積される音声データは、携帯電話から音声記録再生装置1へ送られる通話先の音声である。そして、通話が終わった携帯電話から送られる通話終了の信号を音声記録再生装置1が受けると、制御部10がPB−3操作時の処理フローを実行する。これにより、メモリ7には通話先の音声が蓄積される。IG−SWがオンの時の通話であれば、フラグ付の音声データがメモリ7に記録され、IG−SWがオフの時の通話であれば、フラグ無の音声データがメモリ7に記録される。従って、携帯電話で通話した後にIG−SWを操作すれば、録音されていた音声が再生される。なお、本変形例2は、通話中の音声を音声記録再生装置1のメモリ7に記録し、再生していたが、このような態様に限定されるものではない。例えば、携帯電話で録音されたボイスメモを、IG−SWの操作をトリガに再生する構成としてもよい。この場合、上記音声記録再生装置1は音声を記録しないため、音声再生装置として捉えることもできる。この構成では、事前に録音されたボイスメモを、運転開始又は終了をトリガに再生することができるため、聞き逃すことが無い。例えば、家で家族が買ってきて欲しいものを携帯電話のボイスメモに録音し、IG−SW操作をトリガに再生することができる。
【0028】
<その他の変形例> 上記実施形態や変形例では、乗員の運転状態をIG−SWのオンオフでセンシングしていたが、このような態様に限定されるものではない。例えば、上記音声記録再生装置1は、IG−SWのオンオフに代わって、パーキングブレーキのオンオフや、車速パルスの有無、或いはドアの開閉操作によって乗員の運転状態をセンシングするようにしてもよい。また、上記音声記録再生装置1は、時計を内蔵しており、特定の日時に再生するように設定された音声データが記録されていたら、この日時に音声が再生されるようにすることで、該音声記録再生装置1にカレンダー機能を付加してもよい。
【符号の説明】
【0029】
1・・音声記録再生装置
2・・ステアリング
3・・マイク
4・・スピーカ
5・・マイクアンプ
6・・符号化部
7・・メモリ
8・・復号化部
9・・スピーカアンプ
10・・制御部
PB−1・・記録/音量切替ボタン
PB−2・・呼出/次呼出ボタン
PB−3・・停止/リセットボタン
PB−4・・消去ボタン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載する車載音声記録再生装置であって、
音声を前記車両の運転者が運転中であるか否かの情報と共に記録する記録手段と、
前記記録手段が記録した前記音声を再生する再生手段と、
前記運転者が運転を開始すると、前記記録手段に記録されている音声のうち非運転中の音声を前記再生手段に再生させ、該運転者が運転を終了すると、該記録手段に記録されている音声のうち運転中の音声を該再生手段に再生させる制御手段と、を備える、
車載音声記録再生装置。
【請求項2】
前記記録手段および前記制御手段は、前記運転者が運転中であるか否かを前記車両の動力の動作状態に基づいて検知する、
請求項1に記載の車載音声記録再生装置。
【請求項3】
前記車載音声記録再生装置は、前記車両のステアリングに対して着脱可能であり、
前記記録手段および前記制御手段は、前記ステアリングに設けられる接点を介して前記車両の動力の動作状態を検知する、
請求項2に記載の車載音声記録再生装置。
【請求項4】
前記記録手段は、携帯電話の通話の音声を記録する、
請求項1から3の何れか一項に記載の車載音声記録再生装置。
【請求項5】
車両に搭載する車載音声再生装置であって、
音声を再生する再生手段を備え、
音声を録音する録音部と、録音された音声を記憶する記憶部とを有する携帯端末からデータを受信し、イグニッション操作をトリガに、記憶部に記憶された音声を前記再生手段から出力することを特徴とする、
車載音声再生装置。
【請求項1】
車両に搭載する車載音声記録再生装置であって、
音声を前記車両の運転者が運転中であるか否かの情報と共に記録する記録手段と、
前記記録手段が記録した前記音声を再生する再生手段と、
前記運転者が運転を開始すると、前記記録手段に記録されている音声のうち非運転中の音声を前記再生手段に再生させ、該運転者が運転を終了すると、該記録手段に記録されている音声のうち運転中の音声を該再生手段に再生させる制御手段と、を備える、
車載音声記録再生装置。
【請求項2】
前記記録手段および前記制御手段は、前記運転者が運転中であるか否かを前記車両の動力の動作状態に基づいて検知する、
請求項1に記載の車載音声記録再生装置。
【請求項3】
前記車載音声記録再生装置は、前記車両のステアリングに対して着脱可能であり、
前記記録手段および前記制御手段は、前記ステアリングに設けられる接点を介して前記車両の動力の動作状態を検知する、
請求項2に記載の車載音声記録再生装置。
【請求項4】
前記記録手段は、携帯電話の通話の音声を記録する、
請求項1から3の何れか一項に記載の車載音声記録再生装置。
【請求項5】
車両に搭載する車載音声再生装置であって、
音声を再生する再生手段を備え、
音声を録音する録音部と、録音された音声を記憶する記憶部とを有する携帯端末からデータを受信し、イグニッション操作をトリガに、記憶部に記憶された音声を前記再生手段から出力することを特徴とする、
車載音声再生装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2010−244653(P2010−244653A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−94729(P2009−94729)
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(502087460)株式会社トヨタIT開発センター (232)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(502087460)株式会社トヨタIT開発センター (232)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]