車輌用フードパネル
【課題】車輌用フードパネルに要求される張り剛性、耐デント性、曲げ剛性及びねじり剛性を確保すると共に、歩行者保護性能を向上させた車輌用フードパネルを提供する。
【解決手段】車輌用フードパネルは、アウタパネルとインナパネル3とが互いに接合されたものである。インナパネル3には、その外周縁に沿ってフードパネルを車輌に取り付けるためのヒンジ及びクッション部材が固定される予定の外周座面31が設けられており、外周座面31に取り囲まれる領域には、アウタパネルにマスチック接合されるマスチック座面33が設けられており、マスチック座面33間に複数本のビード34が形成されている。マスチック座面33及び/又はビード34の少なくとも一部は、平面視で、ヒンジ又はクッション部材に向けて延びるように湾曲して設けられている。
【解決手段】車輌用フードパネルは、アウタパネルとインナパネル3とが互いに接合されたものである。インナパネル3には、その外周縁に沿ってフードパネルを車輌に取り付けるためのヒンジ及びクッション部材が固定される予定の外周座面31が設けられており、外周座面31に取り囲まれる領域には、アウタパネルにマスチック接合されるマスチック座面33が設けられており、マスチック座面33間に複数本のビード34が形成されている。マスチック座面33及び/又はビード34の少なくとも一部は、平面視で、ヒンジ又はクッション部材に向けて延びるように湾曲して設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輌用フードパネルに関し、特に、張り剛性、耐デント性、曲げ剛性及びねじり剛性等の基本性能を満足すると共に、衝突時の歩行者保護性能を向上させた車輌用フードパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
近時、自動車事故における歩行者保護が法規化され、レーティングの指標としても注目されている。一方で、エンジンの大型化による性能の向上等により、エンジンルーム内の部品は増加しており、歩行者保護に必要なフード下のスペースが小さくなっている。そのため、スポーティなデザインと歩行者の頭部保護とを両立するために、小さなスペースで効率よく衝突エネルギを吸収できるフード構造の開発が望まれている。
【0003】
歩行者衝突時における頭部の傷害値HICは、任意時間内に印加される平均加速度の2.5乗と発生時間との積の最大値として、下記数式1のように定義される。
【0004】
【数1】
【0005】
但し、aは頭部重心における3軸合成加速度(単位はG)、t1,t2は0<t1<t2となる時刻でHIC値が最大となる時間で、作用時間(t2−t1)は15msec以下と決められている。
【0006】
歩行者の頭部が自動車に衝突する際の加速度Gは、通常、頭部がフードパネルに衝突する1次衝突によって発生する加速度第1波と、その後、フードパネルがエンジンルーム内の部品に接触する2次衝突によって発生する加速度第2波とに大別される。フード下のスペースが小さい場合には、1次衝突よりも2次衝突により発生する衝突加速度の方が大きく、衝突の継続時間も長いため、加速度第1波よりも加速度第2波の方がHIC値に及ぼす悪影響が大きい。
【0007】
従って、限られたスペースで歩行者保護性能を確保するために、1次衝突におけるエネルギ吸収量を大きく確保すると共に、フードパネルの潰れ変形荷重を小さくして変形ストロークを大きく確保し、加速度第2波が小さくなるようなフード構造が望まれている。即ち、フードパネルの潰れ変形荷重を小さくすることにより、フードパネルの変形量が大きくなって潰れ残りが少なくなり、変形ストロークを大きくできる。
【0008】
一方、フードパネルは、張り剛性、耐デント性、曲げ剛性及びねじり剛性等、従来から求められている基本性能も満足する必要がある。張り剛性は、ワックスがけ時及びフードロック時等、フードパネルに対して押し込み荷重を印加する際に、フードパネルの弾性変形を抑制するために必要な物性であり、アウタパネルのヤング率及びアウタパネルとインナパネルとの接着位置により決定される。耐デント性は、飛石等が衝突した際にフードパネルに残留する塑性変形を抑制するために必要な物性であり、アウタパネルの耐力及び板厚により決定される。曲げ剛性は、フードロックによる車輌方向への引き込み力、並びにクッションゴム、ダンパーステイ及びシールゴム等による反力により発生するフードパネル外周部の弾性変形を抑制するために必要な物性であり、フードパネルの外周部におけるインナパネル及びレインフォースの形状から算出される断面二次モーメント及びヤング率(縦弾性係数)により決定される。ねじり剛性は、フードパネルの外周部における曲げ剛性並びにフード中央部におけるインナパネルの板厚及び形状により決定される。
【0009】
特許文献1には、インナパネルに複数本のビードを互いに平行に設けることにより、インナパネルの曲げ剛性を向上させ、歩行者の頭部が衝突した際のインナパネルの曲げ変形を抑制し、衝撃荷重をパネルに広く分散させる技術が提案されている。即ち、インナパネルにビードを設けることにより、歩行者の頭部が衝突した際に、パネルが変位する面積が増加して吸収できる衝撃荷重が増加し、ビードを設けない場合に比して、頭部衝突の際の加速度第1波を大きくでき、ハット型に形成されたビードは、内蔵部品との接触時に、容易に開き変形するため、加速度第2波を小さくすることもできる。本願発明者も、特許文献2において、上記観点から複数本のビードを互いに平行に設けたフードパネルを提案した。
【0010】
また、特許文献3乃至6には、ハット型のビードを車輌の前後方向に延びるように形成したインナパネルが開示されており、ビードの縦壁を段付き形状にしたり(特許文献3)、ビードの底面の深さを変更したり(特許文献4)、ビード間に切り欠きを設けた(特許文献5)インナパネルが開示されている。また、車輌に衝突する歩行者が子供である場合には、フードパネルの前方に衝突することが多く、衝突する歩行者が大人である場合には、フードパネルの後方に衝突することが多いことから、インナパネルに設けるハット型のビードを、車輌の前後方向で異なった形状にする技術が開示されている(特許文献6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2003−205866号公報
【特許文献2】特開2008−30574号公報
【特許文献3】特開2005−96512号公報
【特許文献4】特開2008−24185号公報
【特許文献5】特開2004−217008号公報
【特許文献6】特開2005−96608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記従来技術には、以下のような問題点がある。即ち、フードパネルは、張り剛性、耐デント性、曲げ剛性及びねじり剛性等の基本性能を確保しつつ、優れた歩行者保護性能を有することが望まれているが、上述の如く、大型化したエンジン等により、フード下のスペースの大きさは制限されるため、基本性能だけを満足するように、材質、板厚及び形状を設計したフードパネルにおいては、歩行者保護性能を確保できない場合が多い。特に、フードパネルの外周部は、曲げ剛性を大きくする必要があるため、インナパネル及びレインフォースの断面二次モーメントを大きくしなければならず、また、張り剛性も大きくする必要があるために、潰れ変形しにくく、2次衝突における加速度第2波の大きさを低減することが困難であるという問題点がある。
【0013】
フードパネルの構造により上記問題点を解決するためには、1次衝突におけるエネルギ吸収量を大きく確保して、2次衝突における衝撃荷重を低減する必要がある。これを実現するためには、例えば板厚を増加させることが考えられる。しかしながら、アウタパネルの板厚を大きくすると、ヘム加工時の割れを防止できなくなったり、パネル形状におけるRが大きくなって見栄えが悪化する等の問題点がある。一方、インナパネルの板厚を大きくすると、潰れ変形時の荷重が増大し、フードの内蔵物に衝突する2次衝突時の加速度第2波の大きさが増大して、HIC値が大きくなる(歩行者保護性能が低下する)虞がある。特に、フードパネルの外周部は、高い曲げ剛性が要求されるため、板厚を大きくしても断面の高さを小さくできず、HIC値が増大する。
【0014】
また、歩行者保護性能を向上させるためには、フードパネルの潰れ変形荷重を小さくしてストロークを大きく確保し、2次衝突時の加速度第2波の大きさを低減させる必要もある。これを実現するためには、上記特許文献1乃至6のように、例えばインナパネルの外周部の形状を潰れ変形しやすい形状にする、例えば、インナパネルの外周部に緩斜面を設けることが考えられる。しかしながら、フードパネルに所定の曲げ剛性を確保するためには、断面の大きさを小さくすることができず、アウタパネルとインナパネルとを接着している部位同士の間隔が広がり、張り剛性が低下するという問題点がある。
【0015】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであって、車輌用フードパネルに要求される張り剛性、耐デント性、曲げ剛性及びねじり剛性を確保すると共に、歩行者保護性能を向上させた車輌用フードパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る車輌用フードパネルは、アウタパネルとインナパネルとが互いに接合された車輌用フードパネルにおいて、前記インナパネルは、その外周縁に沿って設けられフードパネルを車輌に取り付けるためのヒンジ及びクッション部材が固定される予定の外周座面と、この外周座面に取り囲まれる領域に形成され前記アウタパネルにマスチック接合される第1のマスチック座面と、この第1のマスチック座面間に形成された断面凹形状の複数本のビードと、を有し、前記第1のマスチック座面及び/又は前記ビードの少なくとも一部は、平面視で、前記ヒンジ又はクッション部材に向けて延びるように湾曲して設けられていることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る車輌用フードパネルにおいて、例えば前記第1のマスチック座面は、車輌左右方向に並ぶように複数箇所に設けられている。又は、前記第1のマスチック座面は、車輌前後方向に並ぶように複数箇所に設けられている。この場合に、湾曲して設けられた第1のマスチック座面及び/又はビードは、例えば車輌用フードパネルにおける車輌の前後方向の中央よりも車輌前方又は車輌後方に設けられている。そして、前記インナパネルは、例えば、更に、前記第1のマスチック座面を取り囲むように設けられ前記第1のマスチック座面を連結する第2のマスチック座面を有する。又は、前記インナパネルは、例えば、更に、前記各ビードの端部にて前記ビードの底面から盛り上がって前記ビードの両側面間に架け渡されるように設けられ、前記ビードの底面からの高さが前記第1のマスチック座面よりも低い中間ビードを有する。
【0018】
また、前記インナパネルは、例えば、更に、前記複数本のビードを取り囲む前記外周座面の内縁に沿って設けられ前記外周座面から上方に段差状に形成された外周段差を有する。
【0019】
前記インナパネルは、例えば板厚が0.5乃至1.5mmのアルミニウム又はアルミニウム合金板又は板厚が0.4乃至1.0mmの鋼板から成形されたものである。また、例えば前記ビードの底面は、前記マスチック座面から5乃至30mm深い位置に設けられている。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る車輌用フードパネルは、インナパネルが、ヒンジ及びクッション部材が固定される予定の外周座面と、外周座面に取り囲まれる領域に形成されアウタパネルにマスチック接合される第1のマスチック座面と、第1のマスチック座面間に形成された断面凹形状の複数本のビードと、を有し、第1のマスチック座面及び/又はビードの少なくとも一部は、平面視で、ヒンジ又はクッション部材に向けて延びるように湾曲して設けられている。このように、第1のマスチック座面及び/又はビードの少なくとも一部が湾曲して設けられていることにより、歩行者の頭部がフードパネルに衝突する1次衝突の際には、インナパネルの剛性により、ビード同士が開き変形することが抑制され、加速度第1波のピーク値を大きくすることができる。
【0021】
また、第1のマスチック座面及び/又はビードがヒンジ又はクッション部材、即ち、衝撃荷重に対してパネルの変形及び振動等が小さい位置に向けて延びているため、1次衝突による加速度第1波後の変形加速度を大きいままに維持することができ、これにより、1次衝突におけるパネルによるエネルギ吸収量を大きくすることができる。よって、2次衝突における荷重を低減でき、歩行者保護性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態に係る車輌用フードパネルを示す平面図である。
【図2】(a)は図1におけるA−A断面図、(b)は同じくB−B断面図、(c)は図1のインナパネルを示す一部斜視図である。
【図3】本発明に係る車輌用フードパネルにおいて、歩行者衝突時の変形加速度とストロークとの関係を示す図である。
【図4】本発明に係る車輌用フードパネルにおいて、歩行者衝突時の変形加速度と時間との関係を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る車輌用フードパネルを示す平面図である。
【図6】(a)は図5におけるA−A断面図、(b)は同じくB−B断面図、(c)は図5のインナパネルを示す一部斜視図である。
【図7】(a)は、本発明の第3実施形態に係る車輌用フードパネルを示す平面図、(b)は図7(a)におけるA−A断面図、(c)は同じくB−B断面図である。
【図8】(a)は、本発明の第4実施形態に係る車輌用フードパネルを示す平面図、(b)は図8(a)におけるA−A断面図、(c)は同じくB−B断面図である。
【図9】本発明の第5実施形態に係る車輌用フードパネルを示す平面図である。
【図10】本発明の第6実施形態に係る車輌用フードパネルを示す平面図である。
【図11】本発明の第7実施形態に係る車輌用フードパネルを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本願発明者等は、車輌用フードパネルに要求される張り剛性、耐デント性、曲げ剛性及びねじり剛性等の特性を確保しつつ、歩行者保護性能を向上させるために、鋭意実験検討を行った。そして、インナパネルのマスチック座面及び/又はビードの少なくとも一部を湾曲して設けることにより、歩行者の頭部がフードパネルに衝突する1次衝突の際には、インナパネルの剛性により、ビード同士が開き変形することが抑制され、エネルギ吸収量を増大させることができることを知見した。
【0024】
また、本願発明者等は、湾曲するように設けるマスチック座面及び/又はビードを、ヒンジ又はクッション部材に向けて延びるように設ければ、特に、その先端部において衝撃荷重に対する変形及び振動等を低減でき、これにより、加速度第1波の大きさが大きくなって1次衝突におけるエネルギ吸収量を大きく確保することができ、2次衝突における荷重が低減され、歩行者保護性能を向上させることができることを知見した。
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。先ず、本発明の第1実施形態に係る車輌用フードパネルの構成について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る車輌用フードパネルを示す平面図、図2(a)は、図1におけるA−A断面図、図2(b)は同じくB−B断面図、図2(c)は図1のインナパネルを示す一部斜視図である。図1に示すように、本実施形態に係る車輌用フードパネル1は、インナパネル3及びアウタパネル2を有しており、例えばインナパネル3の外縁部は、アウタパネル2の外縁部にヘム加工により接合されている。
【0026】
インナパネル3及びアウタパネル2は、例えば鉄、アルミニウム又はアルミニウム合金等の金属板から成形されたものである。インナパネル3は、アルミニウム又はアルミニウム合金板から成形されている場合には、その板厚は例えば0.5乃至1.5mmであり、鋼板から成形されている場合には、その板厚は例えば0.4乃至1.0mmである。インナパネル3の板厚がこの下限値を下回ると、プレス成形性が低下しやすくなり、上限値を超えると、1次衝突におけるHIC値が1000を超えやすくなる。なお、インナパネル3が鉄、アルミニウム及びアルミニウム合金以外の金属板から成形されている場合においては、上記板厚の上限値は、素材の比重に反比例する。
【0027】
アウタパネル2は、パネルへの成形性及び成形されるパネル形状により、適宜好適な金属板が選択されて使用される。アウタパネル2がアルミニウム又はアルミニウム合金板から成形される場合には、板厚が0.5mm未満であると、パネルの張り剛性及び耐デント性等の性能が十分に得にくくなり、アウタパネル2の板厚が1.5mmを超えると、フードパネルの重量の増加が大きくなり、また、ヘム加工時に割れが発生しやすくなるため、その板厚は0.5乃至1.5mmであることが好ましい。アウタパネル2が鋼板から成形される場合には、その板厚は0.4乃至1.0mmであることが好ましい。アウタパネル2がその他の金属板により成形される場合には、比重に反比例させた板厚のものが使用されることが好ましい。
【0028】
インナパネル3には、アウタパネル2にヘム加工により接合される外周縁に沿って、フードパネルを車輌に取り付けるためのヒンジ及びクッション部材が固定される予定の外周座面31が設けられている。そして、外周座面31に取り囲まれる領域には、アウタパネル2にマスチック接合されるマスチック座面33が形成されている。そして、マスチック座面33間には、断面凹形状のビード34が形成されている。本実施形態においては、インナパネル3には、ビード34を取り囲む外周座面31の内縁に沿って、外周座面から上方に段差状に外周段差32が形成されている。
【0029】
本実施形態においては、マスチック座面33は、車輌左右方向に並ぶように複数箇所に設けられており、マスチック座面33間に形成されたビード34も車輌左右方向に並ぶように形成されている。図2(a)及び図2(b)に示すように、マスチック座面33とアウタパネル2との間には、例えばエポキシ樹脂又は変性シリコーン樹脂等からなるマスチック接着剤4が塗布されて、マスチック座面33とアウタパネル2とが接合されている。
【0030】
本実施形態のフードパネル1においては、外周座面31には、例えばフードパネル1を車輌本体に連結するためのヒンジが固定されるヒンジ用座面31a、フードパネル1の車輌本体への干渉を防止したり、振動を防止するクッションゴム等のクッション部材が固定されるクッション部材用座面31bが設けられており、フードパネルを閉じた状態に保持するためのフードロック部材が固定されるフードロック座面31cも設けられている。
【0031】
図1及び図2に示すように、本実施形態においては、マスチック座面33は、アウタパネル2にマスチック接合される第1のマスチック座面は、車輌左右方向に並ぶように複数箇所(部分33a乃至33d)に設けられている。即ち、第1のマスチック座面は、車輌左右方向における段差部32の両端部付近に夫々設けられた略環状の部分33aと、環状部分33aよりも車輌左右方向における中央寄りに設けられ車輌後方側の端部がヒンジ用座面31aに向けて延びるように、平面視で、略くの字状に湾曲して設けられた部分33bと、部分33bよりも車輌左右方向における中央寄りに設けられ車輌前方側の端部がクッション部材用座面31bに向けて延びるように、平面視で、略くの字状に湾曲して設けられた部分33cと、車輌左右方向における中央付近にて車輌前方及び後方に夫々設けられた略環状の部分同士が車輌前後方向に接続された部分33dと、が設けられており、部分33dの車輌前方には、フードロック座面31cが位置している。即ち、本実施形態においては、複数本の各ビード34は、車輌の前後方向に延び、車輌前後方向におけるフードパネル1の中央付近において湾曲するように形成されている。
【0032】
湾曲したビード34は、その底面における内側(突出した側の反対側)の縁部の曲率半径が例えば50乃至10000mmである。例えば、第1のマスチック座面の部分33aと部分33bとの間に設けられたビード34は、その底面における部分33a側の縁部の曲率半径が500mmである。ビード34の底面における内側の縁部の曲率半径が50mm未満であると、フードパネルがエンジンルームの内蔵物に衝突する2次衝突の際に、潰れ変形しにくくなり、10000mmを超えると、各ビード34が平面視で直線状に近くなり、本発明の効果を得にくくなる。
【0033】
フード下部の限られたスペースのみで歩行者保護性能を向上させたフードパネルを実現するためには、上記の如く、1次衝突における衝突エネルギの吸収量を大きく確保することが重要である。この1次衝突における加速度第1波は、歩行者の頭部とフードとの間の相対的速度差により発生する慣性力が支配的である。本実施形態においては、ビード34は、図2(b)にビード深さhとして示すように、その底面がマスチック座面33から5乃至30mm深い位置に設けられていることが好ましい。即ち、ビード深さhが浅くなりすぎると、凹形状のビード34を設けたことによるインナパネル3の剛性の向上効果が小さく、歩行者衝突時において、衝突部近傍のビードのみが変形して加速度第1波のピーク値が小さくなる。よって、加速度第1波の慣性力によりビード34の全体に衝突時の応力を伝播させることが難しくなる。これにより、衝突初期における衝突エネルギの吸収量が不足し、加速度第2波のピーク値が高くなり、HIC値が高くなる(歩行者保護性能が低下する)。逆に、ビード深さhが深くなりすぎると、フードの内蔵物への衝突までの時間が長くなり、衝突初期における衝突エネルギの吸収を十分に得られないまま2次衝突が発生し、やはり、加速度第2波のピーク値が高くなり、HIC値が高くなる(歩行者保護性能が低下する)。
【0034】
次に、本実施形態の車輌用フードパネルの動作について説明する。歩行者がフードパネル1に衝突すると、その衝撃は、先ず、アウタパネル2に伝播し、衝突部付近において、アウタパネル2が変形する。そして、この変形応力が、マスチック座面33を介して、衝突部付近のインナパネル3に伝播する。ビード34が1方向に延びるように直線状に形成されている場合においては、ビード側部の縦壁は、平面により構成され、上方から変形応力が印加された際に、縦壁を傾斜させるだけで、ビード34は容易に開き変形する。しかし、本実施形態においては、車輌の左右方向に並ぶように形成されたビード34は、大凡車輌前後方向に延びるように形成されているが、車輌前後方向におけるインナパネル3の中央付近において湾曲するように形成されており、ビード側部の縦壁は、平面ではなく、曲面により構成されている。また、この湾曲した縦壁は、車輌左右方向に延出した成分を有することから、補強リブとして作用する。よって、上方から変形応力が印加された場合には、側壁の傾斜が変化しにくくなり、インナパネル3の剛性が高く、ビード34の開き変形が抑制される。また、ビード34に印加された変形応力は、例えばビード34の側壁及び底面を介して、ビード34が延びる方向に伝播させることができる。そして、本実施形態においては、ビード34が湾曲するように設けられているため、衝突により印加された変形応力は、ビード34の側壁を介して、車輌左右方向にも伝播させることができる。
【0035】
図3は、本第1実施形態に係る車輌用フードパネルにおいて、歩行者衝突時の変形加速度とストロークとの関係を示す図、図4は、歩行者衝突時の変形加速度と時間との関係を示す図である。なお、図3及び図4においては、従来のフードパネルにおける波形を破線にて示してある。本実施形態のフードパネル3は、上方からの変形応力に対するインナパネル3の剛性が極めて高いため、図3及び図4に実線で示すように、歩行者衝突時の加速度第1波のピーク値を大きくできる。歩行者衝突時においては、1次衝突及び2次衝突のいずれにおいても、衝突加速度のピーク値を小さくすることが理想的である。即ち、図3及び図4に示す相関図において、変形ストロークと衝突加速度との関係及び時間と衝突加速度との関係を矩形波に近づけることにより、加速度第1波のピーク値を小さくし、瞬間的な衝突加速度の増加による歩行者の頭部損傷を防止し、また、加速度第1波後に、変形加速度又は変形荷重の急激な低下を防止できることにより、小ストロークで衝突エネルギを安定的に吸収することができる。
【0036】
1次衝突によりフードパネル1の変形が進行すると、インナパネル3の変形加速度は衝突時をピークとして急激に低下し、パネルによるエネルギ吸収量も低下していく。従来のフードパネルにおいては、図3に破線で示すように、加速度第1波のピーク値が小さく、1次衝突後の変形加速度の低下が極めて大きいため、2次衝突までのストロークが長くなり、2次衝突時の加速度第2波のピーク値が極めて大きくなる。また、図4に示すように、2次衝突が収束するまでの時間が長くなり、HIC値が大きくなるという問題点がある。
【0037】
しかし、本実施形態においては、マスチック座面33は、アウタパネル2にマスチック接合される第1のマスチック座面が車輌の左右方向に並ぶように複数箇所(部分33a乃至33d)に設けられており、マスチック座面及び/又はビードの少なくとも一部は、平面視で、ヒンジ又はクッション部材に向けて延びるように形成されている。即ち、マスチック座面33は、部分33bの車輌後方側の端部がヒンジ用座面31aに向けて延び、部分33cの車輌前方側の端部がクッション部材用座面31bに向けて延びている。そして、マスチック座面33の部分33aと部分33bとの間に形成されたビード34も、その車輌後方側がヒンジ用座面31aに延びるように形成されている。これらのヒンジ用座面31a、及びクッション部材用座面31bは、フードパネル1を車輌に取り付ける際に、ヒンジ又はクッションゴムが固定される予定の部分であり、車輌の走行時には、振動等が小さい極めて安定的な部分である。そして、この部分は、歩行者が衝突した際においても、衝撃荷重に対するパネルの変形及び振動等が極めて小さい。よって、図3に実線で示すように、1次衝突による加速度第1波後の変形加速度を大きいままに維持することができ、フードパネルによるエネルギ吸収量を大きくすることができる。よって、2次衝突までのストロークも短くなり、2次衝突時の加速度第2波のピーク値も低減することができる。また、1次衝突時に衝突エネルギを十分に吸収できるため、図4に実線で示すように、2次衝突が収束するまでの時間も短くなり、HIC値を低減できる。よって、本実施形態のフードパネルは歩行者保護性能が極めて高い。
【0038】
なお、本実施形態においては、マスチック座面33及び/又は各ビード34の少なくとも一部が、平面視で、ヒンジ又はクッション部材に向けて延びるように形成されていれば、上記効果を得られるが、更なる歩行者保護性能の向上を目的として、例えば、インナパネル3の形状を以下のように変更することができる。即ち、インナパネル3の板厚を車輌前方側では薄くし、車輌後方側では厚くして、車輌前方側におけるパネルの変形荷重を小さく(変形しやすく)し、車輌後方側で衝突時のエネルギの吸収量を大きく確保することにより、フードパネル1における衝突領域を分け、車輌に衝突する歩行者が子供である場合と大人である場合とにより、衝突エネルギの吸収態様を最適化することができる。
【0039】
また、本実施形態においては、フードロック座面31cは、フードパネルの前端部における車輌左右方向の中央の1箇所だけに設けられているが、車種によっては、フードパネル3の前端部の2箇所に、フードロックが設けられる場合があり、図1に示す車輌前方側の2個のクッション部材用座面31bに代えて、フードロック座面31cが設けられる。この場合においても、各ビード34及び/又は第1のマスチック座面33の車輌後方側の端部は、ヒンジ用座面31aに向けて延びているため、上記本発明の効果を得ることができる。
【0040】
更に、車輌に衝突する歩行者によりフードパネル1における衝突領域を分ける場合には、ビード34の形状を変更することもできる。例えば、ビード34の幅を車輌前方側では狭くし、車輌後方側では広くすることができる。又はビード34の深さを車輌前方側では低く、車輌後方側では高くすることができる。又は、ビード34の縦壁と底面との境界、及びビード34の縦壁とマスチック座面33との境界に設けるRを車輌前方側では大きくして2次衝突時に変形しやすくし、車輌後方側では小さくして剛性を高め、2次衝突時のエネルギ吸収量を大きくすることができる。更に、ビード34の縦壁が底面に対して傾斜する角度を車輌前方側では小さくし、車輌後方側では大きくすることができる。更にまた、複数の領域に設けるマスチック座面31間の距離を車輌の前方側では小さくすることにより、張り剛性及び耐デント性が要求される車輌前方側において、フードパネルの張り剛性及び耐デント性が向上する。
【0041】
また、本実施形態のフードパネル1においては、例えばビード34の側壁におけるマスチック座面33との境界の近傍に小さなビード又は凹凸形状を設けることができる。これにより、歩行者の頭部が衝突した際のパネルの局所的な変形が抑制される。
【0042】
更に、ビード34は、その側壁部分を段差状に設けることができる。これにより、フードパネル1がフードの内蔵物と衝突した際には、段差部分が初期不整として作用し、ビード34の潰れ変形が助長される。更にまた、ビード34に切り欠き又はスリットを設けることにより、2次衝突時の変形荷重を小さくし、有効ストロークを増大させてもよい。
【0043】
また、歩行者衝突時に限らず、例えば車輌同士が前面衝突した際に、フードパネルの折れ変形が発生しやすくなるように、図1に二点鎖線で示すように、インナパネル3にクラッシュビード35を設けてもよい。クラッシュビード35が車輌左右方向に延びるように設けられていることにより、車輌同士が前面衝突した際には、クラッシュビード35を起点としてフードパネル1が側面視で略くの字状に折れ変形しやすくなり、車輌内へのパネル等の進入を防止できる。なお、クラッシュビード35に代えて穴を設け、車輌同士の前面衝突時における折れ変形を誘導してもよい。
【0044】
そして、フードパネル1は、車輌としてのデザイン性及び機能性を考慮して変形することもできる。例えば、ビード34の幅又は高さを、アウタパネル2の外形又はデザイン性を考慮した段差に合わせて変化させたり、ビード34を分岐させることができる。又は、フードパネル1の軽量化又は電着塗装時の液抜きを目的として、インナパネル3に孔を設けたり、フードサイレンサ、ウォッシャーホース及びクッションゴム等の部品を取り付ける孔を設けることができる。
【0045】
次に本発明の第2実施形態に係る車輌用フードパネルについて説明する。図5は、本発明の第2実施形態に係る車輌用フードパネルを示す平面図、図6(a)は図5におけるA−A断面図、図6(b)は同じくB−B断面図、図6(c)は図5のインナパネルを示す一部斜視図である。図5及び図6に示すように、本実施形態においては、マスチック座面33は、平面視で、車輌の左右方向に並ぶように複数箇所に設けられた部分33e乃至33hにより構成された第1のマスチック座面331の端部が、これを取り囲むように設けられた第2のマスチック座面332により相互に連結されている。その他の構成については、第1実施形態と同様である。
【0046】
本実施形態においては、第2のマスチック座面332により第1のマスチック座面331の端部が連結されているため、図5及び図6(c)に示すように、第1のマスチック座面331の各部分33e乃至33h間に形成されたビード34の端部には、第2のマスチック座面332の側壁が形成されている。よって、1次衝突時にビード34に沿って伝播した変形応力は、第2のマスチック座面332の側壁を介して、第2のマスチック座面332に伝播し、更に、第2のマスチック座面332に沿って車輌左右方向に伝播する。よって、本実施形態においては、1次衝突における加速度第1波のピーク値を第1実施形態の場合よりも大きくでき、1次衝突時の衝突エネルギの吸収量を増大させることができる。よって、2次衝突までのストロークも第1実施形態に比して短くなり、2次衝突時の加速度第2波のピーク値も低減することができる。そして、2次衝突が収束するまでの時間も短くなり、HIC値を第1実施形態に比して、更に効果的に低減できる。
【0047】
なお、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、インナパネル3には、種々の変形を施すことができる。
【0048】
次に、本発明の第3実施形態に係るフードパネルについて説明する。図7(a)は、本発明の第3実施形態に係る車輌用フードパネルを示す平面図、図7(b)は図7(a)におけるA−A断面図、図7(c)は同じくB−B断面図である。本実施形態においては、図7に示すように、アウタパネル2にマスチック接合される第1のマスチック座面が複数箇所に設けられている点については第1実施形態と同様である。本実施形態が第1実施形態と異なるのは、これらの複数箇所に設けられた第1のマスチック座面(部分33i乃至33n)が車輌前後方向に並ぶように設けられている点にある。即ち、本実施形態においては、図7に示すように、第1のマスチック座面は、車輌前後方向における段差部32の両端部付近に夫々設けられた略環状の部分33iと、環状部分33iよりも車輌後方に設けられその両端部がクッション部材用座面31bに向けて延びるように、平面視で、車輌後方側に凸となるように略くの字状に湾曲して設けられた部分33jと、部分33jよりも車輌後方に設けられ車輌後方側に凸となるように湾曲した部分と車輌前方側に凸となるように湾曲した部分とが互いにその中央で連結された部分33kと、車輌左右方向における部分33kの隙間に夫々設けられた略環状の部分33lと、部分33よりも車輌後方に設けられ車輌前方に凸となるように湾曲した部分33mと、部分33mの湾曲部分間に設けられた略環状の部分33nと、により構成されている。そして、部分33kは、車輌後方側に凸となるように湾曲して設けられた部分の両端が、夫々クッション部材用座面31bに向けて延びるように設けられており、車輌前方側に凸となるように湾曲して設けられた部分の両端は、ヒンジ用座面31aに向けて延びるように設けられている。また、部分33kと部分33mとの間に形成されたビード34もヒンジ用座面31aに向けて延びている。即ち、本実施形態においては、複数本の各ビード34は、車輌の左右方向に延び、車輌左右方向におけるフードパネル1の中央付近において湾曲するように形成されている。
【0049】
よって、本実施形態においても、ビード側部の縦壁は、平面ではなく、曲面により構成されており、ビード34の車輌左右方向における中央部付近の湾曲した部分は、車輌の前後方向に延出した成分を有することから、補強リブとして作用し、歩行者が衝突した際には、ビード34の開き変形が生じにくくなり、また、インナパネル3に印加される応力を、ビード34に沿って車輌左右方向に伝播させると共に、車輌前方側及び後方側の縦壁にも伝播させることができる。
【0050】
本実施形態においては、ビード34は、例えば平面視における上端縁及び/又は下端縁の曲率半径が、車輌左右方向における中央部よりも端部の方が大きいことが好ましい。これにより、フードパネルにおける歩行者保護性能が車輌の左右方向に不均一になることを防止することができる。
【0051】
次に、本実施形態に係る車輌用フードパネルの動作について説明する。歩行者がフードパネル1に衝突すると、その衝撃は、先ず、アウタパネル2に伝播し、衝突部付近において、アウタパネル2が変形する。そして、この変形応力が、マスチック座面33を介して、衝突部付近のインナパネル3に伝播する。本実施形態においては、ビード34は、車輌の左右方向に延びるように設けられている。よって、歩行者が衝突した際には、インナパネル3に印加される応力は、ビード34を介して車輌左右方向に伝播する。本実施形態においても、車輌の前後方向に並ぶように形成されたビード34は、大凡車輌左右方向に延びるように形成されているが、車輌左右方向における中央付近において湾曲するように形成されており、ビード側部の縦壁は、曲面により構成されている。よって、上方から変形応力が印加された場合には、側壁の傾斜が変化しにくくなり、インナパネル3の剛性が高く、ビード34の開き変形が抑制される。また、ビード34に印加された変形応力は、例えばビード34の側壁及び底面を介して、ビード34が延びる方向に伝播し、ビード34の側壁を介して、車輌前後方向にも伝播させることができる。このように、ビード34の前方側及び後方側の縦壁を介して歩行者衝突時の変形応力を車輌前後方向に伝播させることにより、変形応力は車輌の左右方向に均一に分散され、フードパネルにおける歩行者保護性能が車輌の左右方向に不均一になることを防止することもできる。
【0052】
1次衝突によりフードパネル1の変形が進行すると、インナパネル3の変形加速度は衝突時をピークとして急激に低下し、パネルによるエネルギ吸収量も低下していく。従来のフードパネルにおいては、加速度第1波のピーク値が小さく、1次衝突後の変形加速度の低下が極めて大きいため、2次衝突までのストロークが長くなり、2次衝突時の加速度第2波のピーク値が極めて大きくなる。また、2次衝突が収束するまでの時間が長くなり、HIC値が大きくなるという問題点があるが、本実施形態においては、マスチック座面33は、アウタパネル2にマスチック接合される第1のマスチック座面が車輌の前後方向に並ぶように複数箇所(部分33i乃至33n)に設けられており、マスチック座面及び/又はビードの少なくとも一部は、平面視で、ヒンジ又はクッション部材に向けて延びるように形成されている。即ち、マスチック座面33は、部分33jの両端部がクッション部材用座面31bに向けて延び、部分33kは、車輌後方側に凸となるように湾曲して設けられた部分の両端が、夫々クッション部材用座面31bに向けて延びるように設けられており、車輌前方側に凸となるように湾曲して設けられた部分の両端は、ヒンジ用座面31aに向けて延びるように設けられている。そして、部分33kと部分33mとの間に形成されたビード34もヒンジ用座面31aに向けて延びている。これらのヒンジ用座面31a及びクッション部材用座面31bは、フードパネル1を車輌に取り付ける際に、ヒンジ又はクッションゴムが固定される予定の部分であり、車輌の走行時には、振動等が小さい極めて安定的な部分である。そして、この部分は、歩行者が衝突した際においても、衝撃荷重に対するパネルの変形及び振動等が極めて小さい。よって、第1実施形態と同様に、変形ストロークと衝突加速度との関係及び時間と衝突加速度との関係は、図3及び図4に実線で示すように矩形波に近づく。即ち、本実施形態においても、1次衝突による加速度第1波後の変形加速度を大きいままに維持することができ、フードパネルによるエネルギ吸収量を大きくすることができる。よって、2次衝突までのストロークも短くなり、2次衝突時の加速度第2波のピーク値も低減することができる。また、1次衝突時に衝突エネルギを十分に吸収できるため、2次衝突が収束するまでの時間も短くなり、HIC値を低減できる。よって、本実施形態のフードパネルも歩行者保護性能が極めて高い。
【0053】
また、本実施形態においては、ビード34は、大凡車輌左右方向に延びるように設けられているため、歩行者衝突時の上記効果に加えて、車輌同士の前面衝突の際には、フードパネル1が側面視でくの字状に折れ変形しやすくなる。よって、この場合においても、衝撃エネルギの吸収を効率よく行うことができ、車内へのパネル等の進入も効果的に防止できる。
【0054】
なお、本実施形態においては、図7に示すように、アウタパネル2にマスチック接合される第1のマスチック座面は、全てが湾曲するように設けられているが、例えばフードパネル1における車輌の前後方向の中央よりも車輌前方又は車輌後方に設けられたマスチック座面のみが湾曲するように設けられていてもよい。
【0055】
また、本実施形態においても、第1及び第2実施形態と同様に、インナパネル3には、種々の変形を施すことができる。
【0056】
次に、本発明の第4実施形態に係るフードパネルについて説明する。図8(a)は、本発明の第4実施形態に係る車輌用フードパネルを示す平面図、図8(b)は図8(a)におけるA−A断面図、図8(c)は同じくB−B断面図である。本実施形態においては、図8に示すように、マスチック座面33は、平面視で、車輌の前後方向に並ぶように複数箇所に設けられた第1のマスチック座面(部分33o乃至33t)の端部が、これを取り囲むように設けられた第2のマスチック座面333により相互に連結されている。その他の構成については、第3実施形態と同様である。
【0057】
本実施形態においても、第2実施形態と同様に、第2のマスチック座面333により第1のマスチック座面の端部が連結されているため、図8に示すように、第1のマスチック座面の各部分33o乃至33t間に形成されたビード34の端部には、第2のマスチック座面333の側壁が形成されている。よって、1次衝突時にビード34に沿って伝播した変形応力は、第2のマスチック座面333の側壁を介して、第2のマスチック座面333に伝播し、更に、第2のマスチック座面333に沿って車輌前後方向に伝播する。よって、本実施形態においては、1次衝突における加速度第1波のピーク値を第3実施形態の場合よりも大きくでき、1次衝突時の衝突エネルギの吸収量を増大させることができる。よって、2次衝突までのストロークも第3実施形態に比して短くなり、2次衝突時の加速度第2波のピーク値も低減することができる。そして、2次衝突が収束するまでの時間も短くなり、HIC値を第3実施形態に比して、更に効果的に低減できる。
【0058】
なお、本実施形態においても、第1乃至第3実施形態と同様に、インナパネル3には、種々の変形を施すことができる。
【0059】
次に、本発明の第5実施形態に係る車輌用フードパネルについて説明する。図9は、本発明の第5実施形態に係る車輌用フードパネルを示す平面図である。本実施形態においては、第1実施形態に係るインナパネル3において、図9に示すように、ビード34の端部には、ビード34の底面から盛り上がって各ビード34の両側面に架け渡されるように中間ビード36が設けられている。この中間ビード36はビード34の底面からの高さが第1のマスチック座面33よりも低く、よって、中間ビード36の上面はアウタパネル2にマスチック接合されない。
【0060】
本実施形態においては、車輌の左右方向に並ぶ第1のマスチック座面331間に設けられた複数本のビード34は、夫々、その端部にて、ビード34の底面から盛り上がって設けられた中間ビード36により両側面が接続されている。即ち、ビード34の端部には、中間ビード36の側壁が設けられているため、第2実施形態と同様に、1次衝突時にビード34に沿って伝播した変形応力は、中間ビード36の側壁を介して中間ビード36に伝播し、更に中間ビード36に沿って車輌左右方向に伝播する。本実施形態においては、第2のマスチック座面332を設け、これをインナパネル2にマスチック接合した第2実施形態と比較した場合に、中間ビード36は第2のマスチック座面332よりもビード底面からの高さが低く、また、マスチック接合もされないため、第2実施形態に比してフードパネルの剛性が若干小さく、衝突エネルギの伝播特性も若干低い。しかし、本実施形態においても、第1実施形態の場合よりも1次衝突における加速度第1波のピーク値を大きくすることができ、1次衝突時の衝突エネルギの吸収量を増大させ、これにより、2次衝突までのストロークを短くし、2次衝突時の加速度第2波のピーク値も低減できる。そして、2次衝突が収束するまでの時間を短縮でき、HIC値を効果的に低減できる。
【0061】
次に、本発明の第6実施形態に係る車輌用フードパネルについて説明する。図10は、本発明の第6実施形態に係る車輌用フードパネルを示す平面図である。本実施形態においては、第2実施形態に係るインナパネル3において、図10に示すように、第5実施形態と同様に、ビード34の端部には、各ビード34の底面から盛り上がって中間ビード36が設けられており、この中間ビード36によりビード34の両側面が接続されている。即ち、中間ビード36はビード34の底面からの高さが第1のマスチック座面33よりも低く、中間ビード36の上面はアウタパネル2にマスチック接合されない。
【0062】
本実施形態においては、車輌の前後方向に並ぶ第1のマスチック座面331間に設けられた複数本のビード34は、夫々、その端部にて、ビード34の底面から盛り上がって設けられた中間ビード36により両側面が接続されている。即ち、ビード34の端部には、中間ビード36の側壁が設けられているため、1次衝突時にビード34に沿って伝播した変形応力は、中間ビード36の側壁を介して中間ビード36に伝播し、更に中間ビード36に沿って車輌前後方向に伝播する。本実施形態においては、第2のマスチック座面332を設け、これをインナパネル2にマスチック接合した第4実施形態と比較した場合に、中間ビード36は第2のマスチック座面332よりもビード底面からの高さが低く、また、マスチック接合もされないため、第4実施形態に比してフードパネルの剛性が若干小さく、衝突エネルギの伝播特性も若干低い。しかし、本実施形態においても、第3実施形態の場合よりも1次衝突における加速度第1波のピーク値を大きくすることができ、1次衝突時の衝突エネルギの吸収量を増大させ、これにより、2次衝突までのストロークを短くし、2次衝突時の加速度第2波のピーク値も低減できる。そして、2次衝突が収束するまでの時間を短縮でき、HIC値を効果的に低減できる。
【0063】
次に、本発明の第7実施形態に係る車輌用フードパネルについて説明する。図11は、本発明の第7実施形態に係る車輌用フードパネルを示す平面図である。本実施形態においては、第1のマスチック座面331及びその間に形成されたビード34は、いずれも、その中央で車輌前方側に凸となるように湾曲し、その端部は車輌後方側のヒンジ用座面31aに向けて延びている。このように、全てのビード34が車輌前方側又は後方側のいずれかに凸となるように湾曲している場合においても、その端部はヒンジが固定される予定の部分に向けて延びているため、車輌の走行時には、振動等が抑制される。また、ヒンジが固定される部分は、歩行者が衝突した際においても、衝撃荷重に対するパネルの変形及び振動等が極めて小さいため、第1乃至第6実施形態と同様の効果が得られる。
【0064】
以上、説明した本発明において、各ビード及び第1のマスチック座面の配置は、例えばフードパネルの車輌前後方向の長さに応じて使い分けることにより、本発明の効果が顕著に得られる。即ち、フードパネルの車輌前後方向の長さが長い場合には、ビード及び第1のマスチック座面は、車輌左右方向に並ぶように設けられていることが好ましく、フードパネルの車輌前後方向の長さが短い場合には、ビード及び第1のマスチック座面は、車輌前後方向に並ぶように設けられていることが好ましい。
【符号の説明】
【0065】
1:(車輌用)フードパネル、2:アウタパネル、3:インナパネル、31:外周座面、31a:ヒンジ用座面、31b:クッション部材用座面、31c:フードロック用座面、32:外周段差、33:マスチック座面、34:ビード、35:クラッシュビード、36:中間ビード、4:マスチック接着剤
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輌用フードパネルに関し、特に、張り剛性、耐デント性、曲げ剛性及びねじり剛性等の基本性能を満足すると共に、衝突時の歩行者保護性能を向上させた車輌用フードパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
近時、自動車事故における歩行者保護が法規化され、レーティングの指標としても注目されている。一方で、エンジンの大型化による性能の向上等により、エンジンルーム内の部品は増加しており、歩行者保護に必要なフード下のスペースが小さくなっている。そのため、スポーティなデザインと歩行者の頭部保護とを両立するために、小さなスペースで効率よく衝突エネルギを吸収できるフード構造の開発が望まれている。
【0003】
歩行者衝突時における頭部の傷害値HICは、任意時間内に印加される平均加速度の2.5乗と発生時間との積の最大値として、下記数式1のように定義される。
【0004】
【数1】
【0005】
但し、aは頭部重心における3軸合成加速度(単位はG)、t1,t2は0<t1<t2となる時刻でHIC値が最大となる時間で、作用時間(t2−t1)は15msec以下と決められている。
【0006】
歩行者の頭部が自動車に衝突する際の加速度Gは、通常、頭部がフードパネルに衝突する1次衝突によって発生する加速度第1波と、その後、フードパネルがエンジンルーム内の部品に接触する2次衝突によって発生する加速度第2波とに大別される。フード下のスペースが小さい場合には、1次衝突よりも2次衝突により発生する衝突加速度の方が大きく、衝突の継続時間も長いため、加速度第1波よりも加速度第2波の方がHIC値に及ぼす悪影響が大きい。
【0007】
従って、限られたスペースで歩行者保護性能を確保するために、1次衝突におけるエネルギ吸収量を大きく確保すると共に、フードパネルの潰れ変形荷重を小さくして変形ストロークを大きく確保し、加速度第2波が小さくなるようなフード構造が望まれている。即ち、フードパネルの潰れ変形荷重を小さくすることにより、フードパネルの変形量が大きくなって潰れ残りが少なくなり、変形ストロークを大きくできる。
【0008】
一方、フードパネルは、張り剛性、耐デント性、曲げ剛性及びねじり剛性等、従来から求められている基本性能も満足する必要がある。張り剛性は、ワックスがけ時及びフードロック時等、フードパネルに対して押し込み荷重を印加する際に、フードパネルの弾性変形を抑制するために必要な物性であり、アウタパネルのヤング率及びアウタパネルとインナパネルとの接着位置により決定される。耐デント性は、飛石等が衝突した際にフードパネルに残留する塑性変形を抑制するために必要な物性であり、アウタパネルの耐力及び板厚により決定される。曲げ剛性は、フードロックによる車輌方向への引き込み力、並びにクッションゴム、ダンパーステイ及びシールゴム等による反力により発生するフードパネル外周部の弾性変形を抑制するために必要な物性であり、フードパネルの外周部におけるインナパネル及びレインフォースの形状から算出される断面二次モーメント及びヤング率(縦弾性係数)により決定される。ねじり剛性は、フードパネルの外周部における曲げ剛性並びにフード中央部におけるインナパネルの板厚及び形状により決定される。
【0009】
特許文献1には、インナパネルに複数本のビードを互いに平行に設けることにより、インナパネルの曲げ剛性を向上させ、歩行者の頭部が衝突した際のインナパネルの曲げ変形を抑制し、衝撃荷重をパネルに広く分散させる技術が提案されている。即ち、インナパネルにビードを設けることにより、歩行者の頭部が衝突した際に、パネルが変位する面積が増加して吸収できる衝撃荷重が増加し、ビードを設けない場合に比して、頭部衝突の際の加速度第1波を大きくでき、ハット型に形成されたビードは、内蔵部品との接触時に、容易に開き変形するため、加速度第2波を小さくすることもできる。本願発明者も、特許文献2において、上記観点から複数本のビードを互いに平行に設けたフードパネルを提案した。
【0010】
また、特許文献3乃至6には、ハット型のビードを車輌の前後方向に延びるように形成したインナパネルが開示されており、ビードの縦壁を段付き形状にしたり(特許文献3)、ビードの底面の深さを変更したり(特許文献4)、ビード間に切り欠きを設けた(特許文献5)インナパネルが開示されている。また、車輌に衝突する歩行者が子供である場合には、フードパネルの前方に衝突することが多く、衝突する歩行者が大人である場合には、フードパネルの後方に衝突することが多いことから、インナパネルに設けるハット型のビードを、車輌の前後方向で異なった形状にする技術が開示されている(特許文献6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2003−205866号公報
【特許文献2】特開2008−30574号公報
【特許文献3】特開2005−96512号公報
【特許文献4】特開2008−24185号公報
【特許文献5】特開2004−217008号公報
【特許文献6】特開2005−96608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記従来技術には、以下のような問題点がある。即ち、フードパネルは、張り剛性、耐デント性、曲げ剛性及びねじり剛性等の基本性能を確保しつつ、優れた歩行者保護性能を有することが望まれているが、上述の如く、大型化したエンジン等により、フード下のスペースの大きさは制限されるため、基本性能だけを満足するように、材質、板厚及び形状を設計したフードパネルにおいては、歩行者保護性能を確保できない場合が多い。特に、フードパネルの外周部は、曲げ剛性を大きくする必要があるため、インナパネル及びレインフォースの断面二次モーメントを大きくしなければならず、また、張り剛性も大きくする必要があるために、潰れ変形しにくく、2次衝突における加速度第2波の大きさを低減することが困難であるという問題点がある。
【0013】
フードパネルの構造により上記問題点を解決するためには、1次衝突におけるエネルギ吸収量を大きく確保して、2次衝突における衝撃荷重を低減する必要がある。これを実現するためには、例えば板厚を増加させることが考えられる。しかしながら、アウタパネルの板厚を大きくすると、ヘム加工時の割れを防止できなくなったり、パネル形状におけるRが大きくなって見栄えが悪化する等の問題点がある。一方、インナパネルの板厚を大きくすると、潰れ変形時の荷重が増大し、フードの内蔵物に衝突する2次衝突時の加速度第2波の大きさが増大して、HIC値が大きくなる(歩行者保護性能が低下する)虞がある。特に、フードパネルの外周部は、高い曲げ剛性が要求されるため、板厚を大きくしても断面の高さを小さくできず、HIC値が増大する。
【0014】
また、歩行者保護性能を向上させるためには、フードパネルの潰れ変形荷重を小さくしてストロークを大きく確保し、2次衝突時の加速度第2波の大きさを低減させる必要もある。これを実現するためには、上記特許文献1乃至6のように、例えばインナパネルの外周部の形状を潰れ変形しやすい形状にする、例えば、インナパネルの外周部に緩斜面を設けることが考えられる。しかしながら、フードパネルに所定の曲げ剛性を確保するためには、断面の大きさを小さくすることができず、アウタパネルとインナパネルとを接着している部位同士の間隔が広がり、張り剛性が低下するという問題点がある。
【0015】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであって、車輌用フードパネルに要求される張り剛性、耐デント性、曲げ剛性及びねじり剛性を確保すると共に、歩行者保護性能を向上させた車輌用フードパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る車輌用フードパネルは、アウタパネルとインナパネルとが互いに接合された車輌用フードパネルにおいて、前記インナパネルは、その外周縁に沿って設けられフードパネルを車輌に取り付けるためのヒンジ及びクッション部材が固定される予定の外周座面と、この外周座面に取り囲まれる領域に形成され前記アウタパネルにマスチック接合される第1のマスチック座面と、この第1のマスチック座面間に形成された断面凹形状の複数本のビードと、を有し、前記第1のマスチック座面及び/又は前記ビードの少なくとも一部は、平面視で、前記ヒンジ又はクッション部材に向けて延びるように湾曲して設けられていることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る車輌用フードパネルにおいて、例えば前記第1のマスチック座面は、車輌左右方向に並ぶように複数箇所に設けられている。又は、前記第1のマスチック座面は、車輌前後方向に並ぶように複数箇所に設けられている。この場合に、湾曲して設けられた第1のマスチック座面及び/又はビードは、例えば車輌用フードパネルにおける車輌の前後方向の中央よりも車輌前方又は車輌後方に設けられている。そして、前記インナパネルは、例えば、更に、前記第1のマスチック座面を取り囲むように設けられ前記第1のマスチック座面を連結する第2のマスチック座面を有する。又は、前記インナパネルは、例えば、更に、前記各ビードの端部にて前記ビードの底面から盛り上がって前記ビードの両側面間に架け渡されるように設けられ、前記ビードの底面からの高さが前記第1のマスチック座面よりも低い中間ビードを有する。
【0018】
また、前記インナパネルは、例えば、更に、前記複数本のビードを取り囲む前記外周座面の内縁に沿って設けられ前記外周座面から上方に段差状に形成された外周段差を有する。
【0019】
前記インナパネルは、例えば板厚が0.5乃至1.5mmのアルミニウム又はアルミニウム合金板又は板厚が0.4乃至1.0mmの鋼板から成形されたものである。また、例えば前記ビードの底面は、前記マスチック座面から5乃至30mm深い位置に設けられている。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る車輌用フードパネルは、インナパネルが、ヒンジ及びクッション部材が固定される予定の外周座面と、外周座面に取り囲まれる領域に形成されアウタパネルにマスチック接合される第1のマスチック座面と、第1のマスチック座面間に形成された断面凹形状の複数本のビードと、を有し、第1のマスチック座面及び/又はビードの少なくとも一部は、平面視で、ヒンジ又はクッション部材に向けて延びるように湾曲して設けられている。このように、第1のマスチック座面及び/又はビードの少なくとも一部が湾曲して設けられていることにより、歩行者の頭部がフードパネルに衝突する1次衝突の際には、インナパネルの剛性により、ビード同士が開き変形することが抑制され、加速度第1波のピーク値を大きくすることができる。
【0021】
また、第1のマスチック座面及び/又はビードがヒンジ又はクッション部材、即ち、衝撃荷重に対してパネルの変形及び振動等が小さい位置に向けて延びているため、1次衝突による加速度第1波後の変形加速度を大きいままに維持することができ、これにより、1次衝突におけるパネルによるエネルギ吸収量を大きくすることができる。よって、2次衝突における荷重を低減でき、歩行者保護性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態に係る車輌用フードパネルを示す平面図である。
【図2】(a)は図1におけるA−A断面図、(b)は同じくB−B断面図、(c)は図1のインナパネルを示す一部斜視図である。
【図3】本発明に係る車輌用フードパネルにおいて、歩行者衝突時の変形加速度とストロークとの関係を示す図である。
【図4】本発明に係る車輌用フードパネルにおいて、歩行者衝突時の変形加速度と時間との関係を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る車輌用フードパネルを示す平面図である。
【図6】(a)は図5におけるA−A断面図、(b)は同じくB−B断面図、(c)は図5のインナパネルを示す一部斜視図である。
【図7】(a)は、本発明の第3実施形態に係る車輌用フードパネルを示す平面図、(b)は図7(a)におけるA−A断面図、(c)は同じくB−B断面図である。
【図8】(a)は、本発明の第4実施形態に係る車輌用フードパネルを示す平面図、(b)は図8(a)におけるA−A断面図、(c)は同じくB−B断面図である。
【図9】本発明の第5実施形態に係る車輌用フードパネルを示す平面図である。
【図10】本発明の第6実施形態に係る車輌用フードパネルを示す平面図である。
【図11】本発明の第7実施形態に係る車輌用フードパネルを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本願発明者等は、車輌用フードパネルに要求される張り剛性、耐デント性、曲げ剛性及びねじり剛性等の特性を確保しつつ、歩行者保護性能を向上させるために、鋭意実験検討を行った。そして、インナパネルのマスチック座面及び/又はビードの少なくとも一部を湾曲して設けることにより、歩行者の頭部がフードパネルに衝突する1次衝突の際には、インナパネルの剛性により、ビード同士が開き変形することが抑制され、エネルギ吸収量を増大させることができることを知見した。
【0024】
また、本願発明者等は、湾曲するように設けるマスチック座面及び/又はビードを、ヒンジ又はクッション部材に向けて延びるように設ければ、特に、その先端部において衝撃荷重に対する変形及び振動等を低減でき、これにより、加速度第1波の大きさが大きくなって1次衝突におけるエネルギ吸収量を大きく確保することができ、2次衝突における荷重が低減され、歩行者保護性能を向上させることができることを知見した。
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。先ず、本発明の第1実施形態に係る車輌用フードパネルの構成について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る車輌用フードパネルを示す平面図、図2(a)は、図1におけるA−A断面図、図2(b)は同じくB−B断面図、図2(c)は図1のインナパネルを示す一部斜視図である。図1に示すように、本実施形態に係る車輌用フードパネル1は、インナパネル3及びアウタパネル2を有しており、例えばインナパネル3の外縁部は、アウタパネル2の外縁部にヘム加工により接合されている。
【0026】
インナパネル3及びアウタパネル2は、例えば鉄、アルミニウム又はアルミニウム合金等の金属板から成形されたものである。インナパネル3は、アルミニウム又はアルミニウム合金板から成形されている場合には、その板厚は例えば0.5乃至1.5mmであり、鋼板から成形されている場合には、その板厚は例えば0.4乃至1.0mmである。インナパネル3の板厚がこの下限値を下回ると、プレス成形性が低下しやすくなり、上限値を超えると、1次衝突におけるHIC値が1000を超えやすくなる。なお、インナパネル3が鉄、アルミニウム及びアルミニウム合金以外の金属板から成形されている場合においては、上記板厚の上限値は、素材の比重に反比例する。
【0027】
アウタパネル2は、パネルへの成形性及び成形されるパネル形状により、適宜好適な金属板が選択されて使用される。アウタパネル2がアルミニウム又はアルミニウム合金板から成形される場合には、板厚が0.5mm未満であると、パネルの張り剛性及び耐デント性等の性能が十分に得にくくなり、アウタパネル2の板厚が1.5mmを超えると、フードパネルの重量の増加が大きくなり、また、ヘム加工時に割れが発生しやすくなるため、その板厚は0.5乃至1.5mmであることが好ましい。アウタパネル2が鋼板から成形される場合には、その板厚は0.4乃至1.0mmであることが好ましい。アウタパネル2がその他の金属板により成形される場合には、比重に反比例させた板厚のものが使用されることが好ましい。
【0028】
インナパネル3には、アウタパネル2にヘム加工により接合される外周縁に沿って、フードパネルを車輌に取り付けるためのヒンジ及びクッション部材が固定される予定の外周座面31が設けられている。そして、外周座面31に取り囲まれる領域には、アウタパネル2にマスチック接合されるマスチック座面33が形成されている。そして、マスチック座面33間には、断面凹形状のビード34が形成されている。本実施形態においては、インナパネル3には、ビード34を取り囲む外周座面31の内縁に沿って、外周座面から上方に段差状に外周段差32が形成されている。
【0029】
本実施形態においては、マスチック座面33は、車輌左右方向に並ぶように複数箇所に設けられており、マスチック座面33間に形成されたビード34も車輌左右方向に並ぶように形成されている。図2(a)及び図2(b)に示すように、マスチック座面33とアウタパネル2との間には、例えばエポキシ樹脂又は変性シリコーン樹脂等からなるマスチック接着剤4が塗布されて、マスチック座面33とアウタパネル2とが接合されている。
【0030】
本実施形態のフードパネル1においては、外周座面31には、例えばフードパネル1を車輌本体に連結するためのヒンジが固定されるヒンジ用座面31a、フードパネル1の車輌本体への干渉を防止したり、振動を防止するクッションゴム等のクッション部材が固定されるクッション部材用座面31bが設けられており、フードパネルを閉じた状態に保持するためのフードロック部材が固定されるフードロック座面31cも設けられている。
【0031】
図1及び図2に示すように、本実施形態においては、マスチック座面33は、アウタパネル2にマスチック接合される第1のマスチック座面は、車輌左右方向に並ぶように複数箇所(部分33a乃至33d)に設けられている。即ち、第1のマスチック座面は、車輌左右方向における段差部32の両端部付近に夫々設けられた略環状の部分33aと、環状部分33aよりも車輌左右方向における中央寄りに設けられ車輌後方側の端部がヒンジ用座面31aに向けて延びるように、平面視で、略くの字状に湾曲して設けられた部分33bと、部分33bよりも車輌左右方向における中央寄りに設けられ車輌前方側の端部がクッション部材用座面31bに向けて延びるように、平面視で、略くの字状に湾曲して設けられた部分33cと、車輌左右方向における中央付近にて車輌前方及び後方に夫々設けられた略環状の部分同士が車輌前後方向に接続された部分33dと、が設けられており、部分33dの車輌前方には、フードロック座面31cが位置している。即ち、本実施形態においては、複数本の各ビード34は、車輌の前後方向に延び、車輌前後方向におけるフードパネル1の中央付近において湾曲するように形成されている。
【0032】
湾曲したビード34は、その底面における内側(突出した側の反対側)の縁部の曲率半径が例えば50乃至10000mmである。例えば、第1のマスチック座面の部分33aと部分33bとの間に設けられたビード34は、その底面における部分33a側の縁部の曲率半径が500mmである。ビード34の底面における内側の縁部の曲率半径が50mm未満であると、フードパネルがエンジンルームの内蔵物に衝突する2次衝突の際に、潰れ変形しにくくなり、10000mmを超えると、各ビード34が平面視で直線状に近くなり、本発明の効果を得にくくなる。
【0033】
フード下部の限られたスペースのみで歩行者保護性能を向上させたフードパネルを実現するためには、上記の如く、1次衝突における衝突エネルギの吸収量を大きく確保することが重要である。この1次衝突における加速度第1波は、歩行者の頭部とフードとの間の相対的速度差により発生する慣性力が支配的である。本実施形態においては、ビード34は、図2(b)にビード深さhとして示すように、その底面がマスチック座面33から5乃至30mm深い位置に設けられていることが好ましい。即ち、ビード深さhが浅くなりすぎると、凹形状のビード34を設けたことによるインナパネル3の剛性の向上効果が小さく、歩行者衝突時において、衝突部近傍のビードのみが変形して加速度第1波のピーク値が小さくなる。よって、加速度第1波の慣性力によりビード34の全体に衝突時の応力を伝播させることが難しくなる。これにより、衝突初期における衝突エネルギの吸収量が不足し、加速度第2波のピーク値が高くなり、HIC値が高くなる(歩行者保護性能が低下する)。逆に、ビード深さhが深くなりすぎると、フードの内蔵物への衝突までの時間が長くなり、衝突初期における衝突エネルギの吸収を十分に得られないまま2次衝突が発生し、やはり、加速度第2波のピーク値が高くなり、HIC値が高くなる(歩行者保護性能が低下する)。
【0034】
次に、本実施形態の車輌用フードパネルの動作について説明する。歩行者がフードパネル1に衝突すると、その衝撃は、先ず、アウタパネル2に伝播し、衝突部付近において、アウタパネル2が変形する。そして、この変形応力が、マスチック座面33を介して、衝突部付近のインナパネル3に伝播する。ビード34が1方向に延びるように直線状に形成されている場合においては、ビード側部の縦壁は、平面により構成され、上方から変形応力が印加された際に、縦壁を傾斜させるだけで、ビード34は容易に開き変形する。しかし、本実施形態においては、車輌の左右方向に並ぶように形成されたビード34は、大凡車輌前後方向に延びるように形成されているが、車輌前後方向におけるインナパネル3の中央付近において湾曲するように形成されており、ビード側部の縦壁は、平面ではなく、曲面により構成されている。また、この湾曲した縦壁は、車輌左右方向に延出した成分を有することから、補強リブとして作用する。よって、上方から変形応力が印加された場合には、側壁の傾斜が変化しにくくなり、インナパネル3の剛性が高く、ビード34の開き変形が抑制される。また、ビード34に印加された変形応力は、例えばビード34の側壁及び底面を介して、ビード34が延びる方向に伝播させることができる。そして、本実施形態においては、ビード34が湾曲するように設けられているため、衝突により印加された変形応力は、ビード34の側壁を介して、車輌左右方向にも伝播させることができる。
【0035】
図3は、本第1実施形態に係る車輌用フードパネルにおいて、歩行者衝突時の変形加速度とストロークとの関係を示す図、図4は、歩行者衝突時の変形加速度と時間との関係を示す図である。なお、図3及び図4においては、従来のフードパネルにおける波形を破線にて示してある。本実施形態のフードパネル3は、上方からの変形応力に対するインナパネル3の剛性が極めて高いため、図3及び図4に実線で示すように、歩行者衝突時の加速度第1波のピーク値を大きくできる。歩行者衝突時においては、1次衝突及び2次衝突のいずれにおいても、衝突加速度のピーク値を小さくすることが理想的である。即ち、図3及び図4に示す相関図において、変形ストロークと衝突加速度との関係及び時間と衝突加速度との関係を矩形波に近づけることにより、加速度第1波のピーク値を小さくし、瞬間的な衝突加速度の増加による歩行者の頭部損傷を防止し、また、加速度第1波後に、変形加速度又は変形荷重の急激な低下を防止できることにより、小ストロークで衝突エネルギを安定的に吸収することができる。
【0036】
1次衝突によりフードパネル1の変形が進行すると、インナパネル3の変形加速度は衝突時をピークとして急激に低下し、パネルによるエネルギ吸収量も低下していく。従来のフードパネルにおいては、図3に破線で示すように、加速度第1波のピーク値が小さく、1次衝突後の変形加速度の低下が極めて大きいため、2次衝突までのストロークが長くなり、2次衝突時の加速度第2波のピーク値が極めて大きくなる。また、図4に示すように、2次衝突が収束するまでの時間が長くなり、HIC値が大きくなるという問題点がある。
【0037】
しかし、本実施形態においては、マスチック座面33は、アウタパネル2にマスチック接合される第1のマスチック座面が車輌の左右方向に並ぶように複数箇所(部分33a乃至33d)に設けられており、マスチック座面及び/又はビードの少なくとも一部は、平面視で、ヒンジ又はクッション部材に向けて延びるように形成されている。即ち、マスチック座面33は、部分33bの車輌後方側の端部がヒンジ用座面31aに向けて延び、部分33cの車輌前方側の端部がクッション部材用座面31bに向けて延びている。そして、マスチック座面33の部分33aと部分33bとの間に形成されたビード34も、その車輌後方側がヒンジ用座面31aに延びるように形成されている。これらのヒンジ用座面31a、及びクッション部材用座面31bは、フードパネル1を車輌に取り付ける際に、ヒンジ又はクッションゴムが固定される予定の部分であり、車輌の走行時には、振動等が小さい極めて安定的な部分である。そして、この部分は、歩行者が衝突した際においても、衝撃荷重に対するパネルの変形及び振動等が極めて小さい。よって、図3に実線で示すように、1次衝突による加速度第1波後の変形加速度を大きいままに維持することができ、フードパネルによるエネルギ吸収量を大きくすることができる。よって、2次衝突までのストロークも短くなり、2次衝突時の加速度第2波のピーク値も低減することができる。また、1次衝突時に衝突エネルギを十分に吸収できるため、図4に実線で示すように、2次衝突が収束するまでの時間も短くなり、HIC値を低減できる。よって、本実施形態のフードパネルは歩行者保護性能が極めて高い。
【0038】
なお、本実施形態においては、マスチック座面33及び/又は各ビード34の少なくとも一部が、平面視で、ヒンジ又はクッション部材に向けて延びるように形成されていれば、上記効果を得られるが、更なる歩行者保護性能の向上を目的として、例えば、インナパネル3の形状を以下のように変更することができる。即ち、インナパネル3の板厚を車輌前方側では薄くし、車輌後方側では厚くして、車輌前方側におけるパネルの変形荷重を小さく(変形しやすく)し、車輌後方側で衝突時のエネルギの吸収量を大きく確保することにより、フードパネル1における衝突領域を分け、車輌に衝突する歩行者が子供である場合と大人である場合とにより、衝突エネルギの吸収態様を最適化することができる。
【0039】
また、本実施形態においては、フードロック座面31cは、フードパネルの前端部における車輌左右方向の中央の1箇所だけに設けられているが、車種によっては、フードパネル3の前端部の2箇所に、フードロックが設けられる場合があり、図1に示す車輌前方側の2個のクッション部材用座面31bに代えて、フードロック座面31cが設けられる。この場合においても、各ビード34及び/又は第1のマスチック座面33の車輌後方側の端部は、ヒンジ用座面31aに向けて延びているため、上記本発明の効果を得ることができる。
【0040】
更に、車輌に衝突する歩行者によりフードパネル1における衝突領域を分ける場合には、ビード34の形状を変更することもできる。例えば、ビード34の幅を車輌前方側では狭くし、車輌後方側では広くすることができる。又はビード34の深さを車輌前方側では低く、車輌後方側では高くすることができる。又は、ビード34の縦壁と底面との境界、及びビード34の縦壁とマスチック座面33との境界に設けるRを車輌前方側では大きくして2次衝突時に変形しやすくし、車輌後方側では小さくして剛性を高め、2次衝突時のエネルギ吸収量を大きくすることができる。更に、ビード34の縦壁が底面に対して傾斜する角度を車輌前方側では小さくし、車輌後方側では大きくすることができる。更にまた、複数の領域に設けるマスチック座面31間の距離を車輌の前方側では小さくすることにより、張り剛性及び耐デント性が要求される車輌前方側において、フードパネルの張り剛性及び耐デント性が向上する。
【0041】
また、本実施形態のフードパネル1においては、例えばビード34の側壁におけるマスチック座面33との境界の近傍に小さなビード又は凹凸形状を設けることができる。これにより、歩行者の頭部が衝突した際のパネルの局所的な変形が抑制される。
【0042】
更に、ビード34は、その側壁部分を段差状に設けることができる。これにより、フードパネル1がフードの内蔵物と衝突した際には、段差部分が初期不整として作用し、ビード34の潰れ変形が助長される。更にまた、ビード34に切り欠き又はスリットを設けることにより、2次衝突時の変形荷重を小さくし、有効ストロークを増大させてもよい。
【0043】
また、歩行者衝突時に限らず、例えば車輌同士が前面衝突した際に、フードパネルの折れ変形が発生しやすくなるように、図1に二点鎖線で示すように、インナパネル3にクラッシュビード35を設けてもよい。クラッシュビード35が車輌左右方向に延びるように設けられていることにより、車輌同士が前面衝突した際には、クラッシュビード35を起点としてフードパネル1が側面視で略くの字状に折れ変形しやすくなり、車輌内へのパネル等の進入を防止できる。なお、クラッシュビード35に代えて穴を設け、車輌同士の前面衝突時における折れ変形を誘導してもよい。
【0044】
そして、フードパネル1は、車輌としてのデザイン性及び機能性を考慮して変形することもできる。例えば、ビード34の幅又は高さを、アウタパネル2の外形又はデザイン性を考慮した段差に合わせて変化させたり、ビード34を分岐させることができる。又は、フードパネル1の軽量化又は電着塗装時の液抜きを目的として、インナパネル3に孔を設けたり、フードサイレンサ、ウォッシャーホース及びクッションゴム等の部品を取り付ける孔を設けることができる。
【0045】
次に本発明の第2実施形態に係る車輌用フードパネルについて説明する。図5は、本発明の第2実施形態に係る車輌用フードパネルを示す平面図、図6(a)は図5におけるA−A断面図、図6(b)は同じくB−B断面図、図6(c)は図5のインナパネルを示す一部斜視図である。図5及び図6に示すように、本実施形態においては、マスチック座面33は、平面視で、車輌の左右方向に並ぶように複数箇所に設けられた部分33e乃至33hにより構成された第1のマスチック座面331の端部が、これを取り囲むように設けられた第2のマスチック座面332により相互に連結されている。その他の構成については、第1実施形態と同様である。
【0046】
本実施形態においては、第2のマスチック座面332により第1のマスチック座面331の端部が連結されているため、図5及び図6(c)に示すように、第1のマスチック座面331の各部分33e乃至33h間に形成されたビード34の端部には、第2のマスチック座面332の側壁が形成されている。よって、1次衝突時にビード34に沿って伝播した変形応力は、第2のマスチック座面332の側壁を介して、第2のマスチック座面332に伝播し、更に、第2のマスチック座面332に沿って車輌左右方向に伝播する。よって、本実施形態においては、1次衝突における加速度第1波のピーク値を第1実施形態の場合よりも大きくでき、1次衝突時の衝突エネルギの吸収量を増大させることができる。よって、2次衝突までのストロークも第1実施形態に比して短くなり、2次衝突時の加速度第2波のピーク値も低減することができる。そして、2次衝突が収束するまでの時間も短くなり、HIC値を第1実施形態に比して、更に効果的に低減できる。
【0047】
なお、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、インナパネル3には、種々の変形を施すことができる。
【0048】
次に、本発明の第3実施形態に係るフードパネルについて説明する。図7(a)は、本発明の第3実施形態に係る車輌用フードパネルを示す平面図、図7(b)は図7(a)におけるA−A断面図、図7(c)は同じくB−B断面図である。本実施形態においては、図7に示すように、アウタパネル2にマスチック接合される第1のマスチック座面が複数箇所に設けられている点については第1実施形態と同様である。本実施形態が第1実施形態と異なるのは、これらの複数箇所に設けられた第1のマスチック座面(部分33i乃至33n)が車輌前後方向に並ぶように設けられている点にある。即ち、本実施形態においては、図7に示すように、第1のマスチック座面は、車輌前後方向における段差部32の両端部付近に夫々設けられた略環状の部分33iと、環状部分33iよりも車輌後方に設けられその両端部がクッション部材用座面31bに向けて延びるように、平面視で、車輌後方側に凸となるように略くの字状に湾曲して設けられた部分33jと、部分33jよりも車輌後方に設けられ車輌後方側に凸となるように湾曲した部分と車輌前方側に凸となるように湾曲した部分とが互いにその中央で連結された部分33kと、車輌左右方向における部分33kの隙間に夫々設けられた略環状の部分33lと、部分33よりも車輌後方に設けられ車輌前方に凸となるように湾曲した部分33mと、部分33mの湾曲部分間に設けられた略環状の部分33nと、により構成されている。そして、部分33kは、車輌後方側に凸となるように湾曲して設けられた部分の両端が、夫々クッション部材用座面31bに向けて延びるように設けられており、車輌前方側に凸となるように湾曲して設けられた部分の両端は、ヒンジ用座面31aに向けて延びるように設けられている。また、部分33kと部分33mとの間に形成されたビード34もヒンジ用座面31aに向けて延びている。即ち、本実施形態においては、複数本の各ビード34は、車輌の左右方向に延び、車輌左右方向におけるフードパネル1の中央付近において湾曲するように形成されている。
【0049】
よって、本実施形態においても、ビード側部の縦壁は、平面ではなく、曲面により構成されており、ビード34の車輌左右方向における中央部付近の湾曲した部分は、車輌の前後方向に延出した成分を有することから、補強リブとして作用し、歩行者が衝突した際には、ビード34の開き変形が生じにくくなり、また、インナパネル3に印加される応力を、ビード34に沿って車輌左右方向に伝播させると共に、車輌前方側及び後方側の縦壁にも伝播させることができる。
【0050】
本実施形態においては、ビード34は、例えば平面視における上端縁及び/又は下端縁の曲率半径が、車輌左右方向における中央部よりも端部の方が大きいことが好ましい。これにより、フードパネルにおける歩行者保護性能が車輌の左右方向に不均一になることを防止することができる。
【0051】
次に、本実施形態に係る車輌用フードパネルの動作について説明する。歩行者がフードパネル1に衝突すると、その衝撃は、先ず、アウタパネル2に伝播し、衝突部付近において、アウタパネル2が変形する。そして、この変形応力が、マスチック座面33を介して、衝突部付近のインナパネル3に伝播する。本実施形態においては、ビード34は、車輌の左右方向に延びるように設けられている。よって、歩行者が衝突した際には、インナパネル3に印加される応力は、ビード34を介して車輌左右方向に伝播する。本実施形態においても、車輌の前後方向に並ぶように形成されたビード34は、大凡車輌左右方向に延びるように形成されているが、車輌左右方向における中央付近において湾曲するように形成されており、ビード側部の縦壁は、曲面により構成されている。よって、上方から変形応力が印加された場合には、側壁の傾斜が変化しにくくなり、インナパネル3の剛性が高く、ビード34の開き変形が抑制される。また、ビード34に印加された変形応力は、例えばビード34の側壁及び底面を介して、ビード34が延びる方向に伝播し、ビード34の側壁を介して、車輌前後方向にも伝播させることができる。このように、ビード34の前方側及び後方側の縦壁を介して歩行者衝突時の変形応力を車輌前後方向に伝播させることにより、変形応力は車輌の左右方向に均一に分散され、フードパネルにおける歩行者保護性能が車輌の左右方向に不均一になることを防止することもできる。
【0052】
1次衝突によりフードパネル1の変形が進行すると、インナパネル3の変形加速度は衝突時をピークとして急激に低下し、パネルによるエネルギ吸収量も低下していく。従来のフードパネルにおいては、加速度第1波のピーク値が小さく、1次衝突後の変形加速度の低下が極めて大きいため、2次衝突までのストロークが長くなり、2次衝突時の加速度第2波のピーク値が極めて大きくなる。また、2次衝突が収束するまでの時間が長くなり、HIC値が大きくなるという問題点があるが、本実施形態においては、マスチック座面33は、アウタパネル2にマスチック接合される第1のマスチック座面が車輌の前後方向に並ぶように複数箇所(部分33i乃至33n)に設けられており、マスチック座面及び/又はビードの少なくとも一部は、平面視で、ヒンジ又はクッション部材に向けて延びるように形成されている。即ち、マスチック座面33は、部分33jの両端部がクッション部材用座面31bに向けて延び、部分33kは、車輌後方側に凸となるように湾曲して設けられた部分の両端が、夫々クッション部材用座面31bに向けて延びるように設けられており、車輌前方側に凸となるように湾曲して設けられた部分の両端は、ヒンジ用座面31aに向けて延びるように設けられている。そして、部分33kと部分33mとの間に形成されたビード34もヒンジ用座面31aに向けて延びている。これらのヒンジ用座面31a及びクッション部材用座面31bは、フードパネル1を車輌に取り付ける際に、ヒンジ又はクッションゴムが固定される予定の部分であり、車輌の走行時には、振動等が小さい極めて安定的な部分である。そして、この部分は、歩行者が衝突した際においても、衝撃荷重に対するパネルの変形及び振動等が極めて小さい。よって、第1実施形態と同様に、変形ストロークと衝突加速度との関係及び時間と衝突加速度との関係は、図3及び図4に実線で示すように矩形波に近づく。即ち、本実施形態においても、1次衝突による加速度第1波後の変形加速度を大きいままに維持することができ、フードパネルによるエネルギ吸収量を大きくすることができる。よって、2次衝突までのストロークも短くなり、2次衝突時の加速度第2波のピーク値も低減することができる。また、1次衝突時に衝突エネルギを十分に吸収できるため、2次衝突が収束するまでの時間も短くなり、HIC値を低減できる。よって、本実施形態のフードパネルも歩行者保護性能が極めて高い。
【0053】
また、本実施形態においては、ビード34は、大凡車輌左右方向に延びるように設けられているため、歩行者衝突時の上記効果に加えて、車輌同士の前面衝突の際には、フードパネル1が側面視でくの字状に折れ変形しやすくなる。よって、この場合においても、衝撃エネルギの吸収を効率よく行うことができ、車内へのパネル等の進入も効果的に防止できる。
【0054】
なお、本実施形態においては、図7に示すように、アウタパネル2にマスチック接合される第1のマスチック座面は、全てが湾曲するように設けられているが、例えばフードパネル1における車輌の前後方向の中央よりも車輌前方又は車輌後方に設けられたマスチック座面のみが湾曲するように設けられていてもよい。
【0055】
また、本実施形態においても、第1及び第2実施形態と同様に、インナパネル3には、種々の変形を施すことができる。
【0056】
次に、本発明の第4実施形態に係るフードパネルについて説明する。図8(a)は、本発明の第4実施形態に係る車輌用フードパネルを示す平面図、図8(b)は図8(a)におけるA−A断面図、図8(c)は同じくB−B断面図である。本実施形態においては、図8に示すように、マスチック座面33は、平面視で、車輌の前後方向に並ぶように複数箇所に設けられた第1のマスチック座面(部分33o乃至33t)の端部が、これを取り囲むように設けられた第2のマスチック座面333により相互に連結されている。その他の構成については、第3実施形態と同様である。
【0057】
本実施形態においても、第2実施形態と同様に、第2のマスチック座面333により第1のマスチック座面の端部が連結されているため、図8に示すように、第1のマスチック座面の各部分33o乃至33t間に形成されたビード34の端部には、第2のマスチック座面333の側壁が形成されている。よって、1次衝突時にビード34に沿って伝播した変形応力は、第2のマスチック座面333の側壁を介して、第2のマスチック座面333に伝播し、更に、第2のマスチック座面333に沿って車輌前後方向に伝播する。よって、本実施形態においては、1次衝突における加速度第1波のピーク値を第3実施形態の場合よりも大きくでき、1次衝突時の衝突エネルギの吸収量を増大させることができる。よって、2次衝突までのストロークも第3実施形態に比して短くなり、2次衝突時の加速度第2波のピーク値も低減することができる。そして、2次衝突が収束するまでの時間も短くなり、HIC値を第3実施形態に比して、更に効果的に低減できる。
【0058】
なお、本実施形態においても、第1乃至第3実施形態と同様に、インナパネル3には、種々の変形を施すことができる。
【0059】
次に、本発明の第5実施形態に係る車輌用フードパネルについて説明する。図9は、本発明の第5実施形態に係る車輌用フードパネルを示す平面図である。本実施形態においては、第1実施形態に係るインナパネル3において、図9に示すように、ビード34の端部には、ビード34の底面から盛り上がって各ビード34の両側面に架け渡されるように中間ビード36が設けられている。この中間ビード36はビード34の底面からの高さが第1のマスチック座面33よりも低く、よって、中間ビード36の上面はアウタパネル2にマスチック接合されない。
【0060】
本実施形態においては、車輌の左右方向に並ぶ第1のマスチック座面331間に設けられた複数本のビード34は、夫々、その端部にて、ビード34の底面から盛り上がって設けられた中間ビード36により両側面が接続されている。即ち、ビード34の端部には、中間ビード36の側壁が設けられているため、第2実施形態と同様に、1次衝突時にビード34に沿って伝播した変形応力は、中間ビード36の側壁を介して中間ビード36に伝播し、更に中間ビード36に沿って車輌左右方向に伝播する。本実施形態においては、第2のマスチック座面332を設け、これをインナパネル2にマスチック接合した第2実施形態と比較した場合に、中間ビード36は第2のマスチック座面332よりもビード底面からの高さが低く、また、マスチック接合もされないため、第2実施形態に比してフードパネルの剛性が若干小さく、衝突エネルギの伝播特性も若干低い。しかし、本実施形態においても、第1実施形態の場合よりも1次衝突における加速度第1波のピーク値を大きくすることができ、1次衝突時の衝突エネルギの吸収量を増大させ、これにより、2次衝突までのストロークを短くし、2次衝突時の加速度第2波のピーク値も低減できる。そして、2次衝突が収束するまでの時間を短縮でき、HIC値を効果的に低減できる。
【0061】
次に、本発明の第6実施形態に係る車輌用フードパネルについて説明する。図10は、本発明の第6実施形態に係る車輌用フードパネルを示す平面図である。本実施形態においては、第2実施形態に係るインナパネル3において、図10に示すように、第5実施形態と同様に、ビード34の端部には、各ビード34の底面から盛り上がって中間ビード36が設けられており、この中間ビード36によりビード34の両側面が接続されている。即ち、中間ビード36はビード34の底面からの高さが第1のマスチック座面33よりも低く、中間ビード36の上面はアウタパネル2にマスチック接合されない。
【0062】
本実施形態においては、車輌の前後方向に並ぶ第1のマスチック座面331間に設けられた複数本のビード34は、夫々、その端部にて、ビード34の底面から盛り上がって設けられた中間ビード36により両側面が接続されている。即ち、ビード34の端部には、中間ビード36の側壁が設けられているため、1次衝突時にビード34に沿って伝播した変形応力は、中間ビード36の側壁を介して中間ビード36に伝播し、更に中間ビード36に沿って車輌前後方向に伝播する。本実施形態においては、第2のマスチック座面332を設け、これをインナパネル2にマスチック接合した第4実施形態と比較した場合に、中間ビード36は第2のマスチック座面332よりもビード底面からの高さが低く、また、マスチック接合もされないため、第4実施形態に比してフードパネルの剛性が若干小さく、衝突エネルギの伝播特性も若干低い。しかし、本実施形態においても、第3実施形態の場合よりも1次衝突における加速度第1波のピーク値を大きくすることができ、1次衝突時の衝突エネルギの吸収量を増大させ、これにより、2次衝突までのストロークを短くし、2次衝突時の加速度第2波のピーク値も低減できる。そして、2次衝突が収束するまでの時間を短縮でき、HIC値を効果的に低減できる。
【0063】
次に、本発明の第7実施形態に係る車輌用フードパネルについて説明する。図11は、本発明の第7実施形態に係る車輌用フードパネルを示す平面図である。本実施形態においては、第1のマスチック座面331及びその間に形成されたビード34は、いずれも、その中央で車輌前方側に凸となるように湾曲し、その端部は車輌後方側のヒンジ用座面31aに向けて延びている。このように、全てのビード34が車輌前方側又は後方側のいずれかに凸となるように湾曲している場合においても、その端部はヒンジが固定される予定の部分に向けて延びているため、車輌の走行時には、振動等が抑制される。また、ヒンジが固定される部分は、歩行者が衝突した際においても、衝撃荷重に対するパネルの変形及び振動等が極めて小さいため、第1乃至第6実施形態と同様の効果が得られる。
【0064】
以上、説明した本発明において、各ビード及び第1のマスチック座面の配置は、例えばフードパネルの車輌前後方向の長さに応じて使い分けることにより、本発明の効果が顕著に得られる。即ち、フードパネルの車輌前後方向の長さが長い場合には、ビード及び第1のマスチック座面は、車輌左右方向に並ぶように設けられていることが好ましく、フードパネルの車輌前後方向の長さが短い場合には、ビード及び第1のマスチック座面は、車輌前後方向に並ぶように設けられていることが好ましい。
【符号の説明】
【0065】
1:(車輌用)フードパネル、2:アウタパネル、3:インナパネル、31:外周座面、31a:ヒンジ用座面、31b:クッション部材用座面、31c:フードロック用座面、32:外周段差、33:マスチック座面、34:ビード、35:クラッシュビード、36:中間ビード、4:マスチック接着剤
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アウタパネルとインナパネルとが互いに接合された車輌用フードパネルにおいて、
前記インナパネルは、その外周縁に沿って設けられフードパネルを車輌に取り付けるためのヒンジ及びクッション部材が固定される予定の外周座面と、この外周座面に取り囲まれる領域に形成され前記アウタパネルにマスチック接合される第1のマスチック座面と、この第1のマスチック座面間に形成された断面凹形状の複数本のビードと、を有し、
前記第1のマスチック座面及び/又は前記ビードの少なくとも一部は、平面視で、前記ヒンジ又はクッション部材に向けて延びるように湾曲して設けられていることを特徴とする車輌用フードパネル。
【請求項2】
前記第1のマスチック座面は、車輌左右方向に並ぶように複数箇所に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車輌用フードパネル。
【請求項3】
前記第1のマスチック座面は、車輌前後方向に並ぶように複数箇所に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車輌用フードパネル。
【請求項4】
湾曲して設けられた第1のマスチック座面及び/又はビードは、車輌用フードパネルにおける車輌の前後方向の中央よりも車輌前方又は車輌後方に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の車輌用フードパネル。
【請求項5】
前記インナパネルは、更に、前記第1のマスチック座面の端部を連結する第2のマスチック座面を有することを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の車輌用フードパネル。
【請求項6】
前記インナパネルは、更に、前記各ビードの端部にて前記ビードの底面から盛り上がって前記ビードの両側面間に架け渡されるように設けられ、前記ビードの底面からの高さが前記第1のマスチック座面よりも低い中間ビードを有することを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の車輌用フードパネル。
【請求項7】
前記インナパネルは、更に、前記複数本のビードを取り囲む前記外周座面の内縁に沿って設けられ前記外周座面から上方に段差状に形成された外周段差を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の車輌用フードパネル。
【請求項8】
前記インナパネルは、板厚が0.5乃至1.5mmのアルミニウム又はアルミニウム合金板又は板厚が0.4乃至1.0mmの鋼板から成形されたものであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の車輌用フードパネル。
【請求項9】
前記ビードの底面は、前記マスチック座面から5乃至30mm深い位置に設けられていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の車輌用フードパネル。
【請求項1】
アウタパネルとインナパネルとが互いに接合された車輌用フードパネルにおいて、
前記インナパネルは、その外周縁に沿って設けられフードパネルを車輌に取り付けるためのヒンジ及びクッション部材が固定される予定の外周座面と、この外周座面に取り囲まれる領域に形成され前記アウタパネルにマスチック接合される第1のマスチック座面と、この第1のマスチック座面間に形成された断面凹形状の複数本のビードと、を有し、
前記第1のマスチック座面及び/又は前記ビードの少なくとも一部は、平面視で、前記ヒンジ又はクッション部材に向けて延びるように湾曲して設けられていることを特徴とする車輌用フードパネル。
【請求項2】
前記第1のマスチック座面は、車輌左右方向に並ぶように複数箇所に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車輌用フードパネル。
【請求項3】
前記第1のマスチック座面は、車輌前後方向に並ぶように複数箇所に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車輌用フードパネル。
【請求項4】
湾曲して設けられた第1のマスチック座面及び/又はビードは、車輌用フードパネルにおける車輌の前後方向の中央よりも車輌前方又は車輌後方に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の車輌用フードパネル。
【請求項5】
前記インナパネルは、更に、前記第1のマスチック座面の端部を連結する第2のマスチック座面を有することを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の車輌用フードパネル。
【請求項6】
前記インナパネルは、更に、前記各ビードの端部にて前記ビードの底面から盛り上がって前記ビードの両側面間に架け渡されるように設けられ、前記ビードの底面からの高さが前記第1のマスチック座面よりも低い中間ビードを有することを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の車輌用フードパネル。
【請求項7】
前記インナパネルは、更に、前記複数本のビードを取り囲む前記外周座面の内縁に沿って設けられ前記外周座面から上方に段差状に形成された外周段差を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の車輌用フードパネル。
【請求項8】
前記インナパネルは、板厚が0.5乃至1.5mmのアルミニウム又はアルミニウム合金板又は板厚が0.4乃至1.0mmの鋼板から成形されたものであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の車輌用フードパネル。
【請求項9】
前記ビードの底面は、前記マスチック座面から5乃至30mm深い位置に設けられていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の車輌用フードパネル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−210909(P2012−210909A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78650(P2011−78650)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】
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