説明

車輌用フードロック装置

【課題】
高強度で耐久性があり、且つ軽量で作業性が優れ主要部材を共通化可能にし安価で操作性、安全性の優れた車輌用フードロック装置を提供する。
【解決手段】
本発明に係る車輌用フードロック装置は、ベースプレートに回動可能に枢支されたラッチでフードに固定したストライカと係合してフードを全閉位置でロックし、この全閉位置のロックが解除されて僅かに開放された半開状態を保持し、さらに半開位置のロックを解除して全開となるロック機構を備えた車輌用フードロック装置において、
前記ロック装置のロックレバーを、フックレバー部とセーフティレバー部を高強度合成樹脂で一体に連成し、セーフティレバー部の先端にフラットな面の操作部を形成してなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のボンネットやトランク、或いはエンジンフード等の車輌用フードロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のボンネットロック装置は、ボンネットを全閉位置でロックし、この全閉位置からロックが解除された僅かに開放された半開位置を保持し、さらに半開位置のロックを解除して全開となるロック機構を備えており、このロック機構に半開位置のロックを手動で操作してボンネットのロック開放を操作するロックレバーが設けられている。
【0003】
このようなロックレバーはフック側に強大な力が作用するのでフックレバーを強度の高い耐久性のある金属でつくり、対応するセーフティレバー部側は合成樹脂で別体に形成して夫々を1本の支持軸に取付けるようにしたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−60918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記した従来のフックレバーとセーフティレバーを金属と合成樹脂で別体に形成して個別に支持軸に取付けるものでは、金属と合成樹脂で別個に製作する手間及び支持軸に対して軸方向に並べて取付けられるため取付スペースが大きくなって不利であり、生産コストが嵩むという問題がある。
【0006】
また、セーフティレバーは2段目のロックを手動で操作するため、車輌のタイプや大きさ等車種によって異なるため夫々に対応した多種類のものが必要となる。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、フックレバー部とセーフティレバー部を含むロックレバーを高強度合成樹脂により一体形成し、支持軸に対して最小のスペースで取付け可能な且つ過大な荷重、衝撃に対して強度上問題がなく而も車種等が制約されず統一化を可能にした従来より安価で歩留りのよい車輌用フードロック装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る車輌用フードロック装置は、ベースプレートに回動可能に枢支されたラッチでフードに固定したストライカと係合してフードを全閉位置でロックし、この全閉位置のロックが解除されて僅かに開放された半開状態を保持し、さらに半開位置のロックを解除して全開となるロック機構を備えた車輌用フードロック装置において、前記ロック装置のロックレバーを、フックレバー部とセーフティレバー部を高強度合成樹脂で一体に連成し、セーフティレバー部の先端にフラットな面の操作部を形成してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る車輌用フードロック装置によれば、ロックレバー全体を高強度合成樹脂で一体形成されることで強度があり耐久性の高いロックレバーを従来よりも簡単に構成でき安価で品質の高い製品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る車輌用フードロック装置の実施形態を示す正面からみた斜視図
【図2】図1の背面側からみた正面図
【図3】ロックレバーの斜視図
【図4】(a)はロックレバーの正面図、(b)はロックレバーの他の実施例の正面図
【図5】(a)は図4(a)におけるA−A矢視の断面図、(b)(c)は図5(a)のB部拡大図で夫々結合前の状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施例)
図1は、本発明の好ましい実施例の車輌用フードロック装置の斜視図である。図2は、図1の車輌用フードロック装置を背面側からみた正面図である。
【0012】
上記実施例の車輌用フードロック装置は図2において、車体側のベースプレート10に2本の支持軸11、12を突設し、夫々にラッチ20及び解除レバー21を回動可能に取付け、解除レバー21をワイヤー30で操作する機構とベースプレート10の背面側に設けたロックレバー40とで構成される。
【0013】
ロックレバー40は、ボンネット側に固定されたストライカ50に係合するフック41aを先端に備えたフックレバー部41と、指で操作する操作部42aを備えたセーフティレバー部42とよりなり、下部のほぼ中間の基端部をベースプレート10に立設した支持軸43に回動可能に取付け、セーフティレバー部42とベースプレート10の間に牽引ばね13を設け、ばねの附勢でフック41aをストライカ50に係合し操作部42aを指で引上げるとフック41aがストライカ50から離脱する。
【0014】
ボンネットが全閉状態のときはボンネットに固定されたストライカ50がラッチ20の係止凹所20aに係合ロックされ強力ばね14と解除レバー21とで保持されている。ボンネットを開くときはワイヤー30の牽引で補助ばね15の附勢に抗して解除レバー21が解除方向(図2で反時計方向)へ回動するのに伴いラッチ20が強力ばね14の力で同方向へ回動しこれによりストライカ50が係止凹所20aから離脱してロックレバー41のフック41aに係合される。つまりボンネットは全閉位置から僅かに開放された半開状態になり、この状態が保持される。
【0015】
フックレバー部41とこれに相対する位置にセーフティレバー部42とを備えたロックレバー40は、全体を高強度合成樹脂により一体形成する。例えばこのようなロックレバーの材料としてはナイロン超高強度(JF−30G)が好適であり、その他、高度に強化されたABS樹脂のような合成樹脂材を利用する。
【0016】
フックレバー部41には上部の先端に内向き鉤形のフック41aを備え、セーフティレバー部42には上部の先端にフラットな面の板片からなる操作部42aを設ける。両レバー部の下端中央部に取付孔44を設けてこの取付孔44をベースプレート10に突設した支持軸43に嵌挿しロックレバー40を回動可能に支持させる
【0017】
セーフティレバー部42の上端部の操作部42aはセーフティレバー部に対する位置や形、大きさが様々に変化したものと取替えできるようにレバー部の上端に近い部位に一方には挿し部42bを、対向する他方には受け部42cを突き合せ状に形成して両者を強制圧入して結合させる。挿し部42bと受け部42cとの嵌合部に係止片42dと係止凹所42eからなる抜止め手段を設ける。この抜止め手段により一旦強制圧入して結合すると分離不能に結合され一体となる。
【0018】
上記の構成とすることにより、フックレバー部と操作部を除くセーフティレバー部を一体に有する部材(T)に対して、セーフティレバー部の上部先端に取付ける操作部を含む部材(S)を形や大きさ等車種に応じたものを多数用意して適応するものを前記の部材(T)に取付けることができる。(図4(a)、同(b)参照)
【0019】
前記ロックレバー40には両レバー部41、42に補強リブ41R、42Rを形成する。特にフックレバー部41側には更にフラットな板面に対し斜交又は直交するように細巾の補強リブ41rを形成する。
【0020】
上記の構成とすることにより、本発明の車輌用フードロック装置のロックレバー40は従来のロックレバーに較べても大きな強度と耐久性を備え軽量で安価な製品を提供することができる。
【0021】
また、ロックレバー40は全体が高強度合成樹脂製であり、そのため特にセーフティレバー部42の先端のフラットな面の操作部42aは合成樹脂の地肌がそのまま露出するから、これにゴムキャップのようなクッション補助材を被せなくてもソフトタッチで指掛りがよく、ケガの心配も少ない。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明の車輌用フードロック装置は、従来のものに比べて構成が単純でフードロックの操作性が優れており、また取付けスペースの制限を受けず車種の変化に対応した主要部品の共通化を図ることができる。また組立性にも優れ工場での作業性を大きく向上させるものとして、その産業上の利用可能性は極めて大きい。
【符号の説明】
【0023】
10 ベースプレート
11、12 支持軸
13 牽引ばね
14 強力ばね
15 補助ばね
20 ラッチ
20a 係止凹所
21 解除レバー
30 ワイヤー
40 ロックレバー
41 フックレバー部
41a フック
41R、41r 補強リブ
42 セーフティレバー部
42a 操作部

42b 挿し部
42c 受け部
42d 係止片
42e 係止凹所
43 支持軸
44 取付孔
50 ストライカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースプレートに回動可能に枢支されたラッチでフードに固定したストライカと係合してフードを全閉位置でロックし、この全閉位置のロックが解除されて僅かに開放された半開状態を保持し、さらに半開位置のロックを解除して全開となるロック機構を備えた車輌用フードロック装置において、
前記ロック装置のロックレバーを、フックレバー部とセーフティレバー部を高強度合成樹脂で一体に連成し、セーフティレバー部の先端にフラットな面の操作部を形成してなることを特徴とする車輌用フードロック装置。
【請求項2】
前記ロックレバーのセーフティレバー部に挿し部と受け部が強制圧入で一体に結合されてなる前記請求項1記載の車輌用フードロック装置。
【請求項3】
前記ロックレバーのフックレバー部とセーフティレバー部に補強リブを形成してなる前記請求項1記載の車輌用のフードロック装置。
【請求項4】
前記ロックレバーの特にフックレバー部に補強リブを形成してなる請求項1記載の車輌用フードロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−174246(P2011−174246A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−37521(P2010−37521)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(000192914)株式会社神菱 (6)
【Fターム(参考)】