車輌用放電灯
【課題】 リークの発生を防止する。
【解決手段】 発光管19の一対のピンチシール部21、21にモリブデン箔23、23を封止した状態で配置し、電極22を、ピンチシール部に封止された被封止部28と発光管の発光部20に突出された突出部29とモリブデン箔に溶接された溶接部30とによって構成し、被封止部を第1の中間領域28aと両端部である端部領域28b、28bと第1の中間領域と端部領域の間に位置する第2の中間領域28c、28cとに区分し、第1の中間領域と第2の中間領域のうちの少なくとも第2の中間領域に凹状又は凸状の加工部31を形成し、第1の中間領域の外周面の面積に対する加工部の形成面積の占有率を第2の中間領域の外周面の面積に対する加工部の形成面積の占有率より小さくした。
【解決手段】 発光管19の一対のピンチシール部21、21にモリブデン箔23、23を封止した状態で配置し、電極22を、ピンチシール部に封止された被封止部28と発光管の発光部20に突出された突出部29とモリブデン箔に溶接された溶接部30とによって構成し、被封止部を第1の中間領域28aと両端部である端部領域28b、28bと第1の中間領域と端部領域の間に位置する第2の中間領域28c、28cとに区分し、第1の中間領域と第2の中間領域のうちの少なくとも第2の中間領域に凹状又は凸状の加工部31を形成し、第1の中間領域の外周面の面積に対する加工部の形成面積の占有率を第2の中間領域の外周面の面積に対する加工部の形成面積の占有率より小さくした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車輌用放電灯に関する。詳しくは、電極の一部に凹状又は凸状の加工部を形成すると共に加工部の形成状態を形成位置によって変更してリークの発生を防止する技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
車輌用前照灯には、例えば、光源として白熱灯(白熱バルブ)又はハロゲン灯(ハロゲンバルブ)が用いられたタイプ、光源として放電灯(放電バルブ)が用いられたタイプ又は光源として発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)が用いられたタイプがある。
【0003】
光源として放電灯が用いられた車輌用前照灯にあっては、放電灯が白熱灯、ハロゲン灯、発光ダイオードに比較して光量が大きく、かつ、輝度が高いため、大光量の前照灯を実現することができると言う長所がある。
【0004】
放電灯は、一対の電極を保持し内部に希ガス等の気体や金属ハロゲン化物が封入された発光管が外管の内部に配置された2重管構造となっている。発光管は内部において放電が行われる発光部と該発光部を挟んで反対側に設けられた一対のピンチシール部とが石英ガラス等の材料によって形成され、ピンチシール部により発光部が外部から遮断されている。発光部は放電が行われたときにアークが発生する部分であり、ピンチシール部の径より大きくされている。
【0005】
一対の電極は一端部が発光部の内部に突出され、他の部分がそれぞれ一対のピンチシール部に封止されている。一対の電極の他端部は一対のピンチシール部にそれぞれ封止された各モリブデン箔に溶接されている。
【0006】
放電灯にあっては、発光管に保持された一対の電極に所定の起動電圧が印加され、発光管の発光部において放電が行われることにより点灯が開始される。
【0007】
このような放電灯においては、発光管を外部から完全に遮断するためにモリブデン箔によってピンチシールしている。
【0008】
モリブデン箔は繰り返しの点消灯によって発生する温度変化によるピンチシール部の石英ガラスとの熱膨張率の相違による応力を最小限にするため、非常に薄い箔とされている。
【0009】
しかしながら、数万回の点消灯を繰り返すと、応力が徐々にモリブデン箔と石英ガラスを剥離させ(クラックが生じ)、最終的にはリーク不灯になる(寿命となる。)。
【0010】
このモリブデン箔の不灯を防止し、長寿命化を図るためには、
(1)モリブデン箔と石英ガラスの密着性を高くする方法
(2)モリブデン箔を発光部から離す、即ち、電極を長くする方法
の主に二通りの方法がある。
【0011】
しかしながら、モリブデン箔と石英ガラスの密着性を高くする(1)の方法では、電極と石英ガラスの密着性も高くなるため、繰り返し行われる点消灯によって発生する温度変化により、電極とピンチシール部の熱膨張率の相違により応力が生じ、電極周りのピンチシール部にクラックが生じ、リーク不灯になることがある。
【0012】
近年、環境に配慮して発光管に水銀が封入されていない放電灯が用いられることが多いが、このような放電灯にあっては、水銀が封入されていないために管電圧が上昇せず、その結果、管電流が高くなり、それに対応するために電極の外径が大きくされている。そのため、電極とピンチシール部の間に発生する応力がさらに大きくなり、ピンチシール部にクラックが生じる可能性が高くなり、リーク不灯が発生し易くなってしまう。
【0013】
逆に、モリブデン箔と石英ガラスの密着性を弱くすると、寿命が短くなるばかりか、電極と石英ガラスの間に隙間が生じ、そこからのリーク不灯が発生する可能性もある。
【0014】
また、モリブデン箔を発光部から離す、即ち、電極を長くする(2)の方法では、電極と石英ガラスの密着する長さが長くなるため、電極とピンチシール部の間に発生する応力が増加し、電極周りのピンチシール部にクラックが発生し、リーク不灯が生じ易くなってしまう。
【0015】
このような電極からのクラックによるリークの発生を防止するために、従来の放電灯として、電極に金属線をコイル状に巻き付けて電極とピンチシール部の内面との間に微少な隙間を形成し、電極と石英ガラスの適度な密着性を確保しつつシール性も確保することにより、リーク不灯を防止して長寿命化を図るようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0016】
【特許文献1】特開2008−181844号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
ところが、特許文献1に記載された放電灯にあっては、放電灯の点灯時における高圧により発光部に封入された金属ハロゲン化物(ヨウ化物)が気体の状態で電極とピンチシール部の内面との間に形成された隙間に侵入してモリブデン箔まで達してしまう。ヨウ化物がモリブデン箔まで達すると、消灯時にヨウ化物が固化することによりモリブデン箔をピンチシール部から剥離する応力が生じ、ピンチシール部とモリブデン箔の密着性の低下によるモリブデン箔の封止部付近からのリーク(箔リーク)を生じ、リーク不灯となり短寿命になる。
【0018】
そこで、本発明車輌用放電灯は、リークの発生を防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
車輌用放電灯は、上記した課題を解決するために、発光管は希ガスと金属ハロゲン化物が封入された発光部と該発光部を挟んだ反対側において前記発光部に連続して設けられた一対のピンチシール部とを有し、前記発光管の一対のピンチシール部にそれぞれモリブデン箔が封止された状態で配置され、一対の電極は、前記発光管の一対のピンチシール部にそれぞれ封止された被封止部と、該被封止部の各一端に連続し前記発光管の発光部に突出された突出部と、前記被封止部の各他端に連続し前記各モリブデン箔にそれぞれ溶接された溶接部とから成り、前記被封止部を、前記電極の軸方向における中間に位置する第1の中間領域と、前記軸方向における両端部である二つの端部領域と、前記第1の中間領域と前記端部領域の間にそれぞれ位置する二つの第2の中間領域とに区分し、前記第1の中間領域と前記第2の中間領域のうちの少なくとも第2の中間領域に凹状又は凸状の加工部を形成し、前記第1の中間領域の外周面の面積に対する前記加工部の形成面積の占有率を前記第2の中間領域の外周面の面積に対する前記加工部の形成面積の占有率より小さくしたものである。
【0020】
従って、車輌用放電灯にあっては、電極の第1の中間領域のピンチシール部に対する密着性が向上し金属ハロゲン化物がモリブデン箔側へ侵入しない。
【発明の効果】
【0021】
本発明車輌用放電灯は、外管と該外管の内部に配置され石英ガラスによって形成された発光管と該発光管の内部に配置された一対の電極とを備え前記発光管の内部に水銀が封入されていない車輌用放電灯であって、前記発光管は希ガスと金属ハロゲン化物が封入された発光部と該発光部を挟んだ反対側において前記発光部に連続して設けられた一対のピンチシール部とを有し、前記発光管の一対のピンチシール部にそれぞれモリブデン箔が封止された状態で配置され、前記一対の電極は、前記発光管の一対のピンチシール部にそれぞれ封止された被封止部と、該被封止部の各一端に連続し前記発光管の発光部に突出された突出部と、前記被封止部の各他端に連続し前記各モリブデン箔にそれぞれ溶接された溶接部とから成り、前記被封止部を、前記電極の軸方向における中間に位置する第1の中間領域と、前記軸方向における両端部である二つの端部領域と、前記第1の中間領域と前記端部領域の間にそれぞれ位置する二つの第2の中間領域とに区分し、前記第1の中間領域と前記第2の中間領域のうちの少なくとも第2の中間領域に凹状又は凸状の加工部を形成し、前記第1の中間領域の外周面の面積に対する前記加工部の形成面積の占有率を前記第2の中間領域の外周面の面積に対する前記加工部の形成面積の占有率より小さくしたことを特徴とする。
【0022】
従って、第1の中間領域のピンチシール部との高い密着性により金属ハロゲン化物がモリブデン箔側に侵入し難くなって箔リークを防止することができ、第2の中間領域のピンチシール部との低い密着性により電極リークを防止することができる。
【0023】
請求項2に記載した発明にあっては、前記電極の軸方向における長さを8mm以上とし、前記突出部側に位置する前記端部領域の前記軸方向における長さを0.5mm乃至1.0mmとし、前記溶接部側に位置する前記端部領域の前記軸方向における長さを0.5mm乃至1.0mmとし、前記第1の中間領域の前記軸方向における長さを0.5mm乃至1.0mmとしている。
【0024】
従って、電極リーク及び箔リークの発生を防止して放電灯の点灯状態の安定化及び長寿命化を図ることができる。
【0025】
請求項3に記載した発明にあっては、前記第2の中間領域のみに前記加工部を形成したので、第1の中間領域のピンチシール部に対する密着性の一層の向上が図られ、箔リークの防止効果を向上させることができる。
【0026】
請求項4に記載した発明にあっては、前記二つの第2の中間領域の前記軸方向における長さを同じにし、前記二つの端部領域の前記軸方向における長さを同じにし、前記第1の中間領域の前記軸方向における中央を前記電極の前記軸方向における中央に一致させている。
【0027】
従って、電極が軸方向において対称な構成となり、発光管に対する組付時に組付方向に関する管理を行う必要がなく、組付性及び製造管理の容易化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下に、本発明車輌用放電灯を実施するための最良の形態について添付図面を参照して説明する。車輌用放電灯は車輌用前照灯に備えられている。
【0029】
車輌用前照灯1は、車体の前端部における左右両端部に取り付けられて配置されている。
【0030】
車輌用前照灯1は、図1に示すように、前方に開口された凹部を有するランプハウジング2と該ランプハウジング2の開口面を閉塞するカバー3とを備え、ランプハウジング2とカバー3によって灯具外筐4が構成されている。灯具外筐4の内部空間は灯室5として形成されている。
【0031】
ランプハウジング2の後端部には前後に貫通された挿通孔2aが形成され、該挿通孔2aはバックカバー6によって閉塞されている。ランプハウジング2の下端部には上下に貫通された配置孔2bが形成されている。
【0032】
灯室5には、図示しない光軸調整機構によってリフレクター7が傾動可能に支持されている。リフレクター7の後端部には前後に貫通された取付孔7aが形成されている。
【0033】
リフレクター7の取付孔7aには放電灯(車輌用放電灯)8が取り付けられている。
【0034】
ランプハウジング2の配置孔2bには放電灯点灯装置9が取り付けられている。放電灯点灯装置9は、ケース体10の内部に図示しない点灯回路が収納されて成る。ケース体10の外周面には入力側コネクター11が設けられ、ケース体10の上面には出力側コネクター12が設けられている。入力側コネクター11は図示しない電源供給回路に接続されている。
【0035】
出力側コネクター12は給電コード13を介して始動装置14に接続され、該始動装置14のコネクター14aが放電灯8の後述するソケットに接続されている。
【0036】
放電灯8の点灯は、電源供給回路の電源電圧を放電灯点灯装置9の点灯回路によって昇圧すると共に直交変換して高圧の交流電圧である点灯電圧(起動電圧)とし、給電コード13及び始動装置14を介して放電灯8に点灯電圧を印加し、放電が開始されることによって行われる。
【0037】
灯室5には該灯室5に配置された各部の一部を遮蔽するためのエクステンション15が設けられている。灯室5には放電灯8から出射される光の一部を遮蔽する図示しないシェードが配置されている。
【0038】
放電灯8は本体16がソケット17に接続されることにより構成されている(図2参照)。
【0039】
本体16は外管18と該外管18の内部に配置された発光管19とを有し、外管18と発光管19が石英ガラスによって一体に形成されている。
【0040】
外管18は発光管19等を覆う閉塞部18aと該閉塞部18aの前端部から前方へ突出された保持部18bとよって形成されている。
【0041】
発光管19は、例えば、内容積22μl、内径2.6mmとされた発光部20と該発光部20の前後両端にそれぞれ連続するピンチシール部21、21とによって形成されている。ピンチシール部21、21はそれぞれ前後に延びる略円筒状に形成され、外径が発光部20の外径より小さくされている。
【0042】
発光部20の内部には金属ハロゲン化物として、例えば、NaI、ScI3、ScBr3、InI、ZnI2が、それぞれ58:12.8:20:0.2:9の封入比率(重量%)で0.3mg封入されると共に希ガスとしてXeが15.5気圧の圧力で封入されている。尚、発光部20には水銀は封入されていない。
【0043】
ピンチシール部21、21にはそれぞれ前後に長い略丸軸状に形成され、例えば、0.1%の酸化ナトリウムを含み、直径0.3mm〜0.4mm、全長6〜8mmとされた電極22、22が、例えば、4.2mmの間隔で保持されている。
【0044】
ピンチシール部21、21には、例えば、幅1.5mm、厚さ20μmのモリブデン箔23、23がそれぞれ封止され、該モリブデン箔23、23の一端部にはそれぞれ電極22、22が溶接されている。
【0045】
前側に位置するモリブデン箔23の前端部には第1のリード線24が接続されている。第1のリード線24は発光管19の前側のピンチシール部21から前方へ突出され、保持部18bを貫通されて外管18の外部へ突出され、この突出された部分が接続部24aとして設けられている。第1のリード線24の接続部24aは外部リード線25に溶接されて接続されている。
【0046】
外部リード線25は上下に延びる垂直部25aと該垂直部25aの下端に連続し前後に延びる水平部25bとから成り、垂直部25aの上端部が第1のリード線24の接続部24aに接続され、水平部25bの後端部がソケット17に設けられた図示しない第1の接続端子に接続されている。
【0047】
外部リード線25の水平部25bには絶縁スリーブ26が被着されている。絶縁スリーブ26は、例えば、ガラス又はセラミック等の絶縁材料によって形成されている。
【0048】
後側に位置するモリブデン箔23の後端部には前後に延びる第2のリード線27が接続されている。第2のリード線27は発光管19の後側のピンチシール部21から後方へ突出されている。第2のリード線27の後端部はソケット17に設けられた図示しない第2の接続端子に接続されている。
【0049】
電極22は、図3に示すように、軸方向における両端部を除く部分が被封止部28として設けられ、軸方向における一端部が発光部20の内部に突出された突出部29として設けられ、軸方向における他端部がモリブデン箔23に溶接された溶接部30として設けられている。
【0050】
被封止部28は発光管19のピンチシール部21に封止される。被封止部28は、軸方向における中間に位置する第1の中間領域28aと、軸方向における両端部である二つの端部領域28b、28bと、第1の中間領域28aと端部領域28b、28bの間にそれぞれ位置する二つの第2の中間領域28c、28cとに区分されている。
【0051】
被封止部28の第1の中間領域28aと第2の中間領域28c、28cには、例えば、金属線(コイル)が螺旋状に巻き付けられて凸状の加工部31とされている。金属線の直径は、例えば、0.05mmとされている。加工部31は軸方向において隣り合う金属線間の距離であるピッチが第1の中間領域28aと第2の中間領域28cとでは異なるようにされている。
【0052】
即ち、加工部31の第1の中間領域28aにおけるピッチP1は第2の中間領域28cにおけるピッチP2より大きくされ、第1の中間領域28aの外周面の面積に対する加工部31の形成面積の占有率が第2の中間領域28cの外周面の面積に対する加工部31の形成面積の占有率より小さくされている。従って、ピンチシール部21に対する密着性が第2の中間領域28cより第1の中間領域28aの方が高くされている。
【0053】
尚、螺旋状の加工部31の形成は、例えば、丸軸状の電極棒を軸回り方向に回転させると共に軸方向へ移動させた状態で金属線を巻き付けることにより行うことができ、加工部31を螺旋状にすることにより電極22の形成を容易に行うことができる。
【0054】
電極22は、軸方向における長さが8mm以上とされ、直径が、例えば、0.35mmとされている。電極22は、図4に示すように、発光管19のピンチシール部21に保持された状態において、被封止部28と溶接部30がピンチシール部21に封止され、突出部29が発光部20に突出されている。
【0055】
被封止部28は、例えば、第1の中間領域28aの軸方向における長さが0.5mm乃至1.0mmとされ、端部領域28b、28bの軸方向における長さがそれぞれ0.5mm乃至1.0mmとされている。
【0056】
電極22は上記のように形成されており、被封止部28の第2の中間領域28c、28cに、形成面積の占有率が高い状態で凸状の加工部31が形成されている。従って、凸状の加工部が形成されていない平坦な状態で電極がピンチシール部21に密着されている場合に比し、ピンチシール部21に対する密着性が低くなる。従って、放電灯8の点消灯時に、第2の中間領域28c、28cとピンチシール部21が密着された部分に発生する応力が小さくなり、生じ得るクラックが小さな所謂マイクロクラックであり、大きなクラックが生じ難い。
【0057】
一方、被封止部28の第1の中間領域28aには、形成面積の占有率が低い状態で凸状の加工部31が形成されている。従って、第1の中間領域28aとピンチシール部21の密着性が高く、第1の中間領域28aとピンチシール部21の間に隙間が生じ難く、発光部20に封入されている金属ハロゲン化物がモリブデン箔23側に侵入し難い。
【0058】
また、ピンチシール部21に封止されている端部領域28b、28bには加工部31が形成されていないため、端部領域28b、28bのピンチシール部21との密着性が非常に高くされている。従って、端部領域28b、28bとピンチシール部21の間にも隙間が生じ難く、発光部20に封入されている金属ハロゲン化物がピンチシール部21の内部に侵入し難い。
【0059】
以上に記載した通り、放電灯8にあっては、電極22を被封止部28、突出部29及び溶接部30によって構成し、被封止部28に加工部31を形成し、第1の中間領域28aの外周面の面積に対する加工部31の形成面積の占有率を第2の中間領域28c、28cの外周面の面積に対する加工部31の形成面積の占有率より小さくしている。
【0060】
従って、第1の中間領域28aのピンチシール部21との高い密着性により金属ハロゲン化物がモリブデン箔23側に侵入し難くなって箔リークを防止することができ、第2の中間領域28c、28cのピンチシール部21との低い密着性により電極リークを防止することができ、リークの発生の防止による放電灯8の点灯状態の安定化及び長寿命化を図ることができる。
【0061】
また、被封止部28の端部領域28b、28bのピンチシール部21に対する高い密着性により、箔リークの発生の防止効果の向上を図ることができる。
【0062】
尚、電極22にあっては、第1の中間領域28aの軸方向における中央を電極22の軸方向における中央に一致させ、第2の中間領域28c、28cの軸方向における長さを同じにし、端部領域28b、28bの軸方向における長さを同じにすることが望ましい。
【0063】
電極22をこのように構成することにより、電極22が軸方向において対称な構成となり、発光管19に対する組付時に組付方向に関する管理を行う必要がなく、組付性及び製造管理の容易化を図ることができる。
【0064】
以下に、放電灯8の電極リークと箔リークの発生時間を測定した試験の結果について説明する(図5参照)。この試験は、3分間の点灯状態と4分間の消灯状態を1サイクルとして繰り返し点消灯を行う加速寿命試験であり、800時間を基準として良否の判定を行った。試験には、長さが8.0mmの3本のサンプル(電極)を用いた。
【0065】
図5の各表において、「電極リーク」は電極からのリークの発生により放電灯8が点灯しなくなった時間(寿命時間)を表し、「箔リーク」はモリブデン箔からのリークの発生により放電灯8が点灯しなくなった時間(寿命時間)を表している。
【0066】
図5の(a)は、電極22の突出部29側における端部領域28bの長さを変更したときの電極リークと箔リークの発生時間を測定した結果である。
【0067】
測定は溶接部30側の端部領域28bの長さを1.0mmとし、直径が0.05mmの金属線を第1の中間領域28aと第2の中間領域28c、28cの全体(4.0mm)に亘って0.15mmのピッチで巻き付け、突出部29側における端部領域28bの長さを変更することにより行った。
【0068】
突出部29側における端部領域28bの長さが0.3mmの場合には、「箔リーク」の発生時間が800時間に至らないサンプルがあり、突出部29側における端部領域28bの長さが1.2mmの場合には、「電極リーク」の発生時間が20時間であり、何れも良好な結果が得られなかった。
【0069】
一方、突出部29側における端部領域28bの長さが0.5mmと1.0mmの場合には、「電極リーク」及び「箔リーク」の何れについても良好な結果が得られた。
【0070】
図5の(b)は、電極22の溶接部30側における端部領域28bの長さを変更したときの電極リークと箔リークの発生時間を測定した結果である。
【0071】
測定は突出部29側の端部領域28bの長さを1.0mmとし、直径が0.05mmの金属線を第1の中間領域28aと第2の中間領域28c、28cの全体(4.0mm)に亘って0.15mmのピッチで巻き付け、溶接部30側における端部領域28bの長さを変更することにより行った。
【0072】
溶接部30側における端部領域28bの長さが0.3mmの場合には、「箔リーク」の発生時間が800時間に至らないサンプルがあり、溶接部30側における端部領域28bの長さが1.2mmの場合には、「電極リーク」の発生時間が130時間であり、何れも良好な結果が得られなかった。
【0073】
一方、溶接部30側における端部領域28bの長さが0.5mmと1.0mmの場合には、「電極リーク」及び「箔リーク」の何れについても良好な結果が得られた。
【0074】
図5の(c)は、電極22の第1の中間領域28aの長さを変更したときの電極リークと箔リークの発生時間を測定した結果である。この測定においては、第1の中間領域28aを、加工部31を全く形成しない領域とした。
【0075】
測定は端部領域28b、28bの長さをそれぞれ0.5mmとし、直径が0.05mmの金属線を第2の中間領域28c、28cの全体に亘ってそれぞれ0.15mmのピッチで巻き付け、第1の中間領域28aの長さを変更することにより行った。
【0076】
第1の中間領域28aの長さが0mm、即ち、第1の中間領域28aを形成しなかった場合には、「箔リーク」の発生時間が800時間に至らないサンプルがあり、第1の中間領域28aの長さが1.2mmの場合には、「電極リーク」の発生時間が15時間であり、何れも良好な結果が得られなかった。
【0077】
一方、第1の中間領域28aの長さが0.5mmと1.0mmの場合には、「電極リーク」及び「箔リーク」の何れについても良好な結果が得られた。
【0078】
図5の(d)は、電極22の長さを変更したときの電極リークと箔リークの発生時間を測定した結果である。
【0079】
測定は端部領域28b、28bの長さをそれぞれ1.0mmとし、直径が0.05mmの金属線を第1の中間領域28aと第2の中間領域28c、28cの全体(4.0mm)に亘って0.15mmのピッチで巻き付け、電極22の長さを変更することにより行った。
【0080】
電極22の長さが7.5mmの場合には、「箔リーク」の発生時間が800時間に至らないサンプルがあり、良好な結果が得られなかった。
【0081】
一方、電極22の長さが8.0mmと8.5mmの場合には、「電極リーク」及び「箔リーク」の何れについても良好な結果が得られた。
【0082】
上記の測定結果に示したように、電極22の軸方向における長さを8mm以上とし、突出部29側に位置する端部領域28bの軸方向における長さを0.5mm乃至1.0mmとし、溶接部30側に位置する端部領域28bの軸方向における長さを0.5mm乃至1.0mmとし、第1の中間領域28aの軸方向における長さを0.5mm乃至1.0mmとすることにより、電極リーク及び箔リークの発生を防止して放電灯8の点灯状態の安定化及び長寿命化を図ることができる。
【0083】
上記には、電極22の被封止部28に金属線をコイル状に巻き付けて凸状の加工部31を形成した例を示したが、逆に、図6に示すように、電極22Aとして被封止部28に溝を形成することにより、例えば、螺旋状にされた凹状の加工部31Aを形成してもよい。
【0084】
凸状の加工部31に代えて凹状の加工部31Aを形成した場合にも、平坦な状態で電極がピンチシール部21に密着されている場合に比し、第2の中間領域28c、28cのピンチシール部21に対する密着性が低くなり、大きなクラックの発生を抑制することができる。
【0085】
尚、螺旋状の加工部31Aの形成は、例えば、丸軸状の電極棒を軸回り方向に回転させると共に軸方向へ移動させた状態でレーザー光を照射することにより溝を形成して行うことができ、加工部31を螺旋状にすることにより電極22の形成を容易に行うことができる。
【0086】
また、図7に示すように、加工部31Aは第2の中間領域28c、28cのみに形成し、第1の中間領域28aには加工部31Aを形成しないようにすることも可能である。
【0087】
このように加工部31Aを第2の中間領域28c、28cのみに形成することにより、第1の中間領域28aのピンチシール部21に対する密着性の一層の向上が図られ、箔リークの防止効果を向上させることができる。
【0088】
尚、上記した金属線をコイル状に巻き付けて形成した電極22においても、2本の金属線を第2の中間領域28c、28cにそれぞれ巻き付けて加工部31、31を形成し、第1の中間領域28aには加工部31を形成しないようにすることも可能である。
【0089】
上記した発明を実施するための最良の形態において示した各部の形状及び構造は、何れも本発明を実施するに際して行う具体化のほんの一例を示したものにすぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】図2乃至図7と共に本発明車輌用放電灯の最良の形態を示すものであり、本図は、車輌用前照灯の概略断面図である。
【図2】一部を断面にして示す放電灯の拡大側面図である。
【図3】電極の拡大側面図である。
【図4】放電灯の一部を示す拡大断面図である。
【図5】放電灯の電極リークと箔リークの発生時間を測定した試験の結果を示す図表である。
【図6】電極の別の例を示す拡大側面図である。
【図7】電極のまた別の例を示す拡大側面図である。
【符号の説明】
【0091】
8…放電灯(車輌用放電灯)、18…外管、19…発光管、20…発光部、21…ピンチシール部、22…電極、23…モリブデン箔、28…被封止部、28a…第1の中間領域、28b…端部領域、28c…第2の中間領域、29…突出部、30…溶接部、31…加工部、22A…電極、31A…加工部
【技術分野】
【0001】
本発明は車輌用放電灯に関する。詳しくは、電極の一部に凹状又は凸状の加工部を形成すると共に加工部の形成状態を形成位置によって変更してリークの発生を防止する技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
車輌用前照灯には、例えば、光源として白熱灯(白熱バルブ)又はハロゲン灯(ハロゲンバルブ)が用いられたタイプ、光源として放電灯(放電バルブ)が用いられたタイプ又は光源として発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)が用いられたタイプがある。
【0003】
光源として放電灯が用いられた車輌用前照灯にあっては、放電灯が白熱灯、ハロゲン灯、発光ダイオードに比較して光量が大きく、かつ、輝度が高いため、大光量の前照灯を実現することができると言う長所がある。
【0004】
放電灯は、一対の電極を保持し内部に希ガス等の気体や金属ハロゲン化物が封入された発光管が外管の内部に配置された2重管構造となっている。発光管は内部において放電が行われる発光部と該発光部を挟んで反対側に設けられた一対のピンチシール部とが石英ガラス等の材料によって形成され、ピンチシール部により発光部が外部から遮断されている。発光部は放電が行われたときにアークが発生する部分であり、ピンチシール部の径より大きくされている。
【0005】
一対の電極は一端部が発光部の内部に突出され、他の部分がそれぞれ一対のピンチシール部に封止されている。一対の電極の他端部は一対のピンチシール部にそれぞれ封止された各モリブデン箔に溶接されている。
【0006】
放電灯にあっては、発光管に保持された一対の電極に所定の起動電圧が印加され、発光管の発光部において放電が行われることにより点灯が開始される。
【0007】
このような放電灯においては、発光管を外部から完全に遮断するためにモリブデン箔によってピンチシールしている。
【0008】
モリブデン箔は繰り返しの点消灯によって発生する温度変化によるピンチシール部の石英ガラスとの熱膨張率の相違による応力を最小限にするため、非常に薄い箔とされている。
【0009】
しかしながら、数万回の点消灯を繰り返すと、応力が徐々にモリブデン箔と石英ガラスを剥離させ(クラックが生じ)、最終的にはリーク不灯になる(寿命となる。)。
【0010】
このモリブデン箔の不灯を防止し、長寿命化を図るためには、
(1)モリブデン箔と石英ガラスの密着性を高くする方法
(2)モリブデン箔を発光部から離す、即ち、電極を長くする方法
の主に二通りの方法がある。
【0011】
しかしながら、モリブデン箔と石英ガラスの密着性を高くする(1)の方法では、電極と石英ガラスの密着性も高くなるため、繰り返し行われる点消灯によって発生する温度変化により、電極とピンチシール部の熱膨張率の相違により応力が生じ、電極周りのピンチシール部にクラックが生じ、リーク不灯になることがある。
【0012】
近年、環境に配慮して発光管に水銀が封入されていない放電灯が用いられることが多いが、このような放電灯にあっては、水銀が封入されていないために管電圧が上昇せず、その結果、管電流が高くなり、それに対応するために電極の外径が大きくされている。そのため、電極とピンチシール部の間に発生する応力がさらに大きくなり、ピンチシール部にクラックが生じる可能性が高くなり、リーク不灯が発生し易くなってしまう。
【0013】
逆に、モリブデン箔と石英ガラスの密着性を弱くすると、寿命が短くなるばかりか、電極と石英ガラスの間に隙間が生じ、そこからのリーク不灯が発生する可能性もある。
【0014】
また、モリブデン箔を発光部から離す、即ち、電極を長くする(2)の方法では、電極と石英ガラスの密着する長さが長くなるため、電極とピンチシール部の間に発生する応力が増加し、電極周りのピンチシール部にクラックが発生し、リーク不灯が生じ易くなってしまう。
【0015】
このような電極からのクラックによるリークの発生を防止するために、従来の放電灯として、電極に金属線をコイル状に巻き付けて電極とピンチシール部の内面との間に微少な隙間を形成し、電極と石英ガラスの適度な密着性を確保しつつシール性も確保することにより、リーク不灯を防止して長寿命化を図るようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0016】
【特許文献1】特開2008−181844号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
ところが、特許文献1に記載された放電灯にあっては、放電灯の点灯時における高圧により発光部に封入された金属ハロゲン化物(ヨウ化物)が気体の状態で電極とピンチシール部の内面との間に形成された隙間に侵入してモリブデン箔まで達してしまう。ヨウ化物がモリブデン箔まで達すると、消灯時にヨウ化物が固化することによりモリブデン箔をピンチシール部から剥離する応力が生じ、ピンチシール部とモリブデン箔の密着性の低下によるモリブデン箔の封止部付近からのリーク(箔リーク)を生じ、リーク不灯となり短寿命になる。
【0018】
そこで、本発明車輌用放電灯は、リークの発生を防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
車輌用放電灯は、上記した課題を解決するために、発光管は希ガスと金属ハロゲン化物が封入された発光部と該発光部を挟んだ反対側において前記発光部に連続して設けられた一対のピンチシール部とを有し、前記発光管の一対のピンチシール部にそれぞれモリブデン箔が封止された状態で配置され、一対の電極は、前記発光管の一対のピンチシール部にそれぞれ封止された被封止部と、該被封止部の各一端に連続し前記発光管の発光部に突出された突出部と、前記被封止部の各他端に連続し前記各モリブデン箔にそれぞれ溶接された溶接部とから成り、前記被封止部を、前記電極の軸方向における中間に位置する第1の中間領域と、前記軸方向における両端部である二つの端部領域と、前記第1の中間領域と前記端部領域の間にそれぞれ位置する二つの第2の中間領域とに区分し、前記第1の中間領域と前記第2の中間領域のうちの少なくとも第2の中間領域に凹状又は凸状の加工部を形成し、前記第1の中間領域の外周面の面積に対する前記加工部の形成面積の占有率を前記第2の中間領域の外周面の面積に対する前記加工部の形成面積の占有率より小さくしたものである。
【0020】
従って、車輌用放電灯にあっては、電極の第1の中間領域のピンチシール部に対する密着性が向上し金属ハロゲン化物がモリブデン箔側へ侵入しない。
【発明の効果】
【0021】
本発明車輌用放電灯は、外管と該外管の内部に配置され石英ガラスによって形成された発光管と該発光管の内部に配置された一対の電極とを備え前記発光管の内部に水銀が封入されていない車輌用放電灯であって、前記発光管は希ガスと金属ハロゲン化物が封入された発光部と該発光部を挟んだ反対側において前記発光部に連続して設けられた一対のピンチシール部とを有し、前記発光管の一対のピンチシール部にそれぞれモリブデン箔が封止された状態で配置され、前記一対の電極は、前記発光管の一対のピンチシール部にそれぞれ封止された被封止部と、該被封止部の各一端に連続し前記発光管の発光部に突出された突出部と、前記被封止部の各他端に連続し前記各モリブデン箔にそれぞれ溶接された溶接部とから成り、前記被封止部を、前記電極の軸方向における中間に位置する第1の中間領域と、前記軸方向における両端部である二つの端部領域と、前記第1の中間領域と前記端部領域の間にそれぞれ位置する二つの第2の中間領域とに区分し、前記第1の中間領域と前記第2の中間領域のうちの少なくとも第2の中間領域に凹状又は凸状の加工部を形成し、前記第1の中間領域の外周面の面積に対する前記加工部の形成面積の占有率を前記第2の中間領域の外周面の面積に対する前記加工部の形成面積の占有率より小さくしたことを特徴とする。
【0022】
従って、第1の中間領域のピンチシール部との高い密着性により金属ハロゲン化物がモリブデン箔側に侵入し難くなって箔リークを防止することができ、第2の中間領域のピンチシール部との低い密着性により電極リークを防止することができる。
【0023】
請求項2に記載した発明にあっては、前記電極の軸方向における長さを8mm以上とし、前記突出部側に位置する前記端部領域の前記軸方向における長さを0.5mm乃至1.0mmとし、前記溶接部側に位置する前記端部領域の前記軸方向における長さを0.5mm乃至1.0mmとし、前記第1の中間領域の前記軸方向における長さを0.5mm乃至1.0mmとしている。
【0024】
従って、電極リーク及び箔リークの発生を防止して放電灯の点灯状態の安定化及び長寿命化を図ることができる。
【0025】
請求項3に記載した発明にあっては、前記第2の中間領域のみに前記加工部を形成したので、第1の中間領域のピンチシール部に対する密着性の一層の向上が図られ、箔リークの防止効果を向上させることができる。
【0026】
請求項4に記載した発明にあっては、前記二つの第2の中間領域の前記軸方向における長さを同じにし、前記二つの端部領域の前記軸方向における長さを同じにし、前記第1の中間領域の前記軸方向における中央を前記電極の前記軸方向における中央に一致させている。
【0027】
従って、電極が軸方向において対称な構成となり、発光管に対する組付時に組付方向に関する管理を行う必要がなく、組付性及び製造管理の容易化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下に、本発明車輌用放電灯を実施するための最良の形態について添付図面を参照して説明する。車輌用放電灯は車輌用前照灯に備えられている。
【0029】
車輌用前照灯1は、車体の前端部における左右両端部に取り付けられて配置されている。
【0030】
車輌用前照灯1は、図1に示すように、前方に開口された凹部を有するランプハウジング2と該ランプハウジング2の開口面を閉塞するカバー3とを備え、ランプハウジング2とカバー3によって灯具外筐4が構成されている。灯具外筐4の内部空間は灯室5として形成されている。
【0031】
ランプハウジング2の後端部には前後に貫通された挿通孔2aが形成され、該挿通孔2aはバックカバー6によって閉塞されている。ランプハウジング2の下端部には上下に貫通された配置孔2bが形成されている。
【0032】
灯室5には、図示しない光軸調整機構によってリフレクター7が傾動可能に支持されている。リフレクター7の後端部には前後に貫通された取付孔7aが形成されている。
【0033】
リフレクター7の取付孔7aには放電灯(車輌用放電灯)8が取り付けられている。
【0034】
ランプハウジング2の配置孔2bには放電灯点灯装置9が取り付けられている。放電灯点灯装置9は、ケース体10の内部に図示しない点灯回路が収納されて成る。ケース体10の外周面には入力側コネクター11が設けられ、ケース体10の上面には出力側コネクター12が設けられている。入力側コネクター11は図示しない電源供給回路に接続されている。
【0035】
出力側コネクター12は給電コード13を介して始動装置14に接続され、該始動装置14のコネクター14aが放電灯8の後述するソケットに接続されている。
【0036】
放電灯8の点灯は、電源供給回路の電源電圧を放電灯点灯装置9の点灯回路によって昇圧すると共に直交変換して高圧の交流電圧である点灯電圧(起動電圧)とし、給電コード13及び始動装置14を介して放電灯8に点灯電圧を印加し、放電が開始されることによって行われる。
【0037】
灯室5には該灯室5に配置された各部の一部を遮蔽するためのエクステンション15が設けられている。灯室5には放電灯8から出射される光の一部を遮蔽する図示しないシェードが配置されている。
【0038】
放電灯8は本体16がソケット17に接続されることにより構成されている(図2参照)。
【0039】
本体16は外管18と該外管18の内部に配置された発光管19とを有し、外管18と発光管19が石英ガラスによって一体に形成されている。
【0040】
外管18は発光管19等を覆う閉塞部18aと該閉塞部18aの前端部から前方へ突出された保持部18bとよって形成されている。
【0041】
発光管19は、例えば、内容積22μl、内径2.6mmとされた発光部20と該発光部20の前後両端にそれぞれ連続するピンチシール部21、21とによって形成されている。ピンチシール部21、21はそれぞれ前後に延びる略円筒状に形成され、外径が発光部20の外径より小さくされている。
【0042】
発光部20の内部には金属ハロゲン化物として、例えば、NaI、ScI3、ScBr3、InI、ZnI2が、それぞれ58:12.8:20:0.2:9の封入比率(重量%)で0.3mg封入されると共に希ガスとしてXeが15.5気圧の圧力で封入されている。尚、発光部20には水銀は封入されていない。
【0043】
ピンチシール部21、21にはそれぞれ前後に長い略丸軸状に形成され、例えば、0.1%の酸化ナトリウムを含み、直径0.3mm〜0.4mm、全長6〜8mmとされた電極22、22が、例えば、4.2mmの間隔で保持されている。
【0044】
ピンチシール部21、21には、例えば、幅1.5mm、厚さ20μmのモリブデン箔23、23がそれぞれ封止され、該モリブデン箔23、23の一端部にはそれぞれ電極22、22が溶接されている。
【0045】
前側に位置するモリブデン箔23の前端部には第1のリード線24が接続されている。第1のリード線24は発光管19の前側のピンチシール部21から前方へ突出され、保持部18bを貫通されて外管18の外部へ突出され、この突出された部分が接続部24aとして設けられている。第1のリード線24の接続部24aは外部リード線25に溶接されて接続されている。
【0046】
外部リード線25は上下に延びる垂直部25aと該垂直部25aの下端に連続し前後に延びる水平部25bとから成り、垂直部25aの上端部が第1のリード線24の接続部24aに接続され、水平部25bの後端部がソケット17に設けられた図示しない第1の接続端子に接続されている。
【0047】
外部リード線25の水平部25bには絶縁スリーブ26が被着されている。絶縁スリーブ26は、例えば、ガラス又はセラミック等の絶縁材料によって形成されている。
【0048】
後側に位置するモリブデン箔23の後端部には前後に延びる第2のリード線27が接続されている。第2のリード線27は発光管19の後側のピンチシール部21から後方へ突出されている。第2のリード線27の後端部はソケット17に設けられた図示しない第2の接続端子に接続されている。
【0049】
電極22は、図3に示すように、軸方向における両端部を除く部分が被封止部28として設けられ、軸方向における一端部が発光部20の内部に突出された突出部29として設けられ、軸方向における他端部がモリブデン箔23に溶接された溶接部30として設けられている。
【0050】
被封止部28は発光管19のピンチシール部21に封止される。被封止部28は、軸方向における中間に位置する第1の中間領域28aと、軸方向における両端部である二つの端部領域28b、28bと、第1の中間領域28aと端部領域28b、28bの間にそれぞれ位置する二つの第2の中間領域28c、28cとに区分されている。
【0051】
被封止部28の第1の中間領域28aと第2の中間領域28c、28cには、例えば、金属線(コイル)が螺旋状に巻き付けられて凸状の加工部31とされている。金属線の直径は、例えば、0.05mmとされている。加工部31は軸方向において隣り合う金属線間の距離であるピッチが第1の中間領域28aと第2の中間領域28cとでは異なるようにされている。
【0052】
即ち、加工部31の第1の中間領域28aにおけるピッチP1は第2の中間領域28cにおけるピッチP2より大きくされ、第1の中間領域28aの外周面の面積に対する加工部31の形成面積の占有率が第2の中間領域28cの外周面の面積に対する加工部31の形成面積の占有率より小さくされている。従って、ピンチシール部21に対する密着性が第2の中間領域28cより第1の中間領域28aの方が高くされている。
【0053】
尚、螺旋状の加工部31の形成は、例えば、丸軸状の電極棒を軸回り方向に回転させると共に軸方向へ移動させた状態で金属線を巻き付けることにより行うことができ、加工部31を螺旋状にすることにより電極22の形成を容易に行うことができる。
【0054】
電極22は、軸方向における長さが8mm以上とされ、直径が、例えば、0.35mmとされている。電極22は、図4に示すように、発光管19のピンチシール部21に保持された状態において、被封止部28と溶接部30がピンチシール部21に封止され、突出部29が発光部20に突出されている。
【0055】
被封止部28は、例えば、第1の中間領域28aの軸方向における長さが0.5mm乃至1.0mmとされ、端部領域28b、28bの軸方向における長さがそれぞれ0.5mm乃至1.0mmとされている。
【0056】
電極22は上記のように形成されており、被封止部28の第2の中間領域28c、28cに、形成面積の占有率が高い状態で凸状の加工部31が形成されている。従って、凸状の加工部が形成されていない平坦な状態で電極がピンチシール部21に密着されている場合に比し、ピンチシール部21に対する密着性が低くなる。従って、放電灯8の点消灯時に、第2の中間領域28c、28cとピンチシール部21が密着された部分に発生する応力が小さくなり、生じ得るクラックが小さな所謂マイクロクラックであり、大きなクラックが生じ難い。
【0057】
一方、被封止部28の第1の中間領域28aには、形成面積の占有率が低い状態で凸状の加工部31が形成されている。従って、第1の中間領域28aとピンチシール部21の密着性が高く、第1の中間領域28aとピンチシール部21の間に隙間が生じ難く、発光部20に封入されている金属ハロゲン化物がモリブデン箔23側に侵入し難い。
【0058】
また、ピンチシール部21に封止されている端部領域28b、28bには加工部31が形成されていないため、端部領域28b、28bのピンチシール部21との密着性が非常に高くされている。従って、端部領域28b、28bとピンチシール部21の間にも隙間が生じ難く、発光部20に封入されている金属ハロゲン化物がピンチシール部21の内部に侵入し難い。
【0059】
以上に記載した通り、放電灯8にあっては、電極22を被封止部28、突出部29及び溶接部30によって構成し、被封止部28に加工部31を形成し、第1の中間領域28aの外周面の面積に対する加工部31の形成面積の占有率を第2の中間領域28c、28cの外周面の面積に対する加工部31の形成面積の占有率より小さくしている。
【0060】
従って、第1の中間領域28aのピンチシール部21との高い密着性により金属ハロゲン化物がモリブデン箔23側に侵入し難くなって箔リークを防止することができ、第2の中間領域28c、28cのピンチシール部21との低い密着性により電極リークを防止することができ、リークの発生の防止による放電灯8の点灯状態の安定化及び長寿命化を図ることができる。
【0061】
また、被封止部28の端部領域28b、28bのピンチシール部21に対する高い密着性により、箔リークの発生の防止効果の向上を図ることができる。
【0062】
尚、電極22にあっては、第1の中間領域28aの軸方向における中央を電極22の軸方向における中央に一致させ、第2の中間領域28c、28cの軸方向における長さを同じにし、端部領域28b、28bの軸方向における長さを同じにすることが望ましい。
【0063】
電極22をこのように構成することにより、電極22が軸方向において対称な構成となり、発光管19に対する組付時に組付方向に関する管理を行う必要がなく、組付性及び製造管理の容易化を図ることができる。
【0064】
以下に、放電灯8の電極リークと箔リークの発生時間を測定した試験の結果について説明する(図5参照)。この試験は、3分間の点灯状態と4分間の消灯状態を1サイクルとして繰り返し点消灯を行う加速寿命試験であり、800時間を基準として良否の判定を行った。試験には、長さが8.0mmの3本のサンプル(電極)を用いた。
【0065】
図5の各表において、「電極リーク」は電極からのリークの発生により放電灯8が点灯しなくなった時間(寿命時間)を表し、「箔リーク」はモリブデン箔からのリークの発生により放電灯8が点灯しなくなった時間(寿命時間)を表している。
【0066】
図5の(a)は、電極22の突出部29側における端部領域28bの長さを変更したときの電極リークと箔リークの発生時間を測定した結果である。
【0067】
測定は溶接部30側の端部領域28bの長さを1.0mmとし、直径が0.05mmの金属線を第1の中間領域28aと第2の中間領域28c、28cの全体(4.0mm)に亘って0.15mmのピッチで巻き付け、突出部29側における端部領域28bの長さを変更することにより行った。
【0068】
突出部29側における端部領域28bの長さが0.3mmの場合には、「箔リーク」の発生時間が800時間に至らないサンプルがあり、突出部29側における端部領域28bの長さが1.2mmの場合には、「電極リーク」の発生時間が20時間であり、何れも良好な結果が得られなかった。
【0069】
一方、突出部29側における端部領域28bの長さが0.5mmと1.0mmの場合には、「電極リーク」及び「箔リーク」の何れについても良好な結果が得られた。
【0070】
図5の(b)は、電極22の溶接部30側における端部領域28bの長さを変更したときの電極リークと箔リークの発生時間を測定した結果である。
【0071】
測定は突出部29側の端部領域28bの長さを1.0mmとし、直径が0.05mmの金属線を第1の中間領域28aと第2の中間領域28c、28cの全体(4.0mm)に亘って0.15mmのピッチで巻き付け、溶接部30側における端部領域28bの長さを変更することにより行った。
【0072】
溶接部30側における端部領域28bの長さが0.3mmの場合には、「箔リーク」の発生時間が800時間に至らないサンプルがあり、溶接部30側における端部領域28bの長さが1.2mmの場合には、「電極リーク」の発生時間が130時間であり、何れも良好な結果が得られなかった。
【0073】
一方、溶接部30側における端部領域28bの長さが0.5mmと1.0mmの場合には、「電極リーク」及び「箔リーク」の何れについても良好な結果が得られた。
【0074】
図5の(c)は、電極22の第1の中間領域28aの長さを変更したときの電極リークと箔リークの発生時間を測定した結果である。この測定においては、第1の中間領域28aを、加工部31を全く形成しない領域とした。
【0075】
測定は端部領域28b、28bの長さをそれぞれ0.5mmとし、直径が0.05mmの金属線を第2の中間領域28c、28cの全体に亘ってそれぞれ0.15mmのピッチで巻き付け、第1の中間領域28aの長さを変更することにより行った。
【0076】
第1の中間領域28aの長さが0mm、即ち、第1の中間領域28aを形成しなかった場合には、「箔リーク」の発生時間が800時間に至らないサンプルがあり、第1の中間領域28aの長さが1.2mmの場合には、「電極リーク」の発生時間が15時間であり、何れも良好な結果が得られなかった。
【0077】
一方、第1の中間領域28aの長さが0.5mmと1.0mmの場合には、「電極リーク」及び「箔リーク」の何れについても良好な結果が得られた。
【0078】
図5の(d)は、電極22の長さを変更したときの電極リークと箔リークの発生時間を測定した結果である。
【0079】
測定は端部領域28b、28bの長さをそれぞれ1.0mmとし、直径が0.05mmの金属線を第1の中間領域28aと第2の中間領域28c、28cの全体(4.0mm)に亘って0.15mmのピッチで巻き付け、電極22の長さを変更することにより行った。
【0080】
電極22の長さが7.5mmの場合には、「箔リーク」の発生時間が800時間に至らないサンプルがあり、良好な結果が得られなかった。
【0081】
一方、電極22の長さが8.0mmと8.5mmの場合には、「電極リーク」及び「箔リーク」の何れについても良好な結果が得られた。
【0082】
上記の測定結果に示したように、電極22の軸方向における長さを8mm以上とし、突出部29側に位置する端部領域28bの軸方向における長さを0.5mm乃至1.0mmとし、溶接部30側に位置する端部領域28bの軸方向における長さを0.5mm乃至1.0mmとし、第1の中間領域28aの軸方向における長さを0.5mm乃至1.0mmとすることにより、電極リーク及び箔リークの発生を防止して放電灯8の点灯状態の安定化及び長寿命化を図ることができる。
【0083】
上記には、電極22の被封止部28に金属線をコイル状に巻き付けて凸状の加工部31を形成した例を示したが、逆に、図6に示すように、電極22Aとして被封止部28に溝を形成することにより、例えば、螺旋状にされた凹状の加工部31Aを形成してもよい。
【0084】
凸状の加工部31に代えて凹状の加工部31Aを形成した場合にも、平坦な状態で電極がピンチシール部21に密着されている場合に比し、第2の中間領域28c、28cのピンチシール部21に対する密着性が低くなり、大きなクラックの発生を抑制することができる。
【0085】
尚、螺旋状の加工部31Aの形成は、例えば、丸軸状の電極棒を軸回り方向に回転させると共に軸方向へ移動させた状態でレーザー光を照射することにより溝を形成して行うことができ、加工部31を螺旋状にすることにより電極22の形成を容易に行うことができる。
【0086】
また、図7に示すように、加工部31Aは第2の中間領域28c、28cのみに形成し、第1の中間領域28aには加工部31Aを形成しないようにすることも可能である。
【0087】
このように加工部31Aを第2の中間領域28c、28cのみに形成することにより、第1の中間領域28aのピンチシール部21に対する密着性の一層の向上が図られ、箔リークの防止効果を向上させることができる。
【0088】
尚、上記した金属線をコイル状に巻き付けて形成した電極22においても、2本の金属線を第2の中間領域28c、28cにそれぞれ巻き付けて加工部31、31を形成し、第1の中間領域28aには加工部31を形成しないようにすることも可能である。
【0089】
上記した発明を実施するための最良の形態において示した各部の形状及び構造は、何れも本発明を実施するに際して行う具体化のほんの一例を示したものにすぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】図2乃至図7と共に本発明車輌用放電灯の最良の形態を示すものであり、本図は、車輌用前照灯の概略断面図である。
【図2】一部を断面にして示す放電灯の拡大側面図である。
【図3】電極の拡大側面図である。
【図4】放電灯の一部を示す拡大断面図である。
【図5】放電灯の電極リークと箔リークの発生時間を測定した試験の結果を示す図表である。
【図6】電極の別の例を示す拡大側面図である。
【図7】電極のまた別の例を示す拡大側面図である。
【符号の説明】
【0091】
8…放電灯(車輌用放電灯)、18…外管、19…発光管、20…発光部、21…ピンチシール部、22…電極、23…モリブデン箔、28…被封止部、28a…第1の中間領域、28b…端部領域、28c…第2の中間領域、29…突出部、30…溶接部、31…加工部、22A…電極、31A…加工部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外管と該外管の内部に配置され石英ガラスによって形成された発光管と該発光管の内部に配置された一対の電極とを備え前記発光管の内部に水銀が封入されていない車輌用放電灯であって、
前記発光管は希ガスと金属ハロゲン化物が封入された発光部と該発光部を挟んだ反対側において前記発光部に連続して設けられた一対のピンチシール部とを有し、
前記発光管の一対のピンチシール部にそれぞれモリブデン箔が封止された状態で配置され、
前記一対の電極は、前記発光管の一対のピンチシール部にそれぞれ封止された被封止部と、該被封止部の各一端に連続し前記発光管の発光部に突出された突出部と、前記被封止部の各他端に連続し前記各モリブデン箔にそれぞれ溶接された溶接部とから成り、
前記被封止部を、前記電極の軸方向における中間に位置する第1の中間領域と、前記軸方向における両端部である二つの端部領域と、前記第1の中間領域と前記端部領域の間にそれぞれ位置する二つの第2の中間領域とに区分し、
前記第1の中間領域と前記第2の中間領域のうちの少なくとも第2の中間領域に凹状又は凸状の加工部を形成し、
前記第1の中間領域の外周面の面積に対する前記加工部の形成面積の占有率を前記第2の中間領域の外周面の面積に対する前記加工部の形成面積の占有率より小さくした
ことを特徴とする車輌用放電灯。
【請求項2】
前記電極の軸方向における長さを8mm以上とし、
前記突出部側に位置する前記端部領域の前記軸方向における長さを0.5mm乃至1.0mmとし、
前記溶接部側に位置する前記端部領域の前記軸方向における長さを0.5mm乃至1.0mmとし、
前記第1の中間領域の前記軸方向における長さを0.5mm乃至1.0mmとした
ことを特徴とする請求項1に記載の車輌用放電灯。
【請求項3】
前記第2の中間領域のみに前記加工部を形成した
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車輌用放電灯。
【請求項4】
前記二つの第2の中間領域の前記軸方向における長さを同じにし、
前記二つの端部領域の前記軸方向における長さを同じにし、
前記第1の中間領域の前記軸方向における中央を前記電極の前記軸方向における中央に一致させた
ことを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の車輌用放電灯。
【請求項1】
外管と該外管の内部に配置され石英ガラスによって形成された発光管と該発光管の内部に配置された一対の電極とを備え前記発光管の内部に水銀が封入されていない車輌用放電灯であって、
前記発光管は希ガスと金属ハロゲン化物が封入された発光部と該発光部を挟んだ反対側において前記発光部に連続して設けられた一対のピンチシール部とを有し、
前記発光管の一対のピンチシール部にそれぞれモリブデン箔が封止された状態で配置され、
前記一対の電極は、前記発光管の一対のピンチシール部にそれぞれ封止された被封止部と、該被封止部の各一端に連続し前記発光管の発光部に突出された突出部と、前記被封止部の各他端に連続し前記各モリブデン箔にそれぞれ溶接された溶接部とから成り、
前記被封止部を、前記電極の軸方向における中間に位置する第1の中間領域と、前記軸方向における両端部である二つの端部領域と、前記第1の中間領域と前記端部領域の間にそれぞれ位置する二つの第2の中間領域とに区分し、
前記第1の中間領域と前記第2の中間領域のうちの少なくとも第2の中間領域に凹状又は凸状の加工部を形成し、
前記第1の中間領域の外周面の面積に対する前記加工部の形成面積の占有率を前記第2の中間領域の外周面の面積に対する前記加工部の形成面積の占有率より小さくした
ことを特徴とする車輌用放電灯。
【請求項2】
前記電極の軸方向における長さを8mm以上とし、
前記突出部側に位置する前記端部領域の前記軸方向における長さを0.5mm乃至1.0mmとし、
前記溶接部側に位置する前記端部領域の前記軸方向における長さを0.5mm乃至1.0mmとし、
前記第1の中間領域の前記軸方向における長さを0.5mm乃至1.0mmとした
ことを特徴とする請求項1に記載の車輌用放電灯。
【請求項3】
前記第2の中間領域のみに前記加工部を形成した
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車輌用放電灯。
【請求項4】
前記二つの第2の中間領域の前記軸方向における長さを同じにし、
前記二つの端部領域の前記軸方向における長さを同じにし、
前記第1の中間領域の前記軸方向における中央を前記電極の前記軸方向における中央に一致させた
ことを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の車輌用放電灯。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2010−272308(P2010−272308A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−122319(P2009−122319)
【出願日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】
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