車輌用灯具の洗浄装置
【課題】洗浄液の円滑な流動状態を確保して噴射ノズルからの洗浄液の噴射動作の安定化を図る。
【解決手段】供給タンクから洗浄液が供給されるシリンダー2と、シリンダーに供給された洗浄液が流動される第1の流路3aが形成されシリンダーに一部が突出された状態で軸方向へ移動自在に支持されたピストン3と、洗浄液をそれぞれ噴射する複数の噴射ノズル29、29を有しピストンのシリンダーから突出された部分の軸方向における一端部に結合されたバルブケース4とを設け、バルブケースの内部に、第2の流路4aと複数の噴射ノズルにそれぞれ連通された複数の第3の流路4b、4bとが形成され、ピストンがバルブケースと一体になってシリンダーに対して突出される方向へ移動されて洗浄液が複数の噴射ノズルからそれぞれ噴射され、洗浄液の液圧に応じて開閉されて供給又は停止を行う弁24を配置した。
【解決手段】供給タンクから洗浄液が供給されるシリンダー2と、シリンダーに供給された洗浄液が流動される第1の流路3aが形成されシリンダーに一部が突出された状態で軸方向へ移動自在に支持されたピストン3と、洗浄液をそれぞれ噴射する複数の噴射ノズル29、29を有しピストンのシリンダーから突出された部分の軸方向における一端部に結合されたバルブケース4とを設け、バルブケースの内部に、第2の流路4aと複数の噴射ノズルにそれぞれ連通された複数の第3の流路4b、4bとが形成され、ピストンがバルブケースと一体になってシリンダーに対して突出される方向へ移動されて洗浄液が複数の噴射ノズルからそれぞれ噴射され、洗浄液の液圧に応じて開閉されて供給又は停止を行う弁24を配置した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車輌用灯具の洗浄装置に関する。詳しくは、洗浄液の供給又は停止を行う弁を流路の分岐部に配置して洗浄液の円滑な流動状態を確保する技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
車体又はバンパーに形成された開口から一部が外部へ突出されて噴射ノズルから洗浄液が噴射され、車輌用灯具のカバーの表面を洗浄する洗浄装置がある。
【0003】
洗浄装置は、前端側に設けられ洗浄液を噴射する噴射ノズルを有するバルブケースとバルブケースが結合されたピストンとピストンを移動自在に支持するシリンダーとを有し、ブラケットによって車体又はバンパーに取り付けられている。
【0004】
このような洗浄装置にあっては、車体又はバンパーに形成された開口からバルブケース及びピストンの一部が前方へ突出され噴射ノズルから洗浄液が噴射されて洗浄が行われ、開口から車体又はバンパーの内部にバルブケース及びピストンが引き込まれて収納される(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1に記載された洗浄装置においては、洗浄液の流動方向に移動されて開閉される弁が設けられ、洗浄液がピストンの内部に供給されて液圧が高まることにより弁が開放されて洗浄液がバルブケースの内部に供給され噴射ノズルから噴射される。
【0006】
【特許文献1】特開2010−221782号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献1に記載された洗浄装置においては、弁が開放されたときに洗浄液が一旦分岐されて弁の周囲を通って流動された後に再び合流されて各噴射ノズルへ向けて流動されるように構成されている。
【0008】
従って、洗浄液の液圧が変動され易く、弁の開閉状態が不安定になって弁が開放状態と閉塞状態を交互に繰り返すように動作されるおそれがあり、洗浄液の流動が円滑に行われず噴射ノズルからの洗浄液の噴射が安定して行われなくなる可能性がある。
【0009】
そこで、本発明洗浄装置は、洗浄液の円滑な流動状態を確保して噴射ノズルからの洗浄液の噴射動作の安定化を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
車輌用灯具の洗浄装置は、上記した課題を解決するために、内部に供給タンクから洗浄液が供給されるシリンダーと、内部に前記シリンダーに供給された洗浄液が流動される第1の流路が形成され前記シリンダーに一部が突出された状態で軸方向へ移動自在に支持されたピストンと、前記洗浄液をそれぞれ噴射する複数の噴射ノズルを有し前記ピストンの前記シリンダーから突出された部分の前記軸方向における一端部に結合されたバルブケースとを備え、前記バルブケースの内部に、前記第1の流路に連続される第2の流路と前記複数の噴射ノズルにそれぞれ連通され前記第2の流路から分岐された複数の第3の流路とが形成され、前記第2の流路と前記複数の第3の流路との連続する部分が分岐部として形成され、前記ピストンが前記バルブケースと一体になって前記シリンダーに対して突出される方向へ移動されて前記洗浄液が前記複数の噴射ノズルからそれぞれ噴射され、前記分岐部に、前記洗浄液の液圧に応じて開閉されて前記第2の流路からの前記複数の第3の流路への前記洗浄液の供給又は停止を行う弁が配置されたものである。
【0011】
従って、車輌用灯具の洗浄装置にあっては、洗浄液が供給されて弁が開放されたときに洗浄液が第2の流路から複数の第3の流路に分岐されてそれぞれ各噴射ノズルから噴射される。
【発明の効果】
【0012】
本発明車輌用灯具の洗浄装置は、内部に供給タンクから洗浄液が供給されるシリンダーと、内部に前記シリンダーに供給された洗浄液が流動される第1の流路が形成され前記シリンダーに一部が突出された状態で軸方向へ移動自在に支持されたピストンと、前記洗浄液をそれぞれ噴射する複数の噴射ノズルを有し前記ピストンの前記シリンダーから突出された部分の前記軸方向における一端部に結合されたバルブケースとを備え、前記バルブケースの内部に、前記第1の流路に連続される第2の流路と前記複数の噴射ノズルにそれぞれ連通され前記第2の流路から分岐された複数の第3の流路とが形成され、前記第2の流路と前記複数の第3の流路との連続する部分が分岐部として形成され、前記ピストンが前記バルブケースと一体になって前記シリンダーに対して突出される方向へ移動されて前記洗浄液が前記複数の噴射ノズルからそれぞれ噴射され、前記分岐部に、前記洗浄液の液圧に応じて開閉されて前記第2の流路からの前記複数の第3の流路への前記洗浄液の供給又は停止を行う弁が配置されたことを特徴とする。
【0013】
従って、弁の開放と同時に洗浄液が第3の流路に分岐されるため、バルブケースの内部において洗浄液の液圧が変動され難く、弁の開閉状態が安定して行われ、洗浄液の円滑な流動状態を確保することができ、噴射ノズルからの洗浄液の噴射動作の安定化を図ることができる。
【0014】
請求項2に記載した発明にあっては、前記バルブケースの内部に前記弁が押し付けられて前記弁の移動を規制する規制部が設けられ、前記バルブケースの内部に前記弁を前記規制部に押し付ける方向へ付勢する付勢バネが配置され、前記弁が前記洗浄液の前記第2の流路における流動方向へ移動されて開閉されるようにしている。
【0015】
従って、弁の開閉機構が簡素であり、構造の簡素化及び小型化を図ることができる。
【0016】
請求項3に記載した発明にあっては、前記噴射ノズルの噴射口が前記第3の流路に存在する空気の大気への開放孔として機能するようにしている。
【0017】
従って、別に専用の大気への開放孔をバルブケースに形成する必要がなく、構造の簡素化を図ることができる。
【0018】
請求項4に記載した発明にあっては、前記ピストンを前記シリンダーの内部に収納される方向へ付勢する引張コイルバネを設け、前記引張コイルバネの一端部に他の部分より径の大きい環状係合部を設け、前記ピストンの前記軸方向における一端部に支持係合部を設け、前記引張コイルバネの前記環状係合部以外の部分が前記ピストンの内部に挿入されて前記環状係合部が前記支持係合部に外嵌状に係合されて支持されると共に前記引張コイルバネの他端部が前記シリンダーに支持されるようにしている。
【0019】
従って、引張コイルバネのピストンに対する組付作業における作業性の向上を図ることができる。
【0020】
請求項5に記載した発明にあっては、前記ピストンの前記軸方向における一端部に周方向において交互に並ぶ凹凸形状を有するピストン側嵌合部を設け、前記バルブケースに前記ピストン側嵌合部に嵌合され周方向において交互に並ぶ凹凸形状を有するケース側嵌合部を設け、前記ピストン側嵌合部の各凹部と各凸部にそれぞれ前記ケース側嵌合部の各凸部と各凹部が嵌合されて前記ピストンと前記バルブケースが結合されるようにしている。
【0021】
従って、ピストンの向きを設定することなく、バルブケースをピストンに結合することができ、バルブケースのピストンに対する結合作業における作業性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、本発明車輌用灯具の洗浄装置を実施するための最良の形態について添付図面を参照して説明する。
【0023】
洗浄装置1は、シリンダー2とシリンダー2に軸方向(前後方向)へ移動自在に支持されたピストン3とピストン3の前端部に連結されたバルブケース4とを備えている(図1乃至図3参照)。
【0024】
シリンダー2は前後に延びる円筒状に形成された筒状部5と筒状部5の後端部から内方へ張り出された後面部6と後面部6の内周部から後方へ突出された連結部7とを有している。
【0025】
筒状部5の前端は前方に開口されて開口部5aが形成されている。
【0026】
後面部6の中心孔は流入孔6aとして形成され、後面部6には内周面から突出されたバネ掛け突部6bが設けられている。
【0027】
連結部7は略円筒状に形成されている。連結部7には後述する洗浄液が貯留された図示しない供給タンクに連結された連結管(チューブ)100が連結される。
【0028】
ピストン3は前後に延びる筒部8と筒部8の前端部から前方へ突出された支持係合部9と筒部8の後端寄りの位置から外方へ張り出されたフランジ部10とを有している。
【0029】
筒部8は、例えば、断面形状が正六角形状に形成されている。筒部8の前端部はピストン側嵌合部11として設けられ、ピストン側嵌合部11は周方向において凸部11a、11a、・・・と凹部11b、11b、・・・が交互に並ぶ凹凸形状に形成されている。ピストン側嵌合部11は、例えば、正六角形の各辺にそれぞれ一つずつの凸部11a、11a、・・・が位置するように設けられている。
【0030】
支持係合部9は外形が筒部8の外形より小さくされ、筒部8に連続する円筒状の結合用筒部12と結合用筒部12から前方へ突出されたバネ支持部13とから成る。
【0031】
結合用筒部12は外径がバネ支持部13の外径より一回り大きくされ、前面における外周部がバネ受け面12aとして形成されている。結合用筒部12の前端寄りの位置には外方へ張り出されたフランジ状の嵌合突部12bが設けられている。
【0032】
バネ支持部13は半円弧状に形成されている。
【0033】
フランジ部10の後側にはシール体14が取り付けられている。シール体14はゴム材料等の弾性変形可能な材料によって形成され、外径がシリンダー2の筒状部5の内径より僅かに大きくされている。
【0034】
ピストン3の内部空間は洗浄液が流動される第1の流路3aとして形成されている。
【0035】
ピストン3は前端側の部分を除く部分がシリンダー2の内部に前方から挿入され、シリンダー2に前後方向へ移動自在に支持される。ピストン3がシリンダー2に挿入されて支持された状態においては、シール体14の外周部がシリンダー2の内周面に密着され、シリンダー2の内部に洗浄液が供給されたときに、シール体14よりも前側への洗浄液の流入が防止される。
【0036】
ピストン3がシリンダー2に支持された状態において、シリンダー2の前端部にキャップ15が取り付けられる。キャップ15は略円環状に形成され、ピストン3の筒部8に外嵌された状態でシリンダー2の前端部に取り付けられる。キャップ15によってシリンダー2の開口部5aにおけるシリンダー2とピストン3の隙間が閉塞される。
【0037】
キャップ15には、その前側にダストカバー16が取り付けられる。ダストカバー16はゴム材料等の弾性変形可能な材料によって略円環状に形成され、内周面がピストン3の筒部8の外周面に密着される。従って、ダストカバー16によってシリンダー2の内部への塵埃や水分等の侵入が防止される。
【0038】
ピストン3がシリンダー2に対して前後方向へ移動されるときには、シール体14がシリンダー2の内周面に摺動されると共にピストン3の筒部8の外周面がダストカバー16の内周面に摺動される。
【0039】
ピストン3がシリンダー2に支持された状態において、シリンダー2とピストン3の間に引張コイルバネ17が支持される。引張コイルバネ17は前後両端部を除く部分が同じ径で巻回された中間部17aとして設けられ、前端部が中間部17aより大きな径で巻回された環状係合部17bとして設けられ、後端部がフック状に形成された引掛け部17cとして設けられている。
【0040】
引張コイルバネ17は環状係合部17b以外の部分がピストン3の内部に前方から挿入される(図4参照)。引張コイルバネ17がピストン3の内部に前方から挿入されると、環状係合部17bがピストン3のバネ支持部13に外嵌状に支持され、環状係合部17bの後面が結合用筒部12のバネ受け面12aに押し付けられる(図5参照)。引張コイルバネ17の引掛け部17cはピストン3の内部から後方へ突出されシリンダー2のバネ掛け突部6bに係合されて支持される(図2及び図3参照)。
【0041】
従って、ピストン3は引張コイルバネ17によってシリンダー2に対して後方へ付勢され、後端面がシリンダー2の後面部6における前面に押し付けられる。ピストン3の後端面が後面部6の前面に押し付けられた位置がピストン3の収納位置とされる。
【0042】
このように洗浄装置1にあっては、引張コイルバネ17をピストン3の内部に挿入することにより引張コイルバネ17の一端部(環状係合部17b)がピストン3に支持されるため、引張コイルバネ17のピストン3に対する組付作業における作業性の向上を図ることができる。
【0043】
また、引張コイルバネ17の一端部がコイル状に巻回された環状係合部17bとされているため、引張コイルバネ17及びピストン3の軸方向における長さが短縮され、ピストン3の全長の短縮化による洗浄装置1の小型化を図ることができる。
【0044】
バルブケース4はベース部18と一対のノズル保持部19、19とを有している(図5及び図6参照)。
【0045】
ベース部18は前後方向に延びる略円筒状の結合保持部20と結合保持部20の後端に連続する筒状の結合用突部21とを有している。
【0046】
結合保持部20は前端部に取り付けられた蓋部材22によって閉塞されている。結合保持部20の内部には付勢バネ23が配置されている(図6参照)。付勢バネ23は、例えば、圧縮コイルバネであり、前端部が蓋部材22に取り付けられている。付勢バネ23の後端部には弁24が取り付けられている。結合保持部20の後端部には内方へ張り出された略円環状の規制部25が設けられている。
【0047】
付勢バネ23に圧縮方向(前方)への力が付与されていない状態においては、弁24が規制部25に前方から押し付けられている。
【0048】
結合用突部21は結合保持部20に連続する絞り部26と絞り部26の後端に連続する同径部27とから成る。絞り部26は前方へ行くに従って径が小さくなる形状に形成されている。同径部27は略円筒状に形成され、内面に周方向に延びる嵌合溝27aを有している(図6参照)。
【0049】
バルブケース4における結合用突部21の内部空間は洗浄液が流動される第2の流路4aとして形成されている。
【0050】
結合用突部21の後端部はケース側嵌合部28として設けられ、ケース側嵌合部28は周方向において凸部28a、28a、・・・と凹部28b、28b、・・・が交互に並ぶ凹凸形状に形成されている。
【0051】
ノズル保持部19、19はそれぞれ結合保持部20の後端部から側方(外方)へ突出され、内部空間がそれぞれ結合保持部20の内部空間に連通されている。結合保持部20の後端部からノズル保持部19、19の外側の端部までの内部空間はそれぞれ洗浄液が流動される第3の流路4b、4bとして形成されている。
【0052】
ノズル保持部19、19にはそれぞれ外側の端部に噴射ノズル29、29が保持されている。噴射ノズル29、29の噴射口29a、29aはそれぞれ第3の流路4b、4bに連通され、噴射口29a、29aはそれぞれ第3の流路4b、4bに存在する空気の大気への開放孔として機能する。
【0053】
上記したように、バルブケース4の内部には第2の流路4aと第2の流路4aから左右に分岐されそれぞれ噴射ノズル29、29の噴射口29a、29aに連通された第3の流路4b、4bとが形成され、第2の流路4aと第3の流路4b、4bの連続する部分が分岐部30として形成されている。
【0054】
分岐部30には付勢バネ23の後端部に取り付けられた弁24が位置される。従って、弁24が移動されて引張コイルバネ17が前後方向へ伸縮されるときには、弁24によって分岐部30が開閉される。
【0055】
バルブケース4は結合用突部21が結合用筒部12に外嵌され圧入によってピストン3に結合される。バルブケース4がピストン3に結合された状態においては、結合用筒部12に設けられた嵌合突部12bが結合用突部21に形成された嵌合溝21aに嵌合される。
【0056】
バルブケース4がピストン3に結合された状態においては、ケース側嵌合部28の凸部28a、28a、・・・と凹部28b、28b、・・・がそれぞれピストン側嵌合部11の凹部11b、11b、・・・と凸部11a、11a、・・・に嵌合される。
【0057】
このときバルブケース4は噴射ノズル29、29が上側に位置する向きでピストン3に結合されるが、ピストン3には上下方向における向きが設定されていない。従って、バルブケース4の上下方向における向きのみを設定しピストン3の上下方向における向きを設定することなく、バルブケース4をピストン3に結合することができ、バルブケース4のピストン3に対する結合作業における作業性の向上を図ることができる。
【0058】
また、ピストン3やバルブケース4に、両者がともに上下方向において正しい向きで結合されるようにするための位置決め凸部や位置決め孔等の位置決め構造を設ける必要がないため、結合用突部21と結合用筒部12の全長を短縮することが可能であり、洗浄装置1の小型化を図ることができる。
【0059】
バルブケース4にはノズルカバー31が結合される(図7参照)。ノズルカバー31はピストン3の移動に伴って後述する車体又はバンパーに形成された開口を開閉するカバーとして機能する。ノズルカバー31は前後方向を向く横長の平板状など、車輌の意匠に応じた形状に形成されたカバー部32とカバー部32から後方へ突出され筒状に形成された結合部33とを有している(図7参照)。
【0060】
ノズルカバー31はバルブケース4に対して相対的に後方へ移動され、結合部33が結合保持部20に嵌合されることによりバルブケース4に結合される。
【0061】
洗浄装置1はブラケット50によって車体200、バンパー又は車輌用前照灯に取り付けられる(図1及び図8参照)。ブラケット50は円筒状のシリンダー保持部51とシリンダー保持部51から前方へ突出された筒状の閉塞部52とシリンダー保持部51から外方へ突出された被取付部53、53、・・・とから成る。
【0062】
シリンダー保持部51の前端部には内方へ張り出された押さえ部51aが設けられている(図8参照)。
【0063】
閉塞部52は横長の略角筒状に形成されている。
【0064】
ブラケット50は閉塞部52がバルブケース4を覆った状態でシリンダー保持部51がシリンダー2の前端部に外嵌状に取り付けられ、被取付部53、53、・・・が車体200、バンパー又は車輌用前照灯にネジ止め等によって取り付けられる。従って、洗浄装置1がブラケット50によって車体200、バンパー又は車輌用前照灯に取り付けられる。
【0065】
ブラケット50が車体200、バンパー又は車輌用前照灯に取り付けられた状態においては、閉塞部52の前端面が車体200、バンパー又は車輌用前照灯に形成された開口200aの後側開口縁に後方から突き当てられる。従って、バルブケース4等の内部への塵埃等の侵入が閉塞部52によって防止される。
【0066】
ブラケット50が車体200、バンパー又は車輌用前照灯に取り付けられた状態においては、シリンダー保持部51の押さえ部51aによってダストカバー16が外方から押さえられる。
【0067】
上記のように構成された洗浄装置1は、車輌の内部に収納された収納状態において、引張コイルバネ17の付勢力によってピストン3が後方へ付勢されることにより、ノズルカバー31のカバー部32の外周部が車体200、バンパー又は車輌用前照灯に形成された開口200aの前側開口縁に密着され開口200aが閉塞されている(図8参照)。
【0068】
このときバルブケース4の内部に配置された付勢バネ23によって弁24が規制部25に押し付けられた状態とされ、第2の流路4aと第3の流路4b、4bが弁24によって分離されている(図6参照)。
【0069】
上記した収納状態において、供給タンクから連結管100を介してピストン3の内部に洗浄液が供給されると、洗浄液はピストン3の第1の流路3aを通ってバルブケース4の第2の流路4aに流入される。このとき弁24が閉塞されているため、洗浄液は第3の流路4b、4bには流入しない。
【0070】
洗浄液が第2の流路4aに流入されると、供給された洗浄液によって内圧が上昇して引張コイルバネ17が伸長されピストン3がシリンダー2から前方へ突出されていき、ピストン3の前方への移動に伴ってバルブケース4とノズルカバー31が一体になって前方へ移動されていく(図9参照)。バルブケース4が前方へ移動されることにより車体200、バンパー又は車輌用前照灯の開口200aが開放され、開口200aから前方へバルブケース4が突出される。
【0071】
ピストン3のフランジ部10がシリンダー2の前端部に取り付けられたキャップ15に接すると、ピストン3等の前方への移動が停止される。ピストン3等の前方への移動が停止されると、さらに供給される洗浄液によって内圧がさらに上昇し、弁24が開放されて付勢バネ23が圧縮され洗浄液が第2の流路4aから第3の流路4b、4bに流入される(図10参照)。第2の流路4aから第3の流路4b、4bに流入された洗浄液300は、噴射ノズル29、29の噴射口29a、29aから車輌用前照灯のカバー400へ向けて噴射され、噴射された洗浄液300によってカバー400が洗浄される(図9参照)。
【0072】
供給タンクからの洗浄液の供給が停止されると、内圧が低下して付勢バネ23が伸長されて弁24が閉塞され、噴射ノズル29、29からの洗浄液300の噴射が停止される。
【0073】
さらに内圧が低下することにより引張コイルバネ17の付勢力によってピストン3、バルブケース4及びノズルカバー31が後方へ移動されて再び収納状態とされる(図8参照)。
【0074】
以上に記載した通り、洗浄装置1にあっては、バルブケース4の内部に形成された分岐部30に、洗浄液300の液圧に応じて開閉されて第2の流路4aからの第3の流路4b、4bへの洗浄液300の供給又は停止を行う弁24が配置されている。
【0075】
従って、弁24の開放と同時に洗浄液300が第3の流路4b、4bに分岐されるため、バルブケース4の内部において洗浄液300の液圧が変動され難く、弁24の開閉状態が安定して行われ、洗浄液300の円滑な流動状態を確保することができ、噴射ノズル29、29からの洗浄液300の噴射動作の安定化を図ることができる。
【0076】
また、弁24が引張コイルバネ17の伸縮に伴って第2の流路4aにおける洗浄液300の流動方向へ移動されて開閉されるため、弁24の開閉機構が簡素であり、構造の簡素化及び小型化を図ることができる。
【0077】
さらに、噴射ノズル29、29の噴射口29a、29aがそれぞれ第3の流路4b、4bに存在する空気の大気への開放孔として機能するため、別に専用の大気への開放孔をバルブケース4に形成する必要がなく、構造の簡素化を図ることができる。
【0078】
上記した発明を実施するための最良の形態において示した各部の形状及び構造は、何れも本発明を実施するに際して行う具体化のほんの一例を示したものにすぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】図2乃至図10と共に本発明車輌用灯具の洗浄装置の最良の形態を示すものであり、本図は、ブラケットとともに示す洗浄装置の斜視図である。
【図2】洗浄装置の断面図である。
【図3】洗浄装置を一部を断面にして示す側面図である。
【図4】引張コイルバネがピストンに挿入される状態を示す拡大斜視図である。
【図5】バルブケースがピストンから分離された状態を示す斜視図である。
【図6】弁が閉塞されている状態を一部を断面にして示す拡大平面図である。
【図7】ノズルカバーがバルブケースから分離された状態を示す斜視図である。
【図8】洗浄液が噴射される前の状態を一部を断面にして示す側面図である。
【図9】洗浄液が噴射されている状態を一部を断面にして示す側面図である。
【図10】洗浄液が供給されて弁が開放された状態を一部を断面にして示す拡大平面図である。
【符号の説明】
【0080】
1…洗浄装置、2…シリンダー、3…ピストン、3a…第1の流路、4…バルブケース、4a…第2の流路、4b…第3の流路、9…支持係合部、11…ピストン側嵌合部、11a…凸部、11b…凹部、17…引張コイルバネ、17b…環状係合部、23…付勢バネ、24…弁、25…規制部、28…ケース側嵌合部、28a…凸部、28b…凹部、29…噴射ノズル、29a…噴射口、30…分岐部、300…洗浄液
【技術分野】
【0001】
本発明は車輌用灯具の洗浄装置に関する。詳しくは、洗浄液の供給又は停止を行う弁を流路の分岐部に配置して洗浄液の円滑な流動状態を確保する技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
車体又はバンパーに形成された開口から一部が外部へ突出されて噴射ノズルから洗浄液が噴射され、車輌用灯具のカバーの表面を洗浄する洗浄装置がある。
【0003】
洗浄装置は、前端側に設けられ洗浄液を噴射する噴射ノズルを有するバルブケースとバルブケースが結合されたピストンとピストンを移動自在に支持するシリンダーとを有し、ブラケットによって車体又はバンパーに取り付けられている。
【0004】
このような洗浄装置にあっては、車体又はバンパーに形成された開口からバルブケース及びピストンの一部が前方へ突出され噴射ノズルから洗浄液が噴射されて洗浄が行われ、開口から車体又はバンパーの内部にバルブケース及びピストンが引き込まれて収納される(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1に記載された洗浄装置においては、洗浄液の流動方向に移動されて開閉される弁が設けられ、洗浄液がピストンの内部に供給されて液圧が高まることにより弁が開放されて洗浄液がバルブケースの内部に供給され噴射ノズルから噴射される。
【0006】
【特許文献1】特開2010−221782号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献1に記載された洗浄装置においては、弁が開放されたときに洗浄液が一旦分岐されて弁の周囲を通って流動された後に再び合流されて各噴射ノズルへ向けて流動されるように構成されている。
【0008】
従って、洗浄液の液圧が変動され易く、弁の開閉状態が不安定になって弁が開放状態と閉塞状態を交互に繰り返すように動作されるおそれがあり、洗浄液の流動が円滑に行われず噴射ノズルからの洗浄液の噴射が安定して行われなくなる可能性がある。
【0009】
そこで、本発明洗浄装置は、洗浄液の円滑な流動状態を確保して噴射ノズルからの洗浄液の噴射動作の安定化を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
車輌用灯具の洗浄装置は、上記した課題を解決するために、内部に供給タンクから洗浄液が供給されるシリンダーと、内部に前記シリンダーに供給された洗浄液が流動される第1の流路が形成され前記シリンダーに一部が突出された状態で軸方向へ移動自在に支持されたピストンと、前記洗浄液をそれぞれ噴射する複数の噴射ノズルを有し前記ピストンの前記シリンダーから突出された部分の前記軸方向における一端部に結合されたバルブケースとを備え、前記バルブケースの内部に、前記第1の流路に連続される第2の流路と前記複数の噴射ノズルにそれぞれ連通され前記第2の流路から分岐された複数の第3の流路とが形成され、前記第2の流路と前記複数の第3の流路との連続する部分が分岐部として形成され、前記ピストンが前記バルブケースと一体になって前記シリンダーに対して突出される方向へ移動されて前記洗浄液が前記複数の噴射ノズルからそれぞれ噴射され、前記分岐部に、前記洗浄液の液圧に応じて開閉されて前記第2の流路からの前記複数の第3の流路への前記洗浄液の供給又は停止を行う弁が配置されたものである。
【0011】
従って、車輌用灯具の洗浄装置にあっては、洗浄液が供給されて弁が開放されたときに洗浄液が第2の流路から複数の第3の流路に分岐されてそれぞれ各噴射ノズルから噴射される。
【発明の効果】
【0012】
本発明車輌用灯具の洗浄装置は、内部に供給タンクから洗浄液が供給されるシリンダーと、内部に前記シリンダーに供給された洗浄液が流動される第1の流路が形成され前記シリンダーに一部が突出された状態で軸方向へ移動自在に支持されたピストンと、前記洗浄液をそれぞれ噴射する複数の噴射ノズルを有し前記ピストンの前記シリンダーから突出された部分の前記軸方向における一端部に結合されたバルブケースとを備え、前記バルブケースの内部に、前記第1の流路に連続される第2の流路と前記複数の噴射ノズルにそれぞれ連通され前記第2の流路から分岐された複数の第3の流路とが形成され、前記第2の流路と前記複数の第3の流路との連続する部分が分岐部として形成され、前記ピストンが前記バルブケースと一体になって前記シリンダーに対して突出される方向へ移動されて前記洗浄液が前記複数の噴射ノズルからそれぞれ噴射され、前記分岐部に、前記洗浄液の液圧に応じて開閉されて前記第2の流路からの前記複数の第3の流路への前記洗浄液の供給又は停止を行う弁が配置されたことを特徴とする。
【0013】
従って、弁の開放と同時に洗浄液が第3の流路に分岐されるため、バルブケースの内部において洗浄液の液圧が変動され難く、弁の開閉状態が安定して行われ、洗浄液の円滑な流動状態を確保することができ、噴射ノズルからの洗浄液の噴射動作の安定化を図ることができる。
【0014】
請求項2に記載した発明にあっては、前記バルブケースの内部に前記弁が押し付けられて前記弁の移動を規制する規制部が設けられ、前記バルブケースの内部に前記弁を前記規制部に押し付ける方向へ付勢する付勢バネが配置され、前記弁が前記洗浄液の前記第2の流路における流動方向へ移動されて開閉されるようにしている。
【0015】
従って、弁の開閉機構が簡素であり、構造の簡素化及び小型化を図ることができる。
【0016】
請求項3に記載した発明にあっては、前記噴射ノズルの噴射口が前記第3の流路に存在する空気の大気への開放孔として機能するようにしている。
【0017】
従って、別に専用の大気への開放孔をバルブケースに形成する必要がなく、構造の簡素化を図ることができる。
【0018】
請求項4に記載した発明にあっては、前記ピストンを前記シリンダーの内部に収納される方向へ付勢する引張コイルバネを設け、前記引張コイルバネの一端部に他の部分より径の大きい環状係合部を設け、前記ピストンの前記軸方向における一端部に支持係合部を設け、前記引張コイルバネの前記環状係合部以外の部分が前記ピストンの内部に挿入されて前記環状係合部が前記支持係合部に外嵌状に係合されて支持されると共に前記引張コイルバネの他端部が前記シリンダーに支持されるようにしている。
【0019】
従って、引張コイルバネのピストンに対する組付作業における作業性の向上を図ることができる。
【0020】
請求項5に記載した発明にあっては、前記ピストンの前記軸方向における一端部に周方向において交互に並ぶ凹凸形状を有するピストン側嵌合部を設け、前記バルブケースに前記ピストン側嵌合部に嵌合され周方向において交互に並ぶ凹凸形状を有するケース側嵌合部を設け、前記ピストン側嵌合部の各凹部と各凸部にそれぞれ前記ケース側嵌合部の各凸部と各凹部が嵌合されて前記ピストンと前記バルブケースが結合されるようにしている。
【0021】
従って、ピストンの向きを設定することなく、バルブケースをピストンに結合することができ、バルブケースのピストンに対する結合作業における作業性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、本発明車輌用灯具の洗浄装置を実施するための最良の形態について添付図面を参照して説明する。
【0023】
洗浄装置1は、シリンダー2とシリンダー2に軸方向(前後方向)へ移動自在に支持されたピストン3とピストン3の前端部に連結されたバルブケース4とを備えている(図1乃至図3参照)。
【0024】
シリンダー2は前後に延びる円筒状に形成された筒状部5と筒状部5の後端部から内方へ張り出された後面部6と後面部6の内周部から後方へ突出された連結部7とを有している。
【0025】
筒状部5の前端は前方に開口されて開口部5aが形成されている。
【0026】
後面部6の中心孔は流入孔6aとして形成され、後面部6には内周面から突出されたバネ掛け突部6bが設けられている。
【0027】
連結部7は略円筒状に形成されている。連結部7には後述する洗浄液が貯留された図示しない供給タンクに連結された連結管(チューブ)100が連結される。
【0028】
ピストン3は前後に延びる筒部8と筒部8の前端部から前方へ突出された支持係合部9と筒部8の後端寄りの位置から外方へ張り出されたフランジ部10とを有している。
【0029】
筒部8は、例えば、断面形状が正六角形状に形成されている。筒部8の前端部はピストン側嵌合部11として設けられ、ピストン側嵌合部11は周方向において凸部11a、11a、・・・と凹部11b、11b、・・・が交互に並ぶ凹凸形状に形成されている。ピストン側嵌合部11は、例えば、正六角形の各辺にそれぞれ一つずつの凸部11a、11a、・・・が位置するように設けられている。
【0030】
支持係合部9は外形が筒部8の外形より小さくされ、筒部8に連続する円筒状の結合用筒部12と結合用筒部12から前方へ突出されたバネ支持部13とから成る。
【0031】
結合用筒部12は外径がバネ支持部13の外径より一回り大きくされ、前面における外周部がバネ受け面12aとして形成されている。結合用筒部12の前端寄りの位置には外方へ張り出されたフランジ状の嵌合突部12bが設けられている。
【0032】
バネ支持部13は半円弧状に形成されている。
【0033】
フランジ部10の後側にはシール体14が取り付けられている。シール体14はゴム材料等の弾性変形可能な材料によって形成され、外径がシリンダー2の筒状部5の内径より僅かに大きくされている。
【0034】
ピストン3の内部空間は洗浄液が流動される第1の流路3aとして形成されている。
【0035】
ピストン3は前端側の部分を除く部分がシリンダー2の内部に前方から挿入され、シリンダー2に前後方向へ移動自在に支持される。ピストン3がシリンダー2に挿入されて支持された状態においては、シール体14の外周部がシリンダー2の内周面に密着され、シリンダー2の内部に洗浄液が供給されたときに、シール体14よりも前側への洗浄液の流入が防止される。
【0036】
ピストン3がシリンダー2に支持された状態において、シリンダー2の前端部にキャップ15が取り付けられる。キャップ15は略円環状に形成され、ピストン3の筒部8に外嵌された状態でシリンダー2の前端部に取り付けられる。キャップ15によってシリンダー2の開口部5aにおけるシリンダー2とピストン3の隙間が閉塞される。
【0037】
キャップ15には、その前側にダストカバー16が取り付けられる。ダストカバー16はゴム材料等の弾性変形可能な材料によって略円環状に形成され、内周面がピストン3の筒部8の外周面に密着される。従って、ダストカバー16によってシリンダー2の内部への塵埃や水分等の侵入が防止される。
【0038】
ピストン3がシリンダー2に対して前後方向へ移動されるときには、シール体14がシリンダー2の内周面に摺動されると共にピストン3の筒部8の外周面がダストカバー16の内周面に摺動される。
【0039】
ピストン3がシリンダー2に支持された状態において、シリンダー2とピストン3の間に引張コイルバネ17が支持される。引張コイルバネ17は前後両端部を除く部分が同じ径で巻回された中間部17aとして設けられ、前端部が中間部17aより大きな径で巻回された環状係合部17bとして設けられ、後端部がフック状に形成された引掛け部17cとして設けられている。
【0040】
引張コイルバネ17は環状係合部17b以外の部分がピストン3の内部に前方から挿入される(図4参照)。引張コイルバネ17がピストン3の内部に前方から挿入されると、環状係合部17bがピストン3のバネ支持部13に外嵌状に支持され、環状係合部17bの後面が結合用筒部12のバネ受け面12aに押し付けられる(図5参照)。引張コイルバネ17の引掛け部17cはピストン3の内部から後方へ突出されシリンダー2のバネ掛け突部6bに係合されて支持される(図2及び図3参照)。
【0041】
従って、ピストン3は引張コイルバネ17によってシリンダー2に対して後方へ付勢され、後端面がシリンダー2の後面部6における前面に押し付けられる。ピストン3の後端面が後面部6の前面に押し付けられた位置がピストン3の収納位置とされる。
【0042】
このように洗浄装置1にあっては、引張コイルバネ17をピストン3の内部に挿入することにより引張コイルバネ17の一端部(環状係合部17b)がピストン3に支持されるため、引張コイルバネ17のピストン3に対する組付作業における作業性の向上を図ることができる。
【0043】
また、引張コイルバネ17の一端部がコイル状に巻回された環状係合部17bとされているため、引張コイルバネ17及びピストン3の軸方向における長さが短縮され、ピストン3の全長の短縮化による洗浄装置1の小型化を図ることができる。
【0044】
バルブケース4はベース部18と一対のノズル保持部19、19とを有している(図5及び図6参照)。
【0045】
ベース部18は前後方向に延びる略円筒状の結合保持部20と結合保持部20の後端に連続する筒状の結合用突部21とを有している。
【0046】
結合保持部20は前端部に取り付けられた蓋部材22によって閉塞されている。結合保持部20の内部には付勢バネ23が配置されている(図6参照)。付勢バネ23は、例えば、圧縮コイルバネであり、前端部が蓋部材22に取り付けられている。付勢バネ23の後端部には弁24が取り付けられている。結合保持部20の後端部には内方へ張り出された略円環状の規制部25が設けられている。
【0047】
付勢バネ23に圧縮方向(前方)への力が付与されていない状態においては、弁24が規制部25に前方から押し付けられている。
【0048】
結合用突部21は結合保持部20に連続する絞り部26と絞り部26の後端に連続する同径部27とから成る。絞り部26は前方へ行くに従って径が小さくなる形状に形成されている。同径部27は略円筒状に形成され、内面に周方向に延びる嵌合溝27aを有している(図6参照)。
【0049】
バルブケース4における結合用突部21の内部空間は洗浄液が流動される第2の流路4aとして形成されている。
【0050】
結合用突部21の後端部はケース側嵌合部28として設けられ、ケース側嵌合部28は周方向において凸部28a、28a、・・・と凹部28b、28b、・・・が交互に並ぶ凹凸形状に形成されている。
【0051】
ノズル保持部19、19はそれぞれ結合保持部20の後端部から側方(外方)へ突出され、内部空間がそれぞれ結合保持部20の内部空間に連通されている。結合保持部20の後端部からノズル保持部19、19の外側の端部までの内部空間はそれぞれ洗浄液が流動される第3の流路4b、4bとして形成されている。
【0052】
ノズル保持部19、19にはそれぞれ外側の端部に噴射ノズル29、29が保持されている。噴射ノズル29、29の噴射口29a、29aはそれぞれ第3の流路4b、4bに連通され、噴射口29a、29aはそれぞれ第3の流路4b、4bに存在する空気の大気への開放孔として機能する。
【0053】
上記したように、バルブケース4の内部には第2の流路4aと第2の流路4aから左右に分岐されそれぞれ噴射ノズル29、29の噴射口29a、29aに連通された第3の流路4b、4bとが形成され、第2の流路4aと第3の流路4b、4bの連続する部分が分岐部30として形成されている。
【0054】
分岐部30には付勢バネ23の後端部に取り付けられた弁24が位置される。従って、弁24が移動されて引張コイルバネ17が前後方向へ伸縮されるときには、弁24によって分岐部30が開閉される。
【0055】
バルブケース4は結合用突部21が結合用筒部12に外嵌され圧入によってピストン3に結合される。バルブケース4がピストン3に結合された状態においては、結合用筒部12に設けられた嵌合突部12bが結合用突部21に形成された嵌合溝21aに嵌合される。
【0056】
バルブケース4がピストン3に結合された状態においては、ケース側嵌合部28の凸部28a、28a、・・・と凹部28b、28b、・・・がそれぞれピストン側嵌合部11の凹部11b、11b、・・・と凸部11a、11a、・・・に嵌合される。
【0057】
このときバルブケース4は噴射ノズル29、29が上側に位置する向きでピストン3に結合されるが、ピストン3には上下方向における向きが設定されていない。従って、バルブケース4の上下方向における向きのみを設定しピストン3の上下方向における向きを設定することなく、バルブケース4をピストン3に結合することができ、バルブケース4のピストン3に対する結合作業における作業性の向上を図ることができる。
【0058】
また、ピストン3やバルブケース4に、両者がともに上下方向において正しい向きで結合されるようにするための位置決め凸部や位置決め孔等の位置決め構造を設ける必要がないため、結合用突部21と結合用筒部12の全長を短縮することが可能であり、洗浄装置1の小型化を図ることができる。
【0059】
バルブケース4にはノズルカバー31が結合される(図7参照)。ノズルカバー31はピストン3の移動に伴って後述する車体又はバンパーに形成された開口を開閉するカバーとして機能する。ノズルカバー31は前後方向を向く横長の平板状など、車輌の意匠に応じた形状に形成されたカバー部32とカバー部32から後方へ突出され筒状に形成された結合部33とを有している(図7参照)。
【0060】
ノズルカバー31はバルブケース4に対して相対的に後方へ移動され、結合部33が結合保持部20に嵌合されることによりバルブケース4に結合される。
【0061】
洗浄装置1はブラケット50によって車体200、バンパー又は車輌用前照灯に取り付けられる(図1及び図8参照)。ブラケット50は円筒状のシリンダー保持部51とシリンダー保持部51から前方へ突出された筒状の閉塞部52とシリンダー保持部51から外方へ突出された被取付部53、53、・・・とから成る。
【0062】
シリンダー保持部51の前端部には内方へ張り出された押さえ部51aが設けられている(図8参照)。
【0063】
閉塞部52は横長の略角筒状に形成されている。
【0064】
ブラケット50は閉塞部52がバルブケース4を覆った状態でシリンダー保持部51がシリンダー2の前端部に外嵌状に取り付けられ、被取付部53、53、・・・が車体200、バンパー又は車輌用前照灯にネジ止め等によって取り付けられる。従って、洗浄装置1がブラケット50によって車体200、バンパー又は車輌用前照灯に取り付けられる。
【0065】
ブラケット50が車体200、バンパー又は車輌用前照灯に取り付けられた状態においては、閉塞部52の前端面が車体200、バンパー又は車輌用前照灯に形成された開口200aの後側開口縁に後方から突き当てられる。従って、バルブケース4等の内部への塵埃等の侵入が閉塞部52によって防止される。
【0066】
ブラケット50が車体200、バンパー又は車輌用前照灯に取り付けられた状態においては、シリンダー保持部51の押さえ部51aによってダストカバー16が外方から押さえられる。
【0067】
上記のように構成された洗浄装置1は、車輌の内部に収納された収納状態において、引張コイルバネ17の付勢力によってピストン3が後方へ付勢されることにより、ノズルカバー31のカバー部32の外周部が車体200、バンパー又は車輌用前照灯に形成された開口200aの前側開口縁に密着され開口200aが閉塞されている(図8参照)。
【0068】
このときバルブケース4の内部に配置された付勢バネ23によって弁24が規制部25に押し付けられた状態とされ、第2の流路4aと第3の流路4b、4bが弁24によって分離されている(図6参照)。
【0069】
上記した収納状態において、供給タンクから連結管100を介してピストン3の内部に洗浄液が供給されると、洗浄液はピストン3の第1の流路3aを通ってバルブケース4の第2の流路4aに流入される。このとき弁24が閉塞されているため、洗浄液は第3の流路4b、4bには流入しない。
【0070】
洗浄液が第2の流路4aに流入されると、供給された洗浄液によって内圧が上昇して引張コイルバネ17が伸長されピストン3がシリンダー2から前方へ突出されていき、ピストン3の前方への移動に伴ってバルブケース4とノズルカバー31が一体になって前方へ移動されていく(図9参照)。バルブケース4が前方へ移動されることにより車体200、バンパー又は車輌用前照灯の開口200aが開放され、開口200aから前方へバルブケース4が突出される。
【0071】
ピストン3のフランジ部10がシリンダー2の前端部に取り付けられたキャップ15に接すると、ピストン3等の前方への移動が停止される。ピストン3等の前方への移動が停止されると、さらに供給される洗浄液によって内圧がさらに上昇し、弁24が開放されて付勢バネ23が圧縮され洗浄液が第2の流路4aから第3の流路4b、4bに流入される(図10参照)。第2の流路4aから第3の流路4b、4bに流入された洗浄液300は、噴射ノズル29、29の噴射口29a、29aから車輌用前照灯のカバー400へ向けて噴射され、噴射された洗浄液300によってカバー400が洗浄される(図9参照)。
【0072】
供給タンクからの洗浄液の供給が停止されると、内圧が低下して付勢バネ23が伸長されて弁24が閉塞され、噴射ノズル29、29からの洗浄液300の噴射が停止される。
【0073】
さらに内圧が低下することにより引張コイルバネ17の付勢力によってピストン3、バルブケース4及びノズルカバー31が後方へ移動されて再び収納状態とされる(図8参照)。
【0074】
以上に記載した通り、洗浄装置1にあっては、バルブケース4の内部に形成された分岐部30に、洗浄液300の液圧に応じて開閉されて第2の流路4aからの第3の流路4b、4bへの洗浄液300の供給又は停止を行う弁24が配置されている。
【0075】
従って、弁24の開放と同時に洗浄液300が第3の流路4b、4bに分岐されるため、バルブケース4の内部において洗浄液300の液圧が変動され難く、弁24の開閉状態が安定して行われ、洗浄液300の円滑な流動状態を確保することができ、噴射ノズル29、29からの洗浄液300の噴射動作の安定化を図ることができる。
【0076】
また、弁24が引張コイルバネ17の伸縮に伴って第2の流路4aにおける洗浄液300の流動方向へ移動されて開閉されるため、弁24の開閉機構が簡素であり、構造の簡素化及び小型化を図ることができる。
【0077】
さらに、噴射ノズル29、29の噴射口29a、29aがそれぞれ第3の流路4b、4bに存在する空気の大気への開放孔として機能するため、別に専用の大気への開放孔をバルブケース4に形成する必要がなく、構造の簡素化を図ることができる。
【0078】
上記した発明を実施するための最良の形態において示した各部の形状及び構造は、何れも本発明を実施するに際して行う具体化のほんの一例を示したものにすぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】図2乃至図10と共に本発明車輌用灯具の洗浄装置の最良の形態を示すものであり、本図は、ブラケットとともに示す洗浄装置の斜視図である。
【図2】洗浄装置の断面図である。
【図3】洗浄装置を一部を断面にして示す側面図である。
【図4】引張コイルバネがピストンに挿入される状態を示す拡大斜視図である。
【図5】バルブケースがピストンから分離された状態を示す斜視図である。
【図6】弁が閉塞されている状態を一部を断面にして示す拡大平面図である。
【図7】ノズルカバーがバルブケースから分離された状態を示す斜視図である。
【図8】洗浄液が噴射される前の状態を一部を断面にして示す側面図である。
【図9】洗浄液が噴射されている状態を一部を断面にして示す側面図である。
【図10】洗浄液が供給されて弁が開放された状態を一部を断面にして示す拡大平面図である。
【符号の説明】
【0080】
1…洗浄装置、2…シリンダー、3…ピストン、3a…第1の流路、4…バルブケース、4a…第2の流路、4b…第3の流路、9…支持係合部、11…ピストン側嵌合部、11a…凸部、11b…凹部、17…引張コイルバネ、17b…環状係合部、23…付勢バネ、24…弁、25…規制部、28…ケース側嵌合部、28a…凸部、28b…凹部、29…噴射ノズル、29a…噴射口、30…分岐部、300…洗浄液
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に供給タンクから洗浄液が供給されるシリンダーと、
内部に前記シリンダーに供給された洗浄液が流動される第1の流路が形成され前記シリンダーに一部が突出された状態で軸方向へ移動自在に支持されたピストンと、
前記洗浄液をそれぞれ噴射する複数の噴射ノズルを有し前記ピストンの前記シリンダーから突出された部分の前記軸方向における一端部に結合されたバルブケースとを備え、
前記バルブケースの内部に、前記第1の流路に連続される第2の流路と前記複数の噴射ノズルにそれぞれ連通され前記第2の流路から分岐された複数の第3の流路とが形成され、
前記第2の流路と前記複数の第3の流路との連続する部分が分岐部として形成され、
前記ピストンが前記バルブケースと一体になって前記シリンダーに対して突出される方向へ移動されて前記洗浄液が前記複数の噴射ノズルからそれぞれ噴射され、
前記分岐部に、前記洗浄液の液圧に応じて開閉されて前記第2の流路からの前記複数の第3の流路への前記洗浄液の供給又は停止を行う弁が配置された
ことを特徴とする車輌用灯具の洗浄装置。
【請求項2】
前記バルブケースの内部に前記弁が押し付けられて前記弁の移動を規制する規制部が設けられ、
前記バルブケースの内部に前記弁を前記規制部に押し付ける方向へ付勢する付勢バネが配置され、
前記弁が前記洗浄液の前記第2の流路における流動方向へ移動されて開閉されるようにした
ことを特徴とする請求項1に記載の車輌用灯具の洗浄装置。
【請求項3】
前記噴射ノズルの噴射口が前記第3の流路に存在する空気の大気への開放孔として機能するようにした
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車輌用灯具の洗浄装置。
【請求項4】
前記ピストンを前記シリンダーの内部に収納される方向へ付勢する引張コイルバネを設け、
前記引張コイルバネの一端部に他の部分より径の大きい環状係合部を設け、
前記ピストンの前記軸方向における一端部に支持係合部を設け、
前記引張コイルバネの前記環状係合部以外の部分が前記ピストンの内部に挿入されて前記環状係合部が前記支持係合部に外嵌状に係合されて支持されると共に前記引張コイルバネの他端部が前記シリンダーに支持されるようにした
ことを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の車輌用灯具の洗浄装置。
【請求項5】
前記ピストンの前記軸方向における一端部に周方向において交互に並ぶ凹凸形状を有するピストン側嵌合部を設け、
前記バルブケースに前記ピストン側嵌合部に嵌合され周方向において交互に並ぶ凹凸形状を有するケース側嵌合部を設け、
前記ピストン側嵌合部の各凹部と各凸部にそれぞれ前記ケース側嵌合部の各凸部と各凹部が嵌合されて前記ピストンと前記バルブケースが結合されるようにした
ことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載の車輌用灯具の洗浄装置。
【請求項1】
内部に供給タンクから洗浄液が供給されるシリンダーと、
内部に前記シリンダーに供給された洗浄液が流動される第1の流路が形成され前記シリンダーに一部が突出された状態で軸方向へ移動自在に支持されたピストンと、
前記洗浄液をそれぞれ噴射する複数の噴射ノズルを有し前記ピストンの前記シリンダーから突出された部分の前記軸方向における一端部に結合されたバルブケースとを備え、
前記バルブケースの内部に、前記第1の流路に連続される第2の流路と前記複数の噴射ノズルにそれぞれ連通され前記第2の流路から分岐された複数の第3の流路とが形成され、
前記第2の流路と前記複数の第3の流路との連続する部分が分岐部として形成され、
前記ピストンが前記バルブケースと一体になって前記シリンダーに対して突出される方向へ移動されて前記洗浄液が前記複数の噴射ノズルからそれぞれ噴射され、
前記分岐部に、前記洗浄液の液圧に応じて開閉されて前記第2の流路からの前記複数の第3の流路への前記洗浄液の供給又は停止を行う弁が配置された
ことを特徴とする車輌用灯具の洗浄装置。
【請求項2】
前記バルブケースの内部に前記弁が押し付けられて前記弁の移動を規制する規制部が設けられ、
前記バルブケースの内部に前記弁を前記規制部に押し付ける方向へ付勢する付勢バネが配置され、
前記弁が前記洗浄液の前記第2の流路における流動方向へ移動されて開閉されるようにした
ことを特徴とする請求項1に記載の車輌用灯具の洗浄装置。
【請求項3】
前記噴射ノズルの噴射口が前記第3の流路に存在する空気の大気への開放孔として機能するようにした
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車輌用灯具の洗浄装置。
【請求項4】
前記ピストンを前記シリンダーの内部に収納される方向へ付勢する引張コイルバネを設け、
前記引張コイルバネの一端部に他の部分より径の大きい環状係合部を設け、
前記ピストンの前記軸方向における一端部に支持係合部を設け、
前記引張コイルバネの前記環状係合部以外の部分が前記ピストンの内部に挿入されて前記環状係合部が前記支持係合部に外嵌状に係合されて支持されると共に前記引張コイルバネの他端部が前記シリンダーに支持されるようにした
ことを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の車輌用灯具の洗浄装置。
【請求項5】
前記ピストンの前記軸方向における一端部に周方向において交互に並ぶ凹凸形状を有するピストン側嵌合部を設け、
前記バルブケースに前記ピストン側嵌合部に嵌合され周方向において交互に並ぶ凹凸形状を有するケース側嵌合部を設け、
前記ピストン側嵌合部の各凹部と各凸部にそれぞれ前記ケース側嵌合部の各凸部と各凹部が嵌合されて前記ピストンと前記バルブケースが結合されるようにした
ことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載の車輌用灯具の洗浄装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−218704(P2012−218704A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89959(P2011−89959)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]