説明

車輪の外側側面を覆うホイールカバー装置

【課題】自動車の空力性能を向上させるためホイールカバーで車輪を下縁付近まで覆った場合であっても、ホイールカバーの下縁部を路面に干渉させない。
【解決手段】後輪100を下縁付近まで覆うカバー固定部112aとカバー固定部112aの下方部に上下動可能に支持されたカバー可動部1が配置され、自動車Vが障害物を乗り越え、後輪100が大きくバンプした場合に、A型アッパーアーム122にリンクA17とリンクB19を介して連結されたカバー可動部が、A型アッパーアーム122の変位を受けて上方向に可動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪の外側側面を覆うホイールカバーに関する。
【0002】
自動車走行時には、自動車の車体側面及びフロア下を流れる走行風が、車輪を配設するホイールハウス内に進入し、後に車体側面に吸い出されるが、この現象が車体後方の気流の流れを大きく乱して空気抵抗(Cd)を増大させる原因になっている。
そこで、フェンダパネルに上端を固定したホイールカバーを車輪の外側側面に取り付けることにより、ホイールハウス内に走行風の進入を防ぎ、さらにフロア下から進入した走行風がホイールアーチ部から吸い出されないようにする構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、前輪の外側側面にホイールカバーを設定する場合、前輪は旋回時に操舵輪となるため固定式のホイールカバーを取り付けることができなかった。そこで、旋回時に前輪を操舵した際に、ステアリング操作に連動して前輪とともにホイールカバーを回動する構成にすることにより、前輪を操舵した際でもホイールカバーと前輪との干渉を避けるようにする構造が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開昭59−192678号公報
【特許文献2】特開昭61−36064号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
走行時に、車輪またはホイールハウスに起因する車体側方の気流の流れを極限まで低減させるため、できるだけ車輪外側側面をホイールハウス上方から下縁まで覆うことは知られている。
しかしながら、このような従来のホイールカバーは、ホイールハウス上方から車輪の中央部付近までしか覆っておらず、空気抵抗の低減効果は低いものであった。これは、ホイールカバーで車輪の下縁付近まで覆った場合、自動車が障害物を乗り越え後輪がバンプした時、ホイールカバーの下縁部が縁石等に当たって破損や異音を引き起こすという問題があったからである。
【0004】
本発明の目的は、車輪周りの空力性能を最大限向上させつつ、車輪がバンプした時であってもホイールカバーの下縁部が路面干渉することがないため破損や異音発生を防止して、その商品性を確保できるホイールカバー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、自動車走行時に車両側面の空気の流れを整流するためのホイールカバー装置において、自動車の車輪の少なくとも下縁付近を覆い、上下動可能に支持されたカバー可動部と車体に対して上下動する車輪が上方向に変位したとき、上記カバー可動部を上方向に変位させる変位伝達部材を備える構成である。
【0006】
請求項1によれば、ホイールカバーで車輪の少なくとも下縁付近を覆った場合に車輪がバンプしたときであっても、車輪の下縁付近を覆うカバー可動部が上下動可能に支持されており、車輪が上方向に変位した際にカバー可動部も上方向に変位するため、ホイールカバーの下縁部が路面干渉することがない。そのため、車輪周りの空力性能向上と路面干渉の防止によりホイールカバーの破損を防止するという商品性確保との両立ができる。
【0007】
請求項2に係る発明は、上記請求項1に記載のホイールカバー装置おいて、上記車輪の上方にある車体側面に固定され、該車輪を下縁付近まで覆うカバー固定部を設け、上記カバー可動部が上記カバー固定部の下方に配置され、上記カバー可動部と上記カバー固定部とが上記車輪外側側面を連続して覆う構成である。
【0008】
請求項2によれば、車輪外側側面を覆うホイールカバーが車輪の上方に位置する車体側面部に固定され車輪を下縁付近まで覆うカバー固定部とカバー固定部の下方にカバー可動部を配置することにより、車輪の変位により上下動する部分が、車輪の下縁付近を覆うカバー可動部のみであるため、可動部分が目立ちにくく視認性の向上につながる。またホイールカバー全体を変位させるより、下縁部のみを変位させることにより可動部分の質量が小さくなり必要エネルギーが少なくなる。また、カバー可動部が破損した場合に、下縁部に配置されたカバー可動部のみを交換、修理すればよい。
【0009】
請求項3に係る発明は、上記請求項1に記載のホイールカバー装置において、上記カバー可動部が、上記車輪を該車輪の上部から下縁付近までを一体的に覆う外側カバー部からなる構成である。
【0010】
請求項3によれば、カバー可動部が車輪を車輪の上部から下縁付近までを一体的に覆っているため、自動車バンプ時にカバー可動部が上方向に変位するとき、カバー固定部とカバー可動部に分けるよりも、簡単な構成で路面干渉を防止できる。
【0011】
請求項4に係る発明によれば、上記請求項1〜3のいずれかに記載のホイールカバー装置において、上記変位伝達部材が所定量以上の上方向への変位が生じたときのみ上記カバー可動部を上方向に変位させる変位許容機構を備えた構成である。
【0012】
請求項4によれば、カバー可動部に変位許容機構を設けることにより、自動車が凹凸路を走行のときに、車輪を下縁付近まで覆うホイールカバーが通常の位置にあっても路面に干渉することがないときは、カバー可動部が変位することがないため、無駄な細かい動きをなくすことができ、視認性の向上につながる。また、カバー可動部が、通常の位置にあっても路面干渉することがないときは、カバー可動部が上方向に引っ張られることがないため、バネ下重量を低減することができ走行安定性を向上できる。
【0013】
請求項5に係る発明によれば、上記請求項1〜4のいずれかに記載のホイールカバー装置おいて、上記変位伝達部材が上記車輪を支持し車体に対して上下方向に変位可能なサスペンションアッパーアームに連結された構成である。
【0014】
請求項5によれば、変位伝達手段が、車輪が上方向に変位した際に、同様の動きをするアッパーアームに連結することにより、アッパーアームの変位をカバー可動部に伝えることができる。また、サスペンションの中でカバー可動部から車輪を跨いで最短距離にあるアッパーアームに連結することにより、部品点数を削減できる。
【0015】
請求項6に係る発明によれば、上記請求項1〜4のいずれかに記載のホイールカバー装置において、変位伝達部材が、上記車輪の内側に設置されたインホイールモータから上記車輪外側面に突出した非回転部材からなる構成である。
【0016】
請求項6によれば、変位伝達部材が車輪側面視中心に位置するインホイールモータの中心軸である非回転部材から構成されることにより、カバー可動部から最も近く、他の部品を介すことなく車輪の変位をカバー可動部に伝えることができる。特にインホイールモータの中心軸は、非回転部材となる車軸を車体外側に突出させやすいため、変位伝達部材として構成しやすい。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、上記構成によれば、ホイールカバーで車輪を下縁付近まで覆った場合であっても、バンプ時にホイールカバーの下縁部が路面に干渉することがないので、車輪周りの空力性能を最大限向上させつつ、ホイールカバーの部品破損も防止しその商品性を確保できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
本発明の3つの実施形態に共通する自動車の車体構造を、図1と図2に基づいて説明する。
図1は、本発明に共通する自動車Vの車体構造を示す側面図である。図2は、本発明の左側後輪ホイールカバーの構造を説明するための車体構造の側面部を前方から見た斜視図である。なお、自動車Vは後輪駆動形式の電気自動車であり、後輪100はインホイールモータ102によって駆動される。
【0020】
図1に示すように、自動車Vは、側面視およそ中央部に乗員が乗降するためのサイドドア104を有し、その前方には操舵輪である前輪106を包囲する大きなフロントフェンダ108を有している。このフロントフェンダ108を含む車体本体110の後部は、図2からわかるように、後方に向かうに従って、先細りの形状を有している。
自動車Vの後部には、車体本体側面から後輪外側側面を後輪外形に沿って下縁付近まで覆う外側ホイールカバー112と後輪内側面を覆う内側ホイールカバー114が設けられており、後輪100は、外側ホイールカバー112と内側ホイールカバー114により接地部分を除く大部分が覆われている。
【0021】
内側ホイールカバー114と車体本体110との間には、車体前後方向に延びて前端及び後端が開放された側部導風通路116が形成されている。側部導風通路116の後方開口は、走行時に車体後方に発生する負圧領域に臨んで開放されているため、側部導風通路116の前端から進入した走行風は効率よく後方に吹き抜け、車体後方の負圧を緩和して、この領域の乱れを小さくできる。
また、車体側面に沿って流れる走行風が側部導風通路116の前端から進入し、その走行風により側部導風通路116の車幅方向外側に配置された後輪100に内蔵されるインホイールモータ102を冷却することを可能にしている。インホイールモータの側面には、側部導風通路116を流れる走行風を取り入れてインホイールモータを冷却するための冷却フィン130を複数有しており、熱交換性能を向上させている。
【0022】
外側ホイールカバー112は、後輪100がバンプした際、外側ホイールカバー112の下縁部が路面干渉することを防ぐため、その下縁部が上下動可能に構成されている。
車体側面から後輪100周りを流れる走行風がホイールハウスに進入した後、後輪100の内部すなわちホイールの隙間を通って車外側に吸い出される際、車体側面を流れる気流とぶつかり、車体側方の気流の流れを乱し空気抵抗(Cd)の増大を引き起こしていた。そこで、外側ホイールカバー112で後輪100の外側側面のほとんどを覆うことにより、ホイールハウス内に走行風が進入することを防止し、走行風がホイールハウスに進入した場合であっても、車体側面に吸い出されることがないため、後輪ホイールハウスに起因する空気抵抗を極限まで小さくすることができる。
【0023】
しかし、空力性能向上のため後輪100を路面近くまで覆った場合、後輪100が障害物を乗り越え上方向に大きく変位した時、いわゆるバンプ時に、外側ホイールカバー112が障害物に路面干渉してしまう可能性があり、このことが従来ホイールカバーで車輪の下縁付近まで覆うという構成を阻む理由となっていた。
【0024】
そこで、本発明では、外側ホイールカバー112の下縁部を車体上下方向に上下動可能とする構成にした。それにより、外側ホイールカバー112で後輪100を下縁付近まで覆った場合であっても、後輪100がバンプしたとき外側ホイールカバー112の路面干渉を避けることができる。従って、後輪100周りの空力性能を最大限向上させるとともに、外側ホイールカバー112の路面干渉を避けることができ部品破損および異音発生の防止ができるという、従来解決することのできなかった課題を解決することができた。
【0025】
次に、図2、図3により、本発明に共通する後輪サスペンション機構Wと後輪100の動きを説明する。
後輪100に内蔵されるインホイールモータ102の側面部の車体前後に固設されたホイールハブ部118に車幅方向外端部を連結されたロアアーム120が、側部導風通路116を車幅方向に横切っており、ロアアーム120の車幅方向内端部は車体内部に配置する車体構成部材124に上下に揺動可能に軸支されている。
ロアアーム120の上方には、車幅方向外方に向けて先細り形状のA型アッパーアーム122が配置され、A型アッパーアーム122の車幅方向外端部は、インホイールモータ102から上方に湾曲しつつ延出するナックルアーム126に上下に揺動可能に軸支されている。ナックルアーム126の下端部は、インホイール102側面部上方に固設されている。
【0026】
側部導風通路116の車幅方向内側の車体内部には、A型アッパーアーム122とロアアーム120に挟まれるように車体前後方向に、離間し起立して配設された前後の2本のショックアブソーバ128,129が配設されている。それぞれショックアブソーバ128,129の上端部は、A型アッパーアーム122の車幅方向内端に軸支され、その下端部はロアアーム120の車幅方向内側の中央部分に軸支されている。
ショックアブソーバ128,129の上端部とA型アッパーアーム122を軸支する軸支点より車幅方向外側に、A型アッパーアーム122が上下動する際の中心軸である車体側揺動軸線123が車体前後方向に延びている。
ショックアブソーバ128,129の下端部とロアアーム120を軸支する軸支点より車幅方向内側に、ロアアーム120が上下動する際の中心軸である車体側揺動軸線121が車体前後方向に延びている。
【0027】
自動車が障害物を乗り越え、後輪100がバンプする際、A型アッパーアーム122は、ナックルアーム126が上方向に変位するのを受けて、車体側揺動軸線123を中心に車幅方向外側部が上方向に移動し、車幅方向内側部が下方向に移動する。これにより、車幅方向内側端部に軸支されるショックアブソーバ128,129の上端部には、下方向の力が加わる。
ロアアーム120は、インホイールモータ102の上方向への変位を受けて、車体側揺動軸線121を中心に車幅方向外側部が上方向に移動する。このとき車幅方向内側端部は車体構成部材124に軸支されているため、動くことはない。これにより、ショックアブソーバ128,129の下端部には、上方向の力が加わる。
【0028】
このため、A型アッパーアーム122とロアアーム120に挟まれたショックアブソーバ128,129は、上方向から加わる力と下方向から加わる力により収縮する。このとき、A型アッパーアーム122とロアアーム120は、同位相で上下に揺動するため、後輪100の小さい上下動でもショックアブソーバ128,128を大きく伸縮させることができ、減衰性能を効率的に確保できる。
【0029】
(第一の実施形態)
次に、本発明の第一の実施形態にかかる100の外側ホイールカバー112を、図3〜図7に基づいて説明する。
図3は、特に第一の実施形態にかかる後輪100の外側側面の下縁を覆うカバー可動部1の構造を説明するための後輪100を斜め後方から見た斜視図である。図4は、特に第一の第一の実施形態にかかる後輪100を後方から見た断面図である。
【0030】
図3と図4に示すように、後輪100の外側側面を覆う外側ホイールカバー112は、車体側面から後輪100の外形に沿って下縁付近まで垂下したカバー固定部112aと、その下端部に配設され、後輪100の下縁部を覆うカバー可動部1からなっている。
カバー可動部1は、後輪100の下縁付近を車体前後方向に弧状を成して覆う可動下部2と、可動下部2の側面視前後方向の中央部に位置し、カバー固定部112aの車幅方向内側を沿うように、後輪100の側面視中心付近まで上方向に延出した可動連結部3からなる。したがって、カバー可動部1全体は、側面視略山の字型の形状を成している。
可動下部2の前端部は、カバー固定部112aに車幅方向に延びるカバー可動揺動支持部5により軸支されている。また、可動下部2の後端部は、揺動支持機構7を介して、カバー固定部112に上下に揺動可能に支持されている。
したがって、後輪100がバンプした際、可動下部2は、可動揺動支持部5を支点に、カバー可動部1が鉛直上方向に引っ張られるように変位する(2’)。
【0031】
次に、図3から図5を用いて、可動下部2の後端部に設けられた揺動支持機構7を説明する。図5は、後輪100を後方から見た断面図である。なお、可動連結部3及びリンク17,19については図示していない。
揺動支持機構7を構成する揺動孔部9の上端部には、車幅方向外側端部がカバー固定部112aに固設され、車幅方向内側に突出して揺動孔部9を挿通するガイド部11が設けられており、ガイド部11は、車両後方断面視L字型の形状を成している。
揺動孔部9の下端部とガイド部11の間には、バネ部材13が付勢されて配置されており、バネ部材13は、ガイド部11を揺動孔部9の上端部に押し付けている。
また、可動連結部3の上端部には、後に説明する長孔部16を有した変位許容機構14が設けられている。長孔部16には、車幅方向内側から外側に向かって係合部材15が、車体上下方向上部に隙間を有して、スライド可能に係合している。
【0032】
車幅方向外方に向けて先細り形状のA型アッパーアーム122の上方面には、着脱自在に取り付けられた二本のボルトによりリンク17が連結され、後輪100の上方を跨いで車幅方向外側に延びている。
リンク17の車幅方向外側部には、リンク19が車体前後方向に延びるヒンジにより上下動可能に軸支されている。リンク19はカバー固定部112aの車幅方向内側に沿って垂下し、その下端部は可動連結部3に係合部材15を介してスライド可能に係合している。
A型アッパーアーム122から後輪100の上方を跨いでリンク17とリンク19と可動部連結部3を連結することにより、A型アッパーアーム122の上方向への変位をカバー可動部1に後輪を跨いだ最短の距離で伝えることができ、部品点数の削減ができ、可動部分の軽量化とコスト削減につながる。
【0033】
次に、図3から図7を用いて、変位許容機構14について説明する。図6は、自動車Vが小石や橋のつなぎ目を乗り越えた場合であっても、カバー可動部1が上方向に変位していないことを示す車体後方部の側面図である。図7は、自動車Vが障害物を乗り越えた際、カバー可動部1が上方向に変位するときの動作を示す車体後方部の側面図である。
変位許容部材14は、リンク19の下端部に位置する係合部15と、係合部がスライド可能に係合する長孔部16からなっている。長孔部16の下端に係合する係合部材15の上方部には、係合部材15が上方向に変位可能な隙間を有している。
自動車Vが障害物あるいは小石や橋のつなぎ目を乗り越えたとき、A型アッパーアーム122に連結されたリンク17とリンク19が上方向に変位する(17’,19’)。
【0034】
次に、リンク19の下端部に設けられた変位許容機構14により、カバー可動部1が上方向に変位するかが決められる。
つまり、変位許容機構14の長穴部16に係合する係合部材15が、長穴部16の上端部に接触した場合(15’)、カバー可動部1は、リンク17に上方向に引っ張られるように上方向に変位する(17’)。変位許容機構14の長穴部16に係合する係合部材15が、長穴部16の上端部に接触することなく元の位置に戻った場合、カバー可動部1は、リンク19に引っ張られることなく所定の位置から動くことはない(図6)。
係合部材15が変位許容機構14の長孔部16の上端部に接触し、カバー可動部1が上方向に変位した際の動作については後に説明する(図6)。
【0035】
変位許容機構14により、自動車Vが凸凹のある路面を走行したとき、この凸凹が小石や橋のつなぎ目であって、カバー可動部1が上方向に変位することがなくても路面干渉する恐れがない場合は、係合部材15が長孔部16の上端部に接触することがなく、カバー可動部1は上方向に変位することがない。そのため、カバー可動部1が係合部材15に引っ張られることがないため、自動車のバネ下重量が軽減でき走行安定性の向上につながる。
ここで、部品点数の削減とコスト削減のため、可動連結部3に変位許容機構14を備えず、カバー可動部1が、常に後輪100の動きとともに上下動する構成であってもよい。
【0036】
次に、本発明の第一の実施形態に係る自動車Vが障害物を乗り越え、後輪100がバンプした時のカバー可動部1の動作について説明する。
自動車Vが障害物を乗り越え、後輪100がバンプしたとき、後輪100に内蔵されるインホイールモータ102の側面部にブラケット118を介して上下に揺動可能に軸支されたロアアーム120と、インホイールモータ102の側面部上方に固設され上方に延出するナックルアーム126に車幅方向外側端部を軸支されたA型アッパーアーム122が上方向へ変位する(120’,122’,126’)。このとき、ロアアーム120とA型アッパーアーム122は、それぞれ車体前後方向に延びる車体側揺動軸線121,123を中心軸として上方向に変位する。
それと同時に、A型アッパーアーム122の車体上下方向上方面に連結されたリンク17と、リンク17に連結されたリンク19が上方向へ変位する。(17’,19’)
【0037】
次に、リンク19の下端部に位置する係合部材15が長孔部16の上端部に当接し、可動連結部3はリンク19に上方向に引っ張られ(15’)、可動下部1の前端部に車幅方向に軸支する可動揺動支持部5を支点に上方向に変位する(1’)。カバー可動部1が上方向に変位すると、可動下部2の後端部に設けられた揺動支持機構5を構成する揺動孔部9も上方向に変位する(7’)。このとき揺動孔部9は、揺動孔部9の上端部に位置するガイド部11がバネ部材13を圧縮させながら上方向に変位する。
これにより、カバー可動部1が上方向に変位するため、自動車Vが障害物を乗り越えバンプした時であっても、外側ホイールカバー112の下縁部が障害物に路面干渉することなく走行できる。
【0038】
次に、自動車Vが障害物を乗り越え終わり、後輪100が所定の位置に戻った際、カバー可動部1は、カバー可動部1の自重および揺動支持機構7を構成する揺動孔部9に設けられたバネ部材13の弾性力によりもとの位置に戻る。
揺動孔部9にバネ部材13を設けることにより、カバー可動部1が上方向に変位した後に、カバー可動部1がもとの位置に戻る際に、バネ部材13の弾性力によりすばやく戻ることが可能になる。また、カバー可動部がもとの位置に戻る際に、ガイド部11がカバー可動部に干渉することを防ぐことができるため、部品破損を防止することができる。
【0039】
(第二の実施形態)
次に、本発明の第二の実施形態にかかる後輪100の外側ホイールカバー112を、図5および図8〜図11に基づいて説明する。
図8は、特に後輪100の外側側面の下縁を覆うカバー可動部21の構造を説明するための後輪100を斜め後方から見た斜視図である。図9は、特に第二の実施形態にかかる後輪100の断面図である。
【0040】
図8と図9に示すように、車体側面から後輪100の外形に沿って下縁付近まで垂下したカバー固定部112bと、その下端部に配置され、後輪100の下縁付近を覆うカバー可動部21からなっている。
カバー可動部21は、後輪100の下縁付近を車体前後方向に弧状を成して覆う可動下部22と、可動下部22の側面視前後方向の中央部に位置し、カバー固定部112bの車幅方向内側を沿うように、後輪100のおよそ側面視中心部まで上方向に延出した可動連結部23からなる。したがって、カバー可動部21全体は、側面視略山の字型の形状を成している。
【0041】
次に、図5および図8を用いて、可動下部22の後端部に設けられた揺動支持機構7を説明する。図5は、後輪100を後方から見た断面図である。なお、可動連結部23及び車軸35については図示していない。
図5に示すように、揺動支持機構7を構成する揺動孔部9の上端部には、一端をカバー固定部112bに固設され、車幅方向内側に揺動孔部9を挿通するガイド部11が設けられ、ガイド部11は、断面視L字型の形状を成している。
揺動孔部9の下端部とガイド部11の間には、バネ部材13が付勢して配置されており、ガイド部11はバネ部材13により、揺動孔部9の上端部に押し付けられるように配置されている。
なお、図8に示す可動下部22の前端部には、カバー固定部112bに上下に揺動可能に連結する可動揺動支持部5が設けられていないが、第一の実施形態と同様に可動下部22とカバー固定部112bを連結し、車幅方向に延びる可動揺動支持部5を設けた構成であってもよい。
【0042】
可動連結部23の上端部には、後に説明する長孔部36を有した変位許容機構34が設けられている。長孔部36には、後輪100に内蔵されたインホイールモータ102の側面視中心に位置する回転中心軸である車軸35が車幅方向外側に突出しており、車幅方向内側から外側に向かってスライド可能に係合している。
インホイールモータ102は、側面視中心に位置する回転中心軸を中心に後輪100を回転させるため、回転中心軸自体は車輪とともに回転することがない。そのため、車幅方向外側に突出させた車軸35(回転中心軸)を容易に可動連結部23にスライド可能に係合できる。
また、インホイールモータ102の回転中心軸のように非回転部材であることがもっとも好ましいが、側面視中心に非回転部材を有さない車輪の場合であっても、ベアリングを挟んで外側に突出させた車軸を別途設けることにより、可動連結部23に係合できる。
本実施例は実施例1と異なり、A型アッパーアーム122から変位をとるのではないため、カバー可動部21に直接、後輪100の上方向の変位を伝えることができる。可動部分の部品点数削減とコスト削減、軽量化につながる。
【0043】
次に、図8から図11により、変位許容機構34について説明する。自動車Vが小石や橋のつなぎ目を乗り越えた場合であっても、カバー可動部21が上方向に変位していないことを示す車体後方部の側面図である。図11は、自動車Vが障害物を乗り越えた際、カバー可動部21が上方向に変位するときの動作を示す車体後方部の側面図である。
変位許容機構34を構成する長孔部36の下端部には、後輪100の側面視中心から外側に向かって突出する車軸35が、車幅方向内側から外側にスライド可能に係合している。長孔部29の下端部に係合する車軸35の上方部には、車軸35が上方向に変位可能な隙間を有している。
【0044】
自動車Vが障害物あるいは小石や橋のつなぎ目を乗り越えたとき、可動連結部材23の上端部に設けられた変位許容機構34により、カバー可動部21が上方向に変位するかが決められる。
変位許容機構34の長孔部36に係合する車軸35が、長孔部36の上端部に当接した場合(35’)、カバー可動部21は、鉛直に上方向に変位する(21’)。長孔部36に係合する車軸35が、長孔部36の上端部に接触することなく元の位置に戻った場合、カバー可動部21は、所定の位置から動くことはない(図10)。
車軸35が変位許容機構34の長孔部36の上端部に接触し、カバー可動部21が上方向に変位した際の動作(図11)ついては後に説明する。
【0045】
変位許容機構34により、自動車Vが凸凹のある路面を走行したとき、この凸凹が小さなものであって、カバー可動部21が上方向に変位しなくても路面干渉する恐れがない場合は、車軸35が長孔部36の上端部に接触することがないため、カバー可動部21は、上方向に変位することはない。このため、車軸35にカバー可動部21が引っ張られることがないため、自動車のバネ下重量が軽減され、走行安定性の向上につながる。
ここで、部品点数の削減とコスト削減のため、可動連結部23に変位許容機構34を備えず、カバー可動部21が、常に後輪100の動きとともに上下動する構成であってもよい。
【0046】
次に、本発明の第二の実施形態に係る自動車Vが障害物を乗り越え、後輪100がバンプした時のカバー可動部21の動作について説明する。
自動車Vが障害物を乗り越え、バンプしたとき、後輪100に内蔵されるインホイールモータ102の側面部にホイールハブ118を介して上下に揺動可能に軸支されたロアアーム120と、インホイールモータ102の側面部の上方に固設されたナックルアーム126に軸支されたA型アッパーアーム122が上方向へ変位する(120’,122’,126’)。このとき、ロアアーム120とA型アッパーアーム122は、それぞれ車体前後方向に延びる車体側揺動軸線121,123を中心軸として上方向に変位する。
それと同時に、インホイールモータ102の側面視中心に位置し、車幅方向外側に突出した車軸35が上方に変位する(35’)。
【0047】
次に、後輪100の側面視中央部に位置する車軸35が変位許容機構34を構成する長孔部36の上端部に当接し、可動連結部23が上方向に引っ張られことにより(35’)、カバー可動部21は、およそ鉛直に上方向に変位する(21’)。カバー可動部21が上方向に変位すると、可動下部22の後端部に設けられた揺動支持機構5を構成する揺動孔部9も上方向に変位する(7’)。このとき揺動孔部9は、揺動孔部9の上端部に位置するガイド部11がバネ部材13を圧縮させながら上方向に変位する。
これにより、カバー可動部21は、上方向に変位することが可能になり、自動車Vが障害物を乗り越えた場合であっても、外側ホイールカバー112の下縁が路面に干渉することなく走行可能になる。
【0048】
次に、自動車Vが障害物を乗り越え終わり、後輪100がもとの位置に戻った際、カバー可動部21は、カバー可動部21の自重および揺動支持機構7を構成する揺動孔部9に設けられたバネ部材13の弾性力によりもとの位置に戻る。
揺動孔部9にバネ部材13を設けることにより、カバー可動部21が上方向に可変位した後に、カバー可動部21がもとの位置に戻る際に、バネ部材13の弾性力によりすばやく戻ることが可能になる。また、カバー可動部21が上方向に変位する際、ガイド部11が揺動孔部9の下端部に干渉することを防ぐことができ、部品破損を防止できる。
【0049】
第二の実施形態はインホイールモータ102の中心軸は非回転部材からなっているため、後輪100がバンプした際、カバー可動部21を上方向に変位させるための車軸35を容易に車幅方向外側に突出させることができ、他の部品を介すことなく車軸35を直接カバー可動部21に係合することができる。
第一、第二実施形態のように後輪100がバンプした際、外側ホイールカバー112の下縁部のみを可動部として上方向に変位させることにより、外側ホイールカバー112全体を動かすより質量が小さくなり、上方向に変位する際に必要なエネルギーが少なくなるためバネ下重量を最大限軽減することができる。
【0050】
(第三の実施形態)
次に、本発明の第三の実施形態にかかる100の外側ホイールカバー112を、図12〜図15に基づいて説明する。
図12は、後輪100の外側側面を下縁まで覆うカバー可動部41を説明するための車体後方部の側面図である。図13は、カバー可動部41を支持する3つのリンク機構を示すため、カバー可動部41を図略した車体後方部の側面図である。図14、15は、カバー可動部41の支持構造を示す断面図である。
【0051】
図12に示すように、車体側面には乗員が乗降するためのサイドドア104と、車体後方部側面の上部から垂下する車体後方側面部134と、車輪を下縁付近まで覆う外側ホイールカバー112とが接する部分にそれぞれパーティングライン132が形成されている。
外側ホイールカバー112は、後に説明する3つのリンク機構によって、自動車が障害物を乗り越えた際に、下縁が路面と干渉する恐れのある場合に、上方に変位可能に車体に支持されたカバー可動部41として構成されている。
【0052】
まず、図13と図14により、3つのリンク機構の中で、カバー可動部41の最も上方部に配置されたリンク部材45およびカバー可動部41の構造について説明する。
カバー可動部41と車体後方側面部134およびサイドドア104の周辺部のパーティングライン132が交差する部分には、カバー可動部41と、車幅方向内側から断面視略くの字状を成し、カバー可動部41の開口部周辺に露出する可動連結部43に支持部材を介して上下動可能にリンク部材45が車体前後方向に軸支されている。
【0053】
カバー可動部41は車幅方向内側面には、後輪100の平面視中心に位置する車軸35の上方部に車幅方向内側に突出した突出部47が設けられている。この突出部47は後輪100が上方向に変位した際に、カバー可動部41が上方向に変位したときに、突出部47と車軸35が必ず当接する程度に車幅方向内向きに突出していることが必要である。また突出部47は、カバー可動部41の内側に配置された後輪100の外側側面に当たらない程度に突出している。
また、突出部47と車軸35の間には、突出部47と車軸35が当接することのないように隙間部49が設けられている。この隙間部49により、自動車Vが小石や橋のつなぎ目を乗り越えたとき、つまりカバー可動部41が上方向に変位しなくてもカバー可動部41の下縁部が路面に干渉することのないときは、後輪100のみが上方向に変位しカバー可動部41は上方向に変位しない。
したがって、後輪100が変位したときであっても常にカバー可動部41が変位することがないため、カバー可動部41の無駄な細かい動きを防止することができる。また後輪100のみの変位のとき、バネ下重量が軽減でき走行安定性の向上につながる。
【0054】
次に、図15を用いて、カバー可動部41の後方部に配置されたリンク部材51について説明する。
カバー可動部41の後方部には、カバー可動部41を上方向に変位可能に支持するリンク部材51の一方が軸支されており、もう一方は、カバー可動部41の開口部周辺に露出する可動連結部43に二本の締結部材により固定された支持部材を介して上下動可能に、車両前後方向に軸支されている。
可動連結部材43は、車体側面の車幅方向内側に車体側面に沿って湾曲した形状を成し、車体本体に支持部材を介して連結されている。可動連結部43には、可動連結部43の裏面を沿うように、連結部補強部材44が設けられている。この連結部補強部材44により、カバー可動部の自重を支える可動連結部材43が、車幅方向内側に折れ曲がることを防止することができる。
カバー可動部41の前方部には、カバー可動部41の後方部に配置されたリンク部材51と同様の構造を有したリンク部材53が設けられており、カバー可動部41を支持している。前方部に配置されたリンク部材53と後方部に配置されたリンク部材51の回動軸55が、同一面上に配置されているためカバー可動部41が上方向に変位したとき安定して上方に変位できる。
【0055】
次に、本発明の第三の実施形態に係る自動車Vが障害物を乗り越え、後輪100がバンプしたときのカバー可動部41の動作について説明する。
自動車Vが障害物を乗り越え、バンプしたとき、後輪100に内蔵されるインホイールモータ102にホイールハブ118を介して上下に揺動可能に軸支されたロアアーム120と、インホイールモータ102に固設され上方に延出するナックルアーム126に車幅方向外側端部を軸支されたA型アッパーアーム122が上方向へ変位が生じる(120’,122’,126’)。このロアアーム120とA型アッパーアーム122の車体側揺動軸線121,123はともに車体前後方向に延びている。
それと同時に、インホイールモータ102の側面視中心に位置し、車幅方向外側に突出した車軸35が上方に変位する(35’)。
【0056】
車輪側面視中心部に位置する車軸35上方向に変位し(35’)、それにより、カバー可動部41の車幅方向内側に位置する突出部47と当たり上方向に力がかかり(47’)、カバー可動部が上方に変位し始める(47’)。
車軸35の接触によりカバー可動部41に力が加わると、カバー可動部41が3つのリンク部材45,51,53のそれぞれが可動連結部43に軸支された側を中心に、外側に向かって円弧状の軌跡に沿って変位する(41’,45’,51’)。
このように、カバー可動部41が鉛直に上方向に変位するのではなく、リンク部材45,51,53により円弧状に変位することでカバー可動部41の上部に位置する車体後方側面部134およびサイドドア104との干渉を避けられる。
【0057】
自動車Vが障害物を乗り越え終わると、後輪100がもとの位置に戻ると同時に、カバー可動部41の自重により円弧状の軌跡に沿ってもとの位置に戻る。このとき、カバー可動部41の前方及び後方に配置され、可動連結部材43に車体前後方向に軸支されたリンク部材B51およびリンク部材53に、リターンスプリングを取り付けてもよい。
カバー可動部41が上方向に可動した際、カバー可動部は通常のホイールカバーの位置より車幅方向外側に追い出されるため、走行風がカバー可動部41の内側に開いた隙間からホイールハウス内に進入し、空気抵抗(Cd)の増大を引き起こす。そのため、リターンスプリングを取り付けることにより、カバー可動部41をすばやくもとの位置に戻し、空気抵抗(Cd)の増大を抑えることができる。
【0058】
第三の実施形態においては、カバー可動部41が後輪100を覆う外側ホイールカバー112からなる構成であるため、第一、第二実施形態のようにカバー可動部1,21とカバー固定部112a,112bの境目にできる段差ができることがない。それにより、カバー可動部41(外側ホイールカバー112)の側面を流れる走行風が乱れることがなく、空気抵抗の増大を引き起こすことがない。また、カバー可動部41が一体成形されているため、見栄えの向上にもつながる。
【0059】
本発明における、カバー可動部1,21,41が上方向に変位する際の障害物とは、例えば、工事により激しく荒らされた路面や道路の縁石のことであり、これら障害物に片側の後輪100だけを乗り上げた場合は後輪が大きくバンプする可能性が高い。
尚、本発明の好ましい実施形態の説明は、本質的な例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施形態に共通する自動車の概略構造を示す側面図である。
【図2】実施形態に共通する自動車の左後輪の概略構造を示す斜視図である。
【図3】本発明の第一の実施形態にかかるイールカバー装置のカバー可動部およびサスペンション機構の概略構造を示す斜視図である。
【図4】同実施形態にかかるホイールカバー装置のカバー可動部およびサスペンション機構の概略構造を示す断面図である。図3のA―A部位に対応する。
【図5】第一の実施形態と第二の実施形態にかかるホイールカバー装置の揺動支持機構の概略構造を示す断面図である。図3および図8のA−A’部位に対応する。
【図6】第一の実施形態にかかるホイールカバー装置において、変位許容機構によりカバー可動部が変位しないことを示す側面図である。
【図7】同実施形態にかかるホイールカバー装置において、カバー可動部が変位したときの動作を示す側面図である。
【図8】本発明の第二の実施形態にかかるホイールカバー装置において、カバー可動部およびサスペンション機構の概略構造を示す斜視図である。
【図9】同実施形態にかかるカバー可動部とサスペンション機構の概略構造を示す断面図である。図8のB−B部位に対応する。
【図10】同実施形態にかかる変位許容機構によりカバー可動部が変位しないことを示す側面図である。
【図11】同実施形態にかかるカバー可動部が変位したときの動作を示す側面図である。
【図12】本発明の第三の実施形態にかかるホイールカバー装置において、カバー可動部が後輪下縁付近まで覆うことを示す側面図である。
【図13】同実施形態にかかるカバー可動部を取り除いた状態を示す側面図である。
【図14】同実施形態にかかるカバー可動部およびサスペンション機構の概略構造を示す断面図である。図12のC−C部位に対応する。
【図15】同実施形態にかかるカバー可動部の支持構造を示す断面図である。図12のC’−C’部位に対応する。
【符号の説明】
【0061】
V・・・自動車
W・・・サスペンション機構
1,21,41・・・カバー可動部
2,22・・・可動下部
3,23,43・・・可動連結部
5・・・可動揺動支持部
7・・・揺動支持機構
9・・・揺動孔部
11・・・ガイド部
13・・・バネ部材
15・・・係合部材
16,36・・・長孔部
17・・・リンクA
19・・・リンクB
112・・・外側ホイールカバー
112a,112b・・・カバー固定部
120・・・ロアアーム
122・・・A型アッパーアーム
126・・・ナックルアーム
128,129・・・ショックアブソーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両走行時に車両側面の空気の流れを整流するためのホイールカバー装置において、車両の車輪の少なくとも下縁付近を覆い上下動可能に支持されたカバー可動部と、車体に対して上下動する車輪が上方向に変位したとき上記カバー可動部を上方向に変位させる変位伝達部材とを備えたことを特徴とするホイールカバー装置。
【請求項2】
上記車輪の上方にある車体側面に固定され、該車輪を下縁付近まで覆うカバー固定部を設け、上記カバー可動部が上記カバー固定部の下方に配置され、上記カバー可動部と上記カバー固定部とが上記車輪外側側面を連続して覆うことを特徴とする請求項1に記載のホイールカバー装置。
【請求項3】
上記カバー可動部が、上記車輪を該車輪の上部から下縁付近までを一体的に覆う外側カバー部であることを特徴とする請求項1に記載のホイールカバー装置。
【請求項4】
上記変位伝達部材が、所定量以上の上方向への変位が生じたときのみ上記カバー可動部を上方向に変位させる変位許容機構を備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のホイールカバー装置。
【請求項5】
上記変位伝達部材が、上記車輪を支持し車体に対して上下方向に変位可能なサスペンションアッパーアームに連結されたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のホイールカバー装置。
【請求項6】
上記変位伝達部材が、上記車輪の内側に設置されたインホイールモータから上記車輪外側面に突出した非回転部材であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のホイールカバー装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−234331(P2009−234331A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−80585(P2008−80585)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】