説明

車輪位置判定装置

【課題】車両停止中での車輪位置の変更直後に、車輪の位置を特定することができる車輪位置判定装置を提供すること。
【解決手段】タイヤ状態監視装置において、車両1のナックル9aに、車軸9に対する車輪2の装着を検出し、車軸側検出信号を出力する車軸側ショックセンサ8を備えるとともに、車軸側ショックセンサ8の車両1での配置位置は受信機ユニット4に登録されている。各タイヤセンサユニット3は、車軸9に対する車輪2の装着を検出し、車輪側検出信号を出力する車輪側ショックセンサ13を備えるとともに、各タイヤセンサユニット3には固有のIDコードが登録されている。受信機ユニット4は、車軸側検出信号及び車輪側検出信号に基づき、車輪側検出信号を出力したタイヤセンサユニット3のIDコードを、装着された車輪2の位置に登録する受信機ユニットコントローラ33を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪の位置を判定する車輪位置判定装置に関し、特にタイヤ状態監視装置に用いるのに好適な車輪位置判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両に設けられた複数のタイヤの状態を運転者が車室内で確認できるようにするための装置として、無線方式のタイヤ状態監視装置が提案されている。タイヤ状態監視装置は、車両の車輪(ホイール)にそれぞれ装着される複数の送信機と、車両の車体に搭載される受信機とを備えている。各送信機には、固有の識別情報であるIDコードが登録されている。また、各送信機は、対応するタイヤの状態、即ちタイヤ内の圧力や温度を検出し、検出されたタイヤの状態を示すデータを、IDコードを含むデータ信号として無線送信する。
【0003】
一方、受信機には、IDコードと送信機の位置との対応が予め記憶されている。そして、受信機は、各送信機から送信されたIDコードから、タイヤ状態を示すデータ信号の送信元である送信機を識別し、各タイヤの状態を把握するとともに、車輪の位置とタイヤ状態に関する情報を、車室内に設けられた表示器に必要に応じて表示させる。
【0004】
このようなタイヤ状態監視装置において、車輪を車体から取り外した後、取り外し前と別の位置に車輪を装着した場合(例えば、ローテーションを行った場合)には、受信機に登録されたIDコードと送信機とが対応しなくなり、送信機からタイヤ状態に関する情報が送信されても、その送信元の送信機が特定できなくなる。このため、車輪位置の変更後は、送信機のIDコードと車輪位置との対応を更新して受信機に記憶させて車輪位置を特定できるようにしていた。
【0005】
しかし、上記の更新操作が煩わしいため、車輪位置の変更後であっても、IDコードと車輪位置との対応を更新する操作を必要とせずに、受信機による車輪位置の特定をできるようにした技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
特許文献1のタイヤ空気圧検出装置において、車体の各ナックル(車軸側)には、車輪より発生した振動を検出し、振動情報として出力するGセンサが設けられるとともに、各車輪には、各タイヤ内の空気圧を検出し、空気圧情報として出力する空気圧センサが設けられている。そして、タイヤ空気圧検出装置においては、車両に設けられた相関演算部が、各振動情報と、空気圧情報との相関を演算し、車両に設けられた特定部が、相関演算部が演算した相関に基づき空気圧情報を出力した空気圧センサを備える車輪を特定する。その結果、車輪位置の変更後であっても、車輪の位置を特定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−139701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、特許文献1においては、振動情報と空気圧情報との相関を演算して車輪の位置を特定する必要があり、その演算は車両走行中に発生した振動情報を用いることから、車両停止中での車輪位置の変更直後では車輪の位置が特定できないという問題があった。
【0009】
本発明の目的は、車両停止中での車輪位置の変更直後に、車輪の位置を特定することができる車輪位置判定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両に設けられた複数の車輪の位置を判定するための車輪位置判定装置であって、前記車輪それぞれに設けられる車輪側ユニット、及び前記車両の車体に設置される受信機ユニットを備え、前記車体に、車軸に対する前記車輪の装着を検出し、車軸側検出信号を出力する車軸側検出部を備えるとともに、前記車軸側検出部の前記車両での配置位置は前記受信機ユニットに登録されており、前記各車輪側ユニットは、前記車軸に対する前記車輪の装着を検出し、車輪側検出信号を出力する車輪側検出部を備えるとともに、前記各車輪側ユニットには固有の識別情報が登録されており、さらに、前記車輪側検出信号及び前記識別情報を無線送信する送信部を備え、前記受信機ユニットは、前記各車輪側ユニットから送信される前記車輪側検出信号及び前記識別情報を受信アンテナを通じて受信する受信部と、前記車軸側検出信号及び前記車輪側検出信号に基づき該車輪側検出信号を出力した前記車輪側ユニットの識別情報を、装着された車輪の位置に登録する車輪位置特定部を前記受信機ユニットに備える。
【0011】
この構成によれば、車両停止中であっても、受信機ユニットの車輪位置特定部は、車軸側検出信号に基づき車輪が装着された車軸の位置を特定する。さらに、車輪位置特定部は、車輪側検出信号に基づき、特定された車軸に装着され、かつ車輪側検出信号を出力した車輪側ユニットを、上記特定された車軸に対応させる。そして、受信機ユニットは、その車軸と対応させた車輪側ユニットの識別情報を受信機ユニットに登録する。その結果、車両の停止中の車輪の位置変更直後であっても、受信機ユニットによって車輪の位置を特定することが可能になる。
【0012】
また、前記車体には、前記車軸に対し前記車輪が取り外されたことを検出する車輪外れ検出部が設けられ、前記車輪位置特定部は、前記車輪外れ検出部による検出を契機に、前記車輪の位置を登録する処理を行ってもよい。
【0013】
この構成によれば、車輪が車軸から外されたときのみ、車輪位置の登録更新を行うことができる。
また、前記車輪位置特定部は、前記車輪外れ検出部による検出を契機に、前記車輪が取り外される前に前記受信機ユニットに登録済みの前記識別情報をクリアするものであってもよい。
【0014】
これによれば、受信機ユニットに登録済みの識別情報をクリアすることで、車輪の位置が変更された後は、識別情報が重ねて登録されてしまうことを防止することができる。そして、車輪の位置変更後は、最新の識別情報を受信機ユニット登録しておくことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、車両停止中での車輪位置の変更直後に、車輪の位置を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態のタイヤ状態監視装置が搭載された車両を示す概略構成図。
【図2】タイヤセンサユニットの回路構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の車輪位置判定装置をタイヤ状態監視装置に具体化した一実施形態について、図1〜図2を参照して説明する。
図1に示すように、タイヤ状態監視装置は、車両1における車体1aの4つの車輪2にそれぞれ取り付けられる4つの車輪側ユニットとしてのタイヤセンサユニット3と、車両1の車体1aに設置される受信機ユニット4を備える。さらに、タイヤ状態監視装置は、車両1の車軸9に連結された4つのナックル9aにそれぞれ取り付けられる車軸側ショックセンサ8と、近接センサ10とを備えている。各車輪2は、ホイール部5と、このホイール部5に装着されるタイヤ6とを含む。なお以後、適宜に、前側左側の車輪2を符号FLで示し、前側右側の車輪2を符号FRで示し、後側左側の車輪2を符号RLで示し、後側右側の車輪2を符号RRで示す。
【0018】
車軸側検出部としての車軸側ショックセンサ8は、それぞれ車輪2と共に回転しないようにナックル9aに取り付けられるとともに、各車軸側ショックセンサ8は受信機ユニット4に有線接続されている。そして、各車軸側ショックセンサ8は、車軸9に対し車輪2が装着される際に、車軸9に発生した衝撃を検出して、車軸9に対して車輪2が装着されたことを検出したことを示す信号(車軸側検出信号)を受信機ユニット4に有線送信する。
【0019】
また、各ナックル9aには、車輪外れ検出部としての近接センサ10が取り付けられるとともに、各近接センサ10は受信機ユニット4に有線接続されている。そして、近接センサ10は、車軸9に対し車輪2(ホイール部5)が装着されているか否かを検出し、車輪2が車軸9から外れると、車輪2が外れたことを示す信号(車輪外れ信号)を受信機ユニット4に有線送信する。逆に、近接センサ10が車輪外れ信号を送信しない状況では、車輪2は車軸9に装着されている状態である。
【0020】
車輪側ユニットとしての各タイヤセンサユニット3は、タイヤ6の内部空間に配置されるように、そのタイヤ6が装着されたホイール部5に対して取り付けられている。各タイヤセンサユニット3は、対応するタイヤ6の状態(タイヤ内圧力、タイヤ内温度)を検出して、検出されたタイヤ状態を示すデータを含む信号、即ちタイヤ状態データ信号を無線送信する。
【0021】
図2に示すように、各タイヤセンサユニット3は、圧力センサ11、温度センサ12、車輪側検出部としての車輪側ショックセンサ13、センサユニットコントローラ14、及び、送信部としてのRF送信回路16を備えている。圧力センサ11は、対応するタイヤ6内の圧力(タイヤ内圧力)を検出して、その検出によって得られたタイヤ内圧力データをセンサユニットコントローラ14に出力する。温度センサ12は、対応するタイヤ6内の温度(タイヤ内温度)を検出して、その検出によって得られたタイヤ内温度データをセンサユニットコントローラ14に出力する。車輪側ショックセンサ13は、車軸9に対する車輪2の装着時に、車輪2に発生する衝撃を検出して、衝撃を検出したことを示す信号(車輪側検出信号)をセンサユニットコントローラ14に出力する。
【0022】
センサユニットコントローラ14は、CPU及び記憶部14a(RAMやROM等)を含むマイクロコンピュータ等よりなり、記憶部14aには各タイヤセンサユニット3に固有の識別情報であるIDコードが登録されている。このIDコードは、各タイヤセンサユニット3を受信機ユニット4において識別するために使用される情報であり、センサユニットコントローラ14からの送信信号に含められる。センサユニットコントローラ14は、タイヤ内圧力データ、タイヤ内温度データ、車輪側検出信号及びIDコードを含むデータを、RF送信回路16に出力する。RF送信回路16は、センサユニットコントローラ14からのデータを変調して変調信号を生成し、変調信号を送信アンテナ19から無線送信する。
【0023】
各タイヤセンサユニット3は、例えば、タイヤ状態の計測動作を第1の所定時間間隔(例えば、1〜15秒間隔)で定期的に行う一方、データ信号の送信動作を、第1の所定時間間隔よりも長い第2の所定時間間隔(例えば、1分間隔)で定期的に行う。但し、計測されたタイヤ状態が異常を示す場合(例えば、タイヤ内圧力の異常低下、タイヤ内圧力の急変、タイヤ内温度の急変等)、タイヤセンサユニット3は定期的な送信動作とは関係無く、直ちに送信動作を行う。
【0024】
図1に示すように、受信機ユニット4は、車体1aの所定箇所に設置され、例えば車両1のバッテリ(図示せず)からの電力によって動作する。受信機ユニット4は、車体1aの任意の箇所に配置された受信アンテナ32を備えており、各タイヤセンサユニット3から受信アンテナ32を通じてデータ信号を受信して、その受信した信号を処理する。
【0025】
受信機ユニット4は、車輪位置特定部としての受信機ユニットコントローラ33を備えるとともに、受信部としてのRF受信回路35を備え、さらに、警報器37、及び表示器38を備えている。受信機ユニットコントローラ33はCPU及び記憶部33a(ROMやRAM等)を含むマイクロコンピュータ等よりなり、受信機ユニット4の動作を統括的に制御する。さらに、受信機ユニットコントローラ33の記憶部33aには、各ナックル9aに取り付けられた車軸側ショックセンサ8、及び近接センサ10の位置(前側左側FL、前側右側FR、後側左側RL、後側右側RR)が予め登録されている。
【0026】
そして、車軸側検出信号が受信機ユニットコントローラ33に送信されたときは、受信機ユニットコントローラ33は、その送信先の車軸側ショックセンサ8の位置を特定できるようになっている。また、車輪外れ信号が受信機ユニットコントローラ33に送信されたときは、受信機ユニットコントローラ33は、その送信先の近接センサ10の位置を特定できるようになっている。さらに、受信機ユニットコントローラ33の記憶部33aには、各タイヤセンサユニット3のIDコードが登録されるとともに、そのIDコードに基づいて受信機ユニットコントローラ33がタイヤセンサユニット3の位置が把握できるようになっている。すなわち、受信機ユニットコントローラ33は、IDコードに基づいて、タイヤ状態に関するデータ信号の送信元のタイヤセンサユニット3と特定できるようになっている。言い換えると、受信機ユニットコントローラ33は、IDコードに基づいて、車輪2の位置を特定できるようになっている。
【0027】
RF受信回路35は、各タイヤセンサユニット3から受信アンテナ32を通じて受信された変調信号を復調して、受信機ユニットコントローラ33に送る。受信機ユニットコントローラ33は、RF受信回路35からのデータ信号に基づき、発信元のタイヤセンサユニット3に対応するタイヤ6のタイヤ内圧力及びタイヤ内温度を把握する。さらには、受信機ユニットコントローラ33は、車軸側検出信号を送信した車軸側ショックセンサ8の位置情報と、車輪側検出信号を送信したタイヤセンサユニット3の位置情報とを照合し、車軸9に装着された車輪2の位置を記憶部33aに登録する。
【0028】
また、受信機ユニットコントローラ33は、近接センサ10からの車輪外れ信号を受信すると、その車輪外れ信号の受信を契機に、車軸9に装着された車輪2の位置を受信機ユニットコントローラ33に登録する処理を開始する。また、受信機ユニットコントローラ33は、車輪外れ信号の受信を契機に、タイヤセンサユニット3のIDコードをクリアする。すなわち、受信機ユニットコントローラ33は、車輪2が車軸9から外されると、その車輪2に搭載のタイヤセンサユニット3のIDコードをクリアする。
【0029】
受信機ユニットコントローラ33は、タイヤ内圧力及びタイヤ内温度に関する情報等を表示器38に表示させる。表示器38は、車室内等、車両1の搭乗者の視認範囲に配置される。受信機ユニットコントローラ33はさらに、タイヤ内圧力やタイヤ内温度の異常を警報器(報知器)37にて報知させる。警報器37としては、例えば、異常を音によって報知する装置や、異常を光によって報知する装置が適用される。なお、このような異常を報知器としての表示器38によって報知させるようにしてもよい。この場合、異常の具体的内容を表示器38上に文字で表示することが好ましい。
【0030】
次に、タイヤ状態監視装置の作用について説明する。なお、車両1のエンジン停止時に、車両1の前側右側(FR)の車輪2と、後側右側(RR)の車輪2との位置を代える場合での、車輪2の位置を特定可能にする場合について説明する。なお、エンジン停止時であっても、受信機ユニット4はオンされており、各種信号を受信し、受信機ユニット4を統括的に制御可能になっている。
【0031】
さて、車両1の前後右側及び後側右側(FR,RR)の車輪2が取り外されると、車両1の前側右側(FR)の近接センサ10、及び後側右側(RR)の近接センサ10から車輪外れ信号が受信機ユニットコントローラ33に送信される。すると、受信機ユニットコントローラ33では、前側右側(FR)のタイヤセンサユニット3に関するIDコードと、後側右側(RR)のタイヤセンサユニット3に関するIDコードがクリアされる。
【0032】
その後、前側右側(FR)の車軸9に対し車輪2が装着される。すると、車輪2の装着時に、前側右側(FR)の車軸9に取り付けられた車軸側ショックセンサ8から、車軸側検出信号が受信機ユニットコントローラ33に送信される。また、前側右側の車輪2に搭載のタイヤセンサユニット3から、車輪側検出信号が受信機ユニットコントローラ33に無線送信される。車軸側ショックセンサ8の位置は、記憶部33aに登録済みであるため、受信機ユニットコントローラ33は車軸側検出信号に基づき、車輪2が装着された車軸9の位置(前側右側)を特定する。その後、受信機ユニットコントローラ33は、タイヤセンサユニット3からの車輪側検出信号に基づき、特定された前側右側(FR)の車軸9に車輪2が装着されたことを把握する。
【0033】
同様に、後側右側(RR)の車軸9に対し車輪2が装着されると、受信機ユニットコントローラ33は車軸側検出信号及び車両側検出信号に基づき、後側右側の車軸9に車輪2が装着されたことを把握する。
【0034】
そして、受信機ユニットコントローラ33は、各車輪2に搭載のタイヤセンサユニット3から送信されたIDコードを前側右側又は後側右側の車輪2のものに更新し、記憶部33aに記憶する。その結果、車輪2の位置を変更した後であっても、タイヤ状態に関する情報を送信するタイヤセンサユニット3の位置を受信機ユニットコントローラ33で特定することができる。なお、車両1の前側左側、及び後側左側の車輪2に対しても同様に車輪2の位置特定が行われる。
【0035】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)車両1の各ナックル9aに車軸側ショックセンサ8を取り付けるとともに、各タイヤセンサユニット3に車輪側ショックセンサ13を設けた。車両1停止中での車輪2の車軸9への装着時、車軸側ショックセンサ8によって車軸9に発生した衝撃を検出するとともに、車輪側ショックセンサ13によって車輪2に発生した衝撃を検出するようにした。そして、衝撃の発生した車軸9に対し、衝撃の発生した車輪2を対応させ、タイヤセンサユニット3のIDコードを受信機ユニットコントローラ33に登録することで、車輪2の位置変更後であっても、受信機ユニットコントローラ33によって車輪2の位置を特定することが可能になる。したがって、背景技術のように、車両走行中に発生した振動情報を用いて車輪の位置を特定する場合と異なり、車両1の停止中であっても車輪2の位置を特定することができる。特に、車両1のユーザやディーラが、ローテーション等のために車輪2の位置を変更しても、タイヤ状態監視装置で車輪2の位置を登録できるため、ユーザやディーラが車輪2の位置を登録する操作を不要とすることができる。
【0036】
(2)ナックル9aに車軸側ショックセンサ8を取り付けるとともに、各タイヤセンサユニット3に車輪側ショックセンサ13を設けた。そして、車輪2の装着時に、衝撃の発生した車軸9からの車軸側検出信号と、車輪2からの車輪側検出信号とを照合するだけで、車軸9に装着された車輪2の位置を特定可能にすることができる。したがって、背景技術のように、振動情報と空気圧情報との相関を演算する必要がなく、受信機ユニットコントローラ33の制御負荷を軽減することができる。
【0037】
(3)ナックル9aに近接センサ10を設け、車軸9に対し車輪2が外されたことを検出し、受信機ユニットコントローラ33に車輪外れ信号を送信するようにした。そして、受信機ユニットコントローラ33では、車輪外れ信号を受信すると、記憶部33aに登録済みのIDコードをクリアし、その後、新たなIDコードを記憶部33aに登録するようにした。よって、車輪2の位置が変更された後は、IDコードが重ねて登録されてしまうことを防止することができる。そして、車輪2の位置変更後は、最新のタイヤセンサユニット3の位置情報を常に記憶部33aに登録しておくことができる。
【0038】
(4)ナックル9aに車軸側ショックセンサ8を取り付け、車輪2を装着する際に発生する僅かな衝撃を検出するようにした。このため、例えば、車軸側ショックセンサ8を盗難防止装置の衝撃センサ等と兼用して用いれば、車両1への部材点数を増やすことなく、車輪2の位置変更直後であっても、受信機ユニットコントローラ33による車輪2の位置特定を可能にすることができる。
【0039】
(5)ナックル9aに車軸側ショックセンサ8を取り付けるとともに、タイヤセンサユニット3に車輪側ショックセンサ13を設けた。よって、車輪2装着時の僅かな振動で、車輪2が装着されたことを検出することができ、車輪2の位置変更直後の位置特定を的確に行うことができる。
【0040】
(6)ナックル9aに近接センサ10を設け、近接センサ10によって車軸9から車輪2が外されたことを検出したことを契機に、受信機ユニットコントローラ33によって車輪2の位置を特定する処理を開始するようにした。このため、車輪2が車軸9から外されたときのみ、車輪2の位置特定(登録更新)を行うことができ、車両1走行時の振動等で車輪2の位置特定(登録更新)が行われることを無くすことができる。
【0041】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 実施形態では、車軸9におけるナックル9aに車軸側ショックセンサ8を取り付けたが、車軸側ショックセンサ8を取り付ける位置は、車軸側ショックセンサ8が車輪2と共に回転せず、車輪2装着時の車軸9の振動を検出できる位置であればどこでもよく、例えば、ストラット、アクスルビーム、ロアアームであってもよい。
【0042】
○ 実施形態では、ナックル9aに近接センサ10を設け、車輪2が車軸9から取り外されたことを検出するようにしたが、近接センサ10の代わりに光電センサや、接触スイッチ等に変更してもよく、車輪2が車軸9から取り外されたことが検出できれば、その態様は適宜変更してもよい。また、近接センサ10をはじめ車輪外れ検出部は、車輪2が車軸9から取り外されたことが検出できれば、その取り付け位置はどこでもよく、例えば、ストラット、アクスルビーム、ロアアームであってもよい。
【0043】
○ 実施形態では、ナックル9aに近接センサ10を設け、車輪2が車軸9から取り外されたことを検出するようにしたが、近接センサ10は無くてもよい。
○ 本発明は、タイヤ状態監視装置への適用に限定されるものではなく、車輪2の位置判定を行う各種の装置に適用することができる。
【0044】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)前記車軸側検出部は、ショックセンサである請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の車輪位置判定装置。
【0045】
(ロ)前記車輪側検出部は、ショックセンサである請求項1〜請求項3、及び技術的思想(イ)のうちいずれか一項に記載の車輪位置判定装置。
(ハ)前記車輪側ユニットは、前記車輪におけるタイヤの状態を検出するとともに検出したタイヤの状態を示すデータを含むデータ信号を無線送信するタイヤセンサユニットである請求項1〜請求項3、及び技術的思想(イ)、(ロ)のうちいずれか一項に記載の車輪位置判定装置。
【符号の説明】
【0046】
1…車両、1a…車体、2…車輪、3…タイヤセンサユニット(車輪側ユニット)、4…受信機ユニット、8…車軸側ショックセンサ(車軸側検出部)、9…車軸、
10…近接センサ(車輪外れ検出部)、13…車輪側ショックセンサ(車輪側検出部)、16…RF送信回路(送信部)、32…受信アンテナ、35…RF受信回路(受信部)、33…受信機ユニットコントローラ(車輪位置特定部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられた複数の車輪の位置を判定するための車輪位置判定装置であって、
前記車輪それぞれに設けられる車輪側ユニット、及び前記車両の車体に設置される受信機ユニットを備え、
前記車体に、車軸に対する前記車輪の装着を検出し、車軸側検出信号を出力する車軸側検出部を備えるとともに、前記車軸側検出部の前記車両での配置位置は前記受信機ユニットに登録されており、
前記各車輪側ユニットは、前記車軸に対する前記車輪の装着を検出し、車輪側検出信号を出力する車輪側検出部を備えるとともに、前記各車輪側ユニットには固有の識別情報が登録されており、さらに、前記車輪側検出信号及び前記識別情報を無線送信する送信部を備え、
前記受信機ユニットは、前記各車輪側ユニットから送信される前記車輪側検出信号及び前記識別情報を受信アンテナを通じて受信する受信部と、
前記車軸側検出信号及び前記車輪側検出信号に基づき該車輪側検出信号を出力した前記車輪側ユニットの識別情報を、装着された車輪の位置に登録する車輪位置特定部を前記受信機ユニットに備えることを特徴とする車輪位置判定装置。
【請求項2】
前記車体には、前記車軸に対し前記車輪が取り外されたことを検出する車輪外れ検出部が設けられ、前記車輪位置特定部は、前記車輪外れ検出部による検出を契機に、前記車輪の位置を登録する処理を行う請求項1に記載の車輪位置判定装置。
【請求項3】
前記車輪位置特定部は、前記車輪外れ検出部による検出を契機に、前記車輪が取り外される前に前記受信機ユニットに登録済みの前記識別情報をクリアする請求項1又は請求項2に記載の車輪位置判定装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−79001(P2013−79001A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220201(P2011−220201)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(000204033)太平洋工業株式会社 (143)