説明

車輪位置判定装置

【課題】安価な構成で車輪の位置を判定することができる車輪位置判定装置を提供すること。
【解決手段】タイヤ状態監視装置は、4つの車輪2に取り付けられたタイヤセンサユニット3と、スペアタイヤに取り付けられた予備用タイヤセンサユニット9を車体に備える。予備用タイヤセンサユニット9は、各タイヤセンサユニット3から送信されるRF信号を送信アンテナ9aで受信可能であり、かつ受信強度を送信アンテナ9aから受信機ユニット4に送信可能に構成される。受信機ユニット4は、予備用タイヤセンサユニット9で判定済みのRF信号の1つを含む2つのRF信号の受信強度の大小を判定して4つのタイヤセンサユニット3の位置を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設けられた複数の車輪の位置を判定するための車輪位置判定装置に関し、特にタイヤ状態監視装置に用いるのに好適な車輪位置判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、車両に設けられた複数のタイヤの状態を運転者が車室内で確認できるようにするための装置として、無線方式のタイヤ状態監視装置が提案されている。特許文献1に記載されたタイヤ状態監視装置は、車両の車輪にそれぞれ装着されるとともに送信装置を備える複数の車輪側装置(送信機)と、車両の車体に搭載される車体側装置(受信機)とを備えている。各車輪側装置は、対応するタイヤの状態、即ちタイヤ内の圧力や温度を検出し、検出されたタイヤの状態を示すタイヤ情報を送信装置を介して送信する。また、車体側装置は、受信装置を備えるとともに、受信アンテナを備え、各送信装置からのタイヤ情報を受信アンテナを通じて受信する。
【0003】
特許文献1において、車体側装置の受信アンテナは、互いに向きが異なる複数のアンテナを備え、各アンテナの向きが4つの車輪の送信装置の向きと一致する状態とされている。そして、1つの受信アンテナであっても、その受信アンテナにおける受信強度の大小に基づいて、タイヤ情報の送信元の車輪の位置を判定できるようになっている。よって、特許文献1においては、各車輪それぞれに対応して受信アンテナを設ける場合と比べて、タイヤ状態監視装置のコストを抑えるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−306017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1においては、受信アンテナに対し遠く離れた車輪からのタイヤ情報は、受信アンテナにおける受信強度が小さくなってしまい、車輪の位置の判定がしにくい場合がある。そこで、特許文献1には、車輪位置の判定精度を向上させるために、受信アンテナを2つ以上設ける思想も開示されているが、タイヤ状態監視装置のコストが増大してしまう。
【0006】
本発明の目的は、安価な構成で車輪の位置を判定することができる車輪位置判定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両に設けられた複数の車輪の位置を判定するための車輪位置判定装置であって、前記車輪それぞれに設けられる車輪側ユニット、及び前記車両の車体に設置される受信機ユニットを備え、前記各車輪側ユニットは、前記車輪の状態を検出する状態検出部と、前記状態検出部で検出されたデータ、及び各車輪側ユニットに固有の識別情報を含む信号を無線送信する送信アンテナ及び送信部と、を有し、さらに、前記車輪側ユニットと同じ構成の交換用車輪側ユニットを前記車体に備えるとともに、該交換用車輪側ユニットは前記車輪側ユニットから送信される信号を受信可能であり、かつ受信強度を前記送信アンテナから前記受信機ユニットに送信可能に構成されるとともに、4つの車輪側ユニットからの信号のうち受信強度の大きい側の少なくとも2つの信号を受信できる位置に配置され、前記受信機ユニットは、前記各車輪側ユニット及び前記交換用車輪側ユニットから送信される信号を、受信アンテナを通じて受信する受信部を備えるとともに、該受信部は前記交換用車輪側ユニットで受信された信号の1つを含み、かつ受信強度の大きい側の2つの信号を受信できる位置に配置されており、さらに、前記受信機ユニットは、前記交換用車輪側ユニットで受信された信号の受信強度、及び前記受信部で受信された信号の受信強度の大小に基づき前記信号が前記車両のどの車輪に設けられた前記車輪側ユニットから送信された信号であるかを判定する車輪位置判定部を備えることを要旨とする。
【0008】
これによれば、交換用車両側ユニットでは、4つの車輪側ユニットからの信号を受信すると、受信強度の大きい側の少なくとも2つの信号を識別情報と共に送信アンテナから受信機ユニットに送信する。そして、車輪位置判定部では、交換用車両側ユニットからの信号を受信すると、受信強度の大小と識別情報とを照合し、受信強度の大きい側の信号を送信した2つの車輪側ユニットの位置を判定する。また、車輪位置判定部では4つの車輪側ユニットからの信号を受信すると、4つの車輪側ユニットからの信号のうち、位置判定済みの車輪側ユニットから送信された信号の1つを含む2つの信号の受信強度の大小を判定し、その受信強度からもう1つの車輪側ユニットの位置を判定する。すると、4つの車輪側ユニットのうちの3つの車輪側ユニットの位置を判定することができる。そして、残りの1つの車輪側ユニットの位置は、4つの位置のうちの残された1つの位置であるから、4つの車輪側ユニットの位置、すなわち、4つの車輪の位置を判定することができる。したがって、交換用車輪側ユニットを受信アンテナに代用することで、4つの車輪の位置を判定することができ、背景技術のように受信アンテナを追加して2つ以上とする場合と比べて、タイヤ状態監視装置を安価な構成とすることができる。
【0009】
また、前記交換用車輪側ユニットは、前記車両に配備されたスペアタイヤに取り付けられていてもよい。これによれば、スペアタイヤは、車両に予め搭載されているものであるため、車輪位置判定装置の部品点数を増加させることなく、車輪の位置特定をすることができる。
【0010】
また、前記交換用車輪側ユニットからの前記信号の送信間隔は、前記車輪側ユニットからの前記信号の送信間隔と異なるものであってもよい。
これによれば、交換用車輪側ユニットが、4つの車輪側ユニットが行う車輪の状態検出時の動作と同じ動作を取ってしまうことを回避することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、安価な構成で車輪の位置を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態のタイヤ状態監視装置が搭載された車両を示す概略構成図。
【図2】タイヤセンサユニットの回路構成を示すブロック図。
【図3】各タイヤセンサユニットからの受信強度を説明する模式図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の車輪位置判定装置をタイヤ状態監視装置に具体化した一実施形態について、図1〜図3を参照して説明する。なお、図1に示すように、車両1の進行方向を車両1の前後方向とするとともに、車両1の車幅方向を車両1の左右方向とする。
【0014】
図1に示すように、タイヤ状態監視装置は、車両1の4つの車輪2にそれぞれ取り付けられる4つの車輪側ユニットとしてのタイヤセンサユニット3と、車両1の車体に設置される受信機ユニット4とを備えている。各車輪2は、ホイール部5と、このホイール部5に装着されるタイヤ6とを含む。なお以後、適宜に、前側左側を符号FLで示し、前側右側を符号FRで示し、後側左側を符号RLで示し、後側右側を符号RRで示す。
【0015】
車輪側ユニットとしての各タイヤセンサユニット3は、タイヤ6の内部空間に配置されるように、そのタイヤ6が装着されたホイール部5に対して取り付けられている。各タイヤセンサユニット3は、対応するタイヤ6の状態(タイヤ内圧力、タイヤ内温度)を検出して、検出されたタイヤ状態を示すデータを含む信号、即ちタイヤ状態データ信号(以下、データ信号と称する)を無線送信する。
【0016】
図2に示すように、各タイヤセンサユニット3は、圧力センサ11、温度センサ12、センサユニットコントローラ14、送信部としてのRF送信回路16、及びタイヤ側RF受信回路17が設けられている。状態検出部としての圧力センサ11は、対応するタイヤ6内の圧力(タイヤ内圧力)を検出して、その検出によって得られたタイヤ内圧力データをセンサユニットコントローラ14に出力する。状態検出部としての温度センサ12は、対応するタイヤ6内の温度(タイヤ内温度)を検出して、その検出によって得られたタイヤ内温度データをセンサユニットコントローラ14に出力する。
【0017】
センサユニットコントローラ14は、CPU及び記憶部14a(RAMやROM等)を含むマイクロコンピュータ等よりなり、記憶部14aには各タイヤセンサユニット3に固有の識別情報であるIDコードが登録されている。このIDコードは、各タイヤセンサユニット3を受信機ユニット4において識別するために使用される情報であり、センサユニットコントローラ14からのRF信号に含められる。なお、図1に示すように、本実施形態では、前側左側FLのタイヤセンサユニット3のIDコードをID1、前側右側FRのタイヤセンサユニット3のIDコードをID2、後側左側RLのタイヤセンサユニット3のIDコードをID3、後側右側RRのIDコードをID4とする。
【0018】
図2に示すように、RF送信回路16は、センサユニットコントローラ14からの各データ(タイヤ内圧力データ、タイヤ内温度データ)及びIDコードを変調してRF信号(高周波信号)を生成し、そのRF信号を送信アンテナ18から無線送信する。
【0019】
そして、各タイヤセンサユニット3のセンサユニットコントローラ14は、例えば、タイヤ状態の計測動作を第1の所定時間間隔(例えば、1〜15秒間隔)で定期的に行う一方、RF信号の送信動作を、第1の所定時間間隔よりも長い第2の所定時間間隔(例えば、1分間隔)で定期的に行う。但し、計測されたタイヤ状態が異常を示す場合(例えば、タイヤ内圧力の異常低下、タイヤ内圧力の急変、タイヤ内温度の急変等)、タイヤセンサユニット3は定期的な送信動作とは関係無く、直ちに送信動作を行う。
【0020】
また、タイヤセンサユニット3は、トリガ装置(図示せず)からのトリガ信号を受信する。そして、各タイヤセンサユニット3は、トリガ装置からのトリガ信号によって、外部から任意に制御可能になっている。本実施形態では、タイヤセンサユニット3がトリガ信号を受信することにより、タイヤセンサユニット3の動作モードが変更されるようになっている。動作モードとしては、タイヤセンサユニット3に、RF信号の送信動作を定期的に行わせる基準モードと、RF信号を受信して、その受信強度を送信する特殊モードが設定されている。
【0021】
タイヤセンサユニット3のタイヤ側RF受信回路17は、送信アンテナ18に信号接続されるとともに、特殊モードのときのみ作動するように設定されている。タイヤセンサユニット3は、走行輪(FL,FR,RL,RRの車輪2)に設置されているときは基準モードで作動し、タイヤ側RF受信回路17は作動しない。また、特殊モードでも、定期的にRF信号の送信動作を行うが、送信動作の時間間隔は基準モードに比べて長く設定されている。
【0022】
図1に示すように、受信機ユニット4は、車輪位置判定部としての受信機ユニットコントローラ33を備えるとともに、受信部としてのRF受信回路35を備えている。受信機ユニット4の受信機ユニットコントローラ33には、表示器38が有線接続されている。受信機ユニットコントローラ33はCPU及び記憶部(ROMやRAM等)を含むマイクロコンピュータ等よりなり、受信機ユニット4の動作を統括的に制御する。RF受信回路35は、各タイヤセンサユニット3からRF受信アンテナ32を通じて受信された変調信号を復調して、受信機ユニットコントローラ33に送る。受信機ユニットコントローラ33は、RF受信回路35からのRF信号に基づき、送信元のタイヤセンサユニット3に対応するタイヤ6のタイヤ内圧力及びタイヤ内温度を把握する。
【0023】
さらには、受信機ユニットコントローラ33は、RF受信回路35からのRF信号に基づき、送信元のタイヤセンサユニット3が、車両1の前後左右のどの車輪2に設けられたものであるかを判定する。受信機ユニットコントローラ33は、タイヤ内圧力及びタイヤ内温度に関する情報等を表示器38に表示させる。表示器38は、車室内等、車両1の搭乗者の視認範囲に配置され、受信機ユニットコントローラ33により表示器38にはタイヤ内圧力やタイヤ内温度の異常が表示(報知)される。
【0024】
受信機ユニット4のRF受信アンテナ32は、車体の所定箇所に設置されており、本実施形態では、RF受信アンテナ32は、車両1の左右方向においては左寄りであり、車両1の前後方向においては後寄りに配置されている。そして、図3に示すように、車両1の4つのタイヤセンサユニット3の送信アンテナ18からRF受信アンテナ32まの距離は、後側左側RLの送信アンテナ18が一番短く、前側左側FLの送信アンテナ18又は後側右側RRの送信アンテナ18が次に短くなっており、前側右側FRの送信アンテナ18が一番長くなっている。上記距離は、短ければ短いほどRF受信アンテナ32でのRF信号の受信強度が強く、長ければ長いほど受信強度は弱くなる。したがって、RF信号の受信強度を、IDコードを用いて表すと、RF受信アンテナ32の受信強度は、ID3>ID1又はID4>ID2となっている。
【0025】
また、図1に示すように、車両1において、後側のトランクルーム1b内にはスペアタイヤ10が配備されるとともに、そのスペアタイヤ10には、交換用車輪側ユニットとしての予備用タイヤセンサユニット9が取り付けられている。この予備用タイヤセンサユニット9は、各車輪2に取り付けられたタイヤセンサユニット3と同じ構成のものである。なお、図3において、予備用タイヤセンサユニット9の送信アンテナを、4つのタイヤセンサユニット3の送信アンテナ18と区別するために、符号9aで示す。さらに、予備用タイヤセンサユニット9は、上述のトリガ装置からのトリガ信号を受信によって、基準モードと、特殊モードに変更可能になっている。
【0026】
予備用タイヤセンサユニット9は、特殊モードに設定されると、4つのタイヤセンサユニット3から定期的に送信されたRF信号を送信アンテナ9aで受信するようになっている。そして、送信アンテナ9aを通じて受信されたRF信号をタイヤ側RF受信回路17で復調して、受信強度と共にセンサユニットコントローラ14に送る。さらに、予備用タイヤセンサユニット9のRF送信回路16は、センサユニットコントローラ14から送られる受信強度と、そのIDコードと、予備用タイヤセンサユニット9の情報を変調してRF信号(高周波信号)を生成し、そのRF信号を送信アンテナ9aから無線送信する。
【0027】
スペアタイヤ10は、トランクルーム1b内の所定箇所に設置され、詳細には、スペアタイヤ10は、車両1の左右方向における右側寄りに配置されている。そして、予備用タイヤセンサユニット9の送信アンテナ9aは、車両1の前後方向においては、後側寄りであり、車両1の左右方向においては、右側寄りにされている。
【0028】
このため、図3に示すように、4つのタイヤセンサユニット3の送信アンテナ18から、予備用タイヤセンサユニット9の送信アンテナ9aまの距離は、後側右側RRの送信アンテナ18からの距離が一番短く、後側左側RLの送信アンテナ18からの距離がその次に短くなっている。さらに、上記距離は、前側左側FLの送信アンテナ18からの距離が一番長く、前側右側FRの送信アンテナ18からの距離がその次に長くなっている。上記距離は、短ければ短いほど送信アンテナ9aでのRF信号の受信強度が強く、長ければ長いほど受信強度は弱くなる。したがって、送信アンテナ9aでの4つのRF信号の受信強度を、IDコードを用いて表すと、ID4>ID3となり、残りのID2とID1に関してはID3よりは弱くなっているが、その大小については特定できない。
【0029】
次に、タイヤ状態監視装置の作用について説明する。
なお、4つのタイヤセンサユニット3は、トリガ装置からのトリガ信号によって基準モードに設定されるとともに、予備用タイヤセンサユニット9は、トリガ装置からのトリガ信号によって特殊モードに設定されている。
【0030】
受信機ユニット4において、RF受信アンテナ32を通じて各タイヤセンサユニット3からのRF信号を受信すると、受信機ユニットコントローラ33は、4つのRF信号の受信強度を判定する。本実施形態では、RF受信アンテナ32を所定箇所に配置することで、4つのタイヤセンサユニット3との距離を設定していることから、RF受信アンテナ32での受信強度は、ID3>ID1又はID4>ID2となっている。
【0031】
また、予備用タイヤセンサユニット9においても、送信アンテナ9aを通じて各タイヤセンサユニット3からのRF信号を受信する。本実施形態では、送信アンテナ9aを所定箇所に配置することで、4つのタイヤセンサユニット3との距離を設定していることから、送信アンテナ9aでの受信強度は、ID4>ID3となり、ID2とID1に関してはID3より弱くなっている。そして、予備用タイヤセンサユニット9のRF送信回路16は、送信アンテナ9aを通じて、RF信号の受信強度とそのIDコードを予備用タイヤセンサユニット9の情報と共に変調してRF信号を生成し、そのRF信号を送信アンテナ9aから受信機ユニット4に無線送信する。
【0032】
受信機ユニット4において、RF受信アンテナ32を通じて予備用タイヤセンサユニット9からのRF信号を受信すると、受信機ユニットコントローラ33は、RF受信アンテナ32での4つの受信強度と、送信アンテナ9aでの4つの受信強度とから、4つの車輪2の位置を判定する。
【0033】
まず、予備用タイヤセンサユニット9の送信アンテナ9aでの受信強度が、ID4>ID3となっている。このため、車両1の後側の2つのタイヤセンサユニット3に関しては、受信強度の最も強いID4のIDコードを送信したタイヤセンサユニット3が、送信アンテナ9aに最も近い後側右側RRのタイヤセンサユニット3であることが特定できる。さらには、その次に受信強度の強いID3のIDコードを送信したタイヤセンサユニット3が、送信アンテナ9aに次に近い後側左側RLのタイヤセンサユニット3であることが特定できる。
【0034】
また、受信機ユニット4のRF受信アンテナ32での受信強度が、ID3>ID1となっている。そして、予備用タイヤセンサユニット9での受信強度によって、ID3とID4のIDコードを送信したタイヤセンサユニット3が特定されていることから、ID1のIDコードを送信したタイヤセンサユニット3は、車両1の左側の残りの前側左側FLのタイヤセンサユニット3であることが特定できる。したがって、4つのタイヤセンサユニット3のうち3つが特定できたことから、残りの1つのID2のIDコードを送信したタイヤセンサユニット3は、前側左側FLのタイヤセンサユニット3であることが判定される。
【0035】
その後、RF受信回路35は、各タイヤセンサユニット3からRF受信アンテナ32を通じて受信された変調信号を復調して、受信機ユニットコントローラ33に送る。受信機ユニットコントローラ33は、RF受信回路35からのRF信号に基づき、送信元のタイヤセンサユニット3に対応するタイヤ6のタイヤ内圧力及びタイヤ内温度を把握する。
【0036】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)4つの車輪2に設けられたタイヤセンサユニット3に加え、トランクルーム1bに格納したスペアタイヤ10に予備用タイヤセンサユニット9を設けた。受信機ユニット4のRF受信アンテナ32で、4つのタイヤセンサユニット3から送信されるRF信号を受信するとともに、受信機ユニットコントローラ33で、受信強度に基づき車両1の左側の2つのRF信号の受信強度を判定するようにした。また、予備用タイヤセンサユニット9の送信アンテナ9aでも、4つのタイヤセンサユニット3から送信されるRF信号を受信するとともに、送信アンテナ9aでの受信強度に基づき、車両1の後側の2つのRF信号の受信強度を判定するようにした。そして、判定された受信強度の差に基づき、4つのタイヤセンサユニット3のうち、車両1の後側(RL,RR)と左側(FL,RL)の3つのタイヤセンサユニット3の位置を特定することができ、結果として、残りの1つの前側右側FRのタイヤセンサユニット3の位置を特定することができる。したがって、予備用タイヤセンサユニット9を受信アンテナに代用することで、4つのタイヤセンサユニット3の位置を判定することができ、背景技術のように受信アンテナを追加して2つ以上とする場合と比べて、タイヤ状態監視装置を安価な構成とすることができる。
【0037】
(2)予備用タイヤセンサユニット9は、車両1に予め配備されているものであるため、この予備用タイヤセンサユニット9の送信アンテナ9aを、位置特定の受信アンテナに代用することで、タイヤ状態監視装置の部品点数を増加させることなく、タイヤセンサユニット3の位置特定をすることができる。
【0038】
(3)予備用タイヤセンサユニット9の送信アンテナ9aを受信アンテナとして代用する場合、その動作モードを特殊モードに切り替える一方で、4つの走行用の車輪2に取り付けられたタイヤセンサユニット3においては通常の基準モードに切り換えるようにした。そして、予備用タイヤセンサユニット9においては、受信機ユニット4へのRF信号の送信間隔をタイヤセンサユニット3より長くするようにした。このため、予備用タイヤセンサユニット9が、4つのタイヤセンサユニット3と同じ動作を取ってしまうことを回避することができ、予備用タイヤセンサユニット9を用いた位置特定を行うことができる。
【0039】
(4)受信強度の大きい側の少なくとも2つの受信強度が判定できるように、受信機ユニット4のRF受信アンテナ32の位置と、予備用タイヤセンサユニット9の送信アンテナ9aの位置を設定することで、4つのタイヤセンサユニット3の位置を特定することができる。したがって、RF受信アンテナ32と、送信アンテナ9aの位置設定といった簡単な方法でタイヤセンサユニット3の位置を特定することができる。
【0040】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 実施形態では、交換用車輪側ユニットとしてスペアタイヤ10に取り付けられた予備用タイヤセンサユニット9に具体化したが、スペアタイヤ10に取り付けられず、予備用タイヤセンサユニット9として単体で車両1に配備されているものに具体化してもよい。
【0041】
○ RF受信アンテナ32と、送信アンテナ9aの配置は、受信強度の大きい側の少なくとも2つの信号を受信することができれば適宜変更してもよい。
○ 本発明は、タイヤ状態監視装置への適用に限定されるものではなく、車輪2の位置判定を行う各種の装置に適用することができる。
【0042】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)前記車輪側ユニット及び前記交換用車輪側ユニットは、前記信号の送信間隔が異なる2つの動作モードに切り替え可能になっている請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の車輪位置判定装置。
【0043】
(ロ)前記各車輪側ユニットは、前記車輪におけるタイヤの状態を検出するとともに検出したタイヤの状態を示すデータを含むデータ信号を無線送信するタイヤセンサユニットである請求項1〜請求項3、及び技術的思想(イ)のうちいずれか一項に記載の車輪位置判定装置。
【符号の説明】
【0044】
1…車両、2…車輪、3…タイヤセンサユニット(車輪側ユニット)、4…受信機ユニット、9…予備用タイヤセンサユニット(交換用車輪側ユニット)、9a…送信アンテナ、10…スペアタイヤ、11…圧力センサ(状態検出部)、12…温度センサ(状態検出部)、16…RF送信回路(送信部)、18…送信アンテナ、32…RF受信アンテナ、33…受信機ユニットコントローラ(車輪位置判定部)、35…RF受信回路(受信部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられた複数の車輪の位置を判定するための車輪位置判定装置であって、
前記車輪それぞれに設けられる車輪側ユニット、及び前記車両の車体に設置される受信機ユニットを備え、
前記各車輪側ユニットは、前記車輪の状態を検出する状態検出部と、
前記状態検出部で検出されたデータ、及び各車輪側ユニットに固有の識別情報を含む信号を無線送信する送信アンテナ及び送信部と、を有し、
さらに、前記車輪側ユニットと同じ構成の交換用車輪側ユニットを前記車体に備えるとともに、該交換用車輪側ユニットは前記車輪側ユニットから送信される信号を受信可能であり、かつ受信強度を前記送信アンテナから前記受信機ユニットに送信可能に構成されるとともに、4つの車輪側ユニットからの信号のうち受信強度の大きい側の少なくとも2つの信号を受信できる位置に配置され、
前記受信機ユニットは、前記各車輪側ユニット及び前記交換用車輪側ユニットから送信される信号を、受信アンテナを通じて受信する受信部を備えるとともに、
該受信部は前記交換用車輪側ユニットで受信された信号の1つを含み、かつ受信強度の大きい側の2つの信号を受信できる位置に配置されており、
さらに、前記受信機ユニットは、前記交換用車輪側ユニットで受信された信号の受信強度、及び前記受信部で受信された信号の受信強度の大小に基づき前記信号が前記車両のどの車輪に設けられた前記車輪側ユニットから送信された信号であるかを判定する車輪位置判定部を備えることを特徴とする車輪位置判定装置。
【請求項2】
前記交換用車輪側ユニットは、前記車両に配備されたスペアタイヤに取り付けられている請求項1に記載の車輪位置判定装置。
【請求項3】
前記交換用車輪側ユニットからの前記信号の送信間隔は、前記車輪側ユニットからの前記信号の送信間隔と異なる請求項1又は請求項2に記載の車輪位置判定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−86764(P2013−86764A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231961(P2011−231961)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000204033)太平洋工業株式会社 (143)