説明

車輪情報送信装置

【課題】タイヤ交換の時期に関係なく、所定の機能を維持することが可能な車輪情報送信装置を提供する。
【解決手段】車輪に関連する車輪情報を検出する車輪情報検出部と、車輪情報を記憶する車輪情報記憶部と、検出した車輪情報に基づいて、各種演算を行う演算部と、車輪情報あるいは演算結果を車輪の外部に出力する車輪情報出力部と、を含む制御ユニットと、車輪のホイールに取り付けられた太陽電池と、を備え、制御ユニットは、太陽電池の発電電力を、該制御ユニット内に供給する電力供給制御部をさらに備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪に関連する車輪情報を車輪外部に送信する車輪情報送信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤが低圧または高温の状態で車両を長期間走行させると、タイヤの信頼性が損なわれることがある。そのため、タイヤの空気圧や温度その他の状態を適切に監視する技術が望まれている。タイヤ個々の状態を知るために、各タイヤの中にセンサと送信機を設け、センサによって検出される空気圧等の情報を送信機によって車体側の受信機へ伝える技術が知られている。
【0003】
例えば、車体に装着された車輪同士の相対位置の特定を簡便に行うことができる車輪情報送信装置が考案されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、過渡的な圧力変動の影響を除去することにより、不要な異常警報の除去を行ない、精度よく空気圧を測定できるタイヤ空気圧測定システムが考案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−045214号公報
【特許文献2】特開2008−074223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の従来技術の構成では、車輪情報送信装置あるいはセンサユニットは、電源として、その装置あるいはユニットに内蔵された1次電池を用いている。このため、電池寿命の時期が到来するたびに電池交換を行う必要がある。電池交換の際には、タイヤをホイールから一旦外さなければならないため、大抵の場合は、タイヤを交換する時期に合わせて電池を交換することになる。しかし、タイヤ交換の時期と電池交換の時期とは必ずしも一致しないので、タイヤ交換の時期に合わせて電池交換を行うことになる。その結果、電池が消耗した状態で走行を続け、これら装置あるいはユニットの本来の機能を活用することができず、安全運転に支障を来たしたり燃費の悪化につながる。
【0007】
上記問題点を背景として、本発明の課題は、タイヤ交換の時期に関係なく、所定の機能を維持することが可能な車輪情報送信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0008】
上記課題を解決するための車輪情報送信装置は、車輪に関連する車輪情報を検出する車輪情報検出部と、車輪情報を記憶する車輪情報記憶部と、検出した車輪情報に基づいて、各種演算を行う演算部と、車輪情報あるいは演算結果を車輪の外部に出力する車輪情報出力部と、を含む制御ユニットと、車輪のホイールに取り付けられた太陽電池と、を備え、制御ユニットは、太陽電池の発電電力を、該制御ユニット内に供給する電力供給制御部をさらに備えることを特徴とする。
【0009】
上記構成によって、タイヤを交換する時期に合わせて電池を交換する必要はなく、タイヤ交換の時期に関係なく、所定の機能を維持することが可能となる。
【0010】
また、本発明の車輪情報送信装置における制御ユニットは、1次電池を備え、電力供給制御部は、太陽電池の発電電力に基づいて、1次電池から電力を制御ユニット内に供給する。
【0011】
上記構成によって、太陽電池による電力供給が期待できない夜間や雨天等の悪天候時にも、車輪情報送信装置の所定の機能を維持することが可能となる。また、1次電池を従来よりも小型(低容量)のものを使用することができ、装置の小型化,低コスト化を可能とすることができる。
【0012】
また、本発明の車輪情報送信装置における制御ユニットは、充電可能であり自身に充電されている電力を外部に供給する2次電池を備え、電力供給制御部は、太陽電池の発電電力に基づいて2次電池から電力を制御ユニット内に供給する。
【0013】
上記構成によっても、太陽電池による電力供給が期待できない夜間や雨天等の悪天候時にも、所定の機能を維持することが可能となる。また、太陽電池により2次電池を充電したり、タイヤ交換時に2次電池を充電すれば、2次電池を効率よく活用できる。
【0014】
また、本発明の車輪情報送信装置における制御ユニットは、1次電池を備え、電力供給制御部は、太陽電池の発電電力および2次電池の供給電力に基づいて、1次電池から電力を制御ユニット内に供給する。
【0015】
上記構成によって、太陽電池の発電電力および2次電池の供給電力では制御ユニットを動作させるための電力が不足する場合でも、車輪情報送信装置の所定の機能を維持することが可能となる。
【0016】
また、本発明の車輪情報送信装置における太陽電池は、車輪のホイールのセンターキャップ表面に取り付けられる。
【0017】
上記構成によって、センターキャップのある車輪において、車輪のホイールあるいはセンターキャップの意匠を損なうことなく、太陽電池を取り付けることができ、発電を行うことができる。
【0018】
また、本発明の車輪情報送信装置における太陽電池は、車輪のホイールのホイールキャップ表面に取り付けられる。
【0019】
上記構成によって、ホイールキャップのある車輪において、車輪のホイールあるいはホイールキャップの意匠を損なうことなく、太陽電池を取り付けることができ、発電を行うことができる。
【0020】
また、本発明の車輪情報送信装置における車輪のホイールのセンターキャップあるいはホイールキャップと、車輪のホイール本体とは、それぞれを係合するための係合部を有し、係合部のそれぞれに電極が設けられ、センターキャップあるいはホイールキャップ側の電極はケーブルを介して太陽電池と接続され、ホイール本体側の電極はケーブルを介して制御ユニットと接続され、係合の際にこれら電極が接触することで、係合部を経由して、太陽電池から制御ユニットへ電力が供給される。
【0021】
上記構成によって、太陽電池を車輪のホイールのセンターキャップあるいはホイールキャップの表面に取り付けた場合、太陽電池から制御ユニットへ確実に電力を供給することができる。また、太陽電池と制御ユニットとを直接ケーブル接続する方法に比べて、センターキャップあるいはホイールキャップの脱着を容易に行うことができる。
【0022】
また、本発明の車輪情報送信装置における太陽電池は、車輪のホイール本体の表面に取り付けられる。
【0023】
上記構成によって、センターキャップあるいはホイールキャップのないホイールにおいても、太陽電池を取り付けることができ、発電を行うことができる。
【0024】
また、本発明の車輪情報送信装置における太陽電池は、車輪のホイール本体の表面の開口部を覆うように取り付けられる。
【0025】
上記構成によって、センターキャップあるいはホイールキャップのなく、かつホイール本体の表面に取り付けスペースを確保できない形状のホイールにおいても、太陽電池を取り付けることができ、発電を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】車輪情報送信装置を備えた車両を示すブロック図。
【図2】TPMSバルブ(車輪情報送信装置)の構成を示す図。
【図3】車輪の要部を示す断面図。
【図4】太陽電池の車輪への取り付け構成例を示す図。
【図5】図4における車輪の断面図。
【図6】太陽電池の車輪への取り付け構成の別例を示す図。
【図7】太陽電池の車輪への取り付け構成の別例を示す図。
【図8】車輪情報送信装置における電力供給制御処理を説明するフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の車輪情報送信装置の詳細について、図面を用いて説明する。図1に、本発明の車輪情報送信装置を備えた車両10の概略構成図を示す。車両10は、車体12に設けられた4個の車輪14FR,14FL,14RR,14RL(なお、以下では適宜、車輪14FR〜14RLを総称して「車輪14」という。)と、操舵輪である車輪14FR,14FLを操舵する図示されない操舵装置と、これら車輪14のうち駆動輪を駆動する図示されない走行駆動源等を備える。そして、車輪14は、それぞれホイールとタイヤとを含む。なお、図1の下向きの方向が、車両10の進行方向となる。
【0028】
上述の各車輪14には、タイヤの空気圧調整用バルブとして機能するとともにタイヤの空気圧の監視を行うタイヤ空気圧監視システム(Tire Pressure Monitoring System)としてTPMSバルブ20FR,20FL,20RR,20RL(なお、以下では適宜、TPMSバルブ20FR〜20RLを総称して「TPMSバルブ20」という。)が装着されている。
【0029】
また、上述の各車輪14のホイールには、TPMSバルブ20FR,20FL,20RR,20RLに電力を供給するための太陽電池29FR,29FL,29RR,29RL(なお、以下では適宜、太陽電池29FR〜29RLを総称して「太陽電池29」という。)が装着されている。そして、TPMSバルブ20FR〜20RLと、対応する太陽電池29FR〜29RLとを含むものを車輪情報送信装置1(1FR〜1RL)という。
【0030】
図2に、図1の車両10に含まれるTPMSバルブ20を説明するためのブロック図を示す。TPMSバルブ20のハウジング20b(図3参照)の内部には、空気圧センサ21,車輪側通信機22,MPU(マイクロプロセッサ)23,メモリ24,AD変換回路(AD)25,電源回路26,充電可能な2次電池27,および充電できない1次電池28が収容されている。これにより、TPMSバルブ20は、車輪に関連する車輪情報としてのタイヤ空気圧を取得するとともに取得した車輪情報を定期的に送信可能な車輪情報送信装置の制御ユニットとして機能する。
【0031】
空気圧センサ21は、例えば半導体センサであり、タイヤ内部空間内の空気圧を検出し、空気圧に応じた空気圧検出信号を出力する。なお、空気圧センサ21が本発明の車輪情報検出部に相当する。また、車輪情報検出部として、空気圧センサ21の他に、タイヤの内部空間の空気温度を検出する温度センサ,前後加速度センサ,横Gセンサ,接地圧センサ等を更に備えるものであってもよい。
【0032】
MPU23は、図示しないROM,タイマ回路等の周辺回路を含み、ROMに記憶された制御プログラムを実行することで、TPMSバルブ20としての機能を実現する。MPU23は、例えば、車輪側通信機22,AD25の動作制御,空気圧センサ21が検出したデータの演算や、メモリ24へのデータの読み書きの制御を行う。なお、MPU23が本発明の演算部に相当する。
【0033】
メモリ24は、TPMSバルブ20の動作に必要なデータを記憶する。例えば、自己の車輪を他の車輪と識別するための識別情報としてそれぞれ固有のIDコード、空気圧センサ21が検出した空気圧検出信号、あるいは空気圧検出信号基づく演算結果を記憶する。なお、メモリ24が本発明の車輪情報記憶部に相当する。
【0034】
電源回路26は、MPU23を始めとするTPMSバルブ20内の各回路に電源を供給するためのもので、2次電池27および1次電池28の他に、車輪のホイール40に取り付けられた太陽電池29(取り付けの詳細は後述)が接続されている。そして、MPU23の制御により、これら3つの電池の1つ以上を用いてTPMSバルブ20内の各回路に電源を供給するための、スイッチ,リレー,あるいはスイッチング素子等を含む電源切替回路、各電池からの出力電圧を所定値に保つ定電圧回路、各電池からの出力電圧を所定値に変換する電圧変換回路も有する。なお、電源回路26が本発明の電力供給制御部に相当する。
【0035】
上述のような構成により、TPMSバルブ20では、MPU23の制御により、空気圧センサ21が検出した空気圧信号をAD25によりAD変換し、そのAD変換値あるいはAD変換値に基づく演算値などを車輪側通信機22,アンテナ22aを介して、車輪情報として識別情報とともに、所定周期(例えば1分間隔)で定期的に外部に送信する。なお、車輪側通信機22が本発明の車輪情報出力部に相当する。
【0036】
図1に戻り、車体側通信機31は、各車輪14のTPMSバルブ20に含まれる車輪側通信機22との間で信号の送受信を行うものであり、車輪側通信機22から無線送信された信号を受信してECU30に出力する。センサ群32には、例えば、車輪14毎に設けられて対応する車輪14の速度を検出する図示されない車輪速センサ等が含まれる。警報装置33は、ECU30の制御のもと、所定条件下で運転者に警報を発するものであり、例えば、車両10の計器パネルに設けられている警告表示装置等が含まれる。なお、車輪側通信機22を、車体側通信機31からの信号を受信できるような構成としてもよい。
【0037】
図3に、TPMSバルブ20が設けられている車輪14の要部を示す断面図を示す。TPMSバルブ20は、ホイール40のホイールリム40aに設けられた取付孔40bに弾性ゴムからなるグロメット20d,ワッシャ,およびボルト等(図示せず)を介して取り付けられる。TPMSバルブ20のバルブキャップ20aは、ホイールリム40aの外側に突出しており、このバルブキャップ20aを取り外して、図示されない弁口に空気供給装置のホースを接続すれば、タイヤ18の内部空間に空気を供給可能となる。また、各TPMSバルブ20は、ハウジング20bを有している。
【0038】
また、ホイールディスク40c(ホイール本体)の裏面(すなわち車体12側)およびホイールリム40aの表面には、太陽電池29の発電した電力をTPMSバルブ20に供給するためのケーブル29aが配設されている。ケーブル29aは、例えば、バルブキャップ20aを取り付けるとともに逆止弁を収容する金属製の弁筒部20cの一端にワッシャを介して接続され、弁筒部20cの他の一端がケーブル20eにより電源回路26に接続される。
【0039】
図4および図5を用いて、太陽電池29の車輪14(すなわちホイール40)への取り付け構成について説明する。本構成においては、太陽電池29は、ホイール40のセンターキャップ41の表面(すなわち外側)に取り付けられる。図4に、車輪14の表面から見た図を示し、図5(a)に、車輪14における関連部分の断面図を示し、図5(b)に、図5(a)の部分詳細図を示す。
【0040】
図4および図5のように、センターキャップ41は、ホイールディスク40cの中心部に設けられた開口部40eに取り付けられる。センターキャップ41には、自身をホイールディスク40cに係合するために、ホイールディスク40cに向かって突出する係合部41aを有し、その係合部41aがホイールディスク40cに当接する部分およびその近傍には導電性を有する接点41bが取り付けられ、センターキャップ41に取り付けられている太陽電池29とケーブル29bにより接続されている。
【0041】
図3でも示されている、TPMSバルブ20に接続されたケーブル29aは、ホイールリム40aの表面およびホイールディスク40cの裏面を通って開口部40e方向へ延長され、その先端には、センターキャップ41の係合部41aの接点41bと接触するための導電性を有する接点29a1が形成されている。接点29a1およびその周辺が、ホイール40側の係合部に相当する。
【0042】
上記構成により、太陽電池29〜ケーブル29b〜接点41b〜接点29a1〜ケーブル29a〜TPMSバルブ20という経路で、太陽電池29の発電電力がTPMSバルブ20に供給される。
【0043】
図6を用いて、太陽電池29のホイール40への取り付け構成の別例について説明する。本構成においては、太陽電池29は、ホイール40のホイールキャップ50の表面(すなわち外側)に取り付けられる。なお、ホイールキャップ50は、図6(a)のように車体に取り付けるための取り付け穴60のみのようなホイールディスク40cの一部を覆うものでもよいし、図6(b)のようにホイールディスク40cの全体を覆うものでもよい。また、ホイールキャップの取り付けの構成については、例えば、特開平09−086101号公報に詳細が記載されている。
【0044】
図6(b)のように、ホイールキャップ50は、ホイールディスク40cに向かって突出する係合部51を有し、その係合部51がホイールリム40aに設けられた係合凹部40fと係合する。太陽電池29に接続されたケーブル29bは、ホイールディスク40cの内部あるいは裏面を通って係合部51まで延長され、係合部51の係合凹部40fとの当接面に導電性を有する接点51aが形成されている。
【0045】
また、TPMSバルブ20に接続されたケーブル29aは、係合凹部40fまで延長され、その先端には、センターキャップ41の係合部51の接点51aと接触するための接点29a2が形成されている。
【0046】
上記構成により、太陽電池29〜ケーブル29b〜接点51a〜接点29a2〜ケーブル29a〜TPMSバルブ20という経路で、太陽電池29の発電電力がTPMSバルブ20に供給される。
【0047】
図6(a)の例においても、図6(b)と同様に、係合部(51),係合凹部(ホイールディスク40cに形成),各接点(いずれも図示せず)が形成され、ケーブル29aは、係合凹部の接点から、ホイールディスク40cの裏面およびホイールリム40aの表面を通ってTPMSバルブ20に接続される。
【0048】
図7を用いて、太陽電池29のホイール40への取り付け構成の別例について説明する。本構成においては、太陽電池29は、ホイール40のホイールディスク40cの開口部40gの少なくとも一部を覆うように取り付けられる。なお、太陽電池29は、TPMSバルブ20が設けられている開口部には取り付けない方が、タイヤ18への空気補充の際の妨げとならない。
【0049】
取り付け方法は、接着剤を用いて太陽電池29(あるいは太陽電池29が取り付けられた部材)をホイールディスク40cの開口部40gの周縁に接着する方法、上述のセンターキャップ41あるいはホイールキャップ50のような係合部を形成して開口部40gと係合する方法のいずれを用いてもよい。
【0050】
図7の構成におけるケーブル29aの配設方法は、太陽電池29をホイールディスク40cの開口部40gの周縁に接着する場合は、ホイールディスク40cの裏面およびホイールリム40aの表面を通す図5の構成と同様である。また、係合部を形成してホイールディスク40cと係合する場合は、係合部に接点を設ける図6の構成と同様である。
【0051】
また、図7のように、太陽電池29をホイールディスク40cの表面に取り付けてもよい。この場合のケーブル29aの配設方法は、ホイールディスク40cの表面およびホイールリム40aの表面を通す方法の他に、ホイールディスク40cの太陽電池29との接着面に穴を開けて、ケーブル29aをホイールディスク40cの裏面に通し、その後ホイールリム40aの表面に配する方法を用いてもよい。
【0052】
図8を用いて、TPMSバルブ20における電力供給制御処理について説明する。なお、本処理は、メモリ24あるいはMPU23に含まれるROM(図示せず)に記憶された制御プログラムに含まれ、該プログラムに含まれる他の処理とともに繰り返し実行される。
【0053】
まず、太陽電池29から電力を供給するように、MPU23から電源回路26に指令を送る(S11)。すなわち、電源回路26内では、太陽電池29からTPMSバルブ20の各部に電源が供給されるように回路が形成されるように関連するスイッチ,リレー等が閉じられる。
【0054】
次に、太陽電池29の発電状態を取得する(S12)。これは、例えば、太陽電池29の発電電流を検出する電流センサ291(図2参照)から発電電流(電圧換算値)をAD25でAD変換することで取得し、この発電電流とメモリ24に予め記憶される太陽電池29の出力電圧(あるいは定格電圧)とに基づいて太陽電池29の発電電力を算出する。
【0055】
次に、太陽電池29の発電電力のみでTPMSバルブ20が必要とする電力(以下、「必要電力」ともいう)を供給可能か否かを判定する。この必要電力は、TPMSバルブ20の回路構成に基づいて事前に算出可能であるため、必要電力の値をメモリ24に予め記憶しておく。そして、太陽電池29の発電電力が必要電力を上回るとき、太陽電池29のみで電力を供給可能と判定する。
【0056】
太陽電池29のみで電力を供給可能と判定したとき(S13:Yes)、余剰電力があるか否かを判定する。これは、例えば、太陽電池29の発電電力が、必要電力に予め定められた値を加えたものよりも上回るときに、余剰電力があると判定する。
【0057】
余剰電力があると判定したとき(S14:Yes)、MPU23から電源回路26に指令を送り、太陽電池29から2次電池27に余剰電力を供給、すなわち、2次電池27を充電する(S15)。電源回路26には、太陽電池29が2次電池27を充電するための充電回路が含まれ、この充電回路には、電圧変換回路や過充電保護回路も含まれている。
【0058】
一方、太陽電池29のみで電力を供給できないと判定したとき(S13:No)、MPU23から電源回路26に指令を送り、例えば、以下のような手順で2次電池27から不足分の電力をTPMSバルブ20の各部に供給する(S16)。
・MPU23で、必要電力から太陽電池29の発電電力を差し引いて、不足分の電力(すなわち、2次電池27から供給する電力)を算出する。
・MPU23で、電力を2次電池27の定格電圧で除算し、電力を電流(バッテリ電流ともいう)に換算する。
・MPU23で、電流の値に基づいてPWM(パルス幅変調)デューティを算出する。
・MPU23から算出したPWMデューティ信号を出力し、電源回路26内の、2次電池27からの電流経路上に設けられたFET(電界効果型トランジスタ)等のスイッチング素子を、PWMデューティ信号により駆動し、バッテリ電流を供給する。
【0059】
次に、2次電池27の充電状態を取得する(S17)。これは、例えば、2次電池27の出力電圧を検出する電圧センサ271(図2参照)の出力値をAD45でAD変換したものを充電状態とする。取得した充電状態に基づいて、2次電池27のみで不足分の電力を供給可能か否かを判定する。これは、例えば、充電状態と供給可能電力(あるいは供給可能電流)との関係をマップデータとして予めメモリ24に記憶しておき、このマップを参照することで供給可能か否かを判定する。
【0060】
2次電池27のみで不足分の電力を供給できないと判定したとき(S18:No)、MPU23から電源回路26に指令を送り、上述のステップS16と同様の方法で、1次電池28から不足分の電力をTPMSバルブ20の各部に供給する(S19)。
【0061】
図2において、2次電池27および1次電池28のない構成としてもよい。この場合、図8の電力供給制御処理では、ステップS12〜S19は実行されない。
【0062】
また、図2において、2次電池27のない構成としてもよい。この場合、図8の電力供給制御処理では、ステップS14〜S18は実行されない。つまり、太陽電池29のみで電力を供給できないと判定したとき(S13:No)、1次電池28から不足分の電力をTPMSバルブ20の各部に供給する(S19)。
【0063】
図2において、1次電池28のない構成としてもよい。この場合、図8の電力供給制御処理では、ステップS17〜S19は実行されない。
【0064】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 車輪情報送信装置(1FR〜1RL)
10 車両
14 車輪(14FR〜14RL)
20 TPMSバルブ(20FR〜20RL)
21 空気圧センサ(車輪情報検出部)
22 車輪側通信機(車輪情報出力部)
23 MPU(演算部)
24 メモリ(車輪情報記憶部)
26 電源回路(電力供給制御部)
27 2次電池
28 1次電池
29 太陽電池(29FR〜29RL)
29a,29b ケーブル
29a1,29a2 接点
40 ホイール
40a ホイールリム
40c ホイールディスク(ホイール本体)
40f 係合凹部(係合部)
40g 開口部
41 センターキャップ
41a 係合部
41b 接点
50 ホイールキャップ
51 係合部
51a 接点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪に関連する車輪情報を検出する車輪情報検出部と、
前記車輪情報を記憶する車輪情報記憶部と、
検出した前記車輪情報に基づいて、各種演算を行う演算部と、
前記車輪情報あるいは前記演算結果を前記車輪の外部に出力する車輪情報出力部と、
を含む制御ユニットと、
前記車輪のホイールに取り付けられた太陽電池と、
を備え、
前記制御ユニットは、前記太陽電池の発電電力を、該制御ユニット内に供給する電力供給制御部をさらに備えることを特徴とする車輪情報送信装置。
【請求項2】
前記制御ユニットは、1次電池を備え、
前記電力供給制御部は、前記太陽電池の発電電力に基づいて、前記1次電池から電力を前記制御ユニット内に供給する請求項1に記載の車輪情報送信装置。
【請求項3】
前記制御ユニットは、充電可能であり自身に充電されている電力を外部に供給する2次電池を備え、
前記電力供給制御部は、前記太陽電池の発電電力に基づいて前記2次電池から電力を前記制御ユニット内に供給する請求項1に記載の車輪情報送信装置。
【請求項4】
前記制御ユニットは、1次電池を備え、
前記電力供給制御部は、前記太陽電池の発電電力および前記2次電池の供給電力に基づいて、前記1次電池から電力を前記制御ユニットに供給する請求項3に記載の車輪情報送信装置。
【請求項5】
前記太陽電池は、前記車輪のホイールのセンターキャップ表面に取り付けられる請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の車輪情報送信装置。
【請求項6】
前記太陽電池は、前記車輪のホイールのホイールキャップ表面に取り付けられる請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の車輪情報送信装置。
【請求項7】
前記車輪のホイールのセンターキャップあるいはホイールキャップと、前記車輪のホイール本体とは、それぞれを係合するための係合部を有し、
前記係合部のそれぞれに電極が設けられ、前記センターキャップあるいは前記ホイールキャップ側の電極はケーブルを介して前記太陽電池と接続され、前記ホイール本体側の電極はケーブルを介して前記制御ユニットと接続され、係合の際にこれら電極が接触することで、前記係合部を経由して、前記太陽電池から前記制御ユニットへ電力が供給される請求項5または請求項6に記載の車輪情報送信装置。
【請求項8】
前記太陽電池は、前記車輪のホイール本体の表面に取り付けられる請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の車輪情報送信装置。
【請求項9】
前記太陽電池は、前記車輪のホイール本体の表面の開口部を覆うように取り付けられる請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の車輪情報送信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−230597(P2011−230597A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−101126(P2010−101126)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】