説明

車輪逸走防止装置

【課題】車両側から離脱した車輪を車両外部へ逸走させることなく転動状態で保持することで、車両の走行時における歩行者等に対する安全性を確保する。
【解決手段】車輪の側面に対向して配置された側方規制部材と、該車輪の前後両面に対向して配置された前後規制部材を備えるとともに、上記側方規制部材は上記車軸端部から離脱した車輪の軸方向外側への移動と傾斜を所定範囲内に規制し、上記前後規制部材は上記車軸端部から離脱した車輪の前後方向への移動を所定範囲内に規制するように構成する。係る構成によれば、車両の走行中に車輪が離脱した場合、この車輪は、側方規制部材によってその軸方向外側への移動と傾斜が所定範囲内に規制されるとともに、上記前後規制部材によって該車輪の前後方向への移動が所定範囲内に規制されることで、車両の走行に追従した転動状態のまま保持され、車両外への飛び出し、及び逸走が未然に且つ確実に防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、トラック等の大形車両に装着された車輪がホイールボルトの破断等によって車両側から離脱した場合において、この離脱した車輪がタイヤハウス部分から外方へ飛び出して逸走するのを防止するための車輪逸走防止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、走行中の車両から車輪が外れ、これが車体外へ逸走して周囲の歩行者とか車両に衝突するという事故が何度か発生しているが、特に大形車両に装着される車輪にあっては100kg近い重量をもつことから、重大な死傷事故につながる可能性があり、早急の対応が要請されるところである。
【0003】
このように走行中の車両から車輪が外れる原因としては、車輪を車軸端部のハブに締着固定するホイールボルトの破断とか、該ハブ自体の破損が挙げられる。このため、ホイールボルトの強度アップとか、ハブの構造変更による強度アップ等の対応策が数多く提案されている。
【0004】
しかし、これらの対応によって車輪の外れが完全に防止されるという保証はなく、そうとすれば「車輪の外れ」という万一の事態に備えて、車輪が外れた場合の対応を講じておくことが必要となる。
【0005】
係る観点から、特許文献1に示されるような脱輪を規制する技術が提案されている。
【0006】
【特許文献1】 特開2003−212068号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に示される脱輪規制装置は、車両のタイヤハウス部分の外側部分に、擬似扇形を形成するように複数のアーム上部材を放射状に設けた規制部材を取付け、車輪が外れた場合、上記規制部材によって該車輪がその下方を外側に、上方を内側に傾斜させながら転がり出るようにすることで、該車輪を積極的に転倒させ、これによって該車輪の逸走を抑制するようにしたものである。
【0008】
しかし、この脱輪規制装置では、車両側から外れた車輪は、傾斜状態で車両側から外方へ転がり出て早期に転倒し、遠くへの逸走が抑制されるものの、該車輪が車両外部へ転がり出ることを前提としたものであることから、外れた車輪の逸走距離は短いものの、依然として、逸走する車輪が周辺の歩行者等に衝突するという危険性は残ることになる。
【0009】
また、外れた車輪は、内側(車両側)へ傾斜した姿勢で走行方向の前方側へ飛び出し、車体側方から前方側へ回り込むように逸走して転倒することから、この転倒した車輪に後続の車輪が乗り上げ、車両に大きな衝撃を与えるというような事態の発生も考えられる。
【0010】
そこで本願発明は、車両側から車輪が離脱した場合、該車輪を転動状態のまま空転させながら保持することで、該車輪の車両外部への逸走を防止し、もって車輪の逸走による事故の発生を未然に回避できるようにした車輪逸走防止装置を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明では、上記課題を解決するために以下のような構成を採用している。
【0012】
本願の第1の発明に係る車輪逸走防止装置では、車両の車軸端部に装着された車輪の側面に対向して配置された側方規制部材と、該車輪の前後両面に対向して配置された前後規制部材を備えるとともに、上記側方規制部材は上記車軸端部から離脱した車輪の軸方向外側への移動と傾斜を所定範囲内に規制し、上記前後規制部材は上記車軸端部から離脱した車輪の前後方向への移動を所定範囲内に規制するように構成したことを特徴としている。
【0013】
本願の第2の発明では、上記第1の発明に係る車輪逸走防止装置において、上記側方規制部材と前後規制部材を、車軸の高さ位置を含む上下方向の所定範囲に対応するように構成したことを特徴としている。
【0014】
本願の第3の発明では、上記第1又は第2の発明に係る車輪逸走防止装置において、上記側方規制部材と前後規制部材を、上記車両のシャーシと該シャーシに取付けられた荷台の少なくとも何れか一方に固定したことを特徴としている。
【0015】
本願の第4の発明では、上記第1、第2又は第3の発明に係る車輪逸走防止装置において、上記側方規制部材の姿勢を、上記車輪の側面に対向する第1姿勢と、該車輪の側面から離間して該車輪を側方空間に開放する第2姿勢の間で変更可能としたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本願発明では次のような効果が得られる。
【0017】
(a)本願の第1の発明に係る車輪逸走防止装置によれば、車両の車軸端部に装着された車輪の側面に対向して配置された側方規制部材と、該車輪の前後両面に対向して配置された前後規制部材を備えるとともに、上記側方規制部材は上記車軸端部から離脱した車輪の軸方向外側への移動と傾斜を所定範囲内に規制し、上記前後規制部材は上記車軸端部から離脱した車輪の前後方向への移動を所定範囲内に規制するように構成しているので、車両の走行中に、何らかの原因で該車両の車軸端部に装着された車輪が離脱した場合、この車輪は、上記側方規制部材によってその軸方向外側への移動と傾斜が所定範囲内に規制されるとともに、上記前後規制部材によって該車輪の前後方向への移動が所定範囲内に規制されることで、車両の走行に追従して自由に転動し且つその転動状態が保持される。従って、上記車輪の車両外への飛び出し、及び不確定な方向への逸走が未然に且つ確実に防止され、その結果、車両の走行時における歩行者等に対する安全性が確保される。
【0018】
(b)本願の第2の発明に係る車輪逸走防止装置によれば、上記(a)に記載の効果に加えて、以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記側方規制部材と前後規制部材を、車軸の高さ位置を含む上下方向の所定範囲に対応するように構成しているので、上記車輪が上記車軸端部から離脱した場合、上記側方規制部材側では、上記車輪の軸方向への移動規制と傾斜規制が該車輪の軸心位置(即ち、重心位置)の周辺部分において行われ、また、上記前後規制部材側では、上記車輪の前後方向への移動規制が該車輪の走行方向の前端部周辺と後端部周辺(即ち、重心高さ位置の周辺)において行われ、これら両者の相乗効果によって、上記車輪の立姿勢での保持、即ち、車両の走行に追従した自由な転動状態での保持が確実となる。
【0019】
(c)本願の第3の発明に係る車輪逸走防止装置によれば、上記(a)又は(b)に記載の効果に加えて、以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記側方規制部材と前後規制部材を、上記車両のシャーシと該シャーシに取付けられた荷台の少なくとも何れか一方に固定しているので、上記側方規制部材と前後規制部材の支持剛性が高く維持され、延いては車輪逸走防止装置の作動上の信頼性が向上する。
【0020】
(d)本願の第4の発明に係る車輪逸走防止装置によれば、上記(a)、(b)又は(c)に記載の効果に加えて、以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記側方規制部材の姿勢を、上記車輪の側面に対向する第1姿勢と、該車輪の側面から離間して該車輪を側方空間に開放する第2姿勢の間で変更可能としているので、上記第1姿勢においては上記側方規制部材による上記車輪に対する良好な規制作用が確保され、また上記第2の姿勢においては、上記車輪の点検・交換作業を容易に行うことができ、これらの結果、車輪逸走防止装置の機能の確保と車輪のメンテナンス性の向上が両立される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本願発明を好適な実施形態に基づいて具体的に説明する。
【0022】
図1には、本願発明の実施形態の形態に係る車輪逸走防止装置を備えたトラック1(特許請求の範囲中の車両1に該当する)を示している。このトラック1は、シャーシ3の前部に一軸の前車輪4を、後部に前後二軸の後車輪5A,6A、同5B,6Bを、それぞれ備えるとともに、上記シャーシ3の上面側には荷台2を備えて構成される。また、上記後車輪5A,6A、同5B,6Bの上方位置には泥除け8が設けられ、このトラック1においては上記泥除け8の下方空間がタイヤハウス部50となり、このタイヤハウス部50内に上記後車輪5A,6A、同5B,6Bが配置されている。さらに、上記前車輪4と上記後車輪5A,6A、同5B,6Bの中間位置には巻き込み防止柵7が備えられている。
【0023】
ここで、上記後車輪5A,6A、同5B,6Bの構造を、図4に示した前側に位置する第1外側車輪5Aと第1内側車輪6Aを例にとって説明し、その説明を、後側の第2外側車輪5Bと第2内側車輪6Bに援用する。
【0024】
図4に示すように、車体前後方向に延設された上記シャーシ3には、複数枚の板バネを積層して構成されたリーフスプリング10を介して車軸ケース11が横設状態で取付けられている。この車軸ケース11は、その軸方向の中央にデフ装置(図示省略)が備えられ、該デフ装置から延びる車軸(図示省略)が内挿されている。そして、この車軸ケース11の端部から外方へ延出する車軸の端部にはハブ12(特許請求の範囲中の「車軸端部」に該当する)が取付けられている。
【0025】
そして、このハブ12には、該ハブ12と軸方向に重合するようにして第1内側車輪6Aが配置されるとともに、該第1内側車輪6Aの外側には第1外側車輪5Aが上記ハブ12から軸方向外側へオーバハング状態で配置されている。そして、これら一対の後車輪5A,6Aは、その各リム53,53を、上記ハブ12に植設された複数本のホイールボルト55とこれに螺合されるホイールナット56によって、共締め固定することで、上記ハブ12に装着されている。なお、後車輪5A,6Aは、共に、タイヤ51と該タイヤ51を支持するタイヤホイール52、及び該タイヤホイール52の軸方向の一側に連設されたリム53を備える。
【0026】
ところで、この実施形態に示したトラック1においては、積荷重量の大半を上記後車輪5A,6A、同5B,6Bで支持する構成となっていることから、該後車輪5A,6A、同5B,6Bに係る輪重は大きく、そのため長期間の使用によっても後車輪5A,6A、同5B,6Bが上記ハブ12から離脱することがないように、上記ホイールボルト55とか上記ハブ12の強度を設定している。従って、トラック1の走行中に上記後車輪5A,6A、同5B,6Bが上記ハブ12から離脱するというような事態は起こり得ないはずである。
【0027】
しかし、現実的には、例えば、金属疲労により強度性能が低下し、上記ホイールボルト55が破断するとか、上記ハブ12が損傷する、等によって、後車輪、特に外側に配置されている第1外側車輪5Aが上記ハブ12から離脱し、これがタイヤハウス部50部分から外側へ転げ出て逸走し、場合によっては周辺の通行人等に損傷を与える、という事故が発生していることは周知の通りである。
【0028】
このような問題に対処する一つの方法として、もし、車輪が離脱した場合には、これを積極的に転倒させて逸走を防止する技術も提案されているが、これによっても十分な対策にはなっていないことは既述の通りである。
【0029】
そこで、本願発明者は、もし、ハブ12から車輪が離脱した場合には、これを起立した転動可能な姿勢のまま保持し、車両の走行に追従して自由に転動させることで、該車輪の外部への逸走、及びこの逸走に起因する通行人等への損傷を未然に且つ確実に回避することに想到した。そして、これを具現化したものとして、次述の車輪逸走防止装置Xを提案するものである。以下、この車輪逸走防止装置Xについて具体的に説明する。
【0030】
上記車輪逸走防止装置Xは、図〜図5に示すように、上記タイヤハウス部50部分を車体側方及び前後の三方向から取り囲むようにして設けられた柵体で構成される。即ち、上記タイヤハウス部50の側部に対応する上記荷台2の縁部には、
上記第1外側車輪5Aの前方側位置と、該第1外側車輪5Aと上記第2外側車輪5Bの中間位置と、該第2外側車輪5Bの後方側位置にそれぞれ対応するようにして、該荷台2から下方へ向けて各外側支柱21A〜21Cを設けている。また、上記タイヤハウス部50の奥部に対応する上記シャーシ3の外側面には、車幅方向において上記各外側支柱21A〜21Cと対応擦るようにして、該シャーシ3から下方へ向けて内側支柱22A〜22Cを設けている。
【0031】
そして、上記第1外側支柱21Aと第2外側支柱21Bの間には、上下に三本の横桁をもつ横長矩形枠状の第1外側柵体24Aを、上記第2外側支柱21Bと第3外側支柱21Cの間には、上下に三本の横桁をもつ横長矩形枠状の第2外側柵体24Bを、それぞれ配置している。
【0032】
上記第1外側柵体24Aは、車両前方寄りの縁部を、上下一対のヒンジ15、15によって上記第1外側支柱21Aに開閉可能に取付ける一方、車両後方寄りの縁部は上下一対のロック体16、16によって上記第2外側支柱21Bに固定保持し得るようにしている。同様に、上記第2外側柵体24Bは、車両前方寄りの縁部を、上下一対のヒンジ15、15によって上記第2外側支柱21Bに開閉可能に取付ける一方、車両後方寄りの縁部は上下一対のロック体16、16によって上記第3外側支柱21Cに固定保持し得るようにしている。
【0033】
この場合、図2に示すように、上記第1外側柵体24Aと第2外側柵体24Bが、側面視において、上記各外側車輪5A、5Bの中心部分、即ち、上記ハブ12部分を覆うように、その取付け高さが設定されている。
【0034】
なお、この実施形態では、これら各外側柵体24A,24Bが特許請求の範囲中の側方規制部材Pに該当する。
【0035】
一方、図3〜図5に示すように、上記第1外側支柱21Aと第1内側支柱22Aの間には上下二段に前柵体26Aが、上記第2外側支柱21Bと第2内側支柱22Bの間には上下二段に中柵体26Bが、上記第3外側支柱21Cと第3内側支柱22Cの間には上下二段に後柵体26Cが、それぞれ設けられている。
【0036】
この場合、図5に示すように、上記各外側支柱21A〜21Cは、側面視において、上記車軸ケース11に対応(即ち、車輪の中心周辺に対応)するようにその取付高さが設定されている。
【0037】
なお、この実施形態においては、これら各柵体26A〜26Cが特許請求の範囲中の前後規制部材Qに該当する。
【0038】
以上のように構成することで、図3に示すように、上記各後車輪5A,6A、同5B,6Bは、その車幅方向の外側と車長方向の前後が、上記各外側柵体24A、24Bと各柵体26A〜26Cによって囲まれた状態となっている。
【0039】
以上のように構成された上記車輪逸走防止装置Xを備えた上記トラック1においては、万一、走行中に後車輪5A,5Bの何れかが上記ハブ12から離脱した場合、離脱した後車輪5A又は同5Bは、その外側に位置する上記外側柵体24A,24B(即ち、側方規制部材P)によってその軸方向外側への移動と傾斜が所定範囲内に規制されるとともに、上記各柵体26A〜26C(即ち、前後規制部材Q)によって該車輪の前後方向への移動が所定範囲内に規制されることから、上記トラック1の走行に追従して自由に転動し且つその転動状態が保持される。従って、上記後車輪5A又は同5Bがタイヤハウス部50から外側へ転げ出るとか、何れかの方向へ逸走する等のことが未然に且つ確実に防止され、その結果、トラック1の走行時における歩行者等に対する安全性が確保されることになる。
【0040】
この場合、離脱した後車輪が上記各柵体26A〜26Cと接触することで衝撃音あるいは衝撃振動が発生するため、トラック1の運転者は後車輪の離脱を容易に感知することができ、早急な対応を講じることができ、これによって走行時における安全性がさらに向上することになる。
【0041】
また、この実施形態では、上記各外側柵体24A、24Bと上記各策体26A〜26Cの配置高さを、車軸の高さ位置を含む上下方向の所定範囲に対応するように設定しているので、上記後車輪5A又は同5Bが上記ハブ12から離脱した場合、上記各外側柵体24A、24B側では、上記後車輪5A又は同5Bの軸方向への移動規制と傾斜規制がその軸心位置(即ち、重心位置)の周辺部分において行われ、また、上記各策体26A〜26C側では、上記後車輪5A又は同5Bの前後方向への移動規制が該後車輪5A又は同5Bの走行方向の前端部周辺と後端部周辺(即ち、重心高さ位置の周辺)において行われることから、これら両者の相乗効果によって、上記後車輪5A又は同5Bの立姿勢での保持、即ち、トラック1の走行に追従した自由な転動状態での保持が確実となる。
【0042】
さらに、この実施形態では、上記各外側柵体24A、24Bを上記外側支柱21A〜21Cを介して上記荷台2に固定するとともに、上記各柵体26A〜26Cは、上記外側支柱21A〜21Cを介して上記荷台2に、上記各内側支柱22A〜22Cを介して上記シャーシ3にそれぞれ固定するようにしているので、その固定強度が高く、従って、離脱した後車輪5A又は同5Bが上記各外側柵体24A、24Bとか各柵体26A〜26Cに、衝突したとしてもこれを確実に保持することができ、延いては車輪逸走防止装置Xの作動上の信頼性か向上する。
【0043】
一方、この実施形態では、上記各外側柵体24A,24Bの姿勢を、上記後車輪5A又は同5Bの側面に対向する姿勢(特許請求の範囲中の「第1姿勢」)と、該後車輪5A又は同5Bの側面から離間して該後車輪5A又は同5Bを側方空間に開放する姿勢(特許請求の範囲中の「第2姿勢」)の間で変更可能としている。従って、前者の姿勢においては、上記各外側柵体24A,24Bによる上記後車輪5A又は同5Bに対する良好な規制作用が確保される。また、後者の姿勢においては、上記後車輪5A又は同5Bの点検・交換作業を容易に行うことができ、これらの結果、車輪逸走防止装置Xの機能の確保と車輪のメンテナンス性の向上の両立が可能となる。
【0044】
また、この場合、図3に示すように、上記各外側柵体24A,24Bを、共に、車体前方側の縁部を中心として外側へ開くようにしているので、例えば、何らかの原因で走行中にロック体16が外れて上記各外側柵体24A,24Bが開き、これが周辺の障害物に衝突したような場合でありても、該各外側柵体24A,24Bが閉側へ回動することでその衝撃が吸収緩和され、安全性の確保という点において好適である。
【0045】
その他
(1) 上記実施形態では、上記車輪逸走防止装置Xを枠体で構成しているが、本願発明は係る構成に限定されるものではなく、例えば、板状体(多孔板を含む)で構成することもできる。
【0046】
(2) 上記実施形態では、車輪逸走防止装置Xを、ダブルタイヤの二軸構成の後車輪に適用した場合を説明したが、本願発明は係る構成に限定されるものではなく、例えばダブルタイヤの一軸構成の後車輪とか、シングルタイヤの一軸構成の後車輪等にも適用できるものである。
【0047】
(3) 上記実施形態では、トラック1の後車輪に上記車輪逸走防止装置Xを適用した例を示したが、本願発明は係る構成に限定されるものではなく、例えば後車輪の周囲がフェンダパネルで囲まれたバス型の車両にも適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】 本願発明の実施形態に係る車輪逸走防止装置を備えた車両の全体図である。
【図2】 図1のII部の拡大図である。
【図3】 図2のIII−III矢視図である。
【図4】 図2のIV−IV矢視図である。
【図5】 図2のV−V矢視図である。
【符号の説明】
【0049】
1 ・・車両(トラック)
2 ・・荷台
3 ・・シャーシ
4 ・・前車輪
5A,5B ・・後車輪
6A,6B ・・後車輪
7 ・・巻き込み防止柵
8 ・・泥除け
10 ・・リーフスプリング
11 ・・車軸ケース
12 ・・ハブ
15 ・・ヒンジ
16 ・・ロック体
21A〜21C ・・外側支柱
22A〜22C ・・内側支柱
24A,24B ・・柵体
26A〜26C ・・柵体
50 ・・タイヤハウス部
51 ・・タイヤ
52 ・・タイヤホイール
53 ・・リム
55 ・・ホイールボルト
56 ・・ホイールナット
P ・・側方規制部材
Q ・・前後規制部材
X ・・車輪逸走防止装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車軸端部に装着された車輪の側面に対向して配置された側方規制部材と、該車輪の前後両面に対向して配置された前後規制部材を備えるとともに、上記側方規制部材は上記車軸端部から離脱した車輪の軸方向外側への移動と傾斜を所定範囲内に規制し、上記前後規制部材は上記車軸端部から離脱した車輪の前後方向への移動を所定範囲内に規制するように構成されていることを特徴とする車輪逸走防止装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記側方規制部材と前後規制部材が、車軸の高さ位置を含む上下方向の所定範囲に対応するように構成されていることを特徴とする車輪逸走防止装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
上記側方規制部材と前後規制部材が、上記車両のシャーシと該シャーシに取付けられた荷台の少なくとも何れか一方に固定されていることを特徴とする車輪逸走防止装置。
【請求項4】
請求項1、2又は3において、
上記側方規制部材は、その姿勢が、上記車輪の側面に対向する第1姿勢と、該車輪の側面から離間して該車輪を側方空間に開放する第2姿勢の間で変更可能とされていることを特徴とする車輪逸走防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−262908(P2009−262908A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−138719(P2008−138719)
【出願日】平成20年4月26日(2008.4.26)
【出願人】(508156856)