説明

車速制限装置

【課題】 車速制限装置において、走行路の傾斜に応じた車速制限を低コストで実現できるようにする。
【解決手段】 アクセル開度とは無関係に開度を調整しうる電子制御式スロットルバルブ2cと、車速を検出する車速検出手段10と、車速検出手段10からの検出情報に基づき、該車速が所定速度を超えた場合には、電子制御式スロットルバルブ2cの開度を、該アクセル開度と対応する目標スロットル開度及び予め設定された車速制限スロットル開度の内の何れか小さい開度に制御して該車速を制限する制御手段21とをそなえて構成する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、所定速度を超えた場合に、アクセル開度とは無関係に電子制御式スロットルバルブによりスロットル開度を制御して車速を制限する、車速制限装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、自動車では、車速を所定の上限速度以下に抑制すべく、車速が所定速度を超えると燃料カットが行なわれているが、燃料カットを行なうと、高速走行時にエンジン出力トルクが急激に低下するため減速ショックが生じる。このため、電子制御式スロットルバルブ(ETV)を有する自動車では、アクセル開度とは無関係にスロットル開度を絞って吸気量を減少させることにより、減速ショックを抑制してドライバビリティや安全性を確保しながら車速を制限することが従来より種々開発/提案されている。
【0003】このような技術として、例えば特開平5−26063号公報にフォークリフトに適用された技術(従来技術1)が開示されている。この技術では、車速が予め設定された所定速度に達した場合には、エンジン回転速度を、所定速度に対応する目標エンジン回転速度に保持させるべく、ETVの開度を所定開度に制御している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した従来技術には、以下のような課題がある。つまり、一般的に、フォークリフトは主として特定の敷地内で作業を行なうのに対し、自動車は不特定の場所を走行するため、傾斜の急な下り坂を走行することもある。スロットル開度が、平地においては所定速度に対応する所定開度よりも小さかったとしても、急な下り坂を走行している場合には車速が所定速度を超えることがあり、このような場合、スロットル開度が上記所定開度に開かれると却って車速を上昇させてしまうこととなる。
【0005】走行路の傾斜に応じて上記所定開度を設定することも考えられるが、この場合、走行路の傾斜を検出するセンサが必要となり、また、制御も複雑になるので、コストが掛かってしまう。ところで、特開平11−105580号公報にも車速制限に関する技術が開示されている。この技術は、ETVを使用したものではないが、車速が所定速度に達した場合、燃料カットを行なう前に、スロットルバルブとは別に吸気通路に介装されたスワールコントロールバルブや過給器に対するバイパスバルブの作動を制御して吸気量を減少させて車速を抑制するものである。これにより、減速ショックの大きい燃料カットを極力回避しつつ車速を所定の上限速度以下に保持するようにしている。
【0006】このような動作を1つのETVにより実現しようとすると、ETV開度(スロットル開度)は、車速が所定速度よりも低い時は、アクセル開度に対応した目標アクセル開度に制御され、車速が所定の上限速度以上の時は、アクセル開度とは関係無しに所定開度に制御されることとなる。即ち、上記従来技術1と略同様の制御が行なわれることとなり、同様の課題が生じることとなる。
【0007】本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、走行路の傾斜に応じた車速制限を低コストで実現できるようにした、車速制限装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】このため、請求項1記載の本発明の車速制限装置では、制御手段により、車速検出手段からの検出情報に基づき、車速が所定速度を超えた場合には、電子制御式スロットルバルブの開度が、アクセル開度と対応する目標スロットル開度及び予め設定された車速制限スロットル開度の内の何れか小さい開度に制御されて車速が制限される。
【0009】請求項2記載の本発明の車速制限装置では、車速制限スロットル開度が、車速制限の開始からの時間経過に応じて減少するように設定される。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1及び図2は本発明の一実施形態としての車速制限装置について示す図である。なお、本実施形態では、内燃機関に、燃焼室内に燃料を直接噴射する筒内噴射内燃機関(筒内噴射エンジン、以下、単にエンジンとも言う)を適用した例を示す。
【0011】本車速制限装置がそなえられる筒内噴射エンジンは、図1に示すように構成されており、燃焼室1には、吸気通路2および排気通路3が連通しうるように接続されており、吸気通路2と燃焼室1とは吸気弁4によって、排気通路3と燃焼室1とは排気弁5によって、それぞれ連通制御されるようになっている。また、吸気通路2には、エアクリーナ2a,吸入空気量を検出するエアフローセンサ(AFS)2b,吸入空気量を制御するスロットルバルブ2c,スロットルバルブ2cの開度を検出するスロットルポジションセンサ(TPS)2dが設けられており、スロットルバルブ2cは、アクセルペダルの踏込量とは独立して作動可能な電子制御式スロットルバルブ(ETV)により構成されている。
【0012】また、排気通路3には、排気中のO2濃度を検出するO2センサ3a,排気浄化用触媒としての三元触媒(以下、単に触媒とも言う)6及び図示しないマフラが設けられている。また、燃焼室1には、インジェクタ8が燃焼室1へ燃料を直接噴射すべくその開口を燃焼室1に臨ませるように配置されている。このような構成により、スロットルバルブ2cの開度に応じエアクリーナ2aを通じて吸入された空気が、吸気弁4の開放により燃焼室1内に吸入され、燃焼室1内のピストン上面に形成された半球状の凹部1aにより縦渦(逆タンブル流)に生成されて、ECU(電子制御ユニット)20からの信号に基づいてインジェクタ8から噴射された燃料と混合されるようになっている。そして、ECU20からの信号により燃焼室1内で点火プラグ7を適宜のタイミングでこの混合気に点火を行なうことにより、この混合気を燃焼させてエンジントルクを発生させるようになっている。燃焼後の排気は、燃焼室1内から排気通路3へ排出され、触媒6で浄化されてから、マフラで消音されて排出されるようになっている。
【0013】また、このエンジンには、上述したAFS2b,TPS2d,O2センサ3aの他に、例えば、クランクシャフト9に付設されたクランク角センサ9aや、車速センサ(車速検出手段)10や、アクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルポジションセンサ(APS)11等の種々のセンサが設けられており、これらのセンサからの検出情報がECU20へ送られるようになっている。
【0014】筒内噴射エンジンについてさらに説明すると、筒内噴射エンジンでは、このように燃焼室1内で吸入空気を逆タンブル流に生成することにより、点火プラグ7近傍に少量の燃料を集めて層状燃焼させ、混合気全体としては極めてリーンな空燃比での燃焼(希薄燃焼)が可能となっている。そして、筒内噴射エンジンは、燃料噴射の態様として、このようにリーンな空燃比下で運転を行なうリーン運転モードと、空燃比が理論空燃比(ストイキ)近傍となるようにO2センサ3aからの検出情報等に基づいてフィードバック制御を行なうストイキ運転モードと、リッチな空燃比で運転を行なうリッチ運転モードとが設けられている。なお、リーン運転モードでの運転をリーン運転、ストイキ運転モードでの運転をストイキ運転、リッチ運転モードでの運転をリッチ運転という。
【0015】そして、このような運転モードの選択及び目標空燃比の設定は、ECU20により運転状態に応じて行なわれるようになっている。つまり、ECU20は、TPS2d及びクランク角検出手段9aの検出情報に基づきエンジン負荷Pe及びエンジン回転速度Ne(運転状態)を計算し、この運転状態に応じてエンジンの運転モードを設定するようになっており、エンジン負荷Pe及びエンジン回転速度Neが大きくなるほど、リーン運転,ストイキ運転,リッチ運転の順に運転モードを設定するようになっている。
【0016】さて、本発明の一実施形態としての車速制限装置について説明すると、本車速制限装置は、上述した車速センサ10と、ECU20内の機能として構成される車速制限手段(制御手段)21とをそなえて構成されている。車速制限手段21は、車速Vが、予め設定された所定の上限速度VMAXを超えないように車速制限を行なうものであり、車速センサ10により検出された車速情報に基づいて、スロットル開度θTを所定のスロットル開度θT,0に制御して吸気量を絞る(以下、これを吸気量制限という)か、又は、インジェクタ8の作動を制御して燃料カットを行なうことにより、上記車速制限を行なうようにしている。
【0017】具体的には、車速Vが第1所定速度V1(例えば184km/h)以上になると、まず、吸気量制限を用いて車速制限制御が開始されるようになっており、この吸気量制限は、制限開始後、所定時間t1(例えば5秒)以内に車速Vが、第1所定速度V1よりも低めに設定された第3所定速度V3(例えば178km/h)以下になるか、或いは、所定時間t1経過後に、第1所定速度V1よりも低め且つ第3所定速度V3よりも高めに設定された第4所定速度V4(例えば182km/h)未満であれば車速Vは十分に制限されたとして終了するようになっている。
【0018】一方、吸気量制限制御を開始してから所定時間t1(例えば5秒)経過しても、車速Vが第4所定速度V4以上であれば、吸気量制限による車速低減効果がないとして燃料カットが開始され、車速Vが第5所定速度V5(例えば174km/h)以下になるまで持続されるようになっている。さらに、吸気量制限制御中に、車速Vが第1所定速度V1よりも高い第2所定速度V2(例えば190km/h)以上になると、このままでは車速Vが所定の上限速度VMAXを超えてしまう虞があるとして、燃料カットが直ちに開始されるようになっている。
【0019】つまり、車速制限を行なうに当たり、先ず吸気量制限により車速を減速させ、所定期間t1内に吸気量制限により顕著な車速減速効果が得られなかった場合、或いは、車速が高いため急速な減速を行なわなければならない時に限定して、減速効果を優先して燃料カットを行なうようにしているのである。ここで、本発明の大きな特徴である吸気量制限について説明すると、この吸気量制限は、上述したように、車速Vが第1所定速度V1以上になると、吸気量の絞りを目的にスロットル開度θTをアクセル開度とは無関係に所定スロットル開度θT,0に制御するものである。
【0020】車速制限の行なわれない通常走行中は、APS11により検出されたアクセル開度(実アクセル開度)θA,1とランク角センサ9aに基づき演算されるエンジン回転速度Neとから目標エンジン負荷Pe0が決定され、この目標エンジン負荷Pe0からスロットル開度が決定されるようになっている。ここでは、このような通常の手順にしたがって、実アクセル開度θA,1と所定の車速制限アクセル開度θA,LIMとを比較して、これらの内の何れか小さい方のアクセル開度と、エンジン回転速度Neとから目標エンジン負荷Pe0を設定し、この目標エンジン負荷Pe0から所定スロットル開度θT,0を設定するようになっている。
【0021】つまり、車速制限が行なわれる際、スロットル開度θTは、実アクセル開度θA,1に対応する目標スロットル開度θT,1及び車速制限アクセル開度θA,LIMに対応する車速制限スロットル開度θT,LIMの内の何れか小さい方の開度に制御されるようになっているのである。そして、これにより、傾斜の急な坂道を下っている際に車体を加速させてしまうことを防止できるようになっている。つまり、従来技術の課題として上述したように、吸気量制限を行なうための所定スロットル開度θT,0を一定にすると、急な傾斜の坂道を下っている場合、車速が所定速度を超えた時にスロットル開度θTを所定スロットル開度θT,0になるように制御すると却ってスロットル開度θTを実アクセル開度θT,1に対応する目標スロットル開度θT,1よりも大きくして車体を加速させてしまう虞がある。
【0022】そこで、本車速制限装置では、所定スロットル開度θT,0として、実アクセル開度θA,1と対応する目標スロットル開度θT,1、及び、車速制限アクセル開度θA,LIMと対応する車速制限スロットル開度θT,LIMの内の何れか小さい開度を選択することで、このような傾斜の急な坂道を下っている際に車体を加速させてしまうことを防止しているのである。
【0023】また、ここでは、車速制限アクセル開度θA,LIMは、例えば下式(1)に示すように設定され、車速制限アクセル開度θA,LIMひいては車速制限スロットル開度θT,LIMは、車速制限制御の開始(具体的には吸気量制限開始)時点からの経過時間tに応じて減少して設定されるようになっている。このような設定により、車速制限開始時の減速の度合いを小さめにして車体に発生するショックを抑制でき、また、経過時間tに応じて減速の度合いを徐々に大きくして効果的に車速制限を行なえるようにしている。
【0024】
θA,LIM=α−t×(α−β)/t1 , (但し、α>β) …(1)
上式(1)により、車速制限アクセル開度θA,LIMは、制御開始時には最大値としてαに、 吸気量制限制御の最大継続時間t1には最小値としてβに設定されるようになっている。
【0025】車速に換算すると、上式(1)中のαは、例えば平地(傾斜のない平坦な走行路)走行時の車速180km/hに相当するアクセル開度として設定され、βは、例えば平地走行時の車速140km/hに相当するアクセル開度として設定されるようになっている。α,βは、マッチングパラメータであり、設計条件に応じて適宜設定されるものである。但し、少なくとも平地走行時には、車速Vが第1所定速度(ここでは184km/h)V1を超えた時、車速制限アクセル開度θA,LIMが実アクセル開度θA,1よりも小さく設定される(即ち、車速制限スロットル開度θT,LIMが目標スロットル開度θT,1よりも小さく設定される)ようにして、吸気量ひいては車速を制限する必要がある。つまり、平地走行時における第1所定速度に対応するスロットル開度θTよりも、車速制限スロットル開度θT,LIMは小さくなるように設定しなければならない。
【0026】なお、本発明の車速制限装置では、スロットル開度θT実アクセル開度θA,1に対応する目標スロットル開度θT,1と車速制限スロットル開度θT,LIMとの内の何れか小さい方の開度に制御されるように構成されていれば良い。したがって、車速制限アクセル開度θA,LIMに代えて、車速制限エンジン負荷PeLIMを設定し、この車速制限エンジン負荷PeLIMと実アクセル開度θA,1に対応する目標エンジン負荷Pe0との内の何れか小さい方のエンジン負荷に基づき所定スロットル開度θT,0を設定するようにしても良いし、勿論、車速制限スロットル開度θT,LIMを直接設定するとともに通常走行時には目標スロットル開度θT,1に基づいてETV2cを制御するようにし、一方、車速が第1所定速度V1以上になった場合には、車速制限スロットル開度θT,LIMと目標スロットル開度θT,1との内の何れか小さい方の開度を所定スロットル開度θT,0として選択するように構成しても良い。
【0027】本発明の一実施形態としての車速制限装置は、上述したように構成されており、例えば図2に示すようにして制御が行なわれる。つまり、先ず、ステップS10で、車速センサ10の検出結果に基づき、車速Vが第1所定速度V1(例えば184km/h)以上であるか否かが判定され、車速Vが第1所定速度V1以上であればステップS20に進みタイマがスタートされ、さらにステップ30へ進み、一方、車速Vが第1所定速度V1よりも低ければ、車速制限を行なわずにリターンするステップS30では、APS11により検出された実アクセル開度θA,1と上式(1)より決定された車速制限アクセル開度θA,LIMとが比較され、これらのアクセル開度の内の何れか小さい方のアクセル開度とエンジン回転速度Neとから目標エンジン負荷Peが決定され、さらに、この目標エンジン負荷Peから、所定スロットル開度θT,0が決定される。そして、この所定スロットル開度θT,0になるようにETV2cの作動が制御されて吸気量制限による車速制限が開始され、ステップS40へ進む。
【0028】そして、S40では、車速Vが第2所定速度V2(例えば190km/h)以上であるか否かが判定され、車速Vが第2所定速度V2以上であれば直ぐにも所定の最高速度VMAXを超えてしまう虞があるとして、図示しないステップによりタイマがリセットされた後、ステップS100に進み直ちに燃料カットが開始される。一方、車速Vが第2所定速度V2以上でなければステップS50に進む。ステップS50では、車速Vが第3所定速度V3(例えば178km/h)以下であるか否かが判定され、車速Vが第3所定速度V3以下であれば、ステップS80に進みタイマ(吸気量制限経過時間t)がリセットされた後、リターンし、一方、車速Vが第3所定速度V3よりも高速であれば、ステップS60に進む。
【0029】ステップS60では、ステップS30で吸気量制限が開始されてから所定時間t1が経過したか否か(吸気量制限経過時間tが所定時間t1以上であるか否か)が判定され、所定時間t1が経過していなければステップS30に進み、所定スロットル開度θT,0が再設定されるとともに吸気量制限が引き続き行なわれる。一方、所定時間t1が経過していれば、ステップS70に進み、車速Vが第4所定速度V4(例えば182km/h)以上であるか否かが判定され、第4所定速度V4以上であれば、吸気量制限により十分に車速を制限できなかったとしてステップ100に進み燃料カットが行なわれ、第4所定速度V4よりも低速であれば、車速は十分に制限されたとして、ステップS80でタイマ(吸気量制限経過時間t)がリセットされた後、リターンする。
【0030】また、ステップS100に進み燃料カットが開始されると、ステップS110に進み、車速Vが第5所定速度V5(例えば174km/h)以下であるか否かが判定され、車速Vが第5所定速度V5以下でなければ、ステップS100に戻り、燃料カットが引き続き行なわれ、一方、車速Vが第5所定速度V5以下であれば、車速は十分に低下したとして、リターンする。つまり、車速Vが第5所定速度V5以下になるまで燃料カットが行なわれるのである。
【0031】このように、本車速制限装置によれば、車速制限が行なわれる際には、燃料カットを行なう前に、スロットル開度θTを所定スロットル開度θT,0に制御することにより先ず吸気量制限が行なわれるので、燃料カットによる減速ショックをできるだけ回避しつつ車速制限を行なえるという利点がある。また、本車速制限装置では、所定スロットル開度θT,0として、実アクセル開度θA,1と対応する目標スロットル開度θT,1、及び、車速制限アクセル開度θA,LIMと対応する車速制限スロットル開度θT,LIMの内の何れか小さい開度が選択されるので、上述したように傾斜の急な坂道を下っている際に、却って車体を加速させてしまうことを防止できる。
【0032】また、走行路の傾斜を検出する手段を設けずに、低コストにこのような効果が得られるという利点もある。また、吸気量制限制御が開始されてからの経過時間t1に応じて、車速制限アクセル開度θA,LIMひいては車速制限スロットル開度θT,LIMが減少するので、車速制限開始時には比較的緩やかに吸気量制限が行なわれて減速ショックが発生することが抑制され、また、徐々に減速の度合いを上昇させて効果的に減速を行なえるという利点がある。
【0033】なお、本発明の車速制限装置は、上述の実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形を行なうことが可能である。例えば、上述の実施形態では、車速制限スロットル開度θT,LIMを、車速制限制御(吸気量制限制御)が開始されてからの経過時間t1に応じて減少させるように構成しているが、経過時間t1に関わらず一定としても良い。
【0034】また、上述の実施形態では、図2のフローチャートに示すように、吸気量制限を開始してから所定時間経過しても十分に減速効果が得られなかったり、車速Vが所定速度よりも高速になったりした場合には、ステップS100に進んで燃料カットが行なわれるようになっているが、ステップS100において、燃料カットを行なう代わりに、ステップS30よりも減速効果の高い吸気量制限を行なうようにしても良い。即ち、ステップS100を、ステップS30で設定するよりもスロットル開度θTを小さく設定するステップとして構成しても良い。
【0035】また、上述の実施形態では、本発明の車速制限装置を、筒内噴射内燃機関に適用した例を説明したが、本発明の車速制限装置は、吸気ポート噴射内燃機関にも適用しうるものである。
【0036】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1記載の車速制限装置によれば、車速が所定速度を超えた場合には、電子制御式スロットルバルブの開度が、アクセル開度と対応する目標スロットル開度及び予め設定された車速制限スロットル開度の内の何れか小さい開度に制御されるので、急な傾斜の坂道を下っているため、目標スロットル開度が車速制限スロットル開度よりも小さいのにもかかわらず車速が所定速度を超えてしまうような場合に、電子制御式スロットルバルブの開度を車速制限スロットル開度に上げて却って加速させてしまうことを防止でき、さらに、走行路の傾斜を検出する検出手段を設けずに低コストで上記制御を行なうことができるので、走行路の傾斜に応じた車速制限を低コストで実現できるという利点がある。
【0037】請求項2記載の車速制限装置によれば、車速制限スロットル開度が、時間経過に応じて減少するように設定されるので、車速制限開始時の減速ショックを抑制でき、且つ徐々に車速制限の度合いを高めて効果的に車速を制限できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての車速制限装置及び車速制限装置が装備される内燃機関の全体構成を示す模式図である。
【図2】本発明の一実施形態としての車速制限装置の制御を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
2c 電子制御式スロットルバルブ(ETV)
10 車速センサ(車速検出手段)
20 ECU(電子制御ユニット)
21 車速制限手段(制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】 アクセル開度とは無関係に開度を調整しうる電子制御式スロットルバルブと、車速を検出する車速検出手段と、該車速検出手段からの検出情報に基づき、該車速が所定速度を超えた場合には、該電子制御式スロットルバルブの開度を、該アクセル開度と対応する目標スロットル開度及び予め設定された車速制限スロットル開度の内の何れか小さい開度に制御して該車速を制限する制御手段とをそなえて構成されたことを特徴とする、車速制限装置。
【請求項2】 該車速制限スロットル開度が、該車速制限の開始からの時間経過に応じて減少するように設定されることを特徴とする、請求項1記載の車速制限装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2002−266665(P2002−266665A)
【公開日】平成14年9月18日(2002.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−66396(P2001−66396)
【出願日】平成13年3月9日(2001.3.9)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】