説明

車道用舗装及び車道用舗装の施工方法

【課題】車両走行によって損傷受け易い舗装道路の轍部の耐久性を向上させた車道用舗装及び車道用舗装の施工方法を提供する。
【解決手段】敷設装置10の二股状の吐出口14a,14bは、弾性舗装1の轍掘れが発生している、または轍掘れが発生し易い部位Xa,Xbに対応させて設置し、上記施工機を弾性舗装1の基礎地盤3上に沿って移動させながら、かつ上述した敷設装置10の供給部10aから供給された弾性舗装材料4を車道用舗装1の轍掘れが発生し易い部位Xa,Xb等の上に順次吐出させて積層させる。二股状の吐出口14a,14bは左右方向に移動出来たり揺動出来るように構成しておけば、あらゆる車道用舗装1(弾性舗装)の轍掘れが発生し易い部位Xa,Xb上にも対応させることが出来るものである。また、11は敷設装置10に後方に取付けられたスクリードを示し、前記二股状の吐出口14a,14bから吐出させた弾性舗装材料4を加圧しながら均一に敷き均すための装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車道用舗装及び車道用舗装の施工方法に係わり、更に詳しくは車両走行によって損傷を受け易い舗装道路の轍が発生する部分や、轍が発生し易い部分の耐久性を向上させた車道用舗装及び車道用舗装の施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に車道用舗装では、車両の通行によって道路に凹み、即ち、轍掘れが発生する。例えば、骨材を歴青材料で結合したアスファルト舗装は、アスファルトの流動による流動轍が発生し、骨材(硬質骨材、弾性骨材)を熱硬化性樹脂の樹脂バインダで結合した樹脂系舗装は摩耗や粒取れによる摩耗轍が発生する。
【0003】
この道路に凹状に発生した轍掘れは、車両通行の安全性と走行時の快適性等に大きな影響を与えるため、例えば、轍掘れ深さ(轍掘量)が3cm以上になった場合は、補修作業や修復作業を行っている。このような轍掘れの補修作業や修復作業には、多くの手間と時間がかかる上に、多大な経費がかかるため、従来から種々の対策や研究が行われている。
【0004】
例えば、図8及び図9(a)〜(c)に示す樹脂系舗装の中の弾性舗装1(硬質骨材と弾性骨材とを樹脂バインダで結合)を施工する際、路床2上に所定厚さの基礎地盤3を敷設し、この基礎地盤3上に、硬質骨材と弾性骨材と樹脂バインダとの混合材から成る弾性舗装材料4を施工機等により施工する。この場合、図示しない施工機に投入された前記弾性舗装材料4を施工機に設けられた一つの吐出口5により舗装道路の車線の中央部1aに吐出させ(図8及び図9(a)参照)、吐出させた弾性舗装材料4を図9(b)に示すように、敷き均し工具等のレーキ6a,6bを使用して作業員が舗装道路の端部まで敷き拡げる作業を行っていた。
【0005】
しかしながら、弾性舗装材料4の場合、上記のようなレーキ6a,6bを使用して作業員が敷き拡げても、弾性舗装材料4の吐出地点(車線の中央部1a)の材料密度は、敷き拡げた後の弾性舗装材料4の敷設領域(1b,1b)よりも材料密度が高く、作業員が敷き拡げた部分の弾性舗装材料4の材料密度は、車線の中央部1aよりも常に低いと言う現象が生じていた。
【0006】
この材料密度が常に低くなる原因としては、弾性舗装材料4が車線の中央部に集中的に吐出され、吐出された弾性舗装材料4を作業員が人力によってレーキ6a,6bで道路の横断方向に敷き拡げる際の作業上の要因と材料の性状に関する要因が起因している。
【0007】
作業上の要因は、弾性舗装材料4の自重や粘性による抵抗で作業員が敷き拡げにかなりの労力を要すること、及び縦断方向に走行しながら連続的に短時間で作業を進めなければならないこと、更に作業スペースが狭く作業性が悪く、また作業人員の数が制約されることなどが挙げられる。
【0008】
このような作業能率上、吐出された弾性舗装材料4を均一に敷き拡げることは困難である。材料の性状に関する要因は、吐出された弾性舗装材料は樹脂バインダが自重により下部に沈降しやすいこと、及び樹脂バインダはその粘性によって骨材よりも移動し難いことが挙げられる。一般的には、敷き拡げ作業では吐出された弾性舗装材料の表面近傍を敷き拡げることから、吐出部と敷き拡げ部では樹脂比率が異なり、敷き拡げ部は樹脂比率が小さい傾向になる。
【0009】
この結果、上記のように敷設された弾性舗装1上を車両が走行すると、図9(a)〜(c)に示すように、損傷し易い轍掘れが発生する部位は、材料密度が吐出口直下である車線の中央部1aよりもその両側の若干低い部分である事が判明し、バスやトラック等の重荷重車両の通過により短期間に轍が発生し、弾性舗装1の耐久性に問題が生じていた。このような舗装道路の耐久性の問題は、弾性舗装1のみならず、アスファルト舗装においても同様であった。
【0010】
また、図10(a)〜(c)は、従来の他の実施形態を示し、この実施形態は、弾性舗装1の轍掘れが発生し易い部位等に敷設装置10に設けられた投入コンベヤ12により、敷設装置10から供給された弾性舗装材料4を載置して弾性舗装1の轍掘れが発生し易い部位上に順次投入して積層させる。
【0011】
即ち、図10(a)に示すように、施工機を弾性舗装1の基礎地盤3上に沿って移動させながら、弾性舗装1の轍掘れが発生し易い部位上に投入コンベヤ12を介して弾性舗装材料4を順次投入して積層させる。
【0012】
そして、上記の従来例と同様に、図10(b)に示すように、轍掘れが発生し易い部位等の上に吐出させた弾性舗装材料4を敷き均し工具等のレーキ6a,6bを使用して、作業員が弾性舗装道路の端部まで敷き拡げる作業を行う。
【0013】
更に、図10(c)に示すように、弾性舗装材料4が均一の厚さで平滑な面となるように敷き拡げる作業が終了したら、図示しない加圧敷設ローラや加圧スクリード等を使用して弾性舗装道路の表面の仕上げ作業を行うものである。
【0014】
しかしながら、この従来の弾性舗装材料4の場合においても、上記と同様にレーキ6a,6bを使用して作業員が敷き拡げても弾性舗装材料4の吐出地点(車線の中央部1a)の材料密度は、敷き拡げた後の弾性舗装材料4の敷設領域(1b,1b)よりも材料密度が高く、作業員が敷き拡げた部分の弾性舗装材料4の材料密度は、車線の中央部1aよりも常に低いと言う現象が生じていた。
【0015】
そこで、従来のアスファルト舗装においては、轍掘れの対策としてアスファル層内にアスファルトの側方への流動を阻止する網状もしくはラス状の部材を敷設したり(例えば、特許文献1参照)、轍掘れし易い部分の舗装を剛性の高い材料により締め固めて固化させたり(例えば、特許文献2参照)するアスファルト舗装が提案されている。
【0016】
しかしながら、従来の轍掘れの対策には、他の材料を使用したり、その材料を埋設して固化させるのに多くの手間と時間がかかり、また舗装材料を均一に敷設する場合にも多くの手間と時間がかかり、耐久性を向上させることが難しいと言う問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開平1−256603号公報
【特許文献2】特開昭63−297611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
この発明はかかる従来の課題に着目し、車両走行によって損傷を受けやすい舗装道路の轍掘れが発生する部分や轍掘れが発生し易い部分における密度を上昇させることで舗装道路の耐久性を向上させることが出来ると共に、舗装材料を吐出させて材料の自重により密度を高めることが出来るので敷き均し装置や敷き均し部材での敷き拡げ労力を軽減でき、敷設作業の作業能率を高めることが出来る車道用舗装及び車道用舗装の施工方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
この発明は上記目的を達成するため、この発明の車道用舗装は、車両が走行する舗装道路の轍掘れが発生する部分や轍掘れが発生し易い部分を高密度の舗装に構成したことを要旨とするものである。
【0020】
ここで、前記舗装道路が、骨材(硬質骨材、弾性骨材)と樹脂バインダとの混合材から成る樹脂系舗装、または骨材を瀝青材料で結合したアスファルト舗装である。
【0021】
また、この発明の車道用舗装の施工方法は、敷設装置の吐出口から順次吐出させる混合舗装材料を、舗装道路の轍掘れが発生する部分及びその近傍に吐出させると共に、混合舗装材料により高密度化し、前記敷設装置の吐出口の直後に設置した敷き均し装置で前記吐出した混合舗装材料を均一の厚さに敷き均して敷設することを要旨とするものである。
【0022】
ここで、前記混合舗装材料が、骨材(硬質骨材、弾性骨材)と樹脂バインダとの樹脂系舗装材料、または骨材を瀝青材料で結合したアスファルト舗装材料である。
【発明の効果】
【0023】
この発明は、上記のように構成したので以下のような優れた効果を奏するものである。(a).車両走行によって損傷を受けやすい舗装道路の轍掘れが発生する部分及び轍掘れ が発生し易い部分における密度を上昇させることで舗装道路の耐久性を向上させ ることが出来る 。
(b).舗装材料を吐出させて材料の自重により密度を高めることが出来るので敷き均し 装置や敷き均し部材での敷き拡げ労力を軽減できる。
(c).敷設作業の作業能率を高めることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の第1実施形態を示す車道用舗装の施工工程の斜視説明図である。
【図2】轍掘れ量の測定実験の説明図である。
【図3】この発明の車道用舗装、特に弾性舗装道路用の施工装置の側面図である。
【図4】(a)〜(c)は、この発明の第1実施形態における車道用舗装の施工工程の説明図である。
【図5】(a)〜(c)は、この発明の第2実施形態における車道用舗装の施工工程の工程説明図である。
【図6】(a)〜(c)は、この発明の第3実施形態における車道用舗装の施工工程の説明図である。
【図7】(a)〜(c)は、この発明の第4実施形態における車道用舗装の施工工程の工程説明図である。
【図8】従来の車道用舗装の施工工程の斜視説明図である。
【図9】(a)〜(c)は、従来の車道用舗装の施工工程の工程説明図である。
【図10】(a)〜(c)は、従来の他の車道用舗装の施工工程の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面に基づき、この発明の実施形態を説明する。なお、従来例と同一構成要素は同一符号を付して説明は省略する。
【0026】
図1は、この発明の第1実施形態を示す車道用舗装の施工工程の斜視説明図であって、1は路床2上に所定厚さの基礎地盤3を敷設した上に敷設された弾性舗装材料4から成る弾性舗装の車道用舗装(弾性舗装)を示し、この車道用舗装1は、硬質骨材と弾性骨材と樹脂バインダとの混合材から成る弾性舗装材料4を施工機等により施工するものである。
【0027】
弾性舗装材料4を施工する施工機としては、図3に示すように走行可能な台車7上にモルタルミキサー8や図示しないパグミルミキサー等のミキサーを載置し、このモルタルミキサー8で混練した弾性舗装材料4としての混練材料を、コンベヤベルト9を介して走行可能な敷設装置10の供給部10aに供給し、この敷設装置10に設けられた二股状の吐出口14a,14bから車道用舗装1の基礎地盤3上に吐出させている。
【0028】
この敷設装置10の二股状の吐出口14a,14bは、弾性舗装1の轍掘れが発生し、または轍掘れが発生し易い部位Xa,Xbに対応させて設置し、上記施工機を弾性舗装1の基礎地盤3上に沿って移動させながら、かつ上述した敷設装置10の供給部10aから供給された弾性舗装材料4を車道用舗装1の轍掘れが発生し易い部位Xa,Xb等の上に順次吐出させて積層させる。
【0029】
なお、二股状の吐出口14a,14bは左右方向に移動出来たり揺動出来るように構成しておけば、あらゆる車道用舗装1(弾性舗装)の轍掘れが発生し易い部位Xa,Xb上にも対応させることが出来るものである。また、11は敷設装置10に後方に取付けられたスクリードを示し、前記二股状の吐出口14a,14bから吐出させた弾性舗装材料4を加圧しながら均一に敷き均すための装置である。
【0030】
そして、轍掘れが発生し易い部位Xa,Xb上に吐出させた弾性舗装材料4を従来と同様に敷き均し工具等のレーキ6a,6bを使用して、図4(a)〜(c)に示すように作業員が弾性舗装道路の端部まで敷き拡げる作業を行うものである。
【0031】
このように、弾性舗装材料4を車道用舗装1の轍掘れが発生し易い部位Xa,Xb上に順次吐出させて敷き均し工具等のレーキ6a,6bを使用して弾性舗装道路の端部まで敷き拡げる作業を行うことで、特に轍掘れが発生し易い部位Xa,Xbの材料密度は、敷き拡げた他の弾性舗装材料4の敷設領域(弾性舗装の車線の中央部1a)よりも材料密度が高く、車両走行によって損傷を受けやすい車道用舗装1の轍部、即ち、轍掘れが発生している、または発生し易い部位Xa,Xbにおける密度を上昇させることができ、弾性舗装の舗装道路1の耐久性を向上させることが出来るものである。
【0032】
図4(a)〜(c)は、上記実施形態の施工工程の概略図を示しており、図4(a)では、施工機を車道用舗装1(弾性舗装)の基礎地盤3上に沿って移動させながら、車道用舗装1の轍掘れが発生している、または発生し易い部位Xa,Xbに対応させて設置した敷設装置10の二股状の吐出口14a,14bから弾性舗装材料4を車道用舗装1の轍掘れが発生し易い部位Xa,Xb等の上に順次吐出させて積層させる。
【0033】
次に、図4(b)に示すように、轍掘れが発生し易い部位Xa,Xb等の上に吐出させた弾性舗装材料4を従来と同様に敷き均し工具等のレーキ6a,6bを使用して、作業員が弾性舗装道路の端部まで敷き拡げる作業を行う。
【0034】
そして、図4(c)に示すように、弾性舗装材料4が均一の厚さで平滑な面となるように敷き拡げる作業が終了したら、図示しない加圧敷設ローラや加圧スクリード11等を使用して弾性舗装道路の表面の仕上げ作業を行うものである。
【0035】
このような作業により施工した弾性舗装道路は、特に轍掘れが発生している、または轍掘れが発生し易い部位Xa,Xbの材料密度は、敷き拡げた他の弾性舗装材料4の敷設領域(弾性舗装の車線の中央部1a)よりも材料密度が高く、車両走行によって損傷を受けやすい車道用舗装1の轍部の耐久性を向上させることが出来るものである。
【0036】
図5(a)〜(c)は、この発明の第2実施形態の施工工程の概略図を示しており、この実施形態では、上記第1実施形態と従来の投入コンベヤ12とを組み合わせた構成であり、敷設装置10の二股状の吐出口14a,14bに対応させて投入コンベヤ12を設置し、二股状の吐出口14a,14bから吐出させた弾性舗装材料4を投入コンベヤ12上の轍の幅に対応した間隔で吐出させて移載させると共に、この投入コンベヤ12により車道用舗装1の轍掘れが発生している、または発生し易い部位Xa,Xb上に弾性舗装材料4を順次投入して積層させる。
【0037】
そして、上記第1実施形態及び第2実施形態と同様に、図5(b)に示すように、轍掘れが発生し易い部位Xa,Xb等の上に吐出させた弾性舗装材料4を従来と同様に敷き均し工具等のレーキ6a,6bを使用して、作業員が弾性舗装道路の端部まで敷き拡げる作業を行う。
【0038】
更に、図5(c)に示すように、弾性舗装材料4が均一の厚さで平滑な面となるように敷き拡げる作業が終了したら、図示しない加圧敷設ローラや加圧スクリード等を使用して弾性舗装道路の表面の仕上げ作業を行うものである。なお、その他の構成及び作用は、上記第1実施形態と同様なので説明は省略する。
【0039】
図6(a)〜(c)は、この発明の第3実施形態の施工工程の概略図を示しており、この実施形態では、上記第1実施形態と二分割された二列並列の分割投入コンベヤ12a,12bとを組み合わせた構成であり、敷設装置10の二股状の吐出口14a,14bに対応させて二列並列の分割投入コンベヤ12a,12bを設置し、二股状の吐出口14a,14bから吐出させた弾性舗装材料4を分割投入コンベヤ12a,12b上の轍の幅に対応した間隔で吐出させて移載させると共に、この分割投入コンベヤ12a,12bにより車道用舗装1の轍掘れが発生している、または発生し易い部位Xa,Xb上に弾性舗装材料4を順次投入して積層させる。
【0040】
そして、上記第1実施形態〜第3実施形態と同様に、図6(b)に示すように、轍掘れが発生し易い部位Xa,Xb等の上に投入コンベヤ12a,12b上に移載させた弾性舗装材料4を従来と同様に敷き均し工具等のレーキ6a,6bを使用して、作業員が弾性舗装材料4から成る車道用舗装道路の端部まで敷き拡げる作業を行う。
【0041】
更に、図6(c)に示すように、弾性舗装材料4が均一の厚さで平滑な面となるように敷き拡げる作業が終了したら、図示しない加圧敷設ローラや加圧スクリード等を使用して弾性舗装道路の表面の仕上げ作業を行うものである。なお、その他の構成及び作用は、上記第1実施形態及び第2実施形態と同様なので説明は省略する。
【0042】
図7(a)〜(c)は、この発明の第4実施形態の施工工程の概略図を示しており、この実施形態は、水平方向に移動可能な一つの吐出口5Aと、この吐出口5Aに対応した水平方向に移動可能な一列の投入コンベヤ12Aとで構成し、この一つの吐出口5Aで一列の投入コンベヤ12A上に弾性舗装材料4を供給し、そして一方の轍掘れが発生し易い部位Xa上に弾性舗装材料4を順次投入して積層させた後、一つの吐出口5Aを水平方向に移動させると共に、一列の投入コンベヤ12Aも水平方向に移動させ、この一つの吐出口5Aで一列の投入コンベヤ12A上に弾性舗装材料4を供給し、そして他方の轍掘れが発生し易い部位Xb上に弾性舗装材料4を順次投入して積層させる。
【0043】
そして、上記第1実施形態〜第3実施形態と同様に、図7(b)に示すように、轍掘れが発生し易い部位Xa,Xb等の上に投入コンベヤ12A上に移載させた弾性舗装材料4を従来と同様に敷き均し工具等のレーキ6a,6bを使用して、作業員が弾性舗装道路の端部まで敷き拡げる作業を行う。
【0044】
更に、図7(c)に示すように、弾性舗装材料4が均一の厚さで平滑な面となるように敷き拡げる作業が終了したら、図示しない加圧敷設ローラや加圧スクリード等を使用して弾性舗装道路の表面の仕上げ作業を行うものである。なお、その他の構成及び作用は、上記第1実施形態〜第3実施形態と同様なので説明は省略する。
【0045】
図2及び下記の表1及び表2は、この発明の耐久性データの実施例を示している。
【実施例】
【0046】
(a)耐久性データの試験条件
各試験サンプルを敷設した路面上で、トラック・バス用タイヤ(トレッド幅225mm)輪荷重2100kg、走行速度12km/hの条件で旋回軸の両端部にタイヤを取り付けて半径3mの円周上を周回させ、100万回(200万輪)走行後の試験サンプルの轍掘れ量H(図1、図1a参照)を測定した。
【0047】
【表1】

【0048】
【表2】

【0049】
(b)耐久性の試験結果
上記の表2における耐久性評価試験から明らかなように、弾性舗装材料4の材料密度が高い方が轍掘れ量(H)が少なくなることが判った。この結果、弾性舗装材料4の材料密度を高くすることにより、車両走行によって損傷を受けやすい舗装道路1の轍部の耐久性を向上させることが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0050】
この発明では、一般道路、高速道路における樹脂系舗装道路の樹脂系舗装材料や、アスファルト舗装道路に於けるアスファルト舗装材料でも有効に実施することが出来、また施工方法においても同様である。
【符号の説明】
【0051】
1 車道用舗装(弾性舗装) 1a 車線の中央部
2 路床
3 基礎地盤
4 弾性舗装材料
5 吐出口
5A 吐出口
6a,6b レーキ
7 台車
8 ミキサー
9 コンベヤベルト
10 敷設装置
10a 供給部
11 加圧スクリード11
12A 分割投入コンベヤ
14a,14b 吐出口
Xa,Xb 轍掘れが発生し易い部位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が走行する車道用舗装において、前記車両が走行する舗装道路の轍が発生する部分及び轍が発生し易い部分を高密度の舗装に構成したことを特徴とする車道用舗装。
【請求項2】
前記舗装道路が、少なくとも硬質骨材を含む骨材と樹脂バインダとの混合材から成る樹脂系舗装材である請求項1に記載の車道用舗装。
【請求項3】
前記舗装道路が、骨材を瀝青材料で結合したアスファルト舗装である請求項1に記載の車道用舗装。
【請求項4】
舗装道路の基礎地盤上に混合された混合舗装材料を敷設装置の吐出口から順次吐出させ、この順次吐出させた混合舗装材料を敷き均し装置で均一の厚さに敷き均して敷設する車道用舗装の施工方法において、
前記敷設装置の吐出口から順次吐出させる混合舗装材料を、舗装道路の轍が発生する部分及びその近傍に吐出させると共に、混合舗装材料により高密度化し、前記敷設装置の吐出口の直後に設置した敷き均し装置で前記吐出した混合舗装材料を均一の厚さに敷き均して敷設することを特徴とする車道用舗装の施工方法。
【請求項5】
前記混合舗装材料が、少なくとも硬質骨材を含む骨材と樹脂バインダとの樹脂系舗装材料である請求項4に記載の車道用舗装の施工方法。
【請求項6】
前記舗装道路が、骨材を瀝青材料で結合したアスファルト舗装材料である請求項4に記載の車道用舗装の施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−111797(P2011−111797A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268807(P2009−268807)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】