説明

軌道レールにおける分岐器の設置方法およびその装置

【課題】設置作業の省力化を図れ、コストの低減を期待できる軌道レールの分岐器の設置方法を提供する。
【解決手段】軌道レール上に適宜の間隔を置いて走行する適宜数の分岐器運搬車1上に、枕木上に並設した少なくも一対の直線に沿うレールを備えた分岐器Aを渡して積載する工程と、分岐器の該一対のレールに吊金具2を介して吊下げ杆3を着脱自在に組付ける吊下げ杆組付け工程を相前後して行い、旧分岐器を撤去して適宜数のレール山越器Tを分岐器運搬車1の走行方向に沿って並設した分岐器設置個所に、分岐器Aを積載した分機器運搬車1を移動させる。吊下げ杆3をレール山越器Tに順次挿通させ、レール山越器Tに備えたチェーンブロック4のローラ付レールキャッチ400に順次、掛止、案内させつつ、分岐器運搬車1側からレール山越器T側へ分岐器を移行させ、レール山越器Tに備えたチェーンブロック4を操作して分機器Aを分岐器設置個所上に下ろす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現場に搬入してきた分岐器運搬車上から、新分岐器を、軌道路上の、旧分岐器を撤去した分岐器設置位置に設置するために用いる、軌道レールにおける分岐器の設置方法およびその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
旧分岐器に代えて新分岐器を設置するには、作業場所の確保の難しさから、分岐器の設置個所(旧分岐器を撤去した)から離れた処で新たな分岐器を組立て、該新たな分岐器を、例えば、特許文献1或いは2に記載の運搬車で設置現場へと搬送し、該運搬車に備えたクレーン装置や別途用意のクレーンなどにより道床上に下ろして、別途用意したクレーン車や重量の嵩む大型の山越器を用いて、旧分岐器を撤去した分岐器設置位置に設置するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭62−20945号公報
【特許文献2】実開昭54−121408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来例は、据付け現場において、クレーン車やクレーン装置を用いて分岐器を吊上げ、設置場所に据付ける方法を採るため、クレーン(保管台数の少ない)等を設置する現場に搬送しておかねばならず、その(重機の)搬送や使用料等を含めた設置コストが掛かる。また、レール山越器を用いるにしても、チェーンブロックの横移動を利用するものであるため、設置場所の隣接位置に担(運搬)車で搬送しておかねばならず、従って、当該設置場所位置まで敷設したレールがないときは、実施できない、という使用上の制約があった。
【0005】
本発明は、従来例の斯様な欠点に着目し、設置作業の省力化を図れ、機材的にも人員的にもコストの低減を期待できる、軌道レールにおける分岐器の設置方法およびその装置を提供すべく創案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
軌道レール上に適宜の間隔を置いて走行する適宜数の分岐器運搬車上に、枕木上に並設した少なくも一対の直線に沿うレールを備えた分岐器をわたして積載する工程と、分岐器の前記一対のレールに吊金具を介してそれぞれ吊下げ杆を着脱自在に組付ける吊下げ杆組付け工程を相前後して行い、次いで、旧分岐器を撤去して適宜数のレール山越器を、前記運搬車の走行方向に沿って並設した分岐器設置個所に、前記分岐器を積載した前記分機器運搬車を移動させ、この移動に伴って前記吊下げ杆を前記各レール山越器に順次挿通させ、各レール山越器に備えたチェーンブロックのローラ付レールキャッチに順次、掛止、案内させつつ、前記分岐器運搬車側から前記レール山越器側へと分岐器を移行させ、しかる後、各レール山越器に備えたチェーンブロックを操作して前記レール山越器を前記分岐器設置個所上に下ろすことを特徴とするのである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、人力での搬入が可能な軽量なレール山越器に備えたチェーンブロックの先端にローラ付レールキャッチを設けることにより、該レールキャッチのローラを利用して分岐器を縦送り(レールの長手方向に沿う送り込み)して、分岐器の設置作業を行うものであるから、大型機械(重機)による機材の搬入の必要性がなく、場所もとらず、コスト的に安価に分岐器の設置作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る分岐器設置方法の工程図。
【図2】終了直前の略視側面図。
【図3】図2の平面図。
【図4】ローラ付レールキャッチの正面図。
【図5】図4の側面図。
【図6】分岐器と各部の関係を示す略示説明図。
【図7】分岐器と各部の関係を示す他の略示説明図。
【図8】図6乃至図7の一部拡大図。
【図9】図8の側面図。
【図10】図8の平面図。
【図11】他の実施形態の吊下金具を用いた、分岐器と各部の関係を示す略示説明図。
【図12】他の実施形態の吊下金具を用いた、分岐器と各部の関係を示す他の略示説明図。
【図13】図11乃至図12の一部拡大図。
【図14】一実施形態の吊下げ材の平面図。
【図15】他の実施形態の吊下金具と分岐器の関係を示す図12の一部拡大図。
【図16】図15の側面図。
【図17】図15の一部を省略した平面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る軌道レールにおける分岐器の設置方法は、既設の軌道レール上に適宜の間隔を置いて配した複数(実施形態では3台)の分岐器運搬車1,1,1に分岐器Aをわたして積載する工程と、分岐器Aの直線状の第一基本レールAと該第一基本レールAに略平行する第一トングレールAおよび傾斜状の第二基本レールA´に、吊金具2,2´を介して吊下げ杆3を着脱自在に組付ける工程を相前後して行う。
【0010】
なお、図示(例えば、図3で示す)の分岐器Aは第一、第二の基本レールA,A´の間にクロッシングを介して一体的にした第一、第二のトングレールA,A´を介在させ、これら各レールA,A´.A,A´を枕木A で連結して構成し、後記するように、第一基本レールAと第二基本レールA´側の前記トングレールAの直線状を利用して設置作業を行う。
【0011】
この分岐器Aは、工場で組立ててクレーン車を利用して現場に搬送しても良いが、概して、クレーン車を利用しても、踏切りの近傍の道床の空地までに搬送できるのが精々であるので、当該個所において組立てて分岐器Aを得るのが一般である。
【0012】
道床脇の分岐器Aを、適宜数の前記分岐器運搬車1,1,1にわたして受支させるようにして積載するには、分岐器Aの各レールA,A´.A,A´の適宜のものに掛止するフック状のレールキャッチを備えた公知のレール横移動用の山越器を利用して分岐器Aを横移動させるようにして行う。もとより、許されるなら、クレーンで吊上げる等別途手段を利用しても不都合はない。
【0013】
分岐器運搬車1として、分岐器Aを敷設した状態で積載できる空間域を占める台盤100を備えた車体101を、前後それぞれ一対の車輪102で受支させた手動方式のものを用いているが、動力源を搭載した自動式のものを用いても必ずしも不都合ではない。
【0014】
実施形態では、この分岐器運搬車1,1,1に渡して分岐器Aを積載する前記作業(工程)前に、分岐器Aの第一基本レールA、第一トングレールAおよび第二基本レールA´の傾斜部に所要数の前記吊金具2,2´を用いて吊下げ杆3を組付けてある(殊に、図8乃至図10や図13乃至図16)。
【0015】
この組付け作業は、前記の通り、分岐器運搬車1に対する分岐器Aの積載作業と相前後して行えば良いが、積載作業より先に行えば、足場が不安定な道床上で行う必要がないので、安全性を確保できる。
【0016】
前記吊下げ杆3は、適宜の長さにした軌道用のレール材をそのまま用いているが、これは、チェーンブロック4(図4、5)のローラ付キャッチ400のローラ400Aに対する掛止部300と、吊金具2の組付け部301を、レール形状を利用してそのまま用いることができる(レールの頭部形が掛止部300、脚部が組付け部301となる)からで、前記レールを素材として限定する必要はない(チェーンブロック4やローラ付キャッチ400は公知)。
【0017】
この吊下げ杆3を分岐器Aに組付ける吊金具2の一つの実施形態は、図8乃至図10で示している。
【0018】
すなわち、第一実施形態の吊金具2は、互いに同形な一対の金具構成体2A,2Aと一対の挟持片2B,2Bを、組付けボルト5と締付けボルト6およびこれらに螺合するナット5A,6Aで互いに組付けて構成するもので、金具構成体2Aは、方形状の金具基盤200の、下面のやや一端に吊設し、しかも、先端(下端)に横方向に突出する突条201aを設けた掛止片201を備え、そして、金具基盤200の、該掛止片201の長手方向に両側部には、掛止片201の長手方向に直交する方向にして通し孔8を設け、該通し孔8,8間の中央に縦孔9を設けたものである。
【0019】
この一対の金具構成体2A,2Aとで吊金具2を構成する前記挟持片2Bは、平面視方形状の方形盤体200Bの下面の一端側を突条形として受座10と成し、この受座10の反対端側の下面部10aを奥端に至るに従って次第に低くなるテーパ状と成すと共に、この下面部10aと外れた、方形盤体200Bの中央には前記縦孔9と一致する縦孔11を設けたものである(図8)。
【0020】
そして、第一実施形態の吊金具2を用いて吊下げ杆3を、分岐器Aの前記第一基本レールAと第一トングレールAおよび第二基本レールA´それぞれに組付けるには、各レールA,A,A´の頭部Aaを掛止片201で挟持するように同形の一対の金具構成体2A,2Aを組合わせ、各構成体2A,2Aに設けた通し孔8,8に組付けボルト5を一側から挿通させ、他側から突出した該ボルト5の先端にナット5Aをそれぞれ螺合締付けることによって、一対の金具構成体2A,2Aは前記各頭部Aaの適所に組付けられ、各レールA,A,A´の長手方向に沿って所要数組付けられる(このとき、頭部Aaの上面と金具構成体2Aの下面の間にわずかな隙間が生じるようにしてある)。
【0021】
そして、金具構成体2Aを組付けた各レールA,A,A´の中央には、吊下げ杆3を載置する。吊下げ杆3は、第一基本レールAと第一トングレールAに対しては、これらはほぼ直線状を成しているので、これらに対しては略同長のものを用いてこれらの上に重ね合わせ、第二基本レールA´に対しては第一トングレールAより外側に位置する、第二基本レールA´の傾斜部(の長さにして)上にそれぞれ配し、該吊下げ杆3の組付け部301上の下面部10aが配せられるように挟持片2Bを金具基盤200上に重ね合わせ、これらに設けた縦孔11,9に、縦孔11側から締付けボルト6を挿通させ、縦孔9から突出する締付けボルト6の先端にナット6Aを螺合、締付けることにより、分岐器A上に3本の吊下げ杆3,3,3が、少なくも、掛止部300(レール頭部上の)が分岐器A上方に突出した状態で組付けられる。
【0022】
吊下げ杆3を分岐器Aに組付ける、他の一つの実施形態の吊金具2´は図13乃至図16で示している。
【0023】
すなわち第二実施形態の吊金具2´は、第一実施形態のものが単一な吊下げ杆3に組付けるものであるに対し、分岐器Aのレール軌間と略同幅の間隔を置いて一対の吊下げ杆3,3を配し、該一対の吊下げ杆3,3をその下面側にわたした適宜数の、形鋼で成る平行な接続杆3aとで構成した吊下げ枠体3A(図14参照)の前記吊下げ杆3に組付けて用いるものである。
【0024】
吊下げ杆3を吊下げ枠体3Aの一部としたのは、吊金具2´の構成上、第一実施形態の吊下げ杆3のように単に直棒状のものでは、分岐器Aに組付けた際、該組付け状態の安定性を欠き、それを回避するためである。
【0025】
第二実施形態の吊金具2´は、例えば、図13、図15および図16或いは図17で示すように、金具構成体2´Aと一対の挟持片2´B,2´Bおよび掛止フック201´並びにこれらと別体の帯片205´とで構成し、金具構成体2´Aは、平面視方形状の金具基盤200´の4隅に透孔9´を縦設し、下面の両側の中央に相対設した一対の支持片20,20を備え、前記挟持片2´B,2´Bは、第一実施形態の前記挟持片2Bとほぼ同様に、平面視方形状の方形盤体200´Bの下面の一端側を板状突出形として受座10´と成し、この受座10´の反対側の下面部10´aを奥端に至るに従って次第に低くなるテーパ状と成すと共に、この下面部10´aと外れた、方形盤体200´Bの中央に前記透孔9´と一致する縦孔11´を設けたものである。そして、前記掛止フック201´は、基部を相対する前記支持片20,20間に介在させて該支持片20,20間にわたしたボルト21とこれに螺合するナット22とで締付け、金具構成体2´Aに組付け、前記帯片205´の両端のリング状の掛止部205´aを引掛けるようにしてある。
【0026】
そして、第二実施形態の吊金具2´は、枠体上の吊下げ枠体3Aを構成する吊下げ杆3を、分岐器Aの、互いに直線に沿って略平行する前記第一基本レールAと第一トングレールAに組付け、また、吊下げ杆3を、第一基本レールA等と共に分岐器Aを構成する第一基本レールA等に対して角度を持たせて傾斜状にした第二基本レールA´等に組付けるために用いる。
【0027】
吊下げ枠体3Aの吊下げ杆3を、第一基本レールAと第一トングレールAに組付けるには、まず、各レールA,Aの中央に吊下げ杆3を載置する。
【0028】
吊下げ杆3は、第一実施形態と同様に、第一基本レールAと第一トングレールAに対しては、これらはほぼ直線状を成しているので、これらに対しては略同長のものを用いてこれらの上に重ね合わせ、該吊下げ杆3の組付け部301上に下面部10´aが配せられるように挟持片2´Bを金具基盤200´上に重ね合わせ、これらに設けた孔11´,9´に縦孔11´側から締付けボルト6´を挿通させ、縦孔9´から突出する締付けボルト6´の先端にナット6´Aを螺合、締付けることにより分岐器A上に2本の吊下げ杆3,3が、少なくも、掛止部300(レール頭部上の)が分岐器A上方に突出した状態で積載される。そして、この状態にしてから、各レールA,Aの長手方向の適宜の個所においてその下側を通した帯片205´の掛止部205´aを吊金具2´の掛止フック201´に引掛けることにより、吊下げ杆3と各レールA,Aすなわち分岐器Aは組付けられ、また、第二基本レールA´に組付けるには、第二基本レールA´に吊下げ杆3を、第一基本レールA等の場合と同様に(第一基本レールA等が吊下げ杆3を吊下げ枠体3Aの構成材としているに対し、つまり、吊下げ枠体3A部材の吊下げ杆3を組付けるに対し単独の吊下げ杆3に組付けるの相異があるだけ)その傾斜状に沿わせて載置し、吊下げ杆3の組付け部301´に下面部10´aが配せられるように挟持片2´Bを金具基盤200´上に重ね合わせ、これらに設けた孔11´,9´に縦孔11´側から締付けボルト6´を挿通させ、縦孔9´から突出する締付けボルト6´の先端にナット6´Aを螺合、締付けることにより当該吊下げ杆3が積載され、この状態にしてから、第二基本レールA´の長手方向の適宜の個所においてその下側を通した帯片205´の掛止部205´aを吊金具2´の掛止フック201´に引掛けることにより第二基本レールA´に対して吊下げ杆3は組付けられる。
【0029】
このようにして、吊下げ杆3を上方に組付けた(前記第一実施形態と第二実施形態の吊金具2,2´を用いて)分岐器Aを、運搬車1,1間に掛け渡すように積載した分岐器運搬車1,1,1を、当該積載場所から旧分岐器を撤去した現場に移動させるのであるが、該撤去場所である分岐器設置個所には、運搬車1の、当該個所到達以前に、適宜数のレール山越器T,…を運搬車1の前進方向延長上に(レールの長手方向に)沿わせて設置して、分岐器Aの設置個所への据付け(設置)が直ちに行えるようにしてある。なお、必要とする数のレール山越器T全部を、必ずしも設置する必要はなく、運搬車1側から適宜数設置したレール山越器T側に分岐器Aを移行中(既に配置済のレール山越器T側に)に、配置済のレール山越器T群に新たなレール山越器Tを順次追加しても不都合はない。
【0030】
レール山越器T(公知)は、長手方向の両端の支持脚Tで、上面に走行路を有する走行桁Tを備え、走行桁Tには、走行路上を自在に移動する3個のチェーンブロック4,4,4を備えたものである。
【0031】
最先の分岐器運搬車1,1,1が旧分岐器を撤去した分岐器設置個所に至る(図1(a))と、進行方向の最先の分岐器運搬車1(符号1Aで示す)には、分岐器Aの長手方向の一端が設置した突出量(運搬車1が前進できる軌道レールの死点位置から該死点に最も近い接して配した、符号TAで示すレール山越器Tのレールキャッチ400までの離開距離より長い距離量)に突出させてあるので、該一端の突出部が運搬車1の移動に伴って当該位置に配したチェーンブロック4のローラ付レールキャッチ400の上方に位置し(そのように予め設定)(図1(b))、その状態で該先端部をチェーンブロック4を作動させて引き上げると先端部は略正位置に配せられる。この状態のとき符号1Aで示す最先の運搬車は停止状態におかれる(ブレーキ等で)。
【0032】
そして、この状態で他の運搬車1を移動させると、運搬車1上に積載した分岐器A上に位置する吊下げ杆3は、ローラ付レールキャッチ400のローラ400Aに摺接してローラ400Aの転動に従って案内されて次段の山越器T部に至り、前記と同様の操作により該次段の山越器Tのレールキャッチ400上に載せられる一方、前進死点位置に移動した分岐器運搬車1を停止させ、次段以下の運搬車1,1により移動方向に並べて設置したレール山越器T,…に前記先端部が順次送り込み(図1(c))、最終的には、分岐器運搬車1,…上にかけ渡して積載した分岐器Aは、直線方向に並べた適宜数の山越器群に、レールキャッチ部において支持され、旧分岐器のあった設置個所の直上に配せられることになる(図1(d))。
【0033】
この状態に至る間、山越器Aのレールキャッチ400には分岐器A等の荷重が負荷されるので、該分岐器Aに組付けた吊下げ杆3の移動方向に揺れがあっても、該揺れに対応してチェーンブロック4は走行桁Tに沿って位置を変えるから不都合のない、運搬車1,…からレール山越器Tへの移行操作が行われる。
【0034】
なお、第一実施形態にあって、分岐器Aの第二基本レールAにも、その傾斜にあわせて吊下げ杆3を配したのは、直線に沿わせて並ぶ第一基本レールAと第一トングレールA側の荷重との荷重バランスを採るためで、ほぼ平行に並ぶ(前記第一基本レールAと第一トングレールAのように)2本のレールのみに配した吊下げ杆3だけ配しても不都合がなければ、それで移動時の荷重バランスを採れるのであるから、実施形態でいう第二基本レールA´部の吊下げ杆は省略しても良い。
【0035】
この第二基本レールA´部の吊下げ杆は、該レールA´(の傾斜部)に対応して短いが、該吊下げ杆を受支したチェーンブロックは傾斜状に対応して分岐器Aの移動方向と交差する方向に前記説明の通り、移動でき、また、第二基本レールA´に係る吊下げ杆は、所定のレール山越器T位置に至ると、当該山越器Tのレールキャッチ400から自動的に外れることはいうまでもない。
【0036】
なお、第一基本レールA等に用いる吊下げ杆3の長さは、当該レール(第二基本レールA´の場合は傾斜部すなわち第一トングレールAより外方に突出する部分)より同長以上のほうが有効である。
【0037】
そして、分岐器設置個所に並べて設置した多数の山越器T,…に運搬車1,1,1に代わって支持させた分岐器Aは、当該山越器Tのチェーンブロック4を操作することによって分岐器設置個所に下ろされる(図2、3)。そして、ボルト6を緩めて吊下げ杆3や吊金具2を取り外すことにより分岐器Aの設置操作が終了する。
【符号の説明】
【0038】
A 分岐器
T レール山越器
1 分岐器運搬車
2 吊金具
3 吊下げ杆
4 チェーンブロック
400 ローラ付レールキャッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道レール上に適宜の間隔を置いて走行する適宜数の分岐器運搬車上に、枕木上に並設した少なくも一対の直線に沿うレールを備えた分岐器をわたして積載する工程と、分岐器の前記一対のレールに吊金具を介してそれぞれ吊下げ杆を着脱自在に組付ける吊下げ杆組付け工程を相前後して行い、次いで、旧分岐器を撤去して適宜数のレール山越器を、前記運搬車の走行方向に沿って並設した分岐器設置個所に、前記分岐器を積載した前記分機器運搬車を移動させ、この移動に伴って前記吊下げ杆を前記各レール山越器に順次挿通させ、各レール山越器に備えたチェーンブロックのローラ付レールキャッチに順次、掛止、案内させつつ、前記分岐器運搬車側から前記レール山越器側へと分岐器を移行させ、しかる後、各レール山越器に備えたチェーンブロックを操作して前記レール山越器を前記分岐器設置個所上に下ろすことを特徴とする、軌道レールにおける分岐器設置方法。
【請求項2】
道床上の分岐器設置個所に末端が隣接する軌道レール上を走行する、複数の分岐器運搬車上に、分岐器を各運搬車にわたして積載し、該分岐器の少なくも2本の直線状のレールの上側には組付け手段を介して吊下げ杆を積設する一方、前記分岐器設置個所に適宜数のレール山越器を、前記分岐器運搬車の進行方向に沿わせて並設し、該レール山越器に備え、しかも、前記吊下げ杆にそれぞれ対応するチェーンブロックにローラ付レールキャッチを設け、該ローラ付レールキャッチの相対する一対のローラに受止させる掛止頭部を、前記吊下げ杆の長手方向に沿う上端部で構成した、分岐器設置装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−104217(P2013−104217A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248463(P2011−248463)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(511275887)株式会社三森総業 (1)
【出願人】(391030125)保線機器整備株式会社 (39)
【Fターム(参考)】